JP2009126720A - カーボンナノチューブ製造装置および方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造装置および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アーク放電法によるCNT合成において連続的に安定な高純度かつ高収率な合成装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】 合成時の状態変動を陰陽極の給電端子間電圧によって判断し、合成電流と陽極の給電位置を変更し合成が安定な状態を保つ。
【選択図】 図7

Description

本発明は、アーク放電によるカーボンナノチューブ製造装置とカーボンナノチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下、CNTという。)は、炭素六員環の連なったグラフェンシートが丸まって円筒状になったものである。単層、2層から多層まであり、その大きさは、直径が0.3〜数百nm、長さが1〜数十μm程度のものである。CNTは細く高いアスペクト比を有し、電気伝導や機械的強度などの非常に優れた特性から、蛍光表示管、X線管、電子線発生装置、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の冷陰極型の電子放出源(エミッタ)や半導体集積回路の配線、SPMの探針等への利用が期待されている。
CNTの合成方法は、大きく分けてCVD法、レーザアブレーション法、アーク放電法の3種類あるが、アーク放電法の場合、最も結晶性が高い多層CNTを合成することができる。しかしながら、真空容器内の低圧不活性ガス雰囲気でスポット放電により合成される一般的なアーク放電法では、収量が少なく量産は困難である。さらに、アモルファスカーボンやナノポリヘドロンなどカーボン系の不純物が多いためCNTの純度が低い。CNTの量産性を改善する方法として、特許文献1に示すように陰極を移動させて放電し、生成したCNTを回収しながら連続的に合成する方法が提案されているが、一般的なアーク放電合成と同じでありCNT純度も同様に低いと考えられる。CNTの純度と量産性を向上させる方法として、特許文献2に示すように、大気中で中空陽極を用いて、中空陽極内部から不活性ガスを吹き付けてアーク放電を形成し、陰極を移動させながら大気中で不純物カーボンを燃焼させて高純度のテープ状CNTを連続的に合成する方法が提案されている。
また、陰陽極の消耗に対して連続合成を行うためには、放電電極間の間隔(ギャップ)を一定に保つ必要がある。そのため、電極の消耗量を検知するセンサを用いてギャップを調整することが特許文献1に記載されており、より具体的な方法としては、特許文献3にあるような放電時の電圧をモニタリングすることによって、放電電極間のギャップ変化を捉えギャップを一定に制御する方法が提案されている。
特開平07−216660号公報 特開2004−316051号公報 特開2004−224636号公報
以上の従来技術における大きな問題点は、陰極点を移動させることによって連続的な合成を実現するようにしたため、陰陽極間のギャップが一定の場合においても、アーク及び合成が不安定となることである。このアーク放電法は陰極領域からの熱電子放出により放電が維持され、自らのアーク放電の電流によるジュール発熱、放射光等により陰極領域が3000K以上の温度に加熱され、十分な熱電子放出をすることが安定放電の基本である。その陰極部を移動させると陰極温度が安定しないため電子放出も安定せず動き回り、アークが不安定となり放電の維持は難しくなる。また、移動しない陽極は陰極温度より500〜1000K高く、その領域からは、一部がCNT合成の原料となる大量のカーボンが蒸発し、消耗する。よって、連続的な合成においてその形状や温度、炭素蒸発量を一定に保つことは困難である。以上のように、アーク放電法は、陰陽極及びアークの状態が不安定なプロセスであるため、両極間のギャップが一定の条件に保たれていたとしても、高純度かつ高収率のCNTを連続的に合成することは難しい。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、アーク放電の陰極領域を移動させながらCNTを合成する際に、品質及び合成量の安定したCNT製造装置と方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するためには、陰陽極及びアークの状態変化を捉える手段と、それに応じて最適な合成条件に変更する手段が必要である。本発明においては、陰陽極及びアークの状態変化を捉える手段としては、陰陽極の通電端子間の電圧(以下、アーク電圧という。)を用いる。アーク電圧は、一般的にはアーク長とアーク電圧の一次関係からTIG溶接や特許文献3に示されているように、定電流下の陰陽極間のギャップ(すなわちアーク長)を一定に制御する際に用いられる。しかしながら、従来技術の合成方法では、アーク電圧によるギャップの一定制御を行った場合においても、ギャップ以外の変動要因による状態変化が大きいため安定化することはできなかった。逆にギャップの一定条件下でのアーク電圧変化は、陰陽極及びアークの状態変化に起因するものであることを見出した。例えば、陽極の加熱により炭素蒸発量が過剰になった場合、アーク電圧は急激に上昇する。一方、陽極からの炭素蒸発量が少なかった場合、陰極温度が高くなり安定なアーク状態であってもアーク電圧が下降する。前者では不純物の多いCNTが合成され、後者ではCNTは合成され難い。
上記のアーク電圧の変化は急激に起こる場合が多く、応答性の早い条件変更が求められる。そのための最適な方法は、瞬時の対応が可能な合成電流を変更することである。合成電流を下げれば、陰極及びアークからの輻射熱、アークからの電流流入による加熱、陽極のジュール発熱等が低下するため、陽極からの炭素蒸発量が少なくなり、結果としてアーク電圧は下降する。一方、合成電流を上げれば、陰極及びアークからの輻射熱、アークからの電流流入による発熱、陽極のジュール発熱等が上昇するため、陽極からの炭素蒸発量が多くなり、結果としてアーク電圧は上昇する。
上記の通電電流の変更は、陰陽極の両方がジュール発熱され温度変化を生じるため、両者が同程度の影響を受けた場合には安定化できないが、陰極よりも陽極への影響が大きいとの実験結果により、この方法を見出した。
もう一つの手段は、陽極の給電位置を変更することである。水冷等によって冷却された金属製の給電部は、その位置を変更することにより陽極の温度を制御することができる。給電位置をアークが発生している陽極先端へ近づけることにより、冷却とジュール発熱の低下によって陽極温度が下がり、アーク電圧が下降するため、炭素蒸発量を少なくすることができる。一方、給電位置を陽極先端から遠ざけることにより、アーク電圧が上昇するため、炭素蒸発量を多くすることができる。
すなわち、本発明は以下のような特徴を有している。
請求項1に記載の発明は、陰陽極間にアーク放電を発生させながら少なくとも一方の電極面を移動させることにより、連続的にカーボンナノチューブを合成する装置において、陰陽極材の給電部間の電圧を測定する電圧測定器と、合成電流を調節する電流調節器と陽極給電部の位置を調整する機構を有することを特徴とするカーボンナノチューブの製造装置に関するものである。
また、請求項2に記載の発明は、陰陽極材の給電部間の電圧値を一定に保つように合成電流と陽極給電部の位置のいずれかあるいはその両方を制御することを特徴とする上記のカーボンナノチューブ製造装置を用いたカーボンナノチューブの製造方法に関するものである。
以上のように、本発明によれば、陰陽極を相対的に移動させながらアーク放電でCNTを合成する方法において、放電を安定化し高純度かつ高収率のCNT合成が可能となる。
図1は、本発明によるカーボンナノチューブ製造装置の一実施形態の模式図である。円柱あるいは円筒形の炭素陽極101と円盤形の炭素陰極102の間に電圧を印加して放電させ、不活性ガス雰囲気下でアーク107を発生させる。陰極102を矢印の方向に回転させることにより連続的にCNT108を合成させることができる。ただし、陰陽極間のギャップ(アーク長)と陰極の回転速度を最適値に一定に保つことが安定合成の前提条件であるため、光学式センサ等の一般的な方法でギャップを計測し、陽極101と陽極給電部103を同時に上下させることによりギャップを一定に制御する。アーク放電のための電流可変の直流電源105は、陽極給電部103と陰極給電部104に接続されている。また、陰陽極給電部にはその間の電圧(以下、アーク電圧Varcという。)を測定するための電圧計106が接続されている。陽極給電部103と陰極給電部104は、電気伝導性、熱伝導性の良い材料、例えば銅及びその合金材で作製され、通電のための炭素電極と十分な接触を確保し、高温の炭素電極からの加熱溶融を防ぐため水冷されている。陽極給電部103については、炭素陽極101と十分な接触性を保ちながら、その通電位置が移動可能なようになっており、給電部から陽極先端までの長さ301(以下、突出し長Lextという。)を最適値に変更することができる。陰極表面に合成されたCNTは、陰極の回転に伴って、回収機構201、202、203により回収される。201、203はCNTを陰極表面から剥離させるためのスクレーパとガス吹き付け器であり、202はCNTを吸引するものである。各々を単独で使用してもCNTの回収は可能である。
アーク電圧Varcは、図2に示すように通電による陽極給電部103からアーク発生部107までの降下電圧Vaと、実際のアーク領域の電圧Vpと、アーク発生部107から陰極給電部104までの降下電圧Vcの総和(すなわちVarc=Va+Vp+Vc)となる。3つの電圧が陰陽極の状態により、どのように変化するかを以下に説明する。前提としてアーク長は一定で、アーク長によるVpの変動はないものとする。まず、形状や材質変化により陽極が過熱し、炭素蒸発量が上昇した場合には、陽極の降下電圧Vaが上昇し、アークが炭素により冷却されるためアーク電圧Vpも上昇する。よって、アーク電圧Varcは上昇する。一方、形状や材質変化等により陰極温度が上昇した場合には、陰極の降下電圧Vcは上昇するが、それ以上に熱電子放出量の増加によりアーク電圧Vpが低下するため、アーク電圧Varcは下降する。つまり、アーク電圧Vpの上下により、陽極過熱か陰極過熱のどちらかを判断することができる。
以上をまとめた結果を図3に示す。実際のアーク電圧と合成電流の関係は図4のようになり、アーク電圧及び合成状態により低電圧域、適正電圧域、高電圧域の3つの領域に分けられる。低電圧域では、アーク電圧は合成電流に対し右下がりの傾向を示し、アークは不安定で、CNTは合成されても少量である。アーク電圧の最小点から右上がりの傾向を示す適正電圧域は、アークが安定しCNTも良好に合成され、合成電流及びアーク電圧の上昇と共にCNT合成量は上昇する。この適正電圧域よりも電圧が高い高電圧域では、CNT以外の炭素不純物が急激に増加し、低純度のCNTが合成される。よって、高純度かつ高合成量の最適な点は、適正電圧域上限のやや下である。
以下、制御方法について説明する。まず、陽極給電部の給電位置による制御(突出し長さ制御)について、図5を用いて説明する。合成電流の一定条件において、陽極の温度上昇により炭素蒸発量が過剰になるとラインAの最適点からラインBの点へ移動し、アーク電圧が上昇することにより、不純物が多いCNTが合成される状態となる。この状態に対応して突出し長Lextを小さくすると、陽極抵抗によるジュール発熱が減少し給電部からの冷却も強くなるため陽極温度が低下し、結果として炭素蒸発量が少なくなりラインAの最適点へ戻るようになる。一方、陰極温度が高くなり、炭素蒸発量が不足するとラインAの最適点からラインCの点へ移動し、アーク電圧が降下することにより、CNT合成量が減少する状態になる。この状態に対応して突出し長Lextを大きくすると、陽極抵抗によるジュール発熱が増加し給電部からの冷却も弱くなるため陽極温度が上昇し、結果として炭素蒸発量が多くなりラインAの最適点へ戻るようになる。この制御方法は、最も重要なパラメータである炭素蒸発量のみを制御するため、安定性は高いが、突出し長の変更による陽極温度の変化から炭素蒸発量の変化までの時間遅れがあるため、早い状態変化に対応できないという欠点がある。
突出し長の変更による早い状態変化に対応する方法としては、図6に示す合成電流による制御方法がある。突出し長の一定条件において、炭素蒸発量過剰によりアーク電圧が上がりラインAの最適点からラインBへ移動し、合成電流を下げると、アークからの輻射熱や電流流入による発熱と陽極抵抗によるジュール発熱が減少するため陽極温度が低下し、結果として炭素蒸発量が少なくなりラインBの点で安定する。一方、炭素蒸発量が不足すればアーク電圧が下がり、ラインAの最適点からラインCへ移動し、合成電流を上げると陽極温度が上昇し、結果として炭素蒸発量が多くなりラインCの点で安定する。応答性の高いこの制御方法の欠点は、最適点が変動するため、安定性がやや悪くCNTの合成量も変化することである。さらに陽陰極の状態が同時に変化し、陰極の状態が逆に変化し、陽極過熱による過剰炭素蒸発量に対して、合成電流を下げると陽極の炭素蒸発量は低下するが、陰極温度も低下し必要炭素量が減少しアーク電圧が上がる傾向があるため、陰極は逆の状態に変化することになる。実際には電流変化によるアーク電圧の降下は陰極よりも陽極の方が大きいため成立しているが、合成電流の変化量が大きくアークの安定性が悪くなる。
いずれか一方の方法でも制御できるが、2つの方法の欠点を補う最適な方法は、上記2つの制御を同時に行うことである。図7に示すようにアーク電圧による電流可変による早い制御を行いながら、合成電流の変化に対してはやや遅い制御にて突出し長Lextを変化させ、最適な合成電流へ戻す方法である。簡単な制御のフローの一例を図8に示す。
なお、アーク電圧Varc及び合成電流Iarcの最適値は、以下のようにして実験により求め設定することができる。まず、制御なしの条件で合成電流を微小変化させ、CNTを合成する。次に、定常時のアーク電圧を測定し、図4に示したようなデータを取得する。さらに、合成されたCNTの外観や走査型電子顕微鏡(SEM)等により品質を確認し、不純物が少なく高品質なCNTが得られた場合におけるアーク電圧Varcと合成電流Iarcを求め、これを設定値とする。
図8に示した制御フローについて、以下に説明する。まず、陰極が停止した状態で通電しアークを発生させ、陰極温度が上昇するまで数秒間待機した後、陰極を回転させる。合成が定常状態になりアーク電圧が安定した後に制御を開始する。1〜100m秒の時間間隔で給電端子間のアーク電圧Varcを測定し、その値と設定値V0との電圧差を計算する。この電圧差に係数fを乗じた値(ΔI)だけアーク電流Iarcを変更する。ここで、係数fは、制御による電流振動を許容し電流振幅±50A以内において、安定な合成状態となるような最適値として実験的に求めることができる。
次に、電流値Iarcを計測し設定電流値I0との差を積算した後、最初のアーク電圧計測に戻りこれを繰り返す。設定された最適な積算時間△tに達すると、積算値に最適な係数kを乗じた値(△L)だけ突出し長を変更する。積算時間△tは0.1〜1秒の範囲であり、Δtと積算値に乗じる係数kは、突出し長が±3mm以内において、緩やかに変化し平均電流値が設定値を保持する値として実験的に求める。
変更後、時間と電流差の積算値をリセットして、最初のアーク電圧測定に戻る。電流制御には、早い比例制御としているが応答性が1〜10Hzのものであれば良い。ここでの応答性とは、アーク電圧(入力)に対する合成電流振動の位相遅れ180度である周波数と定義する。また、突出し長制御については、遅い積分制御を例にしているが応答性が1〜10秒程度の制御であれば良い。ここでの応答性とは、10A程度の合成電流差に対して突出し長変化により設定合成電流値まで戻る時間とする。
図9に、図1の装置をスケールアップした実施形態の一例を示す。これは陰極給電部104以外の構成がほぼ同じであり、図1と同じ配置で上方より見た模式図となっている。図右側から上昇して左に陰極102が回転し、陽極101の下のアークによりCNT108が左側に合成される。CNT回収機構、電源、測定器等は同じものが可能であり省略した。装置がスケールアップし陰極102が大径円盤となると、陰極は体積が大きくアーク放電による入熱も陽極より小さいため、図1のように回転中心に陰極給電部を設置した場合、陰極が3000Kレベルの必要温度まで達しない。このため、陰極給電用のローラ104を、通電経路の対称性を考慮してアーク近傍の前後2対に配置している。陰極温度(予熱)とアーク発生点以降の冷却速度が、CNT合成には重要である。前後2対の給電用ローラは、間隔やそれぞれのアーク発生点からの距離を変更することができ、陰極温度(予熱)とアーク発生点以降の冷却速度の2つを最適化することが可能である。さらに、陰極が大型化し陰極の加熱不足や温度、冷却速度をコントロールするためには、前後2対の給電用ローラを抵抗加熱給電用ローラ401として用い、各ローラ間を通電し、ジュール加熱とローラの冷却により、陰極の予熱や冷却速度の制御を行うことが出来る。なお、陰極102の形状については、円板状に限らず棒状でも適用が可能である。
図10に、図1の形態で図8の制御フローにてCNTを合成した場合のチャートを示す。陽極電極101として、外径15mm、内径4mmの中空炭素電極を用い、陰極電極102として、直径50mm、幅8mmの円柱状炭素電極を用いた。両者とも高純度黒鉛材を用いた。陰極電極102の回転速度は0.8回転/分であり、約5分間の連続合成で陰極が4回転している。アーク放電は、大気圧下で大気雰囲気中の開放空間で行い、陽極電極の中空内から送給するガスには純アルゴンガスを用い、その流量は1.4リットル/分とした。制御の最適設定条件は、合成電流285A、アーク電圧19Vである。制御はアークスタートから数十秒後に開始し、アーク電圧Varc及び合成電流Iarcを測定する時間間隔は、約40m秒である。その時間間隔において、測定されたアーク電圧と設定値(V0=19V)の差に最適係数を乗じた値だけ合成電流を変化させ、アーク電圧を一定に保つように制御する。実際には、熱変化やアーク安定性等によってアーク電圧と合成電流間の遅れが生じるため、最大で電圧振幅約3V、電流振幅約40A、周波数約1Hzの振動を起している。また、突出し長(Lext=10mm)からの変化量△Lは、約40m秒間隔の合成電流値と設定値(I0=285A)との差を約1秒間積算して、その値に最適係数kを乗じた値で1秒間毎に変化させている。これにより平均の合成電流値が285Aとなるように制御し、実際のチャートでは時間経過とともに突出し長を1.5mm程度長くしている。この方法および条件により陰極電極の表面全体に陰極幅と同じ幅8mm、厚さ200ミクロン程度のテープ状の高純度CNTが安定して合成された。図11に、合成された高純度CNTテープの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。テープ表面には、CNT以外の不純物は観察されず高純度のCNT集合体で構成されていることが分かる。
図12に、合成されたままの未精製CNTのラマン散乱スペクトルを示す。アーク放電法の高結晶性CNTのためGバンドのピークが高く、多層CNTで内径の小さいことを示す低波数域のラジアルブリージングモードのスペクトルも立つのが特徴である。CNT純度の指標であるDバンドとGバンドの比(D/G比)は、約0.07であり、いずれのサンプルを測定してもほとんど変わらないため、安定して高純度に合成されることが分かる。
本発明は、カーボンナノチューブを高純度かつ高収率で製造し得るものであり、大量生産への途を切り開くものである。
本発明の一実施形態のCNT合成装置の構成を説明する模式図である。 炭素アーク放電時のアーク電圧を説明する模式図である。 陰陽極の状態変化に対するアーク電圧の変化を説明する図である。 CNT合成時の合成電流とアーク電圧の関係を模式的に示すグラフである。 突出し長によりアーク電圧を一定に保つ方法を説明するグラフである。 合成電流によりアーク電圧を一定に保つ方法を説明するグラフである。 合成電流と突出し長により、アーク電圧と合成電流を一定に保つ方法を説明するグラフである。 合成電流と突出し長により、アーク電圧と合成電流を一定に保つ場合の制御方法を示したフロー図である。 本発明の別の実施形態のCNT合成装置の構成を説明する模式図である。 合成電流と突出し長により、アーク電圧と合成電流を一定に保つ制御における合成時電流、電圧、突出し長の時間変化を測定した結果である。 本発明によって合成されたCNTのSEM写真である。 本発明によって合成されたCNTのラマン散乱スペクトルである。
符号の説明
101 炭素材料陽極
102 炭素材料陰極
103 陽極給電部
104 陰極給電部
105 直流電源(電流可変)
106 電圧測定器
107 アーク放電部
108 テープ状CNT
201 スクレーパ
202 吸引器
203 ガス吹き付け器
301 突出し長
401 抵抗加熱給電用ローラ

Claims (2)

  1. 陰陽極間にアーク放電を発生させながら少なくとも一方の電極面を移動させることにより、連続的にカーボンナノチューブを合成する装置において、陰陽極材の給電部の電圧を測定する電圧測定器と、合成電流を調節する電流調節器と陽極給電部の上下位置を調整する機構を有することを特徴とするカーボンナノチューブの製造装置
  2. 陰陽極材の給電部間の電圧値を一定に保つように合成電流と陽極給電部の位置のいずれかあるいはその両方を制御することを特徴とする、請求項1記載のカーボンナノチューブ製造装置を用いたカーボンナノチューブの製造方法
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