JP2009120440A - フッ化ウラニルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウラン資源を有効活用でき、腐食性廃棄物を発生せず、製造工程から排出される廃棄物量が少なく、少ない数の工程で、フッ化ウラニル(UO)を製造する方法を提供すること。
【解決手段】ウラン化合物を溶解する第1の工程と、前記ウラン化合物を溶解した溶液に沈殿剤を添加して(NHUOの沈殿物を得る第2の工程と、前記第2の工程で得た沈殿物を分離回収して乾燥する第3の工程と、前記第3の工程で乾燥されたウラン沈殿物を加熱して熱分解によりフッ化ウラニルに変換する第4の工程を含むフッ化ウラニル(UO)の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉燃料を製造する際の原料となるフッ化ウラニル(UO)を製造する方法に関する。
原子炉燃料の製造過程においては、ウラン鉱山から採掘したウランを精錬し、六フッ化ウラン(UF)に転換した後に、所定のU−235の濃縮度まで濃縮し、その後、UFを二酸化ウラン(UO)に再転換して燃料ペレットを製造している。
この製造過程において、二酸化ウラン(UO)の原料となる六フッ化ウラン(UF)を製造する方法として、一般に、特許文献1に記載されているように、六フッ化ウラン(UF)と水蒸気との反応によりフッ化ウラニル(UO)粉末を製造している。
また、燃料ペレットの製造工程においては、スクラップのウランが発生するので、これをリサイクルする方法として、例えば特許文献2に記載されているように、スクラップウランを八酸化三ウラン(U)とした後に硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液とし、この溶液に過酸化水素を添加して過酸化ウラン水和物に変換し、ろ過回収した過酸化ウラン水和物を乾燥し、焙焼して三酸化ウラン(UO)に変換し、UOとHFガスを反応させることにより、フッ化ウラニル(UO)を製造する方法もある。
特開平10−279311号公報 特開平7-17716号公報
六フッ化ウラン(UF)と水蒸気との反応によるフッ化ウラニル(UO)の製造方法では、反応によりHFガスが生成する。HFガスは、未反応の水蒸気との混合により腐食性の高いHF蒸気を生成するので、製造装置には特別の腐食対策が必要となり、また腐食対策を施した廃HF回収設備が必要とされる。
また、八酸化三ウラン(U)から三酸化ウラン(UO)を経てフッ化ウラニル(UO)を製造する方法では、出発物質から生成物のフッ化ウラニルを得るまでに3つの他の化合物を経る必要があり、製造工程が多くなって操作も煩雑になるという課題があった。
本発明は、腐食性廃棄物を発生せず、かつ製造工程から排出される廃棄物量が少なく、少ない数の工程で、フッ化ウラニル(UO)を製造する方法を提供するものである。
本発明に係るフッ化ウラニル(UO)の製造方法は、ウラン化合物を溶解する工程と、溶解して得たウラン溶液にフッ素を含む水溶液を添加してウランフッ素化合物を得る工程と、このウランフッ素化合物からフッ化ウラニル(UO)を得る工程から成る。
本発明の出発原料であるウラン化合物については、水系の溶液に溶解できる化合物であれば形態を問わず、例えば、金属ウラン、酸化物(UO、U、UO等)、硝酸ウラニル(UO(NO)、六フッ化ウラン(UF)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
ウラン化合物を溶解する水系の溶液としては、例えば、水、硝酸等の酸溶液、水酸化物イオンを含むアルカリ溶液等がある。水系の溶液の種類は、溶解するウラン化合物の性質に合わせて選択される。選択された水系の溶液にウラン化合物を添加し、ウランを溶解してウラン溶液を得る。この際、ウラン溶液中のウランの化学形態がウラニルイオン(UO 2+)となるように、必要に応じて溶液の液性を、望ましくは溶液のpHが4以下となるよう調整するとよい。
次に、上記のウラン溶液にフッ素を含む水溶液を添加する。この際、フッ素を含む水溶液中にアンモニアが含まれる場合には、化学式1の反応により(NHUOが生成されて、沈殿する。
(化学式1)
UO 2++5NHF → (NHUO+2NH
フッ素を含む水溶液の添加量は、化学式1が示すように、ウランのモル量に対してフッ素量が5倍以上のモル量となるように設定する。
また、フッ素を含む水溶液の添加量は、水溶液中にアンモニアを含む場合は、ウラン溶液中のフッ素濃度が0.1g/L以上、望ましくは1g/L以上になるように設定する。これは、図4に示されているウラン溶液中のフッ素濃度に対する溶液中のウランの化学形態別の存在割合との関係、すなわち、UO 2+とFとが結合した錯体であるUO、UO+、UO 、UO 2−の安定度定数から計算されるこの関係より導かれるもので、ウラン溶液中のウランがUO 2−で存在する割合が高いほど、(NHUOの収量を多くすることができる。
沈殿として得た(NHUOは、ろ過等の方法により溶液から分離回収して乾燥する。乾燥は、加熱乾燥、真空乾燥等の方法により行われるが、加熱乾燥を行う際は、酸素による酸化を防ぐため、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下において、(NHUOの熱分解温度より低い温度、具体的には250℃以下で実施する。これにより、乾燥に伴い生成する水蒸気は、HFを含まないものとすることが可能となる。
乾燥した(NHUOを、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で加熱する。加熱温度は300℃以下、望ましくは250℃から300℃の間とする。加熱温度が250℃未満の場合は、熱分解反応の進行に時間を要するため実用的ではなく、300℃以上の場合には、熱分解により生成したフッ化ウラニル(UO)が更に分解して酸化物に変換するので望ましくない。加熱する際に雰囲気ガスに酸素が混入すると、酸化物が生成するため望ましくない。上記の加熱により(NHUOが熱分解し、次ぎの化学式2によりフッ化ウラニル(UO)が得られる。
(化学式2)
(NHUO → UO+3NH
化学式2によると、(NHUOの熱分解に伴い、UOとともにNHFが生成する。NHFは、(NHUOの熱分解温度で揮発するため、UOから容易に分離される。分離されたNHFは冷却して固体として回収し、水に溶解して(NHUOを得るための添加剤として使用できる。また、揮発したNHFの一部は、NH(ガス)とHF(ガス)に分解し、冷却によりNHHFを生成する場合がある。ここで回収されるNHHFを水に溶解した溶液は、NHFを水に溶解した溶液と同じ組成であり、同様に添加剤として使用できる。
また、図4に示されているように、ウラン溶液中のフッ素濃度が1×10−3g/Lの時、溶液中のUO濃度が最大となる。そこで、フッ素を含む水溶液の添加量を、ウラン溶液中のフッ素濃度が1×10−4g/Lから1×10−2g/Lの間、望ましくは1×10−3g/Lとなるように設定することにより、溶液中のウランの形態をUOに調整し、この溶液を蒸発乾燥してフッ化ウラニル(UO)を得ることもできる。この方法では、中間体を経ることなくフッ化ウラニルを得ることができる。
本発明によれば、HFを含む水蒸気が発生せず、(NHUOを得るための添加剤は、(NHUOの熱分解後に回収して再利用できるため、フッ化ウラニル(UO)の製造に伴う腐食性廃棄物とその他廃棄物の発生量を低減することが可能である。さらに、出発物質から生成物のフッ化ウラニル(UO)を得るまでに経る化合物の種類は1種類であるので、フッ化ウラニルを製造するために必要とされる工程数が低減して製造施設をコンパクト化し、経済性の向上が見込まれる。
また、本発明の別の発明によれば、中間体を経ることなくフッ化ウラニルを得ることができるので、製造工程を簡略化して、経済性の向上に寄与することができる。
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態の一例である実施例1について、図1を参照して説明する。
実施例1は、ウラン化合物1に、固体のウラン化合物の一例として核燃料ペレットの製造過程で発生するスクラップウランを使用する場合である。実施例1におけるウラン化合物1は、スクラップウランに限定されるものではなく、他の化学形態、例えばウラン金属、ウラン酸化物、ウラン窒化物、ウラン塩化物、ウランフッ化物、ウラニル塩などでもよい。
スクラップウランの化学形態はUOである。UOは硝酸に溶解可能であることから、溶解工程110において、スクラップウランを硝酸に溶解し、ウラン溶液2を得る。スクラップウランを酸化してUに変換し、その後で硝酸に溶解してもよい。ウラン溶液2のpHが4以下の場合、ウラン溶液2中のウランはUO 2+の形態となる。溶解工程110で使用される溶解槽としては、例えば円筒型、直方形型等の形状のものが利用できるが、設計の際には臨界安全性を考慮する必要がある。また、後述する沈殿剤を添加する際に、溶液との混合性を良くする目的で、溶解槽は撹拌機構を備えているとよい。
次に、溶解工程110で得たウラン溶液2に、アンモニアとフッ素を含む水溶液からなる沈殿剤3を添加する。沈殿剤としては、NHF及び/又はNHHFを水に溶解したものが使用される。沈殿剤3の添加により、ウラン溶液2中に(NHUOからなるウラン沈殿4が生成されて沈殿する。沈殿剤3の添加量は、ウラン溶液2中に含まれるウラン量に対してフッ素量が5倍モル量以上になるように、かつ、ウラン溶液2中のフッ素濃度が0.1g/L以上となるように設定する。沈殿剤3中に含まれるフッ素量の上限値は、沈殿剤として使用するNHF及び/又はNHHFの溶解度により決まる。溶解度以上のNHFやNHHFを沈殿剤3に添加すると、沈殿剤3中に不溶解NHFやNHHFが含まれ、これをウラン溶液2に添加した場合、ウラン沈殿4にこれらの物質が不純物として混入することになる理由で好ましくない。
また、ウラン溶液2中のフッ素濃度が0.1g/L以下であると、図4に示されているように、溶液中のフッ化ウラニル(UO)の存在割合が増加するが、フッ化ウラニルはアンモニアの添加で沈殿を形成しないため、ウラン沈殿4の回収率が低下する理由で好ましくない。ウラン溶液2に沈殿剤3を添加する際には、ウラン溶液2を撹拌しながら添加するとよい。
沈殿が十分に生成した後、ウラン沈殿4をウラン溶液2より、ろ過等の手段で分離回収する。ウラン沈殿4を分離した後の溶液は、ウラン化合物1を溶解する際に再利用することもできる。
回収したウラン沈殿4は、乾燥工程120に送られて乾燥させる。乾燥は、ロータリーキルン、流動層、固定層などの装置を使用し、窒素やアルゴン等の酸素濃度が低い不活性ガス中での加熱や真空乾燥等の方法で実施される。加熱乾燥を行う場合は、ウラン沈殿を、これに含まれる水分が蒸発しかつ熱分解反応が生じない温度、具体的には100℃から250℃で加熱する。加熱温度が100℃以下では水分が蒸発せず、250℃以上ではウラン沈殿が熱分解反応を起こし、蒸発する水分中に分解生成物として腐食性ガスであるHFが含まれることとなる理由で好ましくない。
乾燥工程120で乾燥されたウラン沈殿4は、熱分解工程130において、窒素やアルゴン等の酸素濃度が低い不活性雰囲気中で250℃から300℃の温度で加熱され、ウラン沈殿が熱分解してフッ化ウラニル(UO)5が生成する。加熱温度が250℃以下では熱分解に時間を要して実用的ではなく、300℃以上ではフッ化ウラニルが更に分解して酸化物を生成する理由で望ましくない。
熱分解工程130で使用される機器としては、ロータリーキルン、流動層、固定層などが挙げられる。得られたフッ化ウラニル5は、従来からの二酸化ウラン粉末製造方法と同様の処理により、二酸化ウラン(UO)に変換されて燃料ペレットの製造に供される。
ウラン沈殿4の熱分解の際に発生する分解生成物6中には、NHF、NHHF、NHF、HFが含まれるが、これらの物質は、冷却や液体スクラバ等により回収し、沈殿剤3として再利用することができる。
実施例1によれば、スクラップウランを使用してフッ化ウラニルを製造する際に発生する溶液や分解生成物は、いずれも再利用が可能であり、フッ化ウラニル製造に伴って発生する廃棄物量を大幅に低減することが可能である。また、乾燥工程で水分を除去する際、フッ素やフッ化水素は発生しないため、腐食性ガスの対策を必要としない。さらに、実施例1の方法は、スクラップウラン以外の固体のウラン化合物にも適用可能であるので、ウラン資源の有効活用を図ることができる。また、スクラップウランよりフッ化ウラニルを製造する過程で経る化合物は、(NHUOのみであり、複数の化合物を経る必要がないためフッ化ウラニルの製造施設をコンパクトにすることができ、経済性の向上にも寄与できる。
(実施例2)
本発明の実施の形態の別の一例である実施例2について、図1を参照して説明する。
実施例2では、ウラン化合物1として、濃縮工場から払い出される六フッ化ウラン(UF)を使用する場合、すなわち、本発明をUFから二酸化ウラン(UO)への再転換に適用した場合である。
六フッ化ウラン(UF)は、常温においては圧力により液体もしくは気体で存在する。通常、濃縮工場から払い出される六フッ化ウランは、シリンダに充填されている。この液体もしくは気体状の六フッ化ウランを、溶解工程110において、水もしくは水系の溶液に通じることで、ウラン溶液2を得る。ウラン溶液の液性を、pH4以下に調整することで、ウラン溶液中のウランの化学形態をUO 2+とするとよい。溶解工程110で使用する溶解槽は、臨界安全性を考慮した形状であれば特に形状を規定されるものではないが、六フッ化ウランと溶液との混合をよくするために撹拌等を行うとよい。
次に、溶解工程110で得たウラン溶液2に、アンモニアとフッ素を含む水溶液からなる沈殿剤3を添加して、(NHUOからなるウラン沈殿4を得る。沈殿剤の添加量は、ウラン溶液中に含まれるウラン量に対してフッ素量が5倍モル量以上になるように、かつ、ウラン溶液中のフッ素濃度が0.1g/L以上となるように設定する。沈殿剤3に含まれるフッ素量の上限値は、沈殿剤に溶解するアンモニアとフッ素を含む化合物の溶解度であり、溶解度以上を添加するとウラン沈殿4に含まれる不純物量が増加する理由で好ましくない。
また、ウラン溶液2中のフッ素濃度が0.1g/L以下であると、ウラン沈殿4の回収率が低下する理由で好ましくない。ウラン沈殿はウラン溶液より分離回収され、乾燥工程120において乾燥される。この乾燥は、加熱乾燥や真空乾燥等により行われるが、加熱乾燥を実施する場合は、ウラン沈殿4に含まれる水分が蒸発しかつウラン沈殿が熱分解しない温度、具体的には100℃から250℃に設定する。加熱温度の上限を250℃とすることで、ウラン沈殿の熱分解による腐食性ガスHFの発生を抑制することができ、加熱により蒸発する水分中に腐食性ガスが含まれることを回避できる。
乾燥したウラン沈殿4は、熱分解工程130において不活性雰囲気中、実用的な温度であってフッ化ウラニル(UO)が熱分解しない温度である250℃から300℃で加熱され、フッ化ウラニル5を生成する。
乾燥工程120と熱分解工程130で使用される機器としては、ロータリーキルン、流動層、固定層などが挙げられる。実施例2における熱分解工程で得られたフッ化ウラニル(UO)5は、実施例1で得られたものと同様に、従来の方法により、これを原料として二酸化ウラン(UO)を製造することができる。
ウラン沈殿4を分離後の溶液は、六フッ化ウラン(UF)を溶解して溶解工程110においてウラン溶液2を得る際の水系溶液として再利用できる。また、熱分解工程130において発生する分解生成物6は、沈殿剤3として再利用することができる。
実施例2によれば、六フッ化ウラン(UF)を再転換して二酸化ウラン(UO)を得る工程において、六フッ化ウランからフッ化ウラニルを製造する際に湿ったHFガス等の腐食性廃棄物を発生することがなく、装置の腐食対策を軽減できる効果がある。また、六フッ化ウランを溶解する際に使用する溶液や(NHUOを得る際に使用する沈殿剤を再利用できるため、廃棄物量の低減や経済性の向上が可能である。
(実施例3)
本発明の実施の形態の別の一例である実施例3について、図2を参照して説明する。
実施例3は、ウラン化合物1として、固体のウラン化合物の一例として核燃料ペレットの製造過程で発生するスクラップウランを使用する場合である。もっとも、ウラン化合物1はスクラップウランに限定されるものではなく、他の化学形態のものでもよい。また、ウラン化合物1は固体に限定されるものではなく、液体や気体状のウラン化合物、例えば六フッ化ウラン(UF)でもよい。
スクラップウランは、前記したとおり、その化学形態がUOであり、硝酸に可溶である。そこで、溶解工程110において、UOからなるウラン化合物1を硝酸に溶解し、ウラン溶液2を得る。ここで、使用するウラン化合物が焼結等により硝酸への溶解性が低下している場合、予めUOをU等に変換した後に硝酸に溶解してもよい。溶解工程110で使用される溶解槽は、臨界安全性を考慮して設計されるが、ウラン化合物の溶解を促進し、かつ、後述するフッ素剤31を添加する際に均一に混合できるように、撹拌機能が備えられているとよい。
上記得られたウラン溶液2に、フッ素を含む水溶液からなるフッ素剤31を添加する。フッ素剤の添加量は、ウラン溶液中のフッ素濃度が1×10−4g/Lから1×10−2g/L、望ましくは1×10−3g/Lとなるように設定する。図4に示されているように、ウラン溶液中のウランの化学形態についてみると、ウラン溶液中のフッ素濃度が1×10−4g/Lから1×10−2g/Lの時、フッ化ウラニル(UO)の存在割合が50%以上となり、1×10−3g/Lの時、その存在割合が最大となる。ウラン溶液中のフッ化ウラニルの存在割合が高い程、フッ化ウラニルの収率を向上することができる。
その後、乾燥工程121において、ウラン溶液2を蒸発乾燥する。乾燥は、加熱乾燥や真空乾燥等の方法で行われる。加熱乾燥を行う際は、ウラン溶液中に含まれるフッ化ウラニル(UO)の分解と酸素による酸化を防止するため、窒素やアルゴンなどの不活性ガス中において100℃から250℃の温度で実施する。乾燥工程121は、例えば溶解工程110において溶解槽の周りをヒーター等で加熱する方法が適用される。
乾燥後の残渣には、フッ化ウラニル(UO)とともに、ウラン化合物1の溶解に硝酸を使用した場合には、硝酸塩などの不純物が残留する。これらは、熱分解工程131において、窒素やアルゴンなどの不活性ガス中で、250℃から300℃の温度で加熱することで分解生成物61として分解除去する。この結果、フッ化ウラニル5を得ることができる。熱分解工程131での加熱温度が250℃以下では熱分解に時間を要するため実用的でなく、300℃以上ではフッ化ウラニルが更に分解して酸化物となるため好ましくない。熱分解工程131で使用される機器としては、他の実施例と同様、ロータリーキルン、流動層、固定層などが挙げられる。
以上、実施例3によれば、フッ化ウラニル(UO)の生成条件を溶液中のウラン濃度とフッ化物イオン濃度から決定するので、ウラン沈殿を乾燥して得た粉体を熱分解する方法より、精度を向上することが可能である。また、乾燥工程で水分を除去する際、フッ素やフッ化水素は発生しないため、腐食性ガスの対策を必要としない。実施例3の方法は、スクラップウラン以外の固体のウラン化合物でも適用でき、ウラン資源の有効活用が可能である。さらに、ウラン溶液中のフッ素濃度を調整することで、中間体を経ることなくフッ化ウラニルを得ることができるため、製造工程を簡略化することが可能であり、経済性の向上に寄与することができる。
(実施例4)
本発明の実施の形態の別の一例である実施例4について、図3を参照して説明する。
実施例4は、ウラン化合物1に、固体のウラン化合物の一例として核燃料ペレットの製造過程で発生するスクラップウランを使用する場合である。実施例4におけるウラン化合物1は、スクラップウランに限定されるものではなく、他の化学形態のものでもよい。また、ウラン化合物1は固体に限定されるものではなく、液体や気体状のウラン化合物、例えば六フッ化ウラン(UF)でもよい。
スクラップウランの化学形態はUOであり、UOは硝酸に可溶である。そこで、溶解工程110において、UOからなるウラン化合物1を硝酸に溶解し、ウラン溶液2を得る。ここで、使用するウラン化合物1が焼結等により硝酸への溶解性が低下している場合、予めUOを八酸化三ウラン(U)等に変換した後に硝酸に溶解してもよい。溶解工程110で使用する溶解槽は、臨界安全性を考慮した形状である必要があり、さらに撹拌機構を備えているとよい。
上記により得たウラン溶液2に、アンモニアとフッ素を含む水溶液からなる沈殿剤3を添加し、(NHUOからなるウラン沈殿4を得る。沈殿剤3の添加量は、ウラン溶液2中のウラン量に対しフッ素量が5倍モル量以上となり、かつ、ウラン溶液中のフッ素濃度が0.1g/L以上、アンモニアとフッ素を含む化合物の溶解度以下となるように設定する。
得られたウラン沈殿4は、乾燥後もしくはそのままで溶解工程111において水に溶解し、ウラン溶液21を得る。溶解工程111で使用する機器は、溶解工程110で使用する機器と同様、臨界安全性を考慮した形状で、撹拌機構を備えているとよい。
次に、ウラン溶液21中のフッ素濃度が1×10−4g/Lから1×10−2g/L、望ましくは1×10−3g/Lとなるよう、脱フッ素剤32を添加する。フッ素濃度が1×10−3g/Lのとき、ウラン溶液21中のフッ化ウラニル(UO)の存在割合が最大となり、フッ素濃度が1×10−3g/Lに近い程、フッ化ウラニルの収率を上げることができる。脱フッ素剤32としては、フッ化物の溶解度が小さい化合物の塩の水溶液が用いられる。例えば、ランタンやネオジムなどの希土類の硝酸塩の水溶液が、脱フッ素剤32として使用できる。
脱フッ素剤32の添加により、脱フッ素剤に含まれる金属とフッ素との化合物からなるフッ素化合物33が沈殿する。脱フッ素剤32として硝酸ネオジムの水溶液を用いた場合、フッ素化合物33はフッ化ネオジム(NdF)の形態となる。生じたフッ素化合物33の沈殿は、ろ過等によりウラン溶液21から除去される。フッ素化合物の沈殿は、フッ素除去処理を行った後、再度、脱フッ素剤32として使用される。
フッ素化合物33を除去したウラン溶液21は、乾燥工程121において、フッ化ウラニル(UO)の酸化を防止するため窒素やアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気中で、加熱や減圧等の操作により水分を除去し、乾燥される。加熱乾燥を行う場合は、水分が蒸発し、かつフッ化ウラニルが熱分解しない温度、具体的には100℃から250℃に設定する。乾燥工程121では、例えば溶解工程111で使用した溶解槽の周囲をヒーター等で加熱する方法が適用できる。
乾燥後の残渣には、フッ化ウラニル(UO)とともに、脱フッ素剤32として金属の硝酸塩を使用した場合には硝酸アンモニウム(NHNO)が含まれるため、熱分解工程131においてロータリーキルンなどの装置を使用して加熱し、硝酸アンモニウムを熱分解により除去する。熱分解工程131では、乾燥工程より高く、フッ化ウラニルが分解しない温度、具体的には250℃から300℃で加熱する。この操作により、最終的にフッ化ウラニル5が得られる。加熱により除去された分解生成物62は、脱フッ素剤32として金属の硝酸塩を使用した場合には硝酸アンモニウムが含まれており、水に溶解することで沈殿剤3として再利用可能である。
実施例4によれば、フッ化ウラニル(UO)の生成条件を溶液中のウラン濃度とフッ化物イオン濃度から決定するので、粉体の熱分解より精度を向上することが可能である。また、実施例4においても、フッ化ウラニル製造の際に発生する副生成物はほとんどが再利用可能であり、廃棄物の発生量を大幅に低減することができる。実施例4では余剰のフッ素を沈殿回収した後に溶液中の水分を蒸発するため、水分とともに蒸発するフッ素を対象とした装置の腐食対策を削減できる。さらに、実施例4の方法は、種々の化学形態のウランに適用可能であり、ウラン資源の有効活用に寄与できる。
本発明に係る実施例1及び2におけるフッ化ウラニルの製造方法のフローを示す。 本発明に係る実施例3におけるフッ化ウラニルの製造方法のフローを示す。 本発明に係る実施例4におけるフッ化ウラニルの製造方法のフローを示す。 ウラン溶液中のフッ素濃度に対する溶液中のウランの化学形態別の存在割合との関係を示す。
符号の説明
1 ウラン化合物
2 ウラン溶液
3 沈殿剤
4 ウラン沈殿
5 フッ化ウラニル(UO
6 分解生成物
110 溶解工程
120 乾燥工程
130 熱分解工程

Claims (11)

  1. フッ化ウラニル(UO)を製造する方法において、該方法が、ウラン化合物を溶解する第1の工程と、前記ウラン化合物を溶解した溶液に沈殿剤を添加して(NHUOの沈殿物を得る第2の工程と、前記第2の工程で得た沈殿物を分離回収して乾燥する第3の工程と、前記第3の工程で乾燥されたウラン沈殿物を加熱して熱分解によりフッ化ウラニルに変換する第4の工程を含むことを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  2. 請求項1に記載されたフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第2の工程で添加する沈殿剤は、アンモニアとフッ素を含むことを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  3. 請求項1に記載されたフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第3の工程において、前記沈殿物を100℃から250℃の温度で乾燥することを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  4. 請求項1に記載されたフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第4の工程において、前記乾燥されたウラン沈殿物を250℃から300℃の温度で加熱することを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  5. 請求項2に記載されたフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第2の工程で添加する沈殿剤に含まれるフッ素は、前記第1の工程で得たウラン化合物の溶解液に含まれるウラン量に対して5倍モル量以上であり、かつ、ウラン化合物の溶解液中のフッ素濃度が0.1g/L以上であることを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  6. 請求項2に記載されたフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第4の工程で発生する分解生成物中に含まれるアンモニアとフッ素からなる化合物を、前記第2の工程の沈殿剤として再利用することを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  7. フッ化ウラニル(UO)を製造する方法において、
    ウラン化合物を溶解する第1の工程と、前記第1の工程で溶解した溶液のフッ素濃度を調整して溶液中のウラン化合物の化学形態をフッ化ウラニル(UO)に調整する第2の工程と、前記第2の工程で得た溶液を蒸発乾燥する第3の工程と、前記第3の工程で得た残渣を加熱して不純物を分解除去してフッ化ウラニル(UO)を得る第4の工程を含むことを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  8. 請求項7に記載のフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第2の工程において、ウラン化合物の溶解液中のフッ化物イオン濃度を1×10−4g/Lから1×10−2g/Lに調整することでウラン化合物の化学形態をフッ化ウラニル(UO)に調整することを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  9. 請求項7に記載のフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第3の工程において、前記溶液を100℃から250℃の温度で蒸発乾燥することを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  10. 請求項7に記載のフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記第4の工程において、前記不純物を250℃から300℃の温度で分解除去することを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
  11. 請求項1又は7に記載されたフッ化ウラニルの製造方法において、
    前記溶解するウラン化合物は、ウラン金属又はウラン酸化物又はウラン窒化物又はウラン塩化物又はウランフッ化物又はウラニル塩からなることを特徴とするフッ化ウラニルの製造方法。
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