JP2009157963A - ディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正のための値を決定する方法及びそれを行うディスク・ドライブ装置 - Google Patents

ディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正のための値を決定する方法及びそれを行うディスク・ドライブ装置 Download PDF

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克将 山▲崎▼
Masayuki Kurita
昌幸 栗田
Kenichi Kuramoto
健一 蔵本
Yoshihiko Maeda
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Abstract

【課題】クリアランス変化の温度補正係数を効率的に決定する。
【解決手段】本発明の一実施形態において、HDD1は、クリアランス変化の温度補正を行うための補正係数を有している。この補正係数は、HDDの製造工程においてHDD内に設定される。HDDの製造のテスト工程において、HDDは、測定によりクリアランアスと温度との間の関係を特定し、上記補正係数を決定する。HDDは、各ヘッド・スライダに対して上記補正係数を決定する。本形態の特徴として、HDDは、TFCによりクリアランスを変化させ、異なるクリアランスにおける測定を行うことで、クリアランアスと温度との間の関係を特定する。TFCにより異なるクリアランスでの測定を行うことで、一つの温度における測定により、温度補正のための補正係数を決定することができる。
【選択図】図5

Description

本発明はディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正のための値を決定する方法及びそれを行うディスク・ドライブ装置に関する。
ディスク・ドライブ装置として、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはフレキシブル磁気ディスクなどの様々な態様のディスクを使用する装置が知られているが、その中で、ハードディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。さらに、コンピュータにとどまらず、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システムあるいは携帯電話など、HDDの用途はその優れた特性により益々拡大している。
HDDで使用される磁気ディスクは、同心円状に形成された複数のデータ・トラックとサーボ・トラックとを有している。各サーボ・トラックはアドレス情報を有する複数のサーボ・データから構成される。また、各データ・トラックには、ユーザ・データを含む複数のデータ・セクタが記録されている。円周方向に離間するサーボ・データの間に、データ・セクタが記録されている。揺動するアクチュエータに支持されたヘッド・スライダのヘッド素子部が、サーボ・データのアドレス情報に従って所望のデータ・セクタにアクセスすることによって、データ・セクタへのデータ書き込み及びデータ・セクタからのデータ読み出しを行うことができる。
磁気ディスクの記録密度を向上には、磁気ディスク上を浮上するヘッド素子部と磁気ディスクとの間のクリアランス及びその変化を小さくすることが重要である。このため、クリアランスを調整するいくつかの機構が提案されている。そのうちの一つは、ヘッド・スライダにヒータを備え、そのヒータでヘッド素子部を加熱することよってクリアランスを調整する。本明細書において、これをTFC(Thermal Fly height Control)と呼ぶ。TFCは、ヒータに電流を供給して発熱させ、熱膨張によってヘッド素子部を突出させる。これによって、磁気ディスクとヘッド素子部との間のクリアランスを小さくする。
クリアランスは、温度変化に応じて変化するほか、気圧(高度)の変化に応じて変化する。リード/ライトにおけるクリアランス設定値が5nm以上である場合には、高度変化によるクリアランス変化は、クリアランス・マージンにより対応することができる。しかし、リード/ライトにおいて2あるいは3nm以下のクリアランスしか存在しない場合、温度変化に加えて、気圧変化に応じてクリアランスを調整することが要求される。例えば、特許文献1は、気圧センサにより気圧を検出し、圧電素子を使用して気圧に応じたクリアランス調整を行う技術を開示している。
特開平9−63220号公報
典型的なTFCは、温度の低下に応じてヒータ・パワーを増加して熱膨張によってヘッド素子部を突出させ、温度低下によるクリアランスの増加を補償する。これに対して、高度が上昇して気圧が低下すると、スライダの浮上高が低下する。このため、気圧の低下によりヘッド素子部と磁気ディスクとの間のクリアランスも減少する。従って、温度が一定であれば、TFCは気圧の低下に従って突出量を小さくする。
HDDは、温度に応じて多くのパラメータを設定しており、正確な温度検出はHDDの正常な動作に不可欠なものとなっている。そのため、一般的なHDDは、温度を検出する手段として温度センサを有している。同様に、気圧を検出する手段の一つとして、気圧センサ(高度センサ)が知られている。しかし、気圧センサを使用することはHDDの部材点数の増加となり、また、HDDのコストも大きく増加する。また、気圧の変化に応じて設定すべきパラメータは、クリアランス調整のためのパラメータ以外にほとんど存在しないため、気圧センサを使用することなく気圧を特定することが好ましい。
上述のように、気圧の変化に応じてクリアランスは変化する。このため、クリアランスを参照することによって、気圧変化を測定することができる。クリアランスを特定するためのいくつかの手法が知られている。典型的手法は、ヘッド素子部のリード信号の振幅から、クリアランス(クリアランス変化)を特定する。クリアランスが小さくなると信号強度が大きくなり、可変ゲイン・アンプのゲインが小さくなる。このため、可変ゲイン・アンプのゲインを参照することで、信号強度及びクリアランスを特定することができる。より正確なクリアランス特定手法は、リード信号振幅の異なる周波数成分の分解能(レゾリューション)からクリアランスを特定する。
気圧センサを使用することなく気圧に応じてクリアランスを調整するためには、上記手法のように、ヘッド・スライダのリード信号を参照してクリアランス変化を特定し、そのクリアランス変化から気圧変化を特定することが必要となる。しかし、クリアランスは温度変化に応じて変化する。従って、クリアランス変化から気圧変化を特定するためには、クリアランス変化の温度変化に起因する成分を補正することが必要となる。このため、HDDにクリアランス変化の温度補正を行うための補正係数を実装する。HDDがリード信号のアンプ・ゲインでクリアランス変化を算出する場合、HDDは、温度センサによる検出温度と補正係数(補正のための値)を使用してアンプ・ゲインを補正し、補正後のアンプ・ゲインにより気圧によるクリアランス変化を特定する。
正確なクリアランス制御のためには、より正確な補正係数を算出することが要求される。クリアランスの温度補正係数はヘッド・スライダ毎に異なる。従って、ヘッド・スライダ毎に上記温度補正係数を精度良く決定するためには、HDDの量産工程において、異なる複数温度でクリアランス対応値を全数測定することが望ましい。その一方、製造効率を上げるため、補正係数算出のための測定時間を短縮することが望まれている。このためには、測定を行う異なる温度の数を少なくすることが有効であり、一つの温度における測定で補正係数を算出することができることが最も好ましい。以上まとめると、温度補正係数の正確性と測定の効率性を両立させる手法が望まれる。
本発明の一態様は、ディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正係数を決定する方法である。この方法は、ヘッド・スライダによってディスク上のデータを読み出す。前記読み出した信号から前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応するクリアランス対応値を測定する。異なる複数のヒータ・パワーにおいて前記クリアランス対応値を測定して、前記ヘッド・スライダの測定クリアランス対応値のヒータ・パワー感度を決定する。予め得られたヘッド・スライダのクリアランス対応値の温度感度とヒータ・パワー感度との間の関係を示すデータを参照する。前記ヒータ・パワー感度と前記関係を示すデータとから決定した値を使用して、前記測定クリアランス対応値の第1の温度感度を推定する。前記第1の温度感度から前記温度補正係数を決定する。測定したクリアランス対応値のヒータ・パワー感度から温度感度を決定することで、クリアランス対応値の測定に必要な温度の数を少なくする、あるいは、温度補正係数の正確性を改善することができる。
前記クリアランス対応値は、前記読み出した信号の高周波成分と低周波成分との間の比から決定される値であるが好ましい。これにより、正確なクリアランス変化を測定することができる。前記クリアランス対応値の測定は同一温度において行われることが好ましい。これにより、測定に必要な時間を大きく短縮することができる。
好ましい例において、ヒータ・オフにおいて測定した測定クリアランス対応値と、予め得られた前記温度感度とヒータ・オフにおけるクリアランス対応値との間の関係を示すデータと、を使用して、前記測定クリアランス対応値の第2の温度感度をさらに推定し、前記第1の温度感度及び前記第2の温度感度から前記温度補正係数を決定する。これにより、温度感度をより正確に決定することができる。好ましくは、予め測定された温度感度平均値をさらに使用して、前記温度補正係数を決定する。これにより、温度感度をより正確に決定することができる。
前記決定される温度補正係数は温度に応じて変化することが好ましい。これにより、より正確な温度補正を行うことができる。さらに、好ましい例において、前記決定される温度補正係数は、異なる傾きを有する複数の温度の一次関数で表される。これにより、正確な温度補正係数をシンプルな手法により算出することができる。
本発明の他の態様に係るディスク・ドライブ装置は、ディスク上を浮上するスライダと、前記スライダ上にあり前記ディスク上のデータを読み出すヘッド素子部と、前記スライダ上にあり前記ヘッド素子部と前記ディスクとの間のクリアランスを調整するヒータと、前記スライダを移動する移動機構と、前記ヒータ及び前記移動機構を制御するコントローラとを有する。前記コントローラは、異なる複数のヒータ・パワーにおいて、前記ヘッド・スライダが読み出した信号から、前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応するクリアランス対応値を測定し、前記複数のヒータ・パワーと前記測定クリアランス対応値とから、前記ヘッド・スライダの前記測定クリアランス対応値のヒータ・パワー感度を決定し、予め得られたクリアランス対応値の温度感度と前記ヒータ・パワー感度との間の関係を示すデータと、前記ヒータ・パワー感度と、から決定した値を使用して、前記測定クリアランス対応値の第1の温度感度を推定し、前記第1の温度感度から、クリアランス変化の温度補正係数を決定する。クリアランス対応値のヒータ・パワー感度から温度感度を決定することで、クリアランス対応値の測定が必要な温度の数を少なくする、あるいは、温度補正係数の正確性を改善することができる。
本発明の他の態様は、ディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正係数を決定する方法である。この方法は、第一のヒータ・パワーにおいてヘッド・スライダによってディスク上の第一のデータを読み出す。前記読み出した第一の信号から前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応する第一のクリアランス対応値を測定する。第二のヒータ・パワーにおいて前記ヘッド・スライダによって前記ディスク上の第二のデータを読み出す。前記読み出した第二の信号から前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応する第二のクリアランス対応値を測定する。前記第一及び第二のクリアランス対応値から測定クリアランス対応値に対するヒータ・パワー感度を決定する。予め得られたクリアランス対応値の温度感度とヒータ・パワー感度との間の関係を示すデータを参照する。前記ヒータ・パワー感度と前記関係を示すデータとから決定した値を使用して、クリアランス変化の温度補正に使用する前記クリアランス対応値に対する温度感度を推定する。前記温度感度から前記温度補正係数を決定する。クリアランス対応値のヒータ・パワー感度から温度感度を決定することで、クリアランス対応値の測定が必要な温度の数を少なくする、あるいは、温度補正係数の正確性を改善することができる。
好ましい例において、前記何れか一方のヒータ・パワーは、ヒータ・オフ状態である。これにより、効率的かつ正確な測定を行うことができる。また、前記第一のデータと前記第二のデータは同一トラックのデータであることが好ましい。これにより、より正確な測定を行うことができる。
本発明によれば、クリアランス変化の温度補正係数を効率的に決定することができる。
以下に、本発明を適用した実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。以下においては、ディスク・ドライブ装置の一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)を例として、本発明の実施形態を説明する。
本形態のHDDは、TFC(Thermal Fly height Control)により、ヘッド素子部とディスクの一例である磁気ディスクとの間のクリアランスを調整する。TFCは、スライダ上のヒータからの熱によるヘッド素子部の熱膨張によってクリアランスを調整する。本形態のHDDは、気圧変化に応じてクリアランスを調整する。本形態のHDDはリード信号を使用してクリアランスを測定する。HDDは温度センサの検出温度に従ってクリアランス変化の温度補正を行い、温度変化によるクリアランス変化分を除去する。HDDは、その温度補正したクリアランス変化から気圧変化を特定し、その気圧変化に応じたヒータ・パワーを供給する。
HDDは、クリアランス変化の温度補正を行うための補正係数(補正のための値)を有している。この補正係数は、HDDの製造工程においてHDD内に設定される。HDDの製造のテスト工程において、HDDは、測定によりクリアランスと温度との間の関係を特定し、上記補正係数を決定する。上記補正係数は、各ヘッド・スライダに対して個別に設定される。本形態の特徴として、HDDは、TFCによりクリアランスを変化させ、異なるクリアランスにおける測定を行うことで、クリアランスと温度との間の関係を特定する。TFCにより異なるクリアランスでの測定を行うことで、一つの温度における測定により、温度補正のための補正係数を決定することができる。あるいは、複数の異なる温度において測定を行う場合において、より正確な補正係数を算出することができる。
本形態の補正係数の決定手法について詳細な説明を行う前に、本形態のHDD及びそのヘッド・スライダの説明を行う。図1は、HDD1の全体構成を模式的に示すブロック図である。HDD1は、エンクロージャ10内に、データを記憶するディスクである磁気ディスク11を有している。スピンドル・モータ(SPM)14は、磁気ディスク11を所定の角速度で回転する。磁気ディスク11の各記録面に対応して、磁気ディスク11にアクセス(リードあるいはライト)するヘッド・スライダ12が設けられている。各ヘッド・スライダ12は、磁気ディスク上を浮上するスライダと、スライダに固定され磁気信号と電気信号との間の変換を行うヘッド素子部とを備えている。
本形態のヘッド・スライダ12は、熱によってヘッド素子部を膨張・突出させ、磁気ディスク11との間のクリアランスを調整するTFCのためのヒータを備えている。ヘッド・スライダ12の構造については、後に図2を参照して詳述する。各ヘッド・スライダ12はアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はボイス・コイル・モータ(VCM)15に連結され、回動軸を中心に回動することによって、ヘッド・スライダ12を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。アクチュエータ16とVCM15とは、ヘッド・スライダ12の移動機構である。
エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20上には、回路素子が実装されている。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データに従って、SPM14及びVCM15を駆動する。RAM24は、リード・データ及びライト・データを一時的に格納するバッファとして機能する。エンクロージャ10内のアーム電子回路(Arm Electronics:AE)13は、複数のヘッド・スライダ12の中から磁気ディスク11へのアクセスを行うヘッド・スライダ12を選択し、その再生信号を増幅してリード・ライト・チャネル(RWチャネル)21に送る。また、RWチャネル21からの記録信号を選択したヘッド・スライダ12に送る。AE13は、さらに、選択したヘッド・スライダ12のヒータへ電力を供給し、その電力量を調節する調節回路として機能する。
RWチャネル21は、リード処理において、AE13から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データとを含む。デコード処理されたリード・ユーザ・データ及びサーボ・データは、HDC/MPU23に供給される。また、RWチャネル21は、ライト処理において、HDC/MPU23から供給されたライト・データをコード変調し、更にコード変調されたライト・データをライト信号に変換してAE13に供給する。
コントローラの一例であるHDC/MPU23は、リード/ライト処理制御、コマンド実行順序の管理、サーボ信号を使用したヘッド・スライダ12のポジショニング制御(サーボ制御)、ホスト51との間のインターフェース制御、ディフェクト管理、エラーが発生した場合のエラー対応処理など、データ処理に関する必要な処理及びHDD1の全体制御を実行する。特に、本形態のHDC/MPU23は、温度センサ17の検出温度に従って温度応じてTFCを行い、さらに、気圧に応じたTFCを行う。本形態のTFC及びそのTFCに使用するクリアランス変化の温度補正については後述する。
図2は、ヘッド・スライダ12の空気流出端面(トレーリング側端面)121近傍の構成を示す断面図である。スライダ123はヘッド素子部122を支持する。ヘッド素子部122は、リード素子32とライト素子31とを有している。ライト素子31は、ライト・コイル311を流れる電流で磁極312間に磁界を生成し、磁気データを磁気ディスク11に書き込む。リード素子32は磁気異方性を有する磁気抵抗素子32aを備え、磁気ディスク11からの磁界によって変化する抵抗値によって磁気データを読み出す。
ヘッド素子部122は、スライダ123を構成するアルチック(AlTiC)基板に薄膜形成プロセスにより形成される。磁気抵抗素子32aは磁気シールド33a、33bによって挟まれており、ライト・コイル311は絶縁膜313で囲まれている。ライト素子31とリード素子32の周囲にアルミナなどの保護膜34が形成されている。ライト素子31及びリード素子32の近傍にはヒータ124が存在する。パーマロイなどを使用した薄膜抵抗体を蛇行させ、間隙をアルミナで埋めてヒータ124を形成することができる。
AE13がヒータ124に電流を流すと、ヒータ124の熱によってヘッド素子部122の近傍が突出変形する。例えば、非加熱時において、ヘッド・スライダ12のABS面35はS1で示される形状であり、ヘッド素子部122と磁気ディスクとの間の距離であるクリアランスはC1で示されている。ヒータ124加熱時における突出形状S2を破線で示す。ヘッド素子部122が磁気ディスク11に近づき、このときのクリアランスC2はクリアランスC1よりも小さい。ヘッド素子部122の突出量やクリアランスは、ヒータ124に供給するヒータ・パワー値に従って変化する。
上述のように、本形態のHDC/MPU23は、温度及び気圧に応じたTFCを行う。ヒータ124に加えられるヒータ・パワーPは、温度に依存するヒータ・パワーP(t)と、気圧に依存するヒータ・パワーP(p)の和(P(t)+P(p))で表される。なお、定数項はいずれかの数式内に組み込まれ、また、各数式の係数は、温度や気圧などの環境条件、ヘッド・スライダ12あるいはその半径位置に応じて変化しうる。
HDC/MPU23は、温度センサ17の検出温度に応じてヒータ・パワーPを制御する。具体的には、HDD1には検出温度とヒータ・パワーとの間の関係を示すデータが設定されており、HDC/MPU23は、そのデータと検出温度に従って温度に依存するヒータ・パワーを決定する。温度とヒータ・パワーとの関係は、ヘッド・スライダ12、磁気ディスク11の半径位置(あるいはゾーン)、気圧に依存する。
本形態のHDD1は気圧センサを有していないため、気圧を直接に測定することはできない。そのため、HDC/MPU23は、クリアランスを測定することによって、気圧に応じたTFCを行う。クリアランスは、気圧に応じて変化する。そのため、HDC/MPU23はクリアランスを測定し、そのクリアランス変化から気圧変化dpを特定する。クリアランスは温度によっても変化するため、HDC/MPU23は、測定したクリアランスから温度変化によるクリアランス変化を補正することで、気圧変化によるクリアランス変化を特定することができる。規定の基準温度及び気圧を有する基準条件と、その基準条件における基準・クリアランスを規定することで、各値の変化と現在値とが対応付けられる。
温度補正したクリアランス変化は、気圧変化を表している。HDC/MPU23は、クリアランス変化による特定されている気圧(気圧変化)に応じて、ヒータ・パワーPを制御する。具体的には、HDD1にはクリアランス変化で表される気圧変化とヒータ・パワーとの間の関係を表すデータが設定されており、HDC/MPU23は、そのデータと測定した気圧とに従って、気圧に応じたヒータ・パワーを決定する。
本形態のHDD1は、クリアランス、あるいは基準・クリアランスからのクリアランス変化を、ヘッド・スライダ12のリード信号から特定する。より具体的には、リード信号のレゾリューション(周波数成分の分解能)から、クリアランスを特定する。例えば、レゾリューションは、リード信号における特定の低周波信号と高周波信号の比で表すことができる。
気圧変化あるいは気圧変化によるクリアランス変化に対応するクリアランス対応値として、いくつかの動作パラメータがあるが、その中において、レゾリューションを使用したクリアランス変化の特定が、最も正確な方法の一つであるからである。クリアランスが小さくなると、リード信号の高周波成分の振幅が大きくなり、信号解像度、つまりレゾリューションが高くなる。レゾリューションとクリアランスとは線形関係にあり、レゾリューションに適当な線形変換を施すことにより、クリアランスをレゾリューションの一次関数で表すことができる。典型的には、レゾリューションとクリアランスとを結びつける一次関数は、個々のヘッド・スライダ12毎に異なる。
HDC/MPU23は、リード信号を解析し、高周波信号ゲイン(振幅)と低周波信号ゲイン(振幅)の比を算出することで、レゾリューションを特定することができる。しかし、その処理をHDC/MPU23が行うためには、通常動作に必要な機能の他に付加的な機能を必要とする。また、MPUがその処理を行うには多くの処理時間を必要とする。従って、HDD1に実装されている機能を利用してレゾリューションの測定を行うことが好ましい。RWチャネル21は、リード信号から正確にデータを抽出するために、リード信号の再生波形を調整する機能を有している。RWチャネル21は、デジタルフィルタを使用してこの波形整形を行う。
RWチャネル21に実装されるデジタルフィルタにおいて、再生信号の周波数成分を補正するデジタルフィルタ(アダプティブコサイン・フィルタ)が知られている。RWチャネル21は、リード信号の測定結果からこのフィルタのタップ値を補正する。この補正値はクリアランス(レゾリューション)と一次の関係にあり、レゾリューションを表す値である。なお、このデジタルフィルタは、特開平5−81807や米国特許5168413に開示されているように既存の技術であり、詳細な説明を省略する。HDC/MPU23は、この補正値を参照することで、クリアランス変化を特定することができる。以下において、この補正値をKgradと呼ぶ。
以下の説明において、HDC/MPU23は、クリアランス(クリアランス変化)を表すクリアランス対応値として、チャネル・パラメータの一つであるKgradを使用する。HDC/MPU23は、レゾリューションを表す他のチャネル・パラメータを使用してもよい。例えば、RWチャネル21が、特定パターンの再生信号を基準パターンに復元するためのデジタルフィルタを有している場合、HDC/MPU23は、そのデジタルフィルタのタップの補正係数におけるレゾリューション成分の補正値を、クリアランスの特定に使用することができる。
以下において、HDD1の製造におけるテスト工程について説明する。本形態のテスト工程は、ヒータ・パワーとクリアランスとの関係、温度とクリアランスとの関係、温度補正したKgradとクリアランスとの関係を特定し、それらを表すデータをHDD1に設定登録する。本形態のテスト工程は、特に、Kgradの温度補正係数の決定手法に特徴を有している。上述のように、本形態のHDC/MPU23は、温度検出器17の検出温度に応じて測定したKgradを温度補正し、その補正したKgradにより気圧変化に対応したヒータ・パワーを決定する。
HDD1のテストは、HDD1自身が行う。具体的には、テスト・コンピュータからダウンロードされたテスト・プログラムに従って、HDC/MPU23がテスト工程の各処理を実行する。本形態のテスト工程において、HDC/MPU23は、TFCによりクリアランスを変化させ、異なるクリアランスにおいてKgradを測定することにより上記補正係数を決定する。特に好ましい例として、本形態のテスト工程は、一つの温度(典型的には室温)においてクリアランスを変化させて、異なるクリアランスにおいてKgradを測定する。TFCによるKgradから温度変化とKgradとの関係を推定し、上記補正係数を決定する。
まず、レゾリューションを表すKgradの温度特性を説明する。図3(a)は、Kgradと温度との関係の典型的な一例を示している。X軸は温度検出器17の検出温度、Y軸は基準温度におけるKgradからの変化量を示している。基準温度は、ΔKgradが0の温度である。Kgradは温度上昇と共に減少する。Kgradはフィルタ・タップ値の補正値であり、レゾリューションが増加すると減少する。従って、Kgradはクリアランアスの減少と共に減少する。温度上昇によるヘッド素子部122の突出によりクリアランスは減少するため、Kgradは減少する。
クリアランス変化の温度補正、つまり、本例においてKgradの温度補正は、各温度のKgradの測定値のΔKgradを0に近づける処理である。図3(b)に示すように、好ましい補正関数の一つは温度の一次関数(基準温度を通る−αΔT)である。αが決定すべき補正係数であり、Kgradの温度感度に相当する。従来の典型的なテスト工程において、HDC/MPU23は、異なる二つの温度においてKgradを測定し、それら測定値からαを決定する。例えば、図3(b)の例において、基準温度(室温)である35℃とそれより高温の62℃においてKgradを測定し、二つの測定値を結ぶ直線の傾きαを決定する。
このように決定されたαの一次関数による温度補正結果は、図3(c)に示されている。温度補正は、Kgradの測定値に基準温度を通る−αΔTの値を加算する。補正されたΔKgradは、基準温度以上において略0である。低温側においてKgradが完全に補正されていない。これは、低温側と高温側においてKgradの温度感度が異なることに起因する。Kgradの温度感度の相違を考慮した補正方法については後述する。ここでは、一つの一次関数によりKgradを補正する方法を説明する。これは、温度感度が一定であると近似した温度補正に相当する。この温度補正により、気圧に応じたTFCを行うために必要な精度の補正を行うことができる。
本形態のテスト方法は、上述のように複数の温度においてKgradの測定を行うのではなく、室温(基準温度)においてのみ、Kgradを測定する。このとき、HDD1は、TFCにより異なる複数のクリアランスにおいてKgradを測定し、その測定結果から温度感度Aを推定し、さらには補正係数αを決定する。TFCは、ヒータ124の熱によりヘッド素子部122を突出させる。これは、温度上昇によるヘッド素子部122の突出と類似しており、KgradのTFCによる変化と温度変化による変化との間には相関がある。このため、HDC/MPU23は、異なる複数のヒータ・パワー値におけるKgradの測定値から、Kgradの温度感度Aを予測することができる。
具体的には、HDC/MPU23は、複数の異なるヒータ・パワーにおいてKgradを測定し、Kgradのヒータ・パワー感度(TFC感度)を算出する。ヒータ・パワー感度は一定であると近似する。HDC/MPU23は、2点以上の測定を行うことで、ヒータ・パワー感度Efを決定することができる。その内の一つの測定は、ヒータ・オフ状態であってもよい。HDC/MPU23は、テスト・コンピュータから、Kgradのヒータ・パワー感度Efと温度感度αとを対応付けるデータ(関数)を取得している。HDC/MPU23は、上記データを参照し、測定したヒータ・パワー感度Efから、Kgradの温度感度Aを推定し、そのまま温度感度Aを温度補正係数αとして採用する。
図4は、Kgradのヒータ・パワー感度Efと温度感度Aとの関係の典型的な一例を示している。図4において、X軸は温度感度Aであり、Y軸はKgradのヒータ・パワー感度Efである。●は測定値であり、直線は測定値の近似直線である。近似直線は、例えば、最小二乗法により決定することができる。HDD1の製造の前に、同一設計の複数サンプルのHDD1について、Kgradのヒータ・パワー感度Efと温度感度Aとを測定する。温度感度Aの測定は、異なる温度におけるKgradの測定を行い、その測定値から温度感度Aを決定する。
HDD1の製造において、各HDD1は、上記複数のサンプルの測定結果から決定された相関関数(図4の一次関数)を、テスト・コンピュータからダウンロードする。HDC/MPU23は、一つの測定温度において異なるヒータ・パワーにおけるKgradの測定からヒータ・パワー感度Efを決定し、さらに、上記相関関数を参照して温度感度Aを推定し、そのまま温度感度Aを温度補正係数αとして採用する。
Kgradの補正係数αを決定する処理の具体的な一例を、図5のフローチャートを参照して説明する。図5のフローチャートは、一つのヘッド・スライダ105の温度補正係数αを決定する処理の流れを示し、HDC/MPU23は、同様の処理を、各ヘッド・スライダ105について実行する。HDD1のテスト工程において、HDC/MPU23は、アクチュエータ16とヘッド・スライダ105とを制御して、磁気ディスク11上にKgrad測定用のパターンを書き込む(S11)。測定用のパターンは、上書き消去されないトラック、例えば専用のトラック、或いはファームウェアや制御パラメータ群が記録されたリザーブド・エリア(スペア・エリア)のトラックに書き込むことが望ましい。
次に、HDC/MPU23は、AE13を制御してヒータをオフにセットし、Kgradを測定する(S12)。具体的には、HDC/MPU23は、ヒータ・オフのヘッド・スライダ105により、工程S11において書き込んだパターンを読み出し、さらに、RWチャネル21のレジスタを参照して、そのときのKgradを取得する。
続いて、HDC/MPU23は、AE13を制御してヒータ・パワーを増加させ(S13)、そのヒータ・パワー値においてKgradを測定する(S14)。HDC/MPU23は、順次ヒータ・パワーを増加させながら、Nの異なるヒータ・パワーにおけるKgradの測定を行う(S15におけるNによるループ)。Nの最も少ない数は2である。N回の測定を行うと(S15におけるY)、HDC/MPU23は、Kgradの測定値からKgradのヒータ・パワー感度Efを算出する(S16)。HDC/MPU23は、例えば、最小二乗法により測定値からヒータ・パワー感度Efを算出する。
RAM24は、テスト・コンピュータからダウンロードした、ヘッド・スライダのクリアランス対応値に関する、ヒータ・パワー感度Efと温度感度との相関関係データを格納している。具体的には、図4を参照して説明したように、Kgradのヒータ・パワー感度EfとKgradの温度感度Aとの間の関係を定義する関数を格納している。HDC/MPU23はRAM24からこの関数を取得し(S17)、この関数を使用して算出したヒータ・パワー感度EfからKgradの温度感度Aを推定し、そのまま温度感度Aを温度補正係数αとして決定する。(S18)。上記関数にヒータ・パワー感度Efを代入して得られる値が、温度感度Aの推定値である。
以上の処理により、HDC/MPU23は、室温でのKgrad測定により、Kgradの温度補正係数αを決定することができる。より正確な測定を行うためには、HDC/MPU23は、3以上の異なるヒータ・パワーにおいてKgradを測定することが好ましい。また、同一のヒータ・パワーにおいて、複数回のKgrad測定を行うことが好ましい。HDD1のテスト効率を改善するためには、室温のみでのKgrad測定が好ましいが、これと異なる温度における測定あるいは複数温度でのKgrad測定に加えてTFCを使用したKgrad測定を行ってもよい。
次に、Kgradのヒータ・パワー感度Efを使用した温度補正係数αの、他の好ましい決定方法を説明する。上記例において、Kgradのヒータ・パワー感度Efと温度感度Aとの間には、次の関係が成立する。
Ef=aA+b (数式1)
a及びbは測定により決定された定数である。
温度補正係数αの他の好ましい算出方法において、HDC/MPU23は、Kgradのヒータ・パワー感度Efに加えて、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0を使用する。具体的には、HDC/MPU23は、下の数式を使用してKgradの温度補正係数αを決定する。
α=ψA+φB (数式2)
Aは、ヒータ・パワー感度Efから数式1に従って算出される温度感度である。
A=(Ef−b)/a (数式3)
Bは、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0と予め設定されている関係式とから算出される温度感度である。ψとφとは重みの割合であり、以下の関係が成立する。
ψ+φ=1 (数式4)
ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0と温度感度Bとの間の関係は、Kgradのヒータ・パワー感度Efと温度感度Aとの間の関係と同様に、HDD1の製造前に測定により決定される。図6は、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0と温度感度Bとの関係の典型的な一例を示している。測定温度は室温であり、TFCを使用したKgrad測定の測定温度と同じである。図6において、X軸は温度感度Bであり、Y軸はヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0である。●は測定値であり、直線は測定値の近似直線である。近似直線は、例えば、最小二乗法により決定することができる。
HDD1の製造の前に、同一設計の複数サンプルのHDD1について、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0と温度感度Bとを測定する。温度感度Bの測定は、異なる温度におけるKgradの測定を行い、その測定値から温度感度Bを決定する。図6に示すように、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0と温度感度Bとの間の関係を一次関数で近似すると、以下の関係が成立する。
KP0=mB+n (数式5)
m及びnは、測定結果から決定される係数である。数式5から、上記数式2のBは以下の数式で表される。
B=(KP0−n)/m (数式6)
HDC/MPU23は、ψ、φ、数式3及び数式6を特定するデータを、テスト前に予めダウンロードしている。HDC/MPU23は、室温における複数のヒータ・パワー値におけるKgrad測定値と数式3とから温度感度Aを算出することで温度感度Aを推定し、室温におけるヒータ・オフでのKgrad測定値と数式6とから温度感度Bを算出することで温度感度Bを推定し、さらに、数式2から温度補正係数αを決定する。
数式2において、ψとφとは、測定結果から適切な値に設定される。ψが1でφが0である場合が、Kgradのヒータ・パワー感度Efのみから温度補正係数αを決定する上記例に相当する。このように、温度感度との相関を有する複数の値を使用して温度補正係数αを算出することで、一つの相関値のみから決定する場合に比較して、より正確な温度補正係数αを算出することができる。
次に、Kgradのヒータ・パワー感度Efを使用した温度補正係数αの、他の好ましい決定方法を説明する。本例の算出方法において、HDC/MPU23は、Kgradのヒータ・パワー感度Ef、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0に加えて、温度感度の大量サンプル測定結果平均値Cを使用する。具体的には、HDC/MPU23は、下の数式を使用してKgradの温度補正係数αを決定する。
α=ψA+φB+ξC (数式7)
ψ、A、φ、Bは、上記数式2における値と同じである。ξは重みの割合であり、以下の関係が成立する。
ψ+φ+ξ=1 (数式8)
Cは温度感度の大量サンプル測定結果の平均値である。HDD1の製造の前に、同一設計の複数サンプルのHDD1について、複数温度帯においてKgradを測定し、各ヘッドの温度感度を算出し、それらの平均値Cを算出する。ψ、φ、ξは、実験により最適な値を決定する。HDC/MPU23は、ψ、φ、ξ、C、数式3及び数式6を特定するデータを、テスト前に予めダウンロードしている。
HDC/MPU23は、室温における複数のヒータ・パワー値におけるKgrad測定値と数式3とからAを算出し、室温におけるヒータ・オフでのKgrad測定値と数式5とからBを算出し、さらに、数式7から温度補正係数αを算出する。このように、温度感度との相関を有する複数の値を使用して温度補正係数αを算出することで、より正確な温度補正係数αを算出することができる。なお、HDC/MPU23は、φ=0である数式7を使用して温度補正係数αを算出することもできる。
上記好ましい各例において、HDC/MPU23は、一つの一次関数によりKgradの温度補正を行う。しかし、図3を参照して説明したように、Kgradの温度感度は一定ではない。従って、温度により変化するKgradの温度感度に応じた補正関数を使用することが好ましい。好ましい例において、HDC/MPU23は、低温側と高温側において異なる傾きを有する二つの一次関数を使用する。
図7(a)は、Kgradの温度補正を行うための、傾きが異なる二つの一次関数の例を示している。低温側における補正関数の傾きはα2であり、高温側における補正関数の傾きはα1である。二つの一次関数は、基準温度(室温)で交差している。HDC/MPU23は、基準温度より低温側において補正係数α2を使用し、高温側において補正係数α1を使用する。
HDC/MPU23は、テスト工程において、基準温度(室温)におけるKgradの測定を行う。Kgradの測定は、異なるヒータ・パワーにおける複数のKgradの値を測定する。その測定結果から、HDC/MPU23は、高温側の温度補正係数α1と低温側の温度補正係数α2とを算出する。温度補正係数α1とα2の算出方法は、上述の温度補正係数αと同様である。つまり、HDD1の複数サンプルの異なる温度でのKgradを測定し、実験により、Kgradのヒータ・パワー感度Ef、ヒータ・オフにおけるKgrad(KP0)、あるいは温度感度の大量サンプル測定結果の平均値Cと二つの温度感度との相関関係を用いて、二つの温度補正係数を特定する。
HDC/MPU23は、テスト・コンピュータから温度補正係数を算出するために必要なデータをダウンロードし、Kgradの測定結果と上記データとを使用して、二つの温度補正係数α1、α2を算出する。このように、温度に応じて異なるKgradの温度補正係数(関数)を使用することで、Kgradの温度感度の変化に応じてより適切な温度補正を行うことができる。
特に、HDD1のテスト工程において、室温よりも低温でのKgradの測定は相応の設備を必要とするため、実装が困難であることが多い。従って、本形態のように、特定温度におけるTFCを使用したKgrad測定により低温における温度感度を予測することで、テスト時間を短縮することができると共に、より正確な温度補正を実現することができる。
以上、本発明を好ましい実施形態を例として説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。本発明は、リード素子のみを備えるヘッド・スライダを実装するHDDに、あるいは、HDD以外のディスク・ドライブ装置に適用してもよい。本発明は、ヒータへの通電によってリード素子やライト素子とディスクとのクリアランスを低減させるTFCではなく、クリアランスを増大させるTFCに適用してもよい。上述のように、室温のみでTFCを使用したKgrad測定を行い、それにより温度補正係数を決定することが好ましいが、複数温度における測定においてTFCを使用したKgrad測定を使用することができる。
HDDは、TFCを使用したKgrad測定をHDDの製造におけるテスト工程において行うほか、出荷後であっても、起動時やアイドル時などに同様の処理を行ってもよい。HDDは、Kgradなどのチャネル・パラメータを使用したレゾリューションによりクリアランアス変化を特定することが好ましいが、ヘッド・スライダのリード信号に応じた他の値を使用することもできる。また、Kgrad測定を、径方向位置について一箇所のみではなく複数箇所で行い、より多くの気圧情報を得て平均化して用いることにより、より高精度の気圧補正が可能となる。
本実施形態において、HDDの全体構成を模式的に示すブロック図である。 本実施形態において、TFCのためのヒータを備えたヘッド・スライダの構成を模式的示す断面図である。 本実施形態において、Kgradと温度との関係及びKgradの温度補正を模式的に示す図である。 本実施形態において、Kgradのヒータ・パワー感度Efと温度感度Aとの関係の典型的な一例を示す図である。 本実施形態において、Kgradの補正係数αを決定する処理の具体的な一例の流れを示すフローチャートである。 本実施形態において、ヒータ・オフにおけるKgradの測定値KP0と温度感度Bとの関係の典型的な一例を示す図である。 本実施形態において、Kgradと温度との関係及び温度域により異なる温度補正関数を使用する例を示す図である。
符号の説明
1 ハードディスク・ドライブ、10 エンクロージャ、11 磁気ディスク
12 ヘッド・スライダ、14 スピンドル・モータ、15 ボイス・コイル・モータ
16 アクチュエータ、20 回路基板、21 リード・ライト・チャネル
22 モータ・ドライバ・ユニット、23 ハードディスク・コントローラ/MPU
24 RAM、31 ライト素子、32 リード素子、32a 磁気抵抗素子
33a、b シールド、34 保護膜、51 ホスト、121 トレーリング側端面
122 ヘッド素子部、123 スライダ、124 ヒータ、311 ライト・コイル
312 磁極、313 絶縁膜

Claims (19)

  1. ディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正係数を決定する方法であって、
    ヘッド・スライダによってディスク上のデータを読み出し、
    前記読み出した信号から前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応するクリアランス対応値を測定し、
    異なる複数のヒータ・パワーにおいて前記クリアランス対応値を測定して、前記ヘッド・スライダの測定クリアランス対応値のヒータ・パワー感度を決定し、
    予め得られたヘッド・スライダのクリアランス対応値の温度感度とヒータ・パワー感度との間の関係を示すデータを参照し、
    前記ヒータ・パワー感度と前記関係を示すデータとから決定した値を使用して、前記測定クリアランス対応値の第1の温度感度を推定し、
    前記第1の温度感度から前記温度補正係数を決定する、
    方法。
  2. 前記クリアランス対応値は、前記読み出した信号の高周波成分と低周波成分との間の比から決定される値である、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記クリアランス対応値の測定は同一温度において行われる、
    請求項1に記載の方法。
  4. ヒータ・オフにおいて測定した測定クリアランス対応値と、予め得られた前記温度感度とヒータ・オフにおけるクリアランス対応値との間の関係を示すデータと、を使用して、前記測定クリアランス対応値の第2の温度感度をさらに推定し、
    前記第1の温度感度及び前記第2の温度感度から前記温度補正係数を決定する、
    請求項1に記載の方法。
  5. 予め測定された温度感度平均値をさらに使用して、前記温度補正係数を決定する、
    請求項4に記載の方法。
  6. 予め測定された温度感度平均値をさらに使用して、前記温度補正係数を決定する、
    請求項1に記載の方法。
  7. 前記決定される温度補正係数は温度に応じて変化する、
    請求項1に記載の方法。
  8. 前記決定される温度補正係数は、異なる傾きを有する複数の温度の一次関数で表される、
    請求項7に記載の方法。
  9. ディスク上を浮上するスライダと、
    前記スライダ上にあり前記ディスク上のデータを読み出すヘッド素子部と、
    前記スライダ上にあり前記ヘッド素子部と前記ディスクとの間のクリアランスを調整するヒータと、
    前記スライダを移動する移動機構と、
    前記ヒータ及び前記移動機構を制御するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    異なる複数のヒータ・パワーにおいて、前記ヘッド・スライダが読み出した信号から、前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応するクリアランス対応値を測定し、
    前記複数のヒータ・パワーと前記測定クリアランス対応値とから、前記ヘッド・スライダの前記測定クリアランス対応値のヒータ・パワー感度を決定し、
    予め得られたクリアランス対応値の温度感度と前記ヒータ・パワー感度との間の関係を示すデータと、前記ヒータ・パワー感度と、から決定した値を使用して、前記測定クリアランス対応値の第1の温度感度を推定し、
    前記第1の温度感度から、クリアランス変化の温度補正係数を決定する、
    ディスク・ドライブ装置。
  10. 前記クリアランス対応値は、前記読み出した信号の高周波成分と低周波成分との間の比から決定される値である、
    請求項9に記載のディスク・ドライブ装置。
  11. 前記クリアランス対応値の測定は同一温度において行われる、
    請求項9に記載のディスク・ドライブ装置。
  12. 前記コントローラは、ヒータ・オフにおいて測定した測定クリアランス対応値と、予め得られた前記温度感度とヒータ・オフにおけるクリアランス対応値との間の関係を示すデータと、を使用して、前記測定クリアランス対応値の第2の温度感度をさらに推定し、前記第1の温度感度及び前記第2の温度感度から前記温度補正係数を決定する、予め測定された温度感度平均値をさらに使用して、前記温度補正係数を決定する
    請求項9に記載のディスク・ドライブ装置。
  13. 前記コントローラは、予め測定された温度感度平均値をさらに使用して、前記温度補正係数を決定する、
    請求項12に記載のディスク・ドライブ装置。
  14. 前記コントローラは、予め測定された温度感度平均値をさらに使用して、前記温度補正係数を決定する、
    請求項9に記載のディスク・ドライブ装置。
  15. 前記決定される温度補正係数は温度に応じて変化する、
    請求項9に記載のディスク・ドライブ装置。
  16. 前記決定される温度補正係数は、異なる傾きを有する複数の温度の一次関数で表される、
    請求項15に記載のディスク・ドライブ装置。
  17. ディスク・ドライブ装置におけるクリアランス変化の温度補正係数を決定する方法であって、
    第一のヒータ・パワーにおいてヘッド・スライダによってディスク上の第一のデータを読み出し、
    前記読み出した第一の信号から前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応する第一のクリアランス対応値を測定し、
    第二のヒータ・パワーにおいて前記ヘッド・スライダによって前記ディスク上の第二のデータを読み出し、
    前記読み出した第二の信号から前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間のクリアランスに対応する第二のクリアランス対応値を測定し、
    前記第一及び第二のクリアランス対応値から測定クリアランス対応値に対するヒータ・パワー感度を決定し、
    予め得られたクリアランス対応値の温度感度とヒータ・パワー感度との間の関係を示すデータを参照し、
    前記ヒータ・パワー感度と前記関係を示すデータとから決定した値を使用して、クリアランス変化の温度補正に使用する前記クリアランス対応値に対する温度感度を推定し、
    前記温度感度から前記温度補正係数を決定する、
    方法。
  18. 前記何れか一方のヒータ・パワーは、ヒータ・オフ状態である、
    請求項17に記載の方法。
  19. 前記第一のデータと前記第二のデータは同一トラックのデータである、
    請求項17に記載の方法。
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