JP2009149695A - Helicobacterpyloriワクチン接種 - Google Patents

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Abstract

【課題】3種の精製されたH.pylori抗原(CagA、VacAおよびNAP)の無菌的な免疫原性調製物を提供すること。
【解決手段】3種の精製されたH.pylori抗原(CagA、VacAおよびNAP)の無菌的な免疫原性調製物は、alumでアジュバント化され、筋内注射のために等張緩衝液中にある。これらの抗原は、抗生物質および/または抗分泌剤と組み合わせて投与され得る。ウレアーゼ呼吸試験、便中抗原試験、および/または免疫学的分析は、H.pylori感染に対する相関現象として使用され得る。尿素は、VacA溶解性を向上するために使用され得る。
【選択図】なし

Description

本明細書中で引用される全ての文献は、その全体が参考として援用される。
本発明は、Helicobacter pyloriに対するワクチン接種の分野における発明である。
Helicobacter pylori(HP)は、グラム陰性のらせん状細菌であり、ヒトの胃に感染する。世界人口の50%を超える人がこの細菌を保有していると考えられている。
このHP感染の高い有病率とその小児期における獲得に起因して、HPに起因する疾患の世界的な根絶は、専らワクチン接種の普及によって成し得るのみである。所定の個体が受けたHP感染の予防により、個体が引き続いて胃十二指腸潰瘍疾患または胃癌を発症する見込みを低下することが期待できる。
HPにおいて種々の抗原性のタンパク質が同定されており〔例えば、参考文献1〜5〕、それらとしては、ウレアーゼ、VacA、CagA、NAP、鞭毛タンパク質、粘着因子などが挙げられ、これらの多くはワクチンにおける使用について提案されている。2つの完全なHPゲノム配列も入手可能である〔6、7〕。
小動物および大動物の両モデルにおいて、HP感染に対する予防的ワクチン接種が実施可能であることが実証されている。感染のマウスモデル〔8〕は、消化性潰瘍疾患の患者から新たに単離されたHP株がマウスに対し感染能を有することに基づいて、開発された。3種の組換えHP抗原(VacA、CagA、およびNAP)を単独または組み合わせて、粘膜アジュバント(例えば、野生型E.coli、または非毒素性のK63変異株由来のエンテロトキシンLT)と一緒に用いてマウスの経口免疫を行うと、その後のHPでのチャレンジに対して防御効果を示すことが報告されている〔9、10〕。さらに、VacA(ネイティブおよび組換えp95)は、I型(VacA)HP株のチャレンジに対して防御効果を示したが、II型(VacA)HP株に対しては示さないことが報告されている。したがって、防御効果は抗原特異的であるようである。
本発明の目的は、ヒトにおける臨床的な使用のためのHPワクチンを提供することである。
本発明のワクチンは、3種の精製されたHP抗原の滅菌調製物であり、アルミニウム塩(alum)でアジュバント化(sdjuvanted)され、筋肉内投与のために等張性の緩衝溶液中にある。この処方物中の3種の抗原は、CagA、VacA、およびNAPである。これらの抗原は、それぞれ、感染の病因性に関与し、前臨床試験においてその免疫原性および予防効果が実証されている。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) 単位投与形態の組成物であって、(a)H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質、およびNAPタンパク質;(b)アルミニウム塩アジュバント;ならびに(c)緩衝溶液を含有し、ここで該CagA、VacA、およびNAPは、各々、10μg/用量と50μg/用量との間の濃度で存在する、組成物。
(2) 組成物であって、(a)H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質、およびNAPタンパク質;(b)アルミニウム塩アジュバント;(c)緩衝溶液;ならびに(d)尿素を含有する、組成物。
(3) 項目1に記載の組成物であって、前記CagA、VacA、およびNAPが、各々、10μg/用量の濃度で存在する、組成物。
(4) 項目2に記載の組成物であって、前記CagA、VacA、およびNAPが、各々、20μg/mlの濃度で存在する、組成物。
(5) 項目1に記載の組成物であって、前記CagA、VacA、およびNAPが、各々、25μg/用量の濃度で存在する、組成物。
(6) 項目2に記載の組成物であって、前記CagA、VacA、およびNAPが、各々、50μg/mlの濃度で存在する、組成物。
(7) 項目1〜6のいずれか1項に記載の組成物であって、前記アルミニウム塩(alum
salt)は水酸化アルミニウムである、組成物。
(8) 項目7に記載の組成物であって、前記水酸化アルミニウムは1mg/mlの濃度を有する、組成物。
(9) 項目1〜8のいずれか1項に記載の組成物であって、前記緩衝溶液はリン酸緩衝溶液である、組成物。
(10) 項目1〜9のいずれか1項に記載の組成物であって、pHが6と8の間に緩衝化されている、組成物。
(11) 項目1〜10のいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物は等張である、組成物。
(12) 項目1〜11のいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物は無菌である、組成物。
(13) 項目1〜12のいずれか1項に記載の組成物であって、筋内投与に適合された、組成物。
(14) 項目13に記載の組成物であって、注射可能物としての投与に適合された、組成物。
(15) 項目2〜14のいずれか1項に記載の組成物であって、前記尿素が、VacAが可溶性のままであることを確実にするのに十分な量で存在する、組成物。
(16) 項目1〜15のいずれか1項に記載の組成物であって、さらに、以下:
−N.meningitidis由来のタンパク質抗原;
−N.meningitidis由来の細菌外膜小胞(OMV)調製物;
−N.meningitidis由来の糖類抗原;
−Streptococcus pneumoniae由来の糖類抗原;
−A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、および/またはC型肝炎ウイルス由来の抗原;−Bordetella pertussis由来の抗原;
−ジフテリア抗原;
−破傷風抗原;
−Helicobacter pylori由来のタンパク質抗原;
−Haemophilus influenzae由来の糖類抗原;
−N.gonorrhoeae由来の抗原;
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原;
−Chlamydia trachomatis由来の抗原;
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原;
−ポリオ抗原;
−狂犬病抗原;
−はしか抗原、耳下腺炎抗原、および/または風疹抗原;
−インフルエンザ抗原;
−Moraxella catarrhalis由来の抗原;
−Streptococcus agalactiae由来の抗原;
−Streptococcus pyogenes由来の抗原;ならびに、
−Staphylococcus aureus由来の抗原、
から成る群から選択された抗原を含有する、組成物。
(17) 項目1〜16のいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物は免疫原性の組成物である、組成物。
(18) 項目1〜17のいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物はワクチン組成物である、組成物。
(19) 項目1〜18のいずれか1項に記載の組成物であって、さらに、Helicobacter pyloriに対して有効な抗分泌性の薬剤および/または抗生物質を含有する、組成物。
(20) 項目19に記載の組成物であって、前記抗分泌性の薬剤は、プロトンポンプインヒビター、H2レセプターアンタゴニスト、ビスマス塩またはプロスタグランジンアナログである、組成物。
(21) キットであって、シリンジ、注射針、および項目1〜20のいずれか1項に記載の組成物を備える、キット。
(22) 項目21に記載のキットであって、前記組成物は前記シリンジの内部に存在する、キット。
(23) 項目21または項目22に記載のキットであって、さらに、Helicobacter pyloriに対して有効な抗分泌性の薬剤および/または抗生物質を備える、キット。
(24) 項目23に記載のキットであって、前記抗分泌性の薬剤は、プロトンポンプインヒビター、H2レセプターアンタゴニスト、ビスマス塩またはプロスタグランジンアナログである、キット。
(25) 項目1〜20のいずれか1項に記載の組成物を生成するためのプロセスであって、H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質およびNAPタンパク質、アルミニウム塩、ならびに緩衝溶液を混合する工程を包含する、プロセス。
(26) (a)項目1〜18のいずれか1項に記載の組成物、および(b)Helicobacter pyloriに対して有効な抗分泌性の薬剤および/または抗生物質の使用であって、哺乳動物においてCagA、VacA、およびNAPに対する免疫応答を惹起するための医薬の製造における、使用。
(27) 項目26の使用であって、前記医薬は、あらゆる年齢におけるHelicobacter pyloriに起因する感染および/または疾患の、予防および/または処置を目的とする、使用。
(28) 項目1〜20のいずれか1項に記載の組成物の効果をモニタリングするプロセスであって、以下に記載の試験:ウレアーゼ呼吸試験、便中抗原排出、および/または免疫学的な(例えば、血清学的な)分析、
のうち一つまたはそれ以上が、該組成物を投与された患者に対して行われる、プロセス。
(29) 項目28のプロセスであって、該プロセスは、予防効果をモニタリングする、プロセス。
(30) 項目28のプロセスであって、該プロセスは、治療効果をモニタリングする、プロセス。
(31) 前記ウレアーゼ呼吸試験、便中抗原排出、および/または免疫学的な(血清学的な)分析の使用であって、H.pylori感染に対する防御に相関するものとしての、使用。
したがって、本発明は、(a)H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質、およびNAPタンパク質;(b)アルミニウム塩アジュバント;ならびに(c)緩衝溶液を含有している組成物を提供している。
本発明はまた、H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質、およびNAPタンパク質、アルミニウム塩アジュバント、ならびに緩衝溶液を混合する工程を含有する組成物を生産するためのプロセスをも提供する。これら5種の構成成分は、いかなる順序でも混合され得る;タンパク質の好ましい混合順序は、NAPにCagAを添加し、次いで、このCagA/NAP混合物にVacAを添加する順序である。
図1は、LTK63をアジュバントとして使用し、H.pylori抗原[9、10]を用いた予防薬の経口免疫の効力を示す。防御は、示された処置を受けたマウス由来の胃をプレーティングした後のコロニーの不存在として評価される。データは異なる実験に由来する。 図2は、異なる経路による細胞全体溶解物を用いた免疫後の、H.pylori感染に対する通常のビーグル犬の防御を示す。図2Aは、このイヌにおける免疫原性を示す(各グラフの4本のバーは、左から右へ以下である:コントロール、胃内、鼻腔内、筋内)。図2Bは、防御の結果を要約している。防御を、迅速尿素試験、組織学、免疫組織化学、ならびに胃の肉眼的研究および顕微鏡研究)によって検出可能な細菌の不存在として評価した。 図3は、精製されたVacA抗原、CagA抗原またはNAP抗原あるいは細胞全体溶解物での筋内免疫によって付与された免疫原性(3A;1群当たりの平均力価)および防御(3B)を示す。防御を、図2について記述されたように評価した。 図4は、ビーグルにおけるCagA、VacAおよびNAPの混合物の免疫原性を示す。動物を、alumをアジュバントとして各抗原10μg(四角)かまたは50μg(丸)のどちらかで免疫した。矢印は免疫日を示す。 図5は、ビーグルにおける耐性研究による胃の生検の結果を示す。 図6は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:紅斑。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図7は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:硬化。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図8は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:倦怠感。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図9は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:筋肉痛。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図10は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:頭痛。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図11は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:関節痛。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図12は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:疲労感。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図13は、1日目から6日目までを通しての、ヒトへの投与についての安全性データを示す:発熱。軽度の反応(一過性から軽度の不快感)を、白抜きのバーとして示す;中程度の反応(普通の日常の活動が制限されない)を灰色のバーとして示す;重篤な反応(普通の日常の活動を行うことが出来ない)を黒色のバーとして示す。横軸はパーセンテージを示す。 図14は、ヒトへの投与のための免疫原性のデータを示す。図14は、毎月の群における抗体応答(血清IgG抗体GMT)を示す。横軸は最初の免疫の後の月数を示す。 図15は、ヒトへの投与のための免疫原性のデータを示す。図15は、毎週の群における抗体応答(血清IgG抗体GMT)を示す。横軸は最初の免疫の後の月数を示す。 図16は、ヒトへの投与のための免疫原性のデータを示す。図16は、毎月の群において、組成物中の3種の全ての抗原に対する抗体を有する被験体のパーセンテージを示す。横軸は最初の免疫の後の月数を示す。 図17は、ヒトへの投与のための免疫原性のデータを示す。図17は、毎週の群において、組成物中の3種の全ての抗原に対する抗体を有する被験体のパーセンテージを示す。横軸は最初の免疫の後の月数を示す。 図18は、ヒトへの投与のための免疫原性のデータを示す。図18は、毎月の群において、3種の抗原に対する細胞の増殖応答を示す。横軸は最初の免疫の後の月数を示す。 図19は、ヒトへの投与のための免疫原性のデータを示す。図19は、毎週の群において、3種の抗原に対する細胞の増殖応答を示す。横軸は最初の免疫の後の月数を示す。
(タンパク質)
CagAタンパク質、VacAタンパク質およびNAPタンパク質は、任意の適切な様式で生成され得る。これらのタンパク質は、HPから精製されるが、より代表的には、組換え発現系から精製され得る。
組換え発現は、好ましくは細菌を利用し、最も好ましくはE.coliを利用する。この細菌は一般にプラスミドを保有し、このプラスミドは本発明のタンパク質をコードする。同一細菌においてこれらのタンパク質が同時発現するよりも、むしろこのタンパク質が別々に発現することが好ましい。別個のタンパク質の精製後、次いで、これらのタンパク質は、本発明の組成物の調製時に混合され得る。従って、好ましくは、このタンパク質は、同一細菌において発現するよりも、むしろ異なる細菌において発現する(例えば、各々がこれら3種の抗原のうち1種の発現を指示している異なる細菌におけるプラスミドを使用することによって)。
CagAタンパク質、VacAタンパク質およびNAPタンパク質は、好ましくは、本発明の組成物を形成するために混合される前にそれぞれが精製された形態で調製される。混合前の各々の抗原の純度は、各抗原について、好ましくは90%以上(w/w)である。すなわち、CagA、VacAまたはNAPの量は、総タンパク質重量の少なくとも90重量%である。さらに好ましくは、この純度は、少なくとも91%である(例えば、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%)。
これらのタンパク質は、もちろん、多様な手段(例えば、ネイティブの発現、組換え発現、H.pylori培養物からの精製、化学合成など)によって調製することができ、また、多様な形態(例えば、ネイティブ、融合体など)で調製することができる。これらのタンパク質は、好ましくは実質的に純粋な形態で調製される(すなわち、他の細菌または宿主細胞タンパク質を実質的に含有しない)。これらのタンパク質は、混合される前に、それぞれ、溶液中か乾燥形体(例えば、凍結乾燥)で存在し得るが、好ましくは、これらは溶液中に存在する。溶液中のこれらのタンパク質の濃度を評価し、次いで、最終混合物中の各タンパク質の所望の濃度を得るために、各タンパク質溶液の適切な容量を用いる。
(CagA抗原)
CagA(細胞傷害性関連抗原)は、インビボのHP感染の間に、活発に上皮細胞に注入されるタンパク質である。チロシンリン酸化および宿主タンパク質への結合後、CagAはシグナル伝達カスケード、アクチンリモデリング、IL−8生成および他の応答を活性化する[11]。CagAは、免疫優性の抗原として同定され、HP株の大多数に存在する[12、13、14]。CagA株に感染しているほとんどの個体は、この抗原に対する抗体反応を起こす。さらに、感染している個体の胃粘膜に侵入しているCD4Tリンパ球のほとんどは、CagAに対して特異的である。CagAの理論上の質量は、約128kDaであり、サイズの多様性は、抗原性の多様性を生じることなく、抗原中に既に存在している配列を生じる内部複製を経て獲得される[13]。このタンパク質は、他の点では、配列の多様性において比較的保存されている[6、7]。
適切な任意のCagA、例えば、対立遺伝子および多型形の形態[例えば、15]、形態の改変体、変異体、免疫原性フラグメントなどが、本発明に従って使用され得る。任意の所定のHP株中のCagA遺伝子の同定は、入手可能なHPゲノム配列の点で簡単である[例えば、6および7を参照]。
CagAの好ましい形態は、参考文献13に示された配列を有する1147残基のタンパク質であるが、382位のスレオニンはアラニンに置換されている。このタンパク質は、SDS−PAGE解析により示したように、約100kDaの主要なタンパク質バンドを有する。
(VacA抗原)
VacA(空胞形成毒素)は、インビボにおいて、H.pyloriから高分子量のホモオリゴマーとして放出される。各々のモノマーは95kDaのポリペプチドからなり、このポリペプチドは、タンパク質分解のプロセッシングを受け、2つのフラグメント:一方のフラグメント(p37)は酵素活性を含み、もう一方のフラグメント(p58)は胃上皮細胞レセプターに結合する領域を含む[9、16]、を生成する。このタンパク質は、6量体または7量体の“花の様な”高分子量を有する構造を形成して構築される。VacA細胞毒のアミノ酸配列は、“中間領域”または“m”と呼ばれるp58の一部を除いてよく保存されており、そのp58の一部は、対立遺伝子のバリエーションを発現する[6、7、17]。
適切な任意の形態のVacA、例えば、対立遺伝子および多型の形態[例えば、15]、改変体、変異体、免疫原性フラグメントなどが、本発明に従って使用され得る。任意の所定のHP株中のVacA遺伝子の同定は、特に入手可能なHPゲノム配列の点で簡単である[例えば、6および7を参照]。
野生型VacAは胃粘膜の空胞化に関連するが、本発明の組成物に使用したVacAは、好ましくは、いかなる空胞化活性も有さない形態である。これは、たとえば、折り畳み間違い[18]、または、一部または完全な変性によると考えられる(例えば、ホルムアルデヒド処理によって[19])。
VacAの好ましい形態は、アミノ末端がNH−Met−Arg−Gly−Ser−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Gly−Ser−のアミノ酸配列で開始し、参考文献16に示された配列の34残基から1001残基までを有する980アミノ酸の分子である。この6つのXaa残基のそれぞれは、互いに同じかまたは異なり得、またそれぞれは任意のアミノ酸であり得る(例えば、Glu、ArgまたはHis)。この抗原は、SDS−PAGE解析により示したように、95kDaと100kDaとの間に主要なタンパク質バンドを有する。
(NAP抗原)
NAP(好中球活性化タンパク質)は、H.pyloriの全ての株において高度に保存された抗原である[6、7、20、21、22]。これは、感染の部位において、HP病原作用にとって重要な毒力因子であり、ワクチン開発のための候補抗原である。NAPタンパク質は、ヒトの好中球および単球を活性化し、その走化性を促進する。HPに感染した患者の大多数は、NAP特異的抗体を生成し、このことは、免疫におけるこの因子の重要な役割を示唆している。この活性は、TNF−αやIFN−γによって増強され、百日咳毒素によって阻害され(NAP活性がGタンパク質を通じて発揮されることを示唆している)、ワルトマニン(wartmannin)感受性である(NAP活性がPI3−キナーゼを通じて発揮されることを示唆している)。また、NAP抗原でのマウスのワクチン接種が、HPのチャレンジに対する防御を誘導することも示されている[10]。NAPは、17kDaのモノマーであり、αへリックスに富み(構造の80%)、会合してドデカン構造を形成しており、モノマー当たり40原子に及ぶ鉄を結合している[23]。
NAPの適切な任意の形態、例えば、対立遺伝子形態および多型の形態、改変体、変異体、免疫原性フラグメントなどが、本発明に従って使用され得る。任意の所定のHP株中のNAP遺伝子の同定は、特に入手可能なHPゲノム配列の点で簡単である[例えば、6および7を参照]。NAPは、好ましくは、多量体形態で含まれる。
NAPの好ましい形態は、参考文献20に示された配列を有する144アミノ酸のタンパク質であるが、8位のリジンはアルギニンに置換され、58位のロイシンはイソロイシンに置換され、そして、80位のアスパラギン酸はグルタミン酸に置換されている[24]。この抗原は、SDS−PAGE解析により示したように、約15kDaの主要なタンパク質バンドを有する。
(alumアジュバント)
alumアジュバントの選択は、感染した動物およびヒトが顕著なTh1型の免疫応答を示すという観察に基づいており、一方、Th2型の免疫応答は緩慢なHP感染した個体においてより頻繁に遭遇する[25]。alumは、動物およびヒトの両方において、Th2型応答の強力なインデューサーであると認識されている。したがって、安全性およびアジュバント作用は、最小の副作用で得られる最大の免疫刺激との間でバランスがとれているべきである。アルミニウム塩は、水酸化アルミニウム(alum)を含み、現時点でFDAによってヒトにおいて使用することが承認されている唯一のアジュバントである。無数の投与が小児や幼児に施行されており、その安全性が広い臨床上の使用で実証されている。副作用としては、紅斑、接触過敏症、皮下小結節および肉芽腫性炎症が挙げられるが、通常、全身性の毒性はほとんどまたは全く見られていない[26]。
本発明の組成物は、アジュバントとしてアルミニウム塩を含有する。適切なアルミニウム塩には、水酸化物、リン酸塩、ヒドロキシリン酸塩、酸化水酸化物、オルトリン酸塩、硫酸塩など(例えば、参考文献27の8章と9章参照)が挙げられる。異なったアルミニウム塩の混合物もまた使用され得る。この塩は、任意の適切な形態をとり得る(例えば、ゲル、結晶、非結晶など)。
アルミニウム塩の好ましい量は、用量当たり約0.5mgである。
水酸化アルミニウムは、本発明にしたがって使用するのに好ましい塩である。
CagA、VacAおよびNAPは、好ましくはアルミニウム塩に吸着される。
(処方物)
本発明の組成物は、単位投薬形態で処方され得る。
VacA、CagA、およびNAPは、好ましくは、患者へ投与される単回用量が、この3種のタンパク質の各々10μgと50μgとの間を含有するような濃度で存在する。用量あたりの各々のタンパク量は、同じかまたは異なり得、そのため、この3種のタンパク質の総量は、該して30μgと150μgとの間で変化し得る。
好ましい組成物は、用量当たり、各タンパク質を10μgずつ含有する(すなわち、合計30μg)。別の好ましい組成物は、用量当たり、各タンパク質を25μgずつ含有する(すなわち、合計75μg)。
本組成物の単回用量は、典型的には約500μlの用量を有する。
本発明の組成物は、緩衝溶液を含有している。この組成物は、好ましくはpH6と8との間に緩衝化され、さらに好ましくはpH6.5と7.5との間に緩衝化され、最も好ましくは約pH7に緩衝化される。これは、典型的にはリン酸緩衝溶液を用いて達成され得るが、他の緩衝溶液(例えば、ヒスチジン緩衝溶液)もまた用いられ得る。
本発明の組成物は、タンパク質の溶解性を高める成分(例えば、尿素またはグアンジン塩酸塩のような変性剤)も含有する。これらは、VacAが可溶性のままであることを確実にするために特に効果的である(すなわち、その量はVacAが可溶性のままであることを確実にするのに十分なければならない)。従って、本発明の好ましい組成物は、例えば、2.9mg/用量と4.1mg/用量との間の低濃度の尿素を含む。これらの濃度は、安全性に関して考慮されるのではなく、尿素は通常血中において60−200mg/lで存在し、高浸透圧症を引き起こす臨床的ないくつかの設定で投与されている。また、ウサギにおいて、3.75mg/用量および7.5mg/用量を使用した有望な安全性データも得られている。尿素は、この組成物に別々の成分として添加され得る;しかしながら、典型的には尿素は、VacAと共に添加される。なぜなら、尿素は、純粋なVacA組成物中に既に存在するためである。
本発明はまた、VacAおよび尿素を含有する組成物も提供する。
本発明の組成物はまた、低濃度のフェノキシエタノールのような保存剤も含有し得る(例えば、約0.5%)。
本発明の組成物はまた、僅少量のクロラムフェニコールのような抗生物質も含有し得る。
本発明の組成物は、好ましくはヒト組織に関して等張である。
本発明の組成物は、好ましくは無菌である。これは、任意の簡便な手段(例えば、混合する前の成分のろ過滅菌)によって達成され得る。
本組成物は、本明細書中で明記された成物に加えて、成分を含有し得る。例えば、この組成物は、(a)、(b)および(c)に加えて成分を含有し得るが、組成物は、(a)、(b)および(c)からなり得る(または、本質的に成分(a)、(b)および(c)からなり得る)。
(投与の経路および方法)
処方されると、本発明の組成物は患者に施行され得る。処置を受ける患者は動物であり得る;特に、ヒト被験体が処置され得る。
異なる経路(胃内、筋内および鼻腔内)によるワクチンの相対的な免疫原性と予防の効力は、HPの細胞全体溶解物またはCagA、VacAおよびNAPの組み合わせのいずれかを用いて、ビーグル(Beagle)モデルにおいて試験された[28]。alumアジュバントは各場合において用いられた。抗原の用量は、抗原当たり10μg〜250μgの範囲であった。免疫の筋内の経路は、胃内の経路および鼻腔内の経路より優れている。
それゆえ、本発明の組成物は、筋内経路の投与に適合されることが好ましい。この組成物の直接の送達のための他の可能な非経口の投与経路には、皮下注射および静脈注射が挙げられる。この組成物はまた、病巣内への投与、または、経口および肺投与、坐剤、経皮的(transdermal)または経皮的塗布(transcutaneous)[例えば、参考文献29]、およびハイポスプレーによって投与され得る。
この組成物は、好ましくは、注射可能物として調製され、液体溶液または懸濁溶液として、あるいは、注射の前に、液体のビヒクル中の溶液または懸濁液に適合した形態の固体としてのいずれかで調製される。この組成物中のどの物質も、好ましくは筋内注射に適合性があるべきである。投与は典型的には、針、例えば、1〜3/2インチ(2.5〜4cm;21〜25ゲージ)の針を用いた注射が必要である。この組成物は、好ましくはシリンジ中に存在する。
代替として。この組成物は針を用いない方法によって投与され得る[例えば、参照文献30]。
投与処置は、単回投与スケジュールまたは複数回投与スケジュールであり得、ブースター投与を含み得る。この組成物は、好ましくは患者に1コースの処置中に3回筋内投与され、必要に応じ、4回目の(ブースター)投与が続く。投与は、好ましくは上腕(三角筋)に行う。処置が一回より多い投与を含む場合、左右の腕の交互が便利である。
この組成物は、好ましくは、患者に投与する前に冷蔵庫(例えば、2℃と8℃との間)に保存される。
(免疫原性の組成物および医薬)
本発明の組成物は、好ましくは免疫原性の組成物であり、さらに好ましくはワクチン組成物である。
本発明に関わるワクチンは、予防薬(すなわち、感染の防御)または治療薬(すなわち、感染の処置)のいずれかであり得、典型的には予防薬である。
本発明はまた、本発明の組成物を医薬として使用するために提供する。この医薬は、好ましくは、哺乳動物においてCagA、VacAおよびNAPに対する免疫応答を高めることが可能であり(すなわち、免疫原性の組成物である)、さらに好ましくは、ワクチンである。
本発明はまた、哺乳動物においてCagA、VacAおよびNAPに対する免疫応答を高めるための医薬の製造において、本発明の組成物の使用を提供する。その医薬は、好ましくはワクチンである。
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を高めるための方法を提供し、その方法は、有効量の本発明の組成物を投与する工程を包含する。この免疫応答は、好ましくは防御性である。本方法は、ブースター応答を高め得る。
哺乳動物は、好ましくはヒトである。ワクチンの目的が予防的な使用にある場合、ヒトは好ましくは小児(例えば、幼児または乳児)である;ワクチンの目的が治療的な使用にある場合、ヒトは好ましくは成人である。小児を意図するワクチンはまた、例えば、安全性、投薬量決定、免疫原性などを評価するために、成人にも投与し得る。
これらの使用および方法は、好ましくは、Helicobacter pyloriが原因の疾患(例えば、慢性の胃炎、十二指腸潰瘍および胃潰瘍、胃腺癌)の予防および/または治療のためである。
(ワクチン効力の評価)
免疫原生の組成物またはワクチンとしての効力を評価するために、本発明の組成物は、H.pylori感染の動物モデルにおいて試験され得る[例えば、参考文献1の530−533頁を参照のこと]。H.pylori感染の存在または不在は、一つまたはそれ以上の侵襲性のアプローチ(例えば、生検での内視鏡検査、培養、ウレアーゼ試験)および/または非侵襲性のアプローチ(例えば、ウレアーゼ呼吸試験、便中抗原)を用いて評価され得る。
ヒト被験者における予防的な効力を評価するために、以下の非侵襲性の方法のうち、1、2、または全てを使用するのが好ましい:ウレアーゼ呼吸試験(UBT)、便中抗原排出、および/または免疫応答の分析。便中におけるH.pylori抗原の存在は、UBTの陽性結果と同じく、活発な感染を示す。抗−H.pylori抗体の出現は、本発明の組成物が免疫応答を惹起していることを示す。予防的な効力は、従って、便中抗原またはUBT分析の継続的な陰性結果によって評価され、また免疫原性は、任意の生物学的な流体中における陽性の免疫応答(抗体または細胞性の)の発生によって評価され得る。これらの方法は、好ましくは、防御との相関を得るために、単独でまたは組み合わせで用いられ、必要に応じて生検のような侵襲性の方法と組み合わせる。
UBTは、H.pylori感染の検出および/または診断に広く用いられる[例えば、参考文献31と32を参照のこと]。典型的には、アイソトープ的に標識された尿素の経口投与に続いて、標識化COの測定を伴う。UBTは、抗生物質治療によるH.pyloriの根絶のモニターに使われているが、予防的効力のモニターには、これまで使われていない。
便中におけるH.pylori抗原の存在はまた、H.pylori治療のモニターに使われているが[例えば、参考文献33を参照のこと]、この試験は、予防的効力または治療免疫の効力のモニターには使われていない。この試験は、通常、ポリクローナルの血清を用いて抗原を測定するので、任意の特定のH.pylori抗原に特異的ではない。しかしながら、H.pyloriに特異的な特定の抗原(例えば、CagA、VacA)を測定することもまた可能である。
免疫学的な試験は、感染とワクチンの免疫原性の両方のモニタリングのために広く使用されている。血清学的な試験は典型的な例である。本発明の組成物のために、組成物中の抗原に対する(すなわち、CagA、VacAおよび/またはNAPに対する)抗体の存在は、免疫応答を首尾よく惹起していることを示す。これらの抗体は、任意のタイプ(例えば、IgA、IgG、IgMなど)であり得、任意の生物学的な流体中において測定され得るが、血清中におけるIgGの試験が好ましい。この試験は、好ましくは半定量的または定量的であり、定量的ELISAは血清額的な応答を評価するための最も好ましい方法である。
同じ試験は、効力は異なって測定されるにも関わらず、本発明の組成物の治療の効力をモニターするのに使用され得る。例えば、むしろ陽性のUBT応答の不全が現れるのをモニタリングするよりは、陽性応答の喪失がモニターされる。
(本発明の組成物)
本発明は、以下を含有する組成物を提供する:(a)H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質およびNAPタンパク質;(b)アルミニウム塩アジュバント;および(c)緩衝溶液。ここで、CagA、VacAおよびNAPは、それぞれ、20μg/mlと100μg/mlとの間の濃度で存在する。
本発明はまた、以下を含有する組成物を提供する:(a)H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質およびNAPタンパク質;(b)アルミニウム塩アジュバント;(c)緩衝溶液;および(d)尿素。
本発明はまた、以下を含有する単位投与形態の組成物を提供する:(a)H.pyloriのCagAタンパク質、VacAタンパク質およびNAPタンパク質;(b)アルミニウム塩アジュバント;および(c)緩衝溶液。ここで、CagA、VacAおよびNAPは、それぞれ、10μg/用量と50μg/用量との間の濃度で存在する。
本発明はまた、本発明の組成物ならびに抗分泌性の薬剤および/またはHelicobacter pyloriに対して有効な抗生物質を含有するキットを提供する。
本発明の2つの好ましい組成物は、本質的に、以下の用量当たり(例えば、0.5ml用量当たり)の組成物からなり、pH7.0からpH8.0の範囲のpHを有する:
(本組成物のさらなる成分)
本発明の組成物は、典型的にでは、上記組成物に加え、一つまたはそれ以上の「薬剤的に受容可能なキャリア」を含有し、この組成物を受容した個体に対し、それ自身は有害な抗体の生成を誘導しない任意のキャリアを含む。適切なキャリアは、典型的には、大きく、緩慢に代謝された巨大分子であり、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、多量体アミノ酸、アミノ酸コポリマー、トレハロース(WO00/56365)および脂質集合体(油滴またはリポソームのような)である。そのようなキャリアは、当業者に周知である。本ワクチンはまた、水、生理食塩水、グリセロール、などのような希釈剤も含有し得る。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質などのような補助物質も存在し得る。薬剤的に受容可能な賦形剤の徹底的な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesから入手可能である。
ワクチンとして用いられる免疫原性の組成物は、必要に応じて、免疫学的有効量の抗原、および上記成分の他の任意の成分を含有する。「免疫学的有効量」によって、単回投与かまたはシリーズの一部としてかのいずれかで個体へこの量を投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置を受ける個体の健康状態および体調、年齢、処置を受ける個体の分類学的な群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体合成のための個体の免疫系の能力、要求される防御の度合い、ワクチンの調剤、処置する医者の医学的立場の評価、ならびにその他の関連性のある要因に依存して変化する。その量は、慣用的な試験によって決定され得る相対的に広い範囲にあることが期待される。投薬処置は、単回投与スケジュールまたは複数回投与スケジュール(例えば、ブースター投与を含む)であり得る。ワクチンは、他の免疫調節薬剤と共に投与され得る。
ワクチンは、他の免疫調節薬剤と共に投与され得る。
本組成物は、アルミニウム塩に加えて(または代わりに)、他のアジュバントを含み得る。組成物の効果を高めるために好ましいアジュバントには以下のものが挙げられるが、それだけに限らない:(1)O/Wエマルジョンの処方物(ムラミルペプチド(以下参照)または細菌の細胞壁成分のような他の特定の免疫刺激性の薬剤を伴うまたは伴わない)、例えば、(a)マイクロフルイダイザーを用いてミクロン以下の微粒子にして処方されたMF59TM(WO90/14837;参考文献27の10章を参照のこと)であって、5%スクワレン、0.5%Tween80および0.5%Span85(必要に応じてMTP−PEを含む)を含むMF59TM、(b)ミクロン以下のエマルジョンにマイクロフルイダイズされたか、または、より大きな微粒子サイズのエマルジョンを生成するために攪拌されたかいずれかのSAFであって、10%スクワレン、0.4%Tween80、5%pluronic−blocked polymer L121、およびthr−MDPを含むSAF、ならびに(c)RibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)であって、2%スクワレン、0.2%Tween80およびモノホスホリルA(MPL)、トレハロースジミコレート(TMD)および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の一つまたはそれ以上の細菌細胞壁成分(好ましくは、MPL+CWS(DetexTM))を含む、RibiTMアジュバントシステム(RAS);(2)QS21またはStimulonTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)のようなサポニンアジュバントを用い得、またはISCOM(免疫刺激複合体)のようなそれらから生成する微粒子であり、そのISCOMは、例えばWO00/07621のような付加洗浄剤を欠き得る;(3)完全なFreundのアジュバント(CFA)および不完全なFreundのアジュバント(IFA);(4)サイトカインであり、例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(WO99/44636)など)、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CFS)、腫瘍壊死因子(TNF)などのような、サイトカイン;(5)モノホスホリルA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)例えばGB−2220221、EP−A−0689454;(6)3dMPLと、例えば、QS21および/またはO/Wエマルジョン、例えばEP−A−0835318、EP−A−0735898、EP−A−0761231、との組み合わせ;(7)オリゴヌクレオチドであって、CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド[Krieg Vaccine 2000、19、618−622;Krieg Curr opin Mol Ther 2001 3:15−24;Romanら、Nat.Med.、1997、3、849−854;Weinerら、PNAS USA、1997、94、10833−10837;Davisら、J.Immunol.、1998、160、870−876;Chuら、J.Exp.Med.、1997、186、1623−1631;Lipfordら、Eur.J.Immunol.、1997、27、2340−2344;Moldoveanuら、Vaccine、1988、16、1216−1224、Kriegら、Nature、1995、374、546−549;Klinmanら、PNAS USA、1996、93、2879−2883;Ballasら、J.Immunol.、1996、157、1840−1845;Cowderyら、J.Immunol.、1996、156、4570−4575;Halpernら、Cell.Immunol.、1996、167、72−78;Yamamotoら、Jpn.J.Chancer Res.、1988、79、866−873;Staceyら、J.Immunol.、1996、157、2116−2122;Messinaら、J.Immunol.、1991、147、1759−1764;Yiら、J.Immunol.、1996、157、4918−4925;Yiら、J.Immunol.、1996、157、5394−5402;Yiら、J.Immunol.、1998、160、4755−4761;およびYiら、J.Immunol.、1998、160、5898−5906;国際特許出願 WO96/02555、WO98/16247、WO98/18810、WO98/40100、WO98/55495、WO98/37919およびWO98/52581]を含有する、すなわち、少なくとも一つのCGジヌクレオチドを含み、シトシンの代わりに必要に応じて5−メチルシトシンが使用されるオリゴヌクレオチド;(8)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO99/52549);(9)オクトキシノールと組み合わせた、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(例えば、WO01/21207)あるいはオクトキシノールのような追加の非イオン系界面活性剤の少なくとも一つと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルエステルの界面活性剤(例えば、WO01/21152);(10)免疫刺激性のオリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)およびサポニン(例えばWO00/62800);(11)免疫刺激物および金属塩の粒子、例えばWO00/23105;(12)サポニンおよびO/Wエマルジョン、例えばWO99/11241;(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)、例えばWO98/57659;(14)本組成物の効果を高める免疫刺激する薬剤として作用するその他の物質。
ムラミンペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン MTP−PE)、などが挙げられる。
(さらなる抗原)
本発明の組成物に含まれ得るさらなる抗原としては、以下が挙げられる:
−H.pylori由来のさらなる抗原、例えばHopX[例えば、34]、HopY[例えば、34]および/またはウレアーゼ。
−参考文献35〜41におけるような、N.meningitidis血清群B由来のタンパク質抗原であり、タンパク質「287」(以下参照)および誘導体(例えば「ΔG287」)が特に好ましい。
−参考文献42、43、44、45などにおいて開示されるような、N.meningitidis血清群B由来の膜外小胞(OMV)調製物。
−N.meningitidis血清群A、C、W135および/またはY由来のサッカライド抗原、例えば、参考文献46において開示された血清群C由来のオリゴサッカライド[参考文献47も参照のこと]。
−Streptococcus pneumoniae由来のサッカライド抗原[例えば、48、49、50]。
−不活性ウイルスのような、A型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、51、52]。
−表面および/またはコアの抗原のような、B型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、52、53]。
−C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、54]。
−Bordetella pertussis由来の抗原であり、例えば、百日咳ホロトキシン(PT)およびB.pertussis由来の線維状血球凝集素(FHA)であり、また、ペルタクチンならびに/または凝集原2および凝集原3との随意な組み合わせ[例えば、参考文献55および56]。
−ジフテリアトキソイド[例えば、参考文献57の3章]のようなジフテリア抗原、例えばCRM197変異体[例えば、58]。
−破傷風トキソイド[例えば、参考文献57の4章]のような破傷風抗原。
−Haemophilus influenzae B由来のサッカライド抗原[例えば、47]。
−N.gonorrhoeae由来の抗原[例えば、35、36、37]。
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原[例えば、59、60、61、62、63、64、65]。
−Chlamydia trachomatis由来の抗原[例えば、66]。
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原[例えば、67]。
−IPVまたはOPVのような、ポリオ抗原[例えば、68、69]。
−凍結乾燥した非活性ウイルス[例えば、71、RabAvertTM]のような狂犬病抗原[例えば、70]。
−はしか、おたふくかぜおよび/または風疹抗原[例えば、参考文献57の9章、10章および11章]。
−血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質のような、インフルエンザ抗原[例えば、参考文献57の19章]。
−Moraxella catarrhalis由来の抗原[例えば、72]。
−Streptcoccus agalactiae(streptcoccus B群)由来の抗原[例えば、73、74]。
−Streptcoccus pyogenes(streptcoccus A群)由来の抗原[例えば、74、75、76]。
−Staphylococcus aureus由来の抗原[例えば、77]。
組成物は、一つ以上のこれらのさらなる抗原を含有し得る。
サッカライドまたは糖質抗原が使用される場合、これは、好ましくは、免疫原性を高めるためにキャリアタンパク質に結合体化される[例えば、参考文献78〜87]。好ましいキャリアタンパク質は、ジフテリアトキソイドまたは破傷風トキソイドのような、細菌の毒素またはトキソイドである。CRM197ジフテリアトキソイドは、特に好ましい。その他の適切なキャリアタンパクとしては、N.meningitidis外膜タンパク質[例えば、参考文献88]、合成ペプチド[例えば、89、90]、熱ショックタンパク質[例えば、91]、百日咳タンパク質[例えば、92、93]、H.influenzae由来タンパク質D[例えば、94]、C.difficile由来の毒素AまたはB[例えば、95]、などが挙げられる。混合物が血清群AおよびCの両方由来の夾膜サッカライドを含有する場合、MenAサッカライド:MenCサッカライドの比率(w/w)が1よりも大きい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはさらに高い)ことが好ましい。N.meningitidisの異なる血清群由来のサッカライドは、同種または異種のキャリアタンパク質に結合され得る。
任意の適切な結合反応が使用され得、必要な場合は任意の適切なリンカーが用いられる。
毒性のタンパク質抗原は、必要な場合は無毒化され得る(例えば、化学的手段および/または遺伝学的手段による百日咳毒素の無毒化[56])。
ジフテリア抗原が組成物内に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含むことも好ましい。
抗原は、好ましくは、アルミニウム塩に吸着している。
本組成物中の抗原は、典型的には、少なくとも各1μg/mlの濃度で存在する。一般的に、任意の所定の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答を惹起するに充分である。
尿素が本発明の組成物に含まれる場合は、抗原として活性なウレアーゼを含まないことが好ましい。
本発明の組成物中のタンパク質抗原の使用に代わるものとして、その抗原をコードしている核酸が使用され得る[例えば、参考文献96〜104]。本発明の組成物のタンパク質成分は、従って、そのタンパク質をコードしている核酸(好ましくは、(例えばプラスミドの形態の)DNA)によって置換され得る。
(さらなる抗ヘリコバクター薬剤)
本発明の組成物は、Helicobacter pyloriに対して効果的な、抗分泌性剤および/または抗生物質と共に投与され得る。これらの成分は、存在する任意のH.pylori感染からの迅速な軽減を提供し、それによって、免疫治療のより長いタイムスケールを補完する。
これらは、タンパク質抗原と同じ組成物中で投与され得るが、典型的には、別個に投与される。それらは、タンパク質抗原と同時に投与され得るが、一般的には別個の投与プロトコル(例えば毎日)に従う。それらは、タンパク質抗原と同じ経路によって投与され得るが、一般的には経口的に投与される。それらは、タンパク質抗原と同じタイムスケールにわたって投与され得るが、一般的にはタンパク質抗原の最初の投与の少し前(例えば、5日〜14日前まで)からタンパク質抗原の最後の投与の少し後(例えば、5日〜14日後まで)まで投与される。
好ましい抗分泌剤は、プロトンポンプインヒビター(PPI)、H2レセプターアンタゴニスト、ビスマス塩およびプロスタグランジンアナログである。
好ましいPPIは、オメプラゾール(S型およびB型、Na塩およびMg塩など[例えば、105、106]を含む)、ランソプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール(esomeprazole)、ラベプラゾール(rabeprazole)、参考文献107において開示された複素環式化合物、参考文献108のイミダゾピリジン誘導体、参考文献109の縮合したジハイドロピラン、参考文献110のピロリジン誘導体、参考文献111のベンズアミド誘導体、参考文献112のアルカリ性ジアミン誘導体などである。
好ましいH2レセプターアンタゴニストは、ラニチジン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジンおよびロキサチジンである。
好ましいビスマス塩は、サリチル酸ビスマス塩およびクエン酸ビスマス塩(subcitrate)、ならびにまたモエノマイシン(moenomycin)群の抗生物質のビスマス塩である[113]。
好ましいプロスタグランジンアナログは、ミソプロストールおよびエンプロスチルである。
好ましい抗生物質は、テトラサイクリン、メトロニダゾル、クラリスロマイシンおよびアモキシリンである。
その他の適切な抗H.pylori剤は、例えば、参考文献114において開示されている。(定義)
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる(consisting)」を意味し、例えば、「Xを含む」組成物とは、Xのみからなってもよく、またはX+Yのように追加の何かを含んでもよい。
数値xに関係する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
(発明を実施するための形態)
(HP3組成物)
安定性の研究のために、3種の組成物を作製した:
(安定性)
HP3ロットの安定性を、4℃および37℃の両方において、3ヶ月間までモニターした。
物理化学的な安定性を、pHの測定によって評価した。4℃でも37℃でもいずれにおいても、試験期間を通して、pHの有意な変化は無かった。
物理化学的な安定性をまた、ウエスタンブロットによる抗原のアッセイによって評価した。4℃でも37℃でもいずれにおいても、試験期間を通して、抗原の正体の有意な変化は無かった。
免疫学的な安定性を、保存したワクチンを免疫に使用することによって評価した。マウスの群を、腹腔内に1度免疫し、血清試料を28日目に採取し、VacA特異的抗体、CagA特異的抗体およびNAP特異的抗体の力価測定のためにELISAによって試験した。得られたデータは、4℃で3ヶ月間まで、3種の抗原の免疫原性が満足のいくものであることを示している。37℃で5週間保存後、CagAの免疫原性は、4℃で保存された組成物と同程度であったが、VacAおよびNAPの免疫原性は、僅かに低下した(しかし、なお効果的であった)。
ストレス条件(37℃)下で得られた結果に基づき、HP3組成物は安定であるとみなされ得る。
(実験的研究−免疫原性)
HP3を、単回の筋内用量として、または6週間にわたって毎週投与される6回用量としてのいずれかで、ウサギに処置した。ウサギは、単回の免疫の15日後、3種全ての抗原に対して検出可能な低いIgG力価を一貫して有した。15日目に開始して、複数用量研究において、徐々に高くなるレベルのIgGが検出された。レベルは29日目まで増大し、剖検および回復を通して持続した(それぞれ、38日目および50日目)。未処置のコントロール動物は、抗原応答を起こさなかった。
マウスにおいて同様の研究を行ったところ、HP3は、マウスでもまた、単回の免疫後、試験した全ての用量(1用量あたり25μg以下の各抗原)で一貫して免疫原性であることが見出された。
(実験的研究−予防的効力)
粘膜アジュバントを伴った組換えHP抗原またはネイティブなHP抗原(VacA、CagA、NAPなど)によるマウスの経口免疫は、消化性潰瘍疾患の患者から新鮮に単離したH.pyloriによるその後のチャレンジに対する防御を与えた[本明細書中の図1;参考文献9および10]。観察された予防的効力の基礎となる免疫学的なメカニズムは、MHCクラスII拘束CD4細胞応答と関わりがあると思われるが、B細胞応答とは関わりがないと思われる[115]。
(HP感染後に症候を示さないままの)マウスとは異なり、ビーグル犬はHPによる症候性感染を現し、従って、感染の後、臨床学的かつ組織学的に評価され得る[28、116]。このイヌモデルを使用して、細胞全体溶解物(水酸化アルミニウムアジュバントを伴う)の免疫原性は、この溶解物が鼻腔内および胃内投与されたときと比較して、筋内に投与されたときの方が大きいことを決定した。この筋内免疫はまた、H.pyloriによるチャレンジに対する防御も付与した(図2)。
水酸化アルミニウムアジュバントを伴うVacA抗原、CagA抗原およびNAP抗原(各抗原は10、50または250μg/用量)の筋内注射は、同様に免疫原性であり、その後の感染からの防御を付与した(図3)。これらの実験において、各抗原を10μgまたは50μg受けたいずれの動物にも(8頭中0頭)、組織学的感染徴候も免疫組織学的感染徴候もなかった。
(実験的研究−治療効力)
粘膜アジュバントと共に、組換えVacAおよび組換えCagAを胃内に与えたマウスにおいて、慢性のH.pylori感染が根絶された[117]。少なくとも3ヶ月の間、感染の再発は無く、それらのマウスは、その後、HPを用いたチャレンジによる感染に対して抵抗性であった。このことは、これらの組換え抗原を用いたワクチン接種が、確立した感染の根絶を引き起こしたことに加えて、特異的免疫記憶を誘導したことを示唆している。
HPに感染させ、その後、VacA+CagA+NAP(水酸化アルミニウムアジュバントを伴う)の組み合わせを10μgまたは50μg用いて免疫したビーグル犬は、用量依存的な抗原特異的抗体応答を開始した(図4)。それらのビーグル犬は、免疫後7週目および11週目では、粘膜ウレアーゼ試験によれば感染の根絶を示さなかった。しかしながら、17週目には、いずれかの投薬量によって処置した4頭の動物のうち2頭は、粘膜ウレアーゼ試験陰性であり、それに対し、コントロール動物の4頭全てにおける試験は強く陽性のままであった。さらに、胃の炎症性スコアは、抗原で処置した動物において炎症の減退を示し、アジュバントのみを受けたコントロールにおいて炎症の変化が無いことを示した。
他の実験においては、ビーグル犬をHPによって感染させ、その後、10、50および250μgの抗原または細菌溶解物で筋内処置した。
(実験的研究−プロトンポンプインヒビターとの組み合わせでの治療効力)
14頭のビーグル犬を、胃内投与によって、H.pylori SPM326に実験的に感染させた。3頭のコントロールのイヌは、細菌の代わりに生理食塩水を用いたこと以外、同じ処置を受けた。
これらの17頭のイヌを、次の実験群に分けた:
免疫を、1ヶ月間隔で、筋内に3回与えた。オメプラゾールを、毎日、経口的に投与し、この投与は、ワクチンの最初の用量の2日前に開始し、ワクチンの最後の用量の2週間後に終了した。
試験期間を通して、有害な臨床上の徴候も、体重変化も体温変化も認めなかった。
効力を、生検試料に関する免疫組織化学と組織病理学によって評価した。
予備的な結果を、最後のワクチン用量の投与3週間後に摂取した生検を用いて得た。
免疫した両群(#1および#2)において、4頭中3頭のイヌが免疫組織化学によってHelicobacter pylori陰性になり、またそれらの炎症スコアは、ワクチン接種前の生検において観察されたスコアと比較して、低減した。2群の間に有意な違いは認められなかった。
逆に、感染した両方のコントロール群(#3および#4)において、3頭中3頭のイヌが免疫組織化学によってHelicobacter pylori陽性のままでありそれらの炎症スコアは、ワクチン接種した群のスコアよりも高かった。
(前臨床的な研究−毒素学)
1週間当たり1回の頻度で、HP3の6用量までの投与を立証するために、4回の毒素学的研究を行った。3回目と4回目の研究は、適正ラボラトリー基準(GLP)に適合させるために設計した。GLP実施における局部的(注射の部位)および全身性の毒性は、以下に基づいて評価した:臨床的な徴候、身体検査、皮膚スコア、体重および体温、食物消費、検眼鏡検査、臨床の病理学(血清化学、血液学、フィブリノーゲンを含む凝固)ならびに、最大限の肉眼的な死後の試験および組織病理学的な試験。
この毒素学的調査に加え、その他の2つの種において行った効力調査から、適切な安全性の情報が引き出され得る。HP3抗原を持つマウスおよびビーグル犬において、免疫原性およびチャレンジの研究を行った。マウスにおいては、HP3処方に帰する死は無く、またいかなる臨床の徴候に基づいた明白な毒性も無かった。イヌにおいては、HP3処置に関係する死、臨床の徴候、体重の変化もしくは臨床の病理学的発見は無かった。
(刺激研究)
雄のNZWウサギにおいて、単回投与筋内刺激研究(コード3391.24)を実施した。この研究の目的は、ウサギにおいて、尿素を含む、3種の抗原、alumおよび調剤賦形剤の局所的な刺激作用の可能性を評価することである。一日目に、12頭のウサギは、脊椎傍筋に0.5mlの試験品およびコントロール品の3回の筋内注射を以下のように受けた:
臨床の徴候、体重、皮膚の刺激、血液学、凝固、および血清化学を評価した。3日目および15日目に、群あたり3頭の動物を剖検した。肉眼的な死後の試験を行い、注射部位、胃、十二指腸および肉眼的な病変を組織病理学的に試験した。
死もしくは処置に関連した体重、血液学、凝固、または血清化学における作用は無かった。HP3を与えた2頭の動物において非常にかすかな紅斑が見られた(群2、部位1)。alumコントロールを与えた1頭の動物において明確な紅斑が見られ(群2、部位2)、それは減少し、5日目までに完全に解消した。いずれの他の動物にも皮膚の所見は無かった。2頭の動物において、試験部位での明白な傷は紅斑と相互関係を示した。
3日目に剖検した動物における注射部位の組織病理学は、針での外傷に帰する急性の炎症/病巣の壊死からなるものであった。15日目に安楽死させた動物において、注射部位の外傷は、小さな病巣の固まりかまたはマクロファージの蓄積からなるものであった。これらは、2週間前に見られた急性の炎症および病巣の壊死の後の典型的な後遺症であった。群間または注射部分間の炎症性成分のサイズまたは特性における違いは、組織学的な試験において検出され得なかった。
結論:研究条件下において、alumでアジュバント化され、低い尿素(3.75mg/用量)または高い尿素(7.5mg/用量)を含むH.pylori抗原(HP3)は、単回の筋内注射としてウサギに投与した場合、充分に耐性であった。皮膚における所見(紅斑)および筋肉における所見(擦り傷/炎症/壊死)は群および部位にわたって比較し得た。HP3抗原を伴うかまたは伴わない局所的な処方物の応答原性(reactogenicity)は低い桁であり、生理食塩水中のalumかまたはHP3プラシーボ処方物(抗原なし)のいずれかと類似していた。
(耐性研究)
耐性研究(コード7795)は、H.pyloriに感染したビーグル犬を用いて行った。
イヌは、1日おきに3回の経口投与(各10 cfu)を用いてH.pyloriに感染させた[117]。感染の後、2動物/性別/群に、CagA+VacA+NAP(各抗原10μgまたは50μg/用量)またはalumコントロールのいずれかの筋内注射を与えた。4番目の群は 抗生物質およびプロトンポンプインヒビター(クラリスロマイシン250mg、メトロニダゾール250mg、ビスマスクエン酸塩60mg、オメプラゾール20mg)を含む通常の投薬レジメンで処置した。血清学的評価および内視鏡的評価を、最初の投与後、7週目、11週目、17週目、および27週目に行った:
2群および3群の動物は、3種類の各抗原に対する抗体反応を示した。用量−応答は、NAP成分に最も顕著であった(図4)。どちらの抗原用量でのワクチン接種も、臨床的徴候、体重、注射部位反応、体温、血液学、または血清化学の見地から、コントロール群と比較して、いかなる有害な作用も引き起こさなかった。
ワクチン接種後7週目および11週目における迅速な尿素試験による胃の生検の評価は、アジュバントまたは抗原を与えた全ての動物におけるH.pylori感染の残存を示した。普通の抗生物質処置を与えた動物において、7週目および11週目において、それぞれ、4頭中1頭および4頭中2頭が感染陽性であった。
抗VacA特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学による胃の生検の評価は、両時点における全てのコントロール動物の感染を確実にした。処置群において、免疫組織化学の結果は多様であり、各群中の2頭または3頭の動物は陰性として記録された。結果は図5に要約する。
17週目には、群1の4頭中4頭、群2の4頭中2頭、群3の4頭中2頭、および群4の4頭中2頭において、迅速なウレアーゼ試験によってH.pylori感染を検出した。7週目および11週目の評価とは対照的に、免疫組織化学の研究は迅速な尿素試験の結果を確実にした。
結論:これらの研究の結果は、筋内に与えたVacA、CagAおよびNAPの混合物は、H.pylori感染の部分的な根絶を誘導し、感染後の胃炎の組織学的重篤度に有益な効果を及ぼすことを示唆している。さらに、抗原によって引き出された免疫応答の増進は、胃腸または全身の任意の有害な作用に関与しているという証拠は無かった。
(GLPの安全性および耐性の研究(単回用量))
単回用量の安全性および耐性の研究(コードUBAW−154)をウサギにおいて実施した。本研究の目的は、NZWウサギに対するHP3の筋内投与の単回用量の安全性および耐性を評価することであった。2番目の免疫原性の評価もまた、研究パラメータとして含めた。本研究は、4頭/性別/群の3群から成った。各動物は、alum/生理食塩水の混合物(群1)、alum/HP3プラシーボ処方物(群2)、またはHP3(群3)のいずれかを受けた。単回の筋内用量(0.5ml)を本研究の1日目に左四頭筋に注射した。2頭の動物/性別/群を、3日目および15日目に、包括的な肉眼的剖検および組織収集のために安楽死させた。
潜在的な毒性を、臨床の観察および注射部位の観察、体重、身体検査(体温、呼吸数、心拍数、および毛管補充時間)、眼に関する試験、食物消費、臨床病理学(血液学パラメータ、凝固パラメータ、および血清化学パラメータ)、末梢器官重量、ならびに選択された組織の肉眼的評価および顕微鏡的評価に基づき、評価した。血清を、HP3に対する抗体の力価分析のために全ての動物から収集した。
死、あらゆる生前の研究パラメータにおける処置に関わる有害な作用、および末梢器官重量における関連性のある変化は、無かった。皮膚の観察のみは、雄番号5(群2)に関して、投与後24時間で「非常にかすかな」紅斑スコアを有し、48時間の観察までに解消した。注射部位の肉眼的な死後の所見は、群1の雌2頭中1頭および群3の雄2頭中1頭において、紫のしみからなった。注射部位を除外すると、処置に帰し得る顕微鏡的な変化は無かった。特記した任意の異常(小さな炎症または変性性の変化)は、このウサギの系および年齢におけるバックグラウンドとみなされた、タイプ/発生数/重篤度の異常であった[118]。顕微鏡的な注射部位の所見は、最小から中程度であり、次のように表した:
処置に関わらない組織病理学的類似性に基づき、HP3の単回筋内注射は、雄および雌のウサギにおいて耐性をよく誘導した。3日目における任意の観察は15日まで続き、回復および可逆性を示した。
抗−NAP抗体、抗−CagA抗体、および抗−VacA抗体の15日目の血清サンプルの分析により、3種の抗原全てに対する低いが測定可能なレベルのIgGが群3の4頭のウサギ全てにおいて見出されたことを示した(上記を参照)。コントロールウサギは抗体に対して陰性であった。
結論:本研究の条件下において、HP3の0.5mlの単回筋内投与は、雄および雌のNZWウサギにおける耐性および免疫原性をよく誘導した。局所的なHP3の応答原性(reactogenicity)の桁は低く、alumコントロールかまたはプラシーボのいずれかと類似していた。
(GLP安全性および耐性研究(複数回用量))
単回投与の安全性および耐性の研究(コードUBAW−155)をウサギにおいて実施した。本研究の目的は、NZWウサギに対する筋内注射によって、HP3の複数回(6回)用量(毎週で6週間)の安全性と耐性を評価することであった。二次免疫原性の評価もまた、研究パラメータとして含めた。本研究は、6頭/性別/群の3群で構成した。各動物は、alumコントロール、プラシーボ、またはHP3のいずれかを受けた。投与容量は0.5mlであり、研究1日目、8日目、15日目、22日目、29日目および36日目に、左右の四頭筋に交互に注射された。3頭/性別/群を、包括的な肉眼的壊死のために安楽死させ、38日目および50日目の組織収集は次のようである:
潜在的な毒性を、以下のパラメータ:毎日の臨床的徴候、皮膚の注射部位の観察(各投与の24時間後および48時間後)、体重、身体検査(体温、呼吸数、心拍数、および毛管補充時間)、眼に関する試験、食物消費、臨床病理学(血液学パラメータ、凝固パラメータ、および血清化学パラメータ)、末梢器官重量、最大限の肉眼的な死後の試験、および顕微鏡的評価に基づいて、次の選択した組織において評価した:
投与後24時間で観察された「非常にかすかな」皮膚の紅斑は、48時間の観察までに散発し、解消した。3群間において、皮膚観察の発生率および重篤度に顕著な相違は無かった。
死、および処置に関わるあらゆる生前の研究パラメータ(体温を含む)への有害な作用は無かった。いくつかの血液学パラメータ、血清化学パラメータおよび凝固パラメータにおいて、統計的に有意ないくらかの群間の相違はあったが、全ての値は、この年齢および株のウサギにとって正常な範囲内であり、変動の程度は小さく、用量の持続との一貫した関連性は無かった。
注射部位における肉眼的な死後の所見は、群1および群3の少数の雄および雌において、四頭筋の変色(赤/紫/黄褐色)からなった。これらの変色部位は、いくつかの組織学的所見と一致しており、次の表に要約した:
2頭の動物、すなわち群1の1頭および群3の1頭は、注射部位に壊死を示す白色の変色を有したが、対応する顕微鏡的な病変は無かった。
注射部位の顕微鏡的な試験により、alumコントロール(群1)およびHP3プラシーボコントロール(群2)において見られた任意の炎症は、HP3ワクチン注射部位に類似していることを示した。軽度な肉芽腫性の炎症が、群2の1頭の雄に現れた。マクロファージ細胞質は、顆粒状の両染性の物質、推定的にはalumで膨張した。アルミニウムを基礎としたアジュバントの筋内投薬に関連した肉芽腫性の炎症は、いくつかの種において報告されている[119、120]。
HP3に関係した顕微鏡的な変化は、38日目および50日目ともに群3の全ての動物の脾臓において示された。群1または群2と比較すると、小胞の過形成(B細胞依存的な動脈周囲の部位)が、高い出現率および重篤度で起こった。50日目と比較して、38日目において、両性別でリンパ系の過形成の平均重篤度にわずかな増加が示された。このような発見は、HP3ワクチンに対するウサギの免疫応答に関係し得る。
注射部位および脾臓を除くと、処置に起因し得る顕微鏡的な変化は見られなかった。示されたその他の任意の異常は、このウサギの種および年齢においてバックグラウンドであるとみなされるタイプ/重篤度/出現率の異常であった[118]。
HP3に対する抗体力価の分析のために、全ての動物から血清を採取した。HP3で免疫した12頭の全てのウサギは、15日目までに、3種の抗原各々に対する検出可能な抗体力価を有していた。群3の全てのウサギにおけるIgG抗体力価は、29日目でさらに高く、38日目および50日目において同じレベルを持続した(上記参照)。全てのコントロールウサギは陰性結果を与えた。
結論:本研究条件下において、1週間あたり1回のスケジュールで6回のHP3の0.5mlの筋内注射の施行は、雄および雌のNZWウサギにおいて十分耐性であり、かつ免疫原性であった。局所的なHP3の応答原性(reactogenicity)の桁は低く、生理食塩水中のalumかまたはプラシーボ処方薬のいずれかと類似していた。
(ヒトへの施行)
典型的なヒトへの免疫は、alumアジュバントを伴う各25μgのNAP抗原、CagA抗原、およびVacA抗原の3回の筋内注射を用いる。動物の毒素学的研究は、約4kgまでの重量があるウサギにおいて高いヒト用量のHP3を用いた。60kgという成人体重は、控えめな見積もりとして使用され得る。従って、体重を基準にすると、これらのウサギに与えた各用量は、ヒト成人におけるよりも少なくとも15倍高い。また、3回のヒトの投薬プログラムは、ウサギの複数回用量の研究において3回の用量分超過した。
これらの毒性および免疫原性の結果に基づき、以下の事を予期し得た:10μg/用量または25μg/用量のCagA、VacAおよびNAPの筋内注射の免疫治療的な臨床の投薬プログラム(毎週で3週間)または予防的な臨床の投薬プログラム(毎月で3ヶ月)は、ヒトにおいて免疫原性であり、十分耐性である。任意の局所的な作用は、alumアジュバントによって見られた作用と類似するはずであり、全身性の作用は、他のalumでアジュバント化されたタンパク質抗原の筋内投薬と一致するはずである。
ヒトへの利用について、典型的なワクチンは、精製されたCagA、VacAおよびNAPの無菌的調製物であり、水酸化アルミニウムアジュバントを含み、筋内注射のために等張緩衝液中にある、調製物である。H.pylori抗原は、遺伝子操作されたE.coli細胞において、プラスミドベクター発現システムを利用して発現される。VacA抗原の相対的な不溶性のため、本ワクチンは、2.9〜4.1mg/用量の尿素を含む。本ワクチンは、抗原およびアジュバントを含むシリンジ中で予め混合した形式で提供される。これらのシリンジは、投与の準備が整うまで、2〜8℃の間で冷蔵保存すべきである。本ワクチンは、使用前に振盪すべきである。ワクチン接種の部位は、皮膚消毒剤(例えば、70%アルコール)で消毒すべきである。ワクチン接種の前に、皮膚は再度乾燥しなければならない。シリンジ中で予め混合した単回用量ワクチンの内容(0.5ml)は、1〜3/2インチ針を用いて上腕(三角筋)のどちらか一方に筋内投与する。
ヒトへの使用のために2種の代替のワクチン組成物は、0.5mlの単回用量において次の成分を含有し、6.5〜7.5の範囲のpHを有する:
極微量のクロラムフェニコールも存在し得る。
(ヒトにおける試験−安全性および免疫原性)
これらの2種の組成物(および抗原を除いたプラシーボ)は、健康な成人における安全性および免疫原性を評価する目的で、無作為に、管理下において、単回盲目的に(single−blind)、用量変動的に、およびスケジュール最適化の研究において、ヒトに試験した。2つの試験集団を用いた:1つはH.pylori感染陰性の集団(57人の患者)であり、他の1つは、H.pylori感染陽性の集団(56人の患者)である。組成物は、予め満たされたシリンジから0.5ml用量として投与した。
57人のHP陰性ボランティアは7群に分かれ、2つの異なる投与スケジュールで、高用量(H;各抗原25μgずつ)または低用量(L;各抗原10μgずつ)のワクチンもしくはプラシーボ(P;抗原なし)を受けた。第1回の投与は時間ゼロにあたえた。群1から群5には、その後3回の投与を1ヶ月目、2ヶ月目および4ヶ月目に与えた(「毎月」群)。群6および群7には、その後2回の投与を1週目および2週目に与えた(「毎週」群)。
ボランティア57人の人口統計学のデータは、以下の通りであった:
(安全性)
以下の安全性パラメータをモニターした:
−局部の反応および全身の反応(注射後6日目まで)。
−有害な結果および重大な結果(全研究期間中)。
−標準的なラボパラメータ、すなわち、血清化学および腎機能(Na、K、Cl、HCO、尿素、クレアチニン)、全血球数(WBCおよび差異、Hb、ヘマトクリット、血小板)、肝機能(ALT、AST、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、プロトロンビン時間、総タンパク質、アルブミン)。
紅斑、硬化、不快感、筋痛、頭痛、関節痛、疲労感および熱についてのデータが、順に、図6から図13に示される。図6および図7は局部の反応を示し、一方、図8から図13は全身の反応を示す。プラシーボ被験者の78%と比較して非プラシーボ被験者の約89%によって、短時間継続性の痛みが報告された。痛みは主として穏やかであり、注射後に消滅した。全身の反応原性(reactogenicity)の結果は、以下の表に要約した:
局部の反応および全身の反応の頻度および重篤度は、本集団において、予期したとおりであった。有害な現象は、本質的に穏やかで、一時的(数時間から平均2日までの持続)であり、水酸化アルミニウムアジュバントを用いた臨床的な研究における先の観察とよく一致した。本組成物の投与に関係のある重大な有害現象は、これらのボランティアにおいて全く起こらなかった。局部の反応は、全ての群における注射部位の局部的な痛みを除くと、頻繁ではなかった。硬化および紅斑は、「毎週」群において、より頻繁に起こった。全ての群間で最も頻繁に報告のあった誘導された(solicited)任意の重篤度の全身の反応は、疲労感、頭痛および不快感であった。局部および全身の免疫後の反応は、たいてい穏やかであり、24時間〜72時間以内に消滅した。本組成物の投与は、実験室パラメータを有意には変えなかった。本発明の組成物は、従って、ヒトへの投与にとって安全である。
(免疫原性)
以下の免疫原性パラメータをモニターした:
−CagA、VacAおよびNAPに特異的な血清IgG。
−CagA、VacAおよびNAPによって推進された過形成応答。
免疫応答を図14から図19に示す。これらのデータは、全てのワクチン接種群において、本組成物が抗体レベルおよび細胞レベルの両方で免疫原性であることを示している。被験者の85%以上が、3回目の免疫後、CagA、VacAおよびNAPに対する抗体応答を有意に増した。被験者の大多数は、3回目の投与後数ヶ月、3種の抗原全てに対するカットオフ限界を超える抗体力価を維持した。被験者の大多数は、有意な抗原特異的な細胞性の過形成応答(特に、CagAおよびVacA)を示した。本組成物は、抗原特異的な記憶を誘導し、抗体応答はブースト可能であり、そして少なくとも2つの抗原に対する有意に増大した応答は、3回目の免疫後、3ヶ月まで検出可能であった。
本発明は、例証としてのみ記述され、本発明の範囲および意図に包含される限り、改良が成され得ると理解される。

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  1. 明細書に記載の発明。
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