JP2009117133A - 電子線源 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子放出部材の通電性を向上すると共に、電子放出部材における電子放出面の面積を増加する。
【解決手段】カソード53は、タングステンで形成された給電部材58と、タンタルで形成された線材である電子放出部材59と、を備えている。また、隣接する電子放出部材59の外周面が互いに接触するように、電子放出部材59が給電部材58に巻き回されている。よって、電子放出部材59では、巻回方向に沿って電流が流れるだけでなく、巻き進む方向に沿っても電流が流れるため、電子放出部材59の通電性が向上される。さらに、巻き回された電子放出部材59において露出する外周面S2が電子放出面として機能することから、電子放出部材59が線材であるため、電子放出面S2が凹凸の連続するような波状曲面となり、電子放出面S2の面積が増加される。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば電子線照射装置やX線照射装置等の線源として用いられる電子線源に関する。
従来の電子線源としては、電位が供給される給電部材と、給電部材の少なくとも一部を覆うように給電部材に設けられ電子を放出する電子放出部材と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1に記載された電子線源では、タングステンからなる給電部材(カソード本体)の凹部にタンタルからなる板状の電子放出部材(電子放出材料)が嵌合されている。また、特許文献2に記載された電子線源では、給電部材(タングステンフィラメント)に電子放出部材(タンタルカーバイド)が被覆されている。また、特許文献3に記載された電子線源では、電子放出部材(線材)が給電部材(心材)にコイル状に巻き回されている。
特開平5−174699号公報 特開昭50−87774号公報 特開平1−151143号公報
近年、電子線照射装置やX線照射装置等のさらなる高出力化が望まれている。そして、これらの出力を高出力化するにあたっては、電子源からのエミッション量(放出される電子量)を増加させることが重要な要素の一つとなる。よって、上述したような電子源よりもエミッション量を増加させるため、電子放出部材における電子放出面の面積を増やし、且つ電子放出部材における通電性を向上させることが望まれている。
そこで、本発明は、電子放出部材の通電性を向上すると共に、電子放出部材における電子放出面の面積を増加することができる電子線源を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電子源は、電位が供給される給電部材と、給電部材の少なくとも一部を覆うように給電部材に設けられ、電子を放出する電子放出部材と、を備え、給電部材は、タングステンを含む材料で形成され、電子放出部材は、タンタルを含む材料で形成された線材であり、隣接する電子放出部材の外面が互いに接触するように給電部材に巻き回されていることを特徴とする。
この電子線源では、隣接する電子放出部材の外面が互いに接触するように電子放出部材が給電部材に巻き回されている。よって、電子放出部材においては、その巻き回される巻回方向に沿って電流が流れるだけでなく、巻き進む方向に沿っても電流が流れることになる。その結果、電子放出部材の通電性を向上することができる。加えて、巻き回された電子放出部材の露出する表面が電子放出面として機能することから、電子放出部材が線材であるため、電子放出面が凹凸の連続するような波状曲面となる。よって、電子放出面の面積を増加することが可能となり、エミッション量を向上することができる。
また、給電部材は、所定の方向に沿って延在する延在部を有し、電子放出部材は、延在部に巻き回されていることが好ましい。この場合、給電部材の延在部に巻き回された電子放出部材にあっては、隣接する電子放出部材の外面が互いに確実に接触することになる。
また、給電部材は、電子放出部材の巻き進む方向に沿う方向に電子放出部材が移動することを規制する規制部を有することが好ましい。給電部材及び電子放出部材が高温にされたとき、タンタルの熱膨張率がタングステンの熱膨張率よりも大きいため、巻き回された電子放出部材が、その巻き進む方向に沿う方向に熱膨張で移動する(ズレる)ことで隣接する電子放出部材の外面同士が接触しなくなるおそれがある。この点、本発明では、上記のように規制部を有するため、熱膨張した電子放出部材の移動を規制部で規制することができる。従って、隣接する電子放出部材の外面が互いに確実に接触する状態を好適に維持することが可能となる。
このとき、規制部は、給電部材が曲げられて形成された曲部であることが好ましい。この場合、給電部材そのものが規制部となって電子放出部材を係止するため、高温下でも熱膨張した電子放出部材の移動を曲部で安定して規制することができる。
また、給電部材及び電子放出部材は、断面が円形の線材であり、給電部材の径が電子放出部材の径よりも大きいことが好ましい。この場合、電子放出部材を給電部材に容易に巻き回すことができる。
また、電子放出部材には、炭化処理が施されていることが好ましい。この場合、炭化処理により、電子放出部材に炭化タンタルが含まれることになる。ここで、炭化タンタルは、通常のタンタルよりも仕事関数が小さく且つ融点が高いという特性を有する。よって、電子放出部材の仕事関数が低下されてエミッション量が増加され、且つ、電子放出部材の融点が向上されてその消耗が低減される。その結果、電子線源の長寿命化が可能となる。
本発明によれば、電子放出部材の通電性を向上すると共に、電子放出部材における電子放出面の面積を増加することができる。その結果、エミッション量を増加させることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子線源を含む電子線照射装置の断面図である。図1に示すように、電子線照射装置1は、いわゆるバッチ式のものであり、例えば被照射物Mの乾燥、殺菌又は表面改質等を行なうものである。この電子線照射装置1は、チャンバ10、収容容器20、電子銃30及び制御部40を備えている。
チャンバ10は、電子銃30が取り付けられる第1チャンバ部11と、収容容器20が取り付けられる第2チャンバ部12と、を有している。第1チャンバ部11は、金属により円柱状に形成されている。この第1チャンバ部11には、その軸線方向(図示上下方法;以下「Z方向」という)に沿って延在する断面円形状の電子線通過孔13が設けられている。この電子線通過孔13は、小径部13aと大径部13bとが連続された形状とされている。
第2チャンバ部12は、金属により台形板状に形成され、第1チャンバ部11の小径部13a側にボルトで固定されている。この第2チャンバ部12には、電子線通過孔13に連通すると共に、Z方向視において断面矩形状の電子線通過孔14が設けられている。また、この電子線通過孔14は、外側(図示下側)に向かって末広がりの形状とされている。また、チャンバ10の電子線通過孔13,14には、当該電子線通過孔13,14内を真空引きするための真空ポンプ(不図示)が連結されている。
収容容器20は、その内部に被照射物Mを収容する。この収容容器20は、その外壁20aに設けられた連結口21に第2チャンバ部12が気密に連結されている。これにより、収容容器20の内部と電子線通過孔14とが互いに連通するようになっている。また、収容容器20には、収容容器20内を真空引きするため真空ポンプ(不図示)が連結されている。
電子銃30は、電子線EBをZ方向に出射するものであり、ケース31、基部32及びコネクタ33を有している。ケース31は、金属により直方体状に形成され、第1チャンバ部11に気密に連結されている。基部32は、ケース31内に収容され、電子線通過孔13の大径部13b内に突出している。また、この基部32は、その先端部が電子線通過孔13の小径部13aに対向するように配設されている。
コネクタ33は、外部の電源装置(不図示)からカソード53(後述)に高電圧を供給するためのものである。このコネクタ33は、ケース31の外壁31aにおいてZ方向に交差する方向(図示左右方法;以下「X方向」という)側から差し込まれ、基部32中に埋没されて固定されている。コネクタ33の先端には、一対の内部配線34,34が接続されている。
内部配線34,34は、コネクタ33の先端から基部32の中心に向かってX方向に延在すると共に、基部32の中心で折り曲げられて先端部まで延在している。この内部配線34,34には、基部32の先端部に埋設されたソケット35,35を介して、電子線放出ユニット50に連結されている。
図2は、電子線放出ユニットを示す断面図である。図2に示すように、電子線放出ユニット50は基部32の先端部に対して着脱自在に設けられたものであり、各部材の消耗等に伴って交換が可能となっている。この電子線放出ユニット50は、絶縁基体51と、給電導体52,52と、カソード(電子線源)53と、包囲部材56と、蓋部材57と、を備えている。
絶縁基体51は、例えばセラミック等の絶縁性材料で形成されており、給電導体52,52と、カソード53と、包囲部材56と、蓋部材57とを支持している。給電導体52,52は、例えばコバール金属からなる略円柱状の給電用ピンであり、電子放出方向であるZ方向に突出するように絶縁基体51に貫通保持されている。これらの給電導体52,52の一端部は、ソケット35,35を介して内部配線34,34に電気的に連結されている。給電導体52の他端部(先端部)は、その一部が切り欠かれたような半円柱状を呈している。さらに、給電導体52の他端部には、カソード53を連結するためのものとして、カソード53の支持部58a(後述)の軸線に沿った面である平坦面52aが形成されている(図4参照)。換言すると、支持部58aと線接触又は面接触するように、平坦面52aが給電導体52の他端部に形成されている。
カソード53は、電子線EBとなる電子を発生させて放出するものである。カソード53は、給電導体52,52の先端部に掛け渡されるように形成されている。このカソード53の周囲には、いわゆるグリッドである中間電極54が設けられている。中間電極54は、カソード53の一端と電気的に接続されてカソード53の一端と同電位になっている。この中間電極54は、その中心側の開口に向かって傾斜した凹構造によって、電子が集束するような電界を発生させると共に、電子線放出ユニット50を基部32に押さえ付けるように固定する。また、必要に応じて、バイアス抵抗で誘起される所定バイアス電圧を中間電極54に印加することで、所望の電界を形成することができる。このカソード53の絶縁基体51側には、一方の給電導体52に支持された反射板55が配設されていてもよい。反射板55は、カソード53から放出された電子をZ方向側に反射することで、電子線EBの線量を増加させることができる。
また、絶縁基体51上には、給電導体52,52の前端部を包囲する導電体からなる包囲部材56が固定されている。包囲部材56の前端面には、包囲部材56の開口を覆い塞ぐ導電体からなる薄板状の蓋部材57が配置されている。蓋部材57には、長方形状のアパーチャ57a(図3参照)が設けられている。このアパーチャ57aは、Z軸方向から見て、カソード53を含むように構成されている。包囲部材56及び蓋部材57は、中間電極54と接触され、中間電極54と同電位とされている。
図1に戻り、制御部40は、電子線照射装置1の全体を制御するためのものであり、例えばCPU、ROM、及びRAM等で構成されている。
次に、上述したカソード53について詳細に説明する。図3はカソードを示す一部断面拡大図、図4はカソードの接続部分を示す拡大図である。図3に示すように、カソード53は、コの字状のピン形状を呈しており、電位が供給される給電部材58と、この給電部材58に隙間なく巻き回され(密巻きされ)電子を放出する電子放出部材59と、を備えている。
給電部材58は、タングステンで形成され、円形断面の線状を呈している。ここでは、給電部材58の径は、150μmとしている。この給電部材58は、コの字状に屈曲されて(曲げられて)形成されている。具体的には、給電部材58は、Z方向に延在し且つ給電導体52に接続される支持部58a,58aと、Z方向に直交する方向(つまり、電子線放出ユニット50では蓋部材57の前面に沿う方向(所定の方向))に延在する延在部58bと、を有している。そして、給電部材58の略直角な角部である曲部(規制部)58c,58cを介して、支持部58a,58a及び延在部58bが連続している。
電子放出部材59は、タンタルで形成され、円形断面の線状を呈している。ここでは、電子放出部材59の径は、100μmとしている。つまり、この電子放出部材59としては、その径が給電部材58の径よりも小さい(給電部材58の径が電子放出部材59の径よりも大きい)ものが用いられている。
また、電子放出部材59は、給電部材58(支持部58a,58a及び延在部58b)を覆うように当該給電部材58に設けられている。具体的には、図5(a)に示すように、電子放出部材59は、その外周面Sのうち隣接する電子放出部材59の外周面(外面)S1が互いに接触するように、給電部材58の一端から他端に向かって順次に巻き回されている。そして、延在部58bを覆う電子放出部材59が、電子放出源の主要部として機能する。
また、この電子放出部材59には、例えば炭化水素系のガスによる炭化処理が施されていてもよい。ここでは、電子放出部材59において外周面Sのうち露出する外周面S2を含む所定領域が、炭化タンタルとなっている。なお、炭化処理として、炭素を付着(浸炭)させた後に真空中にて通電させてもよい。
また、図4に示すように、カソード53の端部は、平坦面52aと対向する部分の全体が接合部Gとなるように給電導体52に連結されている。具体的には、例えば抵抗溶接やレーザ溶接等によって平坦面52aにおける接合部G領域が溶融され、カソード53が埋入するように溶接されて接合されている。つまり、給電導体52が平坦面52aを有することで、カソード53は、給電導体52に面状の接合部Gを介して接合されている。これにより、カソード53にあっては、給電導体52に電気的にも強度的にも安定して接続され、給電導体52に保持される。さらに、接合部Gが小さい場合、通電時に接合部Gの抵抗(接触抵抗)が大きくなることにより熱を発生し、接合部Gが溶融して給電導体52とカソード53とが互いに離れてしまうおそれがあるが、本実施形態においては接合部Gを十分に大きく取れるため、安定な保持が可能となる。
次に、上述した電子線照射装置1の動作について説明する。
まず、収容容器20の内部に被照射物Mを配置し、この収容容器20の内部及び電子線通過孔13,14内を真空ポンプで真空引きする。続いて、内部配線34,34、ソケット35,35及び給電導体52,52を介してカソード53に電圧を印加する。
カソード53に電圧を印加することで、給電部材58が通電加熱され、この熱が電子放出部材59に伝わり、電子を放出可能な所定温度まで電子放出部材59が加熱される。そして、内部配線34の一方に高電圧を印加することで、電子放出部材59に電流が流れ、電子放出部材59から電子が放出される。具体的には、電子放出部材59には、給電導体52,52を介して電流が流れると共に、給電部材58と電子放出部材59との接触面を介して電流が流れる。これにより、電子放出部材59の露出する外周面S2から電子を放出される。
この放出された電子は、中間電極54で発生させられた電界により加速及び集束され、電子線EBとして電子銃30から出射される。そして、電子線EBは、電子線通過孔13,14を順次通過して被照射物Mに照射されることになる。
ところで、図5(b)に示すように、電子放出部材59がコイル状である従来のカソード53aでは、電子放出部材59を流れる電流は、その巻き回される巻回方向(電子放出部材59の軸線方向、図示B方向)に沿って電流が流れる。
これに対し、本実施形態にあっては、図5(a)に示すように、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに接触するように、電子放出部材59が給電部材58に巻き回されている。よって、電子放出部材59においては、巻回方向に沿って電流が流れるだけでなく、巻き進む方向(図示A方向)に沿っても電流が流れることになる。その結果、電子放出部材59の通電性を向上することが可能となる。なお、電子放出部材59を構成するタンタルは、柔軟性があるため、隙間無く巻き回すことが比較的容易であるのに加え、給電部材58を構成するタングステンは、その融点温度が非常に高く、熱変形を起こし難いため、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに接触する状態を安定に保持することができる。
さらに、電子放出部材59の露出する外周面S2が電子放出面として機能することから、電子放出部材59が線状であるため、電子放出面S2が凹凸の連続するような波状曲面を呈することになる。よって、従来のカソード53aや電子放出面が平面で構成された電子源に比べて、一定の平面面積に占める電子放出面S2の面積を増加することが可能となる。従って、本実施形態によれば、エミッション量ひいてはエミッション特性(電子放出能)を向上することができる。
また、本実施形態では、上述したように、給電部材58が延在部58bを有し、電子放出部材59が延在部58bに巻き回されている。この場合、電子放出源の主要部として機能する延在部58bに巻き回された電子放出部材59にあっては、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに確実に接触することになる。
また、カソード53に電圧が印加され、給電部材58及び電子放出部材59が高温化されたとき、タンタルの熱膨張率がタングステンの熱膨張率よりも大きいことから、電子放出部材59がその巻き進む方向に移動してしまう(ズレてしまう)おそれがある。これに対し、本実施形態では、上述したように、曲部58cが延在部58bの両端に形成されている。よって、熱膨張した電子放出部材59は、両端の曲部58cでその巻き進む方向に沿う方向に挟み込まれるように係止されることになる。そのため、熱膨張した電子放出部材59の移動を曲部58cで規制することができ、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに確実に接触する状態を好適に維持することができる。
なお、電子放出部材59の巻き回し程度が経年変化や使用頻度等により緩く(甘く)なる場合があるため、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに確実に接触するように巻き回された状態を維持するという上記効果は特に有効である。さらに、曲部58cの形成に際しては、給電部材58を曲げることで足り、別部材によって規制部を設ける必要がない。よって、かかる効果を、高温環境下でも規制部の破損や脱落のおそれなく安定に実現することができると共に、低廉且つ簡易に実現することが可能である。
また、本実施形態では、上述したように、給電部材58及び電子放出部材59が円形断面の線材であって、給電部材58の径が電子放出部材59の径よりも大きくなっている。そのため、電子放出部材59を給電部材58に容易に巻き回すことができると共に、電子放出面S2の面積を一層増加することができる。
ここで、従来のカソードでは、タングステンからなる合金で給電部材58と電子放出部材59とが区別無く一体に形成される場合がある。この場合、エミッション量を増やすため、動作温度を高温(例えば、約2,300℃)にせざるを得ない。よって、カソードに局部的な消耗が生じた場合、消耗部の抵抗値が大きくなることで消耗部が高温化し、高温化した消耗部に電子放出が集中することでさらに局所的な消耗が進展してしまう。そして、この場合、最終的にはカソード本体が破断に到ることで、カソードの寿命が短寿命となってしまうおそれがあった。
この点、本実施形態では、タングステンからなる給電部材58にタンタルからなる電子放出部材59を巻き回してカソード53が形成されることから、次の効果を奏する。すなわち、下表1に示すように、従来のカソードの電子放出部として使用されていたタングステンに比較して電子放出部材59の仕事関数が低下されるため、動作温度を約2,050℃に低下させることが可能となる。その結果、同じ動作温度でもエミッション量を増加することでき、エミッション特性を向上することが可能となる。また、同じエミッション量を得るための動作温度が低下されることから、給電部材58及び電子放出部材59の再結晶化を抑制できると共に、給電部材58からの電子放出が抑制されることで電子放出による給電部材58の消耗が抑制されるため、カソード53自体の破断を抑制でき、カソード53の長寿命化が可能となる。動作温度が高い程、電子放出部材59の硬度が低下し脆くなる点からも、動作温度が低下される上記効果は特に有効である。
また、本実施形態において、電子放出部材59に炭化処理が施されている場合、電子放出部材59に炭化タンタルが含まれることになる。炭化タンタルは、仕事関数が一層小さく且つ融点が一層高いという特性(下表1参照)を有している。よって、カソード53の一層の長寿命化が可能となる。さらに、炭化タンタルは、ガス被毒特性が高いため、真空度の低い環境下においてもカソード53を好適に使用することができる。よって、被照射物の交換の度に真空排気を行うような場合に特に好ましいといえる。
[表1]
物性値 W(タングステン) Ta(タンタル) TaC(炭化タンタル)
仕事関数(eV) 4.55 4.10 3.61
融点(℃) 3420 3020 3980
また、本実施形態では、上述したように、電子放出部材59が給電部材58に密巻きされていることから、以下の効果をさらに奏する。すなわち、電子放出部材59の一部が破断した場合でも、隣接する電子放出部材59の外周面S1を介しても通電しているため、電子放出部材59における電流の流れが遮断されることがなく、電子の放出を持続させることができる。さらに、電子放出部材59の一部が破断したとしても、電子放出部材59が給電部材58に巻き回された状態で保持されているため、電子放出部材59が脱落するのを防止することができる。給電部材58の露出面積を抑制でき、給電部材58の酸化反応を抑制できる。給電部材58に電子放出部材59が巻き回されているだけなので、低コスト化が実現できる。
また、上述したように、電子放出部材59が給電部材58に対して隙間無く密着するように巻き回されているため、電気抵抗が均一化され発生するジュール熱が均一になる結果、電子放出部材59の全体を均一に加熱することができ、電子放出部材59の各部から均一に電子を放出することができる。
ここで、説明したカソード53と、カソード53と同一構造ながら電子放出部材をタングステンで形成した従来のカソードと、に関し、エミッション量と動作温度との関係を実測して比較した。その結果、同じエミッション量が、カソード53では2,050℃のとき、従来のカソードでは2,300℃のときに得られることが確認できた。これにより、動作温度の低減等の上記効果を確認することができた。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、カソード53を電子線照射装置1に用いたが、X線管(X線照射装置)に用いてもよい。
図6は、本発明の一実施形態に係る電子線源を含むX線管の断面図である。図6に示すように、X線管60は、印加電圧が10keV程度の低電力用のものであり、円筒状のバルブ61を有している。このバルブ61の基端には、ステム62が形成されている一方、バルブ61の開放端には、出力窓63が形成されている。出力窓63には、X線を発生させるためのターゲット64が蒸着されている。ステム62には2本の給電導体52,52が固定され、これらの給電導体52,52の先端部にはカソード53が掛け渡されている。カソード53は、給電導体52に抵抗溶接されている。また、カソード53を構成する給電部材は、径が50μmの円形断面の線状のタングステンをコの字状のピン形状としたものであり、カソード53を構成する電子放出部材は、径が25μmの円形断面の線状のタンタルを給電部材に巻き回したものであり、必要に応じて炭化処理が施されている。
このX線管60においても、上記効果と同様な効果、すなわち、電子放出部材59の通電性を向上させると共に電子放出面S2の面積を増加させるという効果を奏する。また、このX線管60では、電子放射の影響でカソード53の径が細くなりカソード53が破断してしまうということを防止できる。
また、上記実施形態では、給電部材58の一端から他端に亘る領域に、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに確実に接触するように電子放出部材59を巻き回したが、これに限定されるものではない。少なくとも電子放出源の主要部として機能する延在部58b(給電部材58の少なくとも一部)に、隣接する電子放出部材59の外周面S1が互いに確実に接触するように巻き回しておけば、支持部58aが露出するように電子放出部材を巻き回してもよいし、支持部58aに電子放出部材を巻き回さなくてもよい。また、上記実施形態では、電子放出部材59に炭化処理を施したが、この炭化処理を施さない場合がある。
また、上記実施形態では、給電部材58及び電子放出部材59の断面を円形としたが、これらの断面は、楕円形であってもよく、多角形であってもよい。また、給電部材58を線状としたが、薄板状であってもよい。
また、上記実施形態では、給電部材58をタングステンで、電子放出部材59をタンタルで形成したが、給電部材58をタングステンを含む合金(材料)で形成してもよく、また、電子放出部材59をタンタルを含む合金で形成してもよい。
また、上記実施形態では、カソード53の端部において平坦面52aと対向する部分が接合部Gとなるように、カソード53と給電導体52とを溶接によって直接接合したが(図4参照)、図6及び図7に示すように、パイプ81を用いてカソード53と給電導体52と接合してもよい。具体的には、パイプ81は、円筒状の導電材料からなり、カソード53の端部と電気的に接続されるように当該カソード53の端部を覆っている。パイプ81を構成する導電材料は、ニッケルやコバール等のカソード53を構成する材料よりも融点の低い金属としている。そして、接合の際、給電導体52と同様にパイプ81が溶融されている。これにより、給電導体52とカソード53とを一層強く接合することができる。
本発明の一実施形態に係る電子線源を含む電子線照射装置の断面図である。 電子線放出ユニットを示す断面図である。 カソードを示す一部断面拡大図である。 カソードの接続部分を示す拡大図である。 カソードにおける電流の流れを説明する図である。 本発明の一実施形態に係る電子線源を含むX線管の断面図である。 カソードの接続部分の他の例を示す拡大図である。 図7のVIII−VIII線に沿う一部断面図である。
符号の説明
53…カソード(電子線源)、58…給電部材、58b…延在部、58c…曲部(規制部)、S1…外周面(外面)、59…電子放出部材。

Claims (6)

  1. 電位が供給される給電部材と、
    前記給電部材の少なくとも一部を覆うように前記給電部材に設けられ、電子を放出する電子放出部材と、を備え、
    前記給電部材は、タングステンを含む材料で形成され、
    前記電子放出部材は、タンタルを含む材料で形成された線材であり、隣接する前記電子放出部材の外面が互いに接触するように前記給電部材に巻き回されていることを特徴とする電子線源。
  2. 前記給電部材は、所定の方向に沿って延在する延在部を有し、
    前記電子放出部材は、前記延在部に巻き回されていることを特徴とする請求項1記載の電子線源。
  3. 前記給電部材は、前記電子放出部材の巻き進む方向に沿う方向に前記電子放出部材が移動することを規制する規制部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子線源。
  4. 前記規制部は、前記給電部材が曲げられて形成された曲部であることを特徴とする請求項3記載の電子線源。
  5. 前記給電部材及び前記電子放出部材は、断面が円形の線材であり、
    前記給電部材の径が前記電子放出部材の径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の電子線源。
  6. 前記電子放出部材には、炭化処理が施されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の電子線源。




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