JP2009119204A - インピーダンス分布測定方法及びインピーダンス分布測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体組織などの水包含物質の誘電率と導電率を画像計測する手法および画像計測装置を提供する。
【解決手段】静磁場に置かれた水包含物質6に対して、電極7から微弱な高周波電流を通電しながら及び通電せずに磁気共鳴信号を発生させ、両者の画像をもとに当該物質内部のインピーダンスすなわち誘電率および導電率の分布を求める。高周波電流の周波数を磁気共鳴周波数に一致させ、高周波電流の通電時および非通電時に当該物質近傍のプローブコイル3から加える高周波磁場の位相を、装置内の基準信号に対して0度および90度に合わせてそれぞれ画像を取得する。通電の有無と、高周波磁場の位相の差により合計4枚の画像を得て、ピクセル毎の演算により導電率と誘電率の画像を生成する。
【選択図】図1
【解決手段】静磁場に置かれた水包含物質6に対して、電極7から微弱な高周波電流を通電しながら及び通電せずに磁気共鳴信号を発生させ、両者の画像をもとに当該物質内部のインピーダンスすなわち誘電率および導電率の分布を求める。高周波電流の周波数を磁気共鳴周波数に一致させ、高周波電流の通電時および非通電時に当該物質近傍のプローブコイル3から加える高周波磁場の位相を、装置内の基準信号に対して0度および90度に合わせてそれぞれ画像を取得する。通電の有無と、高周波磁場の位相の差により合計4枚の画像を得て、ピクセル毎の演算により導電率と誘電率の画像を生成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気共鳴信号により画像を取得する技術(MRI)に関する。本発明は、また、MRIを用いた、電解液、生体組織、人体組織等の物質のインピーダンスすなわち誘電率と導電率の空間的な分布を測定するための技術に関する。
携帯電話や電磁調理器、送電線、磁気共鳴撮像装置などから発生する電磁場により、人体にどの程度の誘導電流やエネルギー吸収が生じるかを見積もることは、これら機器の安全性を示す上で不可欠である。また、脳波や脳磁図を用いた脳機能計測において、脳活動の分布を解析するためには、脳活動に伴って生じる脳内電流分布を解析する必要がある。これらの電磁場解析には、対象とする個体または臓器のインピーダンス分布を記述した解析モデルが必要である。現在主流となっている方法は、個体や臓器を、その三次元断層像から脳や筋肉などのいくつかの組織へ手作業で分割し、各組織のインピーダンスを、切り出した組織片から別途測定して割りあてるというものである。この方法は膨大な手間を要するため、標準となる人体モデルを数体程度作成するといった目的には有用だが、姿勢の変化や病変などを含んだ個別的な電磁界解析のニーズには対応しにくい。また、インピーダンスの値は、無傷のヒトの組織が持つ値と必ずしも一致しない。これらの問題を解決するためには、生体のインピーダンス分布を非侵襲に測定する手法の適用が有効である。
前記インピーダンスとは、物質の電気的特性量であり、交流電磁場に対する解析に用いやすいように一般に複素数で表示される。実数部は誘電率と呼ばれ、物質に外部から電場が加えられたときに当該物質の表面にどれくらいの電荷が生じるかを表す指標である。通常は真空の誘電率に対する比で表わされるため単位を持たない。虚数部は導電率と呼ばれ、物質に外部から電場が加えられたときに当該物質にどれくらいの電流が流れるかを表す指標であり、単位はS/mである。これらの他に磁気的特性量として透磁率があるが、生体組織の透磁率は真空における値で近似して実用上は差し支えないため、誘電率と導電率の空間分布を求めることができれば生体の電磁場解析には十分である。
磁気共鳴信号とは、均一な静磁場の中に置かれた物質のもつ多くの原子核(高速で回転するのでスピンと呼ばれ、しかも静磁場の中では磁場強度で定まる周波数で歳差運動をする)が外部からのRF磁場に共鳴して歳差運動の位相をそろえ、近くに置かれた共振コイルによって巨視的な誘導起電力として検出されるに至った、微弱な、歳差運動と同じ周波数をもつ、典型的にはマイクロボルト程度の高周波信号のことである。(なお、MR画像のことをMRImage、略してMRIと言い、それを取得すること又は方法をMRImaging、略してこれもMRIと言う。
前述のような、三次元断層像から組織分割を行い、各組織のインピーダンスを割り当てる方法で構築されたモデルは、日本の情報通信研究機構をはじめ、世界の複数の機関から公開されている(例えば、非特許文献1参照)。1から数ミリメートルの空間分解能を持ち、組織の種類は数十に及ぶ。人体に加えて、ラットやサルなどの動物のモデルも提供されている。
電磁場解析の個別的なニーズに対応するためには、生体内のインピーダンス分布を測定する技術が必要である。そのような技術としてインピーダンストモグラフィ(インピーダンスCTとも呼ばれる)がある。これは、生体表面の様々な位置に数十個の電極を貼り付け、その中の特定の電極間に電流を流しながら、各電極の電圧を測定し、生体内部のインピーダンス分布を推定する手法である。電流を流すパターンや装置、インピーダンスを推定するアルゴリズムに、さまざまなものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、限られた数の電極を用いて内部のインピーダンス分布を詳細に推定することはできないため、実質的な分解能は高々センチメートル程度にとどまり、電磁場解析への応用はほとんど進んでいない。
MRIは、疾患の診断に広く利用されている技術だが、温度や流れなど多様な物理量の画像計測に応用されている。電気的特性量もその一つであり、MRI撮像中に測定物へ電磁場を加えて、その際の画像の変化を読み取ることで、測定物のインピーダンスを反映した画像を得る手法も提案されている(例えば、特許文献4、非特許文献2、非特許文献3参照)。ただし、これらの手法はインピーダンスを定性的に調べることを目的としており、誘電率や導電率の具体的な数値を得ることはできない。
電解質溶液において、水の自己拡散係数は導電率と比例関係にある。生体組織では細胞膜が大きな電気抵抗を有するため、周波数の低い電流は細胞膜をほとんど透過せず、細胞外空間のみを流れるという近似がよく成立する。MRIを用いて生体組織の細胞外空間に含まれる水の自己拡散係数を測定して、組織の実効的な導電率を推定する手法が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。低周波電流に対する導電率に限れば、この方法で求めることはできるが、高周波電流に対する導電率や、誘電率を求めることはできない。
特開平9−510014号公報 電気インピーダンス・トモグラフィ 特開2000−139866号公報 電気インピ−ダンストモグラフィ装置 特開平10−253562号公報 電気インピーダンス分布の測定方法 特開2002−209868号公報 原子核スピン緩和及び分子拡散の促進方法並びに磁気共鳴撮像装置 長岡智明、櫻井清子、国枝悦夫、渡辺聡一、本間寛之、鈴木保、河合光正、酒本勝之、小川幸次、此川公紀、久保田勝巳、金鳳洙、多氣昌生、山中幸雄、渡辺敏:「日本人成人男女の平均体型を有する全身数値モデルの開発」、生体医工学、40巻、239−246頁、2002年 Ueno S、Iriguchi N、Impedance magnetic resonance imaging:amethod for imaging of impedance distributions based on magnetic resonance imaging、Journal of Applied Physics 83巻、6450−6452頁、1998年 Yukawa Y、Iriguchi N、Ueno S、Impedance magnetic resonance imaging with external AC field added to main static field、IEEE Transactions on Magnetics 35号、4121−4123頁、1999年 Sekino M、Yamaguchi K、Iriguchi N、Ueno S、Conductivity tensor imaging of the brain using diffusion−weighted magnetic resonance imaging、Journal of Applied Physics 93号、6730−6732頁、2003年
ところで、前述の3次元断層像から生体の電磁場解析モデルを構築する手法は膨大な手間を要する点が問題であり、解析の対象となる個人の体型や姿勢、病変の有無などを考慮することが必要な解析用途には適さない。また、各組織の誘電率や導電率は、動物などから切り出した組織片の測定値に基づいて与えられている。切り出された組織では、血流の不足や神経の切断などによって細胞の状態が変わるため、無傷の時の測定値と一致する保証は無い。また、例えば胃のように本来は誘電率や導電率の異なる何層かの組織から構成される臓器や、脳の白質のように、導電率が強い異方性を持っており、その方向性も各部位で異なるような臓器であっても、単一の誘電率と導電率で近似されるため、現実の生体の臓器や組織が持つ不均一性を十分に再現できないのが実情である。
インピーダンス・トモグラフィやMRIなど、導電率の画像化を行う手段がいくつか提案されているが、これらは分解能が十分でなかったり、定量的な測定を行えなかったりするため、測定されたデータは電磁場解析に用いられていないのが実情である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、MRI装置内におかれた水包含物質に高周波電流を通電したときに誘電率と導電率の分布に応じた画像上の変化が生じることを利用して、誘電率と導電率を画像計測する手法を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、誘電率と導電率を画像計測することができる装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、静磁場に置かれた水包含物質に対して、微弱な高周波電流を通電しながら及び通電せずに核磁気共鳴信号を発生させ、両者の画像をもとに当該物質内部のインピーダンスすなわち誘電率および導電率の分布を求める方法であって、高周波電流の周波数が磁気共鳴周波数に等しく、高周波電流の通電時および非通電時に当該物質近傍のプローブコイルから加える高周波磁場の位相が装置内の基準信号に対して0度および90度であり、プローブコイルの高周波磁場は正極性と負極性で等しい時間幅で順に加えられ、高周波電流は正極性のみでプローブコイルの磁場発生時間を通じて通電され、高周波電流は静磁場とおよそ等しい方向に通電されることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、均一な静磁場を発生する手段と、高周波磁場を発生する手段と、勾配磁場を発生する手段と、磁気共鳴信号を画像として構成する手段とを有しており、水包含物質の磁気共鳴画像を撮像して取得する装置であって、当該物質に高周波電流を通電する手段と、高周波電流とプローブコイルの高周波磁場との位相差を0度および90度に保つ手段と、通電時および非通電時の画像を演算する手段とを備えることにより、当該物質内部の誘電率および導電率を求めることを可能としたことを特徴とする。
本発明において、MRI装置を用いて生体組織などの水包含物質に高周波電流を流した状態と流さない状態とで画像を取得し、それらの画像に演算を施すことで、水包含物質の誘電率と導電率の分布を求める方法を提供することができる。
また、本発明において、生体等の水包含物質の誘電率と導電率を、ミリメートルの高分解能で定量的かつ非侵襲に画像計測する装置を提供することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るインピーダンス分布測定装置構成のブロック図を示す。
図1において、マグネット1は超電導コイルまたは永久磁石で作成され、内部に均一な静磁場を発生する。静磁場強度は例えば0.2〜7T、好ましくは1.0T〜1.5Tの範囲である。磁場均一度は、人体や各種測定物の中で測定対象とする部位より十分に広い範囲で、1ppm程度のレベルの乱れに抑えられている。また、その強度と均一度は、少なくともMRI測定がおこなわれる間、安定に保たれる。この静磁場が、測定物中の原子核にゼーマン分裂を生じさせ、磁気共鳴信号の発生を可能にする。装置の座標系は、慣例に従って、マグネットの静磁場の方向をz方向とする。
傾斜磁場コイル2は、強度が空間的に変化する、すなわち傾斜を持つ磁場を、数ミリ秒の時間幅で生成する。傾斜磁場コイルは、図示しないコンピュータから信号を受けた傾斜磁場電源から、電流の供給を受ける。傾斜磁場コイルは、x方向、y方向、z方向にそれぞれ傾斜を発生する3個のコイルが1組となっており、それらのコイルが組み合わされて同時に動作する結果、任意の方向への傾斜を発生する。人体や各種測定物の中で測定対象とする部位より十分に広い範囲で、強度の変化は、位置に対して直線的となる。傾斜磁場の最大強度は、例えば10〜100mT/mの範囲である。傾斜磁場の強さや時間幅を工夫することで、測定対象内の任意の断面のみから磁気共鳴信号を得たり、測定対象中の異なる位置から発せられた信号を分離することができる。
プローブコイル3は、高周波磁場を測定対象に照射する。また、その直後に測定対象から発生する同周波数の磁場を検出する。高周波磁場の周波数fには、f=γBの関係があり、Bはマグネット1が発生する磁場の強度、γは測定物内に含まれる原子核に固有の定数であり、ほとんどのMRIで選択される水素原子核の場合にはγ=42.6MHz/Tである。磁場照射時には、パワーアンプ4から高周波電流の供給を受ける。パワーアンプは、制御コンピュータの指令に従って、周波数と位相を任意に調整することができる。磁場検出時には、測定物内に含まれる水素原子核の磁気モーメントが運動することによって、プローブコイルに微弱な誘導起電力が生じる。これがアンプ5で増幅され、磁気共鳴信号として記録される。
測定物6は、磁気共鳴信号を発生する原子核、すなわち陽子と中性子少なくとも一方が奇数の原子核を含む物質から成る。中でも、自然界に多く存在し、発生する磁気共鳴信号の強度が最も強い水素原子核を含む物質が適している。さらに、MRIとして十分な磁気共鳴信号を得るために、高周波磁場の照射を行って原子核がエネルギーを吸収してから元のエネルギーに戻るまでの時間であるT1緩和時間が数十ミリ秒から数秒の間で、かつ磁気共鳴信号が時間とともに減衰していく特性時間であるT2緩和時間ができる限り長い物質が適している。比誘電率は例えば1〜100程度の範囲にあり、導電率は例えば0.01〜10S/mの範囲にあり、非磁性の物質が測定に適している。生体組織は、最も測定に適した物質の一つである。
測定物6には、電極7から高周波電流が通電される。高周波電流は、パワーアンプ8から供給される。パワーアンプ4と、パワーアンプ8とは、同周波数で動作し、制御コンピュータの指令に従って互いの位相差が調整される。電極7とその導線は非磁性材料で作成され、例えば白金電極と銅の導線の組み合わせが適している。また、プローブコイル3から照射される高周波磁場を乱さないよう、電極と導線はできる限り小さく作成されるのが好ましい。電極は最低でも1対必要で、測定物全体の誘電率と導電率の分布を得たければ測定物の両端に配置するのが好ましく、測定物の一部を対象とするならば、対象部位の近傍に1対の電極を配置すればよい。
図1の構成要素1、2、3、4、5は、従来のMRI装置に備わっているものを、そのまま使用できる。構成要素6、7、8を、本発明を実施するために新たに用意する必要がある。
図2は、本発明の実施形態に係るインピーダンス分布測定方法のうち、MRI装置の各構成要素の動作タイミングチャート(パルスシークエンス)を示す。RF1はプローブコイル3の動作を示し、RF2は測定物に通電される電流を示す。Gx、Gy、Gzは、傾斜磁場コイル2の動作を示す。動作9ならびに10が、本発明に固有の動作であり、残りの動作は従来の測定手法(スピンエコー法)と変わらない。
動作9は、上記周波数fで数ミリ秒間、一定の強度で測定物に照射されるパルス高周波磁場を表す。前半と後半は逆の位相を持ち、時間幅は等しい。動作10は、同周波数fと一定の強度をもって測定物に通電される電流を表わす。動作10の開始と終了は、動作9に合わせる。動作9の前半は、はじめにz方向を向いていた巨視的磁化を、xy面内の高周波磁場方向を軸として回転させる作用を持つ。回転角度は例えば360度程度である。後半は、同じ回転軸で逆向きに回転させる作用をもつので、動作9単独であれば、動作前後の巨視的磁化に変化は生じない。動作10は、測定物への通電によって測定物内に交流磁場を発生させる。動作9の磁場と、動作10の磁場とは、ベクトル的に足しあわされて巨視的磁化に影響を与える。動作10の磁場が、動作9の磁場に比べて十分に小さければ、足しあわされた磁場の向きは動作9の磁場の向きに等しいと近似して差し支え無く、また足しあわされた磁場の強度は、動作9の磁場と、それに平行な動作10の磁場の成分とを足し合わせたものになる。動作10の磁場は反転させないので、巨視的磁化が正味に回転する角度θ1は、動作9の磁場に平行な動作10の磁場の成分に依存し、これをb1とするならθ1=2πγb1となる。このようなパルスシークエンスを動作させる結果、測定物内の巨視的磁化の角度θ1の分布を測定することができる。さらに、動作9においてプローブコイルに供給する電流の位相を90度変化させると、高周波磁場の方向がxy平面内で90度変わるので、動作10の磁場の、上とは垂直な方向の成分を反映した、巨視的磁化の角度θ2の分布を求めることができる。
前項の手順によりθ1とθ2を画像計測した後、ピクセル毎の演算により−∇^2(θ1−iθ2)/(θ1−iθ2)の画像を求める。この画像の実数部を4π^2・f^2・μ0で割ると誘電率の画像が得られ、虚数部を2πfμ0で割ると導電率の画像が得られる。ここでμ0は真空の透磁率である。
以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<電解質溶液の測定>
水とエタノールを体積比3対7で混合した溶液に、塩化ナトリウムを重量濃度3.2%で溶解させ、テスト測定試料とした。この溶液の比誘電率は40、導電率は0.14S/mである。測定に使用した容器の概略を図3に示す。直径3cm、長さ10cmのアクリル製パイプ11に溶液を満たし、溶液に通電するため、両端に同直径の白金製円板電極12を貼り付けた。白金電極から、直径1.2mmの銅製リード線13をのばし、インピーダンス50Ωの同軸ケーブル14でパワーアンプに接続した。この容器を、MRI装置(Varian社 UNITY INOVA)の測定部にセットし、MRI測定を行った。測定断面は、パイプ11の中央を通る円形断面とした。MRI信号の測定条件は下記の通りとした。
<電解質溶液の測定>
水とエタノールを体積比3対7で混合した溶液に、塩化ナトリウムを重量濃度3.2%で溶解させ、テスト測定試料とした。この溶液の比誘電率は40、導電率は0.14S/mである。測定に使用した容器の概略を図3に示す。直径3cm、長さ10cmのアクリル製パイプ11に溶液を満たし、溶液に通電するため、両端に同直径の白金製円板電極12を貼り付けた。白金電極から、直径1.2mmの銅製リード線13をのばし、インピーダンス50Ωの同軸ケーブル14でパワーアンプに接続した。この容器を、MRI装置(Varian社 UNITY INOVA)の測定部にセットし、MRI測定を行った。測定断面は、パイプ11の中央を通る円形断面とした。MRI信号の測定条件は下記の通りとした。
MRI信号測定条件:静磁場強度=4.7T、繰り返し時間(TR)=1000ms、エコー時間(TE)=15ms、スライス厚=10mm、視野(FOV)=50×50mm。
測定された誘電率と導電率の空間分布を図4に示す。15と16はそれぞれ断面上の比誘電率と導電率の分布であり、17と18は、断面中心を通る直線上でみた比誘電率と導電率である。ある程度の誤差を含むものの、測定した溶液の値(比誘電率は40、導電率は0.14S/m)に近い測定値を得た。測定誤差の原因は、プローブコイルから出る高周波磁場の不均一によるものが大きい。
(実施例2)
<生体組織の測定>
マウスを麻酔薬の過剰投与により安楽死させ、断層像上で誘電率と導電率の測定を行った。皮膚の電気抵抗を低減するため、徐毛クリームで体毛を取り除き、上記溶液に全身を浸して図3の容器に入れ、溶液ごと通電した。測定条件は、実施例1と同じである。
<生体組織の測定>
マウスを麻酔薬の過剰投与により安楽死させ、断層像上で誘電率と導電率の測定を行った。皮膚の電気抵抗を低減するため、徐毛クリームで体毛を取り除き、上記溶液に全身を浸して図3の容器に入れ、溶液ごと通電した。測定条件は、実施例1と同じである。
測定された誘電率と導電率の空間分布を図5に示す。19は従来の測定手法(T1強調スピンエコー)で測定した解剖画像であり、胴体断面上に肝臓や脊椎が確認できる。20と21はそれぞれ比誘電率と導電率の分布を表す。このように、本発明に記載の手法と装置を用いて、電解質溶液や生体組織の誘電率や導電率を、非侵襲かつ高分解能で画像計測することができた。
1マグネット、2傾斜磁場コイル、3プローブコイル、4パワーアンプ、5アンプ、6測定物、7電極、8パワーアンプ、9プローブコイルから照射される高周波磁場の動作、10測定物への通電の動作、11アクリル製パイプ、12電極、13リード線、14同軸ケーブル、15電解質溶液試料断面の比誘電率分布、16電解質溶液試料断面の導電率分布、17容器中心を通る直線上で示した電解質溶液の比誘電率分布、18容器中心を通る直線上で示した電解質溶液の導電率分布、19マウスの解剖画像、20マウスの比誘電率画像、21マウスの導電率画像。
Claims (2)
- 静磁場に置かれた水包含物質に対して、微弱な高周波電流を通電しながら及び通電せずに核磁気共鳴信号を発生させ、両者の画像をもとに当該物質内部のインピーダンスすなわち誘電率および導電率の分布を求める方法であって、高周波電流の周波数が磁気共鳴周波数に等しく、高周波電流の通電時および非通電時に当該物質近傍のプローブコイルから加える高周波磁場の位相が装置内の基準信号に対して0度および90度であり、プローブコイルの高周波磁場は正極性と負極性で等しい時間幅で順に加えられ、高周波電流は正極性のみでプローブコイルの磁場発生時間を通じて通電され、高周波電流は静磁場とおよそ等しい方向に通電されることを特徴とする方法。
- 均一な静磁場を発生する手段と、高周波磁場を発生する手段と、勾配磁場を発生する手段と、磁気共鳴信号を画像として構成する手段とを有しており、水包含物質の磁気共鳴画像を撮像して取得する装置であって、当該物質に高周波電流を通電する手段と、高周波電流とプローブコイルの高周波磁場との位相差を0度および90度に保つ手段と、通電時および非通電時の画像を演算する手段とを備えることにより、当該物質内部の誘電率および導電率を求めることを可能としたことを特徴とするインピーダンス分布測定装置。
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