JP2009136081A - アクチュエータ、撮像機器、および電子機器 - Google Patents

アクチュエータ、撮像機器、および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】アクチュエータ駆動時における、ホルダの姿勢の安定性向上と、給電用ワイヤーの断線防止とを実現する。
【解決手段】アクチュエータ20は、マグネット3、ヨーク(磁性体)4、コイル5、光学部材6を保持するホルダ7、ベース(支持体)9、コイル5に電流を供給するための端子10、ホルダ7に形成されたホルダ側ワイヤー保持部12およびベース9に形成されたベース側ワイヤー支持部11を備えている。ベース側ワイヤー支持部11は弾性部材によって形成されている。コイル5から引き出された給電用ワイヤー15はホルダ側ワイヤー保持部12とベース側ワイヤー支持部11と端子10とに引き回されている。電磁誘導現象によりホルダ7が変位する際、給電用ワイヤー15にかかるテンションは、ベース側ワイヤー支持部11の変形により吸収される。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネット、コイル、および磁性体から構成される磁気回路を備えたアクチュエータ、撮像機器、および携帯電子機器に関するものである。
近年、携帯電子機器に内蔵される撮像機器(カメラ)は小型化、薄型化、および高画質化が進んでいる。そして、このような携帯電子機器においては、カメラに、画質向上のために必要なオートフォーカス機能を搭載する傾向が多く見受けられる。
オートフォーカスを行うためには、一般的には内部の光学系を移動させる必要がある。
光学系を移動させるためには、アクチュエータという部材が利用されている。このアクチュエータの構造には、マグネットとコイルとを用いた磁気回路が利用されている。
光学系を移動する方式は、ボイスコイル方式が広く用いられている。この方式では、磁気回路による電磁誘導現象によって、コイルもしくはマグネットが駆動する。
従来のボイスコイル方式のアクチュエータとしては、特許文献1に開示されているようなものが知られている。このアクチュエータは、前方および後方において、一対のレンズ、コイルおよびバネを配置している。そして前方コイルに電流を印加することにより、後方レンズを後方バネの弾性力と釣り合う位置に移動させる。この方式では、前方バネおよび後方バネを介してコイルに給電しており、バネ自体にコイルや導線を直接はんだ付けして導通しているため、絶縁構造が必要となる。そのため、部品点数が増えるといった問題が生じ、近年要求されているカメラの小型化、薄型化の妨げとなる。
特許文献2では、バネを介さずにコイルへ給電可能なアクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、板バネと絶縁状態であり板バネと共に変位しない個所に、コイルに電力を供給するための端子部を設けている。さらに、ホルダに突起を設け、コイルのワイヤーの両側の引き出し部をそれぞれ突起に保持している。この時、コイルのワイヤーの引き出し部は、ホルダの変位分を吸収可能であるたるみを持たせた上、端子部に接続している。
特開2003−295033号公報(平成15年10月15日公開) 特開2006−50694号公報(2006年2月16日公開)
携帯電子機器に内蔵されるカメラの小型化および薄型化の進展に伴い、アクチュエータ自体の小型化および薄型化が要求されている。この要求を満たすためには、アクチュエータにおける磁気回路部分の体積を小さくする必要がある。しかし、磁気回路部分の体積を小さくした場合、磁気回路の効率が低下し、結果として磁気回路における電流あたりの推力が低下してしまうという問題が発生する。
特許文献2が開示する方式において、上記した推力の低下に対応するためには、ホルダを支持する一対の板バネのバネ定数を小さくする必要がある。バネ定数を小さくする方法の一つとして、バネ部分の長さを長くする方法が挙げられる。しかしこの場合、アクチュエータの投影面積が大きくなってしまい、小型化および薄型化に対応するには、この方法は困難となる。もう一つの方法として、バネ幅を細くする、もしくはバネの板厚を薄くするという方法が挙げられる。しかしこの場合は、板バネの強度低下につながり、ホルダの姿勢の安定性が低下し、アクチュエータの耐衝撃性能も低下してしまう。
また、アクチュエータを小型化および薄型化した場合、コイルの給電用ワイヤーの引き出し部にたわみを持たせるためのスペースが減少してしまうという問題も発生する。このスペースが減少すると、給電用ワイヤーのたわみ部分がアクチュエータの構成部品に干渉してしまう場合がある。この場合、ホルダの姿勢が変化してしまい、結果として光学特性の低下の原因となる。これは、小型化および薄型化により板バネの強度が低下した場合にはより顕著に現れる。
しかし、コイルの給電用ワイヤーのたわみ部分を減らした場合には、ホルダ変位の際にコイルの給電用ワイヤーの引き出し部が引っ張られてしまう。そのため、たわみ部分がアクチュエータの構成部品に干渉した場合と同様、ホルダの姿勢が変化してしまう、もしくは給電用ワイヤーが断線してしまうという問題が発生する。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホルダの姿勢の安定性向上、かつ給電用ワイヤーの断線防止が実現されたアクチュエータ、撮像機器、および電子機器を提供することにある。
(アクチュエータの基本構成)
本発明に係るアクチュエータは、上記の課題を解決するために、撮像対象となる物体を結像する光学部材と、前記光学部材を保持するホルダと、前記ホルダ外周に設けられたコイルと、前記コイルの周囲に配されたマグネットおよび磁性体とで構成される磁気回路と、前記ホルダ、前記コイル、前記マグネット、および前記磁性体を支持する支持体と、前記コイルより引き出された給電用ワイヤーと、前記コイルに電流を供給するための端子とを備えたアクチュエータにおいて、さらに前記ホルダに形成されたホルダ側ワイヤー保持部と、前記支持体に形成された支持体側ワイヤー保持部とを備えており、前記給電用ワイヤーが、前記ホルダ側ワイヤー保持部を介して前記支持体側ワイヤー保持部に保持された後、端子に接続され、前記ホルダ側ワイヤー保持部と前記支持体側ワイヤー保持部の少なくとも一方が弾性部材により形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、端子を通じて電流が給電用ワイヤーに印加されると、マグネットとコイルとの間に電磁誘導現象が起こるため、コイルおよびホルダに推力が発生する。よって、ホルダの変位が起こる。
なお、上記構成では、ホルダが光学部材を保持する場合、光学部材が画像を結像する方向(光学部材と物体とを結ぶ直線の方向)を「光軸方向」とする。この「光軸方向」において、撮像対象となる物体側を「物体側」とし、物体側と反対側を「像面側」とする。またホルダは変位前、最も像面側にあるとする。
ホルダが物体側へ変位すると、ホルダ側ワイヤー保持部と支持体側ワイヤー保持部との間の給電用ワイヤーには、ホルダの変位とともにテンションがかかる。このテンションにより、ホルダ側ワイヤー保持部および支持体側ワイヤー保持部のうち、弾性部材により形成されたものの形状は変形する。この変形により、前記テンションは弾性部材に吸収される。よって、給電用ワイヤーのたわみ部分を確保しなくとも、アクチュエータを小型化および薄型化した場合に生じる給電用ワイヤーとアクチュエータの構成部品との干渉や、ホルダ変位時に生じる給電用ワイヤーの断線などの問題を解決することができる。
(ホルダ側ワイヤー保持部の位置)
また、本発明に係るアクチュエータでは、前記ホルダ側ワイヤー保持部を複数備えており、前記複数のホルダ側ワイヤー保持部が、光軸方向に略垂直な同一平面上かつ、光軸に対して対称な位置にそれぞれ形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、給電用ワイヤーの引き出し位置が均等に配置される。それにより、ホルダの変位の際、ホルダにかかる負荷のバランスを取ることができ、ホルダ7の撮像素子に対する傾きなどの問題は発生しない。結果として、アクチュエータの駆動特性の安定化を図ることができる。
(両保持部同士の位置)
また、本発明に係るアクチュエータは、前記ホルダが最も像面側に変位した状態において、前記給電用ワイヤーが前記ホルダ側ワイヤー保持部に保持される位置と、前記給電用ワイヤーが前記支持体側ワイヤー保持部に保持される位置とは、光軸方向に略垂直な同一平面上にあることが好ましい。
上記の構成によれば、ホルダが物体側に変位した際、ホルダ側ワイヤー保持部と支持体側ワイヤー保持部との間の給電用ワイヤーには、直線状のままテンションがかかるため、たわみが発生しない。よって、ホルダの姿勢安定性は向上される。
(球状体によるホルダの支持)
また、本発明に係るアクチュエータは、前記ホルダと前記支持体との間には間隙が存在し、前記間隙には、前記ホルダと前記支持体とに接し、かつ非磁性材料からなる球状体が配されており、前記ホルダは、前記球状体の回転による摩擦により支持されていることが好ましい。
上記の構成によれば、ホルダ側面で接する球状体によって、ホルダの光軸方向への移動が支持されており、従来のように一対の板バネをホルダに固定支持しなくともよい。それゆえ、アクチュエータを小型化および薄型化した場合においても、優れたホルダ7の直進性および姿勢安定性が得られ、かつ耐衝撃性に優れたアクチュエータが実現される。
(弾性部によるホルダ位置制御)
また、本発明に係るアクチュエータは、前記ホルダの物体側の面に接触し、かつ前記ホルダの光軸方向への移動量に比例した弾性力を前記ホルダに与える弾性部をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、電磁誘導によりホルダに発生した推力と、弾性部に発生した弾性力とが釣り合うことにより、ホルダの位置が保持される。そのため、ホルダの位置とコイルに印加される電流値とは比例関係になり、この比例関係は従来のアクチュエータと同様になる。したがって、本アクチュエータでは、球状態を配した構成であっても従来と異なる特別な位置制御(例えば、位置センサーを別途設ける)を行う必要がない。すなわち、本アクチュエータでは、従来のアクチュエータに採用されているホルダの位置制御の方法と、同様の方法によって、ホルダの位置制御ができる。それゆえ、撮像機器の低コスト化および小型化を実現することができる。
(弾性部材の最適のヤング率)
また、本発明に係るアクチュエータは、前記支持部側ワイヤー保持部と前記ホルダ側ワイヤー保持部との間の前記給電用ワイヤーの長さをl、前記ホルダの最大変位時の移動量をY、ホルダ変位時の推力をF、前記弾性部がホルダに与える与圧をR、前記支持部側ワイヤー保持部の断面2次モーメントをI、前記支持部側ワイヤー保持部の支持部設置面から前記給電用ワイヤー固定部までの長さをLとしたとき、前記支持部側ワイヤー保持部、のヤング率Eが式(1)を満たすことが好ましい。
Figure 2009136081
また、本発明に係るアクチュエータは、前記支持体側ワイヤー保持部と前記ホルダ側ワイヤー保持部との間の前記給電用ワイヤーの長さをl、前記ホルダの最大変位時の移動量をY、ホルダ変位時の推力をF、前記弾性部がホルダに与える与圧をR、前記ホルダ側ワイヤー保持部の断面2次モーメントをI、前記ホルダ側ワイヤー保持部のホルダ設置面から前記給電用ワイヤー固定部までの長さをLとしたとき、前記ホルダ側ワイヤー保持部のヤング率Eが式(1)を満たすことが好ましい。
Figure 2009136081
ホルダ側ワイヤー保持部と支持体側ワイヤー保持部の少なくともどちらか一方が、上記条件式を満たす構成とすれば、アクチュエータ駆動時において、給電用ワイヤーにかかるテンションは支持体側ワイヤー保持部によって十分吸収される。それゆえ、給電用ワイヤーの断線防止や、ホルダの位置安定性の向上を実現することができる。
(各保持部の形状によるワイヤーの抜け止め効果)
また、本発明に係るアクチュエータは、支持体側ワイヤー保持部およびホルダ側ワイヤー保持部の少なくとも一方が、前記給電用ワイヤーの抜け止めを果たす形状を有することが好ましい。
上記の構成によれば、支持体側ワイヤー保持部およびホルダ側ワイヤー保持部自身が、給電用ワイヤーの抜け止めの役割を果たす。そのため、各保持部と給電用ワイヤーとを接着剤によって固定しなくてよい。よって、この工程が減ることによる工数の削減、および接着剤が不要になることによるコストの削減ができる。
(可撓性部材を用いる場合の形態)
また、本発明に係るアクチュエータは、ホルダと、前記ホルダ外周に設けられたコイルと、前記コイルの周囲に配されたマグネットおよび磁性体とで構成される磁気回路と、前記ホルダ、前記コイル、前記マグネット、および前記磁性体を支持する支持体と、前記コイルより引き出された給電用ワイヤーと、前記コイルに電流を供給するための端子とを備えたアクチュエータにおいて、さらに前記支持体および前記ホルダに固定された可撓部材を備えており、前記端子が、前記可撓部材における前記ホルダに固定された箇所の上に配置されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、端子を通じて電流が給電用ワイヤーに印加されると、マグネットとコイルとの間に電磁誘導現象が起こるため、コイルおよびホルダに推力が発生する。よって、ホルダが駆動する。
ホルダが駆動すると、可撓性部材は、支持体およびホルダに固定されているため、ホルダの動きに連動して光軸方向にたわむ。また、端子は、可撓部材におけるホルダに固定された箇所の上、たとえば給電用ワイヤーのコイルからの引き出し位置付近に設置されるため、給電用ワイヤーの端子までの引き回し距離は短い。そのため、給電用ワイヤーが他部材に干渉する恐れはない。したがって、給電用ワイヤーには一切の負荷がかからず、断線の問題は発生しない。
よって、給電用ワイヤーのたわみ部分を確保しなくとも、アクチュエータを小型化および薄型化した場合に生じる給電用ワイヤーとアクチュエータの構成部品との干渉や、ホルダ駆動時に生じる給電用ワイヤーの断線などの問題を解決することができる。
(撮像機器への利用)
また、本発明に係るアクチュエータは、前記ホルダによって保持され、撮像対象となる物体を結像する光学部材と、前記光学部材により結像された画像を電気信号に変換する撮像素子とを備えることにより、例えばカメラモジュールなどの撮像機器として機能する。
(カメラ搭載装置全般への利用)
また、上記撮像機器は、電子機器や自動車など、カメラが搭載される装置全般に適用することが可能である。
以上のように、本発明に係るアクチュエータは、少なくとも一方が弾性部材により形成されたホルダ側ワイヤー保持部と支持体側ワイヤー保持部とを備えているため、給電用ワイヤーのたわみ部分を確保しなくとも、給電用ワイヤーとアクチュエータの構成部品との干渉を防ぐ。ホルダの姿勢の安定性向上、かつ給電用ワイヤーの断線防止を実現でき、その結果、本アクチュエータを備えた各種装置(カメラなど)を小型化および薄型化した場合においても、ホルダの姿勢の安定性、アクチュエータの耐衝撃性能を向上させる効果を奏する。
〔実施形態1〕
本発明の第一の実施形態に係るアクチュエータ20について、図1から図4に基づいて説明する。なお、以下の説明では、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の実施形態および図面に限定されるものではない。
(アクチュエータ20全体の構造)
本実施形態におけるアクチュエータ20の要部構成を、図1から図4に示す。図1は、アクチュエータ20を、像面側から見た場合の斜視図である。図2は、アクチュエータ20の要部構成を示す分解斜視図である。図3は、アクチュエータ20を物体側から見た場合の要部構成を示す斜視図である。図4は、アクチュエータ20の要部構成を示す断面図である。
図1から図4に示すように、アクチュエータ20は、上側ガイド1、板バネ(弾性部)2、マグネット3、ヨーク(磁性体)4、コイル5、光学部材6を保持するホルダ7、球状体8、ベース(支持体)9、コイル5に電流を供給するための端子10、ホルダ7に形成されたホルダ側ワイヤー保持部12、ベース9に形成されたベース側ワイヤー保持部11(支持体側ワイヤー保持部)、およびフレキシブル基板16を備えている。なお、光学部材6および撮像素子17はアクチュエータ20の構成要素ではなく、光学部材と撮像素子17とをアクチュエータ20に備えることよって、1つの撮像機器を構成している。
本実施形態では、ベース側ワイヤー保持部11が弾性部材によって形成されている。また、ベース側ワイヤー保持部11およびホルダ側ワイヤー保持部12は、円筒形状になっているが、給電用ワイヤー15を固定可能な形状であれば、これに限らない。端子10の設置については、例えばフレキシブル基板16をベース9の像面側に固定し、そこに端子10を設けるという方法が挙げられる。また、給電用ワイヤー15は、ホルダ側ワイヤー保持部12、ベース側ワイヤー保持部11にそれぞれ固定されているが、この固定方法については、接着剤で固定する方法などが挙げられる。
(光軸方向の定義)
なお、本実施形態では、光学部材6が画像を結像する方向(光学部材6と物体とを結ぶ直線の方向)を「光軸方向」とする。この「光軸方向」において、撮像対象となる物体側を「物体側」とし、物体側と反対側を「像面側」とする。
(ホルダ7を駆動させるための磁気回路)
アクチュエータ20は、例えば携帯電話などの携帯電子機器に搭載されたカメラのオートフォーカスに用いられる。オートフォーカスを行うためには、一般には内部の光学系を移動させることが必要である。そのため、アクチュエータ20は、光学部材6を保持するホルダ7を駆動させるための磁気回路を有する。この磁気回路について図4を用いて説明する。
図4に示すように、アクチュエータ20の磁気回路は、マグネット3、ヨーク4、およびコイル5によって構成されている。ヨーク4は円筒形状になっている。このヨーク4の円筒形状内に収容されるようにホルダ7が配置されている。そしてヨーク4の内壁には、円筒形状のマグネット3が接着剤により固定されている。また、ホルダ7は、コイル5内に収容されるように、コイル5と一体的に固定されている。
コイル5から引き出された給電用ワイヤー15に、端子10を通じて電流が印加されると、マグネット3とコイル5との間に電磁誘導現象が起きる。そして、この電磁誘導現象により、ホルダ7に対して光軸方向の推力が発生し、この推力により、ホルダ7が光軸方向に移動する。また、ホルダ7に発生する推力は、コイル5に印加される電流量に比例する。
(ホルダ7の移動制限)
また、ホルダ7の光軸方向への移動は、上側ガイド1、およびベース9により制限されている。この構造について、図4を用いて説明する。図4に示すように、上側ガイド1、およびベース9は、マグネット3、ヨーク4、およびコイル5を光軸方向に挟んで設けられている。上側ガイド1は物体側に配されており、ベース9は像面側に配されている。なお、上側ガイド1およびベース9には、ホルダ7が光軸方向に移動可能になるように、挿通孔13および14がそれぞれ形成されている。また、ベース9には、物体側にヨーク4が固定され、像面側に撮像素子17が固定されている。対して、上側ガイド1は、ベース9およびヨーク4に固定されている。
上記の構造によって、上側ガイド1と、マグネット3と、ベース9とによる空間が形成されており、この空間内にコイル5が収容されている。それゆえ、ホルダ7が光軸方向に移動するとき、ホルダ7に固定されたコイル5が上側ガイド1の像面側の面に当接することにより、ホルダ7の物体側への移動が制限される。また、コイル5がベース9の物体側の面に当接することにより、ホルダ7の光軸方向像面側への移動が制限される。
本実施形態では、コイル5が上側ガイド1およびベース9に当接することによりホルダ7の光軸方向への移動が制限されているが、ホルダ7の光軸方向への移動を制限する構成は、図4に示す構成に限定されない。例えば、ホルダ7の一部が上側ガイド1およびベース9に当接する構成であってもよい。具体的には、ホルダ7の側面に上側ガイド1およびベース9と当接可能なストッパ部が設けられ、このストッパ部によりホルダ7の光軸方向への移動が制限される構成である。この構成では、コイル5が上側ガイド1およびベース9と直接当接することがなく、コイル5の変形やコイル線の被膜破れが防止される。
(給電用ワイヤー15の引き回し)
次に、アクチュエータ20における、給電用ワイヤー15の引き回しの状態について図1を用いて説明する。図1に示すように、アクチュエータ20では、コイル5から引き出された給電用ワイヤー15が、ホルダ側ワイヤー保持部12を介して、ベース側ワイヤー保持部11に保持された後、電流供給用の端子10に接続されている。なお、給電用ワイヤー15の引き回しの際、ホルダ7の位置は最も像面側とする。また、図1では、給電用ワイヤー15の引き回しの状態を説明するために、撮像素子17の図示は省略している。
給電用ワイヤー15の引き回し後、ホルダ側ワイヤー保持部12とベース側ワイヤー保持部11との間の給電用ワイヤー15にたわみが生じている場合、給電用ワイヤー15がアクチュエータ20を構成する構成部品、例えばベース9や撮像素子17などに接触してしまう。それにより、ホルダ7が撮像素子17に対して傾いてしまうなど、ホルダ7の姿勢安定性を損なってしまう。したがって、給電用ワイヤー15にたわみが生じないよう、ホルダ側ワイヤー保持部12からベース側ワイヤー保持部11へ、給電用ワイヤー15を直線状に引き回すことが好ましい。
上記の構成により、ホルダ側ワイヤー保持部12とベース側ワイヤー保持部11との間の給電用ワイヤー15には、ホルダ7の変位とともに、テンションがかかる。すると、弾性部材で形成されたベース側ワイヤー保持部11が、ホルダ7側へ傾く形状に変形する。それにより、給電用ワイヤー15にかかるテンションは、ベース側ワイヤー保持部11に吸収される。よって、給電用ワイヤー15にたわみ部分が確保できなくとも、給電用ワイヤー15とアクチュエータ20の構成部品との干渉や、給電用ワイヤー15の断線などの問題は生じず、アクチュエータ20は安定した駆動特性および光学特性を得ることができる。
本実施形態ではベース側ワイヤー保持部11が弾性部材であるとして説明を行ったが、ベース側ワイヤー保持部11と、ホルダ側ワイヤー保持部12のどちらか一方が弾性部材により形成されていれば、同様の効果を得られる。また、ホルダ側ワイヤー保持部12が弾性部体である場合は、ベース側ワイヤー保持部11を形成せず、端子10に給電用ワイヤー15を直接接続しても同様の効果が得られる。図5は、弾性部体であるホルダ側ワイヤー保持部12を形成し、かつベース側ワイヤー保持部11を形成していないアクチュエータ20を示す図である。
また、図6(a)を参照して、ホルダ側ワイヤー保持部12が弾性部体である場合における給電用ワイヤー15のテンションの吸収について以下に説明する。図6(a)は、ホルダ7駆動時におけるホルダ側ワイヤー保持部12の変形を示す図である。図6(a)に示すように、ホルダが光軸方向に変位すると、給電用ワイヤー15のテンションにより、ホルダ側ワイヤー保持部12は、ベース9側に傾く形状に変形する。それにより給電用ワイヤー15のテンションは吸収される。
また、ベース側ワイヤー保持部11とホルダ側ワイヤー保持部12とが弾性部体である場合における給電用ワイヤー15テンションの吸収について以下に説明する。図6(b)は、ホルダ7駆動時におけるベース側ワイヤー保持部11およびホルダ側ワイヤー保持部12の変形を示す図である。図6(b)に示すように、ホルダが光軸方向に変位すると、給電用ワイヤー15のテンションにより、ベース側ワイヤー保持部11およびホルダ側ワイヤー保持部12は、互いに向き合うように傾く形状に変形する。それにより給電用ワイヤー15のテンションは吸収される。
したがって、図6(a)および図6(b)の場合においても、給電用ワイヤー15にかかるテンションは吸収され、アクチュエータ20は安定した駆動特性および光学特性を得ることができる。
(ホルダ側ワイヤー保持部12同士の位置関係)
次に、アクチュエータ20における、ホルダ側ワイヤー保持部12の形成位置について図1を用いて説明する。図1に示すように、アクチュエータ20は、2つのホルダ側ワイヤー保持部12が形成されている。図1において、ホルダ7の位置は最も像面側とする。
電磁誘導現象によってホルダ7が図1の状態より物体側へ変位した場合、ベース側ワイヤー保持部11は変形し、ホルダ側ワイヤー保持部12は、ベース側ワイヤー保持部11の復元力によって若干の負荷が生じる。この時、ホルダ7が撮像素子17に対して傾くなど、駆動特性および光学特性を損なう可能性がある。そこで、2つのホルダ側ワイヤー保持部12は、光軸方向に略垂直な同一平面上かつ、光軸(中心軸)に対して対称となる位置に形成されるのが好ましい。それにより、ホルダ7にかかる負荷のバランスを取ることができ、ホルダ7の撮像素子17に対する傾きなどの問題は発生しない。
なお、ホルダ側ワイヤー保持部12の数は2つであることに限定されず、3つ以上であってもよい。
(ホルダ側およびベース側ワイヤー保持部の位置関係)
次に、アクチュエータ20において、ホルダ側ワイヤー保持部12およびベース側ワイヤー保持部11それぞれの、給電用ワイヤー15が保持される部分の位置関係について説明する。
まず、給電用ワイヤー15のベース側ワイヤー保持部11に保持される位置が、ホルダ側ワイヤー保持部12に保持される位置よりも、物体側に形成されていた場合を図7に示す。図7は、各保持部の相対位置について示す図である。図7(a)はホルダ7の変位前を示す図であり、図7(b)はホルダ7の変位後を示す図である。なお、ホルダ7は変位の開始前(すなわち磁気回路への電流供給前)において、ホルダ7が変位可能な範囲における最も像面側に位置する。ホルダ7の変位前、図7(a)に示すように、給電用ワイヤー15にはたわみが生じていないとする。しかし、ホルダ7が物体側へ変位すると、図7(b)に示すように、給電用ワイヤー15には、たわみが発生してしまう。よってこの場合、給電用ワイヤー15がアクチュエータの構成部品(ベース9や撮像素子17など)に干渉してしまい、ホルダ7が撮像素子17に対して傾いてしまうなど、ホルダ7の姿勢の安定性を損なってしまう。
また、給電用ワイヤー15のベース側ワイヤー保持部11に保持される位置が、ホルダ側ワイヤー保持部12に保持される位置よりも像面側に形成される場合、給電用ワイヤー15にたわみが生じるなどの問題は発生しない。しかし、給電用ワイヤー15のベース側ワイヤー保持部11に保持する位置を像面側に近づけることが必要となるため、ベース側ワイヤー保持部11を長くするもしくはベース9の底を厚くするなどの対応が必要となり、アクチュエータの小型化および薄型化を実現できなくなってしまう。
上記の理由により、ホルダ7が最も像面側に位置する状態において、ホルダ側ワイヤー保持部12およびベース側ワイヤー保持部11のそれぞれの、給電用ワイヤー15が保持される部分の位置関係は、光軸方向に略垂直な同一平面状とすることが好ましい。それにより、ホルダ7の変位時、給電用ワイヤー15にたわみが生じることを防ぎ、ホルダ7の姿勢安定性を向上させることができる。
(球状体8によるホルダ7の支持)
また、アクチュエータ20には、図4に示すように、ホルダ7の側面(光軸方向に並んだ面を上面および下面とした場合)に接するように球状体8が配されている。この球状体8は、ホルダ7が光軸方向に移動すると、ホルダ7の側面との摩擦により回転する。そして、光軸方向のへ移動に対しては、この球状体8の回転による摩擦力によりホルダ7が支持される。一方、ホルダ7の光軸方向に垂直な方向の変位は、ホルダ7の側面に接する球状体8により規制される。
従来のアクチュエータでは、ホルダは、一対の板バネに固定支持されており、この一対の板バネによりホルダの光軸方向への移動が支持されている。それゆえ、アクチュエータを小型化および薄型化していくと、磁気回路部分の体積を小さくし、かつ板バネのバネ定数を小さくしなければならない。したがって、従来のアクチュエータを、小型化および薄型化していくと板バネの強度が低下し、それに伴い、ホルダの姿勢安定性が低下したり、アクチュエータの耐衝撃性能が低下したりしてしまうなどの問題が発生する。
一方、アクチュエータ20では、ホルダ7の光軸方向への移動は、その側面において接する球状体8によって支持されている。すなわちホルダ7は、従来のように一対の板バネに固定支持されていない。それゆえ、アクチュエータ20を小型化および薄型化した場合においても、優れたホルダ7の直進性および姿勢安定性が得られ、かつ耐衝撃性に優れたアクチュエータ7を実現できる。
ここで、本アクチュエータ20に備えられる球状体8は、磁気回路部分の体積および磁気回路に印加される電流量などに応じて適宜設定可能である。例えば、この球状体8の数としては、ホルダ7側面において、物体側と像面側との両側にそれぞれ、少なくとも3個配されていればよい。ここで、球状体8が2個配された構成では、ホルダ7が光軸方向に移動する際に、ホルダ7の位置が不安定になるため好ましくない。
また、球状体8とホルダ7側面との接触面積が大きくなると、ホルダ7の側面に生じる摩擦力が大きくなる。つまり、アクチュエータ20では、ホルダ7の光軸方向への移動支持の強さは、球状体8とホルダ7側面との間で発生する摩擦力(接触面積)に比例している。それゆえ、この接触面積を適宜設定することで、アクチュエータ20の磁気回路部分の体積および磁気回路に印加される電流量に対応した構成が実現できる。
また、アクチュエータ20は、光軸方向から見て、各球状体8同士がホルダ7を挟むように離間した構成であることが好ましい。このような構成とすることによって、球状体8とホルダ7側面との接触面が、ホルダ7の光軸に対し対称な位置に配され、光軸方向に垂直な方向において支持が偏ることがなく、より正確な光軸方向への移動支持が可能になる。
また、アクチュエータ20における球状体8は、強磁界中においてもその配置が影響せず、磁気回路による磁束分布に対し影響を与えない材料、すなわち非磁性材料からなることが好ましい。球状体の材料としては、例えば、セラミック、真鍮、ガラス、および非磁性ステンレス鋼などが挙げられる。
(板バネ2によるホルダ7の位置制御)
アクチュエータ20には、図4に示すように、ホルダ7の物体側に板バネ2が配されている。板バネ2は、上側ガイド1によって支持および固定されている。また、ホルダ7の物体側の面に接触し、ホルダ7の光軸方向への移動量に比例した予圧を与える。すなわち板バネ2は、光軸方向に移動するホルダ7に対し、その移動量に比例した弾性力を発生させる。
アクチュエータ20では、電磁誘導によってホルダ7に発生した推力と、板バネ2に発生した弾性力とが釣り合うことによって、ホルダ7の位置が保持される。それゆえ、ホルダ7の位置とコイル5に印加される電流値とは比例関係になり、この比例関係は、従来のアクチュエータと同様になる。したがってアクチュエータ20では、球状体8を配した構成であっても、従来と異なる特別な位置制御(例えば、位置センサーを別途設ける)を行う必要がない。すなわち、アクチュエータ20では、従来のアクチュエータにおいて採用されるホルダの位置制御の方法と、同様の方法によってホルダ7が位置制御される。よって、撮像機器の低コスト化および小型化を実現することができる。
また、アクチュエータ20では、ホルダ7が球状体8によって支持されているので、従来のアクチュエータのように、ホルダ7を板バネ2に固定支持した構成である必要がない。それゆえ、板バネ2は、光軸方向に移動するホルダ7に対し、滑り可能に接触してもよい。具体的には、ホルダ7が物体側へ移動するに従い、ホルダ7と板バネ2との接触部分が変動する。その場合、従来の構成と比較して、本アクチュエータ20を備えた、携帯電子機器用の撮像機器の落下時における、ホルダ7の振動による板バネ2の塑性変形をさらに低減できる。
アクチュエータ20は、ホルダ7の光軸方向への移動に対し、球状体8のみが支持する構成に限定されるものではない。ホルダ7の光軸方向移動は、球状体8と板バネ2との両方によって支持されてもよい。すなわち、ホルダ7が板バネ2に固定支持された構成であってもよい。従来のアクチュエータでは、ホルダを固定支持するために2つの板バネが必要である。これに対しアクチュエータ20には、ホルダ7の光軸方向移動支持に球状体8が用いられているので、ホルダ7を固定支持する板バネ2は、ただ1つだけでよい。それゆえ、板バネ2に対し同じバネ定数を設定したとしても、従来のアクチュエータと比較して、アクチュエータ20では1つ当たりの板バネ2の強度が増す。これにより、本アクチュエータ20を備えた、携帯電子機器用の撮像機器の落下時における、板バネ2の耐性を高めることができる。
(ベース側ワイヤー保持部11のヤング率)
アクチュエータ20では、弾性部材により形成されるベース側ワイヤー保持部11のヤング率Eが、次の式(1)を満たすことが好ましい。
Figure 2009136081
式(1)において、lは、ベース側ワイヤー保持部11とホルダ側ワイヤー保持部間12との間の電流供給用ワイヤー15の長さである。Yは、ホルダ7の最大変位時の移動量である。Fは、ホルダ7の変位時の推力である。Rは、ホルダ7の光軸方向への移動量に比例して、板バネ2がホルダ7に与える与圧である。Iは、ベース側ワイヤー保持部11の断面2次モーメントである。Lは、ベース側ワイヤー保持部11のベース設置面からワイヤー固定部までの長さである。
ホルダ7の最大変位時、すなわちホルダ7が最も物体側へ変位した時の状態を図8に示す。図8は、ホルダ7の最大変位時にベース側ワイヤー保持部11にかかる負荷の状態を示す図である。ホルダ7の最大変位時に、ベース側ワイヤー保持部11にかかる曲げ方向の負荷Pは、次の式(2)に示す値となる。
Figure 2009136081
ここで、ベース側ワイヤー保持部11に負荷Pがかかったときの、ベース側ワイヤー保持部11のたわみ量δは、次の式(3)から求められる。
Figure 2009136081
また、ホルダ7の最大変位時、ベース側ワイヤー保持部11が給電用ワイヤー15にかかるテンションを吸収するために、最低限必要なベース側ワイヤー保持部11のたわみ量xは、次の式(4)に示す値となる。
Figure 2009136081
以上の値から、ベース側ワイヤー保持部11の負荷Pによるたわみ量がx以上、つまり次の式(5)となるようにヤング率Eを決定すれば、給電用ワイヤー15にかかるテンションが十分吸収される。
Figure 2009136081
以上の各式に基づき、ベース側ワイヤー保持部11の弾性部材のヤング率Eは、次の式(1)に示すものにすればよい。
Figure 2009136081
これにより、給電用ワイヤー15にかかるテンションを十分吸収でき、給電用ワイヤー15の断線防止や、ホルダ7の位置安定性の向上を実現する。
(ホルダ側ワイヤー保持部12のヤング率)
ホルダ側ワイヤー保持部12が弾性部材からなる場合においても、ホルダ側ワイヤー保持部12のヤング率Eが上記式(1)を満たすことにより、上記と同様の効果を得ることができる。このとき、Iは、ホルダ側ワイヤー保持部12の断面2次モーメントであり、Lは、ホルダ側ワイヤー保持部12のホルダ設置面からワイヤー固定部までの長さである。
(撮像機器)
本実施形態の撮像機器は、アクチュエータ20および撮像素子17を備えている。撮像素子17は、光学部材6によって結像された画像を電気信号に変換する。それゆえ、本撮像機器は、例えばカメラモジュールなどの撮像機器として機能する。また、本撮像機器は、電子機器や自動車など、カメラが搭載される装置全般に適用できる。
〔実施形態2〕
本発明の第二の実施形態を図9に基づいて説明する。図9は本実施形態に係るアクチュエータ20aの断面図を示す図である。図9に示すように、アクチュエータ20aは、ベース側ワイヤー保持部11aおよびホルダ側ワイヤー保持部12aの形状を除いて、アクチュエータ20と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。図9では、給電用ワイヤー15の引き回しの状態を説明するために、撮像素子17の図示については省略している。
アクチュエータ20aでは、コイル5より引き出された給電用ワイヤー15は、ホルダ7に設けられたホルダ側ワイヤー保持部12aを介し、ベース9の像面側に形成されたベース側ワイヤー保持部11aに保持され、端子10に接続されている。ベース側ワイヤー保持部11aおよびホルダ側ワイヤー保持部12aは、L字形状を有した構造である。
図9に示す構造のベース側ワイヤー保持部11aおよびホルダ側ワイヤー保持部12aは、給電用ワイヤー15の抜け止めの役割を果たすため、各保持部と給電用ワイヤー15を接着剤によって固定しなくてよい。よって、固定する工程が減ることによる工数の削減、および接着剤が不要になることによるコストの削減ができる。
図9では、ベース側ワイヤー保持部11aおよびホルダ側ワイヤー保持部12aにおける、給電用ワイヤー15の抜け止めを有する各保持部の形状として、L字形状を例に挙げている。しかし、両保持部の形状はこれに限定されるものではなく、給電用ワイヤー15の抜け止め効果を有す形状であれば、どのようなものよい。そこで、他の形状例について、図10を用いて説明する。図10は、給電用ワイヤー15の抜け止めを防止できる形状の各保持部の形状例を示す図である。図10に示すように、保持部18はT字形状を有した構造であり、T字の横棒に給電用ワイヤー15が引っかかるため、抜け止めの役割を果たす。また、保持部19は上部が円の形状を有した構造であり、上部の円形部分に給電用ワイヤー15が引っかかるため、抜け止めの役割を果たす。
〔実施形態3〕
本発明の第三の実施形態について図11を参照して以下に説明する。図11は本実施形態に係るアクチュエータ20bを示す図である。本実施形態において、フレキシブル基板16bは、可撓性部材からなる。よって、アクチュエータ20bは、給電用ワイヤー15のテンション吸収のために、弾性部材からなるベース側ワイヤー保持部11またはホルダ側ワイヤー保持部12を用いる代わりに、可撓性部材からなるフレキシブル基板16bを用いることができる。したがって、アクチュエータ20bは、ベース側ワイヤー保持部11およびホルダ側ワイヤー保持部12を設置していない。また、その他の構成は、フレキシブル基板16bの形状を除いてアクチュエータ20と同一であるため、同一構成部には同一参照番号を付している。
図11に示すように、フレキシブル基板16bは、ベース9に固定され、その端部はホルダ7に固定されている。また、コイル5に電流を供給するための端子10は、フレキシブル基板16b上に設置され、コイル5から引き出された給電用ワイヤー15は、端子10に接続(はんだ付け)されている。
上記構成により、ホルダ7の駆動時、ホルダ7に固定されたフレキシブル基板16bは、ホルダ7の動きに連動して光軸方向にたわむ。そのため、給電用ワイヤー15には負荷がかからず、断線の問題は発生しない。
また、フレキシブル基板16bを構成する可撓性部材は、ホルダ7の駆動方向に対しての曲げ剛性が低いのが好ましい。それにより、ホルダ7駆動時において、可撓性部材の復元力がホルダ7の姿勢に与える影響を少なくすることができる。
また、端子10は、ホルダ7上にあるフレキシブル基板16bの端部に設置されるのが好ましい。ここで、端子10をベース9上に設置した場合について図12を用いて説明する。図12は、端子10がベース9上に設置されたアクチュエータ21を示す図である。図12に示すように、コイル5から引き出された給電用ワイヤー15は、端子10に直接接続されている。そのため、ホルダ7の駆動時、給電用ワイヤー15は、ホルダ7の動きに連動して変形する。よって、給電用ワイヤー15の持つ剛性が、ホルダ7の姿勢に影響を及ぼしてしまう。また、給電用ワイヤー15の形態のばらつきが発生した場合にも、ホルダ7の姿勢は影響を受けてしまう。
一方、図11に示すように、端子10がホルダ7上にあるフレキシブル基板16bの端部に設置されると、端子10は、例えば、給電用ワイヤー15のコイル5からの引き出し位置付近に設置される。そのため、給電用ワイヤー15の端子10までの引き回し距離は短く、給電用ワイヤー15が他部材に干渉する恐れはない。また、ホルダ7の駆動時にはフレキシブル基板16bが駆動方向に変形するため、給電用ワイヤー15には一切の負荷がかからず、断線の問題は発生しない。
本発明のアクチュエータおよび撮像機器、電子機器や自動車などのカメラが搭載される装置全般に適用することが可能であり、アクチュエータの小型化、薄型化、耐衝撃性の向上が可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの像面側からの斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの要部構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの要部構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの要部構成を示す断面図である。 弾性部体であるホルダ側ワイヤー保持部を形成し、かつベース側ワイヤー保持部を形成していないアクチュエータを示す図である。 (a)は、ホルダ駆動時におけるホルダ側ワイヤー保持部の変形を示す図であり、(b)は、ホルダ駆動時におけるベース側ワイヤー保持部およびホルダ側ワイヤー保持部の変形を示す図である。 各保持部の相対位置を説明する図である。 ホルダの最大変位時にベース側ワイヤー保持部にかかる負荷の状態を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータを示す斜視図である。 給電用ワイヤーの抜け止めを防止できる形状の各保持部の形状例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータを示す斜視図である。 ベースに設けられたフレキシブル基板上に端子が設置された構成のアクチュエータを示す図である。
符号の説明
1 上側ガイド
2 板バネ
3 マグネット
4 ヨーク
5 コイル
6 光学部材
7 ホルダ
8 球状体
9 ベース(支持体)
10 端子
11 ベース側ワイヤー保持部(支持体側ワイヤー保持部)
12 ホルダ側ワイヤー保持部
13,14 挿通孔
15 給電用ワイヤー
16 フレキシブル基板
17 撮像素子
18 保持部(ベース側ワイヤー保持部またはホルダ側ワイヤー保持部)
19 保持部(ベース側ワイヤー保持部またはホルダ側ワイヤー保持部)
20,20a,20b、21 アクチュエータ

Claims (11)

  1. ホルダと、
    前記ホルダ外周に設けられたコイルと、
    前記コイルの周囲に配されたマグネットおよび磁性体とで構成される磁気回路と、
    前記ホルダ、前記コイル、前記マグネット、および前記磁性体を支持する支持体と、
    前記コイルより引き出された給電用ワイヤーと、
    前記コイルに電流を供給するための端子とを備えたアクチュエータにおいて、
    さらに前記ホルダに形成されたホルダ側ワイヤー保持部と、
    前記支持体に形成された支持体側ワイヤー保持部とを備えており、
    前記給電用ワイヤーが、前記ホルダ側ワイヤー保持部を介して前記支持体側ワイヤー保持部に保持された後、端子に接続され、
    前記ホルダ側ワイヤー保持部と前記支持体側ワイヤー保持部の少なくとも一方が弾性部材により形成されていることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記ホルダ側ワイヤー保持部を複数備えており、
    前記複数のホルダ側ワイヤー保持部が、光軸方向に略垂直な同一平面上かつ、光軸に対して互いに対称な位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記ホルダが最も像面側に変位した状態において、前記給電用ワイヤーが前記ホルダ側ワイヤー保持部に保持される位置と、前記給電用ワイヤーが前記支持体側ワイヤー保持部に保持される位置とは、光軸方向に略垂直な同一平面上にあることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記ホルダと前記支持体との間には間隙が存在し、
    前記間隙には、前記ホルダと前記支持体とに接し、かつ非磁性材料からなる球状体が配されており、
    前記ホルダは、前記球状体の回転による摩擦により支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
  5. 前記ホルダの物体側の面に接触し、かつ前記ホルダの光軸方向への移動量に比例した弾性力を前記ホルダに与える弾性部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
  6. 前記支持体側ワイヤー保持部と前記ホルダ側ワイヤー保持部との間の前記給電用ワイヤーの長さをl、
    前記ホルダの最大変位時の移動量をY、
    ホルダ変位時の推力をF、
    前記弾性部がホルダに与える与圧をR、
    前記支持体側ワイヤー保持部の断面2次モーメントをI、
    前記支持体側ワイヤー保持部の支持体設置面から前記給電用ワイヤー固定部までの長さをLとしたとき、
    前記支持体側ワイヤー保持部のヤング率Eが式(1)を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
    Figure 2009136081
  7. 前記支持体側ワイヤー保持部と前記ホルダ側ワイヤー保持部との間の前記給電用ワイヤーの長さをl、
    前記ホルダの最大変位時の移動量をY、
    ホルダ変位時の推力をF、
    前記弾性部がホルダに与える与圧をR、
    前記ホルダ側ワイヤー保持部の断面2次モーメントをI、
    前記ホルダ側ワイヤー保持部のホルダ設置面から前記給電用ワイヤー固定部までの長さをLとしたとき、
    前記ホルダ側ワイヤー保持部のヤング率Eが式(1)を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
    Figure 2009136081
  8. 前記支持体側ワイヤー保持部と前記ホルダ側ワイヤー保持部の少なくとも一方が、前記給電用ワイヤーの抜け止めを果たす形状を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
  9. ホルダと、
    前記ホルダ外周に設けられたコイルと、
    前記コイルの周囲に配されたマグネットおよび磁性体とで構成される磁気回路と、
    前記ホルダ、前記コイル、前記マグネット、および前記磁性体を支持する支持体と、
    前記コイルより引き出された給電用ワイヤーと、
    前記給電用ワイヤーに接続され、前記コイルに電流を供給するための端子とを備えたアクチュエータにおいて、
    さらに前記支持体および前記ホルダに固定された可撓部材を備えており、
    前記端子が、前記可撓部材における前記ホルダに固定された箇所の上に配置されていることを特徴とするアクチュエータ。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
    前記ホルダによって保持され、撮像対象となる物体を結像する光学部材と、
    前記光学部材により結像された画像を電気信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像機器。
  11. 請求項10に記載の撮像機器を備えることを特徴とする電子機器。
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