JP2009148392A - 創傷被覆材 - Google Patents

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修平 谷口
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Abstract

【課題】 従来の創傷被覆材に比較して皮膚刺激性が小さく、皮膚への濡れ性、なじみが良好で、皮膚に対して十分な粘着力を持ち、かつ創傷治癒促進効果の高い創傷被覆材を提供することである
【解決手段】 皮膚接触面に粘着剤からなる層を形成してなる創傷被覆材において、該粘着剤がシロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなることを特徴とすることにより、これまでの創傷被覆材に比較して、皮膚刺激性が小さく、皮膚への濡れ性、なじみが良好で、十分な粘着力を持ち、かつ高い創傷治癒促進効果を得ることが出来る。
を特徴とする創傷被覆材が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、皮膚の損傷部位に貼付し、損傷部位の保護および環境を整え治癒を促進する粘着剤つきの創傷被覆材に関する。
切傷、擦傷、火傷などの皮膚損傷に用いられる創傷被覆材は、皮膚の損傷や欠損した部位を保護し、治癒を速やかにする効果を有する。
なかでも痛みが少なく、傷跡が残らないとして近年注目を集めているウェット型の創傷被覆材は、外部環境との接触を遮断し、傷からの滲出液を吸収しつつ水蒸気を適度に発散して傷口を湿潤環境に保つことにより治癒を促進させる効果を持つ。
ウェット型の創傷被覆材にはキチンなどの生体由来材料型、吸水部分の組成・形状からアルギン酸塩型、ハイドロコロイド型、ハイドロポリマー型、発泡体型などの合成材料型などがある。
生体由来材料型は創傷面との親和性や滲出液の吸収性に優れているが、物理的耐久性や滲出液による劣化、生物学的安全性の観点から満足の出来るものではなかった。
合成材料型は物理的耐久性や生物学的安全性に優れているが、使用後にアルギン酸塩やハイドロコロイドが傷口に残留しやすいという欠点を有するため、支持体や結合状態を変える試みや(特許文献1)、ゲルに架橋を行うなどの試みがなされている(特許文献2)。
これに比してポリウレタン発泡体を用いる発泡体型は滲出液の吸収速度が速く、高い吸水性を持ち、また創傷面にアルギン酸系化合物やハイドロコロイドなどが残らないといった特徴を有している。これら発泡体を用いる創傷被覆材は創傷面に押しつけられて用いられていたが、発泡体の反発力や皮膚の弾性に追従出来ないため創傷面への密着が悪く、また創傷面に固定するために別途テープなどの二次ドレッシングを必要とするなど問題を有していた。これを解決するためにアクリル系粘着剤を発泡体に積層して、皮膚への密着性を改良した創傷被覆材が提案されている(特許文献3)。しかしアクリルポリマーには、残留触媒や溶媒による皮膚刺激性などの問題があり未だ解決にはいたってはいない。
特開平7−136240 特開平9−267453 特許第2875469号
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、これまでの創傷被覆材に比較して皮膚刺激性が小さく、皮膚への濡れ性、なじみが良好で、皮膚に対して十分な粘着力を持ち、かつ創傷治癒促進効果の高い創傷被覆材を提供することにある。
かかる課題に鑑み鋭意検討の結果、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、皮膚接触面に粘着剤からなる層を形成してなる創傷被覆材において、該粘着剤がシロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなることを特徴とする創傷被覆材に関してである。
本発明の創傷被覆材によればこれまでの創傷被覆材に比較して皮膚刺激性が小さく、皮膚への濡れ性、なじみが良好で、十分な粘着力を持ち、かつ高い創傷治癒促進効果を得ることが出来る。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明は、皮膚接触面に粘着剤からなる層を形成してなる創傷被覆材において、該粘着剤がシロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなることを特徴としてなる。
該粘着剤は(A)末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリエーテル系重合体、(B)分子中に1〜10個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、からなる粘着剤組成物を硬化してなる。
重合体(A)は、末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリエーテル系重合体である。アルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。アルケニル基としては、炭素数が好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜6個の脂肪族不飽和炭化水素基(例:ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等)、炭素数が好ましくは3〜20個、より好ましくは3〜6個の環式不飽和炭化水素基(例:シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等)、メタクリル基等が挙げられる。
合成反応上、容易に行える点から、好ましいアルケニル基には、以下の一般式(1)、(2)が挙げられる。下記式において、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。
(1)HC=C(R)−
(2)HC(R)=CH−
重合体(A)は、1分子中に平均して少なくとも1個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個のアルケニル基を有する。重合体(A)1分子中のアルケニル基の数が平均して1個未満では硬化性が不十分になり、また1分子中に含まれるアルケニル基の数が多すぎると網目構造が密になるため、粘着特性が低下する傾向にある。
重合体(A)の基本骨格たるポリエーテル系重合体の典型例としては、一般式(−R−O−)で表される繰り返し単位からなるポリオキシアルキレン系重合体が挙げられる。ここで、−R−は、2価のアルキレン基である。粘着特性、皮膚刺激性、皮膚への濡れ性から、好ましい重合体(A)の主鎖はポリオキシプロピレンである(すなわち、上記−R−が−CHCH(CH)−である)。また、入手上、作業性の点からも好ましい。上記ポリエーテル系重合体は、1種類の繰り返し単位からなるものであっても、複数の繰り返し単位からなるものであってもよい。上記ポリエーテル系重合体は、直鎖状の重合体であってもよいし、分岐を有する重合体であってもよい。
重合体(A)のアルケニル基以外の部分はすべてポリエーテル骨格からなることが好ましいが、それ以外の構造単位を含んでいてもよい。その場合、重合体(A)に占めるポリエーテル骨格の総和は好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。
室温での作業性がよく、良好な粘着特性が得られる点から、重合体(A)の分子量は、数平均で3000〜50000が好ましく、6000〜50000がより好ましく、10000〜30000が特に好ましい。数平均分子量が3000未満のものでは、得られる硬化物が脆くなる傾向があり、逆に数平均分子量が50000を超えると、高粘度になって作業性が低下する傾向にある。上記分子量は、GPCで測定されるポリスチレン換算数平均分子量である。アルケニル基のポリエーテル系重合体への結合様式は特に限定はなく、アルケニル基の直接結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合等が例示される。
重合体(A)の製造方法は特に限定なく、例えば、ポリエーテル系重合体を得た後にアルケニル基を導入する方法が例示される。この場合、ポリエーテル系重合体は種々の公知の製造法を適用することができ、さらに市販のポリエーテル系重合体を用いてもよい。また、ポリエーテル系重合体にアルケニル基を導入する方法もまた公知であり、例えば、アルケニル基を有するモノマー(例:アリルグリシジルエーテル)とポリエーテル系重合体を合成するためのモノマーとを共重合させる方法や、官能基(例:水酸基、アルコキシド基)を所望の部分(主鎖の末端等)に予め導入しておいたポリエーテル系重合体に、当該官能基に対して反応性を有する官能基とアルケニル基とを両方有する化合物(例:アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸クロライド等)を反応させる方法等が挙げられる。
化合物(B)は、分子中に1〜10個のヒドロシリル基を有する化合物である。ヒドロシリル基とはSi−H結合を有する基を意味する。本発明においては、同一ケイ素原子(Si)に水素原子(H)が2個結合している場合は、ヒドロシリル基2個と計算する。化合物(B)の、ヒドロシリル基以外の化学構造は特に限定はない。滴定によって得られるSiH基価から算出される化合物(B)の数平均分子量は、好ましくは400〜3000であり、より好ましくは500〜1000である。数平均分子量が低すぎると加熱硬化時に揮発し易く、十分な硬化物が得られ難い傾向にあり、高すぎると硬化速度が遅くなる傾向にあるためである。
化合物(B)1分子に含まれるヒドロシリル基の個数は、1〜10個であり、好ましくは2〜8個である。ヒドロシリル基が2個以上であれば、硬化の際に複数の重合体(A)分子を架橋することができ、粘着剤として好ましい凝集力を発現し、皮膚へ貼付して剥離した時に糊残り等が起こり難くなる。但し、ヒドロシリル基の数が多すぎると、架橋が密になりすぎて、粘着剤として皮膚粘着力、タック感等の粘着物性が低下しやすくなる。なお、架橋の粗密は、重合体(A)の主鎖たるポリエーテル部同士間の粗密に影響し、さらには粘着剤全体の透湿性にも影響を及ぼす。よって、粘着特性とのバランスを考慮して化合物(B)のヒドロシリル基の数を選択すべきである。
また化合物(B)は単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。化合物(B)は、重合体(A)と良好に相溶するものが好ましい。原材料の入手のし易さや、重合体(A)への相溶性の面から、好適な化合物(B)として、有機基で変性されたオルガノハイドロジェンシロキサンが例示される。オルガノハイドロジェンシロキサンの典型例は、下記式(3)で表される化合物である。
Figure 2009148392
上記式(3)のaの値が分子中のヒドロシリル基の数の数と一致する。a+bの値は特に限定はないが好ましくは2〜50である。Rは主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基である。上記式(3)の化合物は、未変性のメチルハイドロジェンシリコーンを変性してRを導入することにより得ることができる。未変性のメチルハイドロジェンシリコーンとは、上記(3)においてRが全てHである化合物に相当し、株式会社シーエムシー発行(1990.1.31)の「シリコーンの市場展望−メーカー戦略と応用展開−」にも記載されているように、各種変性シリコーンの原料として用いられている。Rの導入のための有機化合物としては、α−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルアルキルエーテル、アリルアルキルエステル、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルエステル等が挙げられる。変性のために加える上述の有機化合物の量によって、変性後の分子中のヒドロシリル基の数を調節することができる。
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物における重合体(A)と化合物(B)の量の比は、重合体(A)に由来するアルケニル基の総量に対する、化合物(B)に由来するヒドロシリル基の総量によって表現される。粘着剤組成物中のアルケニル基の総量1モルあたりのヒドロシリル基の総量の大小によって、硬化後の架橋密度の高低がきまる。適度な粘着性付与と糊残りの減少等とのバランスを考慮すると、アルケニル基の総量1モルあたりのヒドロシリル基の総量は、好ましくは0.1〜5.0モルであり、より好ましくは0.4〜4.0モルである。
触媒(C)であるヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、ヒドロシリル化反応を促進するものであれば任意のものを使用できる。具体的には、塩化白金酸、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン錯体や白金−1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体)、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO)(但し、x、y、zは正の整数を示す))等が例示される。これらのうちでも、触媒の活性の点からは、強酸の共役塩基を配位子として含まない白金錯体触媒が好ましく、白金−ビニルシロキサン錯体がより好ましく、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン錯体または白金−1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体が特に好ましい。
触媒(C)の量は特に制限はないが、重合体(A)のアルケニル基の総量1モルに対して、好ましくは10−8〜10−1モルであり、より好ましくは10−6〜10−3モルである。上記範囲内であれば、適切な硬化速度、安定な硬化性、必要なポットライフの確保等が達成し易くなる。
粘着剤層の形成のための粘着剤組成物には、上記(A)〜(C)の以外の成分を含んでいてもよい。それらの成分としては、有機液状成分、親水性高分子、接着付与剤、化合物(B)のための貯蔵安定剤さらにその他の成分が挙げられる。
液状成分としては、特に限定するものではないが、各成分と相溶性を有し、粘着剤層中に均一に溶解分散できるものが好ましい。
このような液状成分としては、
a)エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール
b)オリーブ油、つばき油、大豆油、ひまし油、ラノリンなどの油脂類
c)オレイン酸などの脂肪酸
d)ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセキスオレエート、などの液状界面活性剤
e)カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、ラウリン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、セバシン酸ジエチル、カプリル酸グリセリド、ペラルゴン酸グリセリド、カプリン酸グリセリド、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのその他の脂肪酸エステル
f)流動パラフィン、スクワラン、スクワレンなどの炭化水素
g)エタノール、酢酸エチル、ヂメチルスルホキシド、イソソルビトール、ジメチルデシルスルホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ドデシルピロリドンなどの有機溶剤
等が挙げられる。これら有機液状成分は必要に応じて1種類以上を混合して用いることができる。
本発明に用いる粘着材組成物中に、親水性高分子およびこれを用いた粒子、繊維よりなる群から選ばれる少なくとも1種を添加してもよい。親水性高分子としては、アクリル酸デンプン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、ザンタンガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアノガラクタン、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。これら、親水性高分子は必要に応じて、1種類以上を適宜組み合わせて混合することができる。
接着付与剤としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、フェノール−変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂などが挙げられる。粘着特性を良好にするためにこれらを用いる場合には、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら粘着付与剤、接着付与剤を用いる場合の使用量は、重合体(A)と化合物(B)の合計量100重量部に対して、合計量100重量部に対して、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは20〜100重量部である。使用量が多すぎると、粘着剤層の透湿性が低下するので好ましくない。
化合物(B)のための貯蔵安定剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、錫系化合物、有機過酸化物などが例示される。貯蔵安定剤は、化合物(B)におけるヒドロシリル基(Si−H基)のSi−OH基への転化(長時間の放置や湿分の混入に起因する)を抑制し、塗工のポットライフを向上させることができる。貯蔵安定剤の配合量は、化合物(B)に起因して粘着剤組成物に含まれるヒドロシリル基の総量1モルに対し、好ましくは10−6〜10−1モルである。
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物には、その他可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを配合してもよい。このとき有機溶剤は使用しないことが好ましいが、その使用を否定するものではない。
本発明の創傷被覆材における粘着剤層は、上述した粘着剤組成物を硬化してなるものである。ここで、硬化とは、加熱により重合体(A)と化合物(B)とでヒドロシリル化反応を行わせることをいう。硬化条件としては、40〜180℃で1〜60分間放置することが例示される。硬化をより完全にしたい場合には、さらに40〜80℃にて数日間放置しておいてもよい。
本発明に用いる粘着剤には必要に応じて、医薬を混入させることができる。好ましい医薬としては、抗菌剤である。抗菌剤として好ましいのは、例えば、スルファジアジン銀のごとき銀塩、ポビドンヨウ素のようなヨウ素源、グルコン酸、酢酸、塩化水素のようなクロルヘキシジンの塩、または塩化ベンザルコニウムなどのような第4級抗菌剤である。
本発明に用いられる皮膚接触面は不連続に形成されることが好ましい。連続に形成されることを否定するものはないが、創傷よりしみだしてくる滲出液を吸収層への吸収を妨げてはいけない。不連続層は、例えばスポットとしてまたは多孔質体に接着剤の層としてランダムに分布していてもよい。あるいは規則的に配列されたスポットもしくは線またはグリッド配列の形態の規則的なパターンの不連続層であってもよい。
本発明の吸収層と皮膚接触層の間に中間層を形成しても良い。好ましい中間層としては高分子材料より形成されるフィルムや不織布が皮膚への追従性の点から好ましい。好ましい高分子材料としては、ポリエーテルウレタン等のウレタン系ポリマー、ポリエーテルアミド等のアミド系ポリマー、ポリアクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステル等のエステル系ポリマー等が例示される。この中間層は吸収層の性能を損なわないように不連続な層でなければならない。
本発明の皮膚接触層および中間層に形成される不連続層は穿孔によって形成されても良い。孔の最大口径は20μm以上2000μm以下の範囲が好ましい。より好ましく20μm以上1500μm以下、更に好ましくは40μm以上1000μm以下の範囲である。細孔径がこの範囲よりも小さいと吸水速度が低下して好ましくなく、この範囲よりも大きいと傷口との癒着が起こり好ましくない。孔の面積/皮膚接着面の面積で表される開口率は5%以上85%以下の範囲が好ましい。より好ましくは15%以上75%以下、更に好ましくは20%以上70%以下の範囲である。細孔の範囲がこの範囲よりも小さいと水分の吸水速度が低下して好ましくなく、大きいと粘着層部分の強度が低下し、剥がすときに皮膚側に残留するなどして好ましくない。
細孔を穿つ方法としては上記の範囲の細孔が穿てれば特に限定されるものではない。物理的打ち抜き、有機溶媒等の塗布により皮膚接触層を溶解させる方法、レーザー加工等が用いられる。
本発明の吸収層に用いられる多孔質体としては、繊維状もしくは発泡体よりなるものが、創傷よりしみでる滲出液の吸収および皮膚への追従性の点から好ましい。
繊維状よりなる吸収体を形成する高分子材料としては、吸水性の高分子が好ましい。好ましい吸水性の高分子材料としては、アクリル酸デンプン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、ザンタンガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアノガラクタン、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。
発泡体よりなる吸収層を形成する高分子材料としては、身体の外面に対して適合性が高い親水性の発泡体であり、より好ましくは連続気泡の発泡体である。本発明に好適な発泡体を形成するための高分子材料としてはポリウレタン系、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系、カルボキシル化ブタジエンスチレンゴム、ポリアクリレート、シリコーン樹脂等が挙げられる。このような発泡体は、親水性高分子自体で製造するか、または例えば界面活性剤で処理して親水性にしてもよく、または吸収性材料を混合してもよい。
界面活性剤の具体的な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエ一テル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルコキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム液、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマー等の非イオン生界面活性剤などがあげられる。
吸水性材料の具体的な例としては、天然多糖類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸、アルギン酸塩、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポロビニルピロリドン、ポリビニルラクタム、ポリビニルピリヂン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン又は他の親水性ポリペプチド、カラゲナン、ペクチン、キサンタン、キチン、キトサン、澱粉及びそれらの塩、誘導体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体等のコポリマー、及び混合物などがあげられる。
本発明に用いられる吸収層を形成する発泡体のうち、シロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなる発泡体が、発泡成形性や機械物性、吸収性など吸収層を形成する発泡体としての諸物性のバランスに優れていることから好ましい。このような発泡体として、末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリエーテル系重合体(A)、ヒドロシリル基を有する化合物(D)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含有する混合物を硬化してなる発泡体を例示することが出来る。
前記発泡体に用いられるヒドロシリル基を有する化合物(D)は、ヒドロシリル基を有する化合物であれば、特に制限するものではないが、発泡体を得る上で、1分子中に1〜100個のヒドロシリル基を有する化合物が好ましく、ヒドロシリル基以外の化学構造に関しては特に限定はない。
また化合物(D)の数平均分子量は、400〜30000であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましい。化合物(D)の数平均分子量が400未満では、発泡成形時の破泡が激しく、発泡体が得られ難い傾向にあり、数平均分子量が30000を超えると、硬化速度が遅く、製造効率が低くなる傾向にある。
化合物(D)の1分子に含まれるヒドロシリル基の個数は、好ましくは1〜100個であり、他の成分との相溶性を損なわない限り多いほうが好ましい。化合物(D)の1分子に含有されるヒドロシリル基が2個以上であれば、硬化の際に、複数の重合体(A)を架橋することができ、また、該ヒドロシリル基が2個未満であると、硬化が遅く、硬化不良を起こす場合が多い。また、後述するように、(E)発泡剤として活性水素含有化合物を用いる場合、化合物(D)と該活性水素化合物とが脱水素縮合して、発泡に関与するものであるから、該ヒドロシリル基の個数は、目的とする発泡倍率にもよるが、一般に2個を超えるものであることが好ましい。
また、同様の理由から、化合物(D)は、重合体(A)中のアルケニル基に対し、2モル当量以上のヒドロシリル基を有することが好ましい。
但し、化合物(D)中のヒドロシリル基の数が多すぎると、架橋が密になりすぎて、得られた発泡体の柔軟性や皮膚追従性が低下しやすく、さらには化合物(D)の安定性が悪くなり、そのうえ得られた発泡体中にヒドロシリル基が極めて多量に残存した場合、皮膚刺激やボイドの原因となる場合がある。また、架橋の粗密は、透湿性や吸水性にも影響を及ぼす。
よって、化合物(D)中のヒドロシリル基の数は、重合体(A)のアルケニル基の数と、活性水素化合物を始め、ヒドロシリル基と反応するその他の添加剤中の官能基の数とのバランスを考慮して選択する。そこで、化合物(D)は、重合体(A)のアルケニル基と、その他の添加物中に存在するヒドロシリル基と反応可能な官能基の総和に対して、0.1モル当量以上50モル当量以下のヒドロシリル基を有することが好ましく、さらに好ましくは0.2モル当量以上30モル当量以下、特に好ましくは0.5モル当量以上20モル当量以下である。
化合物(D)は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
化合物(D)は、重合体(A)に対して良好な相溶性を有するものが好ましい。原材料の入手のし易さや、重合体(A)に対する相溶性の面から、好適な化合物(D)として、オルガノハイドロジェンシロキサンが例示される。
オルガノハイドロジェンシロキサンの典型例は、下記一般式(4)または(5)で表される化合物である。
Figure 2009148392
Figure 2009148392
上記一般式(4)または(5)の式中のaの値が、分子中のヒドロシリル基の数と一致する。aは1以上、bは0以上であり、a+bの値は特に限定はないが、好ましくは1〜100である。Rは特に限定するものではないが、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基、ポリオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(4)または(5)の化合物は、未変性のメチルハイドロジェンシリコーンそのもの、もしくはこれを変性してRを導入することにより得ることができる。ここで、未変性のメチルハイドロジェンシリコーンとは、上記(4)においてRが全てHである化合物に相当し、株式会社シーエムシー発行(1990.1.31)の「シリコーンの市場展望−メーカー戦略と応用展開−」にも記載されているように、各種変性シリコーンの原料として用いられている。Rの導入のための有機化合物としては、α−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルアルキルエーテル、アリルアルキルエステル、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルエステル、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等があげられる。変性のために加える上述の有機化合物の量によって、変性後の分子中のヒドロシリル基の数を調節することができる。
シロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなる発泡体を形成するための重合体(A)と化合物(D)の量比は、特に限定するものではないが、前述したように、重合体(A)に由来するアルケニル基の総量に対する、化合物(D)に由来するヒドロシリル基の総量によって表現される。前述のように、化合物(D)は、重合体(A)のアルケニル基に対し、2モル当量以上のヒドロシリル基を有することが好ましいが、さらに詳しくは、使用する発泡剤の種類や、発泡方法に従って決定される。また、重合体(A)と化合物(D)の量比は、上記の官能基の量に従って決定されるものであるが、発泡成形性を考慮すると、重合体(A)と化合物(D)との重量比(A)/(D)が、0.05以上20以下であることが好ましく、0.1以上10以下であることがさらに好ましい。
ヒドロシリル化触媒(C)の使用量は特に制限はないが、重合体(A)によるアルケニル基の総量1molに対して、好ましくは10−8〜10−1molであり、より好ましくは10−6〜10−3molである。ヒドロシリル化触媒(C)の使用量が上記範囲内であれば、適切な硬化速度、安定な硬化性、必要なポットライフの確保等が達成しやすくなる。
シロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなる発泡体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、分子骨格中にシロキサン単位およびオキシアルキレン単位を有し、かつ、イソシアネート基に由来する単位を含有しない樹脂を得た後、これに発泡剤(E)を添加し加熱して発泡させる方法や、加圧下で発泡剤(E)を含浸した後圧力開放して発泡させる方法も可能であるが、重合体(A)、化合物(D)およびヒドロシリル化触媒(C)からなる混合物に、さらに発泡剤(E)を含有せしめ、この混合物を硬化と同時に発泡させる方法が、発泡成形性や生産効率の観点から好ましい。
発泡剤(E)としては、特に限定するものではなく、例えば、通常、ポリウレタン、フェノール、ポリスチレン、ポリオレフィン等の有機発泡体に用いられる、揮発性の物理発泡剤や、加熱分解もしくは化学反応により気体を発生させる化学発泡剤や、ヒドロキシル基と反応して水素を発生させる活性水素基含有化合物等があげられる。これらのうちでも、活性水素基含有化合物が、連続気泡率の向上や柔軟性等創傷被覆材用発泡体としての特性発現に寄与する為、好ましく用いられる。
活性水素基含有化合物としては、ヒドロキシル基と反応して水素を発生する活性水素基を含有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、柔軟性、吸水性付与の観点から、シリコーンフォームで用いられるOH基含有ポリシロキサンではなく、酸素が直接炭素に結合している化合物または水が好ましい。
酸素が直接炭素に結合している活性水素含有化合物としては、飽和炭化水素アルコール、カルボン酸または水が好ましく用いられる。その具体例としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tDrt−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルなどの1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,9−ノナメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセリンモノアリルエーテルなどの多価アルコール;ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの共重合体、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール(ソルビトール、スクロース、テトラエチレンジアミン、エチレンジアミン等を開始剤とした一分子内にOH基を3個以上含むものも含む);アジペート系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどのポリエステルポリオール;エポキシ変性ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;ベンジリックエーテル型フェノールポリオールなどのフェノール系ポリオール;ルミフロン(旭硝子社製)などのフッ素ポリオール;ポリブタジエンポリオール;水添ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ハロゲン含有難燃性ポリオール;リン含有難燃性ポリオール;酢酸、プロピオン酸等の一価の飽和カルボン酸等のカルボン酸類;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、フェノール樹脂などのフェノール性OH基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、東亜合成化学工業(株)製のアロニクス5700、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製のHE−10、HE−20、HP−10およびHP−20[いずれも末端にOH基を有するアクリル酸エステルオリゴマー]、日本油脂(株)製のブレンマーPPシリーズ[ポリプロピレングリコールメタクリレート]、ブレンマーPDシリーズ[ポリエチレングリコールモノメタクリレート]、ブレンマーPDPシリーズ[ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート]、ブレンマーAP−400[ポリプロピレングリコールモノアクリレート]、ブレンマーAE−350[ポリエチレングリコールモノアクリレート]、ブレンマーNKH−5050[ポリプロピレングリコールポリトリメチレンモノアクリレート]およびブレンマーGLM[グリセロールモノメタクリレート]、OH基含有ビニル系化合物とε−カプロラクトンとの反応により得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどのOH基含有ビニル系モノマー[なお、OH基含有ビニル系モノマーは、重合体(A)と発泡剤(E)の兼用物質としても利用できる];前記OH基含有ビニル系モノマーとアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体などとの共重合により得ることが可能なOH基を有するアクリル樹脂;その他アルキド樹脂、エポキシ樹脂などのOH基を有する樹脂があげられる。
これらの活性水素基含有化合物のなかでも、反応性や取り扱い性の観点から、水、一級アルコール、およびポリエーテルポリオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、また、得られた発泡体を医療用途として用いる場合に人体への影響が少ないとの観点から、水、エタノール、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。ポリエチレングリコールを使用した場合、発泡体に吸水性を付与できることから、特に好ましく用いられる。
発泡剤(E)としては、上記活性水素化合物以外にも、上述の物理発泡剤や他の化学発泡剤を単独、もしくは活性水素化合物と合わせて使用しても良い。
物理発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、発泡性、および作業性と安全性の観点から、沸点100℃以下の化合物であることが好ましく、50℃以下がより好ましい。具体的には、炭化水素、フロン、塩化アルキル、エーテルなどの有機化合物、二酸化炭素、窒素、空気などの無機化合物が挙げられるが、環境適合性の観点から、炭化水素、エーテル、二酸化炭素、窒素、空気から選ばれる化合物を用いることが好ましい。このうち、炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタンクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、エーテル類としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、1,1−ジメチルプロピルメチルエーテル等が挙げられる。なお、発泡体製造時に、空気中で機械的な攪拌を行う場合は、攪拌に伴って巻き込まれた空気により気泡が形成される場合があり、これもまた物理発泡剤のひとつであると考える。ただし、これら物理発泡剤を使用する場合、医療用途として用いられる際に、残存物の人体への影響を考慮する必要がある場合があり、発泡体製造後、使用した物理発泡剤の沸点以上の温度で加熱養生することにより、取り除いておくことが好ましい。
活性水素化合物以外の化学発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、NaHCO、(NHCO、NHHCO、NHNO、Ca(N、NaBHなどの無機系化学発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどの有機系化学発泡剤などが挙げられる。ただし、これら化学発泡剤を用いる場合、医療用途として用いられる際に、残存物の人体への影響を考慮する必要がり、その使用は制限される場合がある。
本発明の発泡体には、必要に応じて、さらに、充填剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、ポリジメチルシロキサン− ポリアルキレンオキシド系界面活性剤あるいは有機界面活性剤(ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等) などの整泡剤、酸あるいは塩基性化合物(ヒドロシリル基とOH基との反応調整のための添加剤であり、酸で縮合反応を抑制し、塩基で加速する。)、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明においては、これらのうち、吸水性や吸水速度を向上させる目的で、親水性ポリマー、高吸水性樹脂、およびこれを用いた粒子、繊維よりなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することができる。
高吸水性樹脂の具体例としては、天然多糖類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸、アルギン酸塩、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポロビニルピロリドン、ポリビニルラクタム、ポリビニルピリヂン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン又は他の親水性ポリペプチド、カラゲナン、ペクチン、キサンタン、キチン、キトサン、澱粉及びそれらの塩、誘導体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体等のコポリマー、及びこれらの混合物などがあげられる。
高吸水性樹脂、およびこれを用いた粒子、繊維と、発泡体との一体化の方法としては、特に限定するものではないが、高吸水性樹脂、およびこれを用いた粒子、繊維に発泡体を積層する方法や、高吸水性樹脂、およびこれを用いた粒子、繊維を発泡性樹脂組成物に混入せしめた後、発泡体を得る方法等が挙げられる。
また、吸水性向上に寄与する添加剤として、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)などのように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性のある層状珪酸塩、あるいは、これらの有機化処理品、ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土などの多孔性物質、などを添加してもよい。
また、整泡性や、重合体(A)および(C)〜(E)の相溶性を向上する目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の種類としては特に限定されるものではないが、具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエ一テル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルコキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム液、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン生界面活性剤などがあげられる。
本発明の発泡体の密度は、特に限定するものではないが、10kg/m以上500kg/m未満であることが好ましく、20kg/m以上400kg/m未満であることがより好ましい。密度が10kg/m未満では機械物性が低下し、取り扱い性が悪く、また、500kg/m以上では、柔軟性等の発泡体特性が得られない傾向にある。
本発明の発泡体の連続気泡率は、特に限定するものではないが、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。連続気泡率が80%未満であると、柔軟性や触感等、創傷被覆材用発泡体として好適な特性が得られ難い傾向がある。なお、連続気泡率は、ASTM A2856(1998)に準じて測定するものとする。
本発明の発泡体の厚みは、1mm以上100mm未満であることが好ましい。厚みが1mm未満では、吸収層として十分な機能が発揮できず、100mm以上では、創傷被覆材で使用する際の取り扱いが困難となる。
本発明の裏張り層を形成する液体不透過性の透湿性フィルムとしては、連続層でも不連続層であってもよい。
好ましい水蒸気透過性外層は連続した身体の外面に適合性の高分子フィルムである。本発明における水蒸気透過性の外層の高分子フィルムとしては、被覆材の下方の創傷領域からの水分損失を調整するだけでなく、細菌に対するバリヤーとして作用し、被覆材の外面上の細菌が浸透して創傷領域に到達できないように作用する。
適当な水蒸気透過性フィルムとしては、ポリエーテルウレタン等のウレタン系ポリマー、ポリエーテルアミド等のアミド系ポリマー、ポリアクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステル等のエステル系ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーが挙げられる。
適切な連続の水蒸気透過性フィルムは100%と10%の相対湿度差において、37.5℃で300〜5000g/m/24時間好ましくは500〜3000g/m/24時間の透湿度を有する。連続フィルムのこのような透湿度によって、被覆材ので覆われた創傷を湿潤状態に保ちつつ、創傷周囲の皮膚の浸軟を防ぐことができる。
本発明における透湿性フィルムの厚みは皮膚への刺激性や耐久性から5μm〜200μmが好ましく、より好ましくは5μm〜100μmの範囲である。支持体の厚みが200μmよりも厚いと皮膚に対する追従性が低下して剥がれやすくなったり、皮膚への物理的刺激になるなどして好ましくない。支持体の厚みが5μmよりも薄いと耐久性の観点から好ましくない。
本発明の創傷被覆材を製造する方法としては、通常、積層により製造される。裏張り層と吸収層を積層する方法としては、適当な厚みに吸収層を裁断したのち、接着剤等により積層する方法、加熱により圧着する方法、加熱により溶着する方法、またはフィルム上に未発泡物を積層したのち、フィルム上で発泡させる方法等適当な方法を選択できる。
吸収層と皮膚接触層を積層する方法としては、剥離紙等に塗布した粘着剤を加熱硬化した後吸収層に転写する方法または、加熱硬化した粘着層を加熱により圧着もしくは溶着する方法等が選択できる。また、皮膚接触層と吸収層を接着剤などにより接着する場合は、加熱硬化した粘着層に接着剤を塗布したのち積層する方法等が選択できる。
また、吸収層と皮膚接触層の中間に高分子フィルムよりなる中間層を形成する場合は、高分子フィルムと粘着剤を積層したのち、吸収層へ接着剤等により積層する方法等が挙げられる。
本発明の創傷被覆材には、局所に有効な医薬を含有していてもよい。医薬は、発泡体中または皮膚接触面を形成する粘着剤中に混入することができる。この医薬で最も適切なのは抗菌剤である。抗菌剤として好ましいのは、例えばスルファジアジン銀のごとき銀塩のような広域抗菌剤、ポビドンヨードのようなヨウ素源、グルコン酸、酢酸、塩化水素などの塩のようなクロルヘキシジンの塩、または塩化ベンザルコニウムなどのような第4級抗菌剤である。
本発明における創傷被覆材の形状は、特に制限されるものではなく、いずれの便利な形態もしくは大きさであってもよい。好ましい形態の創傷被覆材は、長方形、楕円形もしくは円形のパッドである。他の好ましい形態の創傷被覆材は、包帯として使用されるかまたは細長い帯状である。また、この発明の創傷被覆材は、指関節、ひざおよびひじのような湾曲面またはゆがんだ面上で使用する不規則な形ものであってもよい。
本発明の創傷被覆材は、病院用創傷被覆材の分野で主に使用されるが、切傷と擦過傷、やけどのような出血が少量で多量の創傷滲出液を生成しない創傷と打撲傷の一次創傷被覆材として、家庭や作業場で使用することができる。本発明の創傷被覆材は、例えば指などの小さな切り傷から、ひざやひじの大きな皮膚の擦過傷までの範囲の傷害部の創傷被覆材として各種の形態と大きさで供給することができる。この用途の創傷被覆材は、正方形、長方形、円形、楕円形または扁円形であってもよい。
本発明の創傷被覆材は一般に平坦な形態である。しかし、創傷の上に置かれる中央領域は周辺領域より厚い方が望ましい。周辺領域の厚みは、身体の外面と高度に適合することを保証するためには薄い方が望ましい。創傷被覆材の端縁は面取りするかまたはそいでもよい。これによって、接着された創傷被覆材が剥ぎ取られたり、取り去られる可能性が減少する。この形態の創傷被覆材では、創傷被覆材が外れる危険なしに、自然にかつ自由に手を曲げることができる。
本発明による創傷被覆材の全体の寸法は、1cm×1cmという小さなものから30cm×30cm程度まで各種大きさで供給することが出来るが、あるいは、ロールの形態で供給してもよい。
本発明の創傷被覆材は滅菌することが望ましい。本発明の創傷被覆材は細菌不透過性のパウチに入れるのが有利である。このような包装された形態は無菌状態で作製されるか、または通常の方法で包装後滅菌される。好ましい滅菌方法としては、例えば水蒸気による加熱滅菌法や、酸化エチレン滅菌法、ガンマ線照射法等が挙げられる。
次に、本発明の発泡体を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、特にことわりがない場合、実施例および比較例の部は重量部、%は重量%を表す。実施例では、下記の化合物を用いた。
A:末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリエーテル系重合体
A−1:アリル基末端ポリオキシアルキレン(下記合成例参照、アルケニル基0.12mmol/g含有)
A−2:アリル基末端ポリオキシアルキレン(下記合成例参照、アルケニル基0.219mmol/g含有)
B:分子中に1〜10個のヒドロシリル基を有する化合物
B−1:シリコンオイル(下記合成例参照、ヒドロシリル基3.2mmol/g含有)
C:ヒドロシリル化触媒
C−1:白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(3重量%白金イソプロパノール溶液)
D:ヒドロシリル基を有する化合物
D−1:KF−99(信越化学工業(株)製メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ヒドロシリル基16.6mmol/g含有)
E:発泡剤
E−1:エタノール(OH基21.7mmol/g含有)
F:その他の原料
F−1:透湿性ポリウレタンフィルム((株)シーダム製DSU-214-CDB、30μ(坪量35g/m2))
F−2:アクリル粘着剤((株)NSC社 DURO-TAK87-2100)
化合物A−1、A−2およびB−1の合成例を以下に示す。
(化合物A−1の合成)
苛性アルカリを用いた重合法により、数平均分子量3000のオキシプロピレン重合体グリコールを得た。特開平5−117521号公報の合成例1の方法に準じ、そのオキシプロピレン重合体グリコールを開始剤として複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテート)を用いてプロピレンオキシドを重合し、数平均分子量28000の重合物を得た。この重合物に対して、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液と塩化アリルを使用して末端をアリル基に変換した後、脱塩精製して、1分子中に概ね2個のアリル基末端を有するポリオキシアルキレン重合体(重合体(A−1))を得た。得られた重合体のアリル末端基量は0.12mmol/gであった。
(化合物A−2の合成)
苛性アルカリを用いた重合法により、数平均分子量3000のオキシプロピレン重合体グリコールを得た。特開平5−117521号公報の合成例1の方法に準じ、そのオキシプロピレン重合体グリコールを開始剤として複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテート)を用いてプロピレンオキシドを重合し、数平均分子量13800の重合物を得た。この重合物に対して、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液と塩化アリルを使用して末端をアリル基に変換した後、脱塩精製して、1分子中に概ね2個のアリル基末端を有するポリオキシアルキレン化合物(化合物A−2)を得た。得られた重合体のアリル末端基量は0.219mmol/gであった。
(化合物(B−1)の合成)
下記式(6)で表されるメチルハイドロジェンシリコーン(式中、xは平均5である)に白金触媒存在下、全ヒドロシリル基量の0.5当量のα−メチルスチレンを添加し、1分子中に平均2.5個のヒドロシリル基を有する化合物(化合物(B−1))を得た。この化合物のヒドロシリル基含有量は3.2mmol/gであった。
Figure 2009148392
(実施例1)
化合物(A−2)100重量部に対して、発泡剤としてエタノール(E−1)を7重量部、ヒドロシリル化触媒(C−1)0.3重量部を加えて十分に混合し、さらに、化合物(D−1)を13重量部添加してすばやく混合した後、透湿性ポリウレタンフィルム(F−1)((株)シーダム製DSU-214-CDB、30μ)(坪量35g/m)にアプリケーターを用いて厚さ3mmに均一に塗布した。その上面に、厚さ6mmのスペーサーを介して、透湿性ポリウレタンフィルム(F−1)で蓋をしてプレス機にて挟み込み、室温で10分間放置後、120℃で5分間加熱した。得られた発泡シートをスライサーで厚み方向に半分にスライスし、厚さ3mmの片面ポリウレタンフィルム付発泡体シートを得た。
一方、皮膚接触面に用いる粘着剤は次のように作製した。重合体(A−1)100重量部に対して、化合物(B−1)を2.2重量部、ヒドロシリル化触媒(C−1)0.3重量部、マレイン酸ジメチル0.03重量部を十分に混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を室温にしてシリコーン剥離処理を施した剥離紙の処理面上に、硬化後の厚みが50μmになるように塗工して、130℃で3分間硬化させて粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層を直径2000μmの孔を格子状に穿孔したのち、片面ポリウレタンフィルム付発泡体シートに転写、成形することにより創傷被覆材を得た。
(実施例2)
実施例1同様にして片面ポリウレタンフィルム付発泡体シートを作製した。
一方、皮膚接触面にとして重合体(A−1)100重量部に対して、化合物(B−1)を9.0重量部、ヒドロシリル化触媒(C−1)0.3重量部、マレイン酸ジメチル0.03重量部を十分に混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を室温にしてシリコーン剥離処理を施した剥離紙の処理面上に、硬化後の厚みが50μmになるように塗工して、130℃で3分間硬化させて粘着剤層を形成した。さらに、得られた粘着剤層を透湿性ポリウレタンフィルム(F−1)上に転写し複合フィルムを得た。作製した複合フィルムに直径2000μmの孔を格子状に穿孔したのち、市販シアノアクリレート系接着剤を粘着剤塗布面とは反対の面に塗布した後、片面ポリウレタンフィルム付発泡体シートに接着し成形することにより、皮膚接触層が高分子フィルムに粘着剤を塗布してなる、創傷被覆材を得た。
(実施例3)
2,6−TDI(分子量174.16)15重量部、マクロゴール1500(分子量1500)85重量部、トリエチルアミン0.1部、水4重量部をよく攪拌したのち透湿性ポリウレタンフィルム(F−1)上にアプリケーターを用いて厚さ3mmに均一に塗布した。その上面に、厚さ6mmのスペーサーを介して、透湿性ポリウレタンフィルムで蓋をしてプレス機にて挟み込み、室温で10分間放置後、120℃で5分間加熱した。得られた発泡シートをスライサーで厚み方向に半分にスライスし、厚さ3mmの片面透湿性ポリウレタンフィルム付発泡体シートを得た。一方、皮膚接触面に用いる粘着剤は実施例1と同様に作製した。粘着剤層を発泡体に転写し、成形した。
(比較例1)
実施例1と同様に片面ポリウレタンフィルム付発泡体シートを作製した。一方、皮膚接触面に用いる接着剤は、市販のアクリル粘着剤(F−2)((株)NSC社DURO-TAK87-2100)を50μmの厚みでキャストしたのち加熱し、シート状に成形した。得られた粘着剤層を直径2000μmの孔を格子状に穿孔したのち、発泡体に転写し、成形した。
(評価)
実施例および比較例にて得られた創傷被覆材について次の方法により評価した。結果は表1に示す。
(粘着力)
評価用サンプルを、幅25mmに切断し、重さ2kgのゴムローラーを速度2m/minの条件でSUS304の板に貼付し、1時間放置した。各積層体をSUS304板から300mm/minの速度にて180°の角度で剥がす際の応力を粘着力の測定値とした。
(皮膚固定性)
50mm角に切断した評価用サンプルをボランティアの背中に貼付し、重さ2kgのローラーを1往復させて圧着させた。6時間経過後、剥がれの程度を判定した。剥がれないものを○、一部剥がれのあるものを△、完全に剥がれたものを×とした。
(皮膚刺激性)
幅20mmに切断した評価用サンプルをボランティアの背中に貼付し、重さ2kgのローラーを1往復させて圧着させた。2時間経過後、当該粘着剤組成物を有する積層体を引き剥がす際の痛みを官能評価した。痛みのないものを○、痛みはあるが皮膚の発赤等ないものを△、痛みが強く皮膚に炎症が見られるものを×とした。
Figure 2009148392

Claims (12)

  1. 皮膚接触面に粘着剤からなる層を形成してなる創傷被覆材において、該粘着剤がシロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなることを特徴とする創傷被覆材。
  2. 前記創傷被覆材が、多孔質体からなる吸収層、粘着剤からなる皮膚接触層、および吸収層の皮膚対面側とは反対面上に設けられた高分子材料からなる裏張り層の3層構造からなることを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材。
  3. 該粘着剤が、
    (A)末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリエーテル系重合体
    (B)分子中に1〜10個のヒドロシリル基を有する化合物
    (C)ヒドロシリル化触媒
    を含有する粘着剤組成物を硬化してなることを特徴とする請求項1〜2に記載の創傷被覆材。
  4. 前記ポリエーテル系重合体がポリオキシプロピレン重合体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の創傷被覆材。
  5. 該粘着剤が、化合物(B)のヒドロシリル基の総量が、重合体(A)のアルケニル基の総量1モルあたり0.4〜4モルである粘着剤組成物を硬化してなることを特徴とする請求項3〜4に記載の創傷被覆材。
  6. 上記粘着剤が不連続な層を形成していることを特徴とする請求項1〜5に記載の創傷被覆材。
  7. さらに、上記吸収層と上記皮膚接着層の中間に中間層を備え、前記中間層が不連続層であることを特徴とする請求項1〜6に記載の創傷被覆材。
  8. 該皮膚接着層および該中間層が穿孔によって滲出液を吸収層へ透過する請求項1〜7に記載の創傷被覆材。
  9. 該多孔質体が高分子材料を繊維状に形成したものからなることを特徴とする請求項1〜8に記載の創傷被覆材。
  10. 該多孔質体が高分子材料の発泡体からなることを特徴とする請求項1〜8に記載の創傷被覆材。
  11. 該発泡体がシロキサン結合を有するポリエーテル系重合体からなることを特徴とする請求項10に記載の創傷被覆材
  12. 裏張り層を形成する該高分子材料が、液体不透過性な透湿性フィルムであることを特徴とする請求項1〜11に記載の創傷被覆材。
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