以下、本発明に係る現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
先ず、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成及び動作について説明する。
図1は、本発明に係る現像装置を用いた画像形成装置の一実施例の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置100は、電子写真プロセスを利用した、中間転写方式、プロセスカートリッジ方式のフルカラーレーザープリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成手段として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部110Y、110M、110C、110Kを有する。各画像形成部110Y、110M、110C、110Kには、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色用のプロセスカートリッジBY、BM、BC、BKが、画像形成装置100の本体(装置本体)Aに対して取り外し可能に装着される。各プロセスカートリッジBY、BM、BC、BKは、転写装置120が備える中間転写体としての中間転写ベルト117の表面の移動方向に沿って一列に(本実施例では略垂直方向)に並べられている。各色のプロセスカートリッジBY、BM、BC、BKで形成されたトナー像が、転写装置120の中間転写ベルト117上に1次転写され、その後転写材P上に2次転写されることで、フルカラー画像が形成される。プロセスカートリッジBY、BM、BC、BKにおける画像形成工程についての詳細は後述する。
ここで、本実施例では、各画像形成部110Y、110M、110C、110Kの構成及び動作は、使用する現像剤のトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
更に説明すると、画像形成部110には、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム111が配置されている。感光ドラム111は、図中矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光ドラム111の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ112、露光手段としてのスキャナーユニット113、現像手段としての現像装置114、クリーニング手段としてのクリーニング装置116が配置されている。
又、各画像形成部110の感光ドラム111の全てに対向するように転写装置120が配置されている。転写装置120は、中間転写体としての無端状ベルトで形成された中間転写ベルト117を、図示矢印R5方向に回転(周回移動)可能に有する。又、転写装置120において、中間転写ベルト117を挟んで各感光ドラム111の対向位置には、1次転写手段としての1次転写ローラ115が設けられている。1次転写ローラ115は、中間転写ベルト117を感光ドラム111に向けて押圧し、中間転写ベルト117と感光ドラム111とを接触させて1次転写部N1を形成する。更に、中間転写ベルト117を挟んで、中間転写ベルト117が張架された複数のローラのうちの1つに対向する位置に、2次転写手段としての2次転写ローラ118が設けられている。2次転写ローラ118は、中間転写ベルト117に接触して2次転写部N2を形成する。
本実施例では、感光ドラム111と、感光ドラム111に作用するプロセス手段としての帯電ローラ112、現像装置114及びクリーニング装置116とが、枠体によって一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジBを構成する。
ここで、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、これに作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうち少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置の本体に対して着脱可能としたものをいう。
例えば、フルカラー画像形成持には、各画像形成部110のプロセスカートリッジBにおいて感光ドラム111上に形成されたトナー像は、各1次転写ローラ115により、中間転写ベルト117上に重ね合わせて転写(1次転写)される。次いで、この中間転写ベルト117上の多重トナー像は、中間転写ベルト117の表面の移動方向において更に下流側に設けられた2次転写ローラ118により、一括して記録紙などの転写材P上に転写(2次転写)される。
尚、2次転写工程後に中間転写ベルト117上に残留した未転写トナーは、中間転写ベルトクリーナー119によって回収される。
転写材Pは、転写材供給手段としての転写材供給装置130によって、2次転写転写部N2に供給される。即ち、転写材Pは、装置本体Aの下部のカセット131内に積載されており、印字動作の要求と共に転写材供給ローラ132により搬送され、2次転写部N2に供給される。
2次転写部N2においてトナー像が転写された転写材Pは、その後、定着手段としての定着ユニット140へと搬送される。定着ユニット140により転写材P上のトナー像は転写材Pに加熱定着される。トナー像が定着された転写材Pは、転写材排出部150を経て装置本体Aの外部に排出される。
本実施例では、装置本体Aは、転写装置120が取り付けられた扉(図示せず)を開放することで、プロセスカートリッジBを装置本体Aに対して着脱することができるようになっている。紙詰まりの処理やプロセスカートリッジBの交換は、この扉を開放して行う。
尚、本実施例では、プロセスカートリッジBのトナー容量を含む寿命は、A4用紙印字率5%換算で4000枚相当に設定されている。
[プロセスカートリッジにおける画像形成プロセス]
次に、プロセスカートリッジBにおける画像形成プロセスについて説明する。
図2は、本実施例におけるプロセスカートリッジBの概略断面を示す。
画像形成プロセスの中心となる感光ドラム111は、アルミニウム製シリンダの外周面に、機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングしたOPC(有機光導電体)感光ドラムである。画像形成プロセスにおいて、感光ドラム111は、所定の速度で図中矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。
帯電ローラ112は、芯金上に弾性層として導電性ゴムのローラ部を有する。そして、帯電ローラ112は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム111に加圧接触させて図中矢印R2方向(反時計回り)に従動回転する。ここで、帯電工程において、帯電ローラ112の芯金には、感光ドラム111に対して−1100Vの直流電圧が印加される。これにより誘起された電荷によって、感光ドラム111の表面電位は、−550Vの一様な暗部電位(Vd)とされる。
帯電ローラ112によって一様な表面電荷分布が形成された感光ドラム111の表面に対して、スキャナーユニット113による像露光が行われる。即ち、スキャナーユニット113は、画像データに対応して発光されるレーザ光のスポットパターンLで感光ドラム111上を露光する。感光ドラム111上の露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位が明部電位Vl=−100V、未露光部位が暗部電位Vd=−550Vの静電潜像(静電像)が、感光ドラム111上に形成される。
この静電潜像は、現像装置114により現像される。詳しくは後述するように、現像装置114は、現像剤担持体としての現像ローラ4上に形成された、所定のコート量及び電荷量のトナーコート層からトナーを静電潜像に転移させることで、静電潜像を反転現像方式で現像する。即ち、感光ドラム111の帯電極性と同極性に帯電したトナーを、感光ドラム111上の露光により電荷が減衰した明部電位部に付着させる。現像ローラ4は、感光ドラム111に接触しながら、図中矢印R3方向(反時計回り)に回転駆動される。即ち、感光ドラム111と現像ローラ4とは、感光ドラム111と現像ローラ4とが接触する現像部において互いの表面が順方向に移動するように回転する。本実施例では、現像ローラ4には、現像バイアスとして、−350Vの直流電圧が印加される。そして、現像部において、感光ドラム111と現像ローラ4との間に形成される電位差によって、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが感光ドラム111上の明部電位部にのみ飛翔する。これにより、感光ドラム111上に形成された静電潜像は実像化される。
中間転写ベルト117は、各感光ドラム111に対向して配置された1次転写ローラ115により各感光ドラム111に向けて加圧され、各感光ドラム111に接触する。1次転写ローラ115には、1次転写バイアスとして直流電圧が印加され、感光ドラム111との間で転写電界が形成される。これにより、感光ドラム111上のトナー像は、中間転写ベルト117と感光ドラム111とが加圧接触する転写領域において、転写電界の力を受けて感光ドラム111上から中間転写ベルト117上に転写(1次転写)される。
一方、1次転写工程後に中間転写ベルト117に転写されずに感光ドラム111上に残った未転写トナーは、クリーニング装置116によって回収される。即ち、クリーニング装置116は、クリーニング部材としての弾性体であるウレタンゴム製のクリーニングブレード116aによって、感光ドラム111の表面からトナーを掻き落とし、トナー回収容器116b内に収納する。
[現像装置]
(1)現像装置の全体構成
次に、本実施例における現像装置114について説明する。
図3は、本実施例における現像装置114の概略断面を示す。
現像装置114は、現像装置枠体7と、現像剤担持体としての現像ローラ4と、現像剤供給部材としての供給ローラ5と、現像剤量規制手段1と、撹拌部材6と、を有する。現像装置枠体7は、内部に現像剤として非磁性一成分現像剤、即ち、トナーTを収容する室を形成する。現像ローラ4は、感光ドラム111に対向する位置において現像装置枠体7の開口部71から一部現像装置枠体7の外部に露出するようにして、回転可能に現像装置枠体7に設けられている。又、現像ローラ4は、感光ドラム111に対して接触しながら、図中矢印R3方向(反時計回り)、即ち、感光ドラム111との接触部である現像部において感光ドラム111の表面の移動方向に対して表面が順方向に移動するように回転する。供給ローラ5は、現像ローラ4に対して接触しながら、図中矢印R4方向(反時計回り)、即ち、現像ローラ4との接触部において現像ローラ4の表面の移動方向に対して表面が逆方向に移動するように回転する。現像剤量規制手段1は、詳しくは後述するように、現像ローラ4に接触して現像ローラ4上のトナーを規制する規制部材2と、規制部材2を保持する保持部材3とを有する。撹拌部材6は、現像装置枠体7内のトナーTを撹拌すると共に、供給ローラ5に向けて搬送する。
本実施例では、現像ローラ4としては、外径φ6mmの芯金上に、導電性の厚さ3mmの弾性層を形成した、外径φ12mmの弾性ローラを用いた。又、上記弾性層には、体積抵抗値106Ωmのシリコーンゴムを用いた。尚、上記弾性ローラの表層には、現像剤への電荷付与機能を持つコート層などを設けてもよい。本実施例では、現像ローラ4を弾性変形させて感光ドラム111に安定して接触させるために、上記弾性層の硬度をJIS−Aで45°とした。又、現像ローラ4の表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、十点平均粗さRzで3μm〜15μmが好ましい。例えば、使用するトナーの粒径が体積平均粒径で6μmであれば、現像ローラ4の表面粗さは、好適には十点平均粗さRzで5μm〜12μmである。ここで、十点平均粗さRzは、JIS B0601に定義されているものであり、測定には小坂研究所製の表面粗さ試験器「SE−30H」を使用した。
又、本実施例では、供給ローラ5としては、外径φ5mmの芯金上に、発泡骨格構造で比較的低硬度の厚さ5.5mmのポリウレタンフォームの層を形成した、外径φ16mmの弾性スポンジローラを用いた。供給ローラ5は、好ましくは連泡性の発泡体で構成することにより、過大な圧を加えることなく現像ローラ4に当接させることができる。又、供給ローラ5は、連泡性の発泡体で構成することにより、発泡体表面の適度な凸凹で、現像ローラ4上へのトナーの供給、及び現像時に消費されずに現像ローラ4上に残留したトナーの剥ぎ取りを、良好に行うことができる。このセル構造の掻き取り性は、ウレタンフォームに限定されるものでなく、シリコーンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDMゴム)などを発泡させたゴムなどを使用した場合にも得ることが可能である。
そして、現像ローラ4の回転方向(表面の移動方向)R3において供給ローラ5と現像ローラ4との接触部より下流側に、現像ローラ4に当接する規制部材2と、これを保持する保持部材3とを備えた現像剤量規制手段1が設けられている。現像剤量規制手段1は、感光ドラム1上の静電潜像の現像に適するように、現像ローラ4上のトナーのコート量を所定のコート量に制御し、又現像ローラ4上のトナーの電荷量を所定の電荷量に制御することを目的とするものである。
(2)現像剤量規制手段
本実施例の現像装置114が備える現像剤量規制手段1は、図4(a)に示すように、可撓性のシート状部材で形成された規制部材、即ち、可撓性シート部材2と、この可撓性シート部材2を保持する保持部材3と、を有する。可撓性シート部材2は、長手方向(現像ローラ4の回転軸線方向に沿う方向)に渡って短手方向(長手方向と略直交する方向)が湾曲するように曲げられることにより、長手方向に見たときに断面がU字形状とされる。
ここで、詳しくは後述するように、可撓性シート部材2の短手方向の一方の端部近傍の第1の当接部を構成する平面状の第1の支持受け面21aは、保持部材3の凹部31の内壁である支持部を構成する第1の支持面31aに加圧当接する。又、可撓性シート部材2の短手方向の他方の端部近傍の第2の当接部を構成する平面状の第2の支持受け面22aは、保持部材3の凹部31の内壁である支持部を構成する第2の支持面31bに加圧当接する。
上述のように可撓性シート部材2の第1、第2の当接部21、22が保持部材3の凹部の内壁に当接する加圧力が働く理由は、次の通りである。即ち、可撓性シート部材2が、長手方向に渡って短手方向が湾曲するように曲げられた姿勢から戻ろうとする図示矢印F−1の方向に向けた復元力(弾性力)が作用するためである。
そのため、現像ローラ4を取り付けていない状態において、可撓性シート部材2は、未接着或いは長手方向の一部のみの接着でも、保持部材3によって安定して支持される。その結果、規制部材の接着ムラなどの発生を排除できるため、現像ローラ4の長手方向に対応する方向における画像の濃度ムラの発生を著しく抑制することができる。
更に、図4(a)に示すように、可撓性シート部材2は、現像ローラ4との当接部である第3の当接部23において、可撓性シート部材2が形成するU字形状の内側の中空部24の容積が減少するように、現像ローラ4の周表面に沿って変形する。そのため、可撓性シート部材2と現像ローラ4との接触幅、つまり、当接幅を十分大きく確保することができる。その結果、可撓性シート部材2と現像ローラ4との当接を安定して行うことができる。つまり、当接圧のバネ定数は、中空部24の大きさと可撓性シート部材2の肉厚、硬度を調節することで、所望の当接圧を安定して得られるように設定することができる。
このように、可撓性シート部材2を保持部材3に対して未接着或いは可撓性シート部材2の長手方向の一部のみの軽接着にすることは、簡易な構成で、安定したトナー層を現像ローラ4上に形成できる点で非常に有利である。
しかしながら、可撓性シート部材2が保持部材3に対して未接着或いは可撓性シート部材2の長手方向の一部のみの軽接着である場合、可撓性シート部材2の長手方向の両端でのトナー漏れ防止の信頼性に課題があることが分かった。つまり、可撓性シート部材2が保持部材3に対して未接着或いは可撓性シート部材2の長手方向の一部のみの軽接着であると、可撓性シート部材2は、その長手方向において位置決めされ難い。そのため、耐久変動で可撓性シート部材2が長手方向の片側に寄ることによる位置ズレが発生することがある。その結果、可撓性シート部材2の長手方向の端部において端部シール部材との間に隙間が生じ、その隙間からトナー漏れが発生することがある。
従って、本実施例の主要な目的は、シート状の規制部材を未接着又は軽接着にて支持部に支持させる現像剤量規制手段を用いる場合であっても、シート状の規制部材の長手方向の端部における現像剤漏れ防止の信頼性を向上させることである。
本実施例のより詳細な目的の1つは、簡易な構成により、現像装置枠体7からのトナー漏れ、可撓性シート部材2の長手方向への位置ズレにより発生するトナー漏れを抑制することである。又、本実施例のより詳細な目的の他の1つは、現像ローラ4に当接する可撓性シート部材2の曲率を有する部分に発生した歪みの影響よる、現像ローラ4上のトナーコート不良の発生を抑制することである。更に、本実施例のより詳細な目的の他の1つは、現像装置の小型化に際して、高精度な組立精度を必要とすることなく性能向上を図ることを可能とすることである。
そこで、本実施例では、後述して詳しく説明するような、現像ローラ4の表面の移動方向と交差する方向における現像ローラ4の端部と現像装置枠体7との間からのトナーの流出を規制するための端部シール手段10を設ける。
次に、本実施例における現像剤量規制手段1について更に詳しく説明する。
上述のように、本実施例では、現像ローラ4に担持されるトナーの量を規制するための現像剤量規制手段1は、現像ローラ4に当接するシート状の規制部材である可撓性シート部材2と、可撓性シート部材2を支持する支持部を備えた保持部材3と、を有する。可撓性シート部材2は、現像ローラ2の表面の移動方向と交差する方向に沿う長手方向に渡って該長手方向と略直交する短手方向が湾曲するように曲げられて上記支持部に支持されている。そして、可撓性シート部材2は、その湾曲の凸側の表面における当接部で現像ローラ4に圧接するようになっている。
更に説明すると、図4(c)は、本実施例の現像剤量規制手段1において、U字形状に保持された可撓性のシート状部材で形成された規制部材、即ち、可撓性シート部材2を、現像ローラ4に当接させる前の状態を示している。
図4(c)に示すように、シート状の規制部材である可撓性シート部材2は、長手方向(現像ローラ4の回転軸線方向に沿う方向)に見たときに断面が略コの字形状とされた保持部材3により保持される。可撓性シート部材2は、長手方向(現像ローラ4の回転軸線方向に沿う方向)に渡って短手方向(長手方向と略直交する方向)が湾曲するように曲げられることにより、長手方向に見たときに断面がU字形状とされる。可撓性シート部材2は、その短手方向が、現像ローラ4の表面の移動方向に沿うようにして、現像装置114に設置される。
ここで、可撓性シート部材2は、その短手方向の両端部近傍が、保持部材3の凹部31の内壁に当接して、保持部材3による支持を受ける。この可撓性シート部材2の短手方向の両端部近傍の保持部材3の凹部31の内壁に対する当接部のうち、現像ローラ4の回転方向(表面の移動方向)R3において下流側に配置されるものを第1の当接部(支持受け部)21とする。
第1の当接部21は、可撓性シート部材2の短手方向端部側の平面状の第1の支持受け面21aと、この第1の支持受け面21aに交差する第1の短手端面21bと、により構成される。
第1の支持受け面21aは、保持部材3の凹部31の内壁である支持部を構成する第1の支持面31aに加圧当接する。この加圧力が働く理由は、可撓性シート部材2が、長手方向に渡って短手方向が湾曲するように曲げられた姿勢から戻ろうとする図示矢印F−1の方向に向けた復元力(弾性力)が作用するためである。又、この復元力F−1を確実に作用させるために、第1の支持受け面21aは平面状とされ、面接触で第1の支持面31aに当接する。
一方、可撓性シート部材2の短手方向の両端部近傍の保持部材3の凹部31の内壁に対する当接部のうち、現像ローラ4の回転方向(表面の移動方向)R3において上流側に配置されるものを第2の当接部(支持受け部)22とする。
第2の当接部22は、第1の当接部21と同様、可撓性シート部材2の短手方向端部側の平面状の第2の支持受け面22aと、この第2の支持受け面22aに交差する第2の短手端面22bと、により構成される。
そして、可撓性シート部材2は断面がU字形状とされているため、第1の当接部21の第1の支持受け面21aと同様、第2の当接部22の第2の支持受け面22aは、保持部材3の凹部31の内壁である支持部を構成する第2の支持面31bに加圧当接する。これは、上述のように、復元力F−1の作用によるものである。又、この復元力F−1を確実に作用させるために、第2の支持受け面22aは平面状とされ、面接触で第2の支持面31bに当接する。
このようにして、可撓性シート部材2は、現像ローラ4を取り付けていない状態において、第1、第2の当接部21、22が未接着或いは長手方向の一部のみの接着でも、保持部材3によって安定して保持される。
尚、本実施例では、第1、第2の当接部21、22は、未接着にて保持部材3により支持されている。
図4(a)は、現像ローラ4に、U字形状に保持された可撓性シート部材2を、所定の押し込み量で当接させた時の状態を示している。
ここで、現像ローラ4に当接する可撓性シート部材2の部分を第3の当接部23とする。第3の当接部23は、可撓性シート部材2の短手方向の両端部である第1の当接部21と第2の当接部22との間に位置するように設定されている。
U字形状に保持された可撓性シート部材2に対して現像ローラ4を押し込むと、第3の当接部23は、図示矢印F−2の方向に向けた加圧力を現像ローラ4から受ける。この加圧力F−2を第3の当接部23が受けると同時に、可撓性シート部材2の短手方向の両端部は、可撓性シート部材2がU字形状に曲げられた姿勢から戻ろうとする復元力F−1と同じ方向に広がろうとする。つまり、復元力F−1と同じ方向への力が増加する。その結果、可撓性シート部材2は、保持部材3によって、より安定して支持される。
又、U字形状に支持された可撓性シート部材2が第3の当接部23において現像ローラ3によって押し込まれると、第1の当接部21の第1の短手端面21bは、保持部材3の凹部31の内壁である支持部を構成する底面31cに確実に当接する。これにより、第1の短手端面21bは、所定の位置に位置決めされて、その移動は規制される。更に、U字形状に支持された可撓性シート部材2が第3の当接部23において現像ローラ3によって押し込まれると、第2の当接部22の第2の短手端面22bは、保持部材3の凹部31の内壁である支持部を構成する底面31cに確実に当接する。これにより、第2の短手端面22bは、所定の位置に位置決めされて、その移動は規制される。
又、U字形状に支持された可撓性シート部材2が第3の当接部23において現像ローラ4によって更に押し込まれると、可撓性シート部材2は、U字形状の中央部に形成された中空部24に向けて、現像ローラ4の周表面に沿うように変形する。つまり、可撓性シート部材2と現像ローラ4とが当接した状態においては、可撓性シート部材2と現像ローラ4とが当接していない状態の可撓性シートの曲率2aを維持していないことを意味する。
このように、可撓性シート部材2が変形することで弾性力が生じ、現像ローラ4上のトナーの量を規制するために安定した当接圧を確保することができる。
本実施例では、可撓性シート部材2は、材料として硬度がJIS−Aで70°の弾性体であるウレタンゴムを用いた、肉厚0.4mm、短手方向の長さ14.2mmのシート材で作製される。そして、この可撓性シート部材2を、現像ローラ4の回転軸線方向と略直交する方向の幅が6.0mmの保持部材3の凹部31で受けることにより、上記U字形状が形成される。又、本実施例では、可撓性シート部材2は、感光ドラム111の回転軸線方向における画像形成領域に対応する領域より長い長手方向の長さを有する。
尚、本実施例では、可撓性シート部材2の材料としてウレタンゴムを用いているが、その他に、シリコーンゴム、NBRゴムなどのゴム弾性体を用いてもよく、本実施例と同様の効果を得ることができる。
又、本実施例では、可撓性シート部材2と現像ローラ4との当接条件は、次のように設定した。即ち、可撓性シート部材2の現像ローラ4に対する押し込み量を0.5mmにすることで、可撓性シート部材2の現像ローラ4に対する当接圧(現像ローラ4の母線方向の線圧)の設定値が30N/mになるように設定した。ここで、上記押し込み量とは、可撓性シート部材2の先端位置と現像ローラ4の表面との仮想のオーバーラップ量である。
尚、上記当接圧の測定方法としては、薄膜のシート形状の圧力センサー(例えば、プレスケール;富士写真フイルム社製など)を用いるのが一般的である。しかし、本実施例においては、当該当接圧が低く、一般的な圧力センサーでは測定が難しかった。そのため、本実施例では、次のようにして、上記当接圧の測定を行った。即ち、厚さ20μmのSUS304鋼帯のH材を三枚重ねにして、可撓性シート部材2と現像ローラ4との当接部に挿入し、当接面の接線方向に中央の薄板をバネ秤で引き抜く。そして、そのときの引き抜き力を測定することで、この圧力測定治具に既知の負荷をかけた場合の引き抜き圧測定による校正値と当接幅とから上記当接圧を求めた。
(3)端部シール手段
次に、本実施例における、現像ローラ4の回転軸線方向両端における、現像ローラ4と現像装置枠体7の開口部71との隙間からのトナー漏れを防止するための端部シール手段10について説明する。
図5は、本実施例の現像装置114の要部の斜視図であり、端部シール手段10の付近を拡大して詳細に示している。
本実施例では、端部シール手段10は、現像ローラ4の回転軸線方向の各端部について、次のような第1、第2の端部シール部材8、9を有する。第1の端部シール部材8は、現像ローラ4の端部と現像装置枠体7との間で挟持されると共に可撓性シート部材2の長手方向の端面25に当接するように設けられた弾性を有する部材である。又、第2の端部シール部材9は、可撓性シート部材2の長手方向の端部においてその湾曲の凸側の表面から可撓性シート部材2を押圧するように設けられた部材である。以下、更に詳しく説明する。
先ず、現像ローラ4の回転軸線方向両端には、トナー漏れ防止のために、現像剤漏れ防止部材としての、第1の端部シール部材8が設けられている。第1の端部シール部材8は、可撓性シート部材2の長手方向の両端において、可撓性シート部材2の曲率を有する部分の長手方向の端面25に当接して設置される(図8(a))。第1の端部シール部材8は、現像ローラ4の回転軸線方向の両方の端部に対してそれぞれ1個ずつ、全体で2個設けられている。
本実施例では、第1の端部シール部材8として、弾性を有する材料(弾性体)で作製されたものを用いた。特に、本実施例では、第1の端部シール部材8は、弾性を有するフェルト植毛材で作製されている。第1の端部シール部材8を構成する弾性体としては、この他に弾性発泡体などを用いることもできる。
より詳しくは、第1の端部シール部材8は、図7中の斜線部にて示す、現像装置枠体7の一部に設けられた壁面72の第1のシール固定領域72aに貼り付けられる。
ここで、図6(b)に示すように、壁面72は、現像ローラ4の周面と一定の隙間Idを持つように現像装置枠体7の一部に設けられている。第1の端部シール部材8は、この壁面72上の第1のシール固定領域72aに貼り付けられる。そして、図6(a)のように、第1の端部シール部材8の厚みSdは、上記隙間Idより大きく、即ち、次式、
Sd>Id
が成り立つように設定される。
従って、第1の端部シール部材8は、現像ローラ4と壁面72(より詳細には、第1の端部シール部材8を貼り付けている座面である第1のシール固定領域72a)との間で圧縮されることにより、トナー漏れを防ぐ。
そして、この第1の端部シール部材8は、図8(a)中の梨点部にて示す、第1の端部シール部材8の側面81である規制領域81aの一部が可撓性シート部材2の長手方向の端面(長手端面)25に当接するように設定されている。これにより、可撓性シート部材2の長手方向の位置決めが行われる。
尚、第1の端部シール部材8の取り付け方法は、現像ローラ4の回転軸線方向の両端部に対応するそれぞれのものについて実質的に同一である。
一方、現像ローラ4の回転軸線方向両端には、トナー漏れ防止のために、現像剤漏れ防止部材としての、第2の端部シール部材9が設けられている。第2の端部シール部材9は、可撓性シート部材2の長手方向の両端部において、可撓性シート部材2の曲率を有する部分の第3の当接部23を挟んだ両方の外側面を押圧するように設置される。即ち、第2の端部シール部材9は、可撓性シート部材2の長手方向の端部において、その湾曲の凸側の表面を第3の当接部23を挟んで両側から押圧するように設けられる(図8(b))。第2の端部シール部材9は、現像ローラ4の回転軸線方向の両方の端部に対してそれぞれ2個ずつ、全体で4個設けられている。
ここで、現像ローラ4の表面の移動方向において、第3の当接部23を挟んで下流側、上流側に設けられる第2の端部シール部材9をそれぞれ、下流側の第2の端部シール部材9a、上流側の第2の端部シール部材9bとする。尚、後述する第2のシール固定領域32、押圧部26についても、それぞれ下流側の第2の端部シール部材9aに対応するものは下流側の第2のシール固定領域32a、押圧部26aとする。同様に、上流側の第2の端部シール部材9bに対応するものは上流側の第2のシール固定領域32b、押圧部26bとする。但し、本明細書では、第2の端部シール部材、第2のシール固定領域、押圧部について、上流側のものと下流側ものとを区別せずに総括的に説明する場合は、単に第2の端部シール部材9、第2のシール固定領域32、押圧部26という。
本実施例では、第2の端部シール部材9として、剛性を有する材料(剛体)である金属材料で作製されたものを用いた。特に、本実施例では、第2の端部シール部材8を構成する金属材料として、アルミニウムを使用した。但し、第2の端部シール部材8を構成する剛体としては、金属材料の他に、プラスチックなども用いることができる。
より詳しくは、第2の端部シール部材9は、図7中の斜線部にて示す、保持部材3の外壁面の一部である、第2のシール固定領域32に接着などにより固定される。即ち、図4をも参照して、第2のシール固定領域32は、断面が略コの字形状の保持部材3の長手方向の両端部において、現像ローラ4の表面に対向する、現像ローラ4の表面の移動方向に交差する方向に延在する部分の端面(保持部材端面)にそれぞれ形成される。
そして、この第2の端部シール部材9は、可撓性シート部材2の長手方向の端部において、第3の当接部23を挟んで反対側に位置する両方の外側面を押圧するように設置される。
従って、図7に示すように、可撓性シート部材2の長手方向の端部における外側面には、現像ローラ4と当接する第3の当接部23と、第2の端部シール部材9により押圧される押圧部26と、が形成される。
更に説明すると、図8(b)に示すように、第2の端部シール部材9は、可撓性シート部材2の外側面に対して、図示矢印F−αの方向、即ち、前述の復元力F−1とは略反対方向の押圧力を適用し、可撓性シート部材2を押圧するように設置される。このとき、図9に示すように、可撓性シート部材2の長手端面25と、第1の短手端面21bとは、移動可能な自由端部27aを形成する。同様に、可撓性シート部材2の長手端面25と第2の短手端面22bとは、もう1つの移動可能な自由端部27bを形成する。そのため、可撓性シート部材2は、押圧力F−αが適用されても、上記各自由端部27a、27bへ向けて力を逃がすように変形することができる。従って、押圧部26a、26b(図7)において可撓性シート部材2を押圧するように第2の端部シール部材9a、9bを設置したとき、第3の当接部23に歪みが生じることはない。その結果、第3の当接部23における歪みの影響によって発生する現像ローラ4上のトナーコート不良を抑制することができる。
尚、第2の端部シール部材9の取り付け方法は、現像ローラ4の回転軸線方向の両端部に対応するそれぞれのものについて実質的に同一である。
このように、本実施例によれば、第1の端部シール部材8と第2の端部シール部材9とを用いることにより、可撓性シート部材2の長手方向の端部に対応する箇所の画像不良を生じさせることなく、現像装置枠体7からのトナー漏れを抑制することができる。
ところで、本実施例では、可撓性シート部材2は、保持部材3に対し、未接着で保持されている。このように規制部材を未接着又は軽接着にて保持部材に保持させる構成では、前述のように、耐久変動などで規制部材の長手方向の位置ズレが発生し易い。このような位置ズレが起きた場合には、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間に隙間が生じ、その隙間からトナー漏れが発生する虞がある。
しかし、本実施例では、可撓性シート部材2の長手方向の両端部において、第3の当接部23を挟んで反対側に位置する両方の外側面を、図9中の矢印F−αの方向に押圧するように第2の端部シール部材9を設置する。即ち、第2の端部シール9によって、可撓性シート部材2に対して、可撓性シート部材2の長手方向に見たときの中空部24の略中央に向かう方向の力F−αが適用される。これにより、図9中の矢印F−βの方向、即ち、可撓性シート部材2の長手方向の両端部から長手方向の中央部に向かう方向の力が発生する。この力F−βにより、耐久変動などによる可撓性シート部材2の長手方向の位置ズレは抑制される。つまり、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間に隙間が生じることを防ぐことができ、その結果、その隙間からのトナー漏れを防ぐことができる。
第2の端部シール部材9の可撓性シート部材2に対する押し込み量には幅を持たせることができる。なぜなら、第2の端部シール部材9を可撓性シート部材2に対してわずかに押し込んだだけでも、上記の力F−βが十分に働き、可撓性シート部材2の長手方向の位置ズレを抑制することができるからである。つまり、第2の端部シール部材9は、高い組立精度を要しない。その結果、現像装置114の小型化に際しても、第1の端部シール部材8の高い組立精度を必要とせず、小型化し易いという利点がある。
又、第2の端部シール部材9による押圧力で可撓性シート部材2の長手方向の位置ズレを抑制することができるので、第1の端部シール部材8は、可撓性シート部材2の長手端面25に押圧させて、密着性を過剰に確保する必要はない。従って、第1の端部シール部材8は、可撓性シート部材2の長手端面25に対して所望圧以上の圧力をかける必要がなく、典型的には、単に接触していればよい。つまり、第1の端部シール部材8は、高い組立精度を要しない。その結果、現像装置114の小型化に際しても、第1の端部シール部材8の高い組立精度を必要とせず、小型化し易いという利点がある。
以上説明したように、本実施例では、現像剤量規制手段1は、現像ローラ4と当接するシート状の規制部材である可撓性シート部材2と、可撓性シート部材2を支持する支持部31a、31b、31cを有する保持部材3と、を有する。可撓性シート部材2は、その短手方向の一端側に、支持部31aによって支持される第1の当接部21を有する。又、可撓性シート部材2は、その短手方向の他端側に、支持部31bによって支持される第2の当接部22を有する。更に、可撓性シート部材2は、その短手方向において、第1の当接部21と第2の当接部22との間に、現像ローラ4に当接する第3の当接部23を有する。
第1の当接部21は、可撓性シート部材2の平面状の第1の支持受け面21aと、この第1の支持受け面21aに交差する第1の短手端面21bと、を有する。第1の支持受け面21aは、可撓性シート部材2が長手方向に渡って短手方向が湾曲するように曲げられたことにより生じる弾性力、又は、第3の当接部23が現像ローラ4により押圧されたことにより生じる弾性力によって、支持部31aに当接して支持される。第1の短手端面21bは、第3の当接部23が現像ローラ4により押圧されたことにより現像ローラ4から受ける力によって支持部31cに当接して支持される。
第2の当接部22は、可撓性シート部材2の平面状の第2の支持受け面22aと、この第2の支持受け面22aに交差する第2の短手端面22bと、を有する。第2の支持受け面22aは、可撓性シート部材2が長手方向に渡って短手方向が湾曲するように曲げられたことにより生じる弾性力、又は、第3の当接部23が現像ローラ4により押圧されたことにより生じる弾性力によって、支持部31bに当接して支持される。第2の短手端面22bは、第3の当接部23が現像ローラ4により押圧されたことにより現像ローラ4から受ける力によって支持部31cに当接して支持される。
第3の当接部23は、現像ローラ4に当接していない状態における曲げられた可撓性シート部材2の曲率を有する形状から、現像ローラ4の表面に沿って変形させられた状態で、現像ローラ4に当接する。
そして、本実施例では、現像ローラ4の回転軸線方向の両端部からのトナーの流出を規制するための端部シール手段10は、第1の端部シール部材8と、第2の端部シール部材9と、を有する。第1の端部シール部材8は、弾性を有しており、現像ローラ4の長手方向の端部と現像装置枠体7との間において、現像ローラ4の表面に接触し、且つ、第3の当接部23に交差する可撓性シート部材2の長手方向の端面25に当接して設けられる。第2の端部シール部材9は、可撓性シート部材2の長手方向の端部において、第3の当接部23を挟んで反対側に位置する可撓性シート部材2の両方の外側面の押圧部26において可撓性シート2を押圧するようにして設けられる。
本実施例によれば、現像ローラ4上に安定したトナーの層を形成することができる。即ち、本実施例では、第3の当接部23に交差する可撓性シート部材2の長手方向の端面25に第1の端部シール部材8を当接させる。又、本実施例では、可撓性シート部材2の長手方向の端部において、第3の当接部23を挟んで反対側に位置する両方の外側面の押圧部26にて可撓性シート部材2を押圧する。これにより、第3の当接部23に歪みを生じさせないため、現像ローラ4上に安定したトナーの層を形成することができると同時に、現像装置枠体7からのトナーの漏れを抑制することができる。
又、本実施例によれば、可撓性シート部材2の位置ズレによる可撓性シート部材2と端部シール手段10との間の隙間からのトナーの漏れを著しく防止することができる。即ち、第2の端部シール部材9を、可撓性シート部材2の長手方向の端部において第3の当接部23を挟んで反対側に位置する両方の外側面の押圧部26にて可撓性シート部材2を押圧するように設置する。これにより、可撓性シート部材2の変形による復元力を可撓性シート部材2の長手方向の端部から長手方向の中央方向に向けることができ、可撓性シート部材2の長手方向における位置ズレを抑制することができる。更に、第1の端部シール部材8を、第3の当接部23に交差する可撓性シート部材2の長手方向の端面25に、過剰な当接圧を必要とすることなく当接させることにより、可撓性シート部材2の位置決めを行うことができる。その結果、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間に隙間が生じることを防ぎ、その隙間からのトナーの漏れを著しく防止することができる。
又、本実施例によれば、第1、第2の端部シール部材8、9に高い設置精度を要さずとも上記の効果を得ることができるため、現像装置の小型化を容易に行うことができる。
従って、本実施例によれば、可撓性シート部材2の長手方向の端部におけるトナー漏れ防止の信頼性を向上させることができる。
実施例2
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の現像装置は、基本的には実施例1の現像装置に準ずる。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、第2の端部シール部材9として弾性を有する材料(弾性体)で作製されたものを用いる点が実施例1とは異なる。本実施例では、特に、第2の端部シール部材9は、弾性体としてフェルト植毛材で作製した。この他、第2の端部シール部材9は、弾性体として弾性発泡体などで作製することもできる。
本実施例においても、基本的には実施例1と同等の効果を得ることができる。更に、本実施例では、第2の端部シール部材9として弾性体を用いたことで、第2の端部シール部材9の組立性は、実施例1のように第2の端部シール部材9が剛体の場合よりも向上する。これは、以下のような理由による。
即ち、第2の端部シール部材9が剛体である場合には、第2の端部シール部材9の可撓性シート部材2に対する押し込み量が増加するにつれて、可撓性シート部材2の端部形状は大きく変化する。これにより、可撓性シート部材2の長手方向の両端部から長手方向の中央部に向かう力F−βは急激に増加する。この力F−βが強すぎた場合には、感光ドラム111上の画像形成領域に対応する可撓性シート部材2上の第3の当接部23の領域に歪みが生じる虞がある。この領域の第3の当接部23に歪みが生じた場合には、現像ローラ4の表面上にトナーコート不良が生じる虞がある。
これに対し、第2の端部シール部材9が弾性を有する場合には、第2の端部シール部材9自身が変形することができる。そのため、第2の端部シール部材9の可撓性シート部材2に対する押し込み量が増加しても、第2の端部シール部材9が剛体の場合に比べて可撓性シート部材2の端部の形状変化は小さく、力F−βも緩やかに増加していく。従って、第2の端部シール部材9が弾性を有するものである場合には、第2の端部シール部材9の多少の設置誤差が生じたとしても、力F−βの変化は小さくて済む。その結果、第2の端部シール部材9が剛体の場合よりも第2の端部シール部材9の設置精度に対する要求は低くて済み、現像装置の小型化の際に有利である。
以上説明したように、本実施例では、第2の端部シール部材9が弾性を有する材料で構成される。これにより、第2の端部シール部材9の可撓性シート部材2に対する押圧力の変動を減少させて、第2の端部シール部材9の設置の自由度を増加させることができる。そのため、第2の端部シール部材9の設置を簡易に行うことができる。従って、実施例1と比して更に現像装置の小型化を容易に行うことができる。
実施例3
次に、本発明に係る更に他の実施例について説明する。本実施例の現像装置は、基本的には実施例1、2の現像装置に準ずる。従って、実施例1、2のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、図10に示すように、第1の端部シール部材(第1の端部シール部)8と第2の端部シール部材(第2の端部シール部)9とが一体となった端部シール手段10を用いる点が実施例1、2とは異なる。
尚、本実施例では、一体型の端部シール手段10は、弾性を有する材料(弾性体)であるフェルト植毛材で作製される。この他、一体型の端部シール手段10は、弾性体として弾性発泡体などで作製することもできる。
本実施例においても、基本的には実施例1と同等の効果を得ることができ、又第2の端部シール部材9が弾性を有する点では実施例2と同等の効果を得ることができる。更に、本実施例では、一体型の端部シール手段10を用いているため、第1の端部シール部材8と第2の端部シール部9との間に隙間が生じない。そのため、その隙間を通って可撓性シート部材2の長手方向の端部にトナーが流入することを防止することができる。従って、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との隙間にトナーが流入することを更に防ぐことができる。その結果、現像装置枠体7からのトナー漏れの防止性能が更に向上する。又、本実施例では、一体型の端部シール手段10を用いているため、その設置が更に簡易となり、組立性において実施例1、2の現像装置よりも優れている。又、本実施例における端部シール手段10は、実施例1、2で用いた第2の端部シール部材9と同様に力F−βを作用させるため、端部シール手段10の設置精度に対する要求は低くて済む。その結果、現像装置の小型化が更に容易になるという利点がある。
以上説明したように、本実施例では、第1の端部シール部材8と第2の端部シール部材9とが一体となった端部シール手段10を用いる。これにより、端部シール手段10の組立性が向上する。即ち、第1の端部シール部材8と第2の端部シール部材9とを一体化することで、端部シール手段10の設置が更に簡易に行えるようになる。従って、現像装置の小型化が更に容易に行えるようになる。又、一体型の端部シール手段10を用いることで、第1の端部シール部材8と第2の端部シール部材9との間に隙間が生じない。従って、可撓性シート部材2の長手方向の端面25にトナーが流入することが更に起こり難くなり、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間の隙間からのトナー漏れの防止性能が更に向上する。
比較例1
次に、本発明の効果の比較対照としての比較例の現像装置について説明する。本比較例の現像装置は、基本的には実施例1の現像装置に準ずるが、以下に説明する点で異なる。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本比較例は、図11に示すように、第1の端部シール部材8を可撓性シート部材2に対して、可撓性シート部材2の第3の当接部23へと現像ローラ4を押込む方向と同一方向に押込んで設置した点が実施例1と異なる。
尚、本比較例では、第1の端部シール部材8によって可撓性シート部材2の長手方向の位置ズレの抑制と、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間に生じ得る隙間からのトナー漏れ防止と、を行うものとして、第2の端部シール部材9は設けていない。
本比較例では、第1の端部シール部材8を上述のようにして設置しているため、図11のように、第3の当接部23に歪みが生じる。そして、その歪みが、感光ドラム111上の画像形成領域に対応する可撓性シート部材2上の第3の当接部23の領域に到達する。その結果、現像ローラ4の表面におけるトナーコート不良が生じる。又、第3の当接部23が歪むことにより、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間に隙間が生じた場合には、その隙間にトナーが流入し、トナー漏れの原因となる。
このように、本比較例は、実施例1において、第1の端部シール部材8を、その側面である規制領域81aの一部が可撓性シート部材2の長手端面25に当接するように設置することの優位性を示している。
比較例2
次に、本発明の効果の比較対照としての他の比較例の現像装置について説明する。本比較例の現像装置は、基本的には実施例1の現像装置に準ずるが、以下に説明する点で異なる。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本比較例は、第2の端部シール部材9を設置していない点が実施例1とは異なる。即ち、本比較例の現像装置は、端部シール手段10として、実施例1と同様の第1の端部シール部材8しか有していない。
そのため、本比較例では、この第1の端部シール部材8で、可撓性シート部材2の位置決めを行う必要がある。従って、図12に示す第1の端部シール部材8の側面である規制領域81aの一部を、可撓性シート部材2の長手端面25に、適切な力で押圧させる必要がある。
しかしながら、図13に示すように、この押圧させる力が強すぎた場合には、可撓性シート部材2の長手方向全体に歪みが生じてしまう。そして、この歪みが生じると、現像ローラ4の表面上のトナーコート不良を招く。逆に、この押圧させる力が弱すぎた場合には、可撓性シート部材2は長手方向に位置決めされず、耐久変動などで可撓性シート部材2の長手方向の位置がずれてしまう。そして、この位置ズレを起こした場合には、可撓性シート部材2と第1の端部シール部材8との間に隙間が生じ、その隙間からトナーが漏れる。その結果、第1の端部シール部材8の設置には高い精度が要求され、現像装置の小型化はし難い。
このように、本比較例は、実施例1において、第2の端部シール部材9を設置することの優位性を示している。
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施態様に限定されるものではないことを理解されたい。
例えば、上述の実施例では、現像装置はプロセスカートリッジとして電子写真感光体等と一体的に画像形成装置の本体に対して着脱可能とされているものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。現像装置は、単独で画像形成装置の本体に対して着脱可能なカートリッジ(現像カートリッジ)とされていてもよい。又、現像装置は、画像形成装置の本体に固定されていてもよい。
又、上述の実施例では、画像形成装置は複数の画像形成部を有するカラー画像形成装置であるものとして説明したが、本発明は、例えば図14に示すような単独の画像形成部を有する単色用の画像形成装置にも等しく適用でき、同じ効果を得ることができる。尚、図14において、図1に示す画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付しており、ここでは重複する説明は省略する。