JP2009124806A - 回転電機 - Google Patents

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茂樹 唐司
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Abstract

【課題】径方向流冷却方式の回転電機について、界磁コイルの冷却をより効率的に行えるようにする。
【解決手段】回転電機は、回転子31に設けたコイルスロット33に界磁コイル8が収納され、界磁コイルには、径方向流路9設けられ、そしてコイルスロットの底部に沿ったサブスロット7を流れる冷却媒体6が径方向流路を流れることにより界磁コイルの冷却がなされるようになっている。こうした回転電機について、コイルスロットの内側面と界磁コイルの外側面に対して同時に熱交換する状態で冷却媒体を流させることができるようにした側面部径方向流路32を設けるようにしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転電機に係り、特に回転子における界磁コイルを径方向流れで冷却する径方向流冷却方式の回転電機に関する。
一般にタービン発電機などの回転電機では、ジュール損や鉄損などにより発熱する回転子の界磁コイルや固定子の鉄芯を冷却する冷却構造が設けられている。その冷却構造の代表的な1つとして径方向流冷却方式(ラジアルフロー冷却方式)がある。径方向流冷却方式では、低温の空気や水素などを冷却媒体とし、この冷却媒体を用いて、回転子や固定子内に径方向流れを伴う循環流を形成させ、その循環流における径方向流に回転子の界磁コイルや固定子の鉄芯を接触させることでこれらの冷却を行うようになっている。
こうした径方向流冷却方式による回転電機であるタービン発電機の従来における一般的な構造を図11に示す。図11は、タービン発電機の1/4の部分を縦断面にした状態を簡略化して示している。この1/4の部分は、左右と上下それで対称である。図11のタービン発電機1は、回転子2と固定子3を有する。
回転子2は、回転子軸4を有し、この回転子軸4を介して図外の軸受で支持されることで回転可能とされている。回転子軸4の端部には軸流ファン5が設置されている。軸流ファン5は、矢印で示す冷却媒体6をタービン発電機1の各部位に循環させる。この冷却媒体6の循環に関し、回転子2と回転子軸4の間にサブスロット7が設けられている。サブスロット7は、軸方向流路として機能し、軸流ファン5による押込み作用を受けた冷却媒体6に回転子軸4に沿った軸方向の流れである軸方向流6aを形成させる。なお、以上や以下における「軸方向」は、回転子2の軸方向ないしそれと平行な方向を意味し、「径方向」は、回転子2の径方向ないしそれと平行な方向を意味するものとする。
回転子2には、通電導体である界磁コイル8が組付けられている。界磁コイル8には、径方向流路9が軸方向で配列するようにして複数設けられている。径方向流路9は、サブスロット7に連通するようにされており、サブスロット7を軸方向に流れる冷却媒体6を径方向に導いて径方向流6rとし、これにより冷却媒体6を界磁コイル8に接触させる。また回転子2には、その外表面に排気孔10が設けられている。この排気孔10は、径方向流路9での径方向流6rを固定子3の内周面と回転子2の外周面の間に形成のエアギャップ11に流出させる。
固定子3の鉄芯(コア)12には、固定子冷却ダクト13が設けられている。固定子冷却ダクト13は、鉄芯12における径方向流路であり、エアギャップ11に流出した冷却媒体6を径方向流6rと同様にして鉄芯12に導き、これにより冷却媒体6を鉄芯12に接触させる。また固定子3は、通電導体である固定子コイル14を有している。この固定子コイル14の端部は、軸流ファン5で送風圧を受けた冷却媒体6の一部がバイパスして形成されるバイパス流6bにより冷却されるようになっている。
界磁コイル8と鉄芯12それに固定子コイル14などの冷却を行って昇温した冷却媒体6は、冷却器15を通るようにされており、これにより降温されることで冷却能力を回復するようにされている。
図12に、回転子2における界磁コイル8の組付け構造を示す。回転子2には、コイルスロット16が設けられている。コイルスロット16は、回転子2の外周面に開口するとともに、回転子2の径方向中心部に向けて界磁コイル8の高さ程度の深さを有する溝状にして形成され、回転子2の周方向に配列させて複数で設けられている。そしてこのコイルスロット16に界磁コイル8を収納することで回転子2への界磁コイル8の組付けがなされている。こうした組付けにあっては、コイルスロット16の外周側端部に固定材としてウェッジ17が埋め込まれ、このウェッジ17が電気的絶縁用のクリページブロック18を介して界磁コイル8の外周側端面を押え付けるようにすることで界磁コイル8に働く遠心力に対抗できるようにされている。
図12に見られるように、界磁コイル8は、それぞれ同一の形状・サイズとされた板状の導体19を積層して形成されている。導体19には、図13に示すように、厚み方向に貫通する流路用孔20が軸方向に配列するようにして複数設けられている。この流路用孔20は、導体19の積層で界磁コイル8を形成した状態で互いに連結して径方向流路9を形成する。
以上のような構造のタービン発電機1が回転子2を回転させている状態にあって、冷却媒体6は、軸流ファン5の押込み作用でサブスロット7を軸方向流6aとして流れ、またその一部がバイパスしてバイパス流6bとなる。バイパス流6bとなった冷却媒体6は、固定子コイル14端部の冷却に働きつつ流れて冷却器15に流入する。一方、軸方向流6aとして流れる冷却媒体6は、回転子2の回転に伴う遠心力で径方向流路9に対し働くポンプ作用(オイラーヘッド)により径方向流路9に導かれて径方向流6rを形成し、これにより界磁コイル8と流動状態で接触することにより界磁コイル8を冷却しつつ、エアギャップ11に排出される。エアギャップ11に排出された冷却媒体6は、エアギャップ11を経て固定子冷却ダクト13に軸方向流6aと同様の状態で流入して鉄芯12を冷却し、また一部がエアギャップ11を軸方向に流れるようにバイパスして固定子コイル14を冷却する。
以上のようにして界磁コイル8や鉄芯12あるいは固定子コイル14などの冷却に働いて昇温した冷却媒体6は、冷却器15に流入し、そこで降温されて冷却能を回復した後、軸流ファン5に向けて流れるというように循環する。
以上のような回転電機については、例えば特許文献1〜特許文献3に開示の例が知られている。
特開平9−285052号公報 特開2005−210893号公報 特開平8−80000号公報
上述のような径方向流冷却方式には、回転子の製作性、特に界磁コイルの製作性に優れ、低コスト化が図れるという利点がある。すなわち簡単な加工で形成することのできる流路用孔が設けられた導体を積層するだけで径方向流路を有した構造の界磁コイルを得ることができ、界磁コイルの製作性に優れ、加工コストを低く抑えることができる。
しかしその一方で、回転電機の大容量化についての問題がある。径方向流冷却方式では、サブスロットを流れる冷却媒体を回転子の一端側から順次分岐しながら径方向流路に導いて界磁コイルを冷却する。この場合、回転子の軸方向中心部に向かうほど冷却媒体の流量が低下し、そのために中心部における界磁コイルの温度が相対的に高くなる傾向になる。つまり径方向流冷却方式では、軸方向の中心部が相対的に高温になるという温度分布を生じ易いということである。そしてこうした温度分布問題は、回転子を長軸化して回転電機の容量を増大させようとする場合に特に影響が大きくなる。すなわち中心部における相対的に高い温度が界磁コイル8の許容電流を決めることになるが、回転子を長軸化すると、中心部が高温になる温度分布が増幅され、そのために界磁コイルの許容電流が制限されて容量増大が困難になる。
このことは、結局、径方向流冷却方式における冷却性能の問題であるといえる。つまり、界磁コイルの冷却をより効率的に行えるようになれば、温度分布の影響も緩和でき、回転子の長軸化による容量増大も容易になるということである。
界磁コイルの冷却効率は、冷却媒体を降温させる冷却器の能力を高めることで向上させることが可能である。しかし、それには製造コストだけでなく運転コストも増大するという問題が伴う。
また上記の特許文献1に開示の例のような複数列配置構造つまり界磁コイルの径方向流路を複数列で設ける構造も界磁コイルに対する冷却効率を高めるのに有効で、しかも複数列配置構造では実質的なコスト増大を招かずに済む。しかし、この複数列配置構造は、回転子の長軸化による容量増大を容易にするという点で、必ずしも十分とはいえず、改善の余地が残されている。
本発明は、以上のような事情を背景になされたものであり、その課題は、径方向流冷却方式の回転電機について、大きなコスト増大を招くことなく、界磁コイルのより効率的な冷却を行えるようにし、それにより回転電機の容量増大を容易にかつ低コストで可能とすることにある。
本発明では、界磁コイルのより効率的な冷却を可能にするについて、界磁コイルとこれが組み付けられている回転子の中実部(コイルスロットの周囲を埋めている部分)の温度差に着目する。界磁コイルは、冷却媒体による冷却を受けている状態で100℃程度になるのが通常である。一方、回転子の中実部は、40℃程度にとどまっているのが通常である。このことは、2つのことを意味している。1つは、従来の構造であると、界磁コイルから回転子の中実部への熱移動がかなり少ないということ、つまり界磁コイルと回転子の中実部では大きな断熱がなされているということである。他の1つは、界磁コイルに対する温度差が十分に大きいことから、回転子の中実部を界磁コイルの冷却における冷却熱源として利用可能であるということである。
こうしたことから、界磁コイルの冷却に働いている冷却媒体に回転子の中実部と熱交換を行い易くしてやれば、回転子の中実部を界磁コイルの冷却における冷却熱源として利用することができ、これにより界磁コイルのより効率的な冷却が可能となり、しかも実質的なコスト増大を招くこともない。
本発明は、以上のような考え方に基づいて上記課題を解決する。具体的には、回転子にコイルスロットが設けられ、前記コイルスロットに界磁コイルが収納され、前記界磁コイルには、径方向に貫通する複数の径方向流路が軸方向で配列するようにして設けられ、そして前記コイルスロットの底部に沿って形成のサブスロットを流れる冷却媒体が前記径方向流路を流れることにより前記界磁コイルの冷却がなされるようになっている回転電機において、前記コイルスロットの内側面と前記界磁コイルの外側面に対して同時に熱交換する状態で前記冷却媒体を前記径方向流路での流れと同じ方向に流させることができるようにされた複数の側面部径方向流路が軸方向で配列するようにして設けられていることを特徴としている。
このような回転電機における側面部径方向流路は、コイルスロットの内側面と界磁コイルの外側面に対して同時に熱交換する状態で冷却媒体を流させることから、回転子の中実部を界磁コイルの冷却における冷却熱源として利用するのに効果的に機能する。またそれとともに、界磁コイルをその外側面から冷却するのにも機能する。そしてこれらのことにより、界磁コイルのより効率的な冷却を可能となり、しかも実質的なコスト増大を招かずに済む。
こうした側面部径方向流路について、本発明では、前記側面部径方向流路は、前記コイルスロットの内側面に径方向で延在する溝として形成したコイルスロット側面部溝と前記界磁コイルの外側面で構成することを好ましい形態の1つとし、また前記側面部径方向流路は、前記界磁コイルの外側面に径方向で延在する溝として形成した界磁コイル側面部溝と前記コイルスロットの内側面で構成することを好ましい形態の1つとし、さらに前記側面部径方向流路は、中心側流路部と外周側流路部で構成され、前記中心側流路部は、前記界磁コイルの外側面の径方向中心部側に径方向で部分的に延在する溝として形成した部分的界磁コイル側面部溝と前記コイルスロットの内側面で構成され、前記外周側流路部は、前記コイルスロットの内側面の径方向外周部側に径方向で部分的に延在する溝として形成した部分的コイルスロット側面部溝と前記界磁コイルの外側面で構成することを好ましい形態の1つとしている。
以上のような本発明によれば、径方向流冷却方式の回転電機について、大きなコスト増大を招くことなく、界磁コイルのより効率的な冷却を行えるようになり、それにより回転電機の容量増大が容易にかつ低コストで可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に、第1の実施形態による回転電機における回転子31の要部の構造を示す。本実施形態の回転電機は、その基本的な構成において上述した従来のタービン発電機1と同様である。したがってタービン発電機1と共通する要素には、図11〜図13におけるのと同一の符号を付して示し、それらについての説明は適宜省略する。
本実施形態における回転子31は、側面部径方向流路32が設けられている。側面部径方向流路32は、界磁コイル8の両側について、コイルスロット33の内側面と界磁コイル8の外側面の間に設けられており、界磁コイル8の両側に、径方向流路9と位置対応する軸方向の配列で複数設けられている。
コイルスロット33には、図2に示すように、その内側面にコイルスロット側面部溝34が形成されている。コイルスロット側面部溝34は、径方向で延在する溝として形成されており、その径方向中心側端部に冷却媒体流入口35が設けられている。冷却媒体流入口35は、側面部径方向流路32に冷却媒体6を流入させるのに機能し、界磁コイル8の径方向端面を支持する支持段部36をコイルスロット側面部溝34の幅と同じ幅でテーパ状に切り欠くことで形成されている。
このようなコイルスロット側面部溝34は、図1に示すようにしてコイルスロット33に組み込まれた界磁コイル8の外側面で塞がれて筒状となることで側面部径方向流路32を形成する。つまり側面部径方向流路32は、コイルスロット側面部溝34と界磁コイル8の外側面で構成されている。
図3に、界磁コイル8の径方向外周側端部とその周辺の構造を示す。界磁コイル8は、ウェッジ17でコイルスロット33に固定されており、ウェッジ17と界磁コイル8の間には電気的絶縁用のクリページブロック18が介在している。このクリページブロック18には、径方向流路9から流れる冷却媒体6を回転子31の外表面に導くためのクリページブロック径方向通風孔37が形成され、また図4に示すように、側面部径方向流路32から流れる冷却媒体6をクリページブロック径方向通風孔37に流入させるためのクリページブロック周方向通風用溝38が形成されている。ここで、ウェッジ17は、突縁部をコイルスロット33の内側面に形成のウェッジ固定溝39に入り込ませることで回転子31に組付けられており、コイルスロット側面部溝34の径方向外周側端を塞ぐ状態になっている。このためにクリページブロック周方向通風用溝38を設け、このクリページブロック周方向通風用溝38により側面部径方向流路32からの冷却媒体6をクリページブロック径方向通風孔37に流入させることで回転子31の外表面に導くようにしている。
以上のような構造の回転子31が回転している状態にあって、冷却媒体6は、図11の軸流ファン5の押込み作用でサブスロット7を軸方向流として流れる。サブスロット7を流れる冷却媒体6は、回転子31の回転に伴う遠心力で径方向流路9と側面部径方向流路32それぞれに対し働くポンプ作用により径方向流路9と側面部径方向流路32それぞれに導かれ、それぞれにおいて径方向流6rを形成し、この径方向流6rにより界磁コイル8と流動状態で接触することにより界磁コイル8を冷却する。
ここで、径方向流路9や側面部径方向流路32での遠心力による圧力上昇ΔPは、流体密度ρ、流路の出入口部半径(入口:R、出口:R)および回転数に基づく角速度ωを用いて次式で定義される。
Figure 2009124806
径方向流路9や側面部径方向流路32を流れる冷却媒体6の流量は、遠心力よる圧力上昇と径方向流路9や側面部径方向流路32での圧力損失とのバランスで決定される。本実施形態の構造では、図11や図12における従来の構造と同様に径方向流路9での冷却媒体6の流量を確保できる。また側面部径方向流路32についても、径方向流路9とほぼ同じにして遠心力による圧力上昇が生じるため、その流路での圧力損失に見合った冷却媒体6の流れが発生する。側面部径方向流路32に流入した冷却媒体6は、コイルスロット33の内側面と界磁コイル8の外側面に対して同時に熱交換する状態で側面部径方向流路32を流れ、その過程で回転子31の中実部を冷却熱源として利用しつつ界磁コイル8をその外側面から冷却する。このようにして側面部径方向流路32を流れる冷却媒体6は、クリページブロック周方向通風用溝38によりクリページブロック径方向通風孔37に流入し、さらにクリページブロック径方向通風孔37により回転子31の外表面に導かれて図11のエアギャップ11に排出される。エアギャップ11に排出された冷却媒体6が固定子3の鉄芯12の冷却に働くのは上述したとおりである。
以上のような第1の実施形態によれば、側面部径方向流路32を流れる冷却媒体6により、回転子31の中実部31sを冷却熱源として利用して界磁コイル8を冷却でき、しかも界磁コイル8をその外側面から冷却することができる。このため界磁コイル8をより効率的に冷却することができ、これにより回転子31の長軸化による大容量化に容易に対応できるようになり、しかも実質的なコスト増大を招くこともない。また第1の実施形態では、コイルスロット33に形成のコイルスロット側面部溝34と界磁コイル8の外側面で側面部径方向流路32を構成している。このため、界磁コイル8、より具体的には界磁コイル8における導体19に断面積の減少を招くことがない。つまり上記特許文献1における複数列配置構造の場合であれば、径方向流路の配列数を増やすのに伴って界磁コイルの導体に断面積の減少を招くことになるが、本実施形態ではそのようことにならずに済むということである。このことは、結果的に冷却効率に影響する。すなわち導体19の断面積の減少は電気抵抗の増大につながり、そのことで界磁コイル8のジュール発熱が増大し、結果として冷却効率が低下する、という関係があることから、導体19に断面積の減少を招かずに済むことは冷却効率の向上にプラスに働くということである。
次に、第2の実施形態について説明する。図5に、第2の実施形態による回転電機における回転子41の要部の構造を示す。本実施形態の回転電機は、その基本的な構成において上述した従来のタービン発電機1と同様である。したがってタービン発電機1と共通する要素には、図11〜図13におけるのと同一の符号を付して示し、それらについての説明は適宜省略する。
本実施形態における回転子41は、側面部径方向流路42が設けられている。側面部径方向流路42は、界磁コイル43の両側について、コイルスロット44の内側面と界磁コイル43の外側面の間に設けられており、界磁コイル43の両側に、径方向流路9と位置対応する軸方向の配列で複数設けられている。
界磁コイル43を構成する導体45には、図6の(a)に示すように、その左右各側面部に溝用凹部46が設けられている。したがって図6の(b)に示すように、導体45を積層して形成される界磁コイル43には、その外側面に径方向で延在する溝として界磁コイル側面部溝47が溝用凹部46の連続により形成されることになる。
コイルスロット44には、図7に示すように、内側面に冷却媒体流入口48が設けられている。冷却媒体流入口48は、側面部径方向流路42に冷却媒体6を流入させるのに機能し、界磁コイル43の径方向端面を支持する支持段部49を界磁コイル側面部溝47の幅と同じ幅でテーパ状に切り欠くことで形成されている。
このコイルスロット44に、図5における状態にして界磁コイル43を組み込むと、界磁コイル側面部溝47は、コイルスロット44の内側面で塞がれて筒状となることで側面部径方向流路42を形成する。つまり側面部径方向流路42は、界磁コイル側面部溝47とコイルスロット44の内側面で構成されている。
以上のような側面部径方向流路42は、第1の実施形態における側面部径方向流路32と同様にして界磁コイル43の冷却に機能する。したがって本実施形態でも、界磁コイル43のより効率的な冷却が可能となり、そのことで回転子31の長軸化による大容量化に容易に対応できるようになり、しかも実質的なコスト増大を招くこともない。また本実施形態には、第1の実施形態におけるコイルスロット33に形成のコイルスロット側面部溝34に比べて加工が容易である界磁コイル側面部溝47で側面部径方向流路42を形成しているので、製作性に優れるという利点がある。さらに本実施形態には、回転子41の中実部の強度問題についての利点もある。すなわちコイルスロット44を囲む中実部44sは、径方向中心部で薄くなるが、本実施形態の構造であれば、この中実部の薄い部分に第1の実施形態におけるコイルスロット側面部溝34のような構造を形成する必要がないので、回転子41の強度問題にも優れる。
次に、第3の実施形態について説明する。図8に、第3の実施形態による回転電機における回転子51の要部の構造を示す。本実施形態の回転電機は、その基本的な構成において上述した従来のタービン発電機1と同様である。したがってタービン発電機1と共通する要素には、図11〜図13におけるのと同一の符号を付して示し、それらについての説明は適宜省略する。
本実施形態における回転子51は、側面部径方向流路52が設けられている。側面部径方向流路52は、界磁コイル53の両側について、コイルスロット54の内側面と界磁コイル53の外側面の間に設けられており、界磁コイル53の両側に、径方向流路9と位置対応する軸方向の配列で複数設けられている。
界磁コイル53には、図9に示すように、その外側面の径方向中心部側に径方向で部分的に延在する溝として部分的界磁コイル側面部溝55が形成されている。この部分的界磁コイル側面部溝55は、第2の実施形態の場合の界磁コイル側面部溝47と同様にして形成することができる。つまり部分的界磁コイル側面部溝55に対応する部分の導体について図6における溝用凹部46と同様な構造を形成することで、界磁コイル側面部溝47を形成する。
コイルスロット54には、図10に示すように、その内側面の径方向外周部側に径方向で部分的に延在する溝として部分的コイルスロット側面部溝56が形成されている。またコイルスロット54には、部分的コイルスロット側面部溝56の径方向中心側端部で連通部57が形成されるとともに、冷却媒体流入口58が形成されている。連通部57は、部分的コイルスロット側面部溝56の径方向中心側端部をテーパ状に加工することで形成されている。一方、冷却媒体流入口58は、界磁コイル53の径方向端面を支持する支持段部59を部分的界磁コイル側面部溝55の幅と同じ幅でテーパ状に切り欠くことで形成されている。
このようなコイルスロット54に、図8における状態にして界磁コイル53を組み込むと、部分的界磁コイル側面部溝55は、コイルスロット54の内側面で塞がれて筒状となることで中心側流路部60を形成し、また部分的コイルスロット側面部溝56は、界磁コイル53の外側面で塞がれて筒状となることで外周側流路部61を形成する。そしてこれら中心側流路部60と外周側流路部61が連通部57で連通することにより側面部径方向流路52を構成する。つまり側面部径方向流路52は、中心側流路部60と外周側流路部61で構成されている。
以上のような側面部径方向流路52は、第1の実施形態における側面部径方向流路32と同様にして界磁コイル53の冷却に機能する。したがって本実施形態でも、界磁コイル53のより効率的な冷却が可能となり、そのことで回転子51の長軸化による大容量化に容易に対応できるようになり、しかも実質的なコスト増大を招くこともない。また本実施形態には、第1の実施形態について述べた界磁コイル53の断面積問題の影響を実質的に受けずに済むとともに、第2の実施形態について述べた回転子51の中実部の強度問題の影響も実質的に受けずに済むという利点がある。すなわち、中実部の強度問題は、上述のように、回転子51の径方向中心部における中実部の薄い部分で特に影響するが、部分的コイルスロット側面部溝56は、この中実部の薄い部分を避けるようにして形成することができることから、本実施形態では中実部の強度問題の影響も実質的に受けずに済む。一方、界磁コイル53の冷却媒体6による冷却は、径方向の中心部側ほど冷却媒体6の温度が低いことから、より効率的になされる。このため径方向の中心部に限って設けられる部分的界磁コイル側面部溝55は、界磁コイル53に断面積問題を実質的に招くことがないといえる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明は、その趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記の各実施形態では回転電機がタービン発電機であったが、本発明は、これに限られず、径方向流冷却方式を用いる回転電機であれば、どのようなものにも適用できる。
第1の実施形態による回転電機における回転子の要部の構造を示す図である。 図1の回転子におけるコイルスロットの内側面の構造を示す図である。 図1の回転子における界磁コイルの径方向外周側端部とその周辺の構造を示す図である。 図1の回転子におけるクリページブロックの構造を示す図である。 第2の実施形態による回転電機における回転子の要部の構造を示す図である。 図5の回転子における導体と界磁コイルの構造を示す図である。 図5の回転子におけるコイルスロットの内側面の構造を示す図である。 第3の実施形態による回転電機における回転子の要部の構造を示す図である。 図8の回転子における界磁コイルの構造を示す図である。 図8の回転子におけるコイルスロットの内側面の構造を示す図である。 従来における径方向流冷却方式のタービン発電機の構造を示す図である。 従来における界磁コイルの組付け構造を示す図である。 従来における導体の構造を示す図である。
符号の説明
6 冷却媒体
7 サブスロット
8、43、53 界磁コイル
9 径方向流路
31、41、51 回転子
32、42、52 側面部径方向流路
33、44、54 コイルスロット
34 コイルスロット側面部溝
47 界磁コイル側面部溝
55 部分的界磁コイル側面部溝
56 部分的コイルスロット側面部溝
60 中心側流路部
61 外周側流路部

Claims (4)

  1. 回転子にコイルスロットが設けられ、前記コイルスロットに界磁コイルが収納され、前記界磁コイルには、径方向に貫通する複数の径方向流路が軸方向で配列するようにして設けられ、そして前記コイルスロットの底部に沿って形成のサブスロットを流れる冷却媒体が前記径方向流路を流れることにより前記界磁コイルの冷却がなされるようになっている回転電機において、
    前記コイルスロットの内側面と前記界磁コイルの外側面に対して同時に熱交換する状態で前記冷却媒体を前記径方向流路での流れと同じ方向に流させることができるようにされた複数の側面部径方向流路が軸方向で配列するようにして設けられていることを特徴とする回転電機。
  2. 前記側面部径方向流路は、前記コイルスロットの内側面に径方向で延在する溝として形成したコイルスロット側面部溝と前記界磁コイルの外側面で構成されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記側面部径方向流路は、前記界磁コイルの外側面に径方向で延在する溝として形成した界磁コイル側面部溝と前記コイルスロットの内側面で構成されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  4. 前記側面部径方向流路は、中心側流路部と外周側流路部で構成され、前記中心側流路部は、前記界磁コイルの外側面の径方向中心部側に径方向で部分的に延在する溝として形成した部分的界磁コイル側面部溝と前記コイルスロットの内側面で構成され、前記外周側流路部は、前記コイルスロットの内側面の径方向外周部側に径方向で部分的に延在する溝として形成した部分的コイルスロット側面部溝と前記界磁コイルの外側面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
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