JP2009158071A - アクチュエータおよびアクチュエータを含む光ピックアップ装置 - Google Patents

アクチュエータおよびアクチュエータを含む光ピックアップ装置 Download PDF

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佳謙 宍田
Kazuya Honma
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Abstract

【課題】光路上にある光学素子を選択的に切り替えるアクチュエータおよびこうしたアクチュエータを含む光ピックアップ装置の小型化を図る。
【解決手段】減光フィルタアクチュエータ100は、磁石部112a〜112dを有する固定部110と、この固定部110に嵌合され、固定部110の第1の位置P1側(遮光領域122bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(ガラス板122aが光路上に挿入される位置)との間を、回転軸125を軸として回転する可動部120と、可動部120に設けられ、ガラス板122aと遮光領域122bを一平面上に有する減光フィルタ122と、可動部120に設けられ、各磁石部に対して可動部120を駆動させる磁界を発生するコイル124と、を備える。そして、コイル124に電流を流すことで発生する引力または斥力により可動部120を回転させ、光路上の遮光領域122bとガラス板122aとの切り替えを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクチュエータおよびアクチュエータを含む光ピックアップ装置に関し、特にレーザ光の光路上にある光学素子を選択的に切り替えるアクチュエータおよびこうしたアクチュエータを含む光ピックアップ装置に関する。
従来、レーザ光の光路上にある光学素子を移動させるアクチュエータを含むデバイスとしては、たとえば、光ピックアップが考えられる。光ピックアップには、対物レンズ、コリメータレンズ、減光フィルタ、及び光路スイッチングミラーなどのアクチュエータによる移動動作が必要な部品が搭載されている。近年、光ピックアップには、CD、DVD、HD Disc、BD Discなどの多彩な光ディスクに記録・再生する必要性から、光ピックアップに含まれる部品の点数が多くなるので、光ピックアップの体積が大きくなるという問題がある。また、光ディスクドライブは、ポータブルDVDプレーヤーやモバイルPCなどにも搭載されており、光ピックアップの小型化および薄型化が望まれている。
このような光ピックアップに搭載されているアクチュエータとしては、従来、2つの光学素子を光軸(光路)上に選択的に切り替え移動させるアクチュエータが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載のアクチュエータ(素子切替機構)では、レーザ光の光軸(光路)に対し垂直な方向を回転軸として、その回転軸を中心に90度回転し、2つの光学素子(光量減衰素子と位相差補正素子)の切り替えを行っている。
特開2007−157230号公報
上記特許文献1に記載のアクチュエータでは、2つの光学素子を互いに90度で取り付ける際に生じる取り付け角度のバラツキや、光学素子の切り替えの際に生じる回転角度のバラツキに起因して、光路上の光学素子が所定の角度(所定の位置)からずれた位置に移動することがある。このため、各光学素子それぞれに対するレーザ光の入射角度が異なる結果となり、光学素子を通過したレーザ光の特性(光強度、偏光度など)の変動や、光学素子を通過したレーザ光の光路がずれたりすることが懸念される。従来、こうした問題を解決するために、上述のアクチュエータ(素子切替機構)に対して回転制御機構(回転駆動手段)を設け、レーザ光の光軸(光路)と光学素子との相対角度を自由に可変させて調整する方法がある。しかしながら、回転制御機構を別途設ける必要があり、アクチュエータ自体が大型化してしまうという問題が生じている。
さらに、こうしたアクチュエータの駆動機構としては、モータなどの機械部品で構成されたものが多く、アクチュエータの部品点数の増加およびそれに伴うアクチュエータの大型化が問題となっている。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光路上にある光学素子を選択的に切り替えるアクチュエータおよびこうしたアクチュエータを含む光ピックアップ装置の小型化を図ることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るアクチュエータは、固定部と、固定部に嵌合され、固定部の第1の位置側と第2の位置側との間を、回転軸を軸として回転する可動部と、可動部の、回転軸と交差する一平面上に設けられた第1の光学領域および第2の光学領域と、可動部を回転させる駆動手段と、を備え、可動部が第1の位置側と第2の位置側との間を回転することにより、所定位置において第1の光学領域と第2の光学領域とが切り替えられ、駆動手段は、固定部と可動部との一方に設けられた電流線と、固定部と可動部との他方に設けられ、電流線に電流を流したときに前記電流線との間で引力または斥力を発生させる部材とから構成されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る光ピックアップ装置は、上述のアクチュエータを搭載することを特徴とする。
本発明によれば、光路上にある光学素子を選択的に切り替えるアクチュエータおよびこうしたアクチュエータを含む光ピックアップ装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ100)を示した概略図であり、図1(A)は減光フィルタアクチュエータ全体の斜視図、図1(B)は可動部のみの斜視図、図1(C)は固定部のみの斜視図である。また、図2は図1の減光フィルタアクチュエータの概略断面図であり、図2(A)は図1(A)中のX面に沿った断面、図2(B)はY面に沿った断面に相当する。また、図3は各回動状態における減光フィルタアクチュエータの概略断面図であり、図1(A)中のZ面に沿った断面に相当する。図3(A)は可動部の基準状態(回動していない状態)、図3(B)は可動部が第1の位置P1側に回動した状態、図3(C)は可動部が第2の位置P2側に回動した状態を示す。
第1実施形態における減光フィルタアクチュエータ100は、図1および図2に示すように、磁石部112a〜112dを有する固定部110と、この固定部110に嵌合され、固定部110の第1の位置P1側(減光フィルタ122の遮光領域122bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(減光フィルタ122のガラス板122aが光路上に挿入される位置)との間を、回転軸125を軸として回転する可動部120と、可動部120に設けられ、ガラス板122aと遮光領域122bとを一平面上に有する減光フィルタ122と、可動部120に設けられ、磁石部112a〜112dに対して可動部120を駆動させる磁界を発生するコイル124と、を備えている。そして、コイル124に電流を流すことで磁石部112a〜112dとの間に発生する引力または斥力により、可動部120を回転させ、光路上における減光フィルタ122の遮光領域122bとガラス板122aとの切り替えを行う。
具体的には以下の通りである。
減光フィルタアクチュエータ100の可動部120は、図1(B)に示すように、可動部120のベースとなる可動ユニット121と、ガラス板122aと遮光領域122bとを有する減光フィルタ122と、可動部120を駆動するためのコイル124を有する基板123と、可動部120が回転する際の軸となる回転軸125と、基板123と接続された外部引き出し用のフレキシブル端子126と、を有して構成されている。
可動ユニット121には、レーザ光の光軸(光路)と平行な方向に沿って、その中央部
分に回転軸125が貫通して形成されている。そして、回転軸125の上部側にはレーザ光を通すための開口部121aが設けられ、この開口部121a内に減光フィルタ122(右半分のガラス板122aと左半分の遮光領域122b)が設置されている。一方、回転軸125の下部側には可動部120を駆動するためのコイル124を有する基板123が設置されている。なお、こうした基板123は、図2(B)に示すように、可動ユニット121の前面側と裏面側のそれぞれに設けられている。
減光フィルタ122には、ガラス板122aをベース基板として、その表面(前面側の左半分の領域)にフッ素(F)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、及びクロム(Cr)を含むレーザ光吸収材料からなる遮光領域122bが形成されている。この遮光領域122bが減光フィルタアクチュエータにおける減光フィルタとして機能し、可動部120に入射されるレーザ光を所定の光量にまで減光する。なお、ガラス板122a部分は、可動部120に入射されるレーザ光をそのまま透過する。こうした減光フィルタ122は、可動ユニット121の開口部121a内に設置され、可動部120が回転することにより、レーザ光の光路上に減光フィルタ122の遮光領域122bとガラス板122aの一方が挿入されるように配置されている。
基板123は板状の樹脂基板で構成され、図2(B)に示すように、その両面(前面上および裏面上)にコイル124が重なるように形成されている。両面のコイル124は、それぞれ、銅(Cu)からなる平面コイルにより構成され、ビアコンタクト(図示せず)などを介して互いに電気的に接続されている。そして、こうした基板123は可動ユニット121の前面側と裏面側のそれぞれに取り付けられる。この際、コイル124は、固定部110に設けられた磁石部112a〜112dの磁極面(N極またはS極を有する面)と対向するように設置されている。そして、基板123には外部引き出し用のフレキシブル端子126が接続され、これにより外部からコイル124への印加電流を制御している。なお、平面コイルを用いることにより、コイルの薄型化を促進することが可能となる。また、平面コイルを2層重ねることにより、低電流または小面積で所定の駆動力を得ることが可能となる。
回転軸125は、レーザ光の光軸(光路)と平行な方向に沿って可動ユニット121の中央部分に形成され、固定部110の軸受孔113に挿入される。そして、この回転軸125を中心に可動部120が回転することにより、図3に示すように、固定部110の第1の位置P1側(減光フィルタ122の遮光領域122bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(減光フィルタ122のガラス板122aが光路上に挿入される位置)との間を移動させることができる。
減光フィルタアクチュエータ100の固定部110は、図1(C)に示すように、固定部110のベースとなる固定ユニット111と、可動部120を嵌合するための加工部111aと、固定ユニット111の両面(前面側と裏面側)に設けられた磁石部112a〜112dと、可動部120の回転軸125を挿入するための軸受孔113と、可動部120のフレキシブル端子126を外部に引き出すための開口孔114と、を有して構成されている。
固定ユニット111には、その前面側と裏面側のそれぞれに、2つの磁石部(前面側:磁石部112aと磁石部112b/裏面側:磁石部112cと磁石部112d)が形成されている。2つの磁石部は、磁極面(N極面またはS極面)が可動部120のコイル124と対向するように配置されるとともに、コイル124と対向する磁極面が互いに異なるように配置されている。すなわち、図2から明らかなように、一方の磁石部はS極面がコイル124と対向し、もう一方の磁石部はN極面が対向している。なお、両面(前面側と裏面側)に、磁石部とコイルからなる駆動機構(駆動手段)を設けることにより、低電流
または小面積で所定の駆動力を得ることが可能となる。
磁石部112a〜112dは、矩形状(長方形状)を有する単極磁石(ネオジウムボロン磁石)から構成されている。こうした磁石部112a〜112dは、磁石の厚み方向(可動部120のコイル124に発生する磁界と同一の方向)に着磁され、その磁極面(N極面またはS極面)が可動部120に設けられたコイル124と対向するように設置されている。なお、各磁石部(磁石部112a〜112d)には同一の寸法・規格のものを採用している。
軸受孔113は、固定ユニット111の両面(前面側と裏面側)の側壁をそれぞれ貫通して設けられ、可動部120の回転軸125が挿入される。
開口孔114は、固定ユニット111の両面(前面側と裏面側)の側壁をそれぞれ貫通して設けられ、その一方に可動部120のフレキシブル端子126が通される。
以上のように、本発明の第1実施形態の電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ100)が構成される。
なお、固定部110は本発明の「固定部」、可動部120は本発明の「可動部」、コイル124は本発明の「電流線」、磁石部112a〜112dは本発明の「部材」、ガラス板122aは本発明の「第1の光学領域」、遮光領域122bは本発明の「第2の光学領域」、回転軸125は本発明の「回転軸」、第1の位置P1は本発明の「第1の位置」、及び第2の位置P2は本発明の「第2の位置」の一例である。
次に、第1実施形態による減光フィルタアクチュエータ100の切り替え動作について説明する。
まず、図3(A)に示すように、コイル124の電流が流れていない状態(基準状態)において、コイル124に光路の方向(前面側から裏面側への方向)にN極からS極への磁界が発生する電流を流す。これにより、磁石部112cのN極とコイル124に発生するS極との間で引力が働く。また、磁石部112dのS極とコイル124に発生するS極との間で斥力が働く。一方、図示していないが、磁石部112aとの間には引力が働き、磁石部112bとの間には斥力が働く。これらの結果、可動部120に作用する引力と斥力により、可動部120は回転軸125を中心に時計回り方向に回転を開始する。そして、図3(B)に示すように、固定部110の第1の位置P1側にまで回動する。これにより、レーザ光の光路上に減光フィルタ122の遮光領域122bが挿入された状態となる。
次に、電流の流れる方向を切り替え、コイル124に光路の方向(前面側から裏面側への方向)にS極からN極への磁界が発生する電流を流す。これにより、磁石部112cのN極とコイル124に発生するN極との間で斥力が働く。また、磁石部112dのS極とコイル124に発生するN極との間で引力が働く。一方、図示していないが、磁石部112aとの間には斥力が働き、磁石部112bとの間には引力が働く。これらの結果、可動部120に作用する引力と斥力により、可動部120は回転軸125を中心に反時計回り方向に回転を開始する。そして、図3(C)に示すように、固定部110の第2の位置P2側にまで回動する。これにより、レーザ光の光路上に減光フィルタ122のガラス板122aが挿入された状態となる。
このようにして、第1実施形態における減光フィルタアクチュエータ100では、それぞれの磁石部とコイルとの間に発生する電磁力(引力および斥力)により、レーザ光の光路上の位置に対して、減光フィルタ122のガラス板122aと遮光領域122bとの切り替え(入れ替え)を行う。
本発明の第1実施形態に係る電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ100)によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)減光フィルタ122における2つの光学領域(ガラス板122aと遮光領域122b)を、回転軸125と交差する一平面上に形成し、可動部120を回転することにより2つの光学領域の切り替えを行うようにしたことで、2つの光学領域の切り替えの際に生じる回転角度のバラツキに起因して光路上の所定の位置から各領域がずれた場合でも、減光フィルタ122の各領域に対するレーザ光の入射角度が一定となる。このため、減光フィルタ122を通過するレーザ光の特性(たとえば、光強度)の変動や、減光フィルタ122を通過したレーザ光の光路のずれを低減することができる。これにより、減光フィルタアクチュエータ100の駆動信頼性を向上させることができる。また、従来のような回転制御機構を別途設ける必要がないので、こうした減光フィルタアクチュエータ100の大型化を抑制することができる。
(2)可動部120の固定部110と対向する表面に電磁石として機能するコイル124を形成し、固定部110の可動部120のコイル124と対向する表面に磁石部112a〜112dを配置したことによって、コイル124に電流を流すことで発生する磁界と各磁石部との間に電磁力(引力または斥力)を引き起こし、可動部120を駆動させることができる。こうした移動では、従来のモータなどの機械部品を用いて可動部120を駆動する場合と異なり、減光フィルタアクチュエータ100が大型化するのを抑制することができる。
(3)可動部120のコイル124と固定部110の磁石部112a〜112dとを対向して配置し、さらに可動部120(コイル124)の駆動方向を、回転軸125の回転方向と同じにしたことによって、可動部120の駆動力を回転方向に変換するためのギヤなどの部品を削減することができるので、減光フィルタアクチュエータ100が大型化するのを抑制することができる。
(4)減光フィルタ122における2つの光学領域(ガラス板122aと遮光領域122b)を、回転軸125と交差する一平面上に形成し、可動部120を回転することにより2つの光学領域の切り替えを行うようにしたことで、可動部を直線移動することにより2つの光学領域を切り替える場合に比べて、減光フィルタアクチュエータ100の小型化を図ることができる。これは、直線移動の場合には、一方の光学領域を所定の位置(光路上)に配置した際に、他方の光学領域を退避するための空間が必要となるが、回転移動の場合には、可動部全体が回転し、光学領域などの可動部の構成要素が回転方向に入れ替わるため、光路上にない光学領域を退避する空間を削減(低減)できるためである。
(5)減光フィルタ122における2つの光学領域(ガラス板122aと遮光領域122b)を、回転軸125と交差する一平面上に形成し、可動部120を回転することにより2つの光学領域の切り替えを行うようにしたことで、減光フィルタを、ガラス板を有する光学部品と遮光流域を有する光学部品とに分割し、こうした光学部品を連動して入れ替える場合に比べて、減光フィルタアクチュエータ100の大型化を抑制することができる。これは、分割する場合には、それぞれの光学部品を移動するための機構や、2つの光学部品を連動するための機構を設ける必要があるためである。
(6)磁石部112a〜112dに単極磁石(ネオジウムボロン磁石)を用いたことで、コイルに生じる磁界との間に推力(引力または斥力)を生じさせる磁力を同一とすると、多極着磁された複数の永久磁石(多極磁石)を用いる場合に比べて磁石部の小面積化(小型化)を容易に図ることができる。このため、装置の大型化が抑制された減光フィルタアクチュエータ100のさらなる小型化を実現することができる。これは、多極磁石を小型化・薄型化する場合には、多極着磁する永久磁石の個々を小型化・薄型化する必要があ
り、これにより個々の永久磁石の磁力が急激に減少し、多極磁石全体としてもコイルに生じる磁界との間に推力を生じさせる磁力を得ることが困難となるためである。
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る電磁アクチュエータ(光路スイッチミラーアクチュエータ200)の主要な構成図である。図5は光路スイッチミラーアクチュエータを構成する半波長板切替部を示した概略図であり、図5(A)は半波長板切替部全体の斜視図、図5(B)は可動部のみの斜視図、図5(C)は固定部のみの斜視図である。また、図6は図5の半波長板切替部の概略断面図であり、図6(A)は図5(A)中のX面に沿った断面、図6(B)はY面に沿った断面に相当する。また、図7は各回動状態における光路スイッチミラーアクチュエータの概略断面図であり、図5(A)中のZ面に沿った断面に相当する。図7(A)は可動部の基準状態(回動していない状態)、図7(B)は可動部が第1の位置P1側に回動した状態、図7(C)は可動部が第2の位置P2側に回動した状態を示す。
第2実施形態における光路スイッチミラーアクチュエータ200は、図4に示すように、主として、2つの光学領域(半波長板222における第1の領域222aと第2の領域222b)を有する半波長板切替部250と、偏光ビームスプリッタ230と、全反射ミラー240と、を備えている。
半波長板切替部250は、詳細は後述するが、第1実施形態と同様のアクチュエータ機構が採用され、所定の位置(光路上)に対して2つの光学領域(半波長板222における第1の領域222aと第2の領域222b)の切り替えを行うために設けられている。
半波長板切替部250では、図7(B)に示すように、半波長板222の第2の領域222bが光路上に位置する場合には、S波(偏光板の入射面に垂直な電場成分を有する光)をそのまま透過し、P波(偏光板の入射面に平行な電場成分を有する光)を、半波長位相をずらしてS波に変換する。一方、図7(C)に示すように、半波長板222の第1の領域222aが光路上に位置する場合には、P波をそのまま透過し、S波をP波に変換する。すなわち、半波長板切替部250では、半波長板222の第2の領域222bが光路上に位置する場合には、半導体レーザから出射されたレーザ光(S波とP波の両方の成分を有する光)のS波のみが透過して、偏光ビームスプリッタ230に入射される。一方、半波長板222の第1の領域222aが光路上に位置する場合には、半導体レーザから出射されたレーザ光のP波のみが透過して、偏光ビームスプリッタ230に入射される。
偏光ビームスプリッタ230は、入射された光に対して、S波を透過し、P波を反射する素子である。したがって、S波のみが入射された場合には入射光は全て透過し、全反射ミラー240に入射される。一方、P波のみが入射された場合には入射光は全て反射し、全反射ミラー240には光は入射されない。なお、偏光ビームスプリッタ230で反射された光(レーザ光)はBD規格用光ディスクの光路のレーザ光源となる。
全反射ミラー240は、入射された光に対して、その光を全反射するミラーである。なお、ここで反射された光(レーザ光)はHD DVD規格用光ディスクの光路のレーザ光源となる。
光路スイッチミラーアクチュエータ200では、このようにアクチュエータが構成され、用途(BD規格用とHD DVD規格用)に合わせて光路を2つに切り替えている。
次に、光路スイッチミラーアクチュエータ200を構成する半波長板切替部250について説明する。
半波長板切替部250は、図5および図6に示すように、固定部210と、この固定部210に嵌合され、固定部210の第1の位置P1側(半波長板222の第2の領域222bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(半波長板222の第1の領域222aが光路上に挿入される位置)との間を、回転軸225を軸として回転する可動部220と、可動部220を構成する半波長板(第1の領域222aと第2の領域222bを有する半波長板)222および磁石部224と、固定部210に設けられ、磁石部224に対して可動部220を駆動させる磁界を発生するコイル212a〜212dと、を備えている。そして、コイル212a〜212dに電流を流すことで磁石部224との間に発生する引力または斥力により、可動部220を回転させ、光路上における半波長板222の第1の領域222aと第2の領域222bとの切り替えを行う。
なお、半波長板222の第2の領域222bは、光路上に位置する状態(可動部220が第1の位置P1側にまで回動した状態)において、S波をそのまま透過し、P波を、半波長位相をずらしてS波に変換する機能を有する。一方、半波長板222の第1の領域222aは、光路上に位置する状態(可動部220が第2の位置P2側にまで回動した状態)において、P波をそのまま透過し、S波をP波に変換する機能を有する。
具体的には以下の通りである。
半波長板切替部250の可動部220は、図5(B)に示すように、可動部220のベースとなる可動ユニット221と、第1の領域222aと第2の領域222bとを一平面上に有する半波長板222と、可動部220を駆動するための磁石部224と、可動部220が回転する際の軸となる回転軸225と、を有して構成されている。
可動ユニット221には、第1実施形態と同様、レーザ光の光軸(光路)と平行な方向に沿って、その中央部分に回転軸225が貫通して形成されている。そして、回転軸225の上部側にはレーザ光を通すための開口部221aが設けられ、この開口部221a内に半波長板222(右半分の第1の領域222aと左半分の第2の領域222b)が設置されている。一方、回転軸225の下部側には可動部220を駆動するための磁石部224が設置されている。なお、こうした磁石部224は、図6(B)に示すように、可動ユニット221の前面側と裏面側のそれぞれに設けられている。
半波長板222は、第1の領域222aと第2の領域222bとを一平面上に有する。半波長板222は、干渉直線効果(水平偏光と垂直偏光の屈折率の違い)を原理として、垂直偏光の軸を位相シフトすることにより入射光の偏光を変えるものである。そして、半波長板222では、波長板の光学軸が入射光の偏光面に対して角度θであるとき、出射光は180°−2θだけ回転する。この角度θが0度または90度になるように、波長板の光学軸と入射光の偏光面を調整することで、S波またはP波への偏向の切り替えが可能となる。具体的には、可動部220を90度回転させることにより、第1の位置P1側と第2の位置P2側との間の切り替えを行い、可動部220が第1の位置P1側まで回動した状態(半波長板222の第2の領域222bが光路上に挿入された状態)において角度θを0度、可動部220が第2の位置P2側まで回動した状態(半波長板222の第1の領域222aが光路上に挿入された状態)において角度θを90度となるように調整している。こうした半波長板222は、可動ユニット221の開口部221a内に設置され、可動部220が回転することにより、レーザ光の光路上に半波長板222の第1の領域222aと第2の領域222bの一方が挿入されるように配置されている。
磁石部224は、矩形状(長方形状)を有する単極磁石(ネオジウムボロン磁石)から構成されている。こうした磁石部224は、可動ユニット221の両面(前面側と裏面側)に形成されている。そして、両面の磁石部は、それぞれ磁石の厚み方向(固定部210のコイル212a〜212dに発生する磁界と同一の方向)に着磁され、その磁極面(N
極面またはS極面)が固定部210に設けられたコイル212a〜212dと対向するように設置されている。なお、両面の磁石部には同一の寸法・規格のものを採用している。
回転軸225は、レーザ光の光軸(光路)と平行な方向に沿って可動ユニット121の中央部分に形成され、固定部210の軸受孔213に挿入される。そして、この回転軸225を中心に可動部220を90度回転することにより、図7に示すように、固定部210の第1の位置P1側(半波長板222の第2の領域222bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(半波長板222の第1の領域222aが光路上に挿入される位置)との間を移動させることができる。
半波長板切替部250の固定部210は、図5(C)に示すように、固定部210のベースとなる固定ユニット211と、可動部220を嵌合するための加工部211aと、加工部211aの内面(前面側内面と裏面側内面)に設けられ、可動部220を駆動するためのコイル212a〜212dを有する基板215と、可動部220の回転軸225を挿入するための軸受孔213と、基板215と接続された外部引き出し用のフレキシブル端子216と、フレキシブル端子216を外部に引き出すための開口孔214と、を有して構成されている。
固定ユニット211には、その加工部211aの内面(前面側内面と裏面側内面)に、2つのコイル(前面側内面:コイル212aとコイル212b/裏面側内面:コイル212cとコイル212d)が形成されている。2つのコイルは、可動部220における磁石部224の磁極面(N極面またはS極面)と対向するように配置されるとともに、電流が流れた際に生じる磁界が互いに異なるように形成されている。
基板215は板状の樹脂基板で構成され、図6(A)に示すように、その両面(前面上および裏面上)にコイルが重なるように形成されている。両面のコイルは、それぞれ、銅からなる平面コイルにより構成され、ビアコンタクト(図示せず)などを介して互いに電気的に接続されている。また、各コイルは、可動部220に設けられた磁石部224の磁極面(N極またはS極を有する面)と対向するように設置されている。そして、基板215には外部引き出し用のフレキシブル端子216が接続され、これにより外部から各コイルへの印加電流を制御している。なお、平面コイルを用いることにより、コイルの薄型化を促進することが可能となる。また、平面コイルを2層重ねることにより、低電流または小面積で所定の駆動力を得ることが可能となる。
軸受孔213は、固定ユニット211の両面(前面側と裏面側)の側壁をそれぞれ貫通して設けられ、可動部220の回転軸225が挿入される。
開口孔214は、固定ユニット211の両面(前面側と裏面側)の側壁をそれぞれ貫通して設けられ、その一方にフレキシブル端子216が通される。
以上のように、本発明の第2実施形態の電磁アクチュエータ(光路スイッチミラーアクチュエータ200)が構成される。
なお、固定部210は本発明の「固定部」、可動部220は本発明の「可動部」、コイル212a〜212dは本発明の「電流線」、磁石部224は本発明の「部材」、第1の領域222aは本発明の「第1の光学領域」、及び第2の領域222bは本発明の「第2の光学領域」の一例である。
次に、半波長板切替部250の切り替え動作について説明する。
まず、図7(A)に示すように、各コイル(コイル212a〜212d)に電流が流れていない状態(可動部220が水平状態)において、コイル212cに光路の方向(前面側から裏面側への方向)にS極からN極への磁界が発生する電流を流すとともに、コイル
212dに光路の方向にN極からS極への磁界が発生する電流を流す。これにより、磁石部224のN極とコイル212cに発生するS極との間で引力が働くとともに、磁石部224のN極とコイル212dに発生するN極との間で斥力が働く。一方、図示していないが、コイル212aに光路の方向にS極からN極への磁界が発生する電流を流すとともに、コイル212bに光路の方向にN極からS極への磁界が発生する電流を流す。これにより、磁石部224のS極とコイル212aに発生するN極との間で引力が働くとともに、磁石部224のS極とコイル212bに発生するS極との間で斥力が働く。これらの結果、可動部220に作用する引力と斥力により、可動部220は回転軸225を中心に時計回り方向に回転を開始する。そして、図7(B)に示すように、固定部210の第1の位置P1側にまで45度回転する。これにより、レーザ光の光路上に半波長板222の第2の領域222bが挿入された状態となる。
次に、電流の流れる方向を切り替え、コイル212cに光路の方向(前面側から裏面側への方向)にN極からS極への磁界が発生する電流を流すとともに、コイル212dに光路の方向にS極からN極への磁界が発生する電流を流す。これにより、磁石部224のN極とコイル212cに発生するN極との間で斥力が働くとともに、磁石部224のN極とコイル212dに発生するS極との間で引力が働く。一方、図示していないが、コイル212aに光路の方向にN極からS極への磁界が発生する電流を流すとともに、コイル212bに光路の方向にS極からN極への磁界が発生する電流を流す。これにより、磁石部224のS極とコイル212aに発生するS極との間で斥力が働くとともに、磁石部224のS極とコイル212bに発生するN極との間で引力が働く。これらの結果、可動部220に作用する引力と斥力により、可動部220は回転軸225を中心に反時計回り方向に回転を開始する。そして、図7(C)に示すように、固定部210の第2の位置P2側にまで90度回転する。これにより、レーザ光の光路上に半波長板222の第1の領域222aが挿入された状態となる。
このようにして、半波長板切替部250では、それぞれの磁石部とコイルとの間に発生する電磁力(引力および斥力)により、レーザ光の光路上の位置に対して、半波長板222の第1の領域222aと第2の領域222bとの切り替え(入れ替え)を行う。
本発明の第2実施形態に係る電磁アクチュエータ(光路スイッチミラーアクチュエータ200)によれば、上記(1)〜(6)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)レーザ光の光路を反射により90°曲げるための光学素子(偏光ビームスプリッタ230および全反射ミラー240)をそれぞれ固定した状態で光路の切り替えを行うことが可能となるので、従来のように光学素子自体が移動して切り替えを行う場合に比べて、こうした移動に起因した光軸ずれによるスイッチング精度の劣化が抑制される。このため、スイッチング信頼性の向上した光路スイッチミラーアクチュエータ200とすることができる。また、従来のスイッチング精度と同じレベルを確保するのであれば、こうした光路スイッチミラーアクチュエータ200を光ピックアップ装置に搭載する際の取り付けマージンが増加するので、製造歩留まりが向上し、低コスト化を図ることができる。
(第3実施形態)
図8は本発明の第3実施形態に係る電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ300)を示した概略図であり、図8(A)は減光フィルタアクチュエータ全体の斜視図、図8(B)は可動部のみの斜視図、図8(C)は固定部のみの斜視図である。また、図9は図8の減光フィルタアクチュエータの概略断面図であり、図9(A)は図8(A)中のX面に沿った断面、図9(B)はY面に沿った断面、図9(C)はZ面に沿った断面に相当する。
第1実施形態と異なる箇所は、可動部に設けたコイルに電流を流すことで発生する磁界
と、固定部に設けたコイルに電流を流すことで発生する磁界との間で、推力(引力または斥力)を働かせ、レーザ光の光路上の位置に対して、減光フィルタのガラス板と遮光領域との切り替えを行っていることである。
第3実施形態における減光フィルタアクチュエータ300は、図8に示すように、固定部310と、この固定部310に嵌合され、固定部310の第1の位置P1側(減光フィルタ122の遮光領域122bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(減光フィルタ122のガラス板122aが光路上に挿入される位置)との間を、回転軸125を軸として回転する可動部320と、を備えている。可動部320は、図8(B)に示すように、第1実施形態における可動部120と同様の構成であり、可動部320には、ガラス板122aおよび遮光領域122bからなる減光フィルタ122と、駆動用のコイル124とが形成されている。固定部310は、図8(C)に示すように、第2実施形態における固定部210と同様の構成であり、固定部310には、コイル124に電流を流すことで発生する磁界に対して、可動部320を駆動させる磁界を発生するコイル212a〜212dが形成されている。
減光フィルタアクチュエータ300では、図9から明らかなように、可動部320のコイル124は、固定部310に設けられたコイル212a〜212dと対向するように配置されている。そして、可動部320のコイル124および固定部310のコイル212a〜212dに所定の電流を流すことで、両コイル間に発生する引力または斥力により可動部320を回転させ、光路上における減光フィルタ122の遮光領域122bとガラス板122aとの切り替えを行う。
実際には、可動部320のコイル124に光路の方向(前面側から裏面側への方向)にS極からN極への磁界が発生する電流を流した状態で、固定部310のコイル212a〜212dに対して第2実施形態と同様の電流制御を行う。これにより、可動部320のコイル124に電流を流すことで発生する磁界と、固定部310のコイル212a〜212dに電流を流すことで発生する磁界との間で、推力(引力または斥力)が作用し、レーザ光の光路上の位置に対して、減光フィルタ122のガラス板122aと遮光領域122bとの切り替えを行うことができる。
以上のように、本発明の第3実施形態の電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ300)が構成される。
なお、固定部310は本発明の「固定部」、可動部320は本発明の「可動部」、コイル124は本発明の「電流線」、及びコイル212a〜212dは本発明の「部材」の一例である。
本発明の第3実施形態に係る電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ300)によれば、上記(1)、(4)、及び(5)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(8)可動部320と固定部310のそれぞれにコイルを形成し、各コイルに電流を流すことで発生する磁界により可動部320のコイルと固定部310のコイルとの間に引力または斥力を引き起こし、可動部320を駆動させることができる。こうした駆動では、従来のモータなどの機械部品を用いて可動部320を移動する場合と異なり、減光フィルタアクチュエータ300が大型化するのを抑制することができる。
(9)可動部320のコイル124と固定部310のコイル212a〜212dとを対向して配置し、さらに可動部320(コイル124)の駆動方向を、回転軸125の回転方向と同じにしたことによって、可動部320の駆動力を回転方向に変換するためのギヤ
などの部品を削減することができるので、減光フィルタアクチュエータ300が大型化するのを抑制することができる。
(第4実施形態)
図10は本発明の第4実施形態に係る静電誘導アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ400)を示した概略図であり、図10(A)は減光フィルタアクチュエータ全体の斜視図、図10(B)は可動部のみの斜視図、図10(C)は固定部のみの斜視図である。また、図11は図10の減光フィルタアクチュエータの概略断面図であり、図11(A)は図10(A)中のX面に沿った断面、図11(B)はY面に沿った断面、図11(C)はZ面に沿った断面に相当する。
第1実施形態と異なる箇所は、可動部に設けた電極と、固定部に設けた電極との間で、静電気力(引力または斥力)を働かせ、レーザ光の光路上の位置に対して減光フィルタのガラス板と遮光領域との切り替えを行っていることである。具体的には、可動部120のコイル124を有する基板123に代えて、電極424を形成し、固定部210のコイル212a〜212dを有する基板215に代えて、電極412a〜412dを形成していることである。
第4実施形態における減光フィルタアクチュエータ400は、図10に示すように、固定部410と、この固定部410に嵌合され、固定部410の第1の位置P1側(減光フィルタ122の遮光領域122bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(減光フィルタ122のガラス板122aが光路上に挿入される位置)との間を、回転軸125を軸として回転する可動部420と、を備えている。可動部420は、図10(B)に示すように、第1実施形態における可動部120の構成をベースとし、可動部420には、ガラス板122aおよび遮光領域122bからなる減光フィルタ122と、駆動用の平面状の電極424とが形成されている。固定部410は、図10(C)に示すように、第2実施形態における固定部210の構成をベースとし、固定部410には、電圧を印加することで電極424との間に静電気力を発生する平面状の電極412a〜412dが形成されている。なお、各電極(電極424、電極412a〜412d)は、アルミニウム合金などの金属から構成されている。
減光フィルタアクチュエータ400では、図11に示すように、可動部420の電極424は、固定部410に設けられた電極412a〜412dと対向するように配置されている。そして、可動部420の電極424および固定部410の電極412a〜412dに所定の電圧を印加することで、両電極間に発生する静電気力(引力または斥力)により可動部420を回転させ、光路上における減光フィルタ122の遮光領域122bとガラス板122aとの切り替えを行う。
実際には、可動部420の電極424に対して正の電圧を印加した状態で、固定部410の電極412a(電極412c)に対して負の電圧を印加するとともに、電極412b(電極412d)に対して正の電圧を印加する。これにより、電極424と電極412a(電極412c)との間には引力が生じ、電極424と電極412b(電極412d)との間には斥力が生じる。これらの結果、可動部420に作用する引力と斥力により、可動部420は回転軸125を中心に時計回り方向に回転を開始する。そして、固定部410の第1の位置P1側にまで回転する。これにより、レーザ光の光路上に減光フィルタ122の遮光領域122bが挿入された状態となる。
一方、レーザ光の光路上に減光フィルタ122のガラス板122aが挿入された状態に切り替える場合には、固定部410の各電極に反対の電圧を印加することで容易に実現できる。
このようにして、第4実施形態における減光フィルタアクチュエータ400では、それぞれの電極との間に発生する静電気力(引力および斥力)により、レーザ光の光路上の位置に対して、減光フィルタ122のガラス板122aと遮光領域122bとの切り替えを行う。
以上のように、本発明の第4実施形態の静電誘導アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ400)が構成される。
なお、固定部410は本発明の「固定部」、可動部420は本発明の「可動部」、電極424は本発明の「電流線」、及び電極412a〜412dは本発明の「部材」の一例である。
本発明の第4実施形態に係る静電誘導アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ400)によれば、上記(1)、(4)、及び(5)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(10)可動部420と固定部410のそれぞれに電極を形成し、各電極に電圧を印加することで、可動部420の電極と固定部410の電極との間に静電気力(引力または斥力)を引き起こし、可動部420を駆動させることができる。こうした駆動では、従来のモータなどの機械部品を用いて可動部420を移動する場合と異なり、減光フィルタアクチュエータ400が大型化するのを抑制することができる。
(11)可動部420の電極424と固定部410の電極412a〜412dとを対向して配置し、さらに可動部420(電極424)の駆動方向を、回転軸125の回転方向と同じにしたことによって、可動部420の駆動力を回転方向に変換するためのギヤなどの部品を削減することができるので、減光フィルタアクチュエータ400が大型化するのを抑制することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態における減光フィルタアクチュエータ500では、第4実施形態において採用したアルミニウム合金などの金属からなる電極424に代えて、エレクトレット電極524を採用している。それ以外は第4実施形態の構成と同様である。
エレクトレット電極524は、アルミニウム合金などの金属からなる固定電極524aと、その表面に形成されたポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる電荷保持材料であるエレクトレット膜524bとによって構成されている。ここで、エレクトレット膜524bにはコロナ放電などにより電荷注入がなされ、その表面電位はマイナス数100Vからマイナス数1000Vに達するように調整されている。エレクトレット電極524を含む可動ユニット121に固定され、エレクトレット電極524を構成する固定電極524aは接地されている。なお、エレクトレット膜524bの表面電位はエレクトレット膜の材料やエレクトレット膜への電荷注入条件などにより容易に調整することが可能である。たとえば、エレクトレット膜の材料として、熱酸化法により形成したシリコン酸化膜(SiO膜)を採用してもよい。
なお、エレクトレット電極524は本発明の「部材」およびエレクトレット膜524bは本発明の「電荷を保持する膜」の一例である。
本発明の第5実施形態に係る静電誘導アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ500)によれば、第4実施形態と同様の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(12)高電圧を保持するエレクトレット電極524を採用したことで、対向する電極
間に作用する静電気力(引力または斥力)が大きくなるので、小面積で所定の駆動力を得ることが可能となる。これにより、減光フィルタアクチュエータ500を小型化することができる。
(第6実施形態)
図12は本発明の第6実施形態に係るアクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ600)を示した概略図であり、図12(A)は減光フィルタアクチュエータ全体の斜視図、図12(B)は可動部のみの斜視図、図12(C)は固定部のみの斜視図である。また、図13は図12の減光フィルタアクチュエータの概略断面図であり、図13(A)は図12(A)中のX面に沿った断面、図13(B)はY面に沿った断面、図13(C)はZ面に沿った断面に相当する。図14は動作中の圧電素子部近傍の拡大模式図である。
第1実施形態と異なる箇所は、固定部に設けた複数の圧電素子の振動により可動部を回転させ、レーザ光の光路上の位置に対して、減光フィルタのガラス板と遮光領域との切り替えを行っていることである。具体的には、可動部120のコイル124を有する基板123に代えて樹脂部624を設け、固定部210のコイル212a〜212dを有する基板215に代えて圧電素子部612a〜612fを設置していることである。
第6実施形態における減光フィルタアクチュエータ600は、図12に示すように、固定部610と、この固定部610に嵌合され、固定部610の第1の位置P1側(減光フィルタ122の遮光領域122bが光路上に挿入される位置)と第2の位置P2側(減光フィルタ122のガラス板122aが光路上に挿入される位置)との間を、回転軸125を軸として回転する可動部620と、を備えている。可動部620は、図12(B)に示すように、第1実施形態における可動部120の構成をベースとし、可動部620には、ガラス板122aおよび遮光領域122bからなる減光フィルタ122と、駆動用の平板状の樹脂部624とが形成されている。固定部610は、図12(C)および図13に示すように、第2実施形態における固定部210の構成をベースとし、固定部610には、複数の圧電素子部612a〜612fが形成されている。
減光フィルタアクチュエータ600では、図13に示すように、可動部620の樹脂部624は、固定部610に設けられた3つの圧電素子部612d〜612f(および圧電素子部612a〜612c)と接している。3つの圧電素子部のそれぞれは、可動部620の回転軸125に向かって放射状に配置されている。
圧電素子部612a〜612fは、図14に示すように、圧電素子613と、この圧電素子613の振動を伝える樹脂部614とにより構成されている。そして、圧電素子部における樹脂部614が可動部620の樹脂部624と接している。なお、樹脂部624には、樹脂部614との間の摩擦係数が高い材料が採用されている。
そして、固定部610の圧電素子部612a〜612fに所定の交流電圧を印加することで、可動部620の回転軸125を中心として半径方向に平行な振動が圧電素子表面に生じる。この振動は樹脂部614に伝播して強められる。そして、図14に示すように、樹脂部614は振動の波によって接している樹脂部624を振動の波の進む方向と反対方向への推力を得る。なお、電流を印加する方向を変えることで、回転方向を反対にすることができる。これにより、可動部620を所望の方向に回転させ、光路上における減光フィルタ122の遮光領域122bとガラス板122aとの切り替えを行う。
以上のように、本発明の第6実施形態のアクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ600)が構成される。
本発明の第6実施形態に係るアクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ600)に
よれば、上記(1)、(4)、及び(5)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(13)固定部610に複数の圧電素子部を放射状に形成し、各圧電素子部に電圧を印加することで、可動部620を駆動するようにしたことで、従来のモータなどの機械部品を用いて可動部を駆動する場合と異なり、減光フィルタアクチュエータ600が大型化するのを抑制することができる。
次に、本発明の上記第6実施形態から把握できる請求項以外の技術思想を、その効果とともに記載する。
(A)固定部と、前記固定部に嵌合され、前記固定部の第1の位置側と第2の位置側との間を、回転軸を軸として回転する可動部と、前記可動部の、前記回転軸と交差する一平面上に設けられた第1の光学領域および第2の光学領域と、前記可動部を回転させる駆動手段と、を備え、前記可動部が前記第1の位置側と前記第2の位置側との間を回転することにより、所定位置において前記第1の光学領域と前記第2の光学領域とが切り替えられ、前記移動手段は、前記固定部と前記可動部との一方に設けられた複数の圧電素子部と、前記固定部と前記可動部との他方に設けられ、前記圧電素子部に交流電圧を印加したときに前記圧電素子部からの振動の波を伝播する樹脂部とから構成される、アクチュエータ。
このように構成することで、上記(1)、(4)、(5)、及び(13)の効果を享受することができる。
(光ピックアップ装置)
図15は本実施形態のアクチュエータを備えた光ピックアップ装置の構成を示す概略図である。図15を参照して光ピックアップ装置1001の構成について説明する。
光ピックアップ装置1001は、図15に示すように、半導体レーザ1002および1003と、減光フィルタ1004と、光路切替部1005と、ダイクロイックビームスプリッタ1006と、偏光ビームスプリッタ1007および1008と、コリメータレンズ1009および1010と、1/4波長板1011および1012と、対物レンズ1013および1014と、受光レンズ1015および1016と、受光センサ1017および1018とを備えている。この光ピックアップ装置1001は、BD(ブルーレイディスク)規格の光ディスク1030aと、HD DVD規格(CD規格およびDVD規格)の光ディスク1030b(1030cおよび1030d)とに対して書き込みおよび読み出しを行うことが可能なように構成されている。
半導体レーザ1002は約405nmの波長を有する青紫色のレーザ光を出射するために設けられている。この半導体レーザ1002は、BD規格の光ディスク1030aおよびHD DVD規格の光ディスク1030bに対して書き込みおよび読み出しが行われる際にレーザ光を出射するように構成されている。
半導体レーザ1003は約650nmの波長を有する赤色のレーザ光および約785nmの波長を有する近赤外領域のレーザ光の2波長のレーザ光を出射するために設けられている。この半導体レーザ1003は、CD規格の光ディスク1030cに対して書き込みおよび読み出しが行われる際に、約785nmの波長を有するレーザ光を出射するとともに、DVD規格のディスク1030dに対して書き込みおよび読み出しが行われる際に、約650nmの波長を有するレーザ光を出射するように構成されている。
減光フィルタ1004は、上記第1、第3〜第6実施形態の減光フィルタアクチュエータ100、300〜600のいずれかのアクチュエータ機構により、レーザ光の光軸方向と垂直な方向(A1方向およびA2方向)に2つの位置(光路上の位置および光路から外
れた位置)間を移動可能に構成されている。また、減光フィルタ1004は、読み出し時に光路上の位置に配置されるとともに、書き込み時に光路から外れた位置に配置されるように構成されている。すなわち、減光フィルタ1004は読み出し時にのみ半導体レーザ1002から出射されたレーザ光の強度を小さくするために設けられている。なお、減光フィルタ1004が2つの位置間を移動する際、それぞれの位置でガラス板と入れ替わっている。
光路切替部1005には、上記第2実施形態の光路スイッチミラーアクチュエータ200が採用され、半導体レーザ1002から出射されたレーザ光を対物レンズ1013または1014のいずれか一方に選択的に入射させるために設けられている。
ダイクロイックビームスプリッタ1006は、半導体レーザ1002から出射されたレーザ光を透過するとともに、半導体レーザ1003から出射されたレーザ光を反射するために設けられている。これにより、半導体レーザ1002から出射したレーザ光を対物レンズ1014に入射させることが可能であるとともに、半導体レーザ1003から出射したレーザ光を対物レンズ1014に入射させることが可能である。
偏光ビームスプリッタ1007および1008は、それぞれ光ディスク1030aおよび1030b(1030cおよび1030d)に向かうA1方向のレーザ光を透過するとともに、光ディスク1030aおよび1030b(1030cおよび1030d)から戻ってくるA2方向のレーザ光を反射するために設けられている。
コリメータレンズ1009および1010は光軸方向(A1方向およびA2方向)に移動可能に構成されている。また、コリメータレンズ1009および1010は、レーザ光を所定のビーム径を有する平行光とするとともに、レーザ光の焦点位置を調整するために設けられている。
1/4波長板1011および1112は、光ディスク1030aおよび1030b(1030cおよび1030d)に向かうA1方向のレーザ光を直線偏光から円偏光に変換するとともに、光ディスク1030aおよび1030b(1030cおよび1030d)から戻ってくるA2方向のレーザ光を、円偏光から光ディスク1030aおよび1030b(1030cおよび1030d)に向かうA1方向のレーザ光とは直交する直線偏光に変換するために設けられている。
対物レンズ1013および1014は光軸方向(A1方向およびA2方向)および光軸方向と垂直な方向(B1方向およびB2方向)に移動可能に構成されている。また、対物レンズ1013および1014はレーザ光の焦点位置を調整するために設けられている。
受光レンズ1015および1016は、それぞれ偏光ビームスプリッタ1007および1008により反射されたレーザ光を受光センサ1017および1018に集光するために設けられている。
本発明の減光フィルタアクチュエータを備えた光ピックアップ装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(14)減光フィルタ1004および光路切替部1005に対応するアクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ100、300〜600および光路スイッチミラーアクチュエータ200)が大型化するのを抑制することができるので、こうしたアクチュエータを備える光ピックアップ装置1001が大型化することを抑制することができる。
(15)減光フィルタ1004および光路切替部1005に対応するアクチュエータ(
減光フィルタアクチュエータ100、300〜600および光路スイッチミラーアクチュエータ200)の駆動信頼性を向上することができるので、こうしたアクチュエータを備える光ピックアップ装置1001の駆動信頼性を向上することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
上記第1実施形態では、可動部にコイルを設け、固定部に磁石部を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第2実施形態のように、可動部に磁石部を設け、固定部にコイルを設けてもよい。この場合にも上記効果を享受することができる。
上記第2実施形態では、可動部に磁石部を設け、固定部にコイルを設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第1、第3〜第6実施形態のような構成(駆動機構)にしてもよい。こうした場合にも対応する上記効果を享受することができる。
上記第2実施形態では、レーザ光が、半波長板切替部の表面の法線方向に入射する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、半波長板切替部の表面の法線方向に対してずらして入射させてもよい。これにより、半波長板切替部によって反射されたレーザ光により、光源の光の強度が揺らぐことを低減することができる。
上記第1〜第3実施形態では、可動部または固定部に対して、2層の平面コイルからなるコイルを設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、3層以上の平面コイルからなるコイルを設けてもよい。この場合にも上記効果を享受することができるとともに、さらに可動部に対して低電流または小面積でも所定の駆動力を得ることが可能となる。
上記第4および第5実施形態では、平板状の電極を用いた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、櫛歯状に細分化された電極を用いてもよい。この場合にも対応する上記効果を享受することができる。
上記第6実施形態では、3つの圧電素子部を放射状に設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、4つ以上の圧電素子部を放射状に配置してもよい。この場合にも上記効果を享受することができる。
上記第6実施形態では、固定部に圧電素子部を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、可動部に圧電素子部を設けてもよい。この場合にも上記効果を享受することができる。
上記光ピックアップ装置では、装置が大型化することを抑制可能なアクチュエータとして減光フィルタアクチュエータと光路スイッチミラーアクチュエータの両方を採用した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、減光フィルタアクチュエータと光路スイッチミラーアクチュエータのいずれか一方を採用してもよい。この場合にも光ピックアップ装置が大型化することが抑制される。
本発明の電磁アクチュエータは、光ピックアップ装置に限らず、半導体製造装置、液晶製造装置、工作機械などの精密装置の駆動機構に適用することで、大型化が抑制された精密装置を容易に実現することができる。
(A)〜(C)本発明の第1実施形態に係る電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ100)を示した概略図。 (A)、(B)図1の減光フィルタアクチュエータの概略断面図。 (A)〜(C)各回動状態における減光フィルタアクチュエータの概略断面図。 本発明の第2実施形態に係る電磁アクチュエータ(光路スイッチミラーアクチュエータ200)の主要な構成図。 (A)〜(C)光路スイッチミラーアクチュエータを構成する半波長板切替部を示した概略図。 (A)、(B)図5の半波長板切替部の概略断面図 (A)〜(C)各回動状態における光路スイッチミラーアクチュエータの概略断面図。 (A)〜(C)本発明の第3実施形態に係る電磁アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ300)を示した概略図。 (A)〜(C)図8の減光フィルタアクチュエータの概略断面図。 (A)〜(C)本発明の第4実施形態に係る静電誘導アクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ400)を示した概略図。 (A)〜(C)図10の減光フィルタアクチュエータの概略断面図。 (A)〜(C)本発明の第6実施形態に係るアクチュエータ(減光フィルタアクチュエータ600)を示した概略図。 (A)〜(C)図12の減光フィルタアクチュエータの概略断面図。 動作中の圧電素子部近傍の拡大模式図。 本実施形態のアクチュエータを備えた光ピックアップ装置の構成を示す概略図。
符号の説明
100 減光フィルタアクチュエータ、110 固定部、111 固定ユニット、112a〜112d 磁石部、113 軸受孔、114 開口孔、120 可動部、121 可動ユニット、122 減光フィルタ、122aガラス板、122b 遮光領域、123
基板、124 コイル、125 回転軸、126 フレキシブル端子。

Claims (4)

  1. 固定部と、
    前記固定部に嵌合され、前記固定部の第1の位置側と第2の位置側との間を、回転軸を軸として回転する可動部と、
    前記可動部の、前記回転軸と交差する一平面上に設けられた第1の光学領域および第2の光学領域と、
    前記可動部を回転させる駆動手段と、
    を備え、
    前記可動部が前記第1の位置側と前記第2の位置側との間を回転することにより、所定位置において前記第1の光学領域と前記第2の光学領域とが切り替えられ、
    前記駆動手段は、前記固定部と前記可動部との一方に設けられた電流線と、前記固定部と前記可動部との他方に設けられ、前記電流線に電流を流したときに前記電流線との間で引力または斥力を発生させる部材とから構成される、アクチュエータ。
  2. 前記電流線と前記部材は対向して設けられ、
    前記可動部に設けられる前記電流線もしくは前記部材の駆動方向は、前記可動部の回転方向と同じであることを特徴とした請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記部材は、電荷を保持する膜を含んで構成され、この電荷を保持する膜と前記電流線との間で引力または斥力を発生させることを特徴とした請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータを搭載する、光ピックアップ装置。
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