以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、拡底バケット19を備えるアースドリル機1について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるアースドリル機1の側面を示した側面図であり、理解を容易とするために、拡底バケット19が拡径した状態を示している。
図1に示すように、第1実施の形態のアースドリル機1は、拡底杭を成形するための拡底孔を掘削する作業を行なうものであり、具体的には、掘削された縦孔の底部にその縦孔より大きな径を有する空間を掘削するものである。この掘削作業は、アースドリル工法の一工程であり、底部のみを大きな径で掘削することで、縦孔全体を大きな径で掘削する場合に比べて掘削の手間を省いて、工期短縮、工費削減を可能とする。
図1に示すように、アースドリル機1は、主に、走行可能な下部本体11と、その下部本体11に対して旋回可能な上部旋回体12と、その上部旋回体12に対して起立した状態で取り付けられるブーム13と、そのブーム13に設けられたフロントフレーム部14と、ブーム13の上部(図1上方の端部)に吊設される棒状のケリーバ15と、そのケリーバ15を回転駆動させると共にフロントフレーム部14に連結されるケリーバ駆動装置16と、そのケリーバ駆動装置16の下方に連結され後述する一対の油圧アクチュエータ21(図2参照)に油を供給する油圧ホース(図示せず)の巻き取り又は巻き出しを行なうホースリール17と、そのホースリール17が搭載されたホースリール台18と、ケリーバ15の下方先端(図1下方先端)に連結され、ケリーバ15の回転に伴って回転動作を行なう拡底バケット19と、その拡底バケット19側とケリーバ駆動装置16側とにおいて油を供給するロータリージョイント20とを有して構成されている。なお、ロータリージョイント20は、拡底バケット19に設けられた油圧アクチュエータ21(図2(a)参照)に油圧を供給するために設けられている。
ロータリージョイント20は、ホースリール台18に固定された非回転の外筒と、その外筒の内部に回転自在に嵌合される内筒とで構成されており、外筒と内筒との間に溝状の流路が形成されている。なお、内筒の回転は、ケリーバ15がケリーバ駆動装置16により回転されることに伴って回転する。
次に、図2を参照して、拡底バケット19の構成について説明する。図2(a)は、縮径した状態における拡底バケット19の側面図であり、図2(b)は、拡径した状態における拡底バケット19の側面図である。図2(c)は、図2(b)のIIc−IIc線における拡底バケット19の断面図である。
また、図2(a)及び図2(b)では、図面の簡素化のため、リンク70の一部を2点鎖線の直線にて示している。また、図2(c)の2点鎖線は、図2(a)に示す縮径した状態の拡底バケット19を示している。なお、図2(a)の側面図は、図2(c)に示す矢印IIa方向からの側面図であり、図2(b)の側面図は、図2(c)に示す矢印IIb方向からの側面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、拡底バケット19は、掘削された縦孔の底部に降ろされて、ケリーバ15(図1参照)の回転に伴って回転動作を行ないながら、油圧アクチュエータ21の伸張により拡底翼60を拡径させつつ土砂を掘削し、油圧アクチュエータ21の短縮により拡底翼60を縮径させて掘削した土砂を枠体30の内部に収容した状態で引き上げられることで、縦孔の底部を拡径するものである。
また、枠体30に収容される土砂の体積より、大きな体積の空間を掘削する必要が有る場合には、複数回の上昇下降動作が行われ、拡底孔の径が徐々に拡大される。なお、掘削中は、縦孔の側面の崩れなどを防止する目的で、掘削孔内にベントナイトの安定液が充填される。
図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示すように、拡底バケット19は、主に、側面視(図2(a)紙面垂直方向視)長方形の外形を有する枠体として構成された枠体30と、その枠体30の両側(図2(b)左右側)に配設され拡底孔を掘削する一対の拡底翼60と、枠体30と一対の拡底翼60とにそれぞれ嵌合され一対の拡底翼60を枠体30に対して回動可能に連結するシャフトF(図3参照)と、それら一対の拡底翼60の間で枠体30の上部(図2(a)上部)に嵌合されると共にピンPによって枠体30へ係止される筒状に構成されたロッド40と、そのロッド40に外嵌されロッド40の長手方向(図2上下方向)に往復移動可能とされるスラスタ50と、そのスラスタ50と枠体30の上部(図2(a)上部)とに連結され、ロータリージョイント20から油圧配管22を介して供給されたオイルの液圧によりロッド40の長手方向に伸縮することでスラスタ50を往復移動させる油圧アクチュエータ21と、その油圧アクチュエータ21によって往復移動されるスラスタ50と拡底翼60との間に介在してスラスタ50の往復移動に連動して拡底翼60を開閉動作させるリンク70とを備えている。
図2(b)及び図2(c)に示すように、油圧配管22から伝えられた液圧によって油圧アクチュエータ21が伸張されると、スラスタ50が下降(図2(b)下方向への移動)して、リンク70を介して拡底翼60が拡径される。反対に、油圧配管22から伝えられた液圧によって油圧アクチュエータ21が短縮されると、スラスタ50が上昇(図2(a)上方向への移動)して、リンク70を介して拡底翼60が縮径される。
次に、図3及び図4を参照して、拡底翼60と枠体30との連結構造について説明する。図3は、図2(b)のIIIで示した部分を拡大した拡底翼60及び枠体30の拡大側面図である。図4(a)は、図3のIVa−IVa線における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図であり、枠体30に溶接された枠体パイプ32が図示されている。なお、図3では、枠体カラー35及び拡底翼カラー65の外周の溶接部位の位置を枠体カラー35及び拡底翼カラー65の外周に示す直線の群にて示している。
また、図4(b)は、図3のIVb−IVb線における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図であり、拡底翼60に溶接された拡底翼パイプ63が図示されている。なお、図4(a)及び図4(b)では、枠体カラー35及び拡底翼カラー65の外周の溶接部位の位置を枠体カラー35及び拡底翼カラー65の外周に示す直線の群にて示している。
図3及び図4(a)に示すように、枠体30と拡底翼60とは、シャフトFによって回動可能に連結されている。
枠体30は、側面視(図2(a)紙面垂直方向視)四角形状で、縦枠の外周面30aは、上面視(図2(c)紙面垂直方向視)円弧形状に構成されている(図2(a)及び図2(c)参照)。
図4(a)に示すように、枠体30は、外周面30aの内側に溶接され断面L字形状に構成された台座31と、その台座31に溶接にて取り付けられた複数(第1実施の形態では3個)の枠体蝶番32と、複数の(第1実施の形態では6個)枠体カラー35とを備えている。
枠体カラー35は、平面視円形の外形を有する平板状に構成されると共に平面視円形の外形と平面視同心円の貫通孔である枠体カラー孔35aを有している。
図4(a)に示すように、枠体蝶番32は、円筒形状に構成された枠体パイプ33(図3参照)と、枠体パイプ33に溶接される枠体パイプ補強部34とを備えている。その枠体パイプ補強部34は、台座31に溶接されており、枠体パイプ33の両端面(図3上下端面)には、枠体カラー35がタック溶接されている。
図4に示すように、タック溶接は、溶接部と非溶接部が交互に並んだ溶接であり、溶接部Wは、枠体パイプ33の軸心を中心とする円周方向に、枠体カラー35の外周に沿って45度の範囲に配設されている。その溶接部Wは、枠体パイプ33の軸心を中心とする円周方向に90度ずらした位置の4箇所に配設されている。そのため、枠体カラー35の全周を溶接する場合に比べて、枠体カラー35を取り付ける為の溶接時間と、枠体カラー35を取り外す為の溶断時間とを短縮することができる。よって、枠体カラー35の溶接に掛かる溶接(溶断)エネルギー費や溶接作業者の人件費を削減することができるので、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
図3に示すように、複数(第1実施の形態では3個)の枠体蝶番32は、枠体パイプ33の軸心方向(図3上下方向)に、所定の間隔を空けて配設されており、それら枠体蝶番32の間に後述する拡底翼蝶番62が配設される。
拡底翼60は、側面視(図2(b)紙面垂直方向視)三角形状で、上面視(図2(c)紙面垂直方向視)円弧形状に構成されており(図2(a)及び図2(c)参照)、その三角形状の斜辺60aに取り付けられる複数の掘削刃61と、その掘削刃61と反対(図3右側)の加工面60bに溶接にて取り付けられた複数(第1実施の形態では4個)の拡底翼蝶番62と、複数の(第1実施の形態では8個)拡底翼カラー65とを備えている。
拡底翼カラー65は、平面視円形の外形を有する平板状に構成されると共に平面視円形の外形と平面視同心円の貫通孔である拡底翼カラー孔65aを有している。
図4(b)に示すように、拡底翼蝶番62は、円筒形状に構成された拡底翼パイプ63と、拡底翼パイプ63に溶接される拡底翼パイプ補強部64を備えている。その拡底翼パイプ補強部64は、拡底翼60に溶接されており、拡底翼パイプ63の両端面(図3上下端面)には、拡底翼カラー65がタック溶接されている。そのため、枠体カラー35の場合と同様に、拡底翼カラー65の溶接に掛かる溶接(溶断)エネルギー費や溶接作業者の人件費を削減することができるので、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
図3に示すように、複数(第1実施の形態では4個)の拡底翼蝶番62は、拡底翼パイプ63の軸心方向(図3上下方向)に、所定の間隔を空けて配設されており、それら拡底翼パイプ63の間に前述した枠体蝶番32が配設されている。
交互に配設された枠体蝶番32と拡底翼蝶番62とにシャフトFが内嵌されることで、蝶番構造を構成して、拡底翼60が枠体30に対して回動することができる。シャフトFの上端と下端とには、フランジ形状に構成された抜け止めCが螺合されており、そのフランジ部で蝶番構造の最上部および最下部の拡底翼カラー65を狭持することで、シャフトFの上下方向(図3上下方向)への抜けが防止されている。
例えば、拡底翼蝶番62と枠体蝶番32とを同数備えている場合には、最上部に枠体蝶番32が配設されると、枠体蝶番32と拡底翼蝶番62とが交互に配設されるので、最下部は、拡底翼蝶番62となる。その場合、枠体蝶番32と拡底翼蝶番62との間の隙間が大きいと、枠体蝶番32に対して拡底翼蝶番62の位置が下がる。よって、最下部に配設された拡底翼蝶番62の下端に溶接される拡底翼カラー65(以下、「最下部拡底翼カラー」と称す。)がシャフトFの下端に螺合された抜け止めCに押し付けられる。
そのため、下端の抜け止めCに拡底翼60の自重が掛り、シャフトFには、下向きの力が掛かる。その下向きの力によってシャフトFの上端に螺合される抜け止めCが最上部に配設された枠体蝶番32の上面に溶接される枠体カラー35(以下、「最上部枠体カラー」と称す。)に押し付けられる。
よって、拡底翼60が枠体30に対して回動すると、最下部拡底翼カラーが最上部枠体カラーに対して回動するので、シャフトFに螺合されて一体となっている一対の抜け止めCは、最下部拡底翼カラー又は最上部枠体カラーのどちらか一方また両方に対して滑る。その結果、最下部拡底翼カラー、最上部枠体カラーが摩耗する。
これに対し、第1実施の形態によれば、拡底翼60は、4個の拡底翼蝶番62を備え、枠体30は、3個の枠体蝶番32を備えているので、それら拡底翼蝶番62と枠体蝶番32とを交互に配設すると、蝶番構造の最上部および最下部には、拡底翼蝶番62が配設される。シャフトFは、最上部の拡底翼蝶番62の上面に溶接された拡底翼カラー65(以下、「最上部拡底翼カラー」と称す。)と最下部拡底翼カラーとを抜け止めCを介して狭持する構成となる。
そのため、枠体蝶番32と拡底翼蝶番62との間の隙間が大きくても、シャフトFと抜け止めCとは、最上部と最下部とに配設される拡底翼蝶番62を狭持することで、拡底翼60と一体となって移動する。
よって、拡底翼60が枠体30に対して回動しても一対の抜け止めCは、最上部拡底翼カラーと最下部拡底翼カラーとに対して滑ることがない。また、拡底翼60の自重は、拡底翼パイプ63の下端に溶接される拡底翼カラー65を介して枠体パイプ33の上端に溶接される枠体カラー35に掛かるので、シャフトFや抜け止めCには、拡底翼60の自重は掛からない。
その結果、最下部拡底翼カラー、最上部拡底翼カラーが摩耗することはないので、その他の拡底翼カラー65に対して、最下部拡底翼カラー及び最上部拡底翼カラーの硬度を落とすことができる。
また、拡底翼蝶番62の代わりに枠体蝶番32を蝶番機構の最上部および最下部に配設した場合には、拡底翼蝶番62を配設した場合と同様に、最下部に配設された枠体蝶番32の下端に溶接される枠体カラー35(以下、「最下部枠体カラー」と称す。)、最上部枠体カラーが摩耗することはないので、その他の枠体カラー35に対して、最下部枠体カラー及び最上部枠体カラーの硬度を落とすことができる。
このように、枠体蝶番32と拡底翼蝶番62とが軸心方向(図3上下方向)に向けて交互に配設されるので、枠体30は、枠体パイプ33の上端面(図3上面)にタック溶接された枠体カラー35にて拡底翼60の重量を支持する。
一方、拡底翼60は、拡底翼パイプ63の下端面(図3下面)にタック溶接された拡底翼カラー65にて拡底翼60の重量を支持する。よって、枠体カラー35と拡底翼カラー65とが当接されるので、拡底翼パイプ63の下端面と、枠体パイプ33の上端面との当接を防止することができる。その結果、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を摩耗させることで、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33の摩耗を防止することができる。
そのため、従来のように、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33を交換する必要が無く、拡底翼カラー65及び枠体カラー35だけを交換すれば良いので、交換の手間を省くことができる。よって、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、拡底翼カラー65及び枠体カラー35は、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33の端面に溶接されており、その溶接強度は、拡底翼カラー65及び枠体カラー35がそれぞれ拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33に対して回動しない程度で有れば良いので、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33の拡底翼60及び枠体30への溶接にくらべて簡易(溶接の溶かし込み量を少なくする。)とすることができる。
そのため、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を取り付ける溶接の手間を省くことができる。さらに、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を簡易な溶接にて取り付けるため、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を取り外す溶断の手間も省くことができる。よって、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の交換の手間を省くことができるので、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33は、拡底翼60と枠体30とが回動するための部材でありシャフトFを挿通される必要がある。そのため、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33を交換する場合には、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33が溶接されるそれぞれの位置を拡底翼60及び枠体30に対して正確に決める必要があり手間が掛かる。
これに対し第1実施の形態によれは、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を交換するので、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の位置決めを容易とすることができる。即ち、拡底翼カラー65及び枠体カラー35は、すでに取り付けられている拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33に取り付けられる部材であるので、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の取り付け位置は、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33の端面で拡底翼カラー65及び枠体カラー35の孔が拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33に対応した位置であれば良く、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33をそれぞれ拡底翼60及び枠体30に対して位置決めする場合に比べて、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の位置決めを容易とすることができる。
よって、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の取り付けの手間を省くことができるので、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。このように、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を取り付けるので、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33を取り付ける場合に比べて、取り付けのための手間を省くことができる。よって、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を拡底翼パイプ63の端面および枠体パイプ33の端面に溶接にて取り付けるので、取り付けの為のボルト孔などの加工やボルトを省略することができ、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を取り付ける為の加工費や取り付け部品代を削減することができる。よって、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。
また、拡底翼カラー65及び枠体カラー35にのみ、材料コストの高い高硬度の素材を使用することができるので、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33に高硬度の素材を使用する場合に比べて、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。
また、拡底翼カラー65、枠体カラー35、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33は、焼き入れが施された機械構造用炭素鋼鋼材(S45C)にて構成されており、その焼き入れの設定強度は、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33より拡底翼カラー65及び枠体カラー35の方が高く設定されている。
そのため、拡底翼カラー65及び枠体カラー35は、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33より硬度が高いので、拡底翼パイプ63の端面および枠体パイプ33の端面を当接させる場合に比べて、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の摩耗量を抑え、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の交換回数を少なくすることができる。よって、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、上述したように、タック溶接は、外周を全周溶接する場合に比べて、全体の溶接量を少なくすることができる。
そのため、焼き入れされた素材である拡底翼カラー65及び枠体カラー35は、溶接箇所が少ない分、拡底翼カラー65及び枠体カラー35に伝わる熱を少なくでき、その熱により拡底翼カラー65及び枠体カラー35が焼きなましされることにより発生する硬度の変化を最小限に抑えることができる。
よって、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の硬度を安定させることができるので、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の摩耗を安定させることができる。その結果、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の交換時期の予測を容易におこなうことができるので、拡底バケット19の整備コストの見積りを容易におこなうことができる。
次に、図5及び図6を参照してスラスタ50の構成について説明する。図5(a)は、スラスタ50の上面図であり、図5(b)は、スラスタ50の分解状態を側面から示した分解側面図である。図6(a)は、スラスタインナ53の上面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線におけるスラスタインナ53の断面図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、スラスタ50は、油圧アクチュエータ21(図2参照)から伝達される駆動力によってロッド40の長手方向(図2上下方向)に往復移動されるものである。また、スラスタ50は、一般構造用圧延鋼材(SS400)にて構成されており、スラスタロア51と、スラスタアッパ52と、スラスタインナ53とを備えている。
図5(b)に示すように、スラスタロア51は、挿通パイプ54と、締結プレート55と、ベースプレート56と、スラスタ軸受け57とを備えている。挿通パイプ54は、断面正方形の筒状体として構成され、その開口上端部には、挿通パイプ54の軸心方向に対して直角方向(図5(a)左右方向)に張り出したロアフランジ部54aを備えている。
図5(a)に示すように、ベースプレート56は、平板状に構成され挿通パイプ54の断面形状と同一形状の貫通孔56aを備え、その貫通孔56aが挿通パイプ54の断面形状に対応するように挿通パイプ54の開口下端部(図5(b)下)に溶接されている。
締結プレート55は、挿通パイプ54の両側に複数(第1実施の形態では4個)配設され、ベースプレート56の上面(図5(b)上面)と挿通パイプ54の外側面とに溶接されている。よって、ベースプレート56と挿通パイプ54とを強固に固定することができる。
図5(a)に示すように、スラスタ軸受け57は、スラスタ50をリンク70(図2参照)に連結する部材であり、上面視(図5(a)紙面垂直方向視)において、スラスタアッパ52の両側(図5(a)左右側)に配設されている。そのため、リンク70に作用する力の反作用によって、スラスタ50には、偶力が作用するので、スラスタ50は、スラスタアッパ52の軸心を中心とした回転力が働く。
図5(b)に示すように、スラスタ軸受け57は、ベースプレート56から挿通パイプ54の軸心方向に立設された一対の軸受けプレート57aと、それら軸受けプレート57aの間で軸支される軸状に構成された軸受けシャフト57bとを備えており、軸受けシャフト57bは、挿通パイプ54の軸心方向(図5(b)上下方向)に対して直角方向(図5(b)左右方向)の軸心を有し、軸受けシャフト57bは、挿通パイプ54の軸心方向に貫通成形された貫通孔57cを有している。
よって、後述するリンク70(図8(a)参照)の第2クレビス部72(図8(a)参照)が備える第2クレビスシャフト75(図8(a)参照)を貫通孔57cに挿通させると、リンク70は、スラスタ軸受け57を中心とする直交する2方向に回動可能となる。即ち、軸受けシャフト57bを中心とする回動と、貫通孔57cを中心とする回動とを同時に行うことが可能となる。
また、拡底翼60(図2(b)参照)の内側面には、スラスタ軸受け57と同等の構成の軸受けである拡底翼軸受け67(図2(a)参照)が取り付けられており、拡底翼軸受け67の取り付け位置は、軸受けシャフト57bと同等の構成である拡底翼軸受けシャフト67b(図2(b)参照)の軸心方向が挿通パイプ54の軸心方向(図2(b)上下方向)と直角となる位置とされている。
そのため、拡底翼60が枠体30に対して回動すると、拡底翼軸受けシャフト67bの軸心は、挿通パイプ54の軸心に沿う軸心を中心として回動するので、軸受けシャフト57bの軸心に対してねじれた位置関係になる。そのため、そのねじれを吸収するために、拡底翼軸受けシャフト67bと軸受けシャフト57bとに連結されるリンク70には、リンク70の軸心を中心として、拡底翼軸受けシャフト67bに連結される側が軸受けシャフト57bに連結される側に対して回動する機構が設けられている。
図5(b)に示すように、スラスタアッパ52は、スラスタ50の位置を規制するためのストッパであり、断面正方形の筒状体として構成され、その開口下端部(図5(b)下端)には、スラスタアッパ52の軸心方向(図5(b)下端)に対して直角方向に張り出したアッパフランジ部52aを備えている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、スラスタインナ53は、一般構造用圧延鋼材(SS400)にて断面正方形の筒状体として構成され、その開口上端部(図6(a)上端)には、スラスタインナ53の軸心方向に対して直角方向(図6(a)左右方向)に張り出したインナフランジ部53aを備えている。
図6(b)に示すように、インナフランジ部53aは、上面視正方形の外形および上面視正方形の内形を有する環状に構成されており、スラスタインナ53の軸心方向(図6(b)紙面垂直方向)に貫通成形された複数(第1実施の形態では8個)のインナフランジ貫通孔53bを有している。
また、図5(b)に示すように、スラスタインナ53の外形は、挿通パイプ54の内形に対応している。そのスラスタインナ53の外形寸法は、挿通パイプ54の内形寸法よりも挿通パイプ54に隙間嵌めが可能な程度に小さな寸法とされている。よって、スラスタインナ53は挿通パイプ54に内嵌され、ロアフランジ部54aとインナフランジ部53aとが当接されて位置が決められる。
ロアフランジ部54a、インナフランジ部53a及びアッパフランジ部52aは、平坦面形状に構成され同一の外形を有している。その平坦面上には、貫通孔が形成されている。ロアフランジ部54a、インナフランジ部53a及びアッパフランジ部52aの外形が一致するように重ね合わせられると、それぞれの貫通孔が対応した位置に配設される。よって、ロアフランジ部54aに重ね合わせられたインナフランジ部53aに、アッパフランジ部52aを重ね合わせる。そして、貫通孔にボルトBを挿通させて、それらフランジ部を締結してスラスタ50を組み立てる。このように、スラスタインナ53は、着脱自在に構成されているので、摩耗した場合には、スラスタインナ53のみを交換することができる。
次に、図7を参照してロッド40について説明する。図7(a)は、ロッド40の側面を示した側面図であり、図7(b)は、ロッド40の底面を示した底面図である。なお、図7(a)に示すハッチングは、炎焼入れ・焼もどし(JIS熱処理記号:HQF・HT)処理が施されている部位を示している。
図7(a)及び図7(b)に示すように、ロッド40は、底面視正方形の外形を有すると共に底面視円形の内形を有する筒状に構成されている。そのため、ロッド40を無垢の柱状として構成する場合に比べて、ロッド40を軽量とすることができる。
また、ロッド40は、ケリーバ15(図1参照)の回転力を枠体30に伝達すると共にスラスタ50を案内するものであり、主に、機械構造用炭素鋼鋼材(S45C)にて構成され、上延長部44と、中央熱処理部45と、下延長部46とを備えている。
上延長部44は、ロッド40の上端側の部位であり、上延長部44の上端の四隅には、溶接構造用圧延鋼材(SM490)からL字形状に構成された第1第1ロッドスペーサ41aが複数(第1実施の形態においては8個)配設されている。第1ロッドスペーサ41aは、上延長部44の上端部の四隅に4個、上端から所定の寸法だけ下方(図7(a)下方)の四隅に4個の計8個が配設されている。また、第1ロッドスペーサ41aから所定の寸法だけ下方で、ロッド40の側面上には、溶接構造用圧延鋼材(SM490)から平板形状に構成された第2ロッドスペーサ41bが周方向に複数(第1実施の形態においては4個)配設されている。
上延長部44の上部(図7(a)上部)には、ロッド貫通孔42がロッド40の長手方向に対して直角方向(図7(a)紙面垂直方向)に貫通成形されている。ロッド40は、嵌合孔に嵌合された後、ロッド貫通孔42にケリーピン(図示せず)が挿通されることでケリーバ15(図1参照)の下端部(図1下端部)へ係止される。
中央熱処理部45は、上延長部44の下端から延設されスラスタ50のスラスタインナ53の内周面と摺動する部位である。そのため、中央熱処理部45の外周面には、炎焼入れ・焼もどし(JIS熱処理記号:HQF・HT)処理が施されている。よって、中央熱処理部45のみに炎焼入れ・焼もどし処理を施しているので、ロッド40全体に炎焼入れ・焼もどし(JIS熱処理記号:HQF・HT)処理を施す場合に比べて、ロッド40の製造コストを抑えて、ロッド40の製品コストを削減することができる。その結果、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。下延長部46は、中央熱処理部45の下側に延設された部位である。
上述したように、スラスタインナ53の内周面は、一般構造用圧延鋼材(SS400)にて構成されている。即ち、スラスタインナ53は、中央熱処理部45の外周面より硬度が低い素材にて構成されているので、中央熱処理部45とスラスタインナ53との摺動による焼き付きを抑えて、ロッド40の交換回数を少なくすることができる。よって、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、上述したように、スラスタインナ53は、スラスタロア51に対して着脱自在に構成されているので、ロッド40に対して摺動するスラスタインナ53を摩耗させてロッド40の摩耗を防ぎ、摩耗させたスラスタインナ53だけを交換することができる。
そのため、ロッド40及びスラスタロア51の両方を交換する場合に比べて、交換される部品数を1個にすることができるので、交換部品コストを低く抑えることができる。その結果、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
次に、図8を参照してリンク70について説明する。図8(a)は、リンク70の一部を示した部分側面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるリンク70の部分断面図であり、破線の矢印は、グリスの流れを模式的に示している。なお、図面の簡素化のために、シールリングRの断面へのハッチングは省略している。図8(c)は、図8(a)のVIIIc−VIIIc線におけるリンク70の部分断面図である。なお、リンク70は、スラスタ50と拡底翼60との位置関係を調節する機能と、スラスタ50の往復動作を拡底翼60の拡縮動作として伝える機能とを有する部材である。
図8(a)に示すように、リンク70は、メインシャフト部80と、そのメインシャフト部80の両端の内の一端(図8(a)左端)に螺合される第1クレビス部71と、その第1クレビス部71が螺合された一端部の反対側である他端(図8(a)右端)に螺合される第2クレビス部72と、その第2クレビス部72とメインシャフト部80との間に介在するゴム状弾性体にてリング状に構成された一対のシールリングR(図8(b)参照)を備えている。また、メインシャフト部80は、第1シャフト部81と、第2シャフト部82と、右ナットRNと、左ナットLNとを備えている。
図8(c)に示すように、第1シャフト部81は、円柱形状に構成されたシャフトベース83と、そのシャフトベース83の両端面の内の一端面(図8(c)左端面)から凸設され円柱状に構成された右おねじ部84と、一端面の反対側の面である他端面(図8(c)右端面)から凸設され右おねじ部84と同一の軸心を有すると共に円柱状に構成された左おねじ部85とを備えている。
右おねじ部84の外周面には、右ねじ山84aが形成され、左おねじ部85の外周面には、左ねじ山85aが形成されている。それら右ねじ山84a及び左ねじ山85aは、外径52mm、ピッチ5mmのメートル並目ねじのねじ山として構成されている。また、右ねじ山84aは、右ねじのねじ山として構成され、左ねじ山85aは、左ねじのねじ山として構成されている。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)に示すように、第2シャフト部82は、円柱形状に構成され、その円柱形形状の両端の内の一端(図8(a)左端)に凹設された左めねじ孔86と、一端の反対側である他端(図8(a)右端)に凸設され円柱状に構成された台形おねじ部87とを備えている。
図8(c)に示すように、左めねじ孔86は、有底の孔であり、その左めねじ孔86の開口側の内周面には、左ねじ山86aが形成されている。その左ねじ山86aは、左ねじのねじ山であって、谷の径52mm、ピッチ5mmのメートル並目ねじのねじ山として構成されている。
また、左めねじ孔86は、左おねじ部85に螺合されている。そのため、第1シャフト部81の左おねじ部85と、第2シャフト部82の左めねじ孔86との螺合代が調整されることで、第1シャフト部81に螺合される第1クレビス部71と、第2シャフト部82に螺合される第2クレビス部72との距離が調整される。
図8(b)に示すように、台形おねじ部87は、外周面に台形ねじ山87aが形成されている。その台形ねじ山87aは、左ねじのねじ山であって、外径52mm、ピッチ8mmの台形ねじのねじ山として構成されている。
図8(a)及び図8(c)に示すように、第1クレビス部71は、第1クレビスシャフト73と、第1クレビスシャフト73の反対側に凹設された右めねじ孔74とを備えている。第1クレビスシャフト73は、円柱状に構成され右おねじ部84の軸心方向に対して直交する方向(図8(a)紙面垂直方向)に軸心を有している。
また、第1クレビスシャフト73は、拡底翼軸受け67(図2参照)の拡底翼軸受けシャフト67b(図2参照)に貫通成形された貫通孔に摺動可能に嵌合されている。
上述したように、貫通孔は、拡底翼軸受けシャフト67bの軸心方向(図2(b)左右方向)に直交する方向(図2(b)上下方向)に貫通している。よって、リンク70は、第1クレビスシャフト73を中心として、拡底翼軸受けシャフト67bの軸心を中心とした回動方向と、拡底翼軸受けシャフト67bの軸心に対して直交する方向を中心とした回動方向との2方向に回動することができる。
図8(c)に示すように、右めねじ孔74は、有底の孔であり、その右めねじ孔74の開口側の内周面には、右ねじ山74aが形成されている。その右ねじ山74aは、右ねじのねじ山であって、谷の径52mm、ピッチ5mmのメートル並目ねじのねじ山として構成されている。
また、右めねじ孔74は、右おねじ部84に螺合されている。よって、第1シャフト部81の右おねじ部84と、第1クレビス部71の右めねじ孔74との螺合代が調整されることで、第1クレビス部71と、第1シャフト部81に第2シャフト部82を介して螺合される第2クレビス部72との距離が調整される。
図8(a)及び図8(b)に示すように、第2クレビス部72は、第2クレビスシャフト75と、第2クレビスシャフト75の反対側に凹設された台形めねじ孔76と、その台形めねじ孔76の内部にグリスを注入するグリスニップル77と、貫通孔として構成され台形めねじ孔76の内部からグリスを排出する排出孔78とを備えている。グリスニップル77は、台形めねじ孔76の内部と外部とを連通する貫通孔として形成される注入孔77aを備えている。
第2クレビスシャフト75は、円柱状に構成され右おねじ部84の軸心方向に対して直交する方向(図8(a)紙面垂直方向)に軸心を有しスラスタ軸受け57の軸受けシャフト57bに貫通成形された貫通孔57c(図5(b)参照)に摺動可能に嵌合されている。
上述したように、貫通孔57cは、軸受けシャフト57bの軸心方向(図5(b)左右方向)に直交する方向(図5(b)上下方向)に貫通している。よって、リンク70は、第2クレビスシャフト75を中心として、軸受けシャフト57bの軸心を中心とした回動方向と、軸受けシャフト57bの軸心に対して直交する方向を中心とした回動方向との2方向に回動することができる(図5(b)参照)。
図8(b)に示すように、台形めねじ孔76は、有底の孔であり、その台形めねじ孔76の開口側の内周面には、一対のシールリング溝79が凹設されており、そのシールリング溝79より底側(図8(b)右側)に台形ねじ山76aが形成されている。その台形ねじ山76aより底側には台形めねじ孔76の底側の空間であるグリス貯留室76bが連成されている。また、台形ねじ山76aは、左ねじのねじ山であって、谷の径52mm、ピッチ8mmの台形ねじのねじ山として構成され、台形めねじ孔76は、台形おねじ部87に螺合されている。
例えば、排出孔78とグリスニップル77の位置が入れ替わった場合には、グリスニップル77から圧送されたグリスは、台形おねじ部87の台形ねじ山87aとシールリングRとの両方に向かって圧送される。この場合、台形おねじ部87の台形ねじ山87aにグリスを行き届かせるために、高い圧力でグリスを圧送する必要がある。しかしながら、高い圧力でグリスを圧送するとシールリングRから圧送されたグリスが漏れて、台形おねじ部87の台形ねじ山87aにまでグリスが行き届きにくいという不具合がある。
これに対し、第1実施の形態によれば、グリスニップル77から圧送されたグリスは、グリス貯留室76bに貯留されて、台形おねじ部87の台形ねじ山87aにのみ圧送される。そのため、グリスを圧送する圧力を高く設定することが可能となり、グリスが台形おねじ部87の台形ねじ山87aと台形めねじ孔76の台形ねじ山76aとの隙間を通って台形めねじ孔76の開口部側(図8(b)左側)に押し出される。よって、台形おねじ部87の台形ねじ山87aには、グリスが付着される。台形ねじ山76aと台形ねじ山87aとの隙間から押し出されたグリスは、シールリングRによってシールされるため台形めねじ孔76の開口部側からは流れ出さず、排出孔78から排出される。
その結果、台形おねじ部87の台形ねじ山87aの潤滑を十分に行うことができるので、台形おねじ部87の台形ねじ山87a及び台形めねじ孔76の台形ねじ山76aの損傷を抑制して、リンク70の耐久性を向上することができる。
そして、圧送されたグリスは、台形おねじ部87の台形ねじ山87aと台形めねじ孔76の台形ねじ山76aとの隙間を通って排出孔78に到達する。また、排出孔78まで到達したグリスに掛かっている圧力は、台形おねじ部87の台形ねじ山87aと台形めねじ孔76の台形ねじ山76aとの隙間による圧力損失のため、その隙間を通る前であるグリスニップル77側の圧力に対して十分に低い圧力となっている。そのため、シールリングRが、グリスの漏れを防止して排出孔78のみからグリスが排出される。よって、グリスを注入孔から圧送する際のシールリングRからのグリスの漏れを防止することができる。
図8(c)に示すように、右ナットRN及び左ナットLNは、円筒形状に構成され、その円筒形状の外周面には、一対の平行面が形成されている。その右ナットRNの内周面には、右ねじ山RNaが形成されており、左ナットLNの内周面には、左ねじ山LNaが形成されている。それら右ねじ山RNa及び左ねじ山LNaは、谷の径52mm、ピッチ5mmのメートル並目ねじのねじ山として構成されている。また、右ねじ山RNaは、右ねじのねじ山として構成され、左ねじ山LNaは、左ねじのねじ山として構成されている。なお、右ナットRN及び左ナットLNは、右おねじ部84及び左おねじ部85に螺合されている。
そのため、第1クレビス部71が右おねじ部84に螺合された状態で、右おねじ部84に螺合された右ナットRNを第1クレビス部71側(図8(c)左側)に締め付け、第2シャフト部82が左おねじ部85に螺合された状態で、左おねじ部85に螺合された左ナットLNを第2シャフト部82側(図8(c)右側)に締め付けると、第1シャフト部81が第1クレビス部71及び第2シャフト部82に対して回転しないように固定されて、リンク70の全長が調整された長さに固定される。
その結果、スラスタ50(図2(b)参照)の上下方向(図2(b)上下方向)の位置をスラスタ50の下降により拡径される拡底翼60の拡径寸法(拡底翼60の最外端部間の寸法)に正確に対応させることができる。
また、拡底翼60が枠体30に対して回動すると、拡底翼60の拡底翼軸受け67とスラスタ50のスラスタ軸受け57との位置関係がねじれの位置関係となる(図2参照)。よって、台形めねじ孔76と台形おねじ部87とは、回転方向に固定されることなく螺合しているので、台形めねじ孔76と台形おねじ部87との回転を利用して、第1クレビス部71と第2クレビス部72とを右おねじ部84の軸心を中心として回動させてねじれを吸収する。
例えば、リンク70の全長を長く調整する場合に、台形めねじ孔76と台形おねじ部87とを回動させてリンク70の全長調整をおこなうと台形めねじ孔76と台形おねじ部87との螺合長さが短くなりリンク70の強度を確保することが困難となるという不具合があった。
その螺合長さを確保するためには、第1クレビス部71又は第2クレビス部72の少なくとも一方を拡底翼60から取り外して第1クレビス部71と右おねじ部84とをリンク70の全長が長くなる回転方向に相対回動させ、その分、台形めねじ孔76と台形おねじ部87とをリンク70の全長が短くなる(螺合長さが長くなる)回転方向に相対回動させる必要があり、リンク70の全長調整に手間が掛かるという不具合があった。
ここで、第1実施の形態では、台形めねじ孔76と台形おねじ部87とを備えているので、第1クレビス部71と右おねじ部84との螺合と、第2シャフト部82と左おねじ部85との螺合とによってリンクの全長を調整することができる。よって、リンクの全長調整に伴って台形めねじ孔76と台形おねじ部87との螺合長さが変化することを防止することができる。そのため、螺合長さをリンク70の強度上最適な長さに設定することができ、リンク70の全長調整を容易とすると共にリンク70の強度を確保することができる。
また、右おねじ部84及び右めねじ孔74と、左おねじ部85及び左めねじ孔86とは、リンク70の全長を調整するための部位であるので、リンク70の全長を微調整することができるように、右おねじ部84及び左おねじ部85の一回転当たりの螺進量を台形おねじ部87の螺進量より小さくする。
即ち、右おねじ部84の右ねじ山84a及び右めねじ孔74の右ねじ山74aのピッチを台形おねじ部87の台形ねじ山87a及び台形めねじ孔76の台形ねじ山76aのピッチより小さくするので、スラスタ50の往復移動による圧縮力・引張力により、右おねじ部84の右ねじ山84a及び右めねじ孔74の右ねじ山74aの損傷が発生するという不具合がある。
また、上述したが従来品では、リンク70の全長を固定する方法として、右おねじ部84と右めねじ孔74との回転をキーで固定する方法が取られており、右おねじ部84の右ねじ山84aと右めねじ孔74の右ねじ山74aとの間に、隙間(遊び)を有していた。その結果、スラスタ50の往復移動による圧縮力・引張力が右おねじ部84の右ねじ山84aと右めねじ孔74の右ねじ山74aとを衝突させ、大きな衝撃力が作用するという不具合もある。
同様の不具合が左おねじ部85の左ねじ山85a及び左めねじ孔86の左ねじ山86aに関しても発生する。
これに対し、第1実施の形態によれば、右おねじ部84を右めねじ孔74と右ナットRNとによって締め付けるので、右おねじ部84の右ねじ山84aと右めねじ孔74の右ねじ山74aとの間の遊びを無くすことができる。即ち、遊びを無くすことで右おねじ部84の右ねじ山84aと右めねじ孔74の右ねじ山74aとを密着させて、右おねじ部84の右ねじ山84aと右めねじ孔74の右ねじ山74aとの衝突を防ぎ、衝撃力の発生を抑えることができる。その結果、右おねじ部84の右ねじ山84a及び右めねじ孔74の右ねじ山74aの損傷を抑制して、リンク70の耐久性を向上することができる。
同様に、左おねじ部85を左めねじ孔86と左ナットLNとによって締め付けるので、左おねじ部85の左ねじ山85a及び左めねじ孔86の左ねじ山86aの損傷を抑制して、リンク70の耐久性を向上することができる。
一方、台形おねじ部87及び台形めねじ孔76は、拡底翼60の回動に伴うリンク70のねじれを吸収するための部位であるため、例えば、右おねじ部84と同様に、台形おねじ部87を台形めねじ孔76とナットとによって締め付けると、台形おねじ部87が台形めねじ孔76に対して回転不可能となり、リンク70のねじれを吸収することができない。そのため、台形おねじ部87が台形めねじ孔76に対して回転可能な状態で、台形おねじ部87の台形ねじ山87a及び台形めねじ孔76の台形ねじ山76aの強度を向上させる必要がある。
これに対し、第1実施の形態によれば、台形おねじ部87の台形ねじ山87a及び台形めねじ孔76の台形ねじ山76aは、台形ねじのねじ山として構成されているので、三角ねじを使う場合に比べて、台形おねじ部87の台形ねじ山87a及び台形めねじ孔76の台形ねじ山76aの強度を向上させることができる。よって、台形おねじ部87の台形ねじ山87a及び台形めねじ孔76の台形ねじ山76aの損傷を抑制して、リンクの耐久性を向上することができる。
例えば、右おねじ部84の右ねじ山84a及び左おねじ部85の左ねじ山85aを同一の向きのつる巻き線を備えるねじ(右ねじ及び右ねじ、又は、左ねじ及び左ねじ)とした場合には、第1クレビス部71及び第2クレビス部72が拡底翼60及びスラスタ50に固定された状態で、第1シャフト部81を第1シャフト部81の軸心を中心として第1クレビス部71に向かって右回転させると、第1クレビス部71及び第2クレビス部72は、第1シャフト部81に対して同一方向に移動する。即ち、第1クレビス部71及び第2クレビス部72は、第1シャフト部81の両端に螺合されているので、第2クレビス部72は、第1シャフト部81から離間し、第1クレビス部71は、メインシャフト部80に接近する。
そのため、右おねじ部84の右ねじ山84aと左おねじ部85の左ねじ山85aとのピッチが同一の場合には、第1クレビス部71及び第2クレビス部72の第1シャフト部81に対する移動量が同一となるので、第1クレビス部71及び第2クレビス部72の位置関係は変化しない。即ち、リンク70の全長が調整されない。
この場合、リンク70を少なくとも拡底翼60またはスラスタ50から取り外し、第1クレビス部71と第2クレビス部72とを第1シャフト部81に対してそれぞれ異なる方向に回転させることで、リンク70の全長を調整することができる。
しかし、第1クレビス部71及び第2クレビス部72を拡底翼60またはスラスタ50から取り外す作業と、リンク70の全長をリンク70単独で調節した後に拡底翼60またはスラスタ50に組み付ける作業とが必要となるので、作業コストが嵩むという不具合がある。
また、調整されたリンク70の全長には、組み付け部分の位置のずれなどが考慮された長さになっていないので、リンク70を取り外さない場合に比べて、拡底翼60の位置あわせの精度が劣るという不具合がある。
一方、右おねじ部84の右ねじ山84aと左おねじ部85の左ねじ山85aとのピッチが異なる場合には、上述したように第1クレビス部71と第2クレビス部72との第1シャフト部81に対する移動方向は同一方向であるが、第1クレビス部71及び第2クレビス部72の第1シャフト部81に対する移動量が異なる。即ち、第1クレビス部71及び第2クレビス部72の一方の移動量に対して他方の移動量が多いため、その移動量の差の分だけは、第1クレビス部71と第2クレビス部72との位置関係を変化させて、リンク70の全長を調整することができる。
しかし、リンク70の全長を所定の調整代の範囲で調整しようとした場合には、第1クレビス部71及び第2クレビス部72に螺合されるねじ部の長さを所定の調整代以上に長くしないとならないので、ねじ部を長くした分、不要な加工が発生して製造効率が悪化するという不具合がある。
これに対し、第1実施の形態によれば、右おねじ部84の右ねじ山84aが右ねじとして構成され、左おねじ部85の左ねじ山85aが左ねじとして構成されているので、リンク70を拡底翼60及びスラスタ50に連結した状態のままでも、第1クレビス部71に対して第1シャフト部81部を右回転または左回転させると第1クレビス部71と第2クレビス部72とを近接または離間させることができる。
よって、リンク70を拡底翼60またはスラスタ50に着脱する作業を省略することで、拡底翼60の位置調整の作業コストを削減することができる。また、リンク70を拡底翼60またはスラスタ50に取り付けたまま、リンク70の全長を調整することができるので、拡底翼60の位置あわせの精度を向上させることができると共にリンク70の全長調整を効率的に行うことができる。
さらに、右おねじ部84の右ねじ山84a及び左おねじ部85の左ねじ山85aをすべてリンク70の全長の調整代に使うことができるので、上述した同一の向きのつる巻き線を備えるねじ(右ねじ及び右ねじ、又は、左ねじ及び左ねじ)に比べて、同じ調整代でも右おねじ部84の右ねじ山84a及び左おねじ部85の左ねじ山85aを短くすることができる。よって、不要な加工を省略して製造効率を向上させることができる。
なお、左おねじ部85の左ねじ山85aに螺合される左めねじ孔86の左ねじ山86aは、左おねじ部85左ねじ山85aに対応した形状に構成されており、同様に、右おねじ部84の右ねじ山84aに螺合される右めねじ孔74の右ねじ山74aも右おねじ部84の右ねじ山84aに対応した形状に構成されている。
次に、図9を参照して、第2実施の形態について説明する。図9は、第2実施の形態における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図であり、図9(a)は、図4(a)における図3のIVa−IVa線における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図に対応し、図9(b)は、図4(b)における図3のIVb−IVb線における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図に対応する。なお、図9(a)及び図9(b)では、枠体カラー235及び拡底翼カラー265の外周の溶接部位の位置を枠体カラー235及び拡底翼カラー265の外周に示す直線の群にて示している。
第1実施の形態(図4参照)では、枠体カラー35及び拡底翼カラー65が貫通孔である枠体カラー孔35a及び拡底翼カラー孔65aを備える構成としたが、第2実施の形態では、拡底翼カラー265及び枠体カラー235は、シャフトFから拡底翼カラー265及び枠体カラー235を取り外すための連通部Kを備えて構成されている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
例えば、第1実施の形態では、拡底翼カラー65及び枠体カラー35は、貫通孔である拡底翼カラー孔65a及び貫通孔である枠体カラー孔35aを有しており、それら拡底翼カラー孔65a及び枠体カラー孔35aは、シャフトFに外嵌されているので、拡底翼カラー65及び枠体カラー35を交換する際に、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33からシャフトFを抜き取る必要があった。
これに対し、第2実施の形態によれば、拡底翼カラー265及び枠体カラー235は、拡底翼カラー265の外縁および枠体カラー235の外縁と、拡底翼カラー孔265a及び枠体カラー孔235aとの間を連通する連通部Kを備え、その連通部Kの開口寸法Tは、シャフトFの直径寸法Dと同等以上の大きさに構成されている。
そのため、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の連通部Kを利用して、拡底翼カラー265及び枠体カラー235をシャフトFから取り外したり、取り付けたりすることができる。その結果、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33からシャフトFを抜くこと無しに、拡底翼カラー265及び枠体カラー235をシャフトFから取り外して交換することができる。その結果、拡底翼60及び枠体30からシャフトFを取り外す手間を省くことができるので、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
図9(a)及び図9(b)に示すように、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の溶接部2W1は、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33の軸心を中心とする円周方向に、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の外周に沿って45度の範囲の溶接であり、連通部Kの反対側の位置の1箇所にだけ位置されている。
また、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の溶接部2W2は、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33の軸心を中心とする円周方向に、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の外周に沿って30度の範囲の溶接であり、連通部Kの反対側の箇所から拡底翼カラー265及び枠体カラー235の外周に沿って両方向に90度ずらした位置の2箇所に位置されている。
例えば、連通部Kに近い拡底翼カラー265及び枠体カラー235の位置を溶接部とすると、連通部Kを備える拡底翼カラー265及び枠体カラー235は、C型の形状のため、溶接部から連通部Kまでの寸法が短い部位と長い部位とに分かれる。そのため、短い部位は、長い部位に比べて溶接の熱による温度上昇が速く、焼きなましや、変形の恐れがあるので、溶接の範囲を広く取ることができない。
これに対し、第2実施の形態によれば、連通部Kの反対側の箇所である溶接部2W1を45度の範囲の溶接とし、溶接部2W1より連通部Kに近い溶接部2W2を30度の範囲の溶接としているので、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の溶接の熱による部分的な温度上昇を防止して、拡底翼カラー265及び枠体カラー235の焼きなましや、変形を防止することができる。
また、枠体カラー235の連通部Kは、シャフトFの枠体30の外側面側(図9(a)下側)に形成されているので、拡底翼カラー265は、拡底翼60の内側に取り外すことができる。また、拡底翼カラー265の連通部Kは、シャフトFの拡底翼60の外側面側(図9(b)下側)に形成されているので、拡底翼カラー265は、拡底翼60の内側に取り外すことができる。
次に、図10を参照して、第3実施の形態について説明する。図10は、第3実施の形態における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図であり、図10(a)は、図4(a)における図3のIVa−IVa線における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図に対応し、図10(b)は、図4(b)における図3のIVb−IVb線における拡底翼60と枠体30との断面の一部を示した部分断面図に対応する。なお、図10(a)及び図10(b)では、枠体カラー335及び拡底翼カラー365の外周の溶接部位の位置を枠体カラー335及び拡底翼カラー365の外周に示す直線の群にて示している。
第1実施の形態(図4参照)では、枠体カラー35及び拡底翼カラー65は、貫通孔である枠体カラー孔35a及び貫通孔である拡底翼カラー孔65aを備える構成としたが、第3実施の形態では、拡底翼カラー365及び枠体カラー335は、一対の半月型に構成されている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
例えば、上述したように、第1実施の形態では、拡底翼カラー65及び枠体カラー35の交換にシャフトFの抜き取りが必要であった。
これに対し、第3実施の形態によれば、半月型に形成された拡底翼カラー365及び半月型に形成された枠体カラー335を備えているので、拡底翼カラー265及び枠体カラー235をシャフトFから取り外したり、取り付けたりすることができる。そのため、拡底翼パイプ63及び枠体パイプ33からシャフトFを抜くこと無しに、拡底翼カラー365及び枠体カラー335をシャフトFから取り外して交換することができる。その結果、拡底翼60及び枠体30からシャフトFを取り外す手間を省くことができるので、拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の溶接部3W1は、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の外周に沿って45度の範囲の溶接であり、分割された拡底翼カラー365及び枠体カラー335の円周方向の中央部に1箇所だけ位置されている。
また、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の溶接部3W2は、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の外周に沿って30度の範囲の溶接であり、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の円周方向の中央部から拡底翼カラー365及び枠体カラー335の外周に沿って両方向に60度ずらした位置の2箇所に位置されている。
例えば、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の端部に近い箇所を溶接部とすると、拡底翼カラー365及び枠体カラー335は、半月型の形状のため、溶接部から寸法が短い部位と長い部位とに分かれる。そのため、短い部位は、長い部位に比べて溶接の熱による温度上昇が速く、焼きなましや、変形の恐れがある。よって,短い部位の溶接の範囲を広く取ることができない。
これに対し、第3実施の形態によれば、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の円周方向の中央部の溶接部3W1を45度の範囲の溶接とし、溶接部3W1より、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の端部に近い溶接部3W2を30度の範囲の溶接としているので、溶接の熱による部分的な温度上昇を防止して、拡底翼カラー365及び枠体カラー335の焼きなましや、変形を防止することができる。
また、枠体カラー335は、シャフトFの枠体30の外側面側(図9(a)下側)と内側面側(図9(a)上側)とに配設されているので、拡底翼カラー365は、拡底翼60の内側と外側とに取り外すことができる。また、拡底翼カラー365は、シャフトFの拡底翼60の外側面側(図9(b)下側)と内側面側(図9(b)上側)とに配設されているので、拡底翼カラー365は、拡底翼60の内側と外側とに取り外すことができる。
次に、図11を参照して、第4実施の形態について説明する。図11(a)は、リンク470の一部を示した部分側面図であり、図8(a)に対応し、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線におけるリンク470の部分断面図であり、図8(b)に対応する。また、図11(c)は、図11(a)のXIc−XIc線におけるリンク470の部分断面図であり、図8(c)に対応する。
第1実施の形態(図8参照)では、第1シャフト部81の一端に左おねじ部85を備え、左おねじ部85を第2シャフト部82の左めねじ孔86と左ナットLNとに螺合させて締め上げる構成としたが、第4実施の形態では、第1シャフト部81と第2シャフト部82とが一体として構成されている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図11(a)に示すように、リンク470は、主に、メインシャフト部480と、そのメインシャフト部480の両端の内の一端(図11(a)左端)に螺合される第1クレビス部71と、その第1クレビス部71が螺合された一端部の反対側である他端(図8(a)右端)に螺合される第2クレビス部72とを備えており、メインシャフト部480は、右ナットRNを備えている。
図11(a)に示すように、メインシャフト部480は、メインシャフト部480の両端面の内の一端面(図8(a)左端面)から凸設され円柱状に構成された右おねじ部484と、一端面の反対側の面である他端面(図8(a)右端面)から凸設され右おねじ部484と同一の軸心を有すると共に円柱状に構成された台形おねじ部487とを備えている。
右おねじ部484の外周面には、右ねじ山484aが形成されている。その右ねじ山484aは、右ねじのねじ山であって、外径52mm、ピッチ5mmのメートル並目ねじのねじ山として構成されている。また、右おねじ部484は、右めねじ孔74に螺合されている。
図11(b)に示すように、台形おねじ部487は、外周面に台形ねじ山487aが形成されている。その台形ねじ山487aは、左ねじのねじ山であって、外径52mm、ピッチ8mmの台形ねじのねじ山として構成されている。また、台形おねじ部487は、台形めねじ孔76に螺合されている。
例えば、第1実施の形態では、第1シャフト部81の一端に左おねじ部85を備え、左おねじ部85に第2シャフト部82の左めねじ孔86と左ナットLNとを螺合させて締め上げるために、左おねじ部85及び左めねじ孔86の加工の手間と、左ナットLNを製作する手間が掛かっていた。
これに対し、第4実施の形態によれば、第1シャフト部81と第2シャフト部82の螺合部位である左おねじ部85と左めねじ孔86を省略して第1シャフト部81と第2シャフト部82とが一体化されたメインシャフト部480を備えて構成されている。
そのため、左おねじ部85及び左めねじ孔86の加工の手間と、左ナットLNを製作する手間を省くことができるので、リンク70の製造コストを削減することができる。よって、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。
例えば、右おねじ部484の右ねじ山484a及び台形おねじ部487の台形ねじ山487aが同一ピッチの右ねじ及び右ねじ、又は、同一ピッチの左ねじ及び左ねじの組み合わせとした場合には、右おねじ部484及び台形おねじ部487を第1クレビス部71及び第2クレビス部72に対して回転させると右おねじ部484及び台形おねじ部487の螺進量、及び、方向が同一となるので、リンク470の全長が調整されない。
この場合、リンク470を少なくとも拡底翼60またはスラスタ50から取り外し、第1クレビス部71と第2クレビス部72とを右おねじ部484及び台形おねじ部487に対してそれぞれ異なる方向に回転させることで、リンク470の全長を調整することができる。しかし、リンク470を取り外す作業と、リンク470を再び組み付ける作業とが必要となるので、作業コストが嵩むという不具合がある。また、調整されたリンク470の全長には、組み付け部分の位置のずれなどが考慮された長さになっていないので、リンク470を取り外さない場合に比べて、拡底翼60の位置あわせの精度が劣るという不具合がある。
これに対し、第4実施の形態では、右おねじ部484が右ねじ山84aを備え、台形おねじ部487が台形ねじ山87aを備えているので、メインシャフト部480を第1クレビス部71に対して回転させると、第1クレビス部71と第2クレビス部72との位置関係が変化して、リンク470の全長が調整される。その後、右おねじ部484に螺合された右ナットRNを第1クレビス部71側(図11(c)左側)に螺進させて、右おねじ部484をメインシャフト部480に対して固定する。
メインシャフト部480の両端に螺合される第1クレビス部71及び第2クレビス部72は、枠体30と拡底翼60とに軸支されているので、メインシャフト部480を第1クレビス部71に対してのみ固定すれば、メインシャフト部480が回転して抜け出すことを防ぐことができるので、第2クレビス部72とメインシャフト部480との螺合を回転自在とすることができる。
よって、上述した不具合を解決した上で、左おねじ部85及び左めねじ孔86の加工の手間と、左ナットLNを製作する手間とを省いて、リンク70の製造コストを削減することができる。よって、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。
なお、第4実施の形態は、ピッチ5mmの右ねじとピッチ8mmの左ねじとの組み合わせで全長調節をおこない、第1実施の形態は、ピッチ5mmの右ねじとピッチ5mmの左ねじとの組み合わせで長さ調節を行う。よって、リンク70の全長調整を微調整する観点からすると、リンク70の全長を微調整することができる第1実施の形態の方が第4実施の形態より好適である。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、スラスタインナ53が一つの部材として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、スラスタインナ53をその軸心方向に沿って2分割される構成としても良い。
この場合、スラスタ50をロッド40に嵌合させた状態でスラスタ50を下降させた後に、スラスタアッパ52とスラスタロア51とを分解してスラスタアッパ52を引き上げ、スラスタアッパ52が引き上げられてできた空間を利用して、スラスタインナをスラスタロア51から引き抜く。
その後、スラスタインナを左右に分割することで、ロッド40からスラスタインナを取り外すことができる。よって、ロッド40を外すことなくスラスタインナ53を交換することができるので、スラスタインナを交換するための手間を省いて拡底バケット19の整備コストを削減することができる。
また、上記各実施の形態では、ロアフランジ部54aに当接されたインナフランジ部53aにさらにアッパフランジ部52aを当接させてボルトで締結することで、スラスタインナ53がスラスタロア51とスラスタアッパ52とに狭持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、スラスタインナ53のインナフランジ部53aを下側に向けて、そのスラスタインナ53をベースプレート56の貫通孔56a側からスラスタロアに挿入して、インナフランジ部53aをベースプレート56にボルトにて締結するように構成しても良い。
この場合、スラスタ50をスラスタアッパ52とスラスタロア51とに分割する必要が無くなる。よって、拡底バケット19を構成する部品点数を削減することができるので、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。
また、上記各実施の形態では、スラスタロア51を一般構造用圧延鋼材(SS400)にて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、溶接構造用圧延鋼材(SM490)又は機械構造用炭素鋼鋼材(S45C)にて構成しても良い。
この場合、スラスタロア51を一般構造用圧延鋼材(SS400)にて構成した場合に比べて、スラスタロア51の硬度を向上させてスラスタロア51の変形を抑えることができる。よって、油圧アクチュエータ21の移動量を拡底翼60に精度良く伝えて拡底翼60の拡径精度を向上させることができる。
また、上記各実施の形態では、ロッド40が筒状に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、無垢の柱状に構成しても良い。
この場合、ロッド40を筒状に構成した場合に比べて、ロッド40の加工を省くことができる。よって、ロッド40の加工コストを削減することで、拡底バケット19の製品コストを削減することができる。
また、上記各実施の形態では、右おねじ部84、右めねじ孔74、左おねじ部85、左めねじ孔86のねじ山が並目ねじとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、細目ねじにて構成しても良い。
この場合、並目ねじにて構成される場合に比べて、シャフトベース83一回転当たりの螺進量を小さくすることができる。よって、油圧アクチュエータ21に対する拡底翼60の拡径位置を精度良く調整することができる。
上記各実施の形態では、右おねじ部84がおねじとして構成され、右めねじ孔74がめねじとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、右おねじ部84をめねじとして構成し、右めねじ孔74をおねじとして構成しても良い。
また、上記各実施の形態では、左おねじ部85がおねじとして構成され、左めねじ孔86がめねじとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左おねじ部85をめねじとして構成し、左めねじ孔86をおねじとして構成しても良い。
また、上記各実施の形態では、台形おねじ部87がおねじとして構成され、台形めねじ孔76がめねじとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、台形おねじ部87をめねじとして構成し、台形めねじ孔76をおねじとして構成しても良い。
また、上記第1実施の形態、第2実施の形態および第3実施の形態では、台形ねじ山76a及び台形ねじ山87aが左ねじのねじ山として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、台形ねじ山76a及び台形ねじ山87aを右ねじのねじ山として構成しても良い。
また、上記各実施の形態では、右ねじ山74a、右ねじ山84a及び右ねじ山RNaが右ねじのねじ山として構成され、台形ねじ山76a、台形ねじ山87a、左ねじ山86a、左ねじ山85a及び左ねじ山LNaが左ねじのねじ山として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、右ねじ山74a、右ねじ山84a及び右ねじ山RNaを左ねじのねじ山として構成し、台形ねじ山76a、台形ねじ山87a、左ねじ山86a、左ねじ山85a及び左ねじ山LNaを右ねじのねじ山として構成しても良い。