JP2009136265A - 都市緑化の生物多様性向上効果予測システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力情報P1には、都市緑化の対象とするエリアについて、現況の植生環境情報P1a〜緑化計画に基づく計画実現後の植生環境情報P1dが含まれる。演算処理装置は、それぞれ現況および計画後の植生環境分析情報P2、種群多様性予測分析情報P3を取得する。P2の分析結果は、植生環境向上情報P4として出力される。また、計画前後の種群ごとの生息予測分析および種群多様性予測分析をもとに、P3−1、P3−2において作成された分析結果の差分図が形成され、P5の種群多様性向上情報として、種群生息可能性向上評価マップP5a、種群多様性向上評価マップP5bに出力される。
【選択図】 図1
Description
計画段階においてこれらの向上効果を定量的・体系的に予測するシステムの例はまだ設定されていないという問題があった。
都市緑化計画の対象とするエリアにおける現況の植生環境情報および生物分布情報、ならびに前記計画後の植生環境情報の入力手段と、
前記都市緑化計画の現況の植生環境分析と種群多様性予測分析、および前記計画後の植生環境分析と種群多様性予測分析を実行する演算処理手段と、
前記演算処理手段により形成される植生環境向上情報、および種群多様性向上情報を出力する出力手段と、を具備することを特徴とする。
また、全ての分析の出力は、計画図面に重ね合わせができるかたちで地図上に空間的に表示されるため、創出する緑地環境の配置・立地を含めた複数計画案の比較検討が可能となる。
S1−1:生物分布情報の入力
Sl−2:植生環境情報の人力
S2:種分析バッファーの設定
S3:種群パターンの設定
S4:出現分析パッチの設定
S5:種群パターンと植生環境の関連性分析
S6:適用グリッドの設定
S7:種群パターンごとの出現予測マップの出力
S8:種群多様性予測マップの出力
多様な形状・規模・質の都市緑地を含む評価対象地域を設定し、現地調査の調査ルート(ライン)、および調査で生息が確認された生物種とその地点を、対象地域の地図情報をベースマップとして、システム上に入力する。この入力操作は、図5の第2の入力手段4から行い、メモリ7に設定されている生物分布情報格納部8に記録する。
システムに対象地域の植生環境情報を地理情報として入力する。植生環境タイプは、水域、樹林、草地、畑地、裸地、人工被覆地などである。なお、植生環境情報は、高解像度人工衛星データおよび空中写真等のモートセンシングにより、緑被の抽出および植生環境の分類を行い得られたデータである。この入力は、例えば図8に示した人工衛星2により取得した写真データを第1の入力手段3からシステムに取り込み、デジタル情報に変換して、メモリ7に設定されている植生環境情報格納部9に記録する。
S1−1で得られた生物種ごとに、すべての生息確認地点より、一定距離の距離圏を発生させることにより、「種分析バッファ一」が設定される。ここで、発生させる距離圏半径の距離は、生物種の生息特性を踏まえて任意の距離を設定可能である。種分析バッファ一の距離圏半径の距離は、複数の距離を設定し、次段階の統計的類型化の分析プロセス(S3)を実施して、最も良い分類精度を得られる距離を採用する。この処理における集計は、設定したすべての種分析バッファ一内における植生環境の物理的要件について集計される。植生環境の物理的要件は、各土地被覆の面積、樹林および草地の集塊度、林縁長、水辺長樹林・草地・水辺の縁辺部の長さ、などである。
すべての生物種は、前記種分析バッファ一内の植生環境の物理的要件をもとに、統計的類型化(クラスター分析)により分類され、生息特性の異なる種グループが分類される。これをもとに、分類された種グループおよび2グループの種グループ組み合わせが、別途「種群パターン」として設定される。
システムのモニタ上で調査ルートは、図7のG1に示すように一定距離ごとに分割される。個々の分割ルートに対して一定距離の距離圏を発生させることにより、その分割ルートの分析範囲(以降、「出現分析パッチ」と称する)が設定される([図7]G2)。図7の例では、出現分析パッチG2は2区域のバッファーを含むエリアに設定されている。ここで、分割ルートの長さ、および距離圏のサイズは、種の生息特性を踏まえて、任意の長さ、サイズを設定できる。種の生息特性を踏まえた適切な値を複数設定し、それぞれの距離圏をもとにした以降の段階の統計的分析の結果において、最も良い反応を示す距離を採用する。
出現分析パッチごとに、S1−1で入力されている生息生物種情報をもとに、該当するS−3の種群パターンが対応される。システム上で、この分析パッチごとの種群パターンおよび植生環境の物理的要件のデータが集計される。システムのメモリには、複数の統計分析メニュー(ロジスティック回帰分析など)を格納しており、任意の統計手法が選択可能である。集計結果をもとに、各種群パターンの成立の有無を目的変数、植生環境の物理的要件を説明変数として、統計的な回帰分析が適用され、回帰分析式が算出される。
Px=exp(Zx)/{1+exp(Zx)}、
ここで、Zx=al×(樹林面積)+a2×(草地面積)+a3×(水域面積)+a4×(畑地面積)+a5×(樹林集塊度)+a6×(林縁長)+a7×(水辺長)十定数項b、である。ここで、a1〜a7は係数である。この式が集計結果に適用され、回帰式が導かれる。このようなロジスティック回帰分析は、図5の例では、メモリ7に記憶されている統計分析メニューを読み出して、CPU5の演算処理により実行される。
評価対象地域を覆う格子(「適用グリッド」と呼ぶ)が設定される([図8]G3)。適用グリッドの格子面積は、図7で説明した出現分析パッチの面積G2に相当する。
個々の適用グリッド内における植生環境の物理的要件(S1−2で算出した項目)を算出し、前記S5で説明した回帰式を適用することにより、適用グリッドごとの種群パターンの成立確率が算出される。これにより、種群パターンごとの出現予測マップがグリッド形式で図化され出力される。出力された種群パターンごと出現予測マップは、システム上でレイヤーとして統合管理される([図9]P8)。
全ての種群パターンごとの出現予測マップは、すべて重ね合わせにより相乗平均され、種群多様性予測マップとして出力される([図9]P9)。
Claims (8)
- 都市緑化計画の対象とするエリアにおける現況の植生環境情報および生物分布情報、ならびに前記計画後の植生環境情報の入力手段と、
前記都市緑化計画の現況の植生環境分析と種群多様性予測分析、および前記計画後の植生環境分析と種群多様性予測分析を実行する演算処理手段と、
前記演算処理手段により形成される植生環境向上情報、および種群多様性向上情報を出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする、都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。 - 前記植生環境向上情報は、前記計画後の植生環境分析と、前記現況の植生環境分析との差異(変化量)により図化されることを特徴とする、請求項1に記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
- 前記種群多様性向上情報は、前記計画後の植生環境分析と、前記現況の植生環境分析と種群多様性予測分析の情報を回帰分析して図化されることを特徴とする、請求項1に記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
- 前記植生環境向上情報、および種群多様性向上情報は、前記都市緑化計画の対象とするエリアを格子状に区切った適用グリッド内で前記回帰分析により形成されることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
- 前記植生環境向上情報には、植生連続性向上評価マップと植生多様性向上評価マップが含まれることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
- 前記種群多様性向上情報には、種群生息可能性向上評価マップと種群多様性可能性向上評価マップが含まれることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
- 前記マップは、前記適用グリッドで前記各情報を評価して形成されることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
- 前記現況の種群多様性予測分析は、植生環境分析結果および生物分布分析結果により形成される生物種群パターンと植生環境の関連性のモデル化される分析と、種群ごとの生息予測分析と、種群多様性の予測分析と、を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の都市緑化の生物多様性向上効果予測システム。
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