JP2009160584A - ハードコート層の滑り性を改善したディスプレイ用積層体の製造方法 - Google Patents

ハードコート層の滑り性を改善したディスプレイ用積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハードコート層の最表面に滑り性を付与した積層体を提供すること。
【解決手段】透明基材と、その上に形成されたハードコート層とにより構成されてなり、前記ハードコート層が、フッ素変性ウレタンアクリレートおよび/またはポリエーテル変性アクリル基またはポリエーテル基を有するポリジメチルシロキサンを含んでなる組成物を硬化したものである積層体により達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、特に、CRT、液晶パネル等のディスプレイに用いられる積層体及びその製造方法に関する。
積層体、とりわけ、液晶パネル等のディスプレイは、発光体と、反射板と、偏光板と、防眩性フィルムと、ハードコート層と、透明基材とにより構成されるものがほとんどである。とりわけ、ハードコート層を形成させた透明基材の製造にあっては、ロール状の形態を有している透明基材を引き出しその表面にハードコート層を形成させた後、ハードコート層と透明基材と密着することを防止するために、厚み、幅ともに薄いポリエチレンテレフタレートフィルムをサイドテープとして挟み込んでハードコート層が形成させた透明基材をロール状に巻き取る方法(ロール−トウ−ロール法)が一般的である。しかしながら、サイドテープの使用は迅速的な製造とそのコストが嵩むことが指摘され、また、次工程におけるディスプレイの連続製造が困難となることがしばしば指摘されていた。
一方、ハードコート層にレベンリング剤としてシリコーン油を添加することが提案されているが、ハードコート層を形成する材料自体が硬化性と滑り性とを有するものであれば取り扱いに便利である。
従って、現在、シリコーン油を使用せず、ロール形態とされて透明基材の表面にハードコート層が形成されたものを、サイドテープを必要せずにそのままロール形態として製造することを可能とする積層体が切望されている。
本発明者等は、今般、特定の化学式を有する硬化型変成アクリレートをハードコート層を形成する材料として添加することにより、滑り性を付与したハードコート層を形成することができ、さらにサイドテープを必要せずに積層体をロール形態として製品化できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
従って、本発明はハードコート層に滑り性を付与し、積層体をロール状に重ねた場合、ハードコート層と透明基材とが付着することを抑制した、優れた積層体を提供することを目的とする。
よって、本発明による積層体は、
透明基材と、その上に形成されたハードコート層とにより構成されてなり、
前記ハードコート層が、
フッ素変性ウレタンアクリレートおよび/または下記一般式(I):
Figure 2009160584
(上記式中、
Aは、ポリエーテル変性アクリル基またはポリエーテル基を表すものである)
で表されるポリジメチルシロキサンを含んでなる組成物を硬化したものである。
発明の具体的説明
積層体
1)ハードコード層
本発明におけるハードコート層は、フッ素変性ウレタンアクリレートおよび/または上記一般式(I)で表されるポリジメチルシロキサンを利用する。これはハードコート層の構成材料として、かつ、形成されたハードコート層に滑性を付与するものである。
フッ素変性ウレタンアクリレートはウレタンアクリレートの水素原子をフッ素原子で置換したものであり、好ましくは全ての水素原子をフッ素原子で置換したものがよい。フッ素変性ウレタンアクリレートは市販品を利用することができ、例えばMCF−350SF(大日本インキ化学工業株式会社製)が挙げられる。
上記一般式(I)で表されるポリジメチルシロキサンにおいて、式(I)中、Aがポリエーテル変性アクリル基で表されるものとして市販品を利用することができ、例えばBYK−UV3500(ビッグケミカル株式会社製)が挙げられる。式(I)中、Aがポリエーテル基で表されるものとして市販品を利用することができ、例えばBYK−UV3510(ビッグケミカル株式会社製)が挙げられる。
フッ素変性ウレタンアクリレートおよび/または上記一般式(I)で表されるポリジメチルシロキサンの添加量は、ハードコート層の全総量に対して、0.1重量%以上5重量%以下であり、好ましくは下限が0.15重量%以上であり上限が1重量%以下であり、より好ましくは下限が0.2重量%以上であり上限が1重量%以下である。
基本材料
本発明にあっては、ハードコート層は上記二種の化合物以外に、さらに他の基本材料、例えばUV硬化型化合物などの電離放射性硬化組成物を添加してもよい。例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート「PETA」、ジペンタエリストールヘキサアクリレート「DPHA」などが挙げられ、本発明にあっては好ましい硬化組成物である。ハードコート層を形成する際に、光重合開始剤を用いることができ、その具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが挙げられる。この化合物は市場入手可能であり、例えば商品名イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)が挙げられる。
基本剤の添加量は、ハードコート層を構成する全重量に対して、80重量%以上99重量%以下であり、好ましくは下限が85重量%以上であり上限が98重量%以下であり、より好ましくは下限が90重量%以上であり上限が95重量%以下である。
任意の材料
本発明による積層体は、ハードコート層に帯電防止剤(導電剤)および/または防眩性剤を含んでなるものであってもよい。
帯電防止剤
帯電防止剤の具体例としては、金属または金属酸化物あるいは有機化合物からなる導電性微粒子が挙げられ、例えば、アンチモンドープのインジウム・錫酸化物(以下、「ATO」という)、インジウム・錫酸化物(以下、「ITO」という)、金および/またはニッケルで表面処理した有機化合物微粒子等が挙げられる。
帯電防止剤の添加量は、ハードコート層の全重量に対して、5重量%以上70重量%以下であり、好ましくは下限が15重量%以下であり上限が60重量%以下であり、より好ましくは下限が重量25%以下であり上限が50重量%以下である。
防眩性剤
防眩性剤の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、特に透明性を有するものが好ましくは挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられ、好ましくはスチレンビーズが挙げられる。
プラスチックビーズの粒径は、0.5μm以上15μm以下であり、好ましくは下限が3μm以上であり上限が6μm以下である。粒径範囲が上記の範囲内にあることにより、光を拡散する効果が高く、防眩性を十分に付与することができ、内部ヘイズ値を増加させ、映像のギラツキを十分に改善することができる。
プラスチックビーズの添加量は、ハードコート層の全重量に対して、3重量%以上30重量%以下であり、好ましくは下限が5重量%以上であり上限が20重量%以下であり、より好ましくは下限が8重量%以上であり上限が15重量%以下である。添加量が上記の範囲内にあることにより、光を拡散する効果が高く、透過画像の鮮明度が増加し、映像のギラツキを抑制することができる。
プラスチックビーズを添加する際、シリカ等の無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーの添加は、ハードコート層を形成する樹脂成分中に添加されたプラスチックビーズの沈降を抑制することができる。
無機フィラーの粒径は、0.5μm以上5μm以下のものが好ましい。無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全重量に対して、3重量%以上30重量%以下であり、好ましくは上限が15重量%以下である。無機フィラーの粒径または添加量が、上記の範囲内にあることにより、プラスチックビーズの沈降を有効に防止することができるとともに、 プラスチックビーズまたは無機フィラーを添加した場合は、ハードコート層を構成する樹脂成分と十分に混合して均一に分散させた後に、透明基材に塗布することが好ましい。
帯電防止剤および防眩性剤
本発明の別の態様によれば、帯電防止剤と防眩性剤との両方を添加してもよい。帯電防止剤と防眩性剤との内容は上記したのと同様であってよい。
ハードコート層の形成
ハードコート層は、上記した二種のアクリレート化合物と、必要に応じて帯電防止剤、防眩性剤とを、適切な溶剤、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、MEK、MIBKに混合して得た液体組成物を透明基材に塗布することにより形成されてよい。
本発明の好ましい態様によれば、上記の液体組成物に、フッ素系またはシリコーン系などのレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加した液体組成物は、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して酸素による硬化阻害を有効に防止し、かつ、耐擦傷性の効果とを付与することを可能とする。レベリング剤は、耐熱性が要求されるフィルム状透明基材(例えばトリアセチルセルロース)に好ましくは利用される。
液体組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。液体組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。
紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
ハードコート層の厚さは、1μm以上30μm以下であり、好ましくは下限が2μm以上であり上限が10μm以下である。透明基材が板状体の場合にはこれらの厚さを越える厚さであってもよい。
2)透明基材
透明基材は、透明性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度とに優れたものが好ましい。
透明基材を形成する材料の具体例としては、トリアセチルセルロース、ポリエステル、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、またはポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはトリアセチルセルロース、ポリエステル、セルローストリアセテートが挙げられる。
本発明にあっては、これらの熱可塑性樹脂を薄膜の柔軟性に富んだフィルム状体として使用するが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板またはガラス板の板状体のものも使用することができる。
透明基材の厚さは、20μm以上300μm以下、好ましくは上限が200μm以下であり、下限が30μm以上である。透明基材が板状体の場合にはこれらの厚さを越える厚さであってもい。
透明基材は、その上にハードコート層を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なってもよい。
3)任意の層
本発明の別の態様によれば、透明基材とその上面に形成されたハードコート層とを基本構成として、帯電防止層、防眩性層、および屈折率層からなる群から選択される少なくとも一種の層を形成させた積層体を提供することができる。
a.帯電防止層
帯電防止層(導電性層)は、好ましくはハードコート層の上面に形成されてよい。帯電防止層の形成の具体例としては、ハードコート層の上面に導電性金属もしくは導電性金属酸化物等を蒸着またはスパッタリングすることにより蒸着膜を形成する方法または樹脂中に導電性微粒子を分散した樹脂組成物を塗布するにより塗膜を形成する方法が挙げられる。
帯電防止層を蒸着膜で形成する場合、導電性金属もしくは導電性金属酸化物として、例えばアンチモンドープのインジウム・錫酸化物(以下、「ATO」という)、インジウム・錫酸化物(以下、「ITO」という)が挙げられる。
帯電防止層としての蒸着膜の厚さは、10nm以上200nm以下であり、好ましくは上限が100nm以下であり、下限が50nm以下である。
帯電防止層を塗膜で形成する導電性微粒子の具体例としては、先の帯電防止剤の項で述べたのと同様であってよい。導電性微粒子の添加量は、帯電防止層の全重量に対して、5重量%以上70重量%以下であり、好ましくは上限が60重量%以下であり、下限が15重量%以上である。
導電性微粒子を分散させる樹脂としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤が挙げられ、これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
溶剤乾燥型樹脂
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。
本発明の好ましい態様によれば、透明基材の材料がTAC等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。セルロース系樹脂を用いことにより、透明基材と帯電防止層との密着性と透明性とを向上させることができる。
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
帯電防止層としての塗膜の厚さは、0.05μm以上2μm以下であり、好ましくは下限が0.1μm以上であり上限が1μm以下である。
帯電防止層として塗膜を形成するには、導電性微粒子に上記した導電性微粒子を添加した液体組成物を、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法により塗布する。次に、この液体組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。
電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電子線または紫外線の照射によって硬化する。電子線硬化の場合には、100KeV〜300KeVのエネルギーを有する電子線等を使用する。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。
帯電防止層の形成にあっては、帯電防止層の表面抵抗値が、5×10Ω/□以下となるよう行うことが好ましい。
b.防眩性層
防眩性層は、好ましくはハードコート層または帯電防止層の上面に形成されてよい。防眩性層は、防眩性剤を樹脂に分散させた液体組成物を塗工することにより形成することができる。防眩性剤、樹脂、塗工方法等は、上記したのと同様であってよい。
防眩性層の厚さは、0.5μm以上10μm以下であり、好ましくは下限が1μm以上であり上限7μm以下である。
本発明の好ましい態様によれば、帯電防止剤と防眩性剤とを混合した帯電防止/防眩性層として形成してもよい。
c.屈折率層
屈折率層は、好ましくは防眩性層の上面に形成されてよい。屈折率層は、好ましくは防眩性層よりも屈折率の低いものが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、防眩性層の屈折率が1.5以上であり、屈折率層の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。
本発明による積層体の好ましい一例としては、透明基材と透明導電層(これらの屈折率は防眩性層の屈折率以下)と、防眩層(屈折率1.50以上)と、屈折率層(屈折率1.5未満)とで構成されてなるものが挙げられる。この積層体と空気層(屈折率1.0)と接しているので、効率よく反射防止を行うことができる。特に、防眩性層の屈折率より低い屈折率層を積層することによる反射防止効果がより高くなる。
屈折率層の厚さは、20nm以上800nm以下であり、好ましくは上限が400nm以下であり、下限が50nm以上である。
屈折率層を形成する材料の具体例としては、シリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体が挙げられ、その例としてはフッ化ビニリデン30〜90重量%及びヘキサフルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノマー組成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜70重量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物80〜150重量部とからなる樹脂組成物が挙げられる。
このフッ素含有共重合体は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを含有するモノマー組成物を共重合することによって得られる共重合体が挙げられる。このモノマー組成物における各成分の割合は、フッ化ビニリデンが30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%であり、又ヘキサフルオロプロピレンが5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜45重量%である。このモノマー組成物は、更にテトラフルオロエチレンを0〜40重量%、好ましくは0〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%含有するものであってもよい。
このフッ素含有共重合体を得るためのモノマー組成物は、必要に応じて、他の共重合体成分が、例えば、20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で含有されたものであってもよい。この共重合体の具体例としては、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモー3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモー3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有する重合性モノマーを挙げることができる。
このようなモノマー組成物から得られるフッ素含有共重合体のフッ素含有割合は60〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは62〜70重量%、特に好ましくは64〜68重量%である。添加割合がこのような範囲であることにより、後述の溶剤に対して良好な溶解性を有する。または、フッ素含有共重合体を成分として含有することにより、優れた密着性と、高い透明性と、低い屈折率とを有し、優れた機械的強度を有する薄膜を形成することが可能となる。
フッ素含有共重合体は、その分子量がポリスチレン換算数平均分子量で5000〜200000、特に10000〜100000であることが好ましい。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に好適な塗布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。
フッ素含有共重合体自体の屈折率は1.45以下、好ましくは1.42以下、より好ましくは1.40以下であるものが好ましい。屈折率がこの範囲にあることにより、形成される薄膜の反射防止効果が好ましいものとなる。
さらに、上記フッ素含有共重合体と樹脂とを、必要に応じて光重合開始剤の存在下で活性エネルギー線を照射することにより、または熱重合開始剤の存在下で加熱されることにより重合して塗膜を形成することができる。使用する樹脂は帯電防止性層で説明したのと同様であってよい。これらの樹脂のうち、好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
使用する樹脂は、エチレン性不飽和基を1分子中に3個以上含有するものである場合には、得られるフッ素系樹脂組成物は、特に、基材に対する密着性及び基材の表面の耐傷性等の機械的特性が極めて良好な薄膜を形成するものとすることができる。
樹脂の添加量は、フッ素含有共重合体100重量部に対して30〜150重量部、好ましくは35〜100重量部、特に好ましくは40〜70重量部である。また、フッ素含有共重合体と樹脂とを含む重合体形成成分の合計量におけるフッ素含有割合が30〜55重量%、好ましくは35〜50重量%であることが好ましい。
添加量またはフッ素含有割合が、上記した範囲内にあることにより、屈折率層は、基材に対する密着性が良好であり、また、屈折率が高く良好な反射防止効果を得ることが可能となる。
屈折率層の形成に当たっては、必要に応じて適宜な溶剤を用い、粘度を、樹脂組成物として好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、好ましくは0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止膜を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ基材に対する密着性に特に優れた屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、帯電防止層の項で説明したのと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
屈折率層の形成方法は、他の一般的な薄膜成形手段、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、電気めっき法等の適宜な手段であってもよく、例えば前記以外の反射防止塗料の塗膜、膜厚0.1μm程度のMgF等の極薄膜や金属蒸着膜、あるいはSiOxやMgFの蒸着膜により形成してもよい。
積層体の用途
本発明による積層体は、透過型表示装置に利用される。特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、液晶パネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に用いられる。
本発明の内容を下記の実施例により詳細に説明するが、本発明の内容は実施例により限定して解釈されるものではない。
積層体の調製
トリアセチルセルロース(品名:KC4U×2MW、コニカ(株)製)膜厚40μmを基材とし、下記透明ハードコート層用塗工液1または2をバーコーターにて塗布した後、溶剤を乾燥させ、UV照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製)のHバルブを光源に用いて硬化し(積算光量99mj)、膜厚約7μmのハードコート層を形成した透明基材からなる積層体を作製し、塗工液1を塗布したものを実施例1と、塗工液2を塗布したものを比較例1とした。
透明ハードコート層用塗工液の調製
塗工液1
フッ素変性ウレタンアクリレート 0.08重量部
(大日本インキ化学工業(株)MCF−350SF)
ペンタエリスリトールトリアクリレート 40重量部
(日本化薬(株)製PET−30)
トルエン 60重量部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 1.6重量部
(チバガイギー製 イルガキュア184)
塗工液2
シクロヘキサン系レベリング剤 0.8重量部
(大日精化(株)製:10−301)
ペンタエリスリトールトリアクリレート 40重量部
(日本化薬(株)製PET−30)
トルエン 60重量部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 1.6重量部
(チバガイギー製 イルガキュア184)
評価1:塗膜密着度評価試験
積層体におけるハードコート層の面のみを縦10×横10=100升の碁盤目をカッターナイフを用いて形成した。次に、碁盤目セロテープ(ニチバン社製:セロハンテープ)を2.5cm×10cmの試験片を5回急速に着脱を繰り返し、100升中、残存する升の数を「m」とし塗膜密着度をm/100として表した。
評価2:全光線透過率およびヘイズ値測定試験
積層体を、反射・透過率計HR−100(村上色彩技術研究所)により測定した。
評価3:強度評価試験
積層体を、9.8N荷重により鉛筆を加圧して強度を鉛筆の高度で評価した。
評価4:耐擦傷性試験
積層体を、摩耗輪CS−10F(TABER INDUSTRIELS社製)を用い、4.9N×2の荷重で100回転後のヘイズ変化を測定した。
評価5:張り付き特性試験
積層体を折り曲げて、ハードコート層と透明基材とを重ね合わせて、強く指で10往復擦った後の状態を目視して評価した。
評価6:静摩擦係数試験
積層体を、表面性測定器HEIDON(新東科学株式会社製)にて測定した。
Figure 2009160584

Claims (7)

  1. 透明基材と、その上に形成されたハードコート層とにより構成されてなる、ディスプレイ用積層体の製造方法であって、
    前記透明基材を用意し、
    前記透明基材の表面に、フッ素変性ウレタンアクリレートおよび/または下記一般式(I)で表されるポリジメチルシロキサンを含んでなる組成物を硬化して、前記ハードコート層を形成してなり、
    前記フッ素変性ウレタンアクリレートが、ウレタンアクリレートの水素原子をフッ素原子で置換したものである、ディスプレイ用積層体の製造方法。
    Figure 2009160584
    (上記式中、
    Aは、ポリエーテル変性アクリル基またはポリエーテル基を表すものである)
  2. 前記透明基材がロール状の形態を有してなり、
    前記ロール状の形態を有してなる透明基材を引き出し、その表面に前記ハードコート層を形成すること、及び/又は、
    前記ディスプレイ用積層体をロール状の形態として得てなることをさらに含んでなる、請求項1に記載のディスプレイ用積層体の製造方法。
  3. 前記ハードコート層の厚さが1μm以上30μm以下であり、又は、
    前記透明基材の厚さが20μm以上300μm以下である、請求項1又は2に記載のディスプレイ用積層体の製造方法。
  4. 前記フッ素変性アクリレートおよび/または上記一般式(I)で表されるポリジメチルシロキサンの添加量が、前記ハードコート層の全重量に対して、0.1重量%以上5重量%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のディスプレイ用積層体の製造方法。
  5. 前記透明基材が、トリアセチルセルロース又はポリエステルフィルムである、請求項1〜4の何れか一項に記載のディスプレイ用積層体の製造方法。
  6. 前記組成物が、電離放射性硬化組成物をさらに含んでなる、請求項1〜5の何れか一項に記載のディスプレイ用積層体の製造方法。
  7. 前記電離放射性硬化組成物の添加量が、前記ハードコート層を構成する全重量に対して、80重量%以上99重量%以下である、請求項6に記載のディスプレイ用積層体の製造方法。
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