JP2009154054A - 脱ハロゲン化水素触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】 1,2―ジクロロエタン等の炭素数1〜4のハロゲン化飽和炭化水素から脱ハロゲン化水素により塩化ビニル等の不飽和炭化水素を得る反応において、転化率、選択率が良好で、且つ触媒寿命の長い脱ハロゲン化水素触媒を提供し、従来行われてきた製造方法と比較してエネルギーコストを削減する。
【解決手段】
鉄含有量が1000ppmw以下の炭素材からなる触媒とし、該炭素材としては塩化水素吸着点(塩基点)及び水酸化ナトリウム吸着点(酸点)の双方を有し、かつ該塩基点と酸点の少ない方の吸着点量が0.26mmol/g以上の炭素材を採用する。
上記の性質を持つ炭素材は、塩基点の比較的多い活性炭を、その分圧が5〜10kPa程度の酸素存在下に、300〜500℃で2〜10時間程度加熱することにより製造することができる。この活性炭としては、酸点と塩基点の合計が0.52mmol/g以上の塩基性活性炭を採用することが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】
鉄含有量が1000ppmw以下の炭素材からなる触媒とし、該炭素材としては塩化水素吸着点(塩基点)及び水酸化ナトリウム吸着点(酸点)の双方を有し、かつ該塩基点と酸点の少ない方の吸着点量が0.26mmol/g以上の炭素材を採用する。
上記の性質を持つ炭素材は、塩基点の比較的多い活性炭を、その分圧が5〜10kPa程度の酸素存在下に、300〜500℃で2〜10時間程度加熱することにより製造することができる。この活性炭としては、酸点と塩基点の合計が0.52mmol/g以上の塩基性活性炭を採用することが好ましい。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ハロゲン化飽和炭化水素から脱ハロゲン化水素により不飽和炭化水素を製造する際に用いる新規な脱ハロゲン化水素触媒、及び該脱ハロゲン化水素触媒を用いた脱ハロゲン化水素の方法に関する。
ハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離せしめて不飽和炭化水素を製造する脱ハロゲン化水素反応は、広く工業的に実施されている。例えば、1,1,2−トリクロロエタン(以下、TCEと略す)からの塩化ビニリデン(以下、VDCと略す)の製造、1,2−ジクロロエタン(以下、EDCと略す)からの塩化ビニル(以下、VCMと略す)の製造等で実施されている。
例えば、工業的に実施されているVCMの製造は、450〜540℃程度の高温でEDCを熱分解する方法により行われている。この熱分解法においては、ブタジエン、クロロエタン等の分離困難な副生成物の生成、及び反応器へのコーキングを抑制するため、転化率が50%程度に制限されるという問題がある。従って、かかる熱分解法においては、未反応のEDCの量が多く、未反応分の回収工程、精製工程において多大なエネルギーが必要となっているという問題がある。
上記問題点を解決するための方法として、触媒の存在下に、ハロゲン化飽和炭化水素を脱ハロゲン化水素させる方法が、種々提案されている。
例えば、特許文献1では、2Nの硝酸処理により無灰分化した活性炭をEDCの脱ハロゲン化水素触媒として用いることが提案されている。
また、特許文献2では、ホウ素を添加した活性炭を、脱ハロゲン化水素触媒として用いることが提案されている。
特許文献3では、H−Y型あるいはNa、Caイオン交換したY型ゼオライトと、TiCl4、SbCl5、PCl3、などのルイス酸との反応性生物をEDCの脱ハロゲン化水素触媒として用いることが提案されている。
特許文献4では、金属塩化物または金属酸化物を多孔質担体に坦持した脱ハロゲン化水素触媒が提案されている。
特許文献5では、活性炭素繊維を脱ハロゲン化水素触媒として用いることが提案されている。
特許文献6では、窒素と炭素原子からなる環式化合物を沈着させた活性炭素繊維を、脱ハロゲン化水素触媒として用いることが提案されている。
上記のような、特許文献1〜6で提案されている脱ハロゲン化水素触媒を用いることにより、反応温度の低減や、転化率の向上による製造時に必要なエネルギー量の削減、副生成物やコーキングの抑制、また、装置の小型化或いはプロセスの簡素化を実現できることが期待される。
しかしながら、上記提案のなされている触媒は、使用初期こそ高い転化率や選択性を示すものの、使用に従って急速に劣化してしまい、結局、触媒寿命において満足のいくレベルには達しておらず、工業的には実施されていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、十分な触媒寿命を有し、転化率、選択率に優れた脱ハロゲン化水素触媒を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、鉄分の含有量が少ない炭素材において、表面の塩基点、酸点の量を一定値以上に調整すると、触媒寿命が飛躍的に向上することを見出した。
即ち、本発明では、炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させて不飽和炭化水素を製造する際に用いる脱ハロゲン化水素触媒であって、該脱ハロゲン化水素触媒は、鉄含有量が1000ppmw以下の炭素材からなり、該炭素材は塩化水素吸着点及び水酸化ナトリウム吸着点の双方を有し、かつ、該塩化水素吸着点と水酸化ナトリウム吸着点のうちの少ない方の吸着点量が0.26mmol/g以上の炭素材であることを特徴とする脱ハロゲン化水素触媒、及び該脱ハロゲン化水素触媒を用いた不飽和炭化水素の製造方法が提供される。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、転化率、選択率に優れており、また触媒寿命も長く、従って、従来行われている脱ハロゲン化水素反応に必要なエネルギー量を大幅に削減することが可能であり、工業的な価値は極めて高いものである。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させて不飽和結合を生じさせ、不飽和炭化水素を製造するために用いられる触媒である。当該炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素としては、炭素数が2〜4のものであり、脱離する水素原子と塩素原子を各々一つ以上有するものであれば特に限定されず、炭素数2〜4の塩素化飽和炭化水素、臭素化飽和炭化水素及びヨウ素化飽和炭化水素等が挙げられる。より具体的には、クロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン(TCE)、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン(EDC)、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、1,2−ジクロロブタン、1,4−ジクロロブタン等が挙げられる。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、上記例の如き塩素化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させて、不飽和炭化水素を製造するために用いられる。工業的な効率や有用性等の観点から、通常は、脱離させるハロゲン化炭化水素は一分子である。この場合、脱離前のハロゲン化飽和炭化水素が複数のハロゲン原子を有していれば、得られる不飽和炭化水素はハロゲン化不飽和炭化水素である。
本発明の脱ハロゲン化炭化水素の使用により、上記の如き炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素から得られる不飽和炭化水素を具体的に例示すると、エチレン、塩化ビニリデン(VDC)、塩化ビニル(VCM)、プロペン、クロロプロペン類、ブテン類、クロロブテン類等が挙げられる。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、上記のハロゲン化飽和炭化水素のうちでも、EDCからの脱塩素化水素反応によるVCMの製造に特に好適に用いることができる。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、鉄含有量が1000ppmw以下の炭素材からなる。鉄含有量が上記量を超えると、触媒の寿命が短くなってしまい、さらに選択率も低下する。鉄含有量が700ppmw以下であることが好ましく、600ppmw以下がより好ましい。
なお、上記本発明の脱ハロゲン化水素触媒中の鉄含有量は、以下の方法により測定されたものである。
(1)脱ハロゲン化水素触媒0.01g程度を秤量して、三角フラスコに入れ、97%硫酸、5mlを加える。
(2)250℃のホットプレート上で、三角フラスコを加熱し、10分間放置する。
(3)61%の硝酸を1ml、三角フラスコ内に加えて、脱ハロゲン化水素触媒が溶解した時点で、加熱を止める。
(4)三角フラスコ内の溶液を50mlのメスシリンダーに移し、純水でメスアップする。
(5)予め標準溶液にて検量線を求めたICP発光分析装置にて、溶液の鉄分濃度を測定し、脱ハロゲン化水素触媒中の鉄分を算出する。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、塩化水素吸着点(以下、塩基点とも称す)と水酸化ナトリウム吸着点(以下、酸点とも称す)の双方を有する炭素材からなり、これら酸点と塩基点のどちらか少ない方の吸着点量が0.26mmol/g以上である必要がある。塩化水素吸着点量及び水酸化ナトリウム吸着点量が、上記の条件を満たすことで、触媒寿命が飛躍的に向上する。即ち、図3に示すように、酸点と塩基点のどちらか少ない方が多くなるにつれて、触媒が完全に失活するまでの不飽和炭化水素の全発生量も増大する傾向にあるが、該吸着点量が0.26mmol/gまでの増加割合はさほど大きくない(傾きが小さい)のに対し、0.26mmol/g以上となると急速に増加割合が大きくなる(傾きが大きくなる)。
前記した従来技術で使用されているような活性炭も、塩基点及び酸点の双方を有する炭素材であるが、通常は後述するような酸素による酸化処理を行わない限り、塩基点、酸点のどちらか一方、若しくは双方の吸着点量が0.26mmol/g未満であるか、あるいは除去困難な鉄を多量に含むものである。
上記の条件を満たすことにより、脱ハロゲン化水素触媒の触媒寿命が向上する理由は定かではないが、発明者らは以下のように推測している。即ち、脱ハロゲン化水素反応時に生成する中間体のラジカルやイオンは重合反応の開始剤となるものであり、脱ハロゲン化水素反応後の生成物による重合反応を促進するものである。脱ハロゲン化水素触媒表面の析出した重合物は、炭化し、触媒の細孔を閉塞させ、触媒を失活させる原因となるため、重合の開始剤である中間体の寿命は、短いほど良い。塩化水素吸着点量は、脱ハロゲン化水素触媒表面の塩基点の量を示すものであり、また、水酸化ナトリウム吸着点量は、脱ハロゲン化水素触媒表面の酸点の量を示すものである。塩基点と酸点のうちどちらか少ない方が、必要以上の量が存在した場合には、塩基点による水素引き抜き、酸点による塩素引き抜きが同時に行われるようになり、中間体が発生することなく脱ハロゲン化水素が起こるため、触媒寿命が向上したものと推測する。
なお、本発明の脱ハロゲン化水素触媒における塩化水素吸着点(塩基点)量は、以下の方法により測定した値である。
(1)予め100℃、12h以上乾燥させ水分を除去した脱ハロゲン化水素触媒を、1.0g程度秤量し、0.05mol/lの塩酸水溶液、50ml中に入れる。スターラーで攪拌しながら、24時間以上放置する。
(2)脱ハロゲン化水素触媒を濾過し、溶液を回収する。溶液から5mlを採取し、0.05mol/lの水酸化ナトリウム溶液で滴定することにより、溶液中の塩化水素の濃度を求める。
(3)次式により、塩化水素吸着点量を求める。
Q1=(0.05−C1)×50/W (式1)
Q1:塩化水素吸着点量(mmol/g)
W:(1)で秤量した脱ハロゲン化水素触媒の重量(g)
C1:(2)で滴定により求めた塩化水素の濃度(mol/l)
また本発明の脱ハロゲン化水素触媒における水酸化ナトリウム吸着点(酸点)量は、以下の方法により測定した値である。
(1)予め100℃、12h以上乾燥させ水分を除去した脱ハロゲン化水素触媒を、1.0g程度秤量し、0.05mol/lの水酸化ナトリウム水溶液、50ml中に入れる。スターラーで攪拌しながら、24時間以上放置する。
Q1:塩化水素吸着点量(mmol/g)
W:(1)で秤量した脱ハロゲン化水素触媒の重量(g)
C1:(2)で滴定により求めた塩化水素の濃度(mol/l)
また本発明の脱ハロゲン化水素触媒における水酸化ナトリウム吸着点(酸点)量は、以下の方法により測定した値である。
(1)予め100℃、12h以上乾燥させ水分を除去した脱ハロゲン化水素触媒を、1.0g程度秤量し、0.05mol/lの水酸化ナトリウム水溶液、50ml中に入れる。スターラーで攪拌しながら、24時間以上放置する。
(2)脱ハロゲン化水素触媒を濾過し、溶液を回収する。溶液から5mlを採取し、0.05mol/lの塩酸水溶液で滴定することにより、溶液中の水酸化ナトリウムの濃度を求める。
(3)次式により、水酸化ナトリウム吸着点量を求める。
Q2=(0.05−C2)×50/W (式2)
Q2:水酸化ナトリウム吸着点量(mmol/g)
W:(1)で秤量した脱ハロゲン化水素触媒の重量(g)
C2:(2)で滴定により求めた、水酸化ナトリウムの濃度(mol/l)
なお上記方法により測定される酸点は、カルボキシル基、ラクトン基、フェノール性水酸基等であると考えられる。
Q2:水酸化ナトリウム吸着点量(mmol/g)
W:(1)で秤量した脱ハロゲン化水素触媒の重量(g)
C2:(2)で滴定により求めた、水酸化ナトリウムの濃度(mol/l)
なお上記方法により測定される酸点は、カルボキシル基、ラクトン基、フェノール性水酸基等であると考えられる。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒としては、上記酸点と塩基点のうちの少ない方の吸着点量が0.27mmol/g以上であることがより好ましく、0.28mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.40mmol/g以上であることが最も好ましい。一方、本発明者らの検討によれば、上記酸点量及び塩基点量は、その少ない方の値が大きければ大きいほど長寿命の脱ハロゲン化水素触媒とできるため上限が定められるものではないが、少ない方の値が0.90mmol/g以下のものの製造が容易であり、0.70mmol/g以下のものがさらに容易であり、0.50mmol/g以下のものが特に容易である。また多い方の吸着点量も特に制限されないが1.0mmol/g以下のものの製造が容易である。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒は炭素材からなる。当該炭素材は、酸点量及び塩基点量を上記値以上とできるものであれば特に限定されない。具体的には、活性炭、カーボンブラック、フラーレン等、及びこれらを酸化処理した炭素材などが挙げられる。酸点量及び塩基点量を上記値以上とするためには、比較的大きな比表面積が必要であり、別の見方をすれば、比表面積が大きいほど酸点量及び塩基点量を大きくしやすい。従って好適には、大きな比表面積を有する点で、活性炭及びこれを酸化処理した炭素材等の多孔質炭素材である。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒の比表面積は特に限定されないが、極端に小さすぎると酸点量及び塩基点量が上記値以上とならない。一方、比表面積が極端に大きいものを得ることは困難である。本発明の脱ハロゲン化水素触媒としては、比表面積が100〜3000m2/gであることが好ましく、1000〜3000m2/gであることがより好ましい。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒の形状は特に限定されず、繊維状、ハニカム状、円柱状、破砕状、粒状、粉末状等の如何なる形状でもよく、取扱いの容易さやハロゲン化飽和炭化水素との接触方式に合わせて適宜決定すればよい。通常は、繊維状、円柱状、破砕状、粒状とすることが好ましい。
上記本発明の脱ハロゲン化水素触媒を製造する方法は特に限定されないが、好適には、塩基点の比較的多い活性炭を、酸素の存在下に300℃〜500℃で加熱することにより製造することができる。
即ち、本発明者らの検討によれば、通常入手できる活性炭であって、かつ鉄含有量が1000ppmw以下の(又は酸洗浄等により1000ppmw以下とできる)活性炭は、酸点、塩基点の双方が少ないか、あるいは酸点が少なく塩基点が多いものである。そして酸素存在下に活性炭を300℃〜500℃で加熱することにより、該活性炭の有する酸点が増加し一方で塩基点が減少する(図4及び図5参照)。塩基点の減少量は、酸点の増加量の0.5〜1倍程度である。
従って、塩基点の比較的多い活性炭を、酸素の存在下に300℃〜500℃で加熱することによって酸点、塩基点の双方が多い炭素材とすることができる。なおこの方法では通常は塩基点が減少するため、原料とする活性炭は少なくとも0.26mmol/gを超える量の塩基点を有している必要がある。塩基点の減少量は大きくとも酸点の増加量の1倍程度であるから、原料が有している酸点の量にもよるが最低でも、酸点量と塩基点量との合計が0.52mmol/g(但し、塩基点は0.26mmol/gを超える量)以上の活性炭を加熱処理すれば、本発明の脱ハロゲン化水素触媒を得ることができる。通常は酸点と塩基点との合計量が多いほど上記酸化処理後に得られる酸点と塩基点との合計量も多い。好ましくは0.55mmol/g以上、特に好ましくは0.80mmol/g以上の活性炭を原料とする。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒の製造における上記の酸素存在下での加熱処理の際の処理温度としては300〜500℃であることが好ましい。高い温度ほど効率的に酸点の減少と塩基点の増加が起こるが、酸素存在下での加熱であるため、温度が高すぎると炭素が燃焼してしまう。より好ましくは400〜480℃であり、最も好適には、450℃程度である。なお、炭素材中の不純物、特にアルカリ金属類が多く含まれる場合には燃焼開始温度が低下するため、相対的により低温で酸化処理を行うことが好ましい。
上記の酸素存在下での加熱処理の際の酸素濃度としては、酸素分圧で5〜10kPa(大気圧下では、酸素濃度5〜10vol%相当)程度が好適である。酸素分圧がこの範囲より高いと、反応熱により処理温度が不均一となり、炭素材の処理状態に分布が生じる可能性がある。なお純酸素下で加熱処理を行ってもよいが、燃焼反応を抑制できる点で、不活性ガスとの混合ガスとし、ほぼ大気圧で処理することが好ましい。この場合の希釈用不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
上記の酸素存在下での加熱処理の際の処理時間としては、炭素材中に含まれる不純物、処理温度、酸素濃度にもよるが、不純物の少ない活性炭を、450℃、酸素濃度5vol%の条件で処理する場合には、1〜10時間程度が好適である。処理時間を長くするほど、水酸化ナトリウム吸着点量は増加するが、塩化水素吸着点量は減少する。予め実験的に確認しておくなどして、本発明の範囲に入るように処理時間を調整すればよい。
なお、より少ない方の吸着点量が効果を有するという点から、加熱時間を調整し、塩基点量とほぼ同程度になるまで酸点量を増加させることが特に好ましい。
上記条件下での加熱処理の操作方法も特に限定されるものではないが、例えば、以下のような操作があげられる。即ち、ステンレスのチューブ内に炭素材を入れ、電気炉内に設置し、チューブ内を窒素で流通しながら目的の温度まで昇温する。その後、流通する窒素中に酸素を少しずつ混合していき、目的の酸素濃度のガスを、チューブ内に流通させる。一定時間処理をした後に、酸素止めて、窒素流通しながら冷却し、炭素材を取り出す。むろんこれは一例であり、この方法に限定されないことはいうまでもない。
上記加熱処理の対象となる活性炭としては、市販のものを採用すればよく、当該活性炭としては、前述の如き吸着点量を有するものであり、かつ最終的な鉄含有量を1000ppmw以下とできるものであれば特に限定されない。例えば、木材、ヤシ殻、ピート、木材、石炭、ピッチ、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂等を原料とした活性炭を用いることができる。これらのなかでも、酸洗浄等によって最終的な鉄含有量を少なくすることが容易な点で、非石炭質性の物質を原料とした活性炭であることが好ましい。
また、炭化物を賦活して活性炭とする際の賦活処理方法も特に限定されず、水蒸気、リン酸、酸化亜鉛等の公知の賦活処理によって製造された活性炭を使用することができる。このうち、水蒸気で賦活処理を行ったものは、塩基点量が大きくなる傾向にあるため、前記酸素存在下での加熱処理により本発明の脱ハロゲン化水素触媒を製造する際の原料として特に好適である。なお、水蒸気による賦活処理の温度、時間により、塩基点量を調整することができ、温度が高くなるほど、時間が長くなるほど、塩基点量が増える傾向にある。
また前記加熱処理により、比表面積はほとんど変化がないか、条件によっては、10〜30%程度増加する。従って、本発明の脱ハロゲン化水素触媒の原料となる活性炭としては、100〜2500m2/gのものであることが好ましく、更に好適には、1000〜2500m2/gのものである。
また原料として用いる活性炭の形状も特に限定されない。通常、前記加熱処理によりその形状が変化することはないため、求める脱ハロゲン化水素触媒の形状に応じて、繊維状、ハニカム状、円柱状、破砕状、粒状、粉末状等の形状の活性炭を原料として採用すればよい。また、必要に応じて、前記加熱処理後に所望の形状に加工することも可能である。
本発明の脱ハロゲン化水素触媒の鉄含有量を1000ppmw以下とするために、原料となる活性炭として鉄含有量の少ない活性炭を用いるか、あるいは前記加熱処理前に塩酸等の酸で洗浄して鉄含有量を減らすことが好ましい。加熱処理後に酸洗浄することも可能であるが、当該酸洗浄により吸着点量が変化してしまう可能性がある。なお前述したように、石炭質性の原料を用いた活性炭の場合には、酸洗浄によっても除去困難な鉄が含まれる場合が多いため、非石炭質性の原料を用いた活性炭が好ましい。
上記の如く、本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、活性炭を酸素存在下に加熱することにより容易に製造できるが、該製造方法に限定されるものではなく、活性炭以外の炭素材を原料としたり、酸素存在下での加熱処理以外の方法で吸着点量を調整して製造しても問題ない。
さらにまた、上記した酸素存在下に300〜500℃で加熱するという本発明の脱ハロゲン化水素触媒の製造方法は、長寿命化された、炭素材からなる脱ハロゲン化水素触媒の製造方法としても応用できる。
即ち、前記条件で炭素材を加熱することにより、該炭素材の塩基点(塩化水素吸着点)が減少し、酸点(水酸化ナトリウム吸着点)が増加する。そして前述したとおり、脱ハロゲン化水素触媒の寿命は、塩基点又は酸点のより少ない方の量に依存して決まる。
従って、酸点が少なく塩基点の多い炭素材を前記条件で加熱処理して酸点を増大させることにより、加熱処理前よりも寿命の長い脱ハロゲン化水素触媒を得ることができる。むろんこの場合、加熱時間が長すぎると塩基点量が少なくなりすぎて、加熱前の酸点量よりも少なくなってしまっては長寿命化ではなく短寿命化になってしまうため、加熱時間(Y)を調整し、加熱処理後の塩基点量が加熱処理前の酸点量よりも少なくなる時間(X)より短い時間とする必要がある(X>Y)。
論ずるまでもなく、脱ハロゲン化水素触媒の寿命は長い方が好ましく、条件さえ許せば前述したような塩基点と酸点のうちの少ない方の吸着点量が0.26mmol/g以上のものであることが望ましい。しかしながら、原料とする活性炭の入手コストや納期等の問題で、このような脱ハロゲン化水素触媒へと変換できる適切な原料が入手できない場合でも、本加熱処理方法を適用することによって相対的に長寿命化することができるため、工業的に極めて有意義な方法である。
前記のとおり本発明の脱ハロゲン化水素触媒は、炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素に接触させることにより、該ハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させ、炭素数2〜4の不飽和炭化水素を製造するために用いる触媒である。当該接触脱ハロゲン化水素の方法は、公知の方法により行うことができる。具体的には、流動床や固定床の反応器に脱ハロゲン化水素触媒を充填し、ハロゲン化飽和炭化水素を流通、接触させ、脱ハロゲン化水素する方法が挙げられる。
上記、接触脱ハロゲン化水素する際の処理温度としては、好ましくは250〜550℃の条件で行うことができ、更に好ましくは、300〜400℃の条件で行うことができる。処理温度がこの範囲より低い場合には、実用的な転化率を得ることが難しくなり、また、処理温度がこの範囲を超えて高い場合には、選択率が悪くなる傾向にあり、また、触媒寿命も低下する傾向にある。
上記接触脱ハロゲン化水素方法における脱ハロゲン化水素触媒の使用量は特に限定されないが、例えば、脱ハロゲン化水素触媒1gあたり、気体の体積流量として1〜50ml/minのハロゲン化不飽和炭化水素を接触させることが好適である。
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
脱ハロゲン化水素触媒を製造するための原料とした活性炭及び比較例で用いた活性炭は以下の通りである。
活性炭A:木質系原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
活性炭B:ヤシ殻原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
活性炭C:ヤシ殻原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
活性炭D:石炭原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
なお上記活性炭はいずれも市販品として入手可能である。
活性炭B:ヤシ殻原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
活性炭C:ヤシ殻原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
活性炭D:石炭原料、水蒸気賦活処理、塩酸洗浄
なお上記活性炭はいずれも市販品として入手可能である。
1.脱ハロゲン化水素触媒の製造
ステンレスのチューブ内に原料となる活性炭を入れ、電気炉内に設置し、チューブ内を窒素で流通しながら450℃まで昇温した。その後、流通する窒素中に酸素を少量ずつ混合してゆき、約10分間かけて酸素濃度を5vol%まで上昇させた。この状態で所定時間の加熱処理を行った後、酸素の混合を停止し、窒素を流通しながら冷却して製造した。得られた脱ハロゲン化水素触媒の塩化水素吸着点及び水酸化ナトリウム吸着点は、前述した方法で測定した。
ステンレスのチューブ内に原料となる活性炭を入れ、電気炉内に設置し、チューブ内を窒素で流通しながら450℃まで昇温した。その後、流通する窒素中に酸素を少量ずつ混合してゆき、約10分間かけて酸素濃度を5vol%まで上昇させた。この状態で所定時間の加熱処理を行った後、酸素の混合を停止し、窒素を流通しながら冷却して製造した。得られた脱ハロゲン化水素触媒の塩化水素吸着点及び水酸化ナトリウム吸着点は、前述した方法で測定した。
2.脱ハロゲン化水素性能の測定
以下の実施例及び比較例では、図1に示す固定床流通反応装置を使用し、次のようにしてEDCの脱塩化水素反応によるVCMの製造を実施し、触媒性能を評価した。
先ず、この固定床流通反応装置では、内径7.1mm×長さ300mmのステンレス製の管からなる反応器5が配置され、この反応器5の上部と下部にガラスビーズ、及び石英綿を充填され、中央部の約100mmに脱ハロゲン化水素触媒が充填されている。反応器5の外側には電気ヒーター4が配設されている。また、反応器5の上流側には、外部にヒーター2が取り付けられた内径2.2mm×長さ2000mmのステンレス製の管からなる予熱器3が配置されており、定量ポンプ1によりEDCが予熱器3に供給され、気化・予熱されたEDCが反応器5中に連続的に供給されるようになっている。また、定量ポンプ1と予熱器3の間の配管には、窒素供給口7が設けられており、流量コントローラ6を介して所定量の窒素ガスが供給されるようになっている。さらに、反応器5の下流側には、反応液トラップ13及び除外トラップ14が配置されており、反応器5から連続的に排出される反応ガスは、反応液トラップ13及び除外トラップ14を介して、生成した塩化ビニルと共に回収されるようになっている。
以下の実施例及び比較例では、図1に示す固定床流通反応装置を使用し、次のようにしてEDCの脱塩化水素反応によるVCMの製造を実施し、触媒性能を評価した。
先ず、この固定床流通反応装置では、内径7.1mm×長さ300mmのステンレス製の管からなる反応器5が配置され、この反応器5の上部と下部にガラスビーズ、及び石英綿を充填され、中央部の約100mmに脱ハロゲン化水素触媒が充填されている。反応器5の外側には電気ヒーター4が配設されている。また、反応器5の上流側には、外部にヒーター2が取り付けられた内径2.2mm×長さ2000mmのステンレス製の管からなる予熱器3が配置されており、定量ポンプ1によりEDCが予熱器3に供給され、気化・予熱されたEDCが反応器5中に連続的に供給されるようになっている。また、定量ポンプ1と予熱器3の間の配管には、窒素供給口7が設けられており、流量コントローラ6を介して所定量の窒素ガスが供給されるようになっている。さらに、反応器5の下流側には、反応液トラップ13及び除外トラップ14が配置されており、反応器5から連続的に排出される反応ガスは、反応液トラップ13及び除外トラップ14を介して、生成した塩化ビニルと共に回収されるようになっている。
尚、予熱器3及び反応器5内でのガス温度を所定温度に調整するために、それぞれ、温度センサー12,13が設けられ、反応器5の入り口側には、圧力センサー11が設けられ、反応器5内の圧力を検知し得るようになっている。また、また、反応器5の入り口側及び出口側には、それぞれ、サンプリング口9、8が設けられている。
各実施例及び比較例においては、各例で調製された触媒を1.0g充填し、次いで、予熱器を190℃、反応器を400℃の条件下、マスフローコントローラー(6)を用いて80ml/minの量に調節した窒素ガスを窒素供給口(7)から1時間連続的に供給し、触媒の前処理を行った。
次いで、窒素ガスを80ml/minの供給を継続しながら、予熱器3及び反応器5の温度をそのままの状態に維持し、定量ポンプ1から0.1ml/minの量でEDCを反応器5内に連続的に供給してEDCの脱塩化水素反応を行った。
反応により得られた生成物は、反応器5の出口に取り付けたサンプリング口8より反応後のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーにより分析し、EDCの転化率、VCMへの選択率を求めた(選択率については、いずれの実験例でも反応時間に対してほとんど変化を示さなかった)。
反応により得られた生成物は、反応器5の出口に取り付けたサンプリング口8より反応後のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーにより分析し、EDCの転化率、VCMへの選択率を求めた(選択率については、いずれの実験例でも反応時間に対してほとんど変化を示さなかった)。
転化率及び選択率は、下記の式より算出した。
転化率(モル%)
=(供給EDC(モル)−未反応EDC(モル))/供給EDC(モル)×100
選択率(モル%)
=VCM(モル)/(供給EDC(モル)−未反応EDC(モル))×100
尚、いずれの実験例でも、反応器5の入口に取り付けたサンプリング口9より反応器5へ供給されるガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーで分析して、予熱器3内で供給EDCの脱ハロゲン化水素反応が生じていないことを確認した。
転化率(モル%)
=(供給EDC(モル)−未反応EDC(モル))/供給EDC(モル)×100
選択率(モル%)
=VCM(モル)/(供給EDC(モル)−未反応EDC(モル))×100
尚、いずれの実験例でも、反応器5の入口に取り付けたサンプリング口9より反応器5へ供給されるガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーで分析して、予熱器3内で供給EDCの脱ハロゲン化水素反応が生じていないことを確認した。
製造例1
市販の活性炭Aの熱処理時間を4時間として脱ハロゲン化水素触媒を調製した。これを熱処理活性炭A−4とする。
市販の活性炭Aの熱処理時間を4時間として脱ハロゲン化水素触媒を調製した。これを熱処理活性炭A−4とする。
製造例2、3
熱処理時間を1時間又は10時間に変更した以外は、製造例1と同様に調整した。熱処理時間が1時間のものを熱処理活性炭A−1、同10時間のものを熱処理活性炭A−10とする。
熱処理時間を1時間又は10時間に変更した以外は、製造例1と同様に調整した。熱処理時間が1時間のものを熱処理活性炭A−1、同10時間のものを熱処理活性炭A−10とする。
製造例4
活性炭Bの熱処理時間を2時間として脱ハロゲン化水素触媒を調製した。これを熱処理活性炭B−2とする。
活性炭Bの熱処理時間を2時間として脱ハロゲン化水素触媒を調製した。これを熱処理活性炭B−2とする。
製造例5
活性炭Bの熱処理時間を4時間として脱ハロゲン化水素触媒を調製した。これを熱処理活性炭B−4とする。
活性炭Bの熱処理時間を4時間として脱ハロゲン化水素触媒を調製した。これを熱処理活性炭B−4とする。
これらの製造例により得た脱ハロゲン化水素触媒の鉄含有量、脱ハロゲン化水素触媒の塩化水素吸着点及び水酸化ナトリウム吸着点を表1に示す。
また、これら製造例における活性炭A又は活性炭Bの熱処理時間と、塩基点及び酸点の変化を図4及び図5として示した。表1及びこれをプロットした図4及び図5から、活性炭を酸素存在下に加熱処理することにより、塩基点が減少し、酸点が増加することがわかる。
実施例1
熱処理活性炭A−4を脱ハロゲン化水素触媒として、前記の方法でEDCの脱塩化水素反応を行った。脱塩化水素反応の継続時間と、転化率の関係を図2に示す。また選択率は反応時間によらずほぼ一定で、平均98.7%であった。
熱処理活性炭A−4を脱ハロゲン化水素触媒として、前記の方法でEDCの脱塩化水素反応を行った。脱塩化水素反応の継続時間と、転化率の関係を図2に示す。また選択率は反応時間によらずほぼ一定で、平均98.7%であった。
比較例1
熱処理を行っていない状態の活性炭Aを脱ハロゲン化水素触媒として、EDCの脱塩化水素反応を行った。脱塩化水素反応の継続時間と、転化率の関係を図2に示す。また選択率は反応時間によらずほぼ一定で、平均98.8%であった。
熱処理を行っていない状態の活性炭Aを脱ハロゲン化水素触媒として、EDCの脱塩化水素反応を行った。脱塩化水素反応の継続時間と、転化率の関係を図2に示す。また選択率は反応時間によらずほぼ一定で、平均98.8%であった。
上記実施例1及び比較例1の結果を図示した図2からわかるように、反応時間に対する転化率の変化は直線状に低下していく。そこで反応開始1時間後の転化率を初期転化率とし、転化率が初期転化率の半分になった時点を半減期とし、触媒寿命の指標とした。また転化率が0%になるまで同じ傾きで転化率が減少するものと仮定し、触媒が完全に失活するまでに発生するVCMの総発生量(VCM量)を、初期転化率、半減期及び選択率から求めた。この結果を表2に示す。
実施例2、3
脱ハロゲン化水素触媒として、熱処理活性炭A−1又は熱処理活性炭A−10を用いてEDCの脱塩化水素反応を行い、初期転化率、半減期及び選択率を測定し、VCM発生量を求めた。結果を表2に示す。
脱ハロゲン化水素触媒として、熱処理活性炭A−1又は熱処理活性炭A−10を用いてEDCの脱塩化水素反応を行い、初期転化率、半減期及び選択率を測定し、VCM発生量を求めた。結果を表2に示す。
上記表2から、活性炭Aを酸素存在下に加熱処理すると、触媒失活までのVCMの総発生量が増加する、即ち、長寿命化できていることが理解できる。
さらに加熱処理の時間が4時間まではVCM量が増大し続けるが、10時間まで長くすると再び減少に転じていることもわかる。前記表1及び図4に示したように、活性炭の加熱処理の時間を長くすることによって塩基点量は減少を続ける一方、酸点量は増加していくから、VCM量は、これら吸着点の何れか一方の量のみに依存するものではないことが明らかである。これに対し、脱ハロゲン化水素触媒の有する塩基点と酸点のうちの少ない方の吸着点量に対して、VCM量をプロットすると、良好な相関関係が見られる(図3参照)。即ち、VCM量は、脱ハロゲン化水素触媒の有する塩基点と酸点のうちの少ない方の吸着点量に依存している。
比較例2、実施例4、5
活性炭B、熱処理活性炭B−2又はB−4を脱ハロゲン化水素触媒として、EDCの脱塩化水素反応を行い、初期転化率、半減期及び選択率を測定し、VCM量を求めた。結果を表3に示す。
活性炭B、熱処理活性炭B−2又はB−4を脱ハロゲン化水素触媒として、EDCの脱塩化水素反応を行い、初期転化率、半減期及び選択率を測定し、VCM量を求めた。結果を表3に示す。
上記結果に示すように、活性炭Bも酸素存在下に加熱処理すると、触媒失活までのVCM発生量が増加する、即ち、長寿命化できている。
また、この系列においても、VCM量は、脱ハロゲン化水素触媒の有する塩基点と酸点のうちの少ない方の吸着点量に依存していることがわかる。
比較例3及び4
市販の活性炭C又は活性炭Dを加熱処理せずにそのまま脱ハロゲン化触媒としてEDCの脱塩化水素反応を行い、初期転化率、半減期及び選択率を測定し、VCM量を求めた。結果を表4に示す。
市販の活性炭C又は活性炭Dを加熱処理せずにそのまま脱ハロゲン化触媒としてEDCの脱塩化水素反応を行い、初期転化率、半減期及び選択率を測定し、VCM量を求めた。結果を表4に示す。
比較例5
反応器5内に触媒を充填せず、実施例1と同様に試験を行った。脱ハロゲン化水素触媒を用いないと、著しく初期転化率が低く、半減期及びVCM量は実質的な値としては測定できなかった。
反応器5内に触媒を充填せず、実施例1と同様に試験を行った。脱ハロゲン化水素触媒を用いないと、著しく初期転化率が低く、半減期及びVCM量は実質的な値としては測定できなかった。
上記実施例1〜5及び比較例1〜4におけるVCM量と用いた脱ハロゲン化水素触媒の有する塩基点及び酸点のうちの小さい方の吸着点量をプロットしたのが図3である。鉄含有量が1000ppmw以下(150〜530ppmw)の脱ハロゲン化水素触媒を用いた実施例1〜5及び比較例1〜3は、その鉄含有量に依存せず、塩基点及び酸点のうちの小さい方の吸着点量と良好な相関を示し、少ない方の吸着点量が大きいほどVCM量も多くなっている。そして、その増加割合は、少ない方の吸着点量が0.26mmol/gまではあまり大きくないが、この値を超えると急速に増大することもこの図3から理解できる。
しかしながら比較例4として示されているように、鉄含有量が1000ppmwを超えていると上記の関係は成り立たず、VCM量は大幅に少ないものとなる。
1:定量ポンプ
2:予熱器用ヒーター
3:予熱器
4:反応器用ヒーター
5:反応器
6:マスフローコントローラー
7:窒素供給口
8:出口サンプリング口
9:入口サンプリング口
10:温度センサー
11:圧力センサー
12:温度センサー
13:反応液用トラップ
14:除害トラップ
2:予熱器用ヒーター
3:予熱器
4:反応器用ヒーター
5:反応器
6:マスフローコントローラー
7:窒素供給口
8:出口サンプリング口
9:入口サンプリング口
10:温度センサー
11:圧力センサー
12:温度センサー
13:反応液用トラップ
14:除害トラップ
Claims (5)
- 炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させて不飽和炭化水素を製造する際に用いる脱ハロゲン化水素触媒であって、該脱ハロゲン化水素触媒は、鉄含有量が1000ppmw以下の炭素材からなり、該炭素材は塩化水素吸着点及び水酸化ナトリウム吸着点の双方を有し、かつ、該塩化水素吸着点と水酸化ナトリウム吸着点のうちの少ない方の吸着点量が0.26mmol/g以上の炭素材であることを特徴とする脱ハロゲン化水素触媒。
- 請求項1記載の脱ハロゲン化水素触媒と炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素とを、250℃〜550℃の温度下で接触させて該ハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させることを特徴とする炭素数2〜4の不飽和炭化水素の製造方法。
- 塩化水素吸着点量が水酸化ナトリウム吸着点量よりも多い炭素材を、酸素の存在下に、300℃〜500℃で、加熱後の塩化水素吸着点量が加熱前の水酸化ナトリウム吸着点量より少なくなる時間よりも短い時間加熱することを特徴とする、炭素数2から4のハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させて不飽和炭化水素を製造する際に用いる脱ハロゲン化水素触媒の製造方法。
- 炭素材として、鉄含有量が1000ppmw以下の炭素材を用いる請求項3記載の製造方法。
- 請求項3又は4記載の製造方法により脱ハロゲン化水素触媒を得、次いで該脱ハロゲン化水素触媒と炭素数2〜4のハロゲン化飽和炭化水素とを、250℃〜550℃の温度下で接触させて該ハロゲン化飽和炭化水素からハロゲン化水素を脱離させることを特徴とする炭素数2〜4の不飽和炭化水素の製造方法。
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Cited By (1)
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TWI498160B (zh) * | 2014-10-22 | 2015-09-01 | Formosa Plastics Corp | 1,2-二氯乙烷裂解用催化劑及催化1,2-二氯乙烷裂解的方法 |
-
2007
- 2007-12-25 JP JP2007332446A patent/JP2009154054A/ja active Pending
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TWI498160B (zh) * | 2014-10-22 | 2015-09-01 | Formosa Plastics Corp | 1,2-二氯乙烷裂解用催化劑及催化1,2-二氯乙烷裂解的方法 |
CN105268457A (zh) * | 2014-10-22 | 2016-01-27 | 台湾塑胶工业股份有限公司 | 1,2-二氯乙烷裂解用催化剂及催化1,2-二氯乙烷裂解的方法 |
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