JP2009132973A - 打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクブレーキ用素材として用いられることの多いマルテンサイト系ステンレス鋼板として、優れた打ち抜き加工性を有するものを製造でき、しかも、製造途中の冷間圧延の段階で、所望の硬さに調整することができる、打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、Cr:10.0%超〜14.5%を含有する鋼素材を熱間圧延し、焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する。
【選択図】図1
【解決手段】質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、Cr:10.0%超〜14.5%を含有する鋼素材を熱間圧延し、焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する。
【選択図】図1
Description
本発明は、打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法に関し、詳しくは、二輪車等の輸送用車両のディスクブレーキ用素材として、必要な焼入れ硬度を発揮し、焼入れした状態のままさらなる加工を施されないで用いられ、焼入れ前には、優れた打ち抜き加工性を発揮する、打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法に関する。なお、「硬度」は「硬さ」と同義である。また、マルテンサイト系ステンレス鋼とは、通常、JIS(G4304,G4305等)で定義されるマルテンサイト系ステンレス鋼をいうが、本発明にいうマルテンサイト系ステンレス鋼は、これに限られない。
二輪車等の輸送用車両のディスクブレーキ用素材には、耐摩耗性、耐錆性が求められる。耐摩耗性は、一般に硬いほど高まるが、ブレーキパッドとの関係からは、HRC35±5の硬さが求められる。
このような要求を満足するために、ディスクブレーキ用素材としては、SUS420J2等のマルテンサイト系ステンレス鋼板が用いられてきた。
しかし、SUS420J2等のマルテンサイト系ステンレス鋼板では、焼入れ後の焼戻し時に低Cr域が発生し、耐錆性が低下する、という問題があった。
この点、特許文献1に示されるような、低Cr高Mnのマルテンサイト系ステンレス鋼板によれば、焼入れのみで所望の硬さが得られ、しかも、焼戻しが不要となる。
しかし、これを素材として用いてディスクブレーキを製造すると、製造途中、焼入れ前の打ち抜き加工の段階で、ダレ(図6参照)が発生する問題があった。
このダレが発生すると、ブレーキパッドとの摺動時にビビリが発生する。このため、その後の製造段階で、ダレがなくなるまで切削、研磨作業を行う必要があり、製造コストの増大と、歩留りロスを生じていた。
この点、特許文献2では、焼鈍酸洗後に圧下率5〜15%の冷間圧延を施し、鋼板の硬度を上げることで、打ち抜き加工時のダレを低減する方法を提案している。
さらに、特許文献3では、さらに、酸洗を省略し、黒皮ままで圧下率2〜15%の冷間圧延を施すことで、製造コストを削減しつつ、打ち抜き加工時のダレも低減する方法を提案している。
特開昭57−178249号公報
特開平10−259458号公報
特開2004−292859号公報
しかしながら、従来の特許文献2、特許文献3の技術では、冷間圧延の圧下率が適正でなく、所望の硬さの範囲から外れてしまう場合がある、という問題があった。
本発明は、従来技術のかような問題を解決し、ディスクブレーキ用素材として用いられることの多いマルテンサイト系ステンレス鋼板として、優れた打ち抜き加工性を有するものを製造でき、しかも、製造途中の冷間圧延の段階で、所望の硬さに調整することができる、打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法は、
(1)質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、Cr:10.0%超〜14.5%を含有する鋼素材を熱間圧延し、焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する、
(2)前記冷間圧延を行う冷間圧延機の入側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードフォワード制御、及び/又は、前記冷間圧延を行う冷間圧延機の出側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードバック制御する、
というものである。
(1)質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、Cr:10.0%超〜14.5%を含有する鋼素材を熱間圧延し、焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する、
(2)前記冷間圧延を行う冷間圧延機の入側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードフォワード制御、及び/又は、前記冷間圧延を行う冷間圧延機の出側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードバック制御する、
というものである。
本発明によれば、ディスクブレーキ用素材として用いられることの多いマルテンサイト系ステンレス鋼板として、優れた打ち抜き加工性を有するものを製造でき、しかも、製造途中の冷間圧延の段階で、所望の硬さに調整することができる、打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法を提供できる。
(第1の本発明)
第1の本発明では、質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%(好ましくは1.0〜2.5%)、Cr:10.0%超〜14.5%、Cu:1.0%以下、Ni:1.5%以下を含有する鋼素材を熱間圧延し、次いで焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する。なお、硬さ試験は、JIS Z2245に定める方法に準拠して行う。
第1の本発明では、質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%(好ましくは1.0〜2.5%)、Cr:10.0%超〜14.5%、Cu:1.0%以下、Ni:1.5%以下を含有する鋼素材を熱間圧延し、次いで焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する。なお、硬さ試験は、JIS Z2245に定める方法に準拠して行う。
そのように本発明の構成要件を規定した理由について、以下に説明する。
まず、本発明の化学組成の規定理由について、以下に説明する。
C+N:
CおよびNは、硬度を高め、耐摩耗性を向上させるのに有効な元素であり、本発明では、後述の理由で、0.5〜2.5%のMnが不可欠であるが、この範囲のMn量にあっては、焼入れ硬度(HRC)を35±5の範囲に入るよう調整するためには、C+N量を、0.04%超〜0.10%の範囲にする必要がある。
CおよびNは、硬度を高め、耐摩耗性を向上させるのに有効な元素であり、本発明では、後述の理由で、0.5〜2.5%のMnが不可欠であるが、この範囲のMn量にあっては、焼入れ硬度(HRC)を35±5の範囲に入るよう調整するためには、C+N量を、0.04%超〜0.10%の範囲にする必要がある。
よって、C+Nは、0.04%超〜0.10%の範囲に規定した。なお、この範囲では、焼入れ時の靭性も良好であり、焼割れも発生しない。
Si:
Siは、高温下でフェライトを生成させる元素であり、0.5%超のSi含有は、焼入れ硬度を低下させるのみならず、靭性に悪影響を与える。
Siは、高温下でフェライトを生成させる元素であり、0.5%超のSi含有は、焼入れ硬度を低下させるのみならず、靭性に悪影響を与える。
よって、Siは、上限を0.5%とした。そして、その量は、少ないほど好ましい。
Mn:
Mnは、熱間圧延が行われる900〜1050℃の範囲でも、δ‐フェライトの生成を抑制できる有効な元素であるが、0.5%未満のMn含有は、特に、C+Nの量が少ない場合に、δ‐フェライトが生成しやすく、焼入れ硬度(HRC)35±5が得られにくくなるところ、C+Nの量は、高濃度側に調整しようとすると、高濃度にし過ぎたときに、靭性が低下するなど、別の問題が生じるため、製鋼段階での濃度調整を安定的に行うのが難しくなる。
Mnは、熱間圧延が行われる900〜1050℃の範囲でも、δ‐フェライトの生成を抑制できる有効な元素であるが、0.5%未満のMn含有は、特に、C+Nの量が少ない場合に、δ‐フェライトが生成しやすく、焼入れ硬度(HRC)35±5が得られにくくなるところ、C+Nの量は、高濃度側に調整しようとすると、高濃度にし過ぎたときに、靭性が低下するなど、別の問題が生じるため、製鋼段階での濃度調整を安定的に行うのが難しくなる。
また、Mnが0.5%未満の場合は、焼入れ硬度(HRC)35±5を得るのに好適な、焼入れの時の加熱温度範囲が極端に狭小化し、この場合も、温度調整を安定的に行うのが難しくなる。
よって、Mnは、その下限を0.5%とした。
なお、焼入れ硬度(HRC)35±5を、より安定的に得るには、Mnは、1.0%以上とするのが好ましい。
また、Mnが2.5%を超えると、高温での耐酸化性が低下し、熱間圧延の段階でスケールが多く生成し、黒皮の厚みとして好ましい、3〜100μmの範囲に収めるのが難しくなる。
よって、Mnは、その上限を2.5%とした。
Cr:
Crは、耐食性を確保するために、最低10.0%必要である。しかしながら、Crが14.5%を超えると、Mn、後述のNiおよびCuを、それぞれ最大限含有してもなお、850〜1050℃の焼入れ時の加熱温度範囲にて、δ‐フェライトが生成するようになり、焼入れ硬度(HRC)35±5が得られにくくなる。
Crは、耐食性を確保するために、最低10.0%必要である。しかしながら、Crが14.5%を超えると、Mn、後述のNiおよびCuを、それぞれ最大限含有してもなお、850〜1050℃の焼入れ時の加熱温度範囲にて、δ‐フェライトが生成するようになり、焼入れ硬度(HRC)35±5が得られにくくなる。
よって、Crは、その上限を14.5%とした。
本発明においては、例えば、以下のような元素を、選択的に含有してもよい。
Cu:
Cuは、Mnと同様、高温下でδ‐フェライトの生成を抑制するのに有効であるが、本発明では、Mnの含有が必須になっており、そちらの分の寄与が大きいため、特に添加する必要まではない。が、製鋼段階でスクラップから混入する分が1.0%を超えると、熱間圧延時に表面欠陥が発生する可能性が高まり、歩留りが低下する。
Cuは、Mnと同様、高温下でδ‐フェライトの生成を抑制するのに有効であるが、本発明では、Mnの含有が必須になっており、そちらの分の寄与が大きいため、特に添加する必要まではない。が、製鋼段階でスクラップから混入する分が1.0%を超えると、熱間圧延時に表面欠陥が発生する可能性が高まり、歩留りが低下する。
よって、Cuは、1.0%の範囲で含有してもよい。下限は別にゼロでもよい。
Ni:
Niは、Mnと同様の効果があり、しかも、焼入れ時の加熱温度範囲を広げる効果をもつ。したがって、焼入れ後の硬度を安定化するのに有効であるが、高価である。
Niは、Mnと同様の効果があり、しかも、焼入れ時の加熱温度範囲を広げる効果をもつ。したがって、焼入れ後の硬度を安定化するのに有効であるが、高価である。
よって、Niは、1.0%の範囲で含有してもよい。下限は別にゼロでもよい。
以上の各元素のほかに、以下に述べる各元素も、以下に述べる理由により、含有してもよい。
Mo、Ti、Nb、V、Zr:
これらの元素は、耐食性を向上させるために単独あるいは複合して含有してもよいが、過剰に含有すると、熱間圧延時にヘゲ等の表面欠陥が生じる場合があるので、Moは、3%以下、Ti、Nb、V、Zrは、それぞれ、1%以下の範囲で含有してもよい。
これらの元素は、耐食性を向上させるために単独あるいは複合して含有してもよいが、過剰に含有すると、熱間圧延時にヘゲ等の表面欠陥が生じる場合があるので、Moは、3%以下、Ti、Nb、V、Zrは、それぞれ、1%以下の範囲で含有してもよい。
なお、上記各元素およびFe以外の元素で、本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼板中の主な元素としては、Pは、靭性を確保したい観点から、極力低減し、Sは、耐銹性を確保したい観点から、極力低減するのが好ましい。
また、Oも、靭性および耐銹性を確保したい観点から、Al脱酸等により、極力低減するのが好ましい。
次に、硬さ(HRB)、および、黒皮の厚み、の好ましい範囲について、以下にその理由とともに述べる。
硬さ(HRB):
硬さ(HRB)は、打ち抜き加工後のダレを評価する指標であるが、硬さ(HRB)が83〜100であれば、ディスクブレーキ製品の硬さ指標:焼入れ硬度(HRC)35±5を満足する。
硬さ(HRB)は、打ち抜き加工後のダレを評価する指標であるが、硬さ(HRB)が83〜100であれば、ディスクブレーキ製品の硬さ指標:焼入れ硬度(HRC)35±5を満足する。
また、例えば、図5に示すように、硬さ(HRB)が83以上では、硬くなるにつれ、ダレは小さくなるので、ダレ低減のためには、硬さ(HRB)を83以上とするのが好ましい。
が、硬さ(HRB)が100を超えると、打ち抜き加工用金型の摩耗が大きくなるので好ましくない。
よって、硬さ(HRB)は、83〜100とするのが好ましい。さらに好ましくは86〜95である。
黒皮の厚み:
黒皮は、ディスクブレーキ用素材であるマルテンサイト系ステンレス鋼板の基地よりも硬いため、ダレを低減する効果があるが、厚みが3μmに満たないと、その効果に乏しく、一方、100μmを超えると、打ち抜き加工用金型の摩耗が大きくなる。
黒皮は、ディスクブレーキ用素材であるマルテンサイト系ステンレス鋼板の基地よりも硬いため、ダレを低減する効果があるが、厚みが3μmに満たないと、その効果に乏しく、一方、100μmを超えると、打ち抜き加工用金型の摩耗が大きくなる。
よって、黒皮の厚みは、3〜100μmとするのが好ましい。
次に、製造方法について述べる。
熱間圧延‐焼鈍:
熱間圧延‐焼鈍の条件は、特に規定しないが、黒皮の厚みを上記の好ましい範囲に安定的に収めるよう調整したい観点から、熱間圧延では、加熱温度を1100〜1250℃とすることが好ましく、また、焼鈍では、加熱温度を700〜950℃とすることが好ましい。
熱間圧延‐焼鈍の条件は、特に規定しないが、黒皮の厚みを上記の好ましい範囲に安定的に収めるよう調整したい観点から、熱間圧延では、加熱温度を1100〜1250℃とすることが好ましく、また、焼鈍では、加熱温度を700〜950℃とすることが好ましい。
冷間圧延:
例えば、図1に示すように、冷間圧延における圧下率(冷間圧下率)が増大するにつれ、硬さ(HRB)は硬くなる。
例えば、図1に示すように、冷間圧延における圧下率(冷間圧下率)が増大するにつれ、硬さ(HRB)は硬くなる。
本発明においては、対象としているマルテンサイト系ステンレス鋼板の熱間圧延と焼鈍が終わった段階で、硬さを測定する。そして、測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する。
例えば、硬さ(HRB)を90に調整しようとした場合、標準的には、特許文献3にも登場した図1中の直線Aで示される関係から、冷間圧下率は、7.5%にすればよいわけであるが、化学組成や熱間圧延時の加熱あるいは仕上圧延修了温度もしくは焼鈍時の加熱温度や時間等、の製造条件のばらつきその他の理由により、今、冷間圧延前に測定した硬さが、直線Aで示される関係(硬さ(HRB)にして80)からはずれていて、点Cで表される硬さ(HRB)を示したとする。
ちなみに、質量%で、C+N:0.06%、Si:0.30%、Mn:1.5%、Cr:12.5%の場合であり、特許文献3の場合と異なる。
本発明では、一つの実施の形態の例として、このような場合に、直線Aを、点Cを通るような同じ傾きの、直線Bで示される関係に従うものと仮定して、冷間圧延圧下率を決めるようにする。この場合、図1中の直線Bで示される関係から、冷間圧下率は、9%にすればよいことがわかる。
もっとも、このような実施の形態は、あくまで一例であり、本発明は、冷間圧延後の硬さを、目標とする値に近づけようとしたり、目標とする範囲に収めようとしたりすることを目的とするものである限り、測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する方法であれば、いかなる方法であってもよい。
さらに、本発明は、測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延する方法である限り、硬さとともに、さらに別の材質も満足しようとするものであってもよい。
例えば、本発明で対象としているマルテンサイト系ステンレス鋼板を、オフセットタイプのブレーキディスク用素材として使用する際には、硬さが目標とする範囲に収まる限度において、例えば、図2に示すような伸びと冷間圧下率の関係から、絞り加工が可能な伸びレベルになる圧下率を決定し、その圧下率で冷間圧延を行うようにしてもよい。
ここで、その冷間圧下率で冷間圧延した場合に、圧延後に板厚の公差から外れてしまうのを防止するため、熱間圧延後の目標板厚が同じもの毎などに、統計的に、所望の硬さ(HRB)を得られるような冷間圧下率の実績を求め、その平均値、あるいは、最大値と最小値の中間値、などにより、減厚分を見越した上で、熱間圧延後の目標板厚を決定し、以降製造する分につき、その板厚を目標に、熱間圧延を行うようにするのも好ましい。
また、圧下率を例えば5%に固定し、ワークロールのロール粗度を変化させて冷間圧延して得た鋼帯を打ち抜いたときの剪断荷重を図3に示す。図示のようにロール粗度Raが2μmを超えると、剪断荷重が顕著に増大する。このことから、冷間圧延では、ロール粗度Raを2μm以下とするのが好ましい。
なお、圧下率を上記2〜15%内外の範囲で変化させても、同様に、ロール粗度Raが2μmを超えると、剪断荷重が顕著に増大する。
(第2の本発明)
第2の本発明では、冷間圧延を行う冷間圧延機の入側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードフォワード制御、及び/又は、前記冷間圧延を行う冷間圧延機の出側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードバック制御する。
第2の本発明では、冷間圧延を行う冷間圧延機の入側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードフォワード制御、及び/又は、前記冷間圧延を行う冷間圧延機の出側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードバック制御する。
図4に第2の本発明の一つの実施の形態を示す。
冷間圧延機10の入側に設けた入側硬さ測定器40により測定した硬さを制御装置60に入力し、制御装置60では、入側硬さ測定器40により測定した硬さをもとに、冷間圧延機10の圧下(上下ワークロールの間隙)をフィードフォワード制御する。
あるいは、冷間圧延機10の出側に設けた出側硬さ測定器50により測定した硬さを制御装置60に入力し、制御装置60では、出側硬さ測定器50により測定した硬さをもとに、冷間圧延機10の圧下(上下ワークロールの間隙)をフィードバック制御する。
あるいはまた、上記フィードフォワード制御およびフィードバック制御の両方を同時に実施してもよい。
10 冷間圧延機
20 ペイオフリール
30 テンションリール
40 入側硬さ測定器
50 出側硬さ測定器
60 制御装置
20 ペイオフリール
30 テンションリール
40 入側硬さ測定器
50 出側硬さ測定器
60 制御装置
Claims (2)
- 質量%で、C+N:0.04%超〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、Cr:10.0%超〜14.5%を含有する鋼素材を熱間圧延し、焼鈍し、次いで、硬さを測定し、該測定した硬さをもとに決まる圧下率で冷間圧延することを特徴とする打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法。
- 前記冷間圧延を行う冷間圧延機の入側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードフォワード制御、及び/又は、前記冷間圧延を行う冷間圧延機の出側に設けた硬さ測定器により測定した硬さをもとに、前記冷間圧延機の圧下をフィードバック制御することを特徴とする打ち抜き加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法。
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