JP2009158709A - 面発光型半導体レーザアレイおよび面発光型半導体レーザ - Google Patents
面発光型半導体レーザアレイおよび面発光型半導体レーザ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】良好な温度特性を有する面発光型半導体レーザアレイを提供する。
【解決手段】本発明に係る面発光型半導体レーザアレイ1000は,平面視において配列された複数の面発光型半導体レーザ100を含み、複数の面発光型半導体レーザの各々は、分布ブラッグ反射型の第1ミラー120と、第1ミラーの上方に形成された活性層103と、活性層の上方に形成された第2ミラー104と、を含み、第1ミラーは、第1領域122と、第1領域の直接上に形成された第2領域124と、からなり、第1領域は、第2領域よりも高抵抗であるとともに,複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つが共有する領域である。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る面発光型半導体レーザアレイ1000は,平面視において配列された複数の面発光型半導体レーザ100を含み、複数の面発光型半導体レーザの各々は、分布ブラッグ反射型の第1ミラー120と、第1ミラーの上方に形成された活性層103と、活性層の上方に形成された第2ミラー104と、を含み、第1ミラーは、第1領域122と、第1領域の直接上に形成された第2領域124と、からなり、第1領域は、第2領域よりも高抵抗であるとともに,複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つが共有する領域である。
【選択図】図2
Description
本発明は、面発光型半導体レーザアレイおよび面発光型半導体レーザに関する。
レーザプリンタの高速化を図るため、垂直共振器面発光型レーザ(VCSEL)素子がマトリクス状に配置されたVCSELアレイを用いたレーザ光源が提案されている。このレーザ光源において、より高解像度な光源を得るためには、VCSELアレイの高密度化が必要である。しかし、印画の際に複数のVCSEL素子を同時に点灯させる方式を取る場合、点灯したVCSEL素子が熱源となって、他の点灯しているVCSEL素子に熱が伝わり、特性を劣化させてしまうことがある。これを回避する手段の1つとして、下記特許文献1には、印画に必要なVCSEL素子を1つ1つ順次点灯させる駆動方式(マトリクス駆動)が開示されている。このマトリクス駆動を実現するためには、アレイを構成するVCSEL素子を独立駆動できるように、半絶縁性(Semi-Insulated:SI)基板に到達する絶縁分離用の溝が設けられたVCSELアレイ(下記特許文献2参照)が用いられる。
特開平9−131919号公報
特開平11−68230号公報
しかしながら、上述したようにSI基板に到達する溝を設けると、到達しない場合に比べ、共振器のメサ状部の体積が小さくなり、熱容量が小さくなる。その結果、良好な温度特性を確保できなくなる場合がある。より具体的には、放熱性が悪いと高温駆動時に十分な光出力が得られず、高温環境下でのVCSELの駆動が困難となる。
本発明の目的の1つは、良好な温度特性を有する面発光型半導体レーザアレイおよび該面発光型半導体レーザアレイに適用できる面発光型半導体レーザを提供することにある。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイは、
平面視において配列された複数の面発光型半導体レーザを含み、
前記複数の面発光型半導体レーザの各々は、
分布ブラッグ反射型の第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された分布ブラッグ反射型の第2ミラーと、
を含み、
前記第1ミラーは、第1領域と、前記第1領域の直接上に形成された第2領域と、からなり、
前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗であるとともに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つが共有する領域である。
平面視において配列された複数の面発光型半導体レーザを含み、
前記複数の面発光型半導体レーザの各々は、
分布ブラッグ反射型の第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された分布ブラッグ反射型の第2ミラーと、
を含み、
前記第1ミラーは、第1領域と、前記第1領域の直接上に形成された第2領域と、からなり、
前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗であるとともに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つが共有する領域である。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイでは、前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗であるとともに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つが共有する領域である。このため、前記第1領域が、前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、少なくとも2つの間の漏れ電流を抑制することができる。これにより、例えば従来例のように、基板まで到達する溝を設ける必要はなく、前記第1領域に到達する溝を設ければ良い。その結果、従来例に比べ、前記第1ミラーの体積が大きくなり、熱容量が大きくなる。従って、本発明に係る面発光型半導体レーザアレイは、良好な温度特性を有することができる。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「A部材」という)の「上方」に形成された他の特定の部材(以下「B部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A部材上に直接B部材が形成されているような場合と、A部材上に他のものを介してB部材が形成されているような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第2ミラーは、第2導電型の半導体からなることができる。
前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第2ミラーは、第2導電型の半導体からなることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
さらに、前記第1ミラーの下方に形成された基板を含み、
前記基板は、n型またはp型の半導体からなることができる。
さらに、前記第1ミラーの下方に形成された基板を含み、
前記基板は、n型またはp型の半導体からなることができる。
なお、本発明に係る記載では、「下方」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「C部材」という)の「下方」に形成された他の特定の部材(以下「D部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、C部材の下に直接D部材が形成されているような場合と、C部材の下に他のものを介してD部材が形成されているような場合とが含まれるものとして、「下方」という文言を用いている。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第1領域および前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第1領域を第1導電型にするための不純物の濃度は、前記第2領域を第1導電型にするための不純物の濃度よりも小さいことができる。
前記第1領域および前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第1領域を第1導電型にするための不純物の濃度は、前記第2領域を第1導電型にするための不純物の濃度よりも小さいことができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第1領域は、半絶縁性であることができる。
前記第1領域は、半絶縁性であることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第1領域は、真性半導体からなることができる。
前記第1領域は、真性半導体からなることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第1領域は、整流部を有し、
前記整流部は、
第1導電型の半導体からなる第1半導体層と、
前記第1半導体層の上方または下方に形成され、第2導電型の半導体からなる第2半導体層と、を備えることができる。
前記第1領域は、整流部を有し、
前記整流部は、
第1導電型の半導体からなる第1半導体層と、
前記第1半導体層の上方または下方に形成され、第2導電型の半導体からなる第2半導体層と、を備えることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第1領域は、複数の前記整流部を有し、
前記複数の整流部は、上下方向に積層されていることができる。
前記第1領域は、複数の前記整流部を有し、
前記複数の整流部は、上下方向に積層されていることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第1領域のうちの少なくとも一部は、第2導電型の半導体層であり、
前記第2導電型の半導体層は、前記第2領域に接していることができる。
前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第1領域のうちの少なくとも一部は、第2導電型の半導体層であり、
前記第2導電型の半導体層は、前記第2領域に接していることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
さらに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つの間に形成された絶縁部を含み、
前記絶縁部は、少なくとも前記第2領域と同一の層構造を有する領域に、プロトンを打ち込むことにより形成されたものであり、
前記絶縁部は、前記第1領域と接していることができる。
さらに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つの間に形成された絶縁部を含み、
前記絶縁部は、少なくとも前記第2領域と同一の層構造を有する領域に、プロトンを打ち込むことにより形成されたものであり、
前記絶縁部は、前記第1領域と接していることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザアレイにおいて、
前記複数の面発光型半導体レーザは、マトリクス状に配列されており、
前記第1領域は、前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、第1方向に配列されたものを互いに電気的に分離しており、
前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、第2方向に配列されたものは、互いに電気的に接続されていることができる。
前記複数の面発光型半導体レーザは、マトリクス状に配列されており、
前記第1領域は、前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、第1方向に配列されたものを互いに電気的に分離しており、
前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、第2方向に配列されたものは、互いに電気的に接続されていることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザは、
分布ブラッグ反射型の第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された分布ブラッグ反射型の第2ミラーと、
を含み、
前記第1ミラーは、第1領域と、前記第1領域の直接上に形成された第2領域と、からなり、
前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗である。
分布ブラッグ反射型の第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された分布ブラッグ反射型の第2ミラーと、
を含み、
前記第1ミラーは、第1領域と、前記第1領域の直接上に形成された第2領域と、からなり、
前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1. まず、本実施形態に係る面発光型半導体レーザアレイ(以下「レーザアレイ」ともいう)1000について説明する。
図1は、レーザアレイ1000を概略的に示す平面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。レーザアレイ1000は、図1及び図2に示すように、複数の面発光型半導体レーザ(以下「面発光レーザ」ともいう)100と、絶縁部126と、絶縁層116と、を含むことができる。なお、図1では、絶縁部126及び絶縁層116については、便宜上、その図示を省略している。
複数の面発光レーザ100は、平面視(図1参照)において配列されている。複数の面発光レーザ100は、例えばマトリクス状に配列されている。複数の面発光レーザ100は、例えば、図示の例では、第1方向(X方向)に並んだ3つの面発光レーザ100の組が、第1方向とは異なる第2方向(Y方向)に3つ並んでいる。即ち、図示の例では、9つの面発光レーザ100が3×3の行列状に配列されている。また、図示の例では、第1方向と第2方向の成す角の角度は、約70度である。なお、面発光レーザ100の数や配列などは、図示の例に限定されるわけではない。
面発光レーザ100としては、例えば、垂直共振器面発光型レーザ(VCSEL)、垂直外部共振器面発光型レーザ(VECSEL)などが挙げられる。面発光レーザ100は、図1及び図2に示すように、基板101と、第1ミラー120と、活性層103と、第2ミラー104と、第1電極107と、第2電極109と、を含むことができる。
基板101は、複数の面発光レーザ100に共有されていることができる。基板101は、n型またはp型の半導体からなることが好ましく、n型の半導体からなることがより好ましい。これにより、高い信頼性を有し、高い歩留まりで製造することが可能なレーザアレイ1000を提供することができる。詳細については後述する。基板101としては、例えば、n型GaAs基板などを用いることができる。なお、基板101として、例えば半絶縁性の半導体基板などを用いることも可能である。
第1ミラー120は、例えば図2に示すように、基板101上に形成されている。第1ミラー120は、分布ブラッグ反射型(DBR)のミラーである。具体的には、第1ミラー120は、例えば、Al0.9Ga0.1As層とAl0.12Ga0.88As層とを交互に積層した40ペアのDBRミラーである。第1ミラー120は、第1領域122と、第1領域122の直接上に形成された第2領域124と、からなる。具体的には、第1領域122は、例えば、Al0.9Ga0.1As層21とAl0.12Ga0.88As層22とを交互に20ペア積層したものである。また、第2領域124は、例えば、Al0.9Ga0.1As層23とAl0.12Ga0.88As層24とを交互に20ペア積層したものである。第2領域124は、第1導電型(例えばn型)の半導体からなることができる。
第1領域122は、第2領域124よりも高抵抗である。これにより、例えば、第1領域122が複数の第2領域124のうちの少なくとも2つを互いに電気的に分離することができる。図示の例では、第1領域122は、X方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124を互いに電気的に分離している。
第1領域122の抵抗を第2領域124の抵抗よりも高くする手段としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。なお、第1領域122の抵抗とは、第1領域122を構成するすべての層の抵抗の平均値である。第2領域124の抵抗についても同様である。
第1の例としては、第1領域122及び第2領域124を例えばn型の半導体から構成し、第1領域122をn型にするための不純物の濃度を、第2領域124をn型にするための不純物の濃度よりも小さくすれば良い。
第2の例としては、第1領域122を半絶縁性の半導体から構成し、第2領域124を例えばn型の半導体から構成すれば良い。第1領域122が例えば半絶縁性のGaAsからなる場合には、第1領域122のシート抵抗は、数万Ω/□〜数MΩ/□のオーダーであり、第1領域122の不純物濃度は、例えば1×1016[cm−2]以下であることができる。なお、第2領域124の不純物濃度は、例えば1×1018[cm−2]程度であることができる。
第3の例としては、第1領域122を真性半導体から構成し、第2領域124を例えばn型の半導体から構成すれば良い。
また、例えば、第1領域122は、1または複数の整流部を有することができる。この整流部は、第1半導体層と、第2半導体層と、を備えることができる。第1半導体層は、第1導電型(例えばn型)の半導体からなる。第2半導体層は、第1半導体層の上または下に形成され、第2導電型(例えばp型)の半導体からなる。第1半導体層と第2半導体層は、pnダイオードを構成することができる。このpnダイオードには、どの面発光レーザ100を駆動したとしても、順バイアス電圧が印加されることはない。従って、pnダイオードの整流性により、例えば図示の例では、第1領域122は、X方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124の各々の間の漏れ電流を抑制することができる。なお、例えば、n型のAlGaAsからなる第1半導体層のアルミニウム組成は、p型のAlGaAsからなる第2半導体層のアルミニウム組成よりも小さいことが好ましい。
また、同様に、例えば、第2領域124は、例えばn型の半導体からなり、第1領域122のうちの少なくとも一部は、例えばp型の半導体層であり、このp型の半導体層は、第2領域124に接していることができる。これにより、このp型の半導体層と第2領域124とは、pnダイオード(整流部)を構成することができる。例えば、図2に示す例では、このp型の半導体層は、第1領域122の最上層であるAl0.12Ga0.88As層22であっても良いし、この最上層を含む複数の層であっても良い。
第1領域122は、複数の面発光レーザ100のうちの少なくとも2つが共有する領域である。例えば図示の例では、第1領域122は、X方向に配列された3つの面発光レーザ100が共有する領域である。
Y方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124は、例えば図示の例では、互いに電気的に接続されている。
第1領域122の平面形状の面積は、第2領域124の平面形状の面積よりも大きい。例えば図示の例では、X方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124の各々の間には後述する溝125(図4参照)が形成されているため、第1領域122の平面形状の面積が第2領域124の平面形状の面積よりも大きくなっている。複数の面発光レーザ100の第1領域122のうち、少なくとも2つは、一体的に形成されている。図示の例では、すべての面発光レーザ100の第1領域122が連続して一体的に形成されている。
活性層103は、第1ミラー120上に形成されている。活性層103は、例えば、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
第2ミラー104は、活性層103上に形成されている。第2ミラー104は、例えば、第2導電型(例えばp型)の半導体からなる。第2ミラー104は、例えば、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.12Ga0.88As層とを交互に積層した25ペアのDBRミラーである。
第1ミラー120、活性層103、及び第2ミラー104は、垂直共振器を構成することができる。p型の第2ミラー104、不純物がドーピングされていない活性層103、及びn型の第1ミラー120により、pinダイオードが構成される。第1ミラー120、その第1領域122及び第2領域124、活性層103、並びに、第2ミラー104を構成する各層の組成や層数などは、上述した例に限定されるわけではない。
第2ミラー104及び活性層103は、柱状の半導体堆積体(以下「第1柱状部」という)130を構成することができる。第1柱状部130の平面形状は、例えば図1に示すような円形などである。図1に示すように、Y方向に配列された3つの面発光レーザ100の第1ミラー120の第2領域124は、一体的な柱状の半導体堆積体(以下「第2柱状部」という)132を構成することができる。第2柱状部132の平面形状は、例えば図1に示すような角の丸い矩形などである。
面発光レーザ100は、開口部を備える電流狭窄層105を有することができる。例えば、第2ミラー104を構成する層のうちの少なくとも1層を電流狭窄層105とすることができる。電流狭窄層105としては、例えば、AlGaAs層を酸化したものなどを用いることができる。
第1電極107は、図1及び図2に示すように、第1ミラー120の第2領域124の上に形成されている。第1電極107は、第2領域124と電気的に接続されている。第1電極107は、例えば図1に示すように、Y方向に配列された3つの面発光レーザの第1ミラー120の第2領域124を互いに電気的に接続する共通電極である。第1電極107は、例えばY方向に直線状に延びている。
第2電極109は、図1及び図2に示すように、第1柱状部130及び絶縁層116の上に形成されている。第2電極109は、第2ミラー104と電気的に接続されている。第2電極109は、例えば図1に示すように、X方向に配列された3つの面発光レーザの第2ミラー104を互いに電気的に接続する共通電極である。第2電極109は、例えばX方向に直線状に延びている。第2電極109は、例えば図1に示すように、開口部108を備える円形状の部分を有する。開口部108は、第1柱状部130上に設けられている。開口部108の平面形状は、例えば図1に示すような円形である。開口部108によって第2ミラー104の上面の一部が露出しており、例えばこの部分からレーザ光が出射されることができる。
絶縁部126は、複数の面発光レーザ100のうちの少なくとも2つの間に形成されている。図示の例では、絶縁部126は、X方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124の各々の間に形成されている。絶縁部126は、図2に示すように、第2柱状部132を囲むように形成されている。絶縁部126は、例えば、後述する溝125(図4参照)に絶縁体が埋め込まれたものである。絶縁部126は、第1ミラー120の第1領域122の上に形成されている。即ち、絶縁部126は、第1領域122と接している。絶縁部126は、第1領域122に達する深さまで形成されていることができる。絶縁部126の上には、例えば第1電極107の一部が形成されていることができる。
絶縁層116は、図2に示すように、第1ミラー120、第1電極107、及び絶縁部126の上に形成されている。絶縁層116は、第1柱状部130を囲むように形成されている。絶縁層116の上には、例えば第2電極109の一部が形成されていることができる。絶縁層116は、第1電極107と第2電極109とを電気的に分離している。
本実施形態に係るレーザアレイ1000は、例えば、レーザプリンタ、レーザディスプレイ、プロジェクタ、光導波路(例えば光ファイバなど)を有する通信装置などに適用されることができる。
2. 次に、本実施形態に係るレーザアレイ1000の製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。
図3及び図4は、図1及び図2に示す本実施形態のレーザアレイ1000の一製造工程を概略的に示す断面図であり、それぞれ図2に示す断面図に対応している。
(1)まず、図3に示すように、基板101として、例えばn型GaAs基板を用意する。次に、基板101の上に、組成を変調させながらエピタキシャル成長させることにより、半導体多層膜150を形成する。半導体多層膜150は、後にパターニングされて第1ミラー120、活性層103、及び第2ミラー104となる半導体層を順に積層したものである。なお、第2ミラー104を成長させる際に、活性層103近傍の少なくとも1層を、後に酸化されて電流狭窄層105となる層とすることができる。電流狭窄層105となる層としては、例えば、Al組成が0.95以上のAlGaAs層などを用いることができる。
(2)次に、図4に示すように、半導体多層膜150をパターニングし、所望の形状の第1ミラー120、活性層103、及び第2ミラー104を形成する。これにより、第1柱状部130及び第2柱状部132が形成される。また、第2柱状部132を囲む溝125が形成される。半導体多層膜150のパターニングは、例えばリソグラフィ技術およびエッチング技術等を用いて行われる。本パターニング工程では、例えばフッ化水素(HF)水溶液を用いて第2領域124の高アルミニウム組成層(例えばAl0.9Ga0.1As層)をエッチングして、低アルミニウム組成層(例えばAl0.12Ga0.88As層)を露出させることができる。これにより、露出した低アルミニウム組成層と第1電極107(図1及び図2参照)とをオーミック接触させることができる。
次に、例えば400℃程度の水蒸気雰囲気中に、第1柱状部130及び第2柱状部132の形成後の全体を投入することにより、前述の電流狭窄層105となる層を側面から酸化して、電流狭窄層105を形成することができる。
(3)次に、図2に示すように、第1ミラー120の第1領域122の上に、第1ミラー120の第2領域124を取り囲むように絶縁部126を形成する。まず、例えばスピンコート法等を用いて全面にポリイミド樹脂等からなる絶縁層を形成する。この絶縁層は、溝125を埋め込むことができる。次に、例えばエッチバック法等を用いて第1ミラー120の第2領域124の上面を露出させる。次に、例えばリソグラフィ技術およびエッチング技術等を用いて絶縁層のパターニングを行う。このようにして所望の形状の絶縁部126を形成することができる。
次に、第1電極107を形成する。第1電極107は、例えば、真空蒸着法およびリフトオフ法の組み合わせ等により、所望の形状に形成されることができる。
次に、図2に示すように、第1ミラー120、第1電極107、及び絶縁部126の上に、第1柱状部130を取り囲むように絶縁層116を形成する。まず、例えばスピンコート法等を用いて全面にポリイミド樹脂等からなる絶縁層を形成する。次に、例えばエッチバック法等を用いて第1柱状部130の上面を露出させる。次に、例えばリソグラフィ技術およびエッチング技術等を用いて絶縁層のパターニングを行う。このようにして所望の形状の絶縁層116を形成することができる。
次に、第2電極109を形成する。第2電極109は、例えば、真空蒸着法およびリフトオフ法の組み合わせ等により、所望の形状に形成されることができる。
(4)以上の工程により、図1及び図2に示すように、本実施形態のレーザアレイ1000が得られる。
3. 本実施形態に係るレーザアレイ1000では、例えば図2に示すように、第1領域122は、第2領域124よりも高抵抗であるとともに、X方向に配列された3つの面発光レーザ100が共有する領域である。このため、第1領域122が、例えば、3つの面発光レーザ100の第2領域124の各々の間の漏れ電流を抑制することができる。これにより、例えば従来例のように、基板まで到達する溝を設ける必要はなく、図4に示すように、第1領域122に到達する溝125を設ければ良い。その結果、従来例に比べ、第1ミラー120の体積が大きくなり、熱容量が大きくなる。従って、本実施形態に係るレーザアレイ1000は、良好な温度特性を有することができる。
また、上述したように、本実施形態に係るレーザアレイ1000を得るためには、例えば従来例のように、基板まで到達する溝を設ける必要はなく、第1領域122に到達する溝125を設ければ良い。その結果、従来例に比べ、第1ミラー120のエッチング量を減らすことができる。即ち、第1ミラー120のエッチング時間を短くすることができる。従って、エッチング工程におけるダメージを少なくすることができるので、レーザアレイ1000の特性劣化や信頼性劣化を抑制することができる。また、エッチング工程に要する消費電力、反応ガス、薬液などを削減することができるので、省エネ・環境保護面でも有効である。
さらに、上述したように、本実施形態に係るレーザアレイ1000では、第1領域122が、例えば、X方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124の各々の間の漏れ電流を抑制することができる。これにより、例えば従来例のように、SI基板を用いる必要はなく、基板101として、n型基板やp型基板を用いることができる。例えば、SI基板を用いて半導体多層膜150(図3参照)をエピタキシャル成長させた場合、ウェハのエッチング研磨後の欠陥密度であるEPD(Etch Pit Density)が大きくなってしまうことがある。例えば、SI−GaAs基板のEPD[/cm2]は、2000〜100000であり、p−GaAs基板のそれは、2000〜10000であり、n−GaAs基板のそれは、500〜2000である。EPDが大きくなると、エピタキシャル成長時にピット付近で欠陥が生じ、良品率に影響を及ぼすことがある。また、この欠陥が原因で多層膜に歪が生じ、レーザアレイチップの信頼性に影響を及ぼすことがある。
従って、レーザアレイ1000の基板101として、n型基板やp型基板、特に、EPDの比較的小さいものを選択できるn型基板を用いることにより、高い信頼性を有し、高い歩留まりで製造することが可能なレーザアレイ1000を提供することができる。
4. 次に、本実施形態に係る面発光レーザアレイの変形例について説明する。なお、上述した図1及び図2に示すレーザアレイ1000(以下「レーザアレイ1000の例」という)と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
(1)まず、第1の変形例について説明する。
図5は、本変形例に係るレーザアレイ2000を概略的に示す平面図であり、図6は、図5のVI−VI線断面図である。
レーザアレイ1000の例では、図2に示すように、絶縁部126が溝125(図4参照)に絶縁体が埋め込まれたものである場合について説明した。これに対し、本変形例では、図5及び図6に示すように、絶縁部126は、少なくとも第2領域124と同一の層構造を有する領域に、プロトンを打ち込むことにより形成されたものであることができる。本変形例に係る絶縁部126は、例えば、レーザアレイ1000の例における半導体多層膜150のパターニング工程(図4参照)において、第1柱状部130を形成した後、溝125を形成することなく、プロトンを打ち込むことにより形成されることができる。プロトンを打ち込む領域は、例えば、溝125の形成領域と略同じであることができる。図6に示す例では、プロトンは、第1領域122の上部および第2領域124と同一の層構造を有する領域に打ち込まれている。絶縁部126の平面形状は、例えば図5に示すように、X方向とY方向のそれぞれに延びる複数の直線形状を組み合わせたものとすることができる。
本変形例によれば、レーザアレイ1000の例に比べ、エッチング工程を減らすことができるので、プロセスダメージを小さくすることができる。
(2)次に、第2の変形例について説明する。
図7は、本変形例に係るレーザアレイ3000を概略的に示す平面図であり、図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。
レーザアレイ1000の例では、図1に示すように、複数の面発光レーザ100がマトリクス状に配列されており、マトリクス駆動される場合について説明した。これに対し、本変形例では、図7及び図8に示すように、複数の面発光レーザ100は、マトリクス状には配列されておらず、単独駆動されることができる。本変形例では、レーザアレイ1000の例のような共通電極は設けられておらず、複数の面発光レーザ100の各々に対して、独立した第1電極107及び第2電極109が設けられている。
(3)次に、第3の変形例について説明する。
図9は、本変形例に係るレーザアレイ3500を概略的に示す断面図である。なお、図9に示す断面図は、レーザアレイ1000の例における図2に示す断面図に対応している。
レーザアレイ1000の例では、図2に示すように、第2柱状部132は、第2領域124のみから構成される場合について説明した。これに対し、本変形例では、第2柱状部132は、図9に示すように、第1領域122のうちの第2領域124側の一部、及び、第2領域124から構成されることができる。レーザアレイ1000の例および本変形例においては、絶縁部126は、少なくとも第1領域122に達する深さまで形成されており、基板101に達しない深さまで形成されている。
本変形例によれば、例えば、レーザアレイ1000の例で述べた複数の整流部を、上下方向に積層し、この積層体を第2柱状部132内に設けることができる。これにより、整流部が第2柱状部132内で直列的に接続されるため、レーザアレイ1000の例に比べ、複数の整流部の全体の整流性を向上させることができる。その結果、例えば図示の例では、第1領域122は、より確実に、X方向に配列された3つの面発光レーザ100の第2領域124の各々の間の漏れ電流を抑制することができる。
(4)次に、第4の変形例について説明する。
図10は、本変形例に係るレーザアレイ4000を概略的に示す断面図である。なお、図10に示す断面図は、レーザアレイ1000の例における図2に示す断面図に対応している。
レーザアレイ1000の例では、図2に示すように、活性層103及び第2ミラー104が第1柱状部130を構成する場合について説明した。これに対し、本変形例では、第1柱状部130は、図10に示すように、第2領域124のうちの活性層103側の一部、活性層103、及び第2ミラー104から構成されることができる。なお、第1柱状部130を構成しない第2領域124の残りの部分の高さは、第1電極107とオーミック接触することが可能な層(例えばAl0.12Ga0.88As層)が最上層となっているならば、特に限定されない。
(5)次に、第5の変形例について説明する。
本変形例では、図示しないが、例えば、エピタキシャルリフトオフ(ELO)法などを用いて、レーザアレイ1000の例の基板101を切り離すことができる。即ち、レーザアレイ1000は、基板101を有しないことができる。
(6)次に、第6の変形例について説明する。
レーザアレイ1000の例では、AlGaAs系の場合について説明したが、本変形例では、発振波長に応じてその他の材料系、例えば、AlGaP系、GaInP系、InGaN系、AlGaN系、InGaAs系、GaInNAs系、GaAsSb系などの半導体材料を用いることも可能である。
(7)なお、上述した変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
5. 上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
100 面発光レーザ、101 基板、103 活性層、104 第2ミラー、105 電流狭窄層、107 第1電極、108 開口部、109 第2電極、116 絶縁層、120 第1ミラー、122 第1領域、124 第2領域、125 溝、126 絶縁部、130 第1柱状部、132 第2柱状部、150 半導体多層膜,1000,2000,3000,3500,4000 レーザアレイ
Claims (12)
- 平面視において配列された複数の面発光型半導体レーザを含み、
前記複数の面発光型半導体レーザの各々は、
分布ブラッグ反射型の第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された分布ブラッグ反射型の第2ミラーと、
を含み、
前記第1ミラーは、第1領域と、前記第1領域の直接上に形成された第2領域と、からなり、
前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗であるとともに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つが共有する領域である、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1において、
前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第2ミラーは、第2導電型の半導体からなる、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1または2において、
さらに、前記第1ミラーの下方に形成された基板を含み、
前記基板は、n型またはp型の半導体からなる、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第1領域および前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第1領域を第1導電型にするための不純物の濃度は、前記第2領域を第1導電型にするための不純物の濃度よりも小さい、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第1領域は、半絶縁性である、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第1領域は、真性半導体からなる、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第1領域は、整流部を有し、
前記整流部は、
第1導電型の半導体からなる第1半導体層と、
前記第1半導体層の上方または下方に形成され、第2導電型の半導体からなる第2半導体層と、を備える、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項7において、
前記第1領域は、複数の前記整流部を有し、
前記複数の整流部は、上下方向に積層されている、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第2領域は、第1導電型の半導体からなり、
前記第1領域のうちの少なくとも一部は、第2導電型の半導体層であり、
前記第2導電型の半導体層は、前記第2領域に接している、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
さらに、前記複数の面発光型半導体レーザのうちの少なくとも2つの間に形成された絶縁部を含み、
前記絶縁部は、少なくとも前記第2領域と同一の層構造を有する領域に、プロトンを打ち込むことにより形成されたものであり、
前記絶縁部は、前記第1領域と接している、面発光型半導体レーザアレイ。 - 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記複数の面発光型半導体レーザは、マトリクス状に配列されており、
前記第1領域は、前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、第1方向に配列されたものを互いに電気的に分離しており、
前記複数の面発光型半導体レーザの前記第2領域のうち、第2方向に配列されたものは、互いに電気的に接続されている、面発光型半導体レーザアレイ。 - 分布ブラッグ反射型の第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された分布ブラッグ反射型の第2ミラーと、
を含み、
前記第1ミラーは、第1領域と、前記第1領域の直接上に形成された第2領域と、からなり、
前記第1領域は、前記第2領域よりも高抵抗である、面発光型半導体レーザ。
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