JP2009136033A - 電動モータ - Google Patents
電動モータ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009136033A JP2009136033A JP2007307640A JP2007307640A JP2009136033A JP 2009136033 A JP2009136033 A JP 2009136033A JP 2007307640 A JP2007307640 A JP 2007307640A JP 2007307640 A JP2007307640 A JP 2007307640A JP 2009136033 A JP2009136033 A JP 2009136033A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- teeth
- permanent magnet
- electric motor
- slots
- deformed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
Abstract
【課題】回転軸の逆転防止機能を満足しつつ、振動や騒音を低減させることができる4極以上の電動モータを提供する。
【解決手段】nを2以上の自然数、セグメント型永久磁石7の磁極数をP、スロット13の数をSとしたとき、P=2×n、かつS=3×nを満たすように磁極数P、およびスロット数Sが設定されている電動モータ2であって、複数のスロット13のうちの1つをセグメント型永久磁石7に対向配置したとき、このセグメント型永久磁石7と同一磁極のセグメント型永久磁石7に対向する各スロット13をそれぞれ異形スロット13x,13y,13zとし、異形スロット13x,13y,13zは、このスロット開口幅Ex,Ey,Ezがその他のスロット13のスロット開口幅Eよりも大きく設定されている。
【選択図】図2
【解決手段】nを2以上の自然数、セグメント型永久磁石7の磁極数をP、スロット13の数をSとしたとき、P=2×n、かつS=3×nを満たすように磁極数P、およびスロット数Sが設定されている電動モータ2であって、複数のスロット13のうちの1つをセグメント型永久磁石7に対向配置したとき、このセグメント型永久磁石7と同一磁極のセグメント型永久磁石7に対向する各スロット13をそれぞれ異形スロット13x,13y,13zとし、異形スロット13x,13y,13zは、このスロット開口幅Ex,Ey,Ezがその他のスロット13のスロット開口幅Eよりも大きく設定されている。
【選択図】図2
Description
この発明は、車両等に搭載される電動モータに関するものである。
従来から、車両等に搭載されるブラシ付きの電動モータが知られている。この種の電動モータは、内周面に複数個の磁石を取り付けた有底筒状のヨークの内側にアーマチュアコイルが巻装されたアーマチュアが回転自在に配置された構成となっている。アーマチュアは回転軸に外嵌固定されたアーマチュアコアを有している。アーマチュアコアには、巻線を巻装するためのティースが放射状に形成され、これらティース間に軸線方向に長いスロットが形成されている。
各ティースには巻線が巻装され、集中巻構造のアーマチュアコイルが形成されている。
アーマチュアコイルは、回転軸に取り付けられたコンミテータの複数のセグメントに導通している。各セグメントはブラシと摺接可能になっており、このブラシからセグメントに電圧を印加することによってアーマチュアコイルに電流が給電されるようになっている。このとき、アーマチュアコイルに磁界が形成され、ヨークの磁石との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によって回転軸が駆動する。
アーマチュアコイルは、回転軸に取り付けられたコンミテータの複数のセグメントに導通している。各セグメントはブラシと摺接可能になっており、このブラシからセグメントに電圧を印加することによってアーマチュアコイルに電流が給電されるようになっている。このとき、アーマチュアコイルに磁界が形成され、ヨークの磁石との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によって回転軸が駆動する。
ここで、電動モータにあっては、ヨークに配設された永久磁石の磁力によって無通電状態のときにアーマチュアにコギングトルクが発生し、このコギングトルクの発生位置が無通電状態のアーマチュアの停止角度位置となる。すなわち、それぞれ永久磁石と永久磁石との間には空隙が形成されているので、永久磁石の周方向両端を境にして永久磁石側と空隙側との磁束の変化が大きくなり、ここを通過する各ティースの磁気的な吸引力や反発力が大きく変化してコギングトルクが発生する。このため、コギングトルクの発生位置、つまり、アーマチュアの停止角度位置は永久磁石の配設位置、磁極数、およびスロット数により決定する。すなわち、アーマチュアの停止角度位置のパターンは磁極数とスロット数との最小公倍数分存在することになる。
例えば、特許文献1に開示されているものでは、磁極数が2、スロット数が3の電動モータのアーマチュアの停止角度位置のパターン数を磁極数とスロット数との最小公倍数よりも減少させるべく、アーマチュアのティースを全体的に擬似的に2極構成となるように形成し、アーマチュアの停止角度位置のパターンを2パターンとしている。そして、アーマチュアの停止角度位置でブラシからの給電を確実に遮断させ、電動モータの焼損や停止後の不意な起動を防止しようとしている。
特開平10−248227号公報
ところで、自動車のパワーウインドウ装置に用いられる電動モータは、この回転軸にウォーム減速機構を連結して用いる場合が多い。ウォーム減速機構は、ウォーム軸と、これに噛合いするウォームホイールとを有しており、ウォーム軸を回転軸に連結する一方、ウォームホイールに出力軸を連結し、この出力軸が正/逆転することによってウインドウガラスが開閉するようになっている。ここでは、電動モータに発生するコギングトルクがウインドウガラスを所望の位置で停止させるための回転軸逆転防止手段として機能する。
しかしながら、回転軸の逆転を確実に防止するためにコギングトルクを増加させると、電動モータ駆動時にあってはトルクリップルが増加し、かつアーマチュア1回転あたりコギングトルクが磁極数とスロット数との最小公倍数分変動することになる。このため、電動モータ駆動時の振動や騒音を増加させてしまうという課題がある。
また、パワーウインドウ装置に用いられる電動モータは、例えば、磁極数が4極以上の多極モータである場合が多いので、これに伴ってスロット数も増加する。このため、上述の特許文献1のようにアーマチュアのティースを全体的に擬似的に2極構成とするのが困難であるという課題がある。
また、パワーウインドウ装置に用いられる電動モータは、例えば、磁極数が4極以上の多極モータである場合が多いので、これに伴ってスロット数も増加する。このため、上述の特許文献1のようにアーマチュアのティースを全体的に擬似的に2極構成とするのが困難であるという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、回転軸の逆転防止機能を満足しつつ、振動や騒音を低減させることができる4極以上の電動モータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、複数の永久磁石と、径方向に沿って延び、周方向に等間隔に配設された複数のティースと、前記ティース間に形成され軸線方向に沿って延びる複数のスロットとを備え、nを2以上の自然数、前記永久磁石の磁極数をP、前記スロットの数をSとしたとき、P=2×n、かつS=3×nを満たすように磁極数P、およびスロット数Sが設定されている電動モータであって、前記ティースは、巻線を巻装するための巻胴部と、前記巻胴部の先端に設けられ前記巻胴部に対して左右対称となるように周方向に沿って延びる周壁部とで構成され、前記複数のスロットのうちの1つを前記永久磁石に対向配置したとき、この永久磁石と同一磁極の永久磁石に対向する各スロットをそれぞれ異形スロットとし、前記異形スロットは、このスロット開口幅がその他のスロットのスロット開口幅よりも大きく設定されていることを特徴とする。
この場合、請求項2に記載した発明のように、前記異形スロットを挟んで両側に配置された前記ティースの前記周壁部を切除することによって、前記異形スロットのスロット開口幅の大きさを設定してもよい。
このように構成することで、スロット開口幅の大きい異形スロットが永久磁石を通過する際、異形スロット形成する2つのティースのうち、一方のティースに永久磁石による磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方のティースに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形ティースが永久磁石を通過する際のコギングトルクを増大させることができる。
また、異形スロットがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形スロットによるコギングトルクの発生タイミングが同一とすることができる。
さらに、各異形スロットをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形スロットの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。
この場合、請求項2に記載した発明のように、前記異形スロットを挟んで両側に配置された前記ティースの前記周壁部を切除することによって、前記異形スロットのスロット開口幅の大きさを設定してもよい。
このように構成することで、スロット開口幅の大きい異形スロットが永久磁石を通過する際、異形スロット形成する2つのティースのうち、一方のティースに永久磁石による磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方のティースに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形ティースが永久磁石を通過する際のコギングトルクを増大させることができる。
また、異形スロットがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形スロットによるコギングトルクの発生タイミングが同一とすることができる。
さらに、各異形スロットをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形スロットの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。
請求項3に記載した発明は、複数の永久磁石と、径方向に沿って延び、周方向に等間隔に配設された複数のティースと、前記ティース間に形成され軸線方向に沿って延びる複数のスロットとを備え、nを2以上の自然数、前記永久磁石の磁極数をP、前記スロットの数をSとしたとき、P=2×n、かつS=3×nを満たすように磁極数P、およびスロット数Sが設定されている電動モータであって、前記ティースは、巻線を巻装するための巻胴部と、前記巻胴部の先端に設けられ前記巻胴部に対して左右対称となるように周方向に沿って延びる周壁部とで構成され、複数のティースのうちの1つの前記周壁部を前記永久磁石に対向配置させたとき、同一磁極となる永久磁石に前記周壁部が対向している各ティースをそれぞれ異形ティースとし、前記異形ティースは、この周壁部と前記永久磁石との間のエアギャップがその他のティースの周壁部と前記永久磁石との間のエアギャップよりも大きく設定されていることを特徴とする。
この場合、請求項4に記載した発明のように、前記異形ティースの周壁部の肉厚は、前記その他のティースの周壁部よりも薄肉に設定されていてもよい。
このように構成することで、異形ティースが永久磁石を通過する際、異形ティースを挟んで存在する2つのティースのうち、一方のティースに永久磁石による磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方のティースに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形スロットが永久磁石を通過する際のコギングトルクを増大させることができる。
また、異形ティースがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形ティースによるコギングトルクの発生タイミングが同一とすることができる。
さらに、各異形ティースをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形ティースの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。
この場合、請求項4に記載した発明のように、前記異形ティースの周壁部の肉厚は、前記その他のティースの周壁部よりも薄肉に設定されていてもよい。
このように構成することで、異形ティースが永久磁石を通過する際、異形ティースを挟んで存在する2つのティースのうち、一方のティースに永久磁石による磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方のティースに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形スロットが永久磁石を通過する際のコギングトルクを増大させることができる。
また、異形ティースがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形ティースによるコギングトルクの発生タイミングが同一とすることができる。
さらに、各異形ティースをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形ティースの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。
請求項5に記載した発明は、前記異形ティースに巻装される巻線の巻回数は、前記その他のティースに巻装される巻線の巻回数よりも多く設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、異形ティースと永久磁石との間のエアギャップを大きく設定した場合において、異形ティースに巻装される巻線の巻回数をその他のティースに巻装される巻線の巻回数よりも多くすることができる。
このように構成することで、異形ティースと永久磁石との間のエアギャップを大きく設定した場合において、異形ティースに巻装される巻線の巻回数をその他のティースに巻装される巻線の巻回数よりも多くすることができる。
請求項6に記載した発明は、前記異形ティースの巻胴部は、この周方向の幅が前記その他のティースの巻胴部よりも細く設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、異形ティースの巻胴部を薄肉形状とすることで異形ティースに巻装される巻線の巻回数をより多くすることができる。
このように構成することで、異形ティースの巻胴部を薄肉形状とすることで異形ティースに巻装される巻線の巻回数をより多くすることができる。
請求項7に記載した発明は、前記永久磁石を筒部を有するヨークの内周面に配設すると共に、前記ヨークの内側に回転軸を回転自在に支持し、前記回転軸にアーマチュアコアを外嵌固定し、これに前記ティースを形成した電動モータであって、前記永久磁石は、前記アーマチュアコアとの対向面側に平坦に形成された平坦面を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、永久磁石のアーマチュアコアとの対向面側に平坦に形成された平坦面を設けることによって、永久磁石と各ティースとの間のエアギャップを永久磁石の中央から周方向両端側に向かうに従って徐々に大きくすることができる。このため、異形ティース以外のその他のティースが永久磁石の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくし、コギングトルクを減少させることができる。
このように構成することで、永久磁石のアーマチュアコアとの対向面側に平坦に形成された平坦面を設けることによって、永久磁石と各ティースとの間のエアギャップを永久磁石の中央から周方向両端側に向かうに従って徐々に大きくすることができる。このため、異形ティース以外のその他のティースが永久磁石の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくし、コギングトルクを減少させることができる。
請求項1、および請求項2に記載した発明によれば、スロット開口幅の大きい異形スロットが永久磁石を通過する際、異形スロット形成する2つのティースのうち、一方のティースに永久磁石による磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方のティースに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形スロットが永久磁石を通過する際のコギングトルクを増大させることができ、確実に回転軸の逆転防止機能を満足させることができる。
また、異形スロットがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形スロットによるコギングトルクの発生タイミングを同一とすることができる。このため、コギングトルクの発生回数、つまり、アーマチュア1回転あたりのコギングトルクの変動回数を磁極数とスロット数との最小公倍数よりも減少させることができ、電動モータ駆動時の振動や騒音を低減させることが可能になる。
これに加え、各異形スロットによるコギングトルクを同時に発生させることで、異形スロット毎のコギングトルクの大きさを低減することができる。すなわち、それぞれの異形スロットで発生するコギングトルクの総力で回転軸の逆転防止機能を達成できればよいので、異形スロット毎のコギングトルクの大きさを小さく設定することが可能になる。
さらに、各異形スロットをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形スロットの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。このため、加工精度や組立て精度による機械的アンバランスを解消することが可能になる。
また、異形スロットがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形スロットによるコギングトルクの発生タイミングを同一とすることができる。このため、コギングトルクの発生回数、つまり、アーマチュア1回転あたりのコギングトルクの変動回数を磁極数とスロット数との最小公倍数よりも減少させることができ、電動モータ駆動時の振動や騒音を低減させることが可能になる。
これに加え、各異形スロットによるコギングトルクを同時に発生させることで、異形スロット毎のコギングトルクの大きさを低減することができる。すなわち、それぞれの異形スロットで発生するコギングトルクの総力で回転軸の逆転防止機能を達成できればよいので、異形スロット毎のコギングトルクの大きさを小さく設定することが可能になる。
さらに、各異形スロットをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形スロットの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。このため、加工精度や組立て精度による機械的アンバランスを解消することが可能になる。
請求項3、および請求項4に記載した発明によれば、異形ティースが永久磁石を通過する際、異形ティースを挟んで存在する2つのティースのうち、一方のティースに永久磁石による磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方のティースに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形ティースが永久磁石を通過する際のコギングトルクを増大させることができ、確実に回転軸の逆転防止機能を満足させることができる。
また、異形ティースがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形ティースによるコギングトルクの発生タイミングを同一とすることができる。このため、コギングトルクの発生回数、つまり、アーマチュア1回転あたりのコギングトルクの変動回数を磁極数とスロット数との最小公倍数よりも減少させることができ、電動モータ駆動時の振動や騒音を低減させることが可能になる。
これに加え、各異形ティースによるコギングトルクを同時に発生させることで、異形ティース毎のコギングトルクの大きさを低減することができる。すなわち、それぞれの異形ティースで発生するコギングトルクの総力で回転軸の逆転防止機能を達成できればよいので、異形ティース毎のコギングトルクの大きさを小さく設定することが可能になる。
さらに、各異形ティースをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形ティースの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。このため、加工精度や組立て精度による機械的アンバランスを解消することが可能になる。
また、異形ティースがそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けられているので、各異形ティースによるコギングトルクの発生タイミングを同一とすることができる。このため、コギングトルクの発生回数、つまり、アーマチュア1回転あたりのコギングトルクの変動回数を磁極数とスロット数との最小公倍数よりも減少させることができ、電動モータ駆動時の振動や騒音を低減させることが可能になる。
これに加え、各異形ティースによるコギングトルクを同時に発生させることで、異形ティース毎のコギングトルクの大きさを低減することができる。すなわち、それぞれの異形ティースで発生するコギングトルクの総力で回転軸の逆転防止機能を達成できればよいので、異形ティース毎のコギングトルクの大きさを小さく設定することが可能になる。
さらに、各異形ティースをそれぞれ同一磁極となる永久磁石に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができると共に、例えば、ティースを積層鋼板で形成する場合にあっては、各々の鋼板を異形ティースの間隔に対応させながら回転させて積層することができる。このため、加工精度や組立て精度による機械的アンバランスを解消することが可能になる。
請求項5に記載した発明によれば、異形ティースと永久磁石との間のエアギャップを大きく設定した場合において、異形ティースに巻装される巻線の巻回数をその他のティースに巻装される巻線の巻回数よりも多くすることができる。このため、異形ティースによる磁束を確保することが可能になり、各ティースの鎖交磁束量差を削減、または解消することができる。よって、異形ティースと永久磁石との間のエアギャップを大きく設定してもモータ特性の低下を防止することが可能になる。
請求項6に記載した発明によれば、異形ティースの巻胴部を薄肉形状とすることで異形ティースに巻装される巻線の巻回数をより多くすることができるため、容易に各ティースの鎖交磁束量差を削減、または解消することができる。
請求項7に記載した発明によれば、永久磁石のアーマチュアコアとの対向面側に平坦に形成された平坦面を設けることによって、永久磁石と各ティースとの間のエアギャップを永久磁石の中央から周方向両端側に向かうに従って徐々に大きくすることができる。このため、異形ティース以外のその他のティースが永久磁石の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくし、コギングトルクを減少させることができる。よって、異形スロットや異形ティースによるコギングトルクの大きさを回転軸の逆転防止機能を満足し得る最小限の大きさに設定しつつ、その他のスロットやその他のティースによるコギングトルクを低減させることができるので、より振動や騒音を低減させることが可能になる。
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動モータ2が適用された車両のパワーウインドウ装置1の構成を示す断面図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、パワーウインドウ装置1は、電動モータ2と電動モータ2の回転軸3に連結されたウォームギヤ減速機4とを備えたものであって、車両のドア(不図示)に内装されている。
電動モータ2は、有底筒状のヨーク5内にアーマチュア6を回転自在に配置した構成となっている。
図1は、本発明に係る電動モータ2が適用された車両のパワーウインドウ装置1の構成を示す断面図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、パワーウインドウ装置1は、電動モータ2と電動モータ2の回転軸3に連結されたウォームギヤ減速機4とを備えたものであって、車両のドア(不図示)に内装されている。
電動モータ2は、有底筒状のヨーク5内にアーマチュア6を回転自在に配置した構成となっている。
ヨーク5の筒部53は略円筒状に形成されており、この内周面に複数(この第一実施形態では、6つ)のセグメント型永久磁石7が周方向に等間隔で磁極が順番となるように配設されている。
セグメント型永久磁石7は、ヨーク5との当接側に筒部53に対応する弧状面7aを有している一方、内周側、つまり、アーマチュア6との対向側に平坦に形成された平坦面7bを有している。各セグメント型永久磁石7間には、それぞれ空隙Kが形成されている。
セグメント型永久磁石7は、ヨーク5との当接側に筒部53に対応する弧状面7aを有している一方、内周側、つまり、アーマチュア6との対向側に平坦に形成された平坦面7bを有している。各セグメント型永久磁石7間には、それぞれ空隙Kが形成されている。
ヨーク5の底壁(エンド部)51には、中央に軸線方向外側に向かって突出するボス19が形成され、ここに回転軸3の一端を軸支するための軸受け18が圧入固定されている。筒部53の開口部53aには、外フランジ部52が設けられている。外フランジ部52にはボルト孔(不図示)が形成されており、ここにボルト24が螺入されることによってヨーク5がウォームギヤ減速機4に締結固定されている。
また、外フランジ部52の軸線方向中央寄りには、筒部53側に向かって膨出する段差部56が形成されている。この段差部56は、筒部53の開口縁を取り囲むように形成されている。
また、外フランジ部52の軸線方向中央寄りには、筒部53側に向かって膨出する段差部56が形成されている。この段差部56は、筒部53の開口縁を取り囲むように形成されている。
アーマチュア6は、回転軸3に外嵌固定されたアーマチュアコア8と、アーマチュアコア8に巻装されたアーマチュアコイル9と、回転軸3の他端側に配置されたコンミテータ10とを備えている。アーマチュアコア8は、プレス加工等によって打ち抜かれたリング状の金属板11を軸線方向に複数枚積層したものである。
金属板11の外周部にはT字型の複数(この第一実施形態では、9つ)のティース12が周方向に沿って等間隔で放射状に形成されている。各ティース12は、径方向に延出する巻胴部31と、巻胴部31の先端に設けられ巻胴部31に対して左右対称となるように延在する周壁部32とで構成されている。
金属板11の外周部にはT字型の複数(この第一実施形態では、9つ)のティース12が周方向に沿って等間隔で放射状に形成されている。各ティース12は、径方向に延出する巻胴部31と、巻胴部31の先端に設けられ巻胴部31に対して左右対称となるように延在する周壁部32とで構成されている。
すなわち、ティース12の先端に設けられた周壁部32がアーマチュアコア8の外周面を構成しており、セグメント型永久磁石7の平坦面7bと対向した状態になっている。
ここで、ティース12の周壁部32は軸線方向平面視で弧状に形成されているのに対し、これに対向するセグメント型永久磁石7の平坦面7bは平坦に形成されている。このため、セグメント型永久磁石7の中央から周方向両端に向かうに従って徐々にセグメント型永久磁石7とアーマチュアコア8との間のエアギャップGが大きくなっている。したがって、各ティース12の周壁部32がセグメント型永久磁石7の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくすることができ、コギングトルクを減少させることが可能になる。
ここで、ティース12の周壁部32は軸線方向平面視で弧状に形成されているのに対し、これに対向するセグメント型永久磁石7の平坦面7bは平坦に形成されている。このため、セグメント型永久磁石7の中央から周方向両端に向かうに従って徐々にセグメント型永久磁石7とアーマチュアコア8との間のエアギャップGが大きくなっている。したがって、各ティース12の周壁部32がセグメント型永久磁石7の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくすることができ、コギングトルクを減少させることが可能になる。
複数枚の金属板11を回転軸3に外嵌固定することにより、アーマチュアコア8の外周には、隣接するティース12間に蟻溝状のスロット13が複数(この第一実施形態では、9つ)形成されている。スロット13は軸線方向に沿って延びており、周方向に沿って等間隔に複数形成されている。
これらスロット13間にエナメル被覆の巻線14を挿通し、ティース12の巻胴部31に絶縁材であるインシュレータ39を介して巻線14が巻装される。これにより、アーマチュアコア8の外周に、複数のアーマチュアコイル9が形成される。
これらスロット13間にエナメル被覆の巻線14を挿通し、ティース12の巻胴部31に絶縁材であるインシュレータ39を介して巻線14が巻装される。これにより、アーマチュアコア8の外周に、複数のアーマチュアコイル9が形成される。
ここで、この第一実施形態においては、セグメント型永久磁石7が6つ(6極)設けられているのに対し、スロット13が9つ形成されている。すなわち、nを2以上の自然数、セグメント型永久磁石7の磁極数をP、スロット13のスロット数をSとしたとき、
磁極数P、およびスロット数Sは、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように設定されている。つまり、この第一実施形態では、n=3に設定されている。
磁極数P、およびスロット数Sは、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように設定されている。つまり、この第一実施形態では、n=3に設定されている。
このような6極9スロットの電動モータ2において、9つのスロット13のうちの1つをセグメント型永久磁石7に対向配置させると、同一磁極の3つのセグメント型永久磁石7全てにスロット13が対向配置された状態になる(図2におけるX,Y,Z部参照)。すなわち、図2において、周方向に120度間隔で配設されている3つのN極のセグメント型永久磁石7全てに3つのスロット13x,13y,13zがそれぞれ対向配置されている。
これら3つのスロット13x,13y,13zは異形スロット形状を有しており、これらのスロット開口幅Ex,Ey,Ezは、その他のノーマル型のスロット13のスロット開口幅Eよりも大きく設定されている。つまり、3つの異形スロット(スロット)13x,13y,13zを挟んで両側に配置されている各ティース12x,12x,12y,12y,12x,12zは、異形スロット13x,13y,13z側に向かって突出している周壁部32の先端が切除された異形ティース形状になっている。
図1に示すように、回転軸3の他端側に外嵌固定されているコンミテータ10は、この外周面に導電材で形成されたセグメント15が複数枚(この第一実施形態では、9枚)取り付けられている。セグメント15は軸線方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。
各セグメント15のアーマチュアコア8側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ16が一体成形されている。ライザ16には、アーマチュアコイル9の巻き始め端部と巻き終わり端部となる巻線14が掛け回わされ、巻線14はヒュージングによりライザ16に固定されている。これにより、セグメント15とこれに対応するアーマチュアコイル9とが導通される。
各セグメント15のアーマチュアコア8側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ16が一体成形されている。ライザ16には、アーマチュアコイル9の巻き始め端部と巻き終わり端部となる巻線14が掛け回わされ、巻線14はヒュージングによりライザ16に固定されている。これにより、セグメント15とこれに対応するアーマチュアコイル9とが導通される。
このように構成されたコンミテータ10は、ウォームギヤ減速機4のギヤハウジング23に形成されたブラシ収納部22に臨んだ状態で配設されている。
ブラシ収納部22は、ギヤハウジング23の電動モータ2側に凹状に形成されたものである。このブラシ収納部22には、一対のブラシホルダ20が内装されボルト17によって締結固定されている。
ブラシホルダ20には、それぞれ不図示のブラシがスプリング21を介して付勢された状態で出没自在に内装されている。これらブラシの先端部はスプリング21によって付勢され、コンミテータ10に摺接した状態になっている。
ブラシ収納部22は、ギヤハウジング23の電動モータ2側に凹状に形成されたものである。このブラシ収納部22には、一対のブラシホルダ20が内装されボルト17によって締結固定されている。
ブラシホルダ20には、それぞれ不図示のブラシがスプリング21を介して付勢された状態で出没自在に内装されている。これらブラシの先端部はスプリング21によって付勢され、コンミテータ10に摺接した状態になっている。
ギヤハウジング23のブラシ収納部22よりも径方向外側には、ヨーク5の不図示のボルト孔に対応する部位に雌ネジ部(不図示)が刻設されている。
また、ギヤハウジング23には、コネクタ29が回転軸3の直交方向に沿うように外方(図1における上側)に向かって一体成形されている。このコネクタ29は、外部からの電源を電動モータ2に供給するためのものである。コネクタ29には不図示の接続端子が内装されており、この接続端子が電動モータ2の不図示のブラシに電気的に接続されている。これによって、外部からの電源がブラシを介してコンミテータ10に供給される。
さらに、ギヤハウジング23の外周部には、パワーウインドウ装置1を固定するときに使用されるボルト孔33が3箇所設けられている。
また、ギヤハウジング23には、コネクタ29が回転軸3の直交方向に沿うように外方(図1における上側)に向かって一体成形されている。このコネクタ29は、外部からの電源を電動モータ2に供給するためのものである。コネクタ29には不図示の接続端子が内装されており、この接続端子が電動モータ2の不図示のブラシに電気的に接続されている。これによって、外部からの電源がブラシを介してコンミテータ10に供給される。
さらに、ギヤハウジング23の外周部には、パワーウインドウ装置1を固定するときに使用されるボルト孔33が3箇所設けられている。
これらの他に、ギヤハウジング23は、ブラシ収納部22に連なるウォーム軸収容部27と、ウォーム軸収容部27に連なるウォームホイール収容部28とを有している。
ウォーム軸収容部27には、電動モータ2の回転軸3の他端に連結されたウォーム軸25が収容されている。
ウォーム軸25の両端側は、ウォーム軸収容部27に設けられた軸受け40,41によって回転自在に支持されている。ウォーム軸25と電動モータ2の回転軸3とは互いに軸線方向に移動自在、かつ相対回転不能に連結されている。
ウォーム軸収容部27には、電動モータ2の回転軸3の他端に連結されたウォーム軸25が収容されている。
ウォーム軸25の両端側は、ウォーム軸収容部27に設けられた軸受け40,41によって回転自在に支持されている。ウォーム軸25と電動モータ2の回転軸3とは互いに軸線方向に移動自在、かつ相対回転不能に連結されている。
一方、ウォームホイール26には、ウォーム軸25に噛合されるウォームホイール26が収容されている。ウォームホイール26には、このウォームホイール26と共に回転可能に駆動連結された出力軸(不図示)が電動モータ2の回転軸3の直交方向に沿うように設けられている。なお、この不図示の出力軸が回転することによって車両のウインドウガラスが開閉する。すなわち、後述する電動モータ2に生じるコギングトルクは、ウインドウガラスの開閉動作の際、ウインドウガラスの自重によるウォーム軸25(回転軸3)の反転を防止する回転軸の逆転防止機能としての役割を有している。
次に、図3〜図4に基づいて、この第一実施形態の電動モータ2におけるコギングトルクの発生過程について説明する。図3は、無通電状態におけるアーマチュア6の挙動を示す説明図、図4は、縦軸をコギングトルク(mN・m)とし、横軸をアーマチュア6の回転角度(deg)とした場合のコギングトルクの変化を示すグラフである。
まず、図3(a)に示すように、各異形スロット13x,13y,13zがセグメント型永久磁石7に対向している状態にあっては(図3(a)におけるX,Y,Z部参照)、これら異形スロット13x,13y,13zを挟んで両側に位置する異形ティース(ティース)12x〜12zがセグメント型永久磁石7によって互いに同程度の磁気的吸引力で吸引されている。このため、アーマチュア6を時計回り(図3(a)における矢印方向)に回転しようとしてもコギングトルクが殆ど発生しない(図4におけるA点参照)。
まず、図3(a)に示すように、各異形スロット13x,13y,13zがセグメント型永久磁石7に対向している状態にあっては(図3(a)におけるX,Y,Z部参照)、これら異形スロット13x,13y,13zを挟んで両側に位置する異形ティース(ティース)12x〜12zがセグメント型永久磁石7によって互いに同程度の磁気的吸引力で吸引されている。このため、アーマチュア6を時計回り(図3(a)における矢印方向)に回転しようとしてもコギングトルクが殆ど発生しない(図4におけるA点参照)。
次に、図3(b)に示すように、アーマチュア6が時計回りに回転すると、各異形スロット13x,13y,13zに隣接する一方の異形ティース12x,12y,12zがセグメント型永久磁石7に接近する方向に向かって移動するので、このセグメント型永久磁石7による磁気的吸引力が作用する。これに対し、セグメント型永久磁石7から離反する方向に向かって移動する他方の異形ティース12x,12y,12zは、異形スロット13x,13y,13z側に突出する周壁部32が切除されているので、セグメント型永久磁石7による磁気的吸引力が殆ど作用しない。このため、一方の異形ティース12x,12y,12zに回転方向(時計回り方向)に向かう力が作用し、コギングトルクが大きくなる(図4におけるB点参照)。
ここで、ノーマル型のその他のスロット13にあっては、このスロット13を形成するティース12の周壁部32が何れも切除されていない。このため、アーマチュア6を回転させたとき、隣接するティース12同士であって、セグメント型永久磁石7に接近する方向に向かって移動するティース12と離反する方向に向かって移動するティース12とのそれぞれに作用する磁磁気的吸引力は互いに相殺し合う。よって、コギングトルクが殆ど発生しない。
すなわち、異形スロット13x,13y,13zがセグメント型永久磁石7を通過する際に生じるコギングトルクは、磁気回路のエネルギーが大きくなったわけではなく、ノーマル型のスロット13によるコギングトルクが減少したということになる。
すなわち、異形スロット13x,13y,13zがセグメント型永久磁石7を通過する際に生じるコギングトルクは、磁気回路のエネルギーが大きくなったわけではなく、ノーマル型のスロット13によるコギングトルクが減少したということになる。
続いて、図3(c)に示すように、アーマチュア6がさらに時計回りに回転すると、異形スロット13x,13y,13zが各セグメント型永久磁石7の間の空隙Kに位置した状態になる。すると、異形ティース12x〜12zがそれぞれ隣接する2つのセグメント型永久磁石7に同程度の磁気的吸引力で吸引され、この磁気的吸引力が互いに相殺される。
一方、ノーマル型のティース12は各セグメント型永久磁石7の間の空隙Kに位置した状態になるので、隣接する2つのセグメント型永久磁石7から同程度の磁気的吸引力で吸引される。このため、これら磁気的吸引力が互いに相殺され、アーマチュア6がさらに時計回りに回転しようとしてもコギングトルクが殆ど生じない(図4におけるC点参照)。
一方、ノーマル型のティース12は各セグメント型永久磁石7の間の空隙Kに位置した状態になるので、隣接する2つのセグメント型永久磁石7から同程度の磁気的吸引力で吸引される。このため、これら磁気的吸引力が互いに相殺され、アーマチュア6がさらに時計回りに回転しようとしてもコギングトルクが殆ど生じない(図4におけるC点参照)。
引き続き、図3(d)に示すように、アーマチュア6が時計回りに回転すると、各異形スロット13x,13y,13zに隣接する一方の異形ティース12x,12y,12zが再びセグメント型永久磁石7に接近する方向に向かって移動する方向に向かって移動するものの、異形スロット13x,13y,13z側に突出する周壁部32が切除されているので、殆どセグメント型永久磁石7による磁気的吸引力が作用しない。これに対し、他方の異形ティース12x,12y,12zは、セグメント型永久磁石7から離反する方向に向かって移動するが周壁部32の殆どがセグメント型永久磁石7に対向した状態にあるため、セグメント型永久磁石7による磁気的吸引力が作用する。このため、他方の異形ティース12x,12y,12zに反転方向(反時計回り方向)に向かう力が作用し、コギングトルクが再び大きくなる(図4におけるD点参照)。アーマチュア6は、これらの挙動を繰り返し行うことによって、1回転する間に6回のコギングトルクが発生する。
図5は、縦軸を磁気フリクション変動(コギングトルク)とし、横軸をアーマチュアの回転角度(deg)とした場合の従来の電動モータとこの第一実施形態の電動モータ2の磁気フリクション変動の変化を比較したグラフである。なお、図5において、従来の電動モータとは6極9スロットの電動モータをいう(以下の実施形態についても同様)。
同図に示すように、アーマチュアが1回転するあたり、この第一実施形態の電動モータ2はコギングトルクが6回しか発生していないのに対し、従来の電動モータはコギングトルクが18回発生しているのが確認できる(図5における破線参照)。これは、ウインドウガラスの自重によるウォーム軸25(回転軸3)の反転を防止するために必要なコギングトルクを発生させようとした場合、従来の電動モータは全てのスロットが同一形状であるので、磁極数とスロット数の最小公倍数分コギングトルクが発生してしまうためである。
同図に示すように、アーマチュアが1回転するあたり、この第一実施形態の電動モータ2はコギングトルクが6回しか発生していないのに対し、従来の電動モータはコギングトルクが18回発生しているのが確認できる(図5における破線参照)。これは、ウインドウガラスの自重によるウォーム軸25(回転軸3)の反転を防止するために必要なコギングトルクを発生させようとした場合、従来の電動モータは全てのスロットが同一形状であるので、磁極数とスロット数の最小公倍数分コギングトルクが発生してしまうためである。
この第一実施形態の電動モータ2は、従来の電動モータと略同一の振幅値(p−p値)のコギングトルクを発生させることができるので、従来の電動モータと略同一の力でウォーム軸23(回転軸3)の反転を防止(逆転防止)することができる。
さらに、この第一実施形態の電動モータ2は、アーマチュアが1回転するときのコギングトルクの発生を、従来の電動モータの発生回数である18回(18次)から6回(6次)としている。そのため、電動モータ2が駆動しているときの駆動音の周波数を、従来の電動モータの駆動音の周波数より低くすることができる。
例えば、従来の電動モータの駆動音の周波数は1kHz以上であったが、この第一実施形態の電動モータ2の駆動音の周波数は数百Hz程度となる。一般に、ともに略同等レベルの音圧であったとしても、周波数が1kHzを超える駆動音は、生体に対し不快感を与えるものであるが、数百Hz程度の駆動音は、ともに略同等レベルの音圧であったとしても1kHzを超える駆動音に対し、生体に対する不快感を和らげることとができる。
このため、この第一実施形態の電動モータ2を、自動車のドアに装着した場合に、この電動モータ2の駆動音により乗客に与える不快感を和らげることができる。
さらに、この第一実施形態の電動モータ2は、アーマチュアが1回転するときのコギングトルクの発生を、従来の電動モータの発生回数である18回(18次)から6回(6次)としている。そのため、電動モータ2が駆動しているときの駆動音の周波数を、従来の電動モータの駆動音の周波数より低くすることができる。
例えば、従来の電動モータの駆動音の周波数は1kHz以上であったが、この第一実施形態の電動モータ2の駆動音の周波数は数百Hz程度となる。一般に、ともに略同等レベルの音圧であったとしても、周波数が1kHzを超える駆動音は、生体に対し不快感を与えるものであるが、数百Hz程度の駆動音は、ともに略同等レベルの音圧であったとしても1kHzを超える駆動音に対し、生体に対する不快感を和らげることとができる。
このため、この第一実施形態の電動モータ2を、自動車のドアに装着した場合に、この電動モータ2の駆動音により乗客に与える不快感を和らげることができる。
図6は、縦軸を磁束量とした場合の従来の電動モータとこの第一実施形態の電動モータ2との磁束量を比較したグラフである。
同図に示すように、電動モータ2に異形スロット13x,13y,13zを形成した場合であっても、磁束量が従来の電動モータと殆ど同じであることが確認できる。これは、各異形スロット13x,13y,13zが同じタイミングでコギングトルクを発生させるため、磁気的フリクション変動を同位相にすることが可能になるからである。すなわち、磁気的フリクション変動が同位相であるので、各異形スロット13x,13y,13zのスロット開口幅Ex,Ey,Ez(図2参照)は、ノーマル型のスロット13のスロット開口幅Eよりもやや大きくする程度でよい。このため、磁束の低下を最小限にすることができる。
同図に示すように、電動モータ2に異形スロット13x,13y,13zを形成した場合であっても、磁束量が従来の電動モータと殆ど同じであることが確認できる。これは、各異形スロット13x,13y,13zが同じタイミングでコギングトルクを発生させるため、磁気的フリクション変動を同位相にすることが可能になるからである。すなわち、磁気的フリクション変動が同位相であるので、各異形スロット13x,13y,13zのスロット開口幅Ex,Ey,Ez(図2参照)は、ノーマル型のスロット13のスロット開口幅Eよりもやや大きくする程度でよい。このため、磁束の低下を最小限にすることができる。
したがって、上述の第一実施形態によれば、異形スロット13x,13y,13zがセグメント型永久磁石7を通過する際、異形スロット13x,13y,13z形成する一方の異形ティース12x,12y,12zには磁気的吸引力を大きく作用させることができると共に、他方の異形ティース12x,12y,12zに作用する磁気的吸引力を低減することができる。このため、結果的に異形スロット13x,13y,13zがセグメント型永久磁石7を通過する際のコギングトルクを増大させることができ、確実に回転軸の逆転防止機能を満足させることができる。
また、異形スロット13x,13y,13zがそれぞれ同一磁極となるセグメント型永久磁石7に対応して周方向に120度間隔で設けられているので、各異形スロット13x,13y,13zによって発生するコギングトルクのタイミングが同一とすることができる。このため、コギングトルクの発生回数、つまり、アーマチュア6の1回転あたりのコギングトルクの変動回数を磁極数とスロット数との最小公倍数よりも減少させることができ、電動モータ2の駆動時における振動や騒音を低減させることが可能になる。
これに加え、各異形スロット13x,13y,13zによるコギングトルクを同時に発生させることで、異形スロット13x,13y,13z毎のコギングトルクの大きさを低減することができる。すなわち、それぞれの異形スロット13x,13y,13zで発生するコギングトルクの総力で回転軸3の反転を防止できればよいので、異形スロット13x,13y,13z毎のコギングトルクの大きさを小さく設定することが可能になる。
これに加え、各異形スロット13x,13y,13zによるコギングトルクを同時に発生させることで、異形スロット13x,13y,13z毎のコギングトルクの大きさを低減することができる。すなわち、それぞれの異形スロット13x,13y,13zで発生するコギングトルクの総力で回転軸3の反転を防止できればよいので、異形スロット13x,13y,13z毎のコギングトルクの大きさを小さく設定することが可能になる。
さらに、各異形スロット13x,13y,13zをそれぞれ同一磁極となるセグメント型永久磁石7に対応して設けることで、機械的アンバランスを防止することができる。また、金属板11を軸線方向に積層してアーマチュアコア8を形成するにあたり、各々金属板11を異形スロット13x,13y,13zの間隔に対応させながら、つまり、120度回転させながら積層することができる。このため、加工精度による機械的アンバランスを解消することが可能になる。
そして、セグメント型永久磁石7の内周側、つまり、アーマチュア6との対向側に平坦に形成された平坦面7bを有している。このため、異形ティース12x,12y,12z以外のノーマル型のティース12がセグメント型永久磁石7の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくし、コギングトルクを減少させることができる。よって、異形スロット13x,13y,13zによるコギングトルクの大きさを回転軸3の逆転防止機能を満足し得る最小限の大きさに設定しつつ、ノーマル型のスロット13によるコギングトルクを低減させることができるので、より振動や騒音を低減させることが可能になる。
次に、この発明の第二実施形態を、図1を援用し図7〜図12に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
この第二実施形態において、電動モータ42は、例えば、パワーウインドウ装置1に用いられるものであって、電動モータ42の回転軸3にウォームギヤ減速機4のウォーム軸25が連結されている点、電動モータ42は、有底筒状のヨーク5内にアーマチュア61を回転自在に配置した構成となっている点、ヨーク5の筒部53は略円筒状に形成されており、この内周面に複数(この第二実施形態では、6つ)のセグメント型永久磁石7が周方向に等間隔で磁極が順番となるように配設されている点、セグメント型永久磁石7は、アーマチュア61との対向側に平坦に形成された平坦面7bを有している点、アーマチュア61は、回転軸3に外嵌固定されたアーマチュアコア48と、アーマチュアコア48に巻装されたアーマチュアコイル9と、回転軸3の他端側に配置されたコンミテータ10とを備えている点、アーマチュアコア48には、複数(この第二実施形態では、9つ)のティース43が周方向に沿って等間隔で放射状に形成されている点、各ティース43は、径方向に延出する巻胴部44と、巻胴部44の先端に設けられ巻胴部44に対して左右対称となるように延在する周壁部45とで構成されている点、隣接するティース43間に蟻溝状のスロット13が複数(この第二実施形態では、9つ)形成されている点、nを2以上の自然数、セグメント型永久磁石7の磁極数をP、スロット13のスロット数をSとしたとき、
磁極数P、およびスロット数Sは、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように設定されている点等の基本的構成は上述の第一実施形態と同様である。
この第二実施形態において、電動モータ42は、例えば、パワーウインドウ装置1に用いられるものであって、電動モータ42の回転軸3にウォームギヤ減速機4のウォーム軸25が連結されている点、電動モータ42は、有底筒状のヨーク5内にアーマチュア61を回転自在に配置した構成となっている点、ヨーク5の筒部53は略円筒状に形成されており、この内周面に複数(この第二実施形態では、6つ)のセグメント型永久磁石7が周方向に等間隔で磁極が順番となるように配設されている点、セグメント型永久磁石7は、アーマチュア61との対向側に平坦に形成された平坦面7bを有している点、アーマチュア61は、回転軸3に外嵌固定されたアーマチュアコア48と、アーマチュアコア48に巻装されたアーマチュアコイル9と、回転軸3の他端側に配置されたコンミテータ10とを備えている点、アーマチュアコア48には、複数(この第二実施形態では、9つ)のティース43が周方向に沿って等間隔で放射状に形成されている点、各ティース43は、径方向に延出する巻胴部44と、巻胴部44の先端に設けられ巻胴部44に対して左右対称となるように延在する周壁部45とで構成されている点、隣接するティース43間に蟻溝状のスロット13が複数(この第二実施形態では、9つ)形成されている点、nを2以上の自然数、セグメント型永久磁石7の磁極数をP、スロット13のスロット数をSとしたとき、
磁極数P、およびスロット数Sは、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように設定されている点等の基本的構成は上述の第一実施形態と同様である。
ここで、図7に示すように、第二実施形態では9つのティース43のうちの1つをセグメント型永久磁石7に対向配置させると、同一磁極のセグメント型永久磁石7全てにティース43が対向配置された状態になる(図7におけるX,Y,Z部参照)。すなわち、図7において、周方向に120度間隔で配設されている3つのN極のセグメント型永久磁石7全てに3つのティース43x,43y,43zがそれぞれ対向配置されている。
これら3つのティース43x,43y,43zは異形ティース形状を有している。すなわち、異形ティース(ティース)43x,43y,43zの周壁部45は、この肉厚T1がその他のノーマル型のティース43における周壁部45の肉厚T2よりも薄肉形状に形成されている。そして、異形ティース43x,43y,43zの周壁部45の端面45ax,ay,azはノーマル型ティース43の周壁部45の端面45aよりも径方向内側に位置している。これにより、異形ティース43x,43y,43zの周壁部45とセグメント型永久磁石7との間のエアギャップG1は、ノーマル型のティース43の周壁部45とセグメント型永久磁石7との間のエアギャップG2よりも大きく設定された状態になっている。なお、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44の周方向の幅は、ノーマル型ティース43の巻胴部44と同程度に設定されている。
図8は、アーマチュアコア48の展開図であって、各ティース43の巻線14の巻装状態を示している。
同図に示すように、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44に巻装されている巻線14x,14y,14zの巻回数は、ノーマル型のティース43の巻胴部44に巻装されている巻線14の巻回数よりも多く設定されている。
同図に示すように、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44に巻装されている巻線14x,14y,14zの巻回数は、ノーマル型のティース43の巻胴部44に巻装されている巻線14の巻回数よりも多く設定されている。
次に、図9〜図10に基づいて、この第二実施形態の電動モータ42におけるコギングトルクの発生過程について説明する。図9は、無通電状態におけるアーマチュア61の挙動を示す説明図、図10は、縦軸をコギングトルク(mN・m)とし、横軸をアーマチュア61の回転角度(deg)とした場合のコギングトルクの変化を示すグラフである。
まず、図9(a)に示すように、各異形ティース43x,43y,43zとこれに隣接するノーマル型のティース43との間に存在するスロット13がセグメント型永久磁石7に対向している状態にあっては(図9(a)におけるX,Y,Z部参照)、ノーマル型のティース43に作用する磁気的吸引力が大きい。これに対し、異形ティース43x,43y,43zとセグメント型永久磁石7との間のエアギャップG1はエアギャップG2よりも大きく設定されているので、異形ティース43x,43y,43zに作用する磁気的吸引力が低減される。このため、ノーマル型のティース43に反時計回り方向に向かう力が作用し、アーマチュア61が時計回り(図9(a)における矢印方向)に回転しようとするとコギングトルクが大きくなる(図10におけるA点参照)。
まず、図9(a)に示すように、各異形ティース43x,43y,43zとこれに隣接するノーマル型のティース43との間に存在するスロット13がセグメント型永久磁石7に対向している状態にあっては(図9(a)におけるX,Y,Z部参照)、ノーマル型のティース43に作用する磁気的吸引力が大きい。これに対し、異形ティース43x,43y,43zとセグメント型永久磁石7との間のエアギャップG1はエアギャップG2よりも大きく設定されているので、異形ティース43x,43y,43zに作用する磁気的吸引力が低減される。このため、ノーマル型のティース43に反時計回り方向に向かう力が作用し、アーマチュア61が時計回り(図9(a)における矢印方向)に回転しようとするとコギングトルクが大きくなる(図10におけるA点参照)。
次に、図9(b)に示すように、アーマチュア61が時計回りに回転すると、各異形ティース43x,43y,43zがセグメント型永久磁石7と対向した状態になる。このとき、各異形ティース43x,43y,43zに対するセグメント型永久磁石7の磁気的吸引力は小さい。
一方、隣接する2つのノーマル型のティース43は、互いの間に存在するスロット13がセグメント型永久磁石7に対向した状態となっている。したがって、隣接する2つのノーマル型のティース43は、互いに1つのセグメント型永久磁石7によって同程度の磁気的吸引力で吸引され、それぞれに作用する磁磁気的吸引力が互いに相殺し合う。よって、アーマチュア61を時計回りに回転しようとしてもコギングトルクが殆ど生じない(図10におけるB点参照)。
一方、隣接する2つのノーマル型のティース43は、互いの間に存在するスロット13がセグメント型永久磁石7に対向した状態となっている。したがって、隣接する2つのノーマル型のティース43は、互いに1つのセグメント型永久磁石7によって同程度の磁気的吸引力で吸引され、それぞれに作用する磁磁気的吸引力が互いに相殺し合う。よって、アーマチュア61を時計回りに回転しようとしてもコギングトルクが殆ど生じない(図10におけるB点参照)。
続いて、図9(c)に示すように、アーマチュア61がさらに時計回りに回転すると、各異形ティース43x,43y,43zとこれに隣接するノーマル型のティース43との間に存在するスロット13が再びセグメント型永久磁石7に対向した状態になる。このため、ノーマル型のティース43に回転方向(時計回り方向)に向かう力が作用し、コギングトルクが大きくなる(図10におけるC点参照)。
引き続き、図9(d)に示すように、アーマチュア61が時計回りに回転すると、各異形ティース43x,43y,43zが各セグメント型永久磁石7の間の空隙Kに位置した状態になる。すると、異形ティース43x,43y,43zを挟んで両側に位置する2つノーマル型のティース43が隣接する2つのセグメント型永久磁石7にそれぞれ吸引される。このため、各ノーマル型のティース43に生じる磁気的吸引力が互いに相殺し合い、アーマチュア61がさらに時計回りに回転しようとしても殆どコギングトルクが生じない(図10におけるD点参照)。アーマチュア61は、これらの挙動を繰り返し行うことによって、1回転する間に6回のコギングトルクが発生する。
図11は、縦軸を磁気フリクション変動(コギングトルク)とし、横軸をアーマチュアの回転角度(deg)とした場合の従来の電動モータとこの第二実施形態の電動モータ2の磁気フリクション変動の変化を比較したグラフである。
同図に示すように、アーマチュアが1回転するあたり、この第二実施形態の電動モータ42はコギングトルクが6回しか発生していないのに対し、従来の電動モータはコギングトルクが18回発生しているのが確認できる(図11における破線参照)。
この第二実施形態の電動モータ42は、従来の電動モータと略同一の振幅値(p−p値)のコギングトルクを発生させることができるので、従来の電動モータと略同一の力でウォーム軸23(回転軸3)の反転を防止(逆転防止)することができる。
同図に示すように、アーマチュアが1回転するあたり、この第二実施形態の電動モータ42はコギングトルクが6回しか発生していないのに対し、従来の電動モータはコギングトルクが18回発生しているのが確認できる(図11における破線参照)。
この第二実施形態の電動モータ42は、従来の電動モータと略同一の振幅値(p−p値)のコギングトルクを発生させることができるので、従来の電動モータと略同一の力でウォーム軸23(回転軸3)の反転を防止(逆転防止)することができる。
さらに、この第二実施形態の電動モータ42は、アーマチュアが1回転するときのコギングトルクの発生を、従来の電動モータの発生回数である18回(18次)から6回(6次)としている。そのため、電動モータ42が駆動しているときの駆動音の周波数を、従来の電動モータの駆動音の周波数より低くすることができる。
例えば、従来の電動モータの駆動音の周波数は1kHz以上であったが、この第一実施形態の電動モータ42の駆動音の周波数は数百Hz程度となる。一般に、ともに略同等レベルの音圧であったとしても、周波数が1kHzを超える駆動音は、生体に対し不快感を与えるものであるが、数百Hz程度の駆動音は、ともに略同等レベルの音圧であったとしても1kHzを超える駆動音に対し、生体に対する不快感を和らげることとができる。
このため、この第二実施形態の電動モータ42を、自動車のドアに装着した場合に、この電動モータ42の駆動音により乗客に与える不快感を和らげることができる。
例えば、従来の電動モータの駆動音の周波数は1kHz以上であったが、この第一実施形態の電動モータ42の駆動音の周波数は数百Hz程度となる。一般に、ともに略同等レベルの音圧であったとしても、周波数が1kHzを超える駆動音は、生体に対し不快感を与えるものであるが、数百Hz程度の駆動音は、ともに略同等レベルの音圧であったとしても1kHzを超える駆動音に対し、生体に対する不快感を和らげることとができる。
このため、この第二実施形態の電動モータ42を、自動車のドアに装着した場合に、この電動モータ42の駆動音により乗客に与える不快感を和らげることができる。
図12は、縦軸を磁束量とした場合の従来の電動モータとこの第二実施形態の電動モータ2との磁束量を比較したグラフである。
同図に示すように、電動モータ42に異形ティース43x,43y,43zを形成した場合であっても、磁束量が従来の電動モータと殆ど同じであることが確認できる。これは、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44に巻装されている巻線14x,14y,14zの巻回数がノーマル型のティース43の巻胴部44に巻装されている巻線14の巻回数よりも多く設定されているためである。すなわち、ノーマル型のティース43よりもエアギャップの大きい異形ティース43x,43y,43zに巻線14を多く巻回することで、ノーマル型のティース43の鎖交磁束量と、エアギャップの大きい異形ティース43x,43y,43の鎖交磁束量との差を削減、または解消することができる。このため、エアギャップの大きい異形ティース43x,43y,43を備えた第二実施形態の電動モータ2は、従来の電動モータと略同等のモータ出力特性を確保することができる。
同図に示すように、電動モータ42に異形ティース43x,43y,43zを形成した場合であっても、磁束量が従来の電動モータと殆ど同じであることが確認できる。これは、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44に巻装されている巻線14x,14y,14zの巻回数がノーマル型のティース43の巻胴部44に巻装されている巻線14の巻回数よりも多く設定されているためである。すなわち、ノーマル型のティース43よりもエアギャップの大きい異形ティース43x,43y,43zに巻線14を多く巻回することで、ノーマル型のティース43の鎖交磁束量と、エアギャップの大きい異形ティース43x,43y,43の鎖交磁束量との差を削減、または解消することができる。このため、エアギャップの大きい異形ティース43x,43y,43を備えた第二実施形態の電動モータ2は、従来の電動モータと略同等のモータ出力特性を確保することができる。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述した第一実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、異形ティース43x,43y,43zとセグメント型永久磁石7との間のエアギャップG1をノーマル型のティース43とセグメント型永久磁石7との間のエアギャップG2よりも大きく設定した場合において、異形ティース43x,43y,43zに巻装される巻線14の巻回数をノーマル型のティース43に巻装される巻線14の巻回数よりも多く設定している。このため、異形ティース43x,43y,43zによる磁束を確保することが可能になり、各ティース43の鎖交磁束量差を削減、または解消することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
また、上述の実施形態では、電動モータ2は、磁極を有するヨーク5内にアーマチュア6,61を回転自在に配設した所謂ブラシ付きの電動モータである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシレスタイプのインナーロータ型電動モータ、またはアウターロータ型電動モータにも適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、電動モータ2は、磁極を有するヨーク5内にアーマチュア6,61を回転自在に配設した所謂ブラシ付きの電動モータである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシレスタイプのインナーロータ型電動モータ、またはアウターロータ型電動モータにも適用することが可能である。
さらに、上述の実施形態では、電動モータ2が6極9スロットの電動モータである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、磁極数P、およびスロット数Sの関係がnを2以上の自然数、セグメント型永久磁石7の磁極数をP、スロット13のスロット数をSとしたとき、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように設定されていればよい。この場合、各異形スロットや異形ティースの個数は、複数のセグメント型永久磁石7のうちの同磁極となるセグメント型永久磁石7の数に応じて決定されていればよい。
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように設定されていればよい。この場合、各異形スロットや異形ティースの個数は、複数のセグメント型永久磁石7のうちの同磁極となるセグメント型永久磁石7の数に応じて決定されていればよい。
そして、上述の第二実施形態では、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44の周方向の幅は、ノーマル型ティース43の巻胴部44と同程度に設定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、図13に示すように、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44の周方向の幅T3をノーマル型ティース43の巻胴部44の幅T4よりも細く形成してもよい。
このように、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44を細く形成することで、異形ティース43x,43y,43zに巻装される巻線14の巻回数をより多くすることができる。このため、容易に各ティース43の鎖交磁束量差を削減、または解消することが可能になる。
このように、異形ティース43x,43y,43zの巻胴部44を細く形成することで、異形ティース43x,43y,43zに巻装される巻線14の巻回数をより多くすることができる。このため、容易に各ティース43の鎖交磁束量差を削減、または解消することが可能になる。
1 パワーウインドウ装置
2,42 電動モータ
3 回転軸
5 ヨーク
6,61 アーマチュア
7 セグメント型永久磁石(永久磁石)
7a 弧状面
7b 平坦面
8,48 アーマチュアコア
12,43 ティース(その他のティース)
12x、12y,12z,43x,43y,43z 異形ティース
13 スロット(その他のスロット)
13x,13y,13z 異形スロット
14 巻線
31,44 巻胴部
32,45 周壁部
E,Ex,Ey,Ez スロット開口幅
G,G1,G2 エアギャップ
P 磁極数
S スロット数
T1,T2 肉厚
T3,T4 幅
2,42 電動モータ
3 回転軸
5 ヨーク
6,61 アーマチュア
7 セグメント型永久磁石(永久磁石)
7a 弧状面
7b 平坦面
8,48 アーマチュアコア
12,43 ティース(その他のティース)
12x、12y,12z,43x,43y,43z 異形ティース
13 スロット(その他のスロット)
13x,13y,13z 異形スロット
14 巻線
31,44 巻胴部
32,45 周壁部
E,Ex,Ey,Ez スロット開口幅
G,G1,G2 エアギャップ
P 磁極数
S スロット数
T1,T2 肉厚
T3,T4 幅
Claims (7)
- 複数の永久磁石と、
径方向に沿って延び、周方向に等間隔に配設された複数のティースと、
前記ティース間に形成され軸線方向に沿って延びる複数のスロットとを備え、
nを2以上の自然数、前記永久磁石の磁極数をP、前記スロットの数をSとしたとき、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように磁極数P、およびスロット数Sが設定されている電動モータであって、
前記ティースは、巻線を巻装するための巻胴部と、前記巻胴部の先端に設けられ前記巻胴部に対して左右対称となるように周方向に沿って延びる周壁部とで構成され、
前記複数のスロットのうちの1つを前記永久磁石に対向配置したとき、この永久磁石と同一磁極の永久磁石に対向する各スロットをそれぞれ異形スロットとし、
前記異形スロットは、このスロット開口幅がその他のスロットのスロット開口幅よりも大きく設定されていることを特徴とする電動モータ。 - 前記異形スロットを挟んで両側に配置された前記ティースの前記周壁部を切除することによって、前記異形スロットのスロット開口幅の大きさを設定することを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。
- 複数の永久磁石と、
径方向に沿って延び、周方向に等間隔に配設された複数のティースと、
前記ティース間に形成され軸線方向に沿って延びる複数のスロットとを備え、
nを2以上の自然数、前記永久磁石の磁極数をP、前記スロットの数をSとしたとき、
P=2×n、かつS=3×n
を満たすように磁極数P、およびスロット数Sが設定されている電動モータであって、
前記ティースは、巻線を巻装するための巻胴部と、前記巻胴部の先端に設けられ前記巻胴部に対して左右対称となるように周方向に沿って延びる周壁部とで構成され、
複数のティースのうちの1つの前記周壁部を前記永久磁石に対向配置させたとき、同一磁極となる永久磁石に前記周壁部が対向している各ティースをそれぞれ異形ティースとし、
前記異形ティースは、この周壁部と前記永久磁石との間のエアギャップがその他のティースの周壁部と前記永久磁石との間のエアギャップよりも大きく設定されていることを特徴とする電動モータ。 - 前記異形ティースの周壁部の肉厚は、前記その他のティースの周壁部よりも薄肉に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の電動モータ。
- 前記異形ティースに巻装される巻線の巻回数は、前記その他のティースに巻装される巻線の巻回数よりも多く設定されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電動モータ。
- 前記異形ティースの巻胴部は、この周方向の幅が前記その他のティースの巻胴部よりも細く設定されていることを特徴とする請求項5に記載の電動モータ。
- 前記永久磁石を筒部を有するヨークの内周面に配設すると共に、前記ヨークの内側に回転軸を回転自在に支持し、
前記回転軸にアーマチュアコアを外嵌固定し、これに前記ティースを形成した電動モータであって、
前記永久磁石は、前記アーマチュアコアとの対向面側に平坦に形成された平坦面を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の電動モータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007307640A JP2009136033A (ja) | 2007-11-28 | 2007-11-28 | 電動モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007307640A JP2009136033A (ja) | 2007-11-28 | 2007-11-28 | 電動モータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009136033A true JP2009136033A (ja) | 2009-06-18 |
Family
ID=40867388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007307640A Pending JP2009136033A (ja) | 2007-11-28 | 2007-11-28 | 電動モータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009136033A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013118777A1 (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-15 | デンソートリム株式会社 | 磁石式発電機 |
US11316389B2 (en) * | 2017-08-28 | 2022-04-26 | Lg Innotek Co., Ltd. | Stator and motor including same |
-
2007
- 2007-11-28 JP JP2007307640A patent/JP2009136033A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013118777A1 (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-15 | デンソートリム株式会社 | 磁石式発電機 |
JP2013165589A (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-22 | Denso Trim Kk | 磁石式発電機 |
US9537365B2 (en) | 2012-02-10 | 2017-01-03 | Denso Trim Co., Ltd. | Magnet-type generator |
US11316389B2 (en) * | 2017-08-28 | 2022-04-26 | Lg Innotek Co., Ltd. | Stator and motor including same |
US11637462B2 (en) | 2017-08-28 | 2023-04-25 | Lg Innotek Co., Ltd. | Stator and motor including same |
US11876403B2 (en) | 2017-08-28 | 2024-01-16 | Lg Innotek Co., Ltd. | Stator and motor including same |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5853051B2 (ja) | 電動モータ、および減速機付モータ | |
JP3793170B2 (ja) | 電気モータ | |
WO2013047076A1 (ja) | 回転電機 | |
JP4167197B2 (ja) | ラインスタートリラクタンス同期電動機 | |
JP2003125566A (ja) | 永久磁石式回転電機 | |
JP4685516B2 (ja) | 回転電機のアーマチュア | |
JP2010093939A (ja) | 電動モータ | |
JP2008167537A (ja) | 小型モータ | |
JP6530956B2 (ja) | 電動モータ | |
US20190372445A1 (en) | Brush motor | |
JP5959272B2 (ja) | モータの使用方法およびモータ | |
JP2009136033A (ja) | 電動モータ | |
JP2010093890A (ja) | 電動モータ | |
JP5441584B2 (ja) | 電動機 | |
JP2007166739A (ja) | ブラシレスモータ | |
JP2005020914A (ja) | 電動機及びヨークハウジング | |
JP4886331B2 (ja) | 回転電機におけるアーマチュアコア | |
JP2009124892A (ja) | 電動モータ | |
JP2015019525A (ja) | ブラシ付き直流モータ | |
JP2008295153A (ja) | 電動モータ | |
JP4685391B2 (ja) | 回転電機のアーマチュアおよびその製造方法 | |
JP2008295152A (ja) | 電動モータ | |
JP2006020459A (ja) | ステータコア及びこれを備えた回転電機 | |
JP5546146B2 (ja) | 直流モータ | |
JP5451969B2 (ja) | 直流モータ、および減速機付直流モータ |