JP2009122281A - 液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、下記構造式(I)で表される分散剤とを含むことを特徴とする。分散剤のアミン価は、20〜300mgKOH/gであるのが好ましい。分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して1〜10重量部であるのが好ましい。
【化1】
(ただし、Rは、炭素数が14〜18のアルキル基、X+Y+Zは、エチレンオキサイドの付加モル数で、2≦X+Y+Z≦15、かつ、Y、Z≠0である。)
【選択図】なし
Description
液体現像剤としては、負帯電性の液体現像剤と正帯電性の液体現像剤とが挙げられるが、負帯電性の液体現像剤を用いた場合、画像形成する際に、画像形成装置内部でオゾンが発生し、環境問題や画像形成装置内の周辺部品への悪影響を来す等の問題があった。
特許文献1に記載の正帯電性の液体現像剤では、帯電制御剤を添加することにより、トナー粒子を正帯電にしている。
また、正帯電性の樹脂材料をトナー粒子の構成材料として用いることも考えられるが、正帯電性の樹脂材料は、樹脂そのものの安定性が低く、トナー粒子を構成する材料として適用するのが困難であった。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、
主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、
下記構造式(I)で表される分散剤とを含むことを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体中における前記脂肪酸モノエステルの含有量は、1〜50wt%であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記樹脂材料の酸価は、5〜20mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記樹脂材料を含む分散質が、水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子に含まれる前記有機溶剤を除去し、トナー粒子を得る脱溶剤工程と、
前記トナー粒子および前記分散剤を前記絶縁性液体に分散させる分散工程とを有する方法により製造されることが好ましい。
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を前記記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、
主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、
下記構造式(I)で表される分散剤とを含むことを特徴とする。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。また、本発明の液体現像剤は、所定の構造を有する分散剤を含んでいる。
まず、分散剤について説明する。
本発明の液体現像剤中には、下記構造式(I)で表される分散剤が含まれている。
トナー粒子を構成する樹脂材料は、通常、その分子内に酸性基(カルボキシル基等)を有している。この酸性基と、上記分散剤のエチレンオキサイド基(−(CH2CH20)nHで表される基)が2つ結合した第3級アミン部位とがイオン結合により結合し、上記分散剤が、トナー粒子の表面に化学的に付着または吸着する。このとき、分散剤は、上記2つのエチレンオキサイド基(「−(CH2CH20)YH」および「−(CH2CH20)ZH」)がトナー粒子の表面を覆うように付着または吸着する。
また、トナー粒子表面は、エチレンオキサイド基で網目状に被覆されることとなるため、液体現像剤は、高温保存性にも優れたものとなる。
非極性あるいは低極性の絶縁性液体中には、遊離した上記分散剤が存在している。このように、絶縁性液体中に極性を備えたエチレンオキサイド基を有する分散剤が含まれていることにより、後述する画像形成装置の感光体上や、中間転写部上のトナー画像から余剰の絶縁性液体を回収する際に、トナー画像からの絶縁性液体の液離れを向上させることができる。その結果、上記像を記録媒体に定着する際に、絶縁性液体が定着を阻害するのを効果的に防止することができる。また、余剰の絶縁性液体を回収した後にも、上記トナー画像中には若干の絶縁性液体が残存するが、この残存した絶縁性液体は、紙等の記録媒体に上記トナー画像を転写する際に、紙等の記録媒体に素早く浸透するため、定着を阻害することはない。したがって、上記のような分散剤を用いることにより、液体現像剤の定着特性を向上させることができる。
また、後述するような画像形成装置において、現像部等で回収された液体現像剤を再利用する際に、回収された液体現像剤内のトナー粒子を容易に再分散させることができ、容易に再利用することができる。
なお、本発明で用いる分散剤は、Rの炭素数が異なる複数種の上記構造式(I)で表される化合物を含んだものであってもよい。
次に、絶縁性液体について説明する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1011Ωcm以上のものであるのが好ましく、1012Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
脂肪酸モノエステルは、定着時にトナー粒子を可塑化させる効果(可塑効果)を有する成分である。したがって、定着時に、記録媒体上で熱、圧力をかけられた際に、トナー粒子を脂肪酸モノエステルによって容易に可塑化させることができる。そして、可塑化したトナー粒子は、容易に記録媒体へ密着することができる。また、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料との親和性が高い成分である。このため、トナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルを付着させることができるとともに、トナー粒子の分散性を向上させることができる。さらに、脂肪酸モノエステルは、記録媒体に浸透しやすい成分であるため、トナー粒子の表面付近に付着した脂肪酸モノエステルは、定着時にトナー粒子と記録媒体とが接触した際に、記録媒体に速やかに浸透する。そして、この脂肪酸モノエステルの浸透と共に、定着時の熱で溶融したトナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)の一部が記録媒体の内部に浸透し、アンカー効果が働き、定着強度が向上する。また、脂肪酸モノエステルは比較的低温であってもトナー粒子を可塑化させることができるため、脂肪酸モノエステルが含まれた絶縁性液体は、低温域での定着性も特に優れたものとなる。さらに、可塑化したトナー粒子同士が接触して溶融し合うことで、目的とする画像の色調をより確実に得ることができ、色再現性が特に優れたものとなる。また、定着時において、可塑化されたトナー粒子が加圧ローラや定着ローラ等によって平滑化され、得られたトナー画像は高い光沢を有する。また、脂肪酸モノエステルは環境に優しい成分であるため、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
また、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体を用いることにより、各色に対応した液体現像剤間での、粘度のばらつきを比較的小さいものとすることができ、各色間でバランスのとれた、鮮明な画像を形成することができる。言い換えると、各色に対応した液体現像剤間での粘度のばらつきが小さいので、形成する画像における各色の発色性を現像条件で容易に調整することができる。
脂肪酸グリセリドは、脂肪酸モノエステルと同様に、環境に優しい成分である。したがって、定着時等における絶縁性液体の揮発や、液体現像剤の廃棄等による環境への影響を低減することができる。
不飽和脂肪酸グリセリドを構成する不飽和脂肪酸成分は、トナー粒子の記録媒体への定着強度向上に寄与することができる成分である。より詳しく説明すると、不飽和脂肪酸成分は、酸化されることにより(定着時における定着温度で酸化されることにより)、それ自体が硬化し、トナー粒子の定着強度を向上させる機能を有する成分である。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を優れたものとすることができる。また、不飽和脂肪酸成分が硬化することにより、定着したトナー画像に対して、水性ボールペンでの追記を容易かつ確実に行うことができる。
また、脂肪酸グリセリド中に飽和脂肪酸成分が含まれていてもよい。飽和脂肪酸成分を含むことにより、液体現像剤の化学的安定性や絶縁性液体の電気絶縁性をさらに高く保つことが可能になる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、d−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、α−トコフェロール等のビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等のビタミンC、緑茶抽出物、生コーヒー抽出物、セサモール、セサミノール、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
トナー粒子は、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができる。
特に、樹脂材料としては、エステル結合を有するものを用いるのが好ましい。このような結合を有する樹脂材料は、酸性基であるカルボキシル基を比較的多く有しているため、トナー粒子表面により多くの上記分散剤を付着あるいは吸着させることができ、トナー粒子の正の帯電特性をより高いものとすることができるとともに、トナー粒子の分散安定性をより高いものとすることができる。また、液体現像剤の高温保存性をより高いものとすることができる。
エステル結合を有する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に、ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組みあわせて用いることができる。これらの多塩基酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いるのが好ましい。
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜3μmであるのが好ましく、1〜2.5μmであるのがより好ましく、1〜2μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、樹脂材料、着色剤が水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、樹脂材料と着色剤とを含むトナー粒子を得る脱溶剤工程と、トナー粒子および上述したような分散剤を絶縁性液体に分散させる分散工程とを有する。
[分散液調製工程(水系分散液調製工程)]
まず、分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー粒子の構成材料(トナー材料)を有機溶剤中に溶解、分散させて樹脂液を得(樹脂液調製処理)、水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る(分散質形成処理)。
まず、樹脂材料、加水分解抑制剤を有機溶剤に溶解または分散させた樹脂液を調製する。
調製された樹脂液は、前述したようなトナー粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶剤を含むものである。
また、有機溶剤は、後述する水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
また、有機溶剤の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
また、樹脂液の調製においては、調製すべき樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
次に、水系分散液(分散液)を調製する。
水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
また、中和剤は、水系分散液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
水系分散液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、分散液を撹拌しながら、分散液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を狭いものとできる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
本工程で添加される電解質の量は、電解質が添加される分散液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜3重量部であるのが好ましく、1〜2重量部であるのがより好ましい。これにより、特に容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御できるとともに、粗大粒子の発生を確実に防止することができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2〜10wt%であることが好ましく、2.5〜6wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。また、このような水溶液を加えることにより、電解質を加え終えた際における分散液中の水の含有量が、好適なものとなる。このため、電解質添加後における合一粒子の成長速度を、生産性が落ちない程度に、適度に遅いものとすることができる。結果として、粒径をより確実に制御できる。また、不本意な合一粒子の合一を確実に防止することができる。
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの合一粒子を得ることができるとともに、得られる合一粒子の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
分散液の撹拌には、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、添加した電解質をすばやく均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する。これにより、分散液中に分散した樹脂微粒子(トナー粒子)が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する他の工程において、残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
次に、上記のようにして得られた樹脂微粒子(トナー粒子)の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られる樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)により樹脂微粒子を分離し、さらにその後、固形分(樹脂微粒子)の水中への再分散および固液分離(水系液体からの樹脂微粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子と上述したような分散剤とを、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤を得る。
トナー粒子および前記分散剤の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子と前記分散剤とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。このような方法で混合することにより、分散剤をトナー粒子の表面により確実に付着または吸着させることができる。
また、トナー粒子および前記分散剤の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
さらに、中間転写部40は、テンションローラ44によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラ44は、一方の従動ローラ42より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラ43より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ43側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
すなわち、上流側2次転写ローラ61、下流側2次転写ローラ62は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ42に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、後述する定着部(定着装置)F40に送られ、定着が行われる。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、コロナ放電器(圧縮手段)23Yとを有している。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、液体現像剤貯留部31Y内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Yを形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
定着部F40は、前述した現像部、転写部等において形成された未定着のトナー画像F5aを、記録媒体F5上に定着させるものである。
定着部F40は、図4に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラF1の内部には、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントは、それぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、後述するような摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
熱定着ローラF1により加える熱(定着温度)は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
(直鎖型ポリエステル樹脂 PES1)
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化温度が95℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 53.1重量部
エチレングリコール 28.6重量部
ネオペンチルグリコール 48.0重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めたところ、重量平均分子量7740であった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で11時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化温度が87℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 79.7重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
得られた重合体(PES2)は、無色の固体であり、酸価10.0、ガラス転移点(Tg)46℃、軟化温度(T1/2)が95℃であった。また、重量平均分子量5200であった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化温度が159℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 90.7重量部
アジピン酸 17.1重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体(PES3)は、無色の固体であり、酸価9.8、ガラス転移点(Tg)40℃、軟化温度(T1/2)が176℃であった。また、重量平均分子量176000であった。
(実施例1)
まず、トナー粒子の製造を行った。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
<分散液調整工程>
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、上記ポリエステル樹脂PES1と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
得られた混練物の粉末に固形分含有量が30wt%となるようにメチルエチルケトンを加え、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で湿式分散して着色剤マスター溶液を調製した。
上記着色剤マスター溶液:132重量部にメチルエチルケトン:42.6重量部、前記ポリエステル樹脂:124.3重量部および乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.1重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:50重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、170重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:70重量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら水系分散液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸アンモニウム水溶液:300重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が3μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:120.6重量部を添加し、合一を終了した。
<脱溶剤工程>
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶剤を留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35wt%であった。
<乾燥工程>
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、分散剤としてのN,N’,N”−ポリオキシエチレン−N−アルキル(C14〜C18)−1,3−ジアミノプロパン(上記構造式(I)中、R:C14〜C18の直鎖のアルキル基、X+Y+Z=15、X=1、Y,Z=7;ライオン・アクゾー社製:商品名「エソデュオミンT/25」、アミン価:268):1.88重量部、大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製):60重量部、帯電制御剤としてのステアリン酸アルミニウム(日本油脂製):0.5重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。
その後、さらに、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):90重量部を加え、引き続き、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド122、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
分散剤として、N,N’,N”−トリス(2−ヒドロキシエチル)−N−アルキル(C14〜C18)−1,3−ジアミノプロパン(上記構造式(I)中、R:C14〜C18の直鎖のアルキル基、X+Y+Z=3、X,Y,Z=1;ライオン・アクゾー社製:商品名「エソデュオミンT/13」、アミン価:110)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
分散剤として、表1に示すような値のものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例6)
ポリエステル樹脂として、上記のようにして合成されたPES2を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ポリエステル樹脂として、PES1とPES3とを重量比1:4の割合で混合したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例8)
ポリエステル樹脂として、PES2とPES3とを重量比1:6の割合で混合したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ポリエステル樹脂の代わりに、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「エピコート1004」、軟化温度:80.5℃、ガラス転移点:50℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例10)
ポリエステル樹脂の代わりに、スチレンとアクリル酸ブチルエステルとを4:1の割合で共重合させたスチレン−アクリル酸エステル共重合体(酸価:6.0、軟化温度:116℃、ガラス転移点:61.6℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
分散剤の添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例13)
帯電制御剤を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例)
上記構造式(I)で表される分散剤を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[3.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が95%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上、95%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上、90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が95%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上、95%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上、90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
各実施例および比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−2000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、□10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。
A :電位差が+100mV以上(非常に良い)。
B :電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)。
C :電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)。
D :電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)。
E :電位差が+50mV未満(非常に悪い)。
各実施例および比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、1週間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
各実施例および比較例で得られた液体現像剤:6gを、ガラス製サンプル瓶(20ml)に入れ密栓した。これを、55℃、30%RHの環境下に24時間静置保存した。各サンプル瓶において、保存前の体積平均粒子径Dbと、保存後の体積平均径Daを粒度分布計(マスターサイザー3000)にて測定し、変化率(%)=(Db−Da)×100/Dbを求め、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :変化率が2%以下であった。
B :変化率が2%よりも大きく、10%以下であった。
C :変化率が10%よりも大きく、50%以下であった。
D :変化率が50%よりも大きかった。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、各実施例および比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を100℃として、熱定着を行った。
A :画像濃度残存率が95%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上95%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
これらの結果を表2に示す。
Claims (9)
- 前記分散剤のアミン価は、20〜300mgKOH/gである請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して1〜10重量部である請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記絶縁性液体中における前記脂肪酸モノエステルの含有量は、1〜50wt%である請求項4に記載の液体現像剤。
- 前記樹脂材料は、エステル結合を有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記樹脂材料の酸価は、5〜20mgKOH/gである請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記樹脂材料を含む分散質が、水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子に含まれる前記有機溶剤を除去し、トナー粒子を得る脱溶剤工程と、
前記トナー粒子および前記分散剤を前記絶縁性液体に分散させる分散工程とを有する方法により製造される請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤。 - 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、各色に対応した前記単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を前記記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、
主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、
下記構造式(I)で表される分散剤とを含むことを特徴とする画像形成装置。
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