JP2009147774A - 無線lanシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】火災感知器の設置場所をアクセスポイントの設置場所に活用することで、小電力無線局設備であっても、オフィス等のサービスエリア全域に障害物の影響を受けることなく確実に電波を送受信可能とする。
【解決手段】無線LANシステムは、警戒区域の天井面に設置された火災感知器14の感知器ベース16Aに、無線LAN用のアクセスポイント20を一体に設け、感知器ベース16Aに設けたアクセスポイント20をLANケーブル24により他の感知器ベース14に設けたアクセスポイント20又は有線LANシステムのハブ26に接続する。感知器ベース16Aの裏面側にアクセスポイント収納部を形成し、アクセスポイント収納部に、LANケーブル24を外部接続するコネクタ、アクセスポイント回路及びアンテナ21を設ける。感知器ベース16Aには、火災感知器の発報表示灯とLAN動作確認灯を設け、各々に識別表示を施す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、火災報知システムの火災感知器の設置環境を利用した無線LANシステムに関する。
近年、IEEE802.11シリーズの規格に代表される無線LAN(ローカルエリアネットワーク)によるデータ通信システムが普及している。無線LANシステムによれば、オフィスなどの利用空間にアクセスポイントを設置することにより無線ネットワークを形成して、無線端末としてのパーソナルコンピュータ同時の通信或いはパーソナルコンピュータのプリンタなどの周辺機器との間でデータを送受信することができ、更にアクセスポイントをLANケーブルによりプロキシサーバなどに接続することで、無線ネットワークを経由してインターネット上のウェブサイトとのデータ送受信も行うことができる。
特開2004−064531号公報
しかしながら、このような無線LANシステムは、日本国内にあっては、電波法に基づく小電力データ通信システムの無線局設備であることから送信電力が制限されており、通信可能なエリアは見通し通信距離は100メートルを越えることはなく、また通信可能エリアを広くすると例えばビルの外部に電波から漏洩してセキュリティの面から問題があるため、送信電力を低めに抑えている。
そのため例えばオフィス内に無線LANシステムを構築する場合、オフィス全域をサービスエリアとして確保するためには、アクセスポイントをどこに設置するかが重要である。しかし、オフィス等でアクセスポイントを設置可能な場所としては、日常業務の邪魔にならない部屋の隅等に設置することが多く、このためオフィス全体をカバーするサービスエリアの設定は困難な場合があり、これを解消するため、複数のアクセスポイントを設置してカバーする必要があり、アクセスポイントの設置数が増加してシステムコストが高くなる問題がある。
またオフィス内には棚やパーテションなどレイアウト機材が様々に配置されており、机に配置されているパーソナルコンピュータなどの無線端末は、その設置場所により様々な無線障害を受けやすく、安定した無線によるデータ送受信が確保できない恐れもあり、このような問題が有線LANシステムからの移行を妨げる要因となっている。
本発明は、火災監視のために設置されている火災感知器に着目し、火災感知器の設置場所をアクセスポイントの設置場所に活用することで、小電力無線局設備であっても、オフィス等のサービスエリア全域に障害物の影響を受けることなく確実に電波を送受信可能とした無線LANシステムを提供することを目的とする。
本発明は、無線LANシステムであって、警戒区域の天井面に設置された火災感知器の感知器ベースに、無線LAN用のアクセスポイントを一体に設け、感知器ベースに設けたアクセスポイントをLANケーブルにより他の感知器ベースに設けたアクセスポイント又は有線LANシステムのハブに接続し、更に、感知器ベースに、火災感知器の発報表示灯とLAN動作確認灯を設けると共に、発報表示灯とLAN動作確認灯の各々に識別表示を施したことを特徴とする。
ここで、専用の電源ユニットから引き出された電源線によりアクセスポイントに電源を供給する。また、感知器ベースに受信機から引き出されて接続された感知器回線からアクセスポイントに電源を供給しても良い。
また、感知器ベースの裏面側にアクセスポイント収納部を形成し、アクセスポイント収納部に、LANケーブルを外部接続するコネクタ、アクセスポイント回路チップ、電源コネクタ及びアンテナを設ける。
1つの警戒区域に複数の火災感知器が設置されている場合、一部の火災感知器の感知器ベースにアクセスポイントを設ける。
警戒区域の天井面に感知器本体を露出して設置する露出型感知器ベースにアクセスポイントを設ける。また、警戒区域の天井面に感知器本体を埋込設置する埋込型感知器ベースにアクセスポイントを設ける。
感知器ベースから警戒区域側に突出して無線LAN通信用のアンテナを設置する。感知器ベースに無線LAN通信用のアンテナを埋込状態で設置しても良い。
本発明によれば、火災監視のために部屋の中心近くの天井に設置されている火災感知器の感知器ベース、即ち感知器本体を着脱自在に装着する天井面に固定設置した感知器ベース自体に、無線LANのアクセスポイントが一体に設けられているため、アクセスポイントを部屋中心の天井という高い位置に設置することができ、アクセスポイントから見てパーソナルコンピュータやプリンタなどの無線端末は全て見下ろすことのできる途中に障害物のない状態とすることができ、障害物により電波の届かない場所が大幅に減少し、少ないアクセスポイントの数で広いサービスエリアを確実に確保することができ、アクセスポイントの理想的な設置環境を簡単に確保することができる。
更に、感知器ベースにLAN動作確認灯を設けたことで、同じ警戒区域に複数の火災感知器が設置されている場合、どの火災感知器が無線LANのアクセスポイントとして動作しているかが、外部から簡単に確認することができ、アクセスポイントとして機能する火災感知器が分かることで、警戒区域となる部屋の中にパーソナルコンピュータなどの無線端末を設置する際に障害物となる機材を避けた適切な配置ができる。
図1は本発明による無線LANシステムの実施形態を示した説明図である。図1において、本実施形態の無線LANシステムは、オフィスビルなどに設置されている火災報知システムにおける火災感知器の設置環境を利用して無線LANの環境を構築している。
図1は例えば地階B1F、1階1F、2階2Fから構成されたビルを例に取っており、地階B1Fに設置された火災報知システムの受信機10からは各階に対し感知器ケーブル(感知器回線)24が引き出され、壁などにより仕切られた各階の警戒区画には少なくとも1台の火災感知器14が設置されている。
火災感知器14は、天井面に固定された感知器ベース16Aと、感知器ベース16Aに対し着脱自在なセンサ部となる感知器本体18で構成されている。また火災感知器14は、火災による熱を検出して発報する熱感知器や、火災による煙を検出して発報する煙感知器であり、火災による煙や熱を有効に感知するため、壁などで仕切られた部屋などの警戒区域のほぼ中央の天井部分に設置されている。
火災感知器14の警戒区域の面積に対する設置数は法的に定められており、例えば天井までの高さが4m未満の場所については、1種の火災感知器及び2種の火災感知器で150平方メートル当り1個以上、また3種の火災感知器については50平方メートルにつき1個以上設けることが義務付けられている。
ここで、本実施形態における受信機10としてはP型受信機又はR型受信機が使用される。P型受信機は例えば階別に引き出された感知器ケーブル12にオンオフ型の火災感知器14を接続しており、オンオフ型の火災感知器14は火災を検出して発報すると感知器ケーブル12に入っている電源線Lとコモン線Cからなる感知器回線を短絡して発報電流を流すことで、受信機10に発報信号を送って火災警報動作を行わせる。火災感知器14が発報した感知器回線に流れる電流は、接続される受信機の発報検出回路にもよるが、概ね40〜70mAの値となる。この際、感知器ベース16Aに組み込まれた表示灯(LED)にも電流が流れ点灯する仕組みとなっている。
R型受信機は警戒区域に引き出された電源線Lとコモン線Cが入った感知器ケーブル12にデータ伝送機能を備えた火災感知器14を接続しており、通常監視時はR型受信機からアドレスを順次指定したポーリングコマンドに対し正常応答を行っている。火災を検出した際には、割込コマンドを送信してR型受信機に火災を検出した火災感知器を特定する検索動作を行わせ、アナログ的に検出した煙濃度や温度などの火災検出データを収集して火災警報処理を行う。このためR型受信機の場合、火災感知器が火災を検出しても感知回線の電源電圧はそのまま維持できる。
このように火災報知システムにおいて設置された火災感知器14は、その設置場所が部屋のほぼ中央の天井部分となるため部屋全体を見渡すことのできる位置にあり、更に火災による熱や煙を効率よく感知できる最適な位置に設置している。
本実施形態にあっては、このような火災報知システムにおける火災感知器14の設置場所を無線LANシステムのアクセスポイントの設置場所とする。具体的には、火災感知器14の天井面に固定された感知器ベース16Aの裏面側に無線LANシステムのアクセスポイント20を一体に設けている。またアクセスポイント20で使用する無線通信のためのアンテナ21を、この実施形態にあっては感知器ベース16Aに下向きに配置している。
火災感知器14の感知器ベース16Aに設けられたアクセスポイント20は、階別に設けられた有線LANシステムの集線装置であるハブ26にLANケーブル24により接続されている。
例えば1F及び2Fにあっては、3つの警戒区域の火災感知器14の感知器ベース16Aにアクセスポイント20が設けられていることから、ハブ26に対しLANケーブル24により3つのアクセスポイント20を直列的に接続している。またB1Fについては、火災感知器14は1台であることから、ハブ26にLANケーブル24により直接アクセスポイント20を接続している。
各階ごとに設置されたハブ26は同じくLANケーブル24で直列に接続され、B1Fのハブ26は更に通信用サーバ22に接続され、通信用サーバ22は例えばプロキシサーバとして機能し、外部のインターネット25に接続可能である。
ここでアクセスポイント20及びハブ26、更に通信用サーバ22を接続するLANケーブル24としては、例えばツイストペアケーブルを使用している。ツイストペアケーブルは8本の線材を2本ずつに対にして撚り合せた構造であり、ノイズ防止のシールド加工が施されたUTPタイプを使用する。
またツイストペアケーブルのUTPタイプは、いくつかのカテゴリ例えばカテゴリ1〜6に分かれているが、最も普及している例えばカテゴリ5の最大伝送速度100Mbpsでイーサネット(R)の100Base−TXに対応したものを使用すればよい。
またカテゴリ5のツイストペアケーブルにはストレートケーブルとクロスケーブルがあり、ストレートケーブルは通信用サーバ22とハブ26との接続に使用される。またクロスケーブルはハブ26同士及びアクセスポイント20同士の接続に使用する。
本実施形態で使用するツイストペアケーブルは、所定の長さを持ったケーブルの両端にRJ45モジュラージャックとして知られた接続端子を設けており、これによって通信用サーバ22、ハブ26及びアクセスポイント20側のコネクタに対し接続して有線LANネットワークを構成することができる。
ストレートケーブルは、ツイストペアケーブル両端のモジュラージャックにおける1番から8番までの線が、もう一方の端子側の1番と8番に結線している関係にある。これに対しクロスケーブルは、一方のモジュラージャックの1番から8番の線につき、1番がもう一方の3番、同じく2番はもう一方の6番に相互にクロス接続した結線を取っている。このようにツイストペアケーブルは、相互接続する機器との関係を考慮してストレートケーブルまたはクロスケーブルを選択して接続する。
無線LANシステムにおける感知器ベース16Aに設けたアクセスポイント20は、パーソナルコンピュータ28、タブレットPC30、PDA端末32などの無線LANクライアントとなる無線端末を相互に接続したり、有線LANなどの他のネットワークに接続したりする無線ハブとして機能する。このアクセスポイント20を経由した無線端末相互間あるいは他のネットワークである有線LANシステム機器との通信を、インフラストラクチャモードと呼んでいる。
無線LANシステムの無線端末となるパーソナルコンピュータ28、タブレットPC30及びPDA端末32のそれぞれには、例えば無線LANカードが装着されており、アクセスポイント20を経由して、他の無線端末あるいは通信サーバ22を経由して、外部のインターネット、更にはハブ26に接続している図示しないプリンタやパーソナルコンピュータなどの他の機器との間でデータ送受信を行うことができる。
アクセスポイント20及び各種の無線端末で構成した無線LANシステムにあっては、主に無線LAN規格であるIEEE802.11シリーズを使用してデータ送受信を行う。この無線LAN規格としてはIEEE802.11bが最も一般的であり、2.4Ghz帯でDSS変調を使用した11Mbpsタイプとなる。
また近年にあっては、IEEE802.11gとなる2.4Ghz帯を使用した54Mbpsタイプが普及しており、OFDM変調を使用しているが、IEEE802.11bとの互換性があり、IEEE802.11bの高速版として普及している。更に将来的には、実効通信速度100Mbps超えを狙ったIEEE802.11nの開始も予定されている。
本実施形態におけるLANケーブル24で接続したアクセスポイント20、ハブ26及び通信用サーバ22は有線LANシステムを構成しており、この有線LANシステムとしては例えばイーサネット(R)が使用されている。
現在、最も普及しているイーサネット(R)としては100Mbpsの伝送能力のある100Base−TXが使用できる。もちろん有線LANシステムとしては、イーサネット以外に適宜の規格に準拠したものを使用できる。
アクセスポイント20に対する電源供給として本実施形態にあっては、専用の電源ユニット25を設け、電源ユニット25から引き出された電源ケーブル27により所定の直流電源電圧を供給して行う。また電源ケーブル27はハブ26にも電源を供給する。
なお、受信機10としてR型受信機を使用している場合には、火災感知器14で火災検出が行われてもP型受信機のように火災感知器14の発報動作で感知器回線が短絡されて電源供給ができなくなることがないので、受信機10から引き出された感知器ケーブル12によりアクセスポイント20に電源を供給しても良い。このための受信機10の電源部としては、火災感知器14に必要な電源容量に加え、アクセスポイント20に必要な電源容量を加えたものを準備する。この場合には、専用の電源ユニット25及び電源ケーブル27は必要なくなる。
図2は本実施形態で使用する火災感知器を示した説明図であり、埋込み型感知器ベースを使用した場合を例に取っている。図2において、火災感知器14は埋込み型の感知器ベース16Aと感知器本体18で構成される。
埋込み型の感知器ベース16Aは火災感知器を設置する部屋の美観の改善を考慮したもので、天井面から火災感知器が飛び出す量を抑え、感知器本体18を天井側に埋め込むように設置する感知器ベース16Aの構造を備えている。
感知器本体18は周囲に煙流入口40を備えており、内部に火災による煙を検出して発報する散乱光式の煙検出構造を備えている。もちろん感知器本体18としては、煙感知器以外に、サーミスタなどの温度検出素子を用いた熱感知器など適宜の感知器構造が適用できる。
感知器ベース16A側には発報表示灯34が設けられ、感知器本体18で煙の流入により火災を検出して発報した際に、発報表示灯34を点灯し、火災感知器14で火災を検知したことを外部から分かるようにしている。本実施形態において、火災表示灯34には、火災を示す絵図柄を表示すると同時に、「火災」の文字を表示している。
また感知器ベース16Aには、その裏面側にアクセスポイントを設けたことに伴い、電源灯36とLAN動作灯38を設け、これに対し「LAN」の表示をしている。電源灯36は、図1に示した感知器ケーブル12からのアクセスポイント20に対する電源供給により点灯し、電源供給が正常に行われることを示す。LAN動作灯38は電源灯36と同様、電源供給を受けたときに点灯し、加えてデータ送受信の際にはデータ送受信に同期した点滅動作を行う。
更に感知器ベース16Aからは下向きにアンテナ21が設けられ、アクセスポイント20とパーソナルコンピュータなどの無線端末との間のデータ送受信を無線により行えるようにしている。
このアンテナ21によるサービスエリアは、火災感知器14が部屋の中央の天井面に設置されていることから、アンテナ21から見て、部屋に設置されているパーソナルコンピュータなどの無線端末のほとんどを見渡すことができ、きわめて理想的な無線LANシステムにおけるアクセスポイントの設置場所を実現している。
即ち、無線LANシステムを構築する際には、無線端末に対し見通しのよい場所にアクセスポイントを設置する必要がある。無線LANは電波によるデータ送受信であるため、部屋の壁によって反射が起き、これが受信側に届くことにより、複数の経路で信号の通信が行われるマルチパスが発生する。
このため、同じ天井であってもマルチパスを発生し易い天井の隅などにアクセスポイントを設置するのではなく、本実施形態のように火災感知器の感知器ベースにアクセスポイントを設けることで、部屋の中央の天井部分となる見通しのよい場所にアクセスポイントを配置することが可能である。
また火災感知器の設置場所は、法的な規制により、火災による熱や煙などを効率よく有効に検出できる場所に設置することが義務付けられており、この火災感知器の設置義務をそのままアクセスポイントの設置場所に転用できることで、無線LANシステムのアクセスポイントとして理想的な設置場所を簡単に確保することができる。
図3は図2の火災感知器の設置状態を、感知器ベースから感知器本体を分離して示した説明図である。図3において、天井面15に設けられた取付け穴17には、埋込み型の感知器ベース16Aが、天井裏面側に固定した固定金具50に対するネジ52の締付けで固定されている。
感知器ベース16Aは下向きに開放した感知器収納部42を備えており、感知器収納部42の天井側となる面に一対の嵌合端子44を固定しており、嵌合端子44に対しては感知器ケーブルの信号線を接続するためのネジ54が設けられている。感知器ベース16Aの中央には通線穴46が開口しており、天井面15の内側に配線している感知器ケーブルを通線穴46から取り出し、ネジ54により嵌合端子44に接続する。
感知器本体18は上部内側には破線で示すように一対の嵌合金具56を設けており、感知器本体18を感知器ベース42に嵌め入れて、嵌合端子44に嵌合金具56が入り込むように回すことで、電気的且つ機械的に固定することができる。
感知器ベース16Aの裏面側にはアクセスポイント収納部48が一体に形成されている。また感知器ベース16Aの天井面側の周辺部には、アンテナ21が下向きに突出して設けられている。
図4は図3の埋込み型感知器ベースを感知器本体装着側から示した平面図である。図4において、感知器ベース16Aの感知器収納部42のほぼ中央には通線穴46が天井内に向けて開口されている。また通線穴46を挟んで両側にネジ通し穴58が形成されている。更に、通線穴46を挟んで両側に一対の嵌合端子44が設けられ、嵌合端子44の金具の付け根部分にはネジ54が設けられている。
また通線穴46を挟んで両側には図1の電源ケーブル27を接続するための電源端子55が設けられ、電源端子55にはアクセスポイント20に電源を供給するための電源プラグ45が接続されている。
図5は図3の埋込み型感知器ベースの裏面側を示した平面図である。図5において、感知器ベース16Aの裏面側には通線穴46とネジ通し穴58が開口しており、更にアクセスポイント収納部48が一体に設けられている。
アクセスポイント収納部48は、感知器ベース16A側に対し収納部カバーを取付け固定し、内側に空洞収納部を備えた構造であり、アクセスポイント収納部48に対しては、破線で示すようにLANケーブルを接続するための2組のコネクタ60と図5に示した電源プラグ45を接続するための電源コネクタ65が設けられ、更に内部にはアクセスポイントの回路チップ62が組み込まれており、回路チップ62からはアンテナ21に対し配線接続が行われている。
図6は図5の埋込み型感知器ベースに対するLANケーブル及び感知器ケーブルの接続状態を示した説明図である。図6において、天井内に配線された受信機側からの感知器ケーブル12は通線穴46から内側に引き込まれ、図4に示した感知器ベース16Aの表側の一方の嵌合端子44のネジ54に接続されている。また図6の他方の感知器ケーブル12は、同じく通線穴46から引き込まれて、図4の他方の嵌合端子44のネジ54に接続され、この他方の感知器ケーブルは次の端末側の火災感知器に接続される。
更に通線穴46に対しては図1の電源ユニット25から引き出された電源ケーブル27が引き込まれ、図4に示した電源端子55に接続され、更に後続するアクセスポイントに向けて電源ケーブルが引き出されている。
アクセスポイント収納部48に設けている一方のコネクタ60に対しては、図1に示したハブ26側からのLANケーブル24が接続され、他方のコネクタ60には次のアクセスポイントに対するLANケーブル24が接続される。LANケーブル24は、前述したように例えばツイストペアケーブルであり、先端にプラグ64を装着しており、プラグ64としてはRJ45モジュラージャックを接続端子として設けている。
更に、アクセスポイント収納部48の電源コネクタ65に対しては、図4に示した表側の電源端子55に電源プラグ45を接続することで、回路チップ62に対し電源供給を行うことができる。
図7は本実施形態の感知器ベースに組み込まれるアクセスポイントのハードウェア構成を示した回路ブロック図である。図7において、アクセスポイント20にはプロセッサ66が設けられ、プロセッサ66に対してはバス68を介して、ROM70、RAM72、無線LANコントローラ74、有線LANコントローラ76が接続されている。
無線LANコントローラ74にはアンテナ21が接続される。また有線LANコントローラ76はコネクタ60を介してLANケーブル24に接続される。
無線LANコントローラ74は、LANカードを装着したパーソナルコンピュータなどの無線端末相互間の携帯通信、及び無線端末とLANケーブル24側に接続した有線LANシステムのサーバやプリンタなどの機器とのデータ通信を行う。
具体的には、無線LANコントローラ74は、IEEE802.11b/gに準拠して、無線LAN物理層、無線LANMAC層、上位層を構築し、CSMA/CA(搬送波検出衝突回避)に従った無線通信を行っている。
アクセスポイント20は、通信可能範囲に存在する無線端末相互間の中継、または無線端末と有線LANシステム側の接続機器との中継を行う。無線LANコントローラ74により電波に乗せる信号は有線イーサネットのイーサネットフレームに起因したもので、通常、MACフレームと呼ばれており、有線のイーサネットフレームに無線特有の情報を付加したフレーム構成を持っている。MACフレームは、そのヘッダに、送信元と相手先のネットワークアダプタが持つMACアドレスが記載されている。
アクセスポイント20の中継動作は、無線LANコントローラ74で受け取ったイーサネットフレームの宛先MACアドレスを見て、相手が無線LAN上にあれば無線イーサネットフレームにパケットを入れ直して中継する。また相手が有線LAN上にあれば有線イーサネットフレームにパケットを入れ直して中継する。
ここで、図7において無線端末として例えばPDA端末32との間でどのように接続して通信が開始されるかを説明すると次のようになる。無線LANにおける通信開始動作は、アクセスポイント検索動作とアソシエーション動作により行われる。
(アクセスポイント検索動作)
まずPDA端末32が電源オンとなったときに、近隣に接続可能なアクセスポイントが存在するかどうかの検索を行うため、プローブ要求パケットを送信する。プローブ要求パケットは、PDAの無線LANコントローラで使用可能なすべてのチャネルに対し送信される。これはアクセスポイントがどのチャネルに設定されているか無線端末には事前に分からないためである。
アクセスポイント20は、例えば隣接して配置されているような場合には、それぞれ異なるチャネルを使用しているが、PDA端末32からはプローブ要求パケットが全チャネルを使用して送信されるため、自分のチャネルのプローブ要求パケットを受信することができる。
プローブ要求パケットを受信すると、アクセスポイント20はPDA端末32に対しプローブ応答パケットを返信して接続可能であることを通知する。アクセスポイント20からのプローブ応答パケットを受信したPDA端末32は、アクセスポイント20への接続を決定する。
(アソシエーション動作)
PDA端末32は、接続するアクセスポイント20を決定すると、アクセスポイント20に対し接続の許可を求めるアソシエーション要求パケットを送信する。アクセスポイント20はPDA端末32からのアソシエーション要求パケットを受信すると、内部のアソシエーションテーブルに接続を許可する端末として登録する。
アソシエーションテーブルは、アクセスポイント20が接続を許可した端末の情報を格納しておく管理テーブルであり、アクセスポイント20のRAM72などの領域に保持されている。アソシエーションテーブルに対するPDA端末32の登録が済むと、アクセスポイント20は接続許可をPDA端末32に対しアソシエーション応答パケットにより通知し、アソシエーション動作を完了する。アソシエーション動作が完了すると、PDA端末32はアクセスポイント20との間に通信接続を確立し、データの送受信を行う。
(ローミング動作)
次にPDA端末32がローミングを行う際の動作を説明する。PDA端末32が最初に東都録されていたアクセスポイントの通信可能範囲から別の部屋に移動したとすると、その別の部屋に設置されているアクセスポイントとの間で接続を再開するための動作を行う。
PDA端末32が別の部屋に移動すると、それまで接続していたアクセスポイントとの通信が不可能となるため、新たなアクセスポイントを検索するための動作を行う。この動作は前述したアクセスポイント検索動作と同じであり、検索動作が終了すると、前述したアソシエーション動作により、別の部屋に設置しているアクセスポイントにおいてPDA端末32のアソシエーションテーブルへの登録が行われ、通信接続が開始される。
一方、別の部屋に設置しているアクセスポイントは新たにPDA端末32をアソシエーションテーブルに登録したことに伴い、それまでPDA端末32と通信接続していた移動前の部屋のアクセスポイントに対し、そのアソシエーションテーブルからのPDA端末32の削除を、LANケーブル24を経由して有線LANにより指示する。
このようにしてPDA端末32は、部屋を移動するごとに、その場所に設置しているアクセスポイントとの間で通信接続を確立しながら、無線LANによる通信を移動しながら継続することができる。
図8は露出型の感知器ベースを用いた本実施形態で使用する火災感知器の取付け状態を示した分解説明図である。図8において、この実施形態の火災感知器14は、露出型の感知器ベース16Bを天井面15に固定し、そこに感知器本体18を取り付けている。
感知器ベース16Bの天井面15に対する取付けは、天井面15の裏側にネジ穴82を備えた取付け金具80を配置し、感知器ベース16Bに対し2本のネジ54を通してネジ穴82にねじ込むことで取付け穴17に固定し、この状態で感知器ベース16Bは、天井面15から露出した状態に固定される。
感知器ベース16Bは下側に一対の嵌合金具44を備えており、ここに感知器本体18側の嵌合金具を位置合せして押し込んだ状態で回すことで、電気的且つ機械的に接続することができる。
図9は図8の火災感知器の設置状態を、感知器本体を分離して示した説明図である。図9において、天井面15に取付け金具80に対するネジ54のねじ込みで固定された感知器ベース16Bは、下側に一対の嵌合金具44を突出し、裏面側にアクセスポイント収納部48を一体に設けており、更に感知器ベース16Bの下側周辺から張り出した部分に下向きにアンテナ21を設けている。
感知器本体18は図3に示した埋込み型の感知器ベース16Aの場合と同様であり、この実施形態にあっては、煙流入口40を備えた煙感知構造を内蔵しており、上部の開口した内側に一対の嵌合金具56を配置している。この感知器本体18の嵌合金具56を感知器ベース16Bの嵌合端子44に位置合せした状態で押し込んで回すことで、嵌合金具56を嵌合端子44に嵌合して、電気的且つ機械的に固定することができる。
また図9の実施形態にあっては、図1に示した受信機10としてR型受信機を使用し、R型受信機の電源部としてアクセスポイント20に対する電源供給を可能とする電源容量のものを使用することで、感知器ケーブル12からアクセスポイント20に電源を供給する場合を例にとっており、このためアクセスポイント収納部48に対する電源プラグ45は感知器ケーブル12が接続される嵌合端子44に接続している。
図10は図8の露出型の感知器ベースを感知器本体装着側から示した平面図である。図10において、露出型の感知器ベース16Bにあっても、中央に通線穴46が設けられ、これを挟んで両側にネジ通し穴58が形成されており、更にアクセスポイント収納部48が設けられている。アクセスポイント収納部48には一対のコネクタ60と電源コネクタ65が設けられ、更に内部に回路チップ62が配置され、更に、外周側に配置したアンテナ21に対し信号線接続を行っている。
図11は図8の露出型の感知器ベースに対するLANケーブル及び感知器ケーブルの接続状態を示した説明図である。この図11の実施形態にあっては、感知器ケーブル12からアクセスポイントに電源を供給する以外は図6に示した埋込み型の感知器ベース16Aの場合と基本的に同様であり、感知器ケーブル12を表側の嵌合端子にネジで接続し、またアクセスポイント収納部48のコネクタ60に対し、ハブ側と他のアクセスポイント側とを結ぶLANケーブル24のプラグ64を接続し、更に表側の嵌合端子にネジにより接続している電源プラグ45を電源コネクタ65に接続している。
なお、上記の実施形態にあっては、アクセスポイント収納部48に電源コネクタ65を設け、ここに感知器の嵌合端子側のビスに感知器ケーブル12と接続した電源プラグ45を差し込んで、アクセスポイント側に電源供給を行うようにしているが、コネクタ接続によらず、感知器ベースに直接埋め込んだ信号線や電極パターンなどにより、アクセスポイント側に感知器ケーブル12からの電源を供給するようにしてもよい。
また上記の実施形態にあっては、感知器ベースに設けたアクセスポイントに対する電源供給を専用の電源ケーブル27又は感知器ケーブル12から行っているが、現在標準化が進められているIEEE802.3afにあっては、有線LANシステムとしてパワーオーバーイーサネット(PoE)として知られたUTPケーブル上にネットワーク機器が動作するのに必要なだけの電流を流す技術の実用化が図られており、この技術を用いることで、専用の電源ケーブル27又は感知器ケーブル12から電源を供給する必要はなく、パワーオーバーイーサネット対応のUTPケーブルを接続することでアクセスポイントに電源を供給して動作させることができる。
また上記の実施形態における感知器ベースの裏面に対するアクセスポイントの収納構造としては、上記の実施形態に限定されず、感知器ベースと一体に製造できる構造であれば適宜の構造を取ることができる。
またアクセスポイントを1つのアダプタユニットとして別に準備し、このアダプタユニットを感知器ベースの裏面側にネジや金具などにより取付け固定するようなものであってもよい。このアクセスポイントを構成するアダプタユニットとしては、上記の実施形態のアクセスポイント収納部48と同様に、2つのコネクタ60、電源コネクタ65、更にアンテナ接続端子を備えていればよい。
また上記の実施形態にあっては、感知器ベースから下向きに突出してアンテナ21を設けた場合を例にとっているが、アンテナ21を感知器ベースから露出せずに、感知器ベースに埋め込んだ構造のアンテナとしてもよい。これは感知器ベースが通常プラスチックで作られており、アンテナ導体から見ると一種の誘電体となることから、感知器ベースの室内に露出した部分にある程度の深さをもってアンテナ胴体を埋め込むことで、埋込み型の無線LANのアンテナを配置することができる。
更に本実施形態におけるアクセスポイントの感知器ベースに対する取付けまたは一体化は、感知器ベースと感知器本体から構成される火災感知器が本来備えている機能や形状などの条件を損なうことのないものであれば、適宜の形態をとることが可能である。
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
本発明による無線LANシステムの実施形態を示した説明図 本実施形態で使用する火災感知器を示した説明図 図2の火災感知器の設置状態を感知器本体を分離して示した説明図 図3の埋込型の感知器ベースを感知器本体装着側を示した平面図 図3 の埋込型の感知器ベースの裏面側を示した平面図 図5の埋込型の感知器ベースに対するLANケーブル及び感知器ケーブルの接続状態を示した説明図 本実施形態の感知器ベースに組み込まれるアクセスポイントの機能構成を示した回路ブロック図 露出型の感知器ベースを用いた本実施形態で使用する火災感知器の取付け状態をしめした分解説明図 図8の火災感知器の設置状態を感知器本体を分離して示した説明図 図8の露出型の感知器ベースの裏面側を示した平面図 図8の露出型の感知器ベースに対するLANケーブル及び感知器ケーブルの接続状態を示した説明図
符号の説明
10:受信機
12:感知器ケーブル
14:火災感知器
15:天井面
16A,16B:感知器ベース
17:取付穴
18:感知器本体
20:アクセスポイント
21:アンテナ
22:通信用サーバ
24:LANケーブル
25:電源ユニット
26:ハブ
27:電源ケーブル
28:パーソナルコンピュータ
30:タブレットPC
32:PDA端末
34:発報表示灯
36:電源灯
38:LAN動作灯
40:煙流入口
42:感知器収納部
44:嵌合端子
45:電源プラグ
46:通線穴
48:アクセスポイント収納部
50,80:取付金具
52,54:ねじ
56:嵌合金具
58:ねじ通し穴
60:コネクタ
62:回路チップ
64:プラグ
65:電源コネクタ
66:CPU
68:バス
70:ROM
72:RAM
74:有線LANコントローラ
76:無線LANコントローラ
78:電源部
82:ねじ穴

Claims (9)

  1. 警戒区域の天井面に設置された火災感知器の感知器ベースに、無線LAN用のアクセスポイントを一体に設け、
    前記感知器ベースに設けたアクセスポイントをLANケーブルにより他の感知器ベースに設けたアクセスポイント又は有線LANシステムのハブに接続し、
    更に、前記感知器ベースには、前記火災感知器の発報表示灯とLAN動作確認灯を設けると共に、前記発報表示灯とLAN動作確認灯の各々に識別表示を施したことを特徴とする無線LANシステム。
  2. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、専用の電源ユニットから引き出された電源線により前記アクセスポイントに電源を供給することを特徴とする無線LANシステム。
  3. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、前記感知器ベースに受信機から引き出されて接続された感知器回線により前記アクセスポイントに電源を供給することを特徴とする無線LANシステム。
  4. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、前記感知器ベースの裏面側にアクセスポイント収納部を形成し、前記アクセスポイント収納部に、前記LANケーブルを外部接続するコネクタ、アクセスポイント回路チップ、電源コネクタ及びアンテナを設けたことを特徴とする無線LANシステム。
  5. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、1つの警戒区域に複数の火災感知器が設置されている場合、一部の火災感知器の感知器ベースにアクセスポイントを設けたことを特徴とする無線LANシステム。
  6. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、警戒区域の天井面に感知器本体を露出して設置する露出型感知器ベースに前記アクセスポイントを設けたことを特徴とする無線LANシステム。
  7. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、警戒区域の天井面に感知器本体を埋込設置する埋込型感知器ベースに前記アクセスポイントを設けたことを特徴とする無線LANシステム。
  8. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、前記感知器ベースから警戒区域側に突出して無線LAN通信用のアンテナを設置したことを特徴とする無線LANシステム。
  9. 請求項1記載の無線LANシステムに於いて、前記感知器ベースに無線LAN通信用のアンテナを埋込状態で設置したことを特徴とする無線LANシステム。
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