JP2009152862A - 可変インダクタンスコイル、並びにそれを備えたブースターアンテナおよび読取書込装置 - Google Patents

可変インダクタンスコイル、並びにそれを備えたブースターアンテナおよび読取書込装置 Download PDF

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泰雄 大島
Kaname Ichinose
要 一瀬
Susumu Shigeta
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Abstract

【課題】手間のかからず利便性の良い方法で、ICカードをはじめとする非接触通信媒体のデータの漏洩などを抑制し、安全性を向上させることが可能な可変インダクタンスコイル並びにそれを備えたブースターアンテナ、読取書込装置を提供する。
【解決手段】可変インダクタンスコイルは、一対の電極と、電極間に設けられた密閉部と、密閉部内に収納される第1の媒体、および第1の媒体と誘電率の異なる第2の媒体とを備え、回転位置に応じてインダクタンスが変化する。この可変インダクタンスコイルを備えるブースターアンテナおよび読取書込装置は、回転位置に応じて共振周波数を変化させることができるため、非接触通信媒体と読取書込装置との間のデータ通信を制御することができ、非接触媒体の所有者が意図しないときのデータの漏洩を抑制することができる。
【選択図】図2

Description

この発明は、可変インダクタンスコイル、並びにそれを備えたブースターアンテナおよび読取書込装置に関し、詳しくは、回転状態に応じて静電容量が変化する可変インダクタンスコイル、並びにそれを備えたブースターアンテナおよび読取書込装置に関する。
近年、情報を電子的に記憶することができる集積回路(IC:Integrated Circuit)を搭載し、電磁気的信号を用いて読取書込装置と非接触でデータ通信を行える非接触通信媒体、例えばICカードが多数利用されている。ICカードは、例えば駅の改札や店頭での電子決済等の電子マネーとしての利用が急速に普及し、社会的インフラストラクチャとしての地位を確立しつつある。
ICカードは、搭載されたICを動作させるのに必要な電力供給を、読取書込装置から電磁気的信号を受信し、電磁誘導によって得るものが主流である。すなわち、ICカードは読取書込装置の近傍に近づけられると、読取書込装置からの電磁気的信号を受信して動作電力を得ると主に、電磁気的信号を利用して読取書込装置との間でデータ通信を行う。このようなICカードと読取書込装置との通信距離は、数cmであることから、適用分野によっては通信距離の延長が要請されている。
そこで、例えば下記特許文献1および特許文献2には、RFID(Radio Frequency Identification)タグシステムにおいて、非接触通信媒体と読取書込装置との間にブースターアンテナを配置してRFIDタグ間の通信距離を延長させる方法が記載されている。また、例えば下記特許文献3には、ICカード用カードケースにアンテナを内蔵し、ブースターとして機能させることにより、通信距離を延長させるブースター付きカードケースが提案されている。
特開2000−138621号公報
特開2005−323019号公報
特開2005−332015号公報
図25に、ICカード20と読取書込装置30との間に配置されたブースターアンテナ100の構成の一例を模式的に示す。以下、ICカード20、読取書込装置30、およびブースターアンテナ100の構成について概略的に説明する。
ICカード20は、プラスチックなどにより構成される基板23と、基板23に設けられるアンテナコイル21と、ICチップ22とを有する。
アンテナコイル21は例えば電磁誘導コイルであり、その端部はICチップ22の所定の端子に接続される。アンテナコイル部22は読取書込装置30から送信された電磁気的信号によって電力を誘起し、その電力をICチップ22に供給すると共に、読取書込装置30とデータ通信を行う。
ICチップ22は、図示はしないが、読取書込装置30との間で行われる通信動作の制御等を行うマイクロコンピュータ(マイコン)およびプログラムや情報を記録するためのメモリ等により構成される。
読取書込装置30は、アンテナコイル31と、回路部32とを備える。なお、回路部32は、ケーブル等を介してインターフェース部に接続されるが、簡単のため図示を省略する。インターフェース部は、例えば送信回路(変調回路)と、受信回路(復調回路)等からなる。送信回路は、図示しない外部ホスト装置からのデータを、例えば搬送周波数の振幅を替えることによって伝送信号に変換し、アンテナコイル31に送信する。受信回路は、アンテナコイル31を介してICカード20から受信した信号を基底帯域信号に変換してデータを得て、図示しない外部ホスト装置に送信する。
回路部32は、キャパシタや抵抗等を有し、アンテナコイル31と接続されて共振回路を構成する。アンテナコイル31は、例えば13.56MHzなどの所定の搬送周波数Foの電磁気的信号をICカード20へ送信、またはICカード20から受信して、ICカ
ード20と交信を行う。
ブースターアンテナ100は、アンテナコイル101と、キャパシタ102からなる共振回路により構成される。
ブースターアンテナ100は、読取書込装置30から送信される電磁気的信号を中継してICカード20に転送する。また、ICカード20から送信される電磁気的信号を中継して読取書込装置30に転送する。したがって、このようなブースターアンテナ100をICカード20と読取書込装置30との間に配置することにより、ICカード20と読取書込装置30との間の通信可能距離を延長させることができる。
ところで、ICカード20は読取書込装置30から電力を得て自動的に動作することから、ICカード20の所有者の知らないうちにICカード20の記録情報が不正に読み出されてしまい(スキミング)、情報漏洩や不正な取り引き等のトラブルが発生するという問題がある。特に、通信可能距離が延長されると、このようなスキミングによるトラブルが多発する可能性が高くなると考えられる。
このようなトラブルを防止するため、暗号化などによりデータの漏洩を防止する処置が講じられる。しかしながら、暗号化は解読により破られる危険性を伴うため、その危険性を取り除くことが要望されている。
そこで、例えば下記特許文献4および特許文献5には、ICカードを保持するカードケース自体を電磁波シールド材料で作製することにより、ICカードをカードケースに保持している状態において、外部から非接触通信媒体に届く電磁気的信号を全て遮断し、スキミングを防止する方法が提案されている。
特開平10−307902号公報
特開平11−045316号公報
しかしながら、上述の特許文献4および特許文献5に記載のものは、ICカードを利用する際には、ICカードをカードケースから取り出して使用しなければならないため、利便性に欠けるという問題があった。
したがって、この発明の目的は、手間のかからず利便性の良い方法で、ICカードをはじめとする非接触通信媒体のデータの漏洩などを抑制し、安全性を向上させることが可能なブースターアンテナおよび読取書込装置、並びにそれらに用いられる可変インダクタンスコイルを提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の発明は、コイル部と、
コイル部と重なり合う位置に設けられた密閉部と、
密閉部内に収納される第1の媒体、および第1の媒体と透磁率および/または導電率の異なる第2の媒体とを備え、
回転状態に応じてインダクタンスが変化することを特徴とする可変インダクタンスコイルである。
第2の発明は、回転状態に応じてインダクタンスが変化する可変インダクタンスコイルと、
可変インダクタンスコイルと接続されるキャパシタとを備え、
可変インダクタンスコイルは、コイルと、
コイルと重なり合う位置に設けられた密閉部と、
密閉部内に収納される第1の媒体、および第1の媒体と透磁率および/または導電率の異なる第2の媒体とを有し、
回転状態に応じて共振周波数が変化することを特徴とするブースターアンテナである。
第3の発明は、非接触通信媒体とデータ通信を行う読取書込装置であって、
回転状態に応じてインダクタンスが変化する可変インダクタンスコイルと、
可変インダクタンスコイルと接続されるキャパシタとを備え、
可変インダクタンスコイルは、コイルと、
コイルと重なり合う位置に設けられた密閉部と、
密閉部内に収納される第1の媒体、および第1の媒体と透磁率および/または導電率の異なる第2の媒体とを有し、
回転状態に応じて共振周波数が変化することを特徴とする読取書込装置である。
この発明によれば、回転状態に応じて可変インダクタンスコイルのインダクタンスを変化させることができる。したがって、回転状態に応じてブースターアンテナおよび読取書込装置の共振周波数を変化させることができるので、手間のかからず利便性の良い方法で、非接触通信媒体と読取書込装置との間で行われるデータ通信を制御することができ、非接触通信媒体のデータの漏洩を抑制して安全性を向上させることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態による可変インダクタンスコイルは、可変インダクタンスコイルの向き(回転状態)に応じてインダクタンスが変化するものである。
図1は、第1の実施形態による可変インダクタンスコイル1の構成を示す略線図である。図1に示すように、この可変インダクタンスコイル1は、コイル部2と、コイル部2と重なり合うように設けられた密閉部3と、密閉部3の内部に収容された第1の媒体4および第2の媒体5とにより構成される。コイル部2の端部は例えば電極に接続される。
第1の媒体4は、例えば磁性液体、磁性粉体、あるいは磁性固体等の磁性媒体により構成される。また、第1の媒体4を導電性液体、導電性粉体、あるいは導電性固体等の導電性媒体により構成してもよい。第2の媒体5は、第1の媒体4と非相溶性であり、第1の媒体4と透磁率および/または導電率の異なる媒体により構成される。このような第1の媒体4と第2の媒体5との組み合わせは特に限定されるものではないが、例えば、第1の媒体4として導電性液体を用いた場合、第2の媒体5として第1の媒体よりも導電率の小さい液体や気体等を用いることができる。また、例えば第1の媒体4として磁性粉体や磁性固体を用いた場合、第2の媒体5として第1の媒体よりも透磁率が低く、粘性の低い液体や気体等を用いることができる。
第1の媒体4は、可変インダクタンスコイル1の回転に伴って密閉部3内を移動する。図1中の矢印aは、第1の媒体4の移動による位置の変化を示し、例えば第1の媒体4は可変インダクタンスコイル1の回転位置に応じて、点線で示す位置に移動する。すなわち、可変インダクタンスコイル1の回転位置に応じて、第1の媒体4とコイル部2とが重なり合わない状態のときと、重なり合う状態のときが生じる。これにより、コイル部2の磁束分布が変化し、インダクタンスが変化する。
このような可変インダクタンスコイル1は、例えば、ブースターアンテナや読取書込装置に用いられる。
<第1の例>
第1の例では、可変インダクタンスコイル1をブースターアンテナに用いる例について説明する。図2に、可変インダクタンスコイル1を備えるブースターアンテナ10の構成の一例を示す。ブースターアンテナ10は、可変インダクタンスコイル1と、可変インダクタンスコイルと接続されるキャパシタ6とを備えた共振回路により構成され、これらは基材7に内蔵されている。なお、第1の例によるブースターアンテナ10は、可変インダクタンスコイル1およびキャパシタ6が基材7に内蔵された構成としたが、他の装置等に内蔵される構成としてもよい。また、可変インダクタンスコイル1およびキャパシタ6のみでブースターアンテナ10を構成してもよい。
このようなブースターアンテナ10の共振周波数Fcは、可変インダクタンスコイル1のインダクタンスをL、キャパシタ6の静電容量をCとすると、下記の数1の関係を満たす。
Figure 2009152862
この発明の第1の実施形態によるブースターアンテナ10は、回転位置によってインダクタンスの変化する可変インダクタンスコイル1を備えることにより、回転位置によって共振周波数を変化させるものである。
図3乃至図5を参照して、回転位置に応じて変化する可変インダクタンスコイル1のインダクタンス、およびブースターアンテナ10の共振周波数について説明する。図3に、可変インダクタンスコイル1を回転させたときの第1の媒体4、第2の媒体5、およびコイル部2の位置関係を示す。なお、図3Aの回転位置をθ=0°とし、図3Bをθ=90°、図3Cをθ=180°、図3Dをθ=270°とする。
図4は、可変インダクタンスコイル1を図3A→図3B→図3C→図3D→図3Aの状態に順次回転させたときの、可変インダクタンスコイル1の回転位置およびインダクタンスの変化を示すグラフである。横軸は回転角度θであり、図3に示す回転角度θと対応している。縦軸はインダクタンスの相対値であり、可変インダクタンスコイル1のインダクタンスLcを、ブースターアンテナ10の共振周波数Fcが搬送周波数Fo(例えば13.56MHz)と一致するときのインダクタンスLoで規格化した値(Lc/Lo)を示す。
また、図5は、可変インダクタンスコイル1を順次回転させてインダクタンスを変化させたときの、ブースターアンテナ10の共振周波数の変化を示すグラフである。横軸は回転角度θであり、図3に示す回転角度θと対応している。縦軸は共振周波数の相対値であり、ブースターアンテナ10の共振周波数Fcを搬送周波数Foで規格化した値(Fc/Fo)を示す。なお、図4および図5では、第1の媒体4として、磁性媒体を用いた場合および導電性媒体を用いた場合の変化を示している。
図4および図5に示すように、回転位置(角度θ)に応じて可変インダクタンスコイル1のインダクタンスを変化させることができると共に、ブースターアンテナ10の共振周波数を変化させることができる。例えば、第1の媒体4として導電性媒体を用いた場合、図3Bに示すように、第1の媒体4とコイル部2とが重なり合うような回転位置のときは、可変インダクタンスコイル1のインダクタンスが減少して、共振周波数Fcが搬送周波数Foよりも高周波に変化する。一方、第1の媒体4として磁性媒体を用いた場合、図3Bに示すように、第1の媒体4とコイル部2とが重なり合うような回転位置のときは、可変インダクタンスコイル1のインダクタンスが増加して、共振周波数Fcが搬送周波数Foよりも低い周波に変化する。
図6に、ブースターアンテナ10をICカード20に貼り付けた使用例を示す。図6は、ブースターアンテナ10およびICカード20の断面図である。ICカード20の構成は図25を用いて説明した構成と同様であるので、説明を省略する。図6に示すように、ブースターアンテナ10のコイル部2と、ICカード20のアンテナコイル部21とが、重なり合うように配置される。
図7に、ブースターアンテナ10をカードケース24に貼り付けた使用例を示す。図7は、ブースターアンテナ10、カードケース24、およびICカード20の断面図である。このカードケース24には、図7中の矢印に示すようにICカード20が収納される。これにより、ブースターアンテナ10のコイル部2と、ICカード20のアンテナコイル部21とが、重なり合うように配置される。
このようにICカード20にブースターアンテナ10を設けることにより、特定の回転位置においてICカード20の受信機能を失わせることができる。例えば、図8に示すように、読取書込装置30とICカード20の主面とが水平状態で通信が可能となり、ICカード20の主面が鉛直状態で通信が不可能となるように設定することができる。
また、ICカード20において、図8に示すように座標軸としてx軸、y軸、z軸をそれぞれ定め、x軸またはy軸からz軸方向への傾斜角をそれぞれ角度θ1および角度θ2とすると、角度θ1および角度θ2が所定の角度より小さい場合は動作状態となり、角度θ1および角度θ2が所定の角度以上になると不動作状態となるように設定することができる。なお、図8において、ICカード20に設けられるブースターアンテナ10は、簡単のため、図示を省略している。
図9は、ICカード20にブースターアンテナ10を設けた場合の読取書込装置30、ICカード20、およびブースターアンテナ10の等価回路モデルである。この等価回路モデルを用いて、ブースターアンテナ10のインダクタンスLqを変化させたときの、ブースターアンテナ10の共振周波数およびICカード20に誘起される電圧をシミュレーションした。なお、図9において、R1、Rrwは読取書込装置30の抵抗を表し、Crw1、Crw2は読取書込装置30の静電容量を表し、Lrwは読取書込装置30のアンテナコイルのインダクタンスを表す。また、Rp、RicはICカード20の抵抗を表し、CpはICカード20の静電容量を表し、Lpは、ICカード20のアンテナコイルのインダクタンスを表す。また、Rqはブースターアンテナ10の抵抗を表し、Cqはブースターアンテナ10の静電容量を表し、Lqは、ブースターアンテナ10のアンテナコイルのインダクタンスを表す。
シミュレーションの条件は、以下の通りである。
出力電圧・・・2.4V
読取書込装置30の共振周波数・・・13.56MHz
ICカード20の共振周波数・・・13.56MHz
読取書込装置30とICカード20との結合係数K1・・・0.05
読取書込装置30とブースターアンテナ10との結合係数K2・・・0.05
ブースターアンテナ10とICカード20との結合係数K3・・・0.3
搬送周波数Fo・・・13.56MHz
ブースターアンテナ10の静電容量Cq・・・46pF
ICカード20が動作するのに必要な電圧Vc・・・3V
図10に、ブースターアンテナ10のインダクタンスと共振周波数、およびICカード20に誘起される電圧のシミュレーション結果を示す。なお、インダクタンスは相対値で示し、ブースターアンテナ10のインダクタンスLqを、ブースターアンテナ10の共振周波数Fcが搬送周波数Foと一致するときのインダクタンスLqoで規格化した値(Lq/Lqo)である。また、電圧は相対値で示し、ICカード20に誘起される電圧Vicを、ICカード20が動作するのに必要な電圧Vcで規格化した値(Vic/Vc)である。また、共振周波数は相対値で示し、ブースターアンテナ10の共振周波数Fqを搬送周波数Foで規格化した値(Fq/Fo)である。
図10中の矢印bおよびb’は、電圧の相対値(Vic/Vc)が1.0以上となる範囲、すなわち、ICカード20に誘起される電圧VicがICカード20を動作させるのに必要な電圧Vc以上となる範囲を示している。したがって、矢印bおよびb’で示す範囲内では、ICカード20は動作状態となる。一方、矢印cは、電圧の相対値(Vic/Vc)が1.0より小さい範囲、すなわち、ICカード20に誘起される電圧VicがICカード20を動作させるのに必要な電圧Vcより小さい範囲を示している。したがって、矢印cで示す範囲内では、ICカード20は非動作状態となる。
ブースターアンテナ10のインダクタンスLqを変化させることにより、共振周波数Fqが変化する。このようにしてブースターアンテナ10の共振周波数を変化させることで、ICカード20の動作状態を制御することができる。例えば、ICカード20の主面が鉛直状態において、ICカード20に誘起される電圧Vicが最小となるようにブースターアンテナ10のインダクタンスを設定する。この場合、ICカード20の主面が鉛直状態から水平状態へと回転するに伴い、ICカード20に誘起される電圧Vicは大きくなる。したがって、ICカード20の主面が鉛直状態付近の回転位置では矢印cで示す範囲内となり、通信ができなくなる。そして、ICカード20の主面が鉛直状態から所定の傾きより大きくなり、水平状態付近の回転位置に変化した場合には、通信が可能となる。
このように、回転位置によってブースターアンテナ10の共振周波数を変化させることにより、ICカード20は特定の回転位置では読取書込装置30から送信された電磁気的信号を受信して電力を発生することができなくなる。したがって、ブースターアンテナ10およびICカード20を特定の回転位置に保持することで、誤動作や不正な読み取り等を防止することができる。また、既存のICカード20の構成を変えることなく、ICカード20のデータの漏洩を抑制して安全性を向上させることができる。
次に、図11および図12を参照して、ブースターアンテナ10のコイル部2とICカード20のアンテナコイル部21との間に、第1の媒体4として磁性媒体を含む密閉部3を配置した場合の、回転位置に応じたブースターアンテナ10とICカード20との結合係数の変化について説明する。ブースターアンテナ10のコイル部2とICカード20のアンテナコイル部21との間に磁性媒体が存在する場合は、ブースターアンテナ10とICカード20との磁気的結合が低下して結合係数が変化する。したがって、図11に示すようにブースターアンテナ10のコイル部2とICカード20のアンテナコイル部21との間に磁性媒体を含む密閉部3を配置することで、回転位置に応じてブースターアンテナ10とICカード20との結合係数を変化させることができ、回転位置に応じてICカード20の動作状態を制御することができる。
図11に、可変インダクタンスコイル1を回転させたときの第1の媒体4、第2の媒体5、およびコイル部2の位置関係を示す。なお、図11Aの回転位置をθ=0°とし、図11Bをθ=90°、図11Cをθ=180°、図11Dをθ=270°とする。
図12は、可変インダクタンスコイル1を図11A→図11B→図11C→図11D→図11Aの状態に順次回転させたときの、可変インダクタンスコイル1の回転位置および結合係数の変化を示すグラフである。横軸は回転角度θであり、図11に示す回転角度θと対応している。縦軸は結合係数の相対値である。
図12に示すように、回転位置(角度θ)に応じてブースターアンテナ10とICカード20との結合係数を変化させることができる。図11Bに示すように、コイル部2とアンテナコイル部21との間に、磁性を帯びた第1の媒体4が存在するような回転位置の場合は、磁気的結合が低下し、結合係数が小さくなる。このような結合係数の変化を利用して、ある特定の回転位置では結合係数を小さくし、別の回転位置では大きくすることが可能となるため、ICカード20の動作状態を制御することができる。
同様に、ブースターアンテナ10のコイル部2と、図25に示すような読取書込装置30の備えるアンテナコイル31との間に密閉部3を配置することで、回転位置に応じてブースターアンテナ10と読取書込装置30との結合係数を変化できる。
下記条件において、読取書込装置30のアンテナコイル31とブースターアンテナ10のコイル部2との間に密閉部3を配置して、密閉部3の厚みを変化させたときの結合係数の変化を求めた。なお、ここでは、密閉部3の厚みに比例して、磁性を有する第1の媒体4の量が変化するものとする。
条件は以下の通りである。
読取書込装置30のアンテナコイル31・・・半径3.5mm、巻数7T、共振周波数13.56MHz
ブースターアンテナ10のコイル部2・・・半径18mm、巻数3T、共振周波数13.56MHz
密閉部3の大きさ・・・40mm×40mm
結合係数は、以下のようにして求められる。
読取書込装置30のアンテナコイル31と、ブースターアンテナ10のコイル部2との相互インダクタンスは、下記の数2に示す式で表すことができ、結合係数kは、相互インダクタンスMに比例する。なお、数2において、Mは相互インダクタンス、Npは読取書込装置30のアンテナコイル31の巻き数、Nqはブースターアンテナ10のコイル部2の巻き数、aは読取書込装置30のアンテナコイル31の半径、bはブースターアンテナ10のコイル部2の半径、zは読取書込装置30のアンテナコイル31とブースターアンテナ10のコイル部2との間の中心軸の距離、kは結合係数を表す。
Figure 2009152862
結合係数は、下記の数3に示す式で表せるので、読取書込装置30のアンテナコイル31とブースターアンテナ10のコイル部2との位置関係から、結合係数が計算によって導かれる。なお、数3において、Lpは読取書込装置30のアンテナコイル31のインダクタンス、Lqはブースターアンテナ10のコイル部2のインダクタンスを表す。
Figure 2009152862
図13に、密閉部3の厚みと結合係数との関係を示したグラフを示す。なお、図13では、磁性を帯びた第1の媒体4がコイル部2とアンテナコイル部31との間に存在するときの結合係数の変化を示している。
図13において、横軸は密閉部3の厚みであり、縦軸は結合係数である。密閉部3の厚みが0μmのときとは、すなわち、読取書込装置30のアンテナコイル31と、ブースターアンテナ10のコイル部2との間に密閉部3が存在しないときである。図13に示すように、密閉部3の厚みが大きくなり、磁性を帯びた第1の媒体4の量が多くなるほど、結合係数の低下率が大きくなる。したがって、可変インダクタンスコイル1において密閉部3の厚みを大きくすることにより、回転位置に応じて結合係数の変化を大きくすることができる。なお、密閉部3内に収容される第1の媒体4として例えば液体を使用した場合などは、密閉部3の厚みと磁性を有する第1の媒体4の量とが必ずしも比例関係にあるわけではないが、この場合でも、磁性を有する第1の媒体4の量が増加するほど結合係数の低下率は大きくなる。
次に、図14を参照して、ブースターアンテナ10の他の使用例について説明する。図14は、ブースターアンテナ10によって通信距離を延長させる使用例を説明するための概略図である。図14に示すように、ブースターアンテナ10は、ICカード20と読取書込装置30との間に配置される。ブースターアンテナ10は、図14中の矢印に示すように、角度θ1方向や角度θ2方向等に回転自在である。
このようにブースターアンテナ10を配置することにより、ブースターアンテナ10が特定の回転位置において、ICカード20と読取書込装置30との通信距離を延長させることができる。例えば、図14に示すように、ブースターアンテナ10の主面が水平状態では通信距離が延長され、ブースターアンテナ10の主面が鉛直状態では通信距離が延長されないように設定することができる。また、ブースターアンテナ10の角度θ1または角度θ2方向への回転位置に応じて、通信距離を変化させることもできる。
ここで、通信距離と磁界強度との関係について説明する。ブースターアンテナ10、ICカード20、および読取書込装置30等の備えるアンテナコイルの中心軸上の磁界は、アンテナコイル部分の電流に比例し、下記の数4により求められる。なお、数4において、zはアンテナコイル中心からの距離(m)、aはアンテナコイルの半径(m)、H(z)はアンテナコイル中心からの距離zにおける磁界の強さ(A/m)、Nはアンテナコイルの巻数、Iは電流(A)を示す。
Figure 2009152862
また、ICカード20の誘起電圧は、下記の数5により求められる。なお、数5において、Vmは誘起電圧、Fは周波数、Nはアンテナコイルの巻き数、Sはアンテナコイルの断面積、Hは磁界強度、μ0は4π×10-7T/(A/m)、αは比例定数を示す。
Figure 2009152862
数5に示すように、ICカード20の誘起電圧Vmは磁界の強さHに比例する。したがって、磁界が強ければICカード20の誘起電圧が大きくなり、ICカード20と読取書込装置30との間の通信距離をより延長させることができる。
下記に示す条件において、ブースターアンテナ10のインダクタンスLqを変化させたときの、ブースターアンテナ10の共振周波数Fqおよび発生する磁界強度Hqを求めた。
条件は、以下の通りである。
読取書込装置30のアンテナコイル31・・・半径3.5mm、巻数7T、共振周波数13.56MHz
ブースターアンテナ10のコイル部2・・・半径18mm、巻数3T、静電容量Cq=125pF
読取書込装置30とブースターアンテナ10との結合係数K・・・0.15
なお、磁界強度は、図9に示す等価回路モデルを用いて、読取書込装置30のアンテナコイル31に流れる電流Ip、ブースターアンテナ10のコイル部2に流れる電流Iqをシミュレーションして、数4の式を用いて求めた。数4において、コイル部2の中心からの距離zは50mmとした。
結果を図15に示す。なお、インダクタンスは相対値で示し、ブースターアンテナ10のインダクタンスLqを、ブースターアンテナ10の共振周波数Fqが搬送周波数Foと一致するときのインダクタンスLqoで規格化した値(Lq/Lqo)である。また、共振周波数は相対値で示し、ブースターアンテナ10の共振周波数Fqを搬送周波数Foで規格化した値(Fq/Fo)である。また、磁界強度は相対値で示し、ブースターアンテナ10のアンテナコイルから発生する磁界強度Hqを、ブースターアンテナ10が無い状態での磁界強度Hpで規格化して、下記の式1により求めた。
(式1)
磁界強度(相対値)=(ブースターアンテナ10がある状態での磁界強度)/(ブースターアンテナ10がない状態での磁界強度)
図15に示すように、ブースターアンテナ10のインダクタンスLqを変化させることにより、共振周波数Fqが変化すると共に、磁界強度が変化する。したがって、ICカード20と読取書込装置30との通信可能な距離を変化させることができる。例えばブースターアンテナ10の主面が水平状態で、磁界強度が最大となるように設定した場合、通信可能な距離を最長にすることができる。このように、回転位置によってブースターアンテナ10の共振周波数を変化させることにより、特定の回転位置において通信距離を延長させることができる。
また、密閉部3をブースターアンテナ10のコイル部2と読取書込装置30のアンテナコイル31との間に配置して、下記に示す条件においてブースターアンテナ10と読取書込装置30との結合係数を変化させたときの、ブースターアンテナ10の磁界強度Hqを求めた。
条件は、以下の通りである。
読取書込装置30のアンテナコイル31・・・半径3.5mm、巻数7T、共振周波数13.56MHz
ブースターアンテナ10のコイル部2・・・半径18mm、巻数3T、インダクタンスLq=1.1μH、共振周波数13.56MHz
なお、磁界強度は、図15と同様にして求められる。また、結合係数は上述の数2および数3の式を用いて求められる。
結果を図16に示す。横軸は結合係数である。縦軸は磁界強度であり、図15と同様に相対値で示す。
図16に示すように、ブースターアンテナ10と読取書込装置30との結合係数が変化することにより、磁界強度が変化する。したがって、ICカード20と読取書込装置30との通信可能な距離を変化させることができる。ブースターアンテナ10は回転位置に応じて結合係数を変化させることができるため、特定の回転位置において通信距離を延長させることができる。
<第2の例>
第2の例では、図25に示すような読取書込装置30のアンテナコイル31として、可変インダクタンスコイル1を備える例について説明する。図17は、第2の例による読取書込装置30の等価回路である。図17において、R1、Rrwは抵抗を表し、Lrwはインダクタンスを表し、Crw1、Crw2は静電容量を表す。なお、Lrwは可変インダクタンスコイル1のインダクタンスである。
下記に示す条件において、読取書込装置30の備える可変インダクタンスコイル1のインダクタンスLrwを変化させたときの、読取書込装置30の共振周波数Frwおよび発生する磁界強度Hfrwを求めた。
条件は、以下の通りである。
読取書込装置30のアンテナコイル31・・・半径50mm、巻数3T、共振周波数13.56MHz
搬送周波数Fo・・・13.56MHz
なお、磁界強度は、図17に示す等価回路を用いて、可変インダクタンスコイル1のインダクタンスLrwを変化させて可変インダクタンスコイル1に流れる電流をシミュレーションし、上述の数4の式を用いて求めた。数4において、アンテナコイル31の中心からの距離zは50mmとした。
結果を図18に示す。なお、インダクタンスは相対値で示し、読取書込装置のインダクタンスLrwを、読取書込装置30の共振周波数Frwが搬送周波数Foと一致するときのインダクタンスLrwo(1.32μH)で規格化した値(Lrw/Lrwo)である。また、共振周波数は相対値で示し、読取書込装置30の共振周波数Frwを、搬送周波数Foで規格化した値(Frw/Fo)である。また、磁界強度は相対値で示し、読取書込装置30の備える可変インダクタンスコイル1から発生する磁界強度Hfrwを、読取書込装置30の共振周波数Frwが搬送周波数Foと一致するときの磁界強度Hfoで規格化した値(Hfrw/Hfo)である。
図18に示すように、読取書込装置30のインダクタンスLrwを変化させることにより、共振周波数が変化すると共に、磁界強度が変化する。したがって、ICカード20と読取書込装置30との通信可能な距離を変化させることができる。このように、読取書込装置30の回転位置によって読取書込装置30の共振周波数を変化させることにより、特定の回転位置において通信距離を延長させることができる。
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態による可変インダクタンスコイルは、可変インダクタンスコイルの向き(回転状態)に応じてインダクタンスおよび静電容量が変化するものである。
図19は、第2の実施形態による可変インダクタンスコイル40の構成を示す略線図である。図19に示すように、この可変インダクタンスコイル40は、対向して設けられる一対の電極8aおよび8bと、この電極8aおよび電極8bの間に設けられた密閉部3と、密閉部3の内部に収納される第1の媒体44および第2の媒体45と、密閉部3と重なり合うように設けられたコイル部2とにより構成される。コイル部2の一方の端部は電極8aと接続され、他方の端部は電極8bと接続される。
第1の媒体44は、例えば誘電性液体、誘電性粉体、あるいは誘電性固体等の誘電性媒体により構成され、比誘電率が1以上である磁性媒体である。比誘電率が1以上である磁性媒体としては、例えば、NiZnフェライト、NiCuZnフェライト等のフェライトが好適に用いられる。これらのフェライトには、周波数13.56MHzにおいて、比誘電率が10〜20程度で、比透磁率が30〜100程度のものがある。
第2の媒体45は、第1の媒体44と非相溶性であり、第1の媒体44と誘電率の異なる媒体により構成される。第2の媒体45には、比誘電率が1以上の媒体が用いられる。
このような第1の媒体44と第2の媒体45との組み合わせは特に限定されるものではないが、例えば第1の媒体44としてフェライト、第2の媒体45として気体を用いることができる。
また、例えば、第1の媒体44として磁性体の微粉末、第2の媒体45として油等を用いて、磁性体の微粉末を油に分散させることにより、磁性流体を構成してもよい。磁性体の微粉末としては、フェライト、カルボニル鉄、珪素鋼、センダスト、パーマロイ等の鉄粉が用いられる。このような磁性流体の比透磁率は、磁性体の微粉末として用いた材料の比透磁率である。また、油の比誘電率が2〜3程度であることから、比誘電率も1以上となる。
第1の媒体44および第2の媒体45は、図19中の矢印に示すように、角度θ1方向や角度θ2方向への回転に伴って密閉部3内を移動する。これにより、可変インダクタンスコイル40のインダクタンスおよび静電容量が変化する。
図20乃至図23を参照して、回転位置に応じて変化する可変インダクタンスコイル40のインダクタンスおよび静電容量について説明する。
図20に、可変インダクタンスコイル40を図19に示す角度θ1の方向に回転させたときの、コイル部2、第1の媒体44、第2の媒体45、および電極8a、電極8bの位置関係を示す。なお、図20Aの回転位置をθ1=0°とし、図20Bをθ1=90°、図20Cをθ1=180°、図20Dをθ1=270°とする。
図21は、可変インダクタンスコイル40を図20A→図20B→図20C→図20D→図20Aの状態に順次回転させたときの、可変インダクタンスコイル40の回転位置と、インダクタンスおよび静電容量の変化を示すグラフである。横軸は回転角度θ1であり、図20に示す回転角度θ1と対応している。インダクタンスは相対値で示し、可変インダクタンスコイル40のインダクタンスLcを、可変インダクタンスコイル40共振周波数Fcが搬送周波数Foと一致するときのインダクタンスLoで規格化した値(Lc/Lo)である。また、静電容量は相対値で示し、可変インダクタンスコイル40の静電容量Ccを、可変インダクタンスコイル40の共振周波数Fcが搬送周波数Foと一致するときの静電容量Coで規格化した値(Cc/Co)である。
図21に示すように、可変インダクタンスコイル40の回転位置(角度θ1)の変化に伴い、インダクタンスおよび静電容量が変化する。インダクタンスが増加すると、静電容量は減少する。インダクタンスが減少すると、静電容量が増加する。
また、図22に、可変インダクタンスコイル40を図19に示す角度θ2の方向に回転させたときの、コイル部2、第1の媒体44、第2の媒体45、および電極8a、電極8bの位置関係を示す。なお、図22Aの回転位置をθ2=0°とし、図22Bをθ2=90°、図22Cをθ2=180°、図21Dをθ2=270°とする。
図23は、可変インダクタンスコイル1を図22A→図22B→図22C→図22D→図22Aの状態に順次回転させたときの、可変インダクタンスコイル40の回転位置と、インダクタンスおよび静電容量の変化を示すグラフである。横軸は回転角度θ2であり、図22に示す回転角度θ2と対応している。インダクタンスおよび静電容量は、図21と同様に相対値で示す。
図23に示すように、可変インダクタンスコイル40の回転位置(角度θ2)の変化に伴い、インダクタンスおよび静電容量が変化する。インダクタンスが減少すると、静電容量は減少する。インダクタンスが増加すると、静電容量も増加する。
図24に、可変インダクタンスコイル40を角度θ1あるいは角度θ2の方向に順次回転させてインダクタンスおよび静電容量を変化させたときの、共振周波数の変化を示す。横軸は回転角度であり、図20および図22に示す角度θ1、角度θ2の回転角度と対応している。縦軸は共振周波数の相対値であり、可変インダクタンスコイル40の共振周波数Fcを、搬送周波数Foで規格化した値(Fc/Fo)である。
図24に示すように、可変インダクタンスコイル40の回転位置(角度θ1あるいは角度θ2)の変化に伴い、共振周波数が変化する。角度θ1が180°〜360°となるような回転位置では、共振周波数がほとんど変化しない。一方、角度θ2が180°〜360°となるような回転位置では、共振周波数が大きく変化する。角度θ2の方向に回転させた方が、角度θ1の方向に回転させたときに比して、共振周波数は大きく変化する。
このような可変インダクタンスコイル40は、第1の実施形態における第1の例および第2の例と同様に、ブースターアンテナや読取書込装置に用いることができる。これにより、回転位置に応じて共振周波数の変化するブースターアンテナや読取書込装置を実現できる。すなわち、回転位置に応じてICカード20の動作状態を制御したり、ICカード20と読取書込装置30との通信可能距離を延長させたりすることができる。したがって、ICカード20の構成を変えることなく、利便性の良い方法で、ICカード20のデータの漏洩などを抑制して安全性を向上させることができる。
以上、この発明の第1および第2の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、第1および第2の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、第1の実施形態における第1の例では、ブースターアンテナ10をICカード20に設ける例について説明したが、例えば非接触通信媒体としてICカード20と同様の非接触式のICチップを内蔵させた携帯電話や携帯情報端末等に設けてもよい。また、第1および第2の実施形態による可変インダクタンスコイルを、他の装置等に設けて用いてもよい。
第1の実施形態による可変インダクタンスコイルの構成の一例を示す略線図である。 第1の例によるブースターアンテナの構成の一例を示す略線図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを回転させたときの、第1の媒体、第2の媒体、およびコイルの位置関係を示す略線図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルの回転位置とインダクタンスの変化を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルの回転位置とブースターアンテナの共振周波数の変化を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えたブースターアンテナの使用例を説明するための略線図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えたブースターアンテナの他の使用例を説明するための略線図である。 ブースターアンテナの設けられたICカードの動作状態を説明するための略線図である。 読取書込装置、ICカード、およびブースターアンテナの等価回路モデルを示す略線図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えたブースターアンテナのインダクタンスと共振周波数および電圧の変化のシミュレーション結果を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを回転させたときの、第1の媒体、第2の媒体、およびコイルの位置関係を示す略線図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルの回転位置と結合係数の変化を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルの厚みと結合係数の変化を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えたブースターアンテナの他の使用例を説明するための模式図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えたブースターアンテナのインダクタンスと磁界強度および共振周波数の関係を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えたブースターアンテナと読取書込装置との結合係数と磁界強度との関係を示すグラフである。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えた読取書込装置の等価回路モデルを示す略線図である。 第1の実施形態による可変インダクタンスコイルを備えた読取書込装置のインダクタンスと磁界強度および共振周波数の関係を示すグラフである。 第2の実施形態による可変インダクタンスコイルの構成の一例を示す略線図である。 第2の実施形態による可変インダクタンスコイルを回転させたときの、コイル、第1の媒体、第2の媒体、および電極の位置関係を示す略線図である。 第2の実施形態による可変インダクタンスコイルを回転させたときの、回転位置とインダクタンスおよび静電容量の変化を示すグラフである。 第2の実施形態による可変インダクタンスコイルを回転させたときの、コイル、第1の媒体、第2の媒体、および電極の位置関係を示す略線図である。 第2の実施形態による可変インダクタンスコイルを回転させたときの、回転位置とインダクタンスおよび静電容量の変化を示すグラフである。 第2の実施形態による可変インダクタンスコイルの回転位置と共振周波数の変化を示すグラフである。 従来のブースターアンテナ、読取書込装置、およびICカードの構成と使用形態を説明するための概略図である。
符号の説明
1、40・・・可変インダクタンスコイル
2・・・コイル部
3・・・密閉部
4、44・・・第1の媒体
5、45・・・第2の媒体
6・・・キャパシタ
7・・・基材
8a、8b・・・電極
10・・・ブースターアンテナ
20・・・ICカード
21・・・アンテナコイル
22・・・ICチップ
23・・・基板
24・・・カードケース
30・・・読取書込装置
31・・・アンテナコイル
32・・・回路部
100・・・ブースターアンテナ
101・・・アンテナコイル
102・・・キャパシタ

Claims (22)

  1. コイル部と、
    上記コイル部と重なり合う位置に設けられた密閉部と、
    上記密閉部内に収納される第1の媒体、および該第1の媒体と透磁率および/または導電率の異なる第2の媒体とを備え、
    回転状態に応じてインダクタンスが変化することを特徴とする可変インダクタンスコイル。
  2. 上記第1の媒体は、磁性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成されることを特徴とする請求項1記載の可変インダクタンスコイル。
  3. 上記第1の媒体は、導電性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成されることを特徴とする請求項1記載の可変インダクタンスコイル。
  4. 上記第2の媒体は、気体であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の可変インダクタンスコイル。
  5. 上記密閉部を介して設けられた一対の電極を備え、
    上記回転状態に応じて静電容量が変化することを特徴とする請求項1記載の可変インダクタンスコイル。
  6. 上記第1の媒体は、磁性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成され、該第1の媒体の比誘電率は1以上であることを特徴とする請求項5記載の可変インダクタンスコイル。
  7. 上記第2の媒体は、気体であることを特徴とする請求項6記載の可変インダクタンスコイル。
  8. 回転状態に応じてインダクタンスが変化する可変インダクタンスコイルと、
    上記可変インダクタンスコイルと接続されるキャパシタとを備え、
    上記可変インダクタンスコイルは、コイルと、
    上記コイルと重なり合う位置に設けられた密閉部と、
    上記密閉部内に収納される第1の媒体、および該第1の媒体と透磁率および/または導電率の異なる第2の媒体とを有し、
    上記回転状態に応じて共振周波数が変化することを特徴とするブースターアンテナ。
  9. 上記第1の媒体は、磁性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成されることを特徴とする請求項8記載のブースターアンテナ。
  10. 上記第1の媒体は、導電性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成されることを特徴とする請求項8記載のブースターアンテナ。
  11. 上記第2の媒体は、気体であることを特徴とする請求項9または請求項10記載のブースターアンテナ。
  12. 上記一対の電極は、上記密閉部を介して設けられ、
    上記回転状態に応じて静電容量が変化することを特徴とする請求項8記載のブースターアンテナ。
  13. 上記第1の媒体は、磁性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成され、該第1の媒体の比誘電率は1以上であることを特徴とする請求項12記載のブースターアンテナ。
  14. 上記第2の媒体は、気体であることを特徴とする請求項13記載のブースターアンテナ。
  15. 上記密閉部が読取書込装置または非接触通信媒体の備えるアンテナ部と上記コイルとの間に配置されたときに、回転状態に応じて上記アンテナ部と上記コイルとの結合係数が変化することを特徴とする請求項8記載のブースターアンテナ。
  16. 非接触通信媒体とデータ通信を行う読取書込装置であって、
    回転状態に応じてインダクタンスが変化する可変インダクタンスコイルと、
    上記可変インダクタンスコイルと接続されるキャパシタとを備え、
    上記可変インダクタンスコイルは、コイルと、
    上記コイルと重なり合う位置に設けられた密閉部と、
    上記密閉部内に収納される第1の媒体、および該第1の媒体と透磁率および/または導電率の異なる第2の媒体とを有し、
    上記回転状態に応じて共振周波数が変化することを特徴とする読取書込装置。
  17. 上記第1の媒体は、磁性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成されることを特徴とする請求項16記載の読取書込装置。
  18. 上記第1の媒体は、導電性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成されることを特徴とする請求項16記載の読取書込装置。
  19. 上記第2の媒体は、気体であることを特徴とする請求項17または請求項18記載の読取書込装置。
  20. 上記一対の電極は、上記密閉部を介して設けられ、
    上記回転状態に応じて静電容量が変化することを特徴とする請求項16記載の読取書込装置。
  21. 上記第1の媒体は、磁性の液体、粉体、あるいは固体のうちいずれか1つにより構成され、該第1の媒体の比誘電率は1以上であることを特徴とする請求項20記載の読取書込装置。
  22. 上記第2の媒体は、気体であることを特徴とする請求項21記載の読取書込装置。
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