JP2009160599A - 圧延材の温度予測方法、圧延材の冷却装置の制御方法、及び連続圧延設備 - Google Patents

圧延材の温度予測方法、圧延材の冷却装置の制御方法、及び連続圧延設備 Download PDF

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Abstract

【課題】圧延材の冷却装置における圧延材の正確な温度予測を可能とする。
【解決手段】冷却装置4で冷却される圧延材2の板温度を温度予測モデルを用いて予測する圧延材2の温度予測方法において、温度予測モデルとして、圧延材2の内部状態を精緻に表現した第1モデルと、圧延材2の内部状態を簡略化して表現した第2モデルとを用意し、圧延材2を冷却する前に、第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正量又は補正係数を算出し、第2モデルで得られた板温度予測値を補正量又は補正係数で補正して圧延材2の板温度とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧延材の温度予測方法、かかる温度予測方法により求められた板温度を基に圧延材の冷却装置を制御する圧延材の冷却装置の制御方法、かかる制御方法を適用可能な連続圧延設備に関する。
従来より、薄鋼板等の圧延材を製造するにあたっては、圧延機と冷却装置と巻き取り装置とを備えた熱間連続圧延設備が用いられている。熱間連続圧延設備では、タンデムに配備された圧延機で圧延材を圧延し、圧延が終了した圧延材は、圧延機の下流側に配備された冷却装置に導入されて所定の出側板温度となるように冷却され、冷却装置の下流側に配備された巻き取り装置に巻き取られるようになっている。
圧延材の出側板温度などを正確に予測し、それに基づいて冷却装置を制御する技術は非常に重要であり、かかる冷却制御技術は数々開発されている。
例えば、特許文献1では、板厚方向の温度分布を考慮していない簡易な温度予測モデルを板温度の予測に用い、圧延材の搬送位置(出側温度計〜中間温度計までの区間、中間温度計〜巻取り温度計までの区間)毎に学習値を持たせ、予測精度の向上を図っている。
一方、圧延材の板温度によって熱伝達率が大きく変化するため、例えば、冷却バルブ1本の開閉による温度降下量などの「制御入力に対する感度」も大きく変化する。そのことに対応するために、特許文献2の技術では、温度予測モデルを内蔵したコントローラを温度域毎に複数設定し、制御の安定化を図っている。
また、特許文献3には、板温度と熱伝達率との非線形関係による予測精度の劣化に対して、熱伝達率を板温度と学習パラメータの関数として表現し、圧延材の板温度の実績値を基に前記学習パラメータの最適値を推定し、推定結果を冷却制御モデルに適用する技術が開示されている。
特開平6−218414号公報 特開2006−150372号公報 特開平2007−44715号公報
特許文献1の技術では、簡易な温度予測モデルをベースに温度予測を行うことを前提にしており、この温度予測モデルの精度を上げるために、冷却設備の冷却バンク毎に学習パラメータを設置するなどの対策を実施している。
しかしながら、板温度や板速度や冷却バルブの開閉パターンが違うといった「冷却パターン」が異なる圧延材の場合、簡易な温度予測モデルではその差異を吸収できない、その結果、冷却バンク毎の学習パラメータの変動として表れ、当該圧延材のみならず、その後の圧延材の温度予測結果にも悪影響を与えてしまうなど大きな問題を有している。
また、特許文献2の技術は、圧延材の温度域毎に温度予測モデルを内蔵するコントローラを複数設置することで、制御性能の向上と安定化を図っているが、制御に使用される温度予測モデルについては簡易なものが使用されている。
そのため、圧延材の厚み方向の温度分布の違いによる影響などは表現できず、温度予測精度のより一層の向上を期すことは困難である。さらに、学習などによって予測精度の向上を図るために、複数の温度予測モデルに対して学習を行う必要があり、学習値の収束が遅くなるなどの新たな課題が発生する。
特許文献3の技術では、圧延材の厚み方向の温度分布を考慮し且つ温度域による熱伝達率の変化を表現可能な精緻な温度予測モデルを導入している。
しかし、現状の計算機環境では、精緻な温度予測モデルをオンラインでの温度予測に活用することはその能力から困難である。オンライン制御では種々の冷却条件に対する温度予測を繰り返し何度も行う必要があり、精緻な温度予測モデルのオンライン制御への適用は困難を極める。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、計算機性能の制約がある際にも、圧延材の冷却時における正確な温度予測を可能とする圧延材の温度予測方法を提供するものである。加えて、この温度予測方法を用いた圧延材の冷却設備の制御方法、この制御方法を適用可能な連続圧延設備を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る圧延材の温度予測方法は、冷却装置で冷却される圧延材の板温度を温度予測モデルを用いて予測する圧延材の温度予測方法において、前記温度予測モデルとして、前記圧延材の内部状態を精緻に表現した第1モデルと、前記圧延材の内部状態を簡略化して表現した第2モデルとを用意し、前記圧延材を冷却する前に、前記第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正量又は補正係数を算出し、前記圧延材の冷却中には、前記第2モデルで得られた板温度予測値を前記補正量又は補正係数で補正して圧延材の板温度とすることを特徴とする。
本発明に係る他の圧延材の温度予測方法は、冷却装置で冷却される圧延材の板温度を温度予測モデルを用いて予測する圧延材の温度予測方法において、前記温度予測モデルとして、前記圧延材の内部状態を精緻に表現した第1モデルと、前記圧延材の内部状態を簡略化して表現した第2モデルとを用意し、前記圧延材を冷却する前に、前記第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正量又は補正係数を算出し、前記圧延材の冷却中には、前記補正量又は補正係数で補正された第2モデルを用いて圧延材の板温度を求めることを特徴とする。
これらの方法によれば、計算機性能の制約がある際にも、圧延材の冷却時における正確な温度予測が可能となる。
好ましくは、前記第1モデルで求めた板温度予測値の板厚方向平均値と、第2モデルで求めた板温度予測値の板厚方向平均値とを基にして、前記補正量又は補正係数を算出するとよい。
また、前記第1モデルで求めた板温度予測値を基に、冷却装置の冷却初期条件を決定するとよい。
また、前記圧延材の冷却中において、前記第2モデルにより求められた板温度予測値又は第2モデルを前記補正量又は補正係数で補正して圧延材の板温度を求める工程を、前記圧延材の切板毎に行ってもよい。
前記補正量又は補正係数を、圧延材の板温度、圧延材の通過時間、圧延材の搬送位置、圧延材の板速度、冷却装置への入側板温度の少なくとも1つをパラメータとする関数又はテーブルで表現し、該表現された補正量又は補正係数を前記第2モデル内に組み込み、当該第2モデルを補正することは非常に好ましい。
前記補正量又は補正係数を第2モデル内での熱流束の起因する温度降下項に対して用い、前記第2モデルを補正してもよい。
前記第1モデル内に表現されている変態発熱特性を第2モデルの変態発熱特性として採用し、前記第2モデルを補正してもよい。
また、前記第1モデル及び第2モデルの変態発熱特性から、変態発熱分布の統計量、変態発熱の開始温度、変態発熱の終了温度、変態発熱の開始時間、変態発熱の終了時間、変態発熱量の少なくとも1つのパラメータを選択し、選択されたパラメータに対し補正を加えることで、前記第2モデル内に表現されている変態発熱特性を第1モデルの変態発熱特性に近づけ、前記第2モデルを補正してもよい。
前記第1モデル及び第2モデルの変態発熱特性から変態発熱量の分散値を選択し、該分散値に対し補正を加えることで、前記第2モデル内に表現されている変態発熱特性を第1モデルの変態発熱特性に近づけ、前記第2モデルを補正してもよい。
本発明に係る圧延材の冷却装置の制御方法は、前述した圧延材の温度予測方法により求められた圧延材の板温度を基に、圧延後の圧延材を冷却する冷却装置を制御することを特徴とする。
本発明に係る連続圧延設備は、圧延機と、該圧延機で圧延された圧延材を冷却する冷却装置と、前述した圧延材の温度予測方法により求められた圧延材の板温度を基に前記冷却装置を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明に係る圧延材の温度予測方法を用いることで、計算機性能の制約がある際にも、圧延材の冷却時における正確な温度予測が可能となる。加えて、この温度予測方法を用いた圧延材の冷却設備の制御方法ならびに連続圧延設備を用いることで、圧延後の圧延材の適切な冷却を行うことができる。
以下、本発明に係る圧延材の温度予測方法と、この温度予測方法により求められた板温度を基に圧延材の冷却装置を制御する圧延材の冷却装置の制御方法、ならびに本制御方法が適用された連続圧延設備の実施の形態を、図を基に説明する。
図1には、連続圧延設備1の模式図が示されている。連続圧延設備1は、熱間状態の圧延材2を圧延する複数の圧延機3,3,3を有しており、それら圧延機3の下流側には冷却装置4が配備されている。冷却装置4の下流側には巻き取り装置5が配備されている。
なお、本実施形態の説明においては、圧延材2の移送方向において、移送されていく側(巻き取り装置5側)を下流側、その反対側(圧延機3側)を上流側と呼ぶ。
圧延機3は、一対のワークロール6,6を有すると共に、このワークロール6をバックアップする少なくとも一対のバックアップロール7,7を供えている。
最終段に備えられた圧延機3の出側には、圧延材2の温度である板温度を計測する出側温度計8が配備されている。この出側温度計8は、圧延材2からの熱放射量を基に板温度を計測する放射温度計から構成されていて、圧延機3の出側板温度FDTすなわち冷却装置4の入側板温度を計測する。
出側温度計8の下流側には冷却装置4が備えられている。この冷却装置4は、複数の冷却バンク4aを圧延材2の上下(表裏)面に備え、この冷却バンク4aが圧延材2移送方向に複数個連なるように配置される構成となっている。
冷却バンク4aには、圧延材2に向けて冷却水を吹き付けて圧延材2の温度を下げる複数の冷却ノズルが備えられ、各冷却ノズルには冷却材の流量をオン・オフ制御可能なバルブが設けられている。このバルブを開状態にすると冷却水が冷却ノズルから噴出するため、開状態のバルブ数(開バルブ本数)を変更することで、冷却ノズルから圧延材2に吹き付けられる冷却水の全量が変わり、板温度の温度降下量が可変する。
冷却装置4の下流側であって、巻き取り装置5の直前には、放射温度計からなる温度計が設置されており、冷却が終了した圧延材2の板温度を計測するようになっている。以降、この温度計を巻き取り温度計9と呼ぶ。巻き取り温度計9は、巻き取り装置5に巻き取られる圧延材2の板温度すなわち巻き取り板温度CTを計測する。
本実施形態の場合、冷却装置4の中途部にも放射温度計からなる中間温度計10が設置されている。中間温度計10は圧延材2の中間板温度MTを計測する。
前述した出側温度計8、中間温度計10、巻き取り温度計9の計測データ、つまり圧延機3の出側板温度FDT(冷却装置4の入側板温度)、中間板温度MT、巻き取り板温度CT(冷却装置4の出側板温度)の各実績値は、冷却装置4を制御する制御部11に入力される。
制御部11は、圧延材の内部状態を精緻に表現し板温度を予測可能な第1モデルと、圧延材の内部状態を簡略化して表現し板温度を予測可能な第2モデルとを備え、圧延材を冷却する前に、第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正量又は補正係数を算出し、圧延材の冷却中には、第2モデルで得られた板温度予測値と補正量又は補正係数とから、冷却パターンや巻き取り板温度CTを求めるものとなっている。
さらに、制御部11は、前述の如く求められた圧延材2の冷却パターンや巻き取り板温度CTを目標値に近づけるべく、各冷却バンク4aにおける開バルブ本数の適切値を算出し、バルブパターンを変更する。なお、バルブパターンは、圧延材2の各切板が冷却装置4に投入される前に初期決定計算で算出される初期設定値と、板温度の実績値などに基づきオンライン制御で求められるオンライン修正量とにより、開閉される冷却バルブの位置や本数が決定される。
初期設定値を算出するにあたっては、出側板温度FDT、巻き取り板温度CT、冷却装置4内の板速度などの指定値に基づいて冷却初期条件を事前に算出し、得られた冷却初期条件からバルブパターンの初期設定値を事前に決定する。この計算に関しては、オンライン制御のような計算時間に対する制約はほとんどない。
オンライン修正量を算出するにあたっては、出側板温度FDTや中間板温度MTなどの変動に応じ、かかる変動を吸収するように以降のバルブ開閉パターンを修正するフィードフォワード制御や、温度予測モデルに基づき温度降下量を予測し、切板(サンプル板片)や予測対象ポイントの温度が目標温度になるように、冷却バルブの開閉を修正するフィードフォワード制御を採用してもよい。また、中間板温度MTや巻き取り板温度CTの実測値に基づき、それ以前のバルブパターンを修正するフィードバック制御などを行ってもよい。
以上述べたバルブパターン制御を正確且つ確実に行うために、本実施形態の制御部11においては、正確な巻き取り板温度CTや板温度分布を予測可能な圧延材2の温度予測方法を用いている。以下、圧延材2の温度予測方法の詳細を第1実施形態〜第10実施形態として述べる。
なお、実施形態の説明で、出側板温度FDTを単にFDT温度と呼んだり、TFDTと表記したりすることもある。出側板温度FDTの予測値や目標値を、FDT予測値やFDT目標値と呼ぶこともある。
巻き取り板温度CTを単にCT温度と呼んだり、TCTと表記したりすることもある。巻き取り板温度CTの予測値や目標値を、CT予測値やCT目標値と呼ぶこともある。
中間板温度MTを単にMT温度と呼んだり、TMTと表記したりすることもある。中間板温度MTの予測値や目標値を、MT予測値やMT目標値と呼ぶこともある。
[第1実施形態]
本実施形態の圧延材2の温度予測方法は、制御部11内で行われるものであって、正確な巻き取り板温度CTや板温度の分布を求めるために用いられる。
本実施形態の圧延材2の温度予測方法は、冷却装置4で冷却される圧延材2の板温度を温度予測モデルを用いて予測するものであって、図4のブロック図に示される如く、
(i) 温度予測モデルとして、圧延材2の内部状態を精緻に表現した第1モデル(式(1a)〜式(1c))と、圧延材2の内部状態を簡略化して表現した第2モデル(式(2))とを用意する。
(ii) 圧延材2を冷却する前に、第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、式(5a)、式(5b)などで、第2モデルに対する補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを算出する。
(iii) 圧延材2の冷却中には、第2モデルが算出した板温度予測値T02と補正係数GmCTや補正量ΔTmCTとから圧延材2の板温度TC2を求める
(iv) 求められた板温度TC2や板温度の分布より、バルブ開閉パターンを修正するフィードバック制御やフィードフォワード制御を実施し、冷却バルブの開閉を行う処理を行う。
第1モデル(モデル1)としては、圧延材2表面からの熱伝達(表面からの熱流束)と変態発熱に加え、厚み方向の温度分布を考慮したモデル(式(1a)〜式(1c))を採用している。
Figure 2009160599
一方、第2モデル(モデル2)としては、板厚方向の温度分布を考慮しない式(2)を採用する。
Figure 2009160599
なお、圧延材2の内部状態を精緻に表現した第1モデルとは、例えば、圧延材2の板厚方向の影響を考慮した2次元モデルであったり、正確な変態発熱状況が盛り込まれたモデルのことをいう。また、当該モデルを差分表現した場合、差分層の数(例えば、板厚方向の分割数)がN以上に増加したとしても計算結果が略同じとなるときは、当該モデル(差分層の数=N)を、精緻に表現したモデルと呼ぶこととする。
逆に、圧延材2の内部状態を簡略化して表現した第2モデルとは、例えば、圧延材2の板厚方向の影響を無視した1次元モデルであったり、変態発熱状況が近似的に盛り込まれたモデルのことをいう。また、当該モデルを差分表現した場合、差分層の数Mが増加するにしたがって計算結果の精度が上がるときは、当該モデル(差分層の数=M)を、簡略化して表現したモデルと呼ぶこととする。
ところで、熱伝達率αd,αuは、冷却バルブのON/OFFや冷却水の水量などの冷却条件によって変化する。そこで、冷却条件が決定すれば、熱伝達率の関数表現が決定されることになる。
例えば、板速度V(t)において、冷却開始からt1時間までを水量2Wで水冷し、次のt2時間までは水量Wで水冷し、その後は空冷するといった冷却条件A0(冷却初期条件A0)が与えられた場合に(式(3)参照)、
Figure 2009160599
熱伝達率αd,αuは、
Figure 2009160599
として一意に決定される。
なお、図3に示す如く、輻射による放熱については、熱伝達とは別に記述することも可能であるが、輻射による上下面の熱流束を、それぞれ上下面の熱伝達率αd,αuに加算し、熱伝達に含めることができる。本実施形態の場合、熱伝達率αd,αuに輻射による熱流束も加算し表現を簡易にしておく。
ここで、図5に示すように、第1モデル、第2モデルにおいて、前述の冷却条件A0を与えると共に、初期条件である「時間tFDTでの出側板温度FDT」を、第1モデルに対してはTFDT1(z)として与え、第2モデルに対してはTFDT2として与える。(S51)
すると、第1モデル、第2モデルによる時間tでの板温度の予測値T01(z,t,A0,TFDT1(z),tFDT),T02(z,t,A0,TFDT2,tFDT)を算出することができる。(S52)
このT01(z,t,A0,TFDT1(z),tFDT),T02(z,t,A0,TFDT2,tFDT)を基に、第2モデルが算出した巻き取り板温度の予測値(CT予測値)に対する補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを得ることができる。(S53)
補正係数GmCTや補正量ΔTmCTは、式(5a),式(5b)のように表すことができる。
Figure 2009160599
得られた補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを用いて、オンライン制御時の冷却条件A(冷却初期条件A0と異なる条件下)での第2モデルのCT予測値T02(z,t,A0,TFDT2,tFDT)を補正するようにしている。
補正後のCT予測値TC2(z,t,A0,TFDT2,tFDT)は、式(6a),式(6b)で与えられる。
Figure 2009160599
このように、補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを用いて補正することで、簡易モデルである第2モデルでのCT予測値T02をTC2とし、精緻モデルである第1モデルのCT予測値T01に近づけ、高精度化を図ることが可能となる。
また、第1モデルの圧延材2温度TFDT1(z)、第2モデルの圧延材2温度TFDT2は、冷却開始前(冷却装置4投入時)の板温度であり、温度予測値の初期温度として与えることが可能である。TFDT1(z)には、厚み方向の温度分布が存在するが、その温度分布も初期条件として与えることが可能である。例えば、自然冷却状態で、表面温度が冷却開始前の表面温度に一致するような温度分布を事前に算出することも可能である。
補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを用いた補正により、例え、第2モデルのCT予測値は、第1モデルのCT予測値に対して数十〜百K超の差異が発生していたとしても、第2モデルのCT予測値(補正後)と第1モデルのCT予測値を略一致させることができる。また、変態発熱量が小さな圧延材2では、FDT実測値が±30K程度変動しても、予測値の差異を10K以下に抑制することができる。
なお、本実施形態では、第2モデルのCT予測値に対してのみ補正を行ったが、任意の位置や時間の予測値(例えばMT予測値など)についても同様に補正し、温度予測の高精度化を図ることができる。
第2モデルのCT予測値に対する補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを導出する式(5a),式(5b)において、本実施形態では板厚方向zについて特に言及していなかった。しかしながら、図1のように出側温度計8や巻き取り温度計9が圧延材2の上方に設置されているため、式(5a),式(5b)において、z=hとした式(7a),式(7b)を用いて、補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを算出するとよい。
Figure 2009160599
以上述べたように、圧延材2を冷却する前に、第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを算出し、圧延材2の冷却中には、第2モデルが算出したCT予測値T02と補正係数GmCTや補正量ΔTmCTとから、精緻モデルである第1モデルのCT予測値T01に近い値であるTC2を求めることができる。
こうすることにより、計算機性能の制約があったとしても、短時間に圧延材2の冷却時における正確な温度予測が可能となる。
[第2実施形態]
第1実施形態では、補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを求める式(5a),式(6a)において板厚方向zについては特定はしていなかった。
本実施形態では、補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを求めるに際して板厚方向zを考慮し、第1モデルが算出した板温度予測値の板厚方向平均値と、第2モデルが算出した板温度予測値の板厚方向平均値とを基にして、補正係数GmCT又は補正量ΔTmCTを算出するようにしている。
精説すると、第2モデルは、板厚方向の温度分布を考慮せず、板厚方向の温度分布は均一で定常的であると仮定している。一方、第1モデルは過渡的であり、特に表面温度は圧延材2内部に比べ変動の幅が大きく、また直前の冷却バルブが開いている場合の変動はさらに大きい。
ゆえに、式(5a),式(5b)のように、直前の冷却バルブの開閉によって大きく変動する過渡状態にある第1モデルで得られた板温度と、第2モデルで得られた板温度とを比較して補正係数GmCT又は補正量ΔTmCTを求めると、求められた補正係数GmCT又は補正量ΔTmCTは常に大きく変動し、実態とそぐわない補正を行ってしまうこともあり得る。
そこで、第1モデルと第2モデルとの各板温度予測値の板厚方向平均を比較し、補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを式(8a),式(8b)で決定することとする。
この補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを用いることで、急激な冷却条件の変化に左右されることなく、安定した補正を実現することが可能である。
Figure 2009160599
その他の点については、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第3実施形態]
本実施形態にかかる圧延材2の温度予測方法が、第1実施形態と大きく異なる点は、第1モデルが算出した板温度の予測値を基に、冷却装置4の冷却条件A0(冷却初期条件A0)を決定することである。他の点においては、第1実施形態と略同様である。
すなわち、冷却条件A0とは、例えば、事前に定められた圧延材2の板速度において、FDT目標値からCT目標値まで冷却するのに必要な「冷却バルブの開閉パターン、冷却水の水量」などである。この冷却条件A0は過去の操業実績から決定してもよい。
しかしながら、本実施形態の場合、圧延材2の内部状態を精緻に表現した第1モデル基づいて、巻き取り板温度CTを予測し、このCT予測値がCT目標値に近づくようにフレキシブルポリへドロン法などの繰り返し計算を行い、冷却条件A0を修正しつつ決定するようにしている。
このようにして決定された冷却条件A0を採用することで、様々な目標温度や板速度で冷却される圧延材2の温度予測、ひいては冷却制御を確実に行うことができる。
なお、冷却条件A0を算出するにあたり、第2モデルを使用して計算負荷の軽減を図ることも可能であるが、温度予測精度の観点から劣位となる。そこで、第1モデルを用いた計算を圧延材2の冷却作業前に行うことにより、計算機負荷を気にせず、冷却条件A0を確実に求めることができる。
[第4実施形態]
本実施形態にかかる圧延材2の温度予測方法が、第1実施形態と大きく異なる点は、第2モデルの板温度予測値と補正量又は補正係数とから圧延材2の出側板温度を求める工程を、圧延材2の切板(サンプル片)毎に行う点にある。
すなわち、図1のように圧延機3と冷却装置4が直結した連続圧延設備1では、FDT目標値を実現するために、圧延機3での圧延速度、言い換えるならば冷却装置4内での板速度を変更することが往々にしてある。その理由として、時間経過と共に圧延材2の板温度が降下するため、圧延速度を加速し加工発熱によってFDT目標値を確保するため等がある。
そのような場合、FDT目標からCT目標に冷却するための冷却条件が変化し、前述した補正係数GmCTや補正量ΔTmCTも変化することとなる。かかる圧延速度や冷却条件の変化に対応すべく、本実施形態では、適切な補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを切板毎に算出するようにしている。
詳しくは、まず、圧延材2を長手方向に一定長さで分割した切板を考え、この切板毎に予測対象ポイントを設定する。この予測対象ポイント毎に、事前に予測あるいは決定した圧延速度の変化、加速率の変化に基づき、冷却装置4内での板速度を算出し、算出された板速度に基づき、第3実施形態の手順に従って、FDT目標値からCT目標値まで冷却するために必要な冷却条件A0を予測対象ポイント毎に算出する。
次に、算出された冷却条件を実現する「予測対象ポイント」毎の補正係数GmCTや補正量ΔTmCTを算出し、予測対象ポイントが代表する切板に対する補正を第1実施形態や第2実施形態の手法を用いて実施する。
このように各切板に対して、適切な補正係数GmCTや補正量ΔTmCTをもって第2モデルが算出した板温度予測値を補正しているため、圧延材2の板速度が変化したとしても正確な板温度予測の補正が行えるようになる。
なお、本実施形態では、圧延材2の長手方向に分割したが、長手方向ではなく時間で分割することも可能である。例えば、あるイベントからの経過時間(圧延材2の先端が冷却装置4に投入されてからの経過時間など)を一定時間刻みで分割しても同様の効果を得ることができる。
圧延速度そのもので分割しても類似の効果を得ることができる。圧延速度が時間に対して単調減少している場合、長手方向や経過時間で分割した場合とほとんど同じ効果を得ることができる。
圧延速度の代わりに例えば冷却装置4などの通過時間などを用いて分割しても、圧延速度と同様の効果が得られる。
その他の点については、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第5実施形態]
本実施形態にかかる圧延材2の温度予測方法が、第1実施形態と大きく異なる点は、補正量又は補正係数を、圧延材2の板温度、圧延材2の通過時間、圧延材2の搬送位置の少なくとも1つをパラメータとする関数又はテーブルで表現し、前記第2モデル内に組み込んでいる点にある。
すなわち、第1実施形態では、第2モデルが算出したCT予測値やMT予測値など「指定された任意の位置での予測値」を補正係数などで補正していたが、本実施形態では、第2モデル内に補正量又は補正係数を組み込んでいるため、全ての温度域、圧延材2の位置や時間において、第2モデルが算出した予測値を高精度化することができるようになっている。
詳しくは、まず、式(2)で示される第2モデルに、補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを組み込み、式(9a)、式(9b)のようにする。
Figure 2009160599
補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmは、冷却条件A0において、微小時間dtに対する第1モデル及び第2モデルの温度予測値の降下量dT01,dT02を用い、式(10a),式(10b)で求めることとする。
Figure 2009160599
また、補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmは、温度域(Tn+1≦T<Tn)毎にテーブル化することも可能である。温度域毎(Tn+1≦T<Tn)の補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmは、式(11a),式(11b)で算出できる。
Figure 2009160599
式(9a)、式(9b)〜式(11a)、式(11b)では、補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを板温度Tの関数あるいはテーブルとして与えているが、時間tや冷却装置4に対する圧延材2の長手方向位置xなどの関数として与えることも可能である。
本実施形態の技術を用いると、例えば、FDT実測値などが変動した際、冷却開始バンクや冷却終了バンクの位置、冷却開始時間や冷却終了時間が変化することがあり、当初の冷却条件A0では水冷されていなかった時間、あるいは冷却バンク4aにおいて、オンライン制御では水冷される可能性がある。
そのような場合、補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmが実際のものからズレてしまい、第2モデルが算出した予測温度のみを補正したとしても、第1モデルが算出した正しい温度に近づく可能性は低い。しかしながら、本実施形態のように、補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを温度Tの関数とし、第2モデル内に組み込むようにすることが、正確な温度補正が行える。
なお、Gmはαd・(Td−T2(t))+αu・(Tu−T2(t))+h・q(T2,t)に対する補正係数と見なせるが、式(9a)から明らかなように、cやρに対する補正(例えばGm/cやGm/ρ)と見なすこともできる。
その他の点については、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第6実施形態]
本実施形態にかかる圧延材2の温度予測方法が、第5実施形態と大きく異なる点は、補正量あるいは補正係数を、圧延材2の表面からの熱流束の起因する温度降下に対して用いている点にある。他の点においては、第5実施形態と略同様である。
詳しくは、第5実施形態の式(9a)などにおいて、熱流束項αd・(Td−T2(t))+αu・(Tu−T2(t))が負の値をとるのに対して、3項目の変態発熱項h・q(T2,t)は正の値をとり、変態発熱項の絶対値が熱流束項の絶対値を上回り、板温度が時間と共に上昇する場合もある。この時、補正係数GmCTやGmを算出する式(5a)、式(7a)、式(8a)、式(10a)、式(11a)の分母(温度差)の符号が反転したり或いは0になることもあり、そのような状況下では、補正後の第2モデルの予測値の誤差が爆発的に増加し、著しい精度劣化が生じることもあり得る。
本実施形態は上記状況にも対応できるものであって、Gmを変態発熱項を除く表面からの熱流束項にのみに用いることで、Gmを算出する式の分母が0を横切ることを抑制し、変態発熱が表面からの熱流束を上回っても高精度な補正を実現可能としている。
例えば、第2モデルの補正として、式(9a)の代わりに式(12a),式(12b)を採用する。
Figure 2009160599
この時、補正係数Gmの計算式は、式(10a)の代わりに式(13a)を採用し、補正項dΔTm/dtは式(10b)の代わりに式(13b)を採用でするようにする。
Figure 2009160599
式(13a)から明らかなように、圧延材2表面からの熱流束を表す項のみであり、分母が0になることはなく、安定して補正を行うことができる。
また、第5実施形態と同様に、補正係数Gmをcやρやhに対する補正(Gm/cやGm/ρやGm/h)と見なすことができる。
本実施形態で説明した第2モデル(式(12a),式(12b))、補正係数(式(13a),式(13b))を用い、出側板温度FDTのFF制御を行った場合の結果を図6,図7に示す。
図6は、補正係数Gmを採用しない第2モデル(補正前の第2モデル)を用いてFF制御を行った結果である。この図から明らかなように、第2モデルの予測値は、正しい値に近い結果を算出する第1モデルより約90K程度低いものとなっていて、第2モデルの予測値を用いた冷却制御を行うと、圧延材2は過冷却に制御されてしまう。
一方、図7は、補正を行った第2モデルの結果を示しているが、この図よりわかるように、補正係数Gmを用いることで、簡易な第2モデルを用いたとしても精緻な第1モデルとほとんど同じ温度予測結果を得ることができ、出側板温度FDTのFF制御を確実に行うことができる。
[第7実施形態]
本実施形態にかかる圧延材2の温度予測方法が、第5実施形態と大きく異なる点は、補正量又は補正係数を、圧延材2の板速度、冷却装置4への入側板温度の少なくとも1つをパラメータとする関数又はテーブルで表現した上で、前記第2モデル内に組み込んでいる点にある。
こうすることで、冷却初期条件A0と冷却条件Aとが一致しない場合であっても、第2モデルによる精度のよい板温度の予測が可能となる。
冷却初期条件A0と冷却条件Aとが一致しない原因としては、冷却装置4に投入される出側板温度TFDTや圧延材2の板速度V(t)が変動することが考えられる。
出側板温度TFDTや板速度V(t)が変動した場合、例えば、出側板温度TFDTが±50K、板速度V(t)が±100rpm変動すれば、補正後の第2モデルと第1モデルの予測値の差異は数十K程度まで拡大してしまうことを本願発明者らは事前の実験等で明らかにしている。
そこで、冷却初期条件A0に対して、出側板温度TFDTや板速度V(t)を変化させた際の冷却条件に対しても、事前に、補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを導出しておき、出側板温度TFDTや板速度V(t)の変動に応じて、冷却初期条件A0での補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを線形補間し、冷却条件Aにおける補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを決定する。
例えば、出側板温度TFDTを+50Kした際の冷却条件A0+50Kと、−50Kした際の冷却条件A0-50Kと、板速度V(t)を+100rpmした際の冷却条件A0+100rpmと、−100rpmした際の冷却条件A0-100rpmなどを求め、冷却初期条件A0での補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを線形補間し、冷却条件Aにおける補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを求める。
求められた冷却条件Aにおける補正項dΔTm/dt又は補正係数Gmを、式(9a),式(9b)に代入し、第2モデルにより板温度を算出する。
以上述べた手法で補正項dΔTm/dt又は補正係数Gm補を求め、温度補正を行った結果を図8に示す。
図8からわかるように、補正後の第2モデルと第1モデルの予測値の差異は冷却装置4通過後の温度TCTの予測値で5K以下(冷却速度一定の場合には平均でばらつき2K以下)と大幅に改善することが可能である。
その他の点については、第5実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第8実施形態]
本実施形態にかかる圧延材2の温度予測方法が、第7実施形態と大きく異なる点は、式(15)の如く、第1モデル内に表現されている変態発熱特性を、第2モデルの変態発熱特性として採用している点にある。
詳しくは、第1モデルの変態発熱速度qa(T,t)として、図10の実線で示される特性であるとする。この場合、板厚方向の平均温度と板厚方向の平均発熱速度の関係から、第2モデルでの変態発熱速度の特性q(T,t)は破線で示されるような特性となる。第1モデル、第2モデルで発熱する温度域が異なってしまう。
そこで、冷却条件A0での第1モデルの変態発熱速度qa(T,t)を事前に求め、第2モデルの補正後の変態発熱速度qc2(T,t)としてqa(T,t)を用いるように補正することで、第1モデルと2の予測値の差異をなくすことが可能である。
Figure 2009160599
かかる補正を行うことで、変態発熱が多い鋼種であっても、第2モデルによる温度予測精度を確保することができる。
例えば、図6と同様の温度予測を、変態発熱が多い鋼種で実施した場合の結果を図9に示す。図6では予測の際が90Kであったが、変態発熱の多い状況下である図9では、温度予測値の差異が120Kとなり、変態発熱が少ない鋼種に比べ差異が30Kも広がっていることがわかる。
その他の点については、第7実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第9実施形態]
本実施形態では、第1モデル及び第2モデルの変態発熱特性から、変態発熱分布の統計量、変態発熱の開始温度、変態発熱の終了温度、変態発熱の開始時間、変態発熱の終了時間、変態発熱量の少なくとも1つのパラメータを選択し、選択されたパラメータに対し補正を加えることで、第2モデル内に表現されている変態発熱特性を第1モデルの変態発熱特性に近づけ、第2モデルを補正するようにしている。
こうすることで、第2モデルの変態発熱速度qc2(T,t)に第1モデルの変態発熱速度qa(T,t)を反映させるために、図10の実線で示される形状を制御装置内のメモリに蓄えたり、そのメモリから参照しながら圧延材2温度から変態発熱速度を算出するため計算が不要となる。
そこで、本実施形態では、簡便な方法として、図11に示す如く、板温度に対する変態発熱速度の分布の重心位置(変態発熱分布の統計量)をq(T,t)とqa(T,t)とで揃え、揃えた後のq(T,t)をqc2(T,t)として与えるといった補正を行う。重心位置のあわせ込みの具体的なやり方としては、式(16),式(17)を用いる。
Figure 2009160599
さらに、図12のように、q(T,t)の開始温度や終了温度をqa(T,t)の開始温度や終了温度に合わせ、変態発熱温度域の増減に反比例させてq(T,t)の大きさを変更する。具体的には、q(T,t)の温度域が倍になれば、q(T,t)の高さを半分にする。このような操作を施したq(T,t)をqc2(T,t)として与える。
また、本実施形態では、図11,図12に示すように温度を横軸にし、温度域に対して補正を加えたが、温度の変わりに時間に対して補正を行ってもよい。例えば、q(T,t)の変態発熱の開始時間や終了時間をqa(T,t)の変態発熱の開始時間や終了時間に合わる補正を行ってもよい。
[第10実施形態]
本実施形態では、第2モデル内に表現されている変態発熱特性をさらに第1モデルの変態発熱特性に近づけるべく、第9実施形態のように「温度に対する発熱速度の重心位置をqc2(T,t)とqa(T,t)とで揃える」だけでなく、第1モデル及び第2モデルの変態発熱特性から、変態発熱量の分散値を選択し、該分散値に対し補正を加えるようにしている。
すなわち、図13に示す如く、重心位置を一致させるとともに、板温度に対する変態発熱速度のばらつき(分散σ)を用いて、分散がq(T,t)とqa(T,t)とで一致するように、q(T,t)の変態発熱温度域をσa/σに比例させて大きくし、q(T,t)の高さをσa/σに反比例させて小さくした上で、このq(T,t)をqc2(T,t)として与える。なお、σa,σは式(18)で求めるものとする。
Figure 2009160599
こうすることで、変態発熱温度域のばらつき及び重心位置が一致し、簡易な発熱速度モデルqc2(T,t)で精度のよい温度予測を行うことができる。
本実施形態の技術を、図9の状態に対して適応した際の結果を図14に示す。
図14に示される如く、本実施形態の技術を適用することで、巻き取り板温度TCTの予測値に関し、第1モデルと第2モデルとの差異を7K以下にすることができた。
その他の点については、第9実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
以上、本発明に係る圧延材の温度予測方法、圧延材の冷却装置の制御方法、及び連続圧延設備は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
例えば、第2モデルとしては、「バルブ1本開状態にすると板温度が何度降下する:板温度降下量ΔT=const=K/冷却バルブの開本数」を採用することも可能である。
本発明にかかる連続圧延設備の模式図である。 板温度と熱伝達率との関係を示した図である(水冷時)。 板温度と熱伝達率との関係を示した図である(空冷時)。 連続圧延設備の制御ブロック図である。 事前計算処理のフローチャートである(第1実施形態)。 補正を行わない第2モデルと第1モデルとの温度予測結果を示した図である。 第6実施形態に係る補正を施した第2モデルと第1モデルとの温度予測結果を示した図である。 第7実施形態に係る補正を施した第2モデルと第1モデルとの温度予測結果を示した図である。 補正を行わない第2モデルと第1モデルとの温度予測結果を示した図である。(変態発熱が多い鋼種) 変態発熱速度の分布を示した図である。(第1モデル、補正前の第2モデル) 変態発熱速度の分布を示した図である。(第1モデル、第9実施形態に係る補正後の第2モデル) 変態発熱速度の分布を示した図である。(第1モデル、第9実施形態に係る補正後の第2モデル) 変態発熱速度の分布を示した図である。(第1モデル、第10実施形態に係る補正後の第2モデル) 第10実施形態に係る補正を施した第2モデルと第1モデルとの温度予測結果を示した図である。
符号の説明
1 連続圧延設備
2 圧延材
3 圧延機
4 冷却装置
4a 冷却バンク
5 巻き取り装置
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 出側温度計
9 巻き取り温度計
10 中間温度計
11 制御部

Claims (12)

  1. 冷却装置で冷却される圧延材の板温度を温度予測モデルを用いて予測する圧延材の温度予測方法において、
    前記温度予測モデルとして、前記圧延材の内部状態を精緻に表現した第1モデルと、前記圧延材の内部状態を簡略化して表現した第2モデルとを用意し、
    前記圧延材を冷却する前に、前記第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正量又は補正係数を算出し、
    前記圧延材の冷却中には、前記第2モデルで得られた板温度予測値を前記補正量又は補正係数で補正して圧延材の板温度とすることを特徴とする圧延材の温度予測方法。
  2. 冷却装置で冷却される圧延材の板温度を温度予測モデルを用いて予測する圧延材の温度予測方法において、
    前記温度予測モデルとして、前記圧延材の内部状態を精緻に表現した第1モデルと、前記圧延材の内部状態を簡略化して表現した第2モデルとを用意し、
    前記圧延材を冷却する前に、前記第1モデルと第2モデルとの温度予測結果から、第2モデルに対する補正量又は補正係数を算出し、
    前記圧延材の冷却中には、前記補正量又は補正係数で補正された第2モデルを用いて圧延材の板温度を求めることを特徴とする圧延材の温度予測方法。
  3. 前記第1モデルで求めた板温度予測値の板厚方向平均値と、第2モデルで求めた板温度予測値の板厚方向平均値とを基にして、前記補正量又は補正係数を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延材の温度予測方法。
  4. 前記第1モデルで求めた板温度予測値を基に、冷却装置の冷却初期条件を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延材の温度予測方法。
  5. 前記圧延材の冷却中において、前記第2モデルにより求められた板温度予測値又は第2モデルを前記補正量又は補正係数で補正して圧延材の板温度を求める工程を、前記圧延材の切板毎に行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延材の温度予測方法。
  6. 前記補正量又は補正係数を、圧延材の板温度、圧延材の通過時間、圧延材の搬送位置、圧延材の板速度、冷却装置への入側板温度の少なくとも1つをパラメータとする関数又はテーブルで表現し、
    該表現された補正量又は補正係数を前記第2モデル内に組み込み、当該第2モデルを補正することを特徴とする請求項2に記載の圧延材の温度予測方法。
  7. 前記補正量又は補正係数を第2モデル内での熱流束の起因する温度降下項に対して用い、前記第2モデルを補正することを特徴とする請求項2に記載の圧延材の温度予測方法。
  8. 前記第1モデル内に表現されている変態発熱特性を第2モデルの変態発熱特性として採用し、前記第2モデルを補正することを特徴とする請求項2に記載の圧延材の温度予測方法。
  9. 前記第1モデル及び第2モデルの変態発熱特性から、変態発熱分布の統計量、変態発熱の開始温度、変態発熱の終了温度、変態発熱の開始時間、変態発熱の終了時間、変態発熱量の少なくとも1つのパラメータを選択し、選択されたパラメータに対し補正を加えることで、前記第2モデル内に表現されている変態発熱特性を第1モデルの変態発熱特性に近づけ、前記第2モデルを補正することを特徴とする請求項2に記載の圧延材の温度予測方法。
  10. 前記第1モデル及び第2モデルの変態発熱特性から変態発熱量の分散値を選択し、該分散値に対し補正を加えることで、前記第2モデル内に表現されている変態発熱特性を第1モデルの変態発熱特性に近づけ、前記第2モデルを補正することを特徴とする請求項9に記載の圧延材の温度予測方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載された圧延材の温度予測方法により求められた圧延材の板温度を基に、圧延後の圧延材を冷却する冷却装置を制御することを特徴とする圧延材の冷却装置の制御方法。
  12. 圧延機と、
    該圧延機で圧延された圧延材を冷却する冷却装置と、
    請求項1〜10のいずれかに記載された圧延材の温度予測方法により求められた圧延材の板温度を基に前記冷却装置を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする連続圧延設備。
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