以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図2に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。さらに、X方向及びY方向をXY平面内で45°回転させた方向を「対角方向」と称する。
カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現するレンズ駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、及び全体を覆うカバー3等を備える。
カバー3は、光軸方向受光側から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口3aを有する。この開口3aからレンズ部2が外部に臨む。カバー3は、レンズ駆動装置1のベース21に、例えば、接着により固定される。
撮像部は、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像部(図示略)は、例えば、イメージセンサー基板(図示略)及びイメージセンサー基板に実装される撮像素子(図示略)を有する。撮像素子は、例えばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子は、レンズ部(図示略)により結像された被写体像を撮像する。
レンズ駆動装置1の駆動制御を行う制御部は、イメージセンサー基板に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
図3A、図3Bは、レンズ駆動装置1の外観斜視図である。図3Bは、図3AをZ軸を中心に時計回りに90°回転させた図である。図4、図5は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。図4は上方斜視図であり、図5は下方斜視図である。図6A、図6Bは、カメラモジュールAの断面図である。図6Aは、光軸を通るYZ面における断面図であり、図6Bは、光軸を通るXZ面における断面図である。
図3A、図3B、図4、図5、図6A及び図6Bに示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、及びOIS用支持部30等を備える。
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成する駆動用マグネット122A、122B(OIS用マグネット)を有し、振れ補正時にXY平面内に揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用コイル221A、221B及び222を有し、OIS用支持部30を介してOIS可動部10を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のOIS用駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。OIS可動部10は、AF可動部11及びAF固定部12(図7、図8参照)を有するAF用駆動装置を含む。
OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間して配置され、OIS用支持部30によってOIS固定部20と連結される。本実施の形態では、OIS用支持部30は、Z方向に沿って延在する4本のサスペンションワイヤーで構成されている(以下「サスペンションワイヤー30」と称する)。
サスペンションワイヤー30の一端(上端)は、OIS可動部10(本実施の形態では、AF用支持部13(図7、図8参照))に固定されている。また、サスペンションワイヤー30の他端(下端)は、OIS固定部20(本実施の形態では、ベース21に固定されている。OIS可動部10は、サスペンションワイヤー30によって、XY平面内で揺動可能に支持される。本実施の形態では、4本のサスペンションワイヤー30のうちの少なくとも2本は、AFコイル112A、112Bへの給電経路として使用される。なお、上述したOIS可動部10及びOIS固定部20におけるサスペンションワイヤー30の固定部位は一例であって、これに限定されない。
図7、図8は、OIS可動部10の分解斜視図である。図7は上方斜視図であり、図8は下方斜視図である。
図7、図8に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、及びAF用支持部13、14等を備える。
AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイル112A、112Bを有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、駆動用マグネット123(AF用マグネット)を有し、AF用支持部13、14を介してAF可動部11を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
AF可動部11は、AF固定部12に対して離間して配置され、AF用支持部13、14によってAF固定部12と連結される。本実施の形態では、AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向に離間している。AF用支持部13は、AF固定部12に対してAF可動部11を光軸方向受光側(上側)で支持する上側弾性支持部材である。本実施の形態では、AF用支持部13は、2つの板バネ13A、13Bで構成されている(以下、「上バネ13A、13B」と称する)。AF用支持部14は、AF固定部12に対してAF可動部11を光軸方向結像側(下側)で支持する下側弾性支持部材である。本実施の形態では、AF用支持部14は、1つの板バネで構成されている(以下、「下バネ14」と称する)。
AF可動部11は、レンズホルダー111、AF用コイル112A、112B、及びZ位置検出用マグネット113を有する。
レンズホルダー111は、中央に筒状のレンズ収容部111aを有する。レンズ収容部111aには、レンズ部2(図2参照)が接着又は螺合により固定される。本実施の形態では、レンズホルダー111は、光軸方向から見た平面視で八角形状の外形を有している。
レンズホルダー111は、上面に、上バネ13A、13Bが固定される上バネ固定部111bを有する。本実施の形態では、レンズホルダー111の上面の四隅、すなわち、光軸を通る対角方向と交差する位置に、上バネ固定部111bが設けられている。本実施の形態では、上バネ固定部111bは、光軸方向受光側に突出する位置決めボス(符号略)を有し、この位置決めボスによって、上バネ13A、13Bが位置決めされるようになっている。
レンズホルダー111は、下面に、下バネ14が固定される下バネ固定部111cを有する。本実施の形態では、レンズホルダー111の下面の四隅に、下バネ固定部111cが設けられている。本実施の形態では、下バネ固定部111cは、光軸方向結像側に突出する位置決めボス(符号略)を有し、この位置決めボスによって、下バネ14が位置決めされるようになっている。
レンズホルダー111は、AF用コイル112A、112Bが取り付けられるコイル取付部111d、111dを有する。本実施の形態では、レンズホルダー111は、Y方向に沿う2つの側壁の外面に、径方向に突出する長円形状(角丸長方形状)のコイル取付部111dを有している。
レンズホルダー111は、上面において、コイル取付部111dの近傍に、AF用コイル112の端部が接続される絡げ部111eを有する。また、レンズホルダー111は、四隅の外側面に、マグネットホルダー121の規制片121iが嵌合される係合溝111fを有する。
レンズホルダー111は、Z位置検出用マグネット113を収容するマグネット収容部111gを有する。本実施の形態では、レンズホルダー111のX方向に沿う一方の側壁の外面において、長手方向(X方向)の略中央に、径方向(Y方向)に膨出するように、マグネット収容部111gが設けられている。マグネット収容部111gは、下方に開口したマグネット収容孔(符号略)を有している。
AF用コイル112A、112Bは、ピント合わせ時に通電される空芯コイルである。本実施の形態では、AF用コイル112A、112Bは、コイル取付部111dに沿って、扁平形に巻線されている。すなわち、AF用コイル112A、112Bは、長円形状を有し、それぞれ、第1の直線部112U及び第2の直線部112Lを有している。
AF用コイル112A、112Bは、コイル面が光軸と平行になるように、ここではYZ面がコイル面となるように配置されている。すなわち、AF用コイル112A、112Bは、第1の直線部112Uが光軸方向受光側(上側)、第2の直線部112Lが光軸方向結像側(下側)となるように配置されている。
AF用コイル112A、112Bの端部は、レンズホルダー11の絡げ部11eに巻き付けられ、上バネ13A、13Bと電気的に接続される。AF用コイル112A、112Bの通電電流は、駆動制御部200(図11参照)によって制御される。
AF用コイル112A、112Bのように、扁平形コイルを採用することにより、AF用マグネット122A、122Bによって形成される磁気回路の部分のみにAF用コイル112A、112Bが配置されることとなる。したがって、レンズホルダー111の全周に巻線してAF用コイルを形成する場合に比較して駆動効率が向上するので、軽量化及び省電力化を図ることができる。
AF用コイル112A、112Bは、好ましくはアルミニウム線材の周囲を銅で被覆した銅クラッドアルミ線で形成される。これにより、AF用コイル112A、112Bを銅線で形成する場合に比較して、軽量化を図ることができる。
Z位置検出用マグネット113(第1の位置検出用マグネット)は、AF可動部11の光軸方向の位置を検出するための磁界を発生する。本実施の形態では、Z位置検出用マグネット113は、単極形のマグネットで構成され、着磁方向が光軸方向と一致するように、レンズホルダー111のマグネット収容部111gに配置されている。これにより、Z位置検出用マグネット113により形成される磁界は、AF用ホール素子24(第1のホール素子)(図6A参照)を、効率よく交差する。したがって、AF用ホール素子24による検出精度が向上する。
また、本実施の形態では、Z位置検出用マグネット113は、円柱形状を有している。この場合、AF用ホール素子24の出力は、Z位置検出用マグネット113の基準位置(振れ補正が行われていないときのXY平面における位置)に対する変位(基準位置を原点とする半径に相当)に依存する。すなわち、OIS可動部10のXY平面における位置(以下、「XY位置」と称する)が異なっていてもAF用ホール素子24の出力は同じになる。したがって、OIS可動部10のXY位置を半径換算して変位で表すことにより、振れ補正による影響を相殺するための補正値を容易に算出することができる。このように、振れ補正によりOIS可動部10がXY平面内で揺動してAF用ホール素子24と交差する磁界が変化しても、容易に補正することができる。
また、本実施の形態では、Z位置検出用マグネット113は、駆動用マグネット122A、122B及び123と干渉しない位置に配置されている。具体的には、駆動用マグネット122A、122B及び123は、矩形を規定する4辺のうちのY方向に沿う2辺及びX方向に沿う一方の辺に沿って配置されており、Z位置検出用マグネット113は、駆動用マグネット122A、122B及び123が配置されていないX方向に沿う他方の辺(特定の辺)上に配置されている。特に、本実施の形態では、Z位置検出用マグネット113は、特定の辺における長手方向の略中央に配置されている。これにより、位置検出用マグネット113により形成される磁界に対する駆動用マグネット122A、122B及び123の影響を最小限に抑えることができるので、AF用ホール素子24による検出精度が向上する。
AF固定部12は、マグネットホルダー121、駆動用マグネット122A、122B、123、及びカウンターウエイト124を有する。
マグネットホルダー121は、AF可動部11に対して径方向に離間して配置され、駆動用マグネット122A、122B及び123を保持する。本実施の形態では、マグネットホルダー121は、平面視で略正方形状の外形を有する四角筒体で構成されている。マグネットホルダー121の内周面は、レンズホルダー111の外形に合わせて、略八角形状に形成されている。また、マグネットホルダー121において、レンズホルダー111のマグネット収容部111gに対応する部分は、径方向外側に凹んで形成されている。
マグネットホルダー121は、AF用及びOIS用の駆動用マグネット122A、122B及び123を保持するマグネット保持部121a~121cを有する。本実施の形態では、マグネットホルダー121のY方向に沿う2つの側壁の内面に、駆動用マグネット122A、122Bを保持するマグネット保持部121a、121bが設けられている。また、マグネットホルダー121のX方向に沿う一方の側壁の内面に、駆動用マグネット123を保持するマグネット保持部121cが設けられている。本実施の形態では、マグネット保持部121a~121cに、外部に連通する開口部(符号略)が設けられており、マグネット保持部121a~121cと駆動用マグネット122A、122B及び123との接触面に接着剤を注入できるようになっている。また、マグネット保持部121cのヨーク125に対応する部分には、切欠きが形成されている。
また、マグネットホルダー121は、カウンターウエイト124を保持するカウンターウエイト保持部122dを有する。本実施の形態では、X方向に沿う他方の側壁に、カウンターウエイト保持部121dが設けられている。また、本実施の形態では、カウンターウエイト保持部121dに、外部に連通する開口部(符号略)が設けられており、カウンターウエイト保持部121dとカウンターウエイト124との接触面に接着剤を注入できるようになっている。
マグネットホルダー121は、上面に、上バネ13A、13Bが固定される上バネ固定部121eを有する。本実施の形態では、X方向に沿うマグネットホルダー121の上面が、上バネ固定部121eとなっている。
マグネットホルダー121は、下面に、下バネ14が固定される下バネ固定部121fを有する。本実施の形態では、マグネットホルダー121の下面の四隅に、下バネ固定部121fが設けられている。本実施の形態では、下バネ固定部121fは、光軸方向受光側に突出する位置決めボス(符号略)を有し、この位置決めボスによって、下バネ14が位置決めされるようになっている。
本実施の形態では、マグネットホルダー121は、四隅に、ワイヤー挿通部121gを有している。ワイヤー挿通部121gは、サスペンションワイヤー30が挿通される挿通孔121hを有する。挿通孔121hの直径は、OIS可動部10のXY平面内における揺動範囲を考慮して設定される。また、ワイヤー挿通部121gの下部は、径方向内側に円弧状に凹んで形成されている。これにより、OIS可動部10が揺動する際に、サスペンションワイヤー30とマグネットホルダー121が干渉するのを回避することができる。
また、ワイヤー挿通部121gは、上バネ固定部121eよりも光軸方向結像側に凹んで形成されている。サスペンションワイヤー30は、ワイヤー挿通孔121hに挿通され、例えば、半田付けにより上バネ13A、13Bと接続される。上バネ13A、13Bは、ワイヤー挿通部121gの上方に、ワイヤー挿通部121gから浮いた状態で延在する(図3参照)。
マグネットホルダー121は、AF可動部11の移動を規制する規制片121iを有する。本実施の形態では、マグネットホルダー121の四隅の内面に、径方向に突出する規制片121iが設けられている。レンズホルダー111は、マグネットホルダー121の規制片121iが係合溝111fに嵌合するように取り付けられる。AFコイル112A、112Bに通電が行われていない基準状態では、規制片121iの上面(光軸方向受光側の面)と、係合溝111fの底面(光軸方向受光側の面)とが離間する。AF可動部11が光軸方向結像側に移動するときに、レンズホルダー111の係合溝111fの底面にマグネットホルダー121の規制片121iの上面が当接することにより、AF可動部11の光軸方向結像側への移動が規制される。
駆動用マグネット122A、122Bは、AF用のボイスコイルモーターを構成するマグネット(AF用マグネット)と、X方向におけるOIS用のボイスコイルモーターを構成するマグネット(OIS用マグネット)を兼用する。駆動用マグネット122A、122Bは、マグネットホルダー121のマグネット保持部121a、121bに取り付けられ、例えば、接着により固定される。すなわち、駆動用マグネット122A、122Bは、AFコイル112A、112Bに対して径方向に離間し、OISコイル221A、221B)に対して光軸方向に離間して配置される(図6B参照)。
駆動用マグネット122A、122Bは、AF用コイル112A、112Bを径方向に横切るとともに、OIS用コイル221A、221Bを光軸方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。本実施の形態では、駆動用マグネット122A、122Bは、直方体形状を有し、短手方向(X方向)に着磁された両面4極形のマグネット(例えば、永久磁石)で構成されている(図6B参照)。具体的には、駆動用マグネット122A、122Bは、それぞれ、第1のマグネット122U及び第2のマグネット122Lを有している。第1のマグネット122U及び第2のマグネット122Lは、互いに逆向きに着磁されている。
駆動用マグネット122A、122Bにおいて、第1のマグネット122Uが光軸方向受光側に位置し、第2のマグネット122Lが光軸方向結像側に位置する。すなわち、駆動用マグネット122A、122Bは、第1のマグネット122UがAF用コイル112A、112Bの第1の直線部112Uに対向し、第2のマグネット122LがAF用コイル112A、112Bの第2の直線部112Lに対向するように配置されている。
主として、第1のマグネット122Uによる磁界が第1の直線部112Uを横切り、第2のマグネット122Lによる磁界が第2の直線部112Lを横切る。第1のマグネット122Uによる磁界の向きと第2のマグネット122Lによる磁界の向きは逆向きなので、AF用コイル112A、112Bに通電が行われたとき、第1の直線部112Uと第2の直線部112Lには、Z方向に同じ向きのローレンツ力が発生する。このように、本実施の形態では、駆動用マグネット122A、122B及びAF用コイル112A、112Bによって、AF用ボイスコイルモーターが構成されている。
なお、通電時に、AF用コイル112A、112Bに生じるローレンツ力が同じ方向となるように、駆動用マグネット122A、122Bにおける着磁方向及びAF用コイル112A、112Bにおける通電方向が設定される。
本実施の形態では、駆動用マグネット122A、122Bにおいて、第1のマグネット122Uと第2のマグネット122Lの間には、非磁性層122Iが介在している。非磁性層122Iの高さを調整することにより、駆動用マグネット122A、122Bの全体の高さを保持しつつ、第1のマグネット122Uと第2のマグネット122Lの占める領域(AF用コイル112A、112Bの第1の直線部112U及び第2の直線部112Lに対向する対向面の面積)を容易に調整することができる。
駆動用マグネット123は、Y方向におけるOIS用のボイスコイルモーターを構成するマグネット(OIS用マグネット)である。駆動用マグネット123は、マグネットホルダー121のマグネット保持部121cに取り付けられ、例えば、接着により固定される。すなわち、駆動用マグネット123は、OISコイル222に対して光軸方向に離間して配置される(図6A参照)。
駆動用マグネット123は、OIS用コイル222を光軸方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。本実施の形態では、駆動用マグネット123は、直方体形状を有し、短手方向(Y方向)に着磁された単極形のマグネット(例えば、永久磁石)で構成されている(図6A参照)。また、駆動用マグネット123の外側面には、ヨーク125が配置されており、駆動用マグネット123の磁界が効率よくOIS用コイル222を横切るようになっている。ヨーク125を配置することにより、OIS用コイル222を横切る磁界を確保しつつ、駆動用マグネット123の薄型化(軽量化)を図ることができる。
カウンターウエイト124は、OIS可動部10のXY平面内における水平姿勢を安定させるための錘である。カウンターウエイト124は、例えば、真鍮や洋白等の非磁性材料で形成される。本実施の形態では、X方向においてZ位置検出用マグネット113を挟むように、2つのカウンターウエイト124が配置されている。カウンターウエイト124は、マグネットホルダー121のカウンターウエイト保持部121dに挿入され、例えば、接着により固定される。カウンターウエイト124の重量は、駆動用マグネット123やZ位置検出用マグネット113などの重量を考慮して、OIS可動部10がY方向において釣り合うように設定される。なお、カウンターウエイト124の位置や、数は、適宜変更することができる。
上バネ13A、13Bは、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して、AF可動部11(レンズホルダー111)を弾性的に支持する。上バネ13A、13Bは、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等で形成される。上バネ13A、13Bは、例えば、一枚の板金を打ち抜いて成形される。本実施の形態では、上バネ13A、13Bは、全体として、正方形状を有している。
上バネ13A、13Bは、それぞれ、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部13a、マグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部13b、及びAF可動部11の移動に伴い弾性変形するアーム部13cを有する。上バネ13A、13Bは、レンズホルダー111及びマグネットホルダー121に対して位置決めされ、例えば、接着により固定される。
本実施の形態では、レンズホルダー固定部13aは、レンズホルダー111の上バネ固定部111bに対応する形状を有している。レンズホルダー固定部13aは、上バネ13A、13Bのそれぞれにおいて、2つのレンズホルダー固定部13aは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aの周縁に沿って連結されている。レンズホルダー固定部13aは、AF可動部11が光軸方向に移動するときに、AF可動部11とともに変位する。
本実施の形態では、マグネットホルダー固定部13bは、マグネットホルダー121の上バネ固定部121eに対応する形状を有し、X方向に沿って延在している。アーム部13cは、レンズホルダー固定部13aとマグネットホルダー固定部13bを連結している。アーム部13cは、湾曲部(符号略)を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形しやすいようになっている。
また、上バネ13A、13Bは、マグネットホルダー固定部13bの両端に、サスペンションワイヤー30が接続されるワイヤー接続部13dを有する。本実施の形態では、ワイヤー接続部13dは、マグネットホルダー固定部13bからX方向に沿って延在するとともに、角部から内側に屈曲しており、その先端にワイヤー挿通孔(符号略)を有している。ワイヤー挿通孔にサスペンションワイヤー30が挿通され、例えば、半田付けにより物理的かつ電気的に接続される。
また、ワイヤー接続部13dは、マグネットホルダー121のワイヤー挿通部121gの上方に位置しており、ワイヤー接続部13dとマグネットホルダー121のワイヤー挿通部121gの間には隙間が形成されている(図3参照)。この隙間には、サスペンションワイヤー30を取り囲むようにダンパー材(図示略)が配置される。上バネ13A、13Bとマグネットホルダー121との間にダンパー材(図示略)を介在させることにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、動作の安定性を確保することができる。ダンパー材は、例えば、ディスペンサーを使用して容易に塗布することができる。ダンパー材としては、例えば、紫外線硬化性のシリコーンゲルを適用できる。
下バネ14は、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して、AF可動部11(レンズホルダー111)を弾性的に支持する。下バネ14は、上バネ13A、13Bと同様に、例えば、ベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等で形成される。下バネ14は、例えば、一枚の板金を打ち抜いて成形される。本実施の形態では、下バネ14は、全体として、正方形状を有している。
下バネ14は、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部14a、マグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部14b、及びAF可動部11の移動に伴い弾性変形するアーム部14cを有する。下バネ14は、レンズホルダー111及びマグネットホルダー121に対して位置決めされ、例えば、接着により固定される。
本実施の形態では、レンズホルダー固定部14aは、レンズホルダー111の下バネ固定部111cに対応する形状を有している。4つのレンズホルダー固定部14aは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aの周縁に沿って連結されている。レンズホルダー固定部14aは、AF可動部11が光軸方向に移動するときに、AF可動部11とともに変位する。
本実施の形態では、マグネットホルダー固定部14bは、マグネットホルダー121の下バネ固定部121fに対応する形状を有している。マグネットホルダー固定部14bの角部は、サスペンションワイヤー30と干渉しないように、内側に向けて円弧状に切り欠かれている。アーム部14cは、レンズホルダー固定部13aとマグネットホルダー固定部13bを連結している。アーム部13cは、湾曲部(符号略)を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形しやすいようになっている。
OIS可動部10を組み立てる場合、レンズホルダー111には、AF用コイル112A、112B、Z位置検出用マグネット113が取り付けられる。一方、マグネットホルダー121には、駆動用マグネット122A、122B、123及びカウンターウエイト124が取り付けられる。この状態で、レンズホルダー111が光軸方向受光側からマグネットホルダー121に取り付けられる。すなわち、レンズホルダー111は、AF用コイル112A、112Bが駆動用マグネット122A、122Bと対向するように、マグネットホルダー121の内側に配置される。
そして、レンズホルダー111及びマグネットホルダー121の上面に上バネ13A、13Bが取り付けられ、下面に下バネ14が取り付けられる。また、上バネ13A、13Bの一部は、レンズホルダー111の絡げ部111eに絡げられたAF用コイル112A、112Bの一端部にはんだ付けされ、物理的かつ電気的に接続される。AF用コイル112A、112Bには、サスペンションワイヤー30及び上バネ13A、13Bを介して通電が行われる。
図9、図10は、OIS固定部20の分解斜視図である。図9は上方斜視図であり、図10は下方斜視図である。図9、10に示すように、OIS固定部20は、ベース21、コイル基板22、OIS用ホール素子23A、23B(第2のホール素子)、及びAF用ホール素子24等を備える。
ベース21は、中央に円形の開口21aを有する。カメラモジュールAにおいて、ベース21の光軸方向結像側に、撮像素子(図示略)が実装されたイメージセンサー基板(図示略)が配置される。
本実施の形態では、ベース21は、平面視で略正方形状を有している。また、ベース21は、四隅に、サスペンションワイヤー30の他端が固定されるワイヤー固定部21bを有している。ワイヤー固定部21bの四隅は光軸方向受光側に突出しており、マグネットホルダー121のワイヤー挿通部121gの下部に対応する形状を有している。サスペンションワイヤー30の他端(下端)は、例えば、半田付けにより、ワイヤー固定部21bの内部に埋め込まれた端子金具21cと電気的に接続されている。
ベース21は、例えば、インサート成形により一体的に成形された端子金具21cを有する。本実施の形態では、端子金具21cは、Y方向に沿う2辺に設けられており、それぞれ光軸方向結像側に屈曲して形成されている。端子金具21cの一端は、イメージセンサー基板(図示略)と電気的に接続されている。端子金具21cの他端は、コイル基板22の配線パターン(図示略)又はサスペンションワイヤー30と電気的に接続されている。
また、ベース21は、開口21aの周縁部において、OIS用ホール素子23A、23B及びAF用ホール素子24をそれぞれ収容するホール素子収容部21dを有している。
コイル基板22は、中央に円形の開口22aを有する。コイル基板22において、開口22aの周縁には、OIS用コイル221A、221B及び222が配置される。本実施の形態では、コイル基板22は、ベース21と同様に平面視で正方形状を有している。また、コイル基板22は、四隅に、ベース21のワイヤー固定部21bに対応する形状に形成された切欠部22bを有している。ベース21のワイヤー固定部21bとコイル基板22の切欠部22bによって、ベース21とコイル基板22の位置合わせが行われる。
OIS用コイル221A、221B、222は、それぞれ、光軸方向において、駆動用マグネット122A、122B、123と対向する位置に配置される。OIS用コイル221A、221Bは、OIS可動部10をX方向に移動させるためのコイルであり、OIS用コイル222は、OIS可動部10をY方向に移動させるためのコイルである。OIS用コイル221A、221B、222の端部は、例えば、半田付けにより、コイル基板22の配線パターン(図示略)と接続される。
OIS用コイル221A、221B、222のそれぞれの長辺部分を、駆動用マグネット122A、122B、123の底面から放射される磁界が光軸方向に横切るように、OISコイル221A、221B、222及び駆動用マグネット122A、122B、123の大きさや配置が設定される。OIS用コイル221A、221B、222の通電電流は、駆動制御部200(図11参照)によって制御される。このように、本実施の形態では、駆動用マグネット122A、122B、123とOIS用コイル221A、221B、222とで、OIS用ボイスコイルモーターが構成されている。
また、コイル基板22は、OIS用コイル221A、221B、222に給電するための電源ライン(図示略)、OIS用ホール素子23A、23B及びAF用ホール素子24から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)を含む配線パターンを有する。配線パターンは、例えば、半田付けにより、ベース21の端子金具21cと電気的に接続される。コイル基板22の裏面には、OIS用ホール素子23A、23B及びAF用ホール素子24が配置される。OIS用ホール素子23A、23B及びAF用ホール素子24は、ホール効果を利用して磁界を検出する。
OIS用ホール素子23A、23Bは、それぞれ、光軸方向において、駆動用マグネット122A、123と対向する位置に配置される(図6A、図6B参照)。本実施の形態では、OIS用ホール素子23A、23Bは、コイル基板22の下面の隣接する2辺において、それぞれの略中央に配置されている。駆動用マグネット122A、123によって形成される磁界を、OIS用ホール素子23A、23Bで検出することにより、XY平面におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、駆動用マグネット122A、123とは別に、XY位置検出用のマグネット(第2の位置検出用マグネット)をOIS可動部10に配置するようにしてもよい。つまり、本実施の形態では、駆動用マグネット122A、123が、XY位置検出用のマグネットを兼用している。
AF用ホール素子24は、光軸方向において、Z位置検出用マグネット113と対向する位置に配置される(図6A参照)。Z位置検出用マグネット113によって形成される磁界を、AF用ホール素子24で検出することにより、光軸方向におけるAF可動部11の位置を特定することができる。
本実施の形態では、単極形のZ位置検出用マグネット113が、着磁方向と光軸方向が一致するように配置されており、Z位置検出用マグネット113とAF用ホール素子24が光軸方向において対向しているので、光軸方向の位置と磁界の強度の関係は高い相関を示す。したがって、光軸方向におけるAF可動部11の位置を精度よく算出することができる。
このように、本実施の形態では、OIS用ホール素子23A、23Bと同様に、AF用ホール素子24もOIS固定部20に配置されている。したがって、AF用ホール素子をOIS可動部に配置している従来技術(特許文献1参照)に比較して、AF可動部11の位置検出を行うための構成を簡素化することができる。例えば、特許文献1では、OIS用支持部を6本のサスペンションワイヤーで構成し、AF用コイルへの給電ラインだけでなく、AF用ホール素子への給電ライン及びAF用ホール素子の信号ラインとして利用しているが、本実施の形態では、このような構成が不要となるので、設計の自由度が高まる。また、構造が簡素化されるので、AF用駆動部を薄くすることができ、レンズ駆動装置1の低背化を図ることができる。
また、サスペンションワイヤーのように衝撃に弱い部材を低減することができるので、レンズ駆動装置1の信頼性を向上することができる。さらに、OIS用ホール素子23A、23BとAF用ホール素子24を一工程でコイル基板22に実装することができるので、製造に係る工数を低減することができる。
また、レンズ駆動装置1において、矩形を規定する四辺のうちの一辺には駆動用マグネット122A、122B、123が配置されていないので、レンズ駆動装置1は、デュアルカメラの用途として有用である。駆動用マグネット122A、122B、123が配置されていない辺に、他方のレンズ駆動装置を隣接させることにより、マグネット同士の干渉を抑制することができる。
図11は、レンズ駆動装置1におけるAF機能及びOIS機能を示すブロック図である。図11では、AF用コイル112A、112B及びOIS用コイル221A、221B、222を総称して、「駆動部D」として示している。
図11に示すように、レンズ駆動装置1のAF機能及びOIS機能は、駆動制御部200によって実現される。駆動制御部200は、例えば、イメージセンサー基板(図示略)に実装される。駆動制御部200は、信号処理部201及び補正部202等を備える。信号処理部201及び補正部202は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路によって構成される。
なお、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器に駆動制御部200が設けられる場合、駆動制御部200は、例えば、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピューターで構成され、CPUがプログラムを実行することにより信号処理部201及び補正部202として機能するようにしてもよい。
レンズ駆動装置1において振れ補正を行う場合には、信号処理部201によりOIS用コイル221A、221B、222への通電制御が行われる。具体的には、信号処理部201は、カメラモジュールAの振れが相殺されるように、振れ検出部(図示略、例えばジャイロセンサー)からの検出信号(ジャイロ信号)に基づいて、OIS用コイル221A、221B、222の通電電流を制御する。このとき、OIS用ホール素子23A、23Bの検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の揺動を正確に制御することができる。
OIS用コイル221A、221B、222に通電が行われると、駆動用マグネット122A、122B、123による磁界とOIS用コイル221A、221B、222に流れる電流との相互作用により、OIS用コイル221A、221B、222にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、OIS用221A、221B、222の長辺部分における磁界の方向(Z方向)と電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。OIS用コイル221A、221B、222は固定されているので、駆動用マグネット122A、122B、123に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、駆動用マグネット122A、122B、123を有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。
レンズ駆動装置1においてオートフォーカスを行う場合には、信号処理部201によりAF用コイル112A、112Bへの通電制御が行われる。具体的には、信号処理部201は、AF用ホール素子24による検出結果に基づいて、AF用コイル112A、112Bへの通電電流を制御する。このとき、本実施の形態では、補正部202が、AF用ホール素子24の検出結果を、OIS用ホール素子23A、23Bの検出結果に基づいて補正する。以下に、図12を参照して、レンズ駆動装置1におけるAF制御処理について具体的に説明する。
図12は、レンズ駆動装置1におけるAF制御処理の一例を示すフローチャートである。図12に示すフローチャートは、例えば、スマートフォンMにおいて撮影準備操作(例えば、シャッターボタンの半押し操作)が行われることに伴い、駆動制御部200によって実行される。
図12のステップS101において、駆動制御部200は、撮像素子(図示略)で取得した被写体像に基づいて、オートフォーカスするためのAFストロークを算出する(信号処理部201としての機能)。AFストロークの算出には、例えば、像面位相差オートフォーカス方式を適用できる。
ステップS102において、駆動制御部200は、AF処理として、ステップS101で算出されたAFストロークだけAF可動部11が移動するように、AF用コイル112A、112Bへの通電制御を行う(信号処理部201としての機能)。
AF用コイル112A、112Bに通電が行われると、駆動用マグネット122A、122Bによる磁界とAF用コイル112A、112Bに流れる電流との相互作用により、AF用コイル112A、112Bにローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(X方向又はY方向)とAF用コイル112A、122Bに流れる電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。駆動用マグネット122A、122Bは固定されているので、AF用コイル112A、112Bに反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル112A、112Bを有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。
ステップS103において、駆動制御部200は、AF用ホール素子24及びOIS用ホール素子23A、23Bの検出結果に基づいて、AF可動部11の光軸方向における位置を算出する(信号処理部201及び補正部202としての処理)。具体的には、駆動制御部200は、OIS用ホール素子23A、23Bの出力に基づいて、OIS可動部10のXY位置を算出する。そして、駆動制御部200は、AF用ホール素子24の出力(図13A参照)を、OIS可動部10のXY位置に基づいて補正する(図13B、図13C参照)。これにより、AF可動部11の光軸方向における位置を正確に算出することができる。このとき、本実施の形態のように、Z位置検出用マグネット113が円柱形状を有している場合、OIS可動部10のXY位置を半径換算して基準位置からの変位で表すことにより、補正処理を単純化することができる。
図13Aは、AF可動部11の光軸方向における位置とAF用ホール素子24の出力(以下、「ホール出力」と称する)との関係を示している。AF可動部11の光軸方向における位置は、AF可動部11が最も光軸方向結像側に位置するときの-100μmから最も光軸方向受光側に位置するときの+200μmの範囲内の値を取り得る。図13Aでは、OIS可動部10が基準位置である場合のホール出力をL11、OIS可動部10の基準位置に対する変位が120μmである場合のホール出力をL21、OIS可動部10の基準位置に対する変位が170μmである場合のホール出力をL31で示している。
図13Aに示すように、AF可動部11(Z位置検出用マグネット113)がAF用ホール素子24から遠ざかるに従って、ホール出力は小さくなる。また、OIS可動部10の変位が大きくなるに従って、基準となるホール出力L11との誤差は大きくなる。
図13Bは、AF可動部11の位置とホール出力に基づいて算出されるAF可動部11の位置(以下、「第1の検出位置」と称する)との関係を示している。なお、ホール出力には、図13Aに示す関係が直線性を有するように補正した後の値を用いている。図13Bでは、OIS可動部10が基準位置である場合の第1の検出位置をL12、OIS可動部10の基準位置に対する変位が120μmである場合の第1の検出位置をL22、OIS可動部10の基準位置に対する変位が170μmである場合の第1の検出位置をL32で示している。
図13Bに示すように、OIS可動部10の変位が大きくなるに従って、基準となる第1の検出位置L21との誤差は大きくなる。なお、ホール出力が直線性を有するように補正を行うことにより、変位が同じである場合の誤差は、AF可動部11の位置に関わらず一定となっている。つまり、OIS可動部10の変位が同じである場合、誤差を補正するための補正値として同じ値を用いることができる。
図13Cは、AF可動部11の位置とホール出力及びOIS可動部10の変位に基づいて算出されるAF可動部11の位置(以下、「第2の検出位置」と称する)との関係を示している。図13Cでは、OIS可動部10が基準位置である場合の第2の検出位置をL13、OIS可動部10の基準位置に対する変位が120μmである場合の第2の検出位置をL32、OIS可動部10の基準位置に対する変位が170μmである場合の第2の検出位置をL33で示している。
図13Cに示すように、図13Bから得られる補正値を用いて補正することにより、OIS可動部10が変位していても、AF可動部11の光軸方向における位置を精度よく算出することができる。このようにして、AF可動部11の光軸方向における位置が算出される(図12のステップS103)。
図12のステップS104において、駆動制御部200は、算出されたAF可動部11の光軸方向における位置と、AFストロークだけ移動したときの位置を比較して、AF処理が完了したか否かを判定する。AF処理が完了した場合(ステップS104で“YES”)、ステップS105の処理に移行する。AF処理が完了していない場合(ステップS104で“NO”)、ステップS103の処理に移行する。
すなわち、AF処理において、AF用ホール素子24及びOIS用ホール素子23A、23Bの検出信号に基づくクローズドループ制御が行われる。クローズドループ制御方式によれば、ボイスコイルモーターのヒステリシス特性を考慮する必要がなく、またAF可動部11の位置が安定したことを直接的に検出できる。したがって、応答性能が高く、AF動作の高速化を図ることができる。
ステップS105において、駆動制御部200は、スマートフォンMにおいて撮影操作(例えば、シャッターボタンの全押し操作)が行われたか否かを判定する。撮影操作が行われると(ステップS105で“YES”)、撮像素子(図示略)によって被写体像が取得され、AF制御処理は終了となる。なお、撮影操作が行われる前にピントがずれると、再度ステップS101~S104の処理が行われる。以上のようにして、AF制御処理が行われる。
なお、本実施の形態では、AF処理を行わない無通電時には、AF可動部11は、上バネ13A、13B及び下バネ14によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)となっている。すなわち、OIS可動部10において、AF可動部11(レンズホルダー111)は、上バネ13A、13B及び下バネ14によって、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に弾性支持されている。
AF処理では、AF可動部11を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさ及び/又は通電時間が制御される。
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部2の周囲に配置されるAF用コイル112A、112Bと、AF用コイル112A、112Bに対して径方向に離間して配置される駆動用マグネット122A、122B(オートフォーカス用マグネット)と、を有し、駆動用マグネット122A、122Bを含むAF固定部12に対して、AF用コイル112A、112Bを含むAF可動部11を光軸方向に移動させるAF用駆動部と、AF用駆動部に配置される駆動用マグネット122A、122B、123(振れ補正用マグネット)と、駆動用マグネット122A、122B、123に対して光軸方向に離間して配置されるOIS用コイル221A、221B、222(振れ補正用コイル)と、を有し、OIS用コイル221A、221B、222を含むOIS固定部20(振れ補正固定部)に対して、AF用駆動部及び駆動用マグネット122A、122B、123を含むOIS可動部10(振れ補正可動部)を光軸方向に直交する平面内で揺動させる振れ補正用駆動部と、を備える。
AF可動部11は、Z位置検出用マグネット113(第1の位置検出用マグネット)を有し、OIS固定部20は、光軸方向においてZ位置検出用マグネット113に対向して設けられるAF用ホール素子24を有する。
レンズ駆動装置1によれば、AF用ホール素子24の給電ライン及び信号ラインとして、サスペンションワイヤー30等を利用しなくてもよいので、AF可動部11の光軸方向の位置を検出するための構成を簡素化できるとともに、AF用駆動部の信頼性を向上することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、例えば自動車を含む。
図14A、図14Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図14Aは自動車Vの正面図であり、図14Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図14に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
また、本発明は、AF用コイルが、レンズホルダーの外周面に沿って、コイル面が光軸方向と直交するように配置され、AF用コイルの周囲に駆動用マグネットが配置されているレンズ駆動装置に適用することができる。すなわち、本発明におけるAF用ボイスコルモーター及びOIS用ボイスコイルモーターの構成は、実施の形態で示したものに限定されない。
また、OIS用支持部として、実施の形態で示したサスペンションワイヤー30に代えて、例えば、エラストマー等からなる弾性支持部材を適用することもできる。この場合、AF用コイルへの給電は、フレキシブルプリント回路基板やリッツ線を用いて行うようにしてもよい。
本発明は、OIS機能を有さず、AF機能のみを有するレンズ駆動装置にも適用できる可能性がある。この場合、レンズ駆動装置は、AF可動部にコイルが配置されるムービングコイル方式であってもよいし、AF可動部にマグネットが配置されるムービングマグネット方式であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。