JP2009115138A - シール装置 - Google Patents

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良太 村田
Tomonori Nomiyama
知典 野見山
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吉和 倉本
Kinji Yugawa
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Abstract

【課題】組み合わせシールリング1の組み付け作業を徒に慎重に行なわなくても、少なくとも、スリンガ4及び芯金6と内輪8及び外輪9との嵌合部を通じての異物、特に水分の浸入防止を確実に図れる構造を実現する。
【解決手段】嵌合部に設けた凹溝23、24内に、グリース25、25等の撥水性を有するゲル状物質を封入する。このゲル状物質が、上記嵌合部を通じて内部空間3内に浸入しようとする水分をはじき返し、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ラジアル転がり軸受、産業機械等の各種回転機械等、相対回転する1対の部材に設けられた、互いに同心の円筒面同士の間に存在する円環状若しくは円筒状の空間の一部を全周に亙って塞ぐ為のシール装置の改良に関する。具体的には、シールリングを構成する芯金或いはスリンガの円筒部と相手部材の周面との嵌合部のシール性向上を確実に図れる構造を実現するものである。
自動車の車輪支持用、或いは、圧延機用ロールネック軸受、鉄道車両の車軸用軸受の如き各種ラジアル転がり軸受で、複数の転動体を設置した内部空間の開口端部はシール装置により塞いで、この内部空間への異物の浸入防止と、この内部空間内に存在するグリース等の潤滑剤の漏洩防止とを図っている。或いは、各種アクチュエータを構成するハウジングの内周面と、回転軸或いはロッドの外周面との間に存在する内部空間の開口端部も、同様の目的で、シール装置により塞いでいる。この様な部分に装着するシール装置として従来から、図12に示す様な組み合わせシールリング1が、広く知られている。
この組み合わせシールリング1は、ラジアル玉軸受2の内部空間3の開口端部を塞いでいる。即ち、この組み合わせシールリング1は、スリンガ4と素シールリング5とを組み合わせて成る。又、この素シールリング5は、芯金6に弾性材製のシールリップ7の基端部を支持して成り、このシールリップ7の先端縁を、上記スリンガ4に摺接させている。この様な組み合わせシールリング1は、このスリンガ4を、上記ラジアル玉軸受2を構成する内輪8の端部外周面に外嵌固定すると共に、上記芯金6を、このラジアル玉軸受2を構成する外輪9の端部内周面に内嵌固定している。そして、このラジアル玉軸受2を構成する転動体(玉)10を設置した、上記内部空間3の端部開口を塞ぎ、この内部空間3への異物の浸入防止と、この内部空間3内に存在するグリース等の潤滑剤の漏洩防止とを図っている。尚、図12に示した構造では、上記スリンガ4に支持したエンコーダ11の側面にセンサ12の検出部を対向させて、上記内輪8の回転速度を検出自在としている。
上述の様な従来構造の場合、使用条件が厳しくなると、上記内部空間3への異物の浸入防止と、この内部空間3内に存在する潤滑剤の漏洩防止とを、必ずしも十分に図れなくなる可能性がある。即ち、上記スリンガ4の内周縁部に設けた内径側円筒部13と上記内輪8との嵌合部、上記芯金6の外周縁部に設けた外径側円筒部14と上記外輪9との嵌合部は、何れも金属同士の嵌合である為、余程嵌合面を平滑に(鏡面状に)仕上げない限り、嵌合部に微小な隙間が生じる事は避けられない。そして、この隙間を通じて、水分等の異物浸入や、グリース中の基油の漏洩が生じる可能性がある。そこで、特許文献1〜5等には、この様な原因での異物浸入や潤滑剤漏洩の防止を図る為の技術が記載されている。
図13は、このうちの特許文献2に記載された、漏洩防止を図った従来構造の第1例を示している。この第1例の構造の場合には、スリンガ4の内周縁部に設けた内径側円筒部13の内周面に弾性材15を、全周に亙り被覆して、この内径側円筒部13の内周面と内輪8の端部外周面との嵌合部の隙間をなくし、この嵌合部を通じての、内部空間3への異物浸入や、この内部空間3からの潤滑剤漏洩の防止を図る様にしている。
又、図14は、特許文献1に記載された、漏洩防止を図った従来構造の第2例を示している。この第2例の構造の場合には、ハウジング16の内周面と、このハウジング16に挿通された軸17の外周面との間に、ガータスプリング18を備えたシールリング19を装着している。又、このシールリング19のシールリップ20を構成する弾性材により芯金21を包埋して、この芯金21と上記ハウジング16との嵌合部にこの弾性材を介在させ、この嵌合部の隙間をなくしている。そして、この嵌合部を通じての、内部空間22への異物浸入や、この内部空間22からの潤滑剤漏洩の防止を図る様にしている。
上述の様な従来構造の第1〜2例の場合、理想的に組み立てられれば、スリンガ4と内輪8との嵌合部、或いはシールリング19とハウジング16との嵌合部の隙間をなくして、内部空間3、22への異物浸入や、この内部空間3、22からの潤滑剤漏洩の防止を図れる。但し、実際に上記スリンガ4を上記内輪8に締り嵌めで外嵌したり、上記シールリング19を上記ハウジング16に締り嵌めで内嵌したりする際には、上記内径側円筒部13の内周面を覆っている上記弾性材15や、上記芯金21を覆っている上記弾性材が、捲れる等により損傷する可能性がある。そして、損傷した場合には、上記嵌合部に隙間を生じ、この隙間を通じて、上記異物浸入や潤滑剤の漏洩が生じる可能性がある。特に、外部空間に存在する水分が上記内部空間3、22に入り込むと、シール装置を組み込んだ各種機械装置の性能を、短期間に、しかも著しく低下させるので、上記内部空間3、22への水分の浸入防止は、確実に図る必要がある。
上述した従来構造の第1〜2例の場合でも、上記スリンガ4或いは上記シールリング19の組み付け作業を慎重に行なえば、必要とする性能を確保できるが、過度の慎重さの要求は、コスト増大の原因となる為、改良が望まれる。
尚、本発明に関連する刊行物として、前記特許文献1〜5の他、特許文献6が存在する。この特許文献6には、精密機器用の転がり軸受で、鉱油或いは合成油、又は、鉱油或いは合成油を基油とするグリースを潤滑剤として使用する場合に、外輪、内輪両軌道及び各転動体の表面に弗素系の油による撥油被膜を形成する事が記載されている。上記特許文献6に記載された発明の場合、この様な撥油被膜を形成する事で、転がり接触部への保油性を高め、耐フレッチング性、低トルク性を向上させられるとしている。
特開2000−9233号公報 特開2001−215132号公報 特開2001−215133号公報 特開2002−333035号公報 特開2006−200708号公報 特開平10−176719号公報
本発明は、前述の様な事情に鑑みて、シールリングの組み付け作業を特に慎重に行なわなくても、少なくとも、シールリングを構成する部材と相手部材との嵌合部を通じての異物、特に水分の浸入防止を確実に図れる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のシール装置は、従来から知られているシール装置と同様に、互いに同心且つ径方向に対向する周面を有し、相対変位する1対の部材と、これら両部材の周面同士の間に設けられて、これら両周面同士の間に存在する円環状若しくは円筒状の空間の一部を全周に亙って塞ぐシールリングとから成る。又、このシールリングは、金属板製で上記両部材のうちの一方の部材の周面である支持周面に嵌合固定する円筒部を有する、少なくとも1個の環状部材と、弾性材製のシールリップとを備えたものである。そして、上記円筒部の内外両周面のうちで上記支持周面に径方向に対向する周面を、この支持周面に嵌合支持される被支持周面としている。
特に、本発明のシール装置に於いては、上記支持周面と上記被支持周面とのうちの何れかの周面に、周方向に長い凹溝を形成すると共に、この凹溝内に撥水性を有するゲル状物質を封入している。そして、このゲル状物質を、上記支持周面と上記被支持周面との嵌合部に、全周に亙って介在させている。
この様な本発明を実施する場合、例えば請求項2に記載した発明の様に、上記撥水性を有するゲル状物質をグリースとする。
又、この様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項3、4に記載した発明の様に、上記円環状若しくは円筒状の空間の一部でシールリングに対して外部空間と反対側部分に、内輪軌道及び外輪軌道と転動体とを備えた転がり軸受構造を設ける。そして、この転がり軸受構造部分を潤滑する為の潤滑剤を、鉱油或いは合成油、又は、鉱油或いは合成油を基油とするグリースとする。
この様な場合に、例えば請求項3に記載した発明の様に、上記撥水性を有するゲル状物質であるグリースの基油を、鉱油或いは合成油とする。
或いは、請求項4に記載した発明の様に、上記撥水性を有するゲル状物質であるグリースの基油を、弗素系の油とする事もできる。
又、上述の様な本発明を実施する場合に、例えば請求項5に記載した発明の様に、前記相対回転する1対の部材を、ラジアル転がり軸受を構成する外輪及び内輪とする。
或いは、請求項6に記載した発明の様に、上記相対回転する1対の部材を、ハウジング、及び、このハウジングの内径側に支持された軸とする。
又、上述の様な本発明を実施する場合に、例えば請求項7に記載した発明の様に、前記シールリングを、芯金と、この芯金によりその基部を支持されたシールリップと、このシールリップの先端縁を摺接させるスリンガとから成る、組み合わせシールリングとする。そして、前記環状部材を、このスリンガと上記芯金との少なくとも一方とする。
或いは、請求項8に記載した発明の様に、前記シールリングを、芯金と、この芯金によりその基部を支持されたシールリップとから成り、芯金を支持周面に嵌合固定すると共に、このシールリップの先端縁を他方の部材の周面に摺接させたものとする。そして、前記環状部材を、上記芯金とする。
又、上述の様な本発明を実施する場合に、例えば請求項9に記載した発明の様に、前記凹溝を、前記被支持周面の全周に亙って設ける。
或いは、請求項10に記載した発明の様に、前記凹溝を、前記支持周面の全周に亙って設ける。
上述の様に構成する本発明のシール装置によれば、シールリングの組み付け作業を特に慎重に行なわなくても、シールリングを構成する部材と相手部材との嵌合部を通じての異物、特に水分の浸入防止を確実に図れる。即ち、上記シールリングを構成する部材と相手部材との嵌合部には、凹溝に封入された、撥水性を有するゲル状物質が、全周に亙って介在する。この凹溝が請求項9、10に記載した発明の様に全周に亙って設けられている場合には、この凹溝部分に存在する上記ゲル状物質が、そのまま上記嵌合部の全周に亙って介在する状態となる。又、上記凹溝が円周方向に関して分割されたものであっても、各凹溝から上記嵌合部に染み出した上記ゲル物質が、上記嵌合部の全周に亙って介在する状態となる。何れにしても、このゲル状物質は撥水性を有するものであるから、外部空間から上記嵌合部に染み込んだ水分が、上記シールリングを介してこの外部空間と隔てられた内部空間にまで入り込む事が防止される。
上記撥水性を有するゲル状物質は、撥水性を有し、上記シールリングを支持周面に組み付ける過程で上記凹溝内に保持できるだけの粘性を有する(ゲル状である)ものであれば使用可能である。特に、請求項2に記載した発明の様にグリースを使用すれば、低コストで調達できる。
又、グリースを使用する場合で、請求項3に記載した様に、潤滑剤と同種の基油を含むものを使用すれば、仮に両グリースの基油同士が混ざり合った場合でも、上記潤滑剤として使用するグリースの性能が劣化する事を防止できる。
これに対して、請求項3に記載した様に、潤滑剤として使用する鉱油或いは合成油に対して、撥水性を有するゲル状物質であるグリースの基油を弗素系の油とすれば、前述の特許文献6の記載から分かる様に、上記潤滑剤として使用する鉱油或いは合成油が、上記嵌合部に染み込む事を抑えられる。そして、この潤滑剤として使用する鉱油或いは合成油が、この嵌合部を通じて外部空間に染み出す事を、より確実に防止できる。
上述の様な本発明を実施するには、請求項5に記載した発明の様に、シールリングをラジアル転がり軸受に組み込んでも良いし、請求項6に記載した発明の様に、シールリングをハウジングと軸との間に設けても良い。
又、シールリングの種類にしても、請求項7に記載した発明の様に、スリンガを備えた組み合わせシールリングであっても、請求項8に記載した発明の様に、スリンガを持たないシールリングであっても良い。
更に、撥水性を有するゲル状物質を封入する為の凹溝は、請求項9、10に示す様に、支持周面又は被支持周面に全周に亙って設ける事が、この凹溝の加工を容易に行なえる面からも、この凹溝内に封入した上記ゲル状物質によるシール性能を確保する面からも好ましい。但し、複数の凹溝を円周方向に関して複数に分割した状態で配置しても良い。この場合には、円周方向に隣り合う凹溝同士の間隔を狭くして、これら円周方向に隣り合う凹溝同士の間に、これら各凹溝から染み出した上記ゲル状物質を存在させる事が条件となる。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1〜5、7、10に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含め、本発明の特徴は、シールリングを構成するスリンガ或いは芯金の周縁部に形成した円筒部の周面と相手部材の周面との嵌合部を通じて、外部空間に存在する異物である水が、上記シールリングを介してこの外部空間と隔てられた内部空間に浸入する事を防止する為の構造にある。シールリングの基本構造に就いては、前述の図12〜14に記載した構造を含め、従来から広く知られている構造と同様であるから詳しい説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分となる構造を中心に説明する。
本例の場合、ラジアル玉軸受2を構成する内輪8の端部外周面と外輪9の端部内周面との間に、スリンガ4と素シールリング5とから成る組み合わせシールリング1を装着している。特に、本例の場合には、上記内輪8の端部外周面及び外輪9の端部内周面の一部で、径方向(図1の上下方向)に関して上記組み合わせシールリング1と重畳する部分に凹溝23、24を、それぞれ全周に亙って設けている。これら各凹溝23、24の断面形状は特に問わない。図1に示す様な矩形の他、図2の(A)に示す様な半円形、同(B)に示す様な三角形であっても良い。何れにしても、上記両凹溝23、24内に、上記図1に梨地で示す様に、撥水性を有するゲル状物質であるグリース25、25を充填している。これらグリース25、25は、上記両凹溝23、24内にほぼ(可能な限り)隙間なく、これら両凹溝23、24のほぼ全容積に、上記組み合わせシールリング1の組付けに先立って充填している。
上記内輪8の端部外周面と上記外輪9の端部内周面との間に上記組み合わせシールリング1を装着した状態では、上記スリンガ4の内周縁部に設けた内径側円筒部13が、上記内輪8の端部外周面の凹溝23の開口部を塞ぎ、この凹溝23内に充填された上記グリース25が、上記内径側円筒部13の内周面に、全周に亙って付着する。又、上記素シールリング5を構成する芯金6の外周縁部に設けた外径側円筒部14が、上記外輪9の端部内周面の凹溝24の開口部を塞ぎ、この凹溝24内に充填された上記グリース25が、上記外径側円筒部14の外周面に、全周に亙って付着する。又、これら各グリース25、25中の基油は、上記内径側、外径側両円筒部13、14と上記両軌道輪8、9の周面との嵌合部のうち、上記両凹溝23、24に隣接する部分に存在する微小隙間に入り込む。そして、この微小隙間部分に、長期間に亙って保持される。従って上記両嵌合部には、それぞれの全周に亙って上記グリース25、25若しくはこのグリース中の基油が、十分に(外部空間から上記両嵌合部に染み込む水分により押し流されない程度に)大きな保持力で保持された状態となる。
本例のシール装置は、上述の様に構成するので、上記内輪8の端部外周面と上記外輪9の端部内周面との間への、上記組み合わせシールリング1の組み付け作業を特に慎重に行なわなくても、上記内径側、外径側両縁筒部13、14と上記両軌道輪8、9の周面との嵌合部を通じての異物、特に水分の浸入防止を確実に図れる。即ち、上記組み合わせシールリング1を構成するスリンガ4の内径側円筒部13の内周面と上記内輪8の端部外周面との嵌合部、及び、芯金6の外径側円筒部14の外周面と上記外輪9の端部内周面との間には、それぞれ、上記両凹溝23、24に封入されたグリース25、25が、全周に亙って介在する。これらのグリース25、25は撥水性を有するので、外部空間から上記両嵌合部に染み込んだ水分は、これらグリース25、25が介在している部分を横切って、上記組み合わせシールリング1を介して上記外部空間と隔てられた内部空間3にまで入り込む事はない。この為、前記ラジアル玉軸受2の各種性能(音響性能、耐久性能)が、短期間にしかも急激に低下する事を防止できる。
又、本例の場合、撥水性を有するゲル状物質としてグリース25、25を使用しているので、この撥水性を有するゲル状物質を低コストで調達できる。しかも、上記グリース25、25は、上記組み付け作業を特に慎重に行なわなくても、必要とする部分に付着するので、上記性能を容易に得られる。
尚、上記グリース25、25として、転動体を設置した内部空間3内に存在する潤滑剤である別のグリースと同種の基油を含むもの、具体的には、鉱油或いは合成油を基油としたものを使用すれば、仮に両グリースの基油同士が混ざり合った場合でも、上記潤滑剤として使用するグリースの性能が劣化する事を防止できる。
これに対して、上記グリース25、25の基油を弗素系の油とすれば、潤滑剤として使用するグリースの基油である鉱油或いは合成油が、前記内径側、外径側両円筒部13、14と前記両軌道輪8、9の端部周面との嵌合部に染み込む事を抑えられる。そして、上記潤滑剤として使用するグリースの基油である鉱油或いは合成油が、上記両嵌合部を通じて外部空間に染み出す事を、より確実に防止できる。
[実施の形態の第2例]
図3も、請求項1〜5、7、10に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、グリース25を保持する為の凹溝24を、外輪9の端部内周面にのみ設けている。スリンガ4の内径側円筒部13と内輪8の端部外周面との嵌合部には、グリースを保持する為の凹溝は形成していない。この様な本例の場合には、上記スリンガ4の内径側円筒部13と内輪8の端部外周面との嵌合部を通じての、内部空間3への水分の浸入防止は、別途(接着剤等により)図る。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図4も、請求項1〜5、7、10に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、グリース25を保持する為の凹溝23を、内輪8の端部外周面にのみ設けている。芯金6の外径側円筒部14と外輪9の端部内周面との嵌合部には、グリースを保持する為の凹溝は形成していない。この様な本例の場合には、上記芯金6の外径側円筒部14と外輪9の端部内周面との嵌合部を通じての、内部空間3への水分の浸入防止は、別途(接着剤等により)図る。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図5も、請求項1〜5、7、10に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、それぞれがグリース25、25を保持する為の凹溝23、23を、内輪8の端部外周面の2個所位置に設けている。この様な構成により、内部空間3への水分の浸入防止性能をより向上させている。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第3例の場合と同様である。尚、本例の構造と、前述した実施の形態の第1例の構造とを合わせ、内輪8の端部外周面と外輪9の端部内周面とに、それぞれ2本ずつの凹溝23、24を形成する事もできる。
[実施の形態の第5例]
図6〜7は、請求項1〜5、7、9に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、スリンガ4aの内周縁部に設けた内径側円筒部13aの軸方向中間部を径方向外方に曲げ形成する事により、この内径側円筒部13aの軸方向中間部内周面に凹溝23aを、全周に亙り形成している。又、芯金6aの外周縁部に設けた外径側円筒部14aの軸方向中間部を径方向内方に曲げ形成する事により、この外径側円筒部14aの軸方向中間部外周面に凹溝24aを、全周に亙り形成している。これら両凹溝23a、24aの断面形状は特に問わない。図6に示す様な円弧形でも、図7に示す様な三角形でも良い。何れにしても、上記両凹溝23a、24a内にグリース25、25を充填し、これら各グリース25、25中の基油を、上記内径側、外径側両円筒部13a、14aと、内輪8の外周面又は外輪9の内周面との嵌合部に、全周に亙って介在させている。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第6例]
図8も、請求項1〜5、7、9に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、グリース25を保持する為の凹溝24aを、外径側円筒部14aの軸方向中間部外周面にのみ設けている。スリンガ4の内径側円筒部13と内輪8の端部外周面との嵌合部には、グリースを保持する為の凹溝は形成していない。この様な本例の場合には、上記スリンガ4の内径側円筒部13と内輪8の端部外周面との嵌合部を通じての、内部空間3への水分の浸入防止は、別途(接着剤等により)図る。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第7例]
図9〜10は、請求項1〜4、6、8、9に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、ハウジング16の内径側に軸17を、図示しない転がり軸受により、回転自在に支持している。そして、上記ハウジング16の内周面と上記軸17の外周面との間に存在する円筒状空間の開口端部を、シールリング19aにより塞いでいる。このシールリング19aは、炭素鋼板等の金属板製の芯金21aと、この芯金21aによりその基部を支持された、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製のシールリップ20aとから成る。又、このシールリップ20aの先端部にガータスプリング18を装着している。この様なシールリング19aは、上記芯金21aを上記ハウジング16の内周面に、締り嵌めで内嵌固定すると共に、上記シールリップ20aの先端縁を上記軸17の外周面に、上記ガータスプリング18の弾力に基づき、全周に亙り摺接させている。
上述の様なシールリング19aを使用する本例の場合には、図10に示す様に、上記芯金21aの外周縁部に設けた円筒部26の外周面に複数本の凹溝27、27を、それぞれ全周に亙って形成している。これら各凹溝27、27は、互いに平行で独立したものであっても、或いは、螺旋状に互いに連続したものであっても良い。何れにしても上記各凹溝27、27には、上記円筒部26を上記ハウジング16に内嵌するのに先立って、グリース25、25を充填しておく。上記各凹溝27、27内に充填されたグリース25、25は、上記円筒部26を上記ハウジング16に内嵌した状態で、これら円筒部26の外周面とハウジング16の内周面との嵌合部に、全周に亙って行き渡る。そして、前述の実施の形態の第1例部分で述べた様に、この嵌合部を通じて水分が内部空間22に入り込む事を防止する。尚、上記シールリップ20aの内周面と上記軸17の外周面との間にグリースを設ける事により、このシールリップ20aと軸17との摺接部を通じての、上記内部空間3への水分の侵入防止を図る事もできる。
[実施の形態の第8例]
図11は、請求項1〜4、6、8、10に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、ハウジング16の内周面で芯金21の円筒部26の外周面と対向する部分に、複数の凹溝27a、27aを形成し、これら各凹溝27a、27a内にグリース25、25を充填している。凹溝を形成する面を被支持面である円筒部の外周面から支持面であるハウジング16の内周面に変えた点以外は、上述した実施の形態の第7例の場合と同様である。
本発明を実施する場合、各実施の形態を組み合わせる事も可能である。例えば、内径側と外径側とに設ける、グリースを保持する為の凹溝を、一方は軌道輪側に、他方は組み合わせシールリング側に、それぞれ設ける事もできる。又、直動式アクチュエータの一部等、軸方向に相対変位する部分のシールを図る為に本発明を適用する事もできる。
本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面図。 凹溝の断面形状の2例を示す、図1から内輪のみを取り出して示す図。 本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面図。 同第3例を示す部分断面図。 同第4例を示す部分断面図。 同第5例を示す部分断面図。 図6とは形状が異なる凹溝を形成したスリンガ及び芯金を取り出して示す部分断面図。 本発明の実施の形態の第6例を示す部分断面図。 同第7例を示す部分断面図。 芯金を取り出して示す部分斜視図。 本発明の実施の形態の第8例を示す部分断面図。 嵌合部のシール性に就いて考慮していない組み合わせシールリングを設けたラジアル転がり軸受の部分断面図。 同じく考慮した組み合わせシールリングを設けたラジアル転がり軸受の部分断面図。 同じく考慮したシールリングを備えた構造の第2例を示す部分断面図。
符号の説明
1 組み合わせシールリング
2 ラジアル玉軸受
3 内部空間
4、4a スリンガ
5 素シールリング
6、6a 芯金
7 シールリップ
8 内輪
9 外輪
10 転動体
11 エンコーダ
12 センサ
13、13a 内径側円筒部
14、14a 外径側円筒部
15 弾性材
16 ハウジング
17 軸
18 ガータスプリング
19、19a シールリング
20、20a シールリップ
21、21a 芯金
22 内部空間
23、23a 凹溝
24、24a 凹溝
25 グリース
26 円筒部
27、27a 凹溝

Claims (10)

  1. 互いに同心且つ径方向に対向する周面を有し、相対変位する1対の部材と、これら両部材の周面同士の間に設けられて、これら両周面同士の間に存在する円環状若しくは円筒状の空間の一部を全周に亙って塞ぐシールリングとから成り、このシールリングは、金属板製で上記両部材のうちの一方の部材の周面である支持周面に嵌合固定する円筒部を有する、少なくとも1個の環状部材と、弾性材製のシールリップとを備えたものであり、上記円筒部の内外両周面のうちで上記支持周面に径方向に対向する周面を、この支持周面に嵌合支持される被支持周面としたシール装置に於いて、この支持周面とこの被支持周面とのうちの何れかの周面に、周方向に長い凹溝を形成すると共に、この凹溝内に撥水性を有するゲル状物質を封入し、このゲル状物質を、上記支持周面と上記被支持周面との嵌合部に、全周に亙って介在させた事を特徴とするシール装置。
  2. 撥水性を有するゲル状物質がグリースである、請求項1に記載したシール装置。
  3. 円環状若しくは円筒状の空間の一部でシールリングに対して外部空間と反対側部分に、内輪軌道及び外輪軌道と転動体とを備えた転がり軸受構造が設けられており、この転がり軸受構造部分を潤滑する為の潤滑剤が、鉱油或いは合成油、又は、鉱油或いは合成油を基油とするグリースであり、撥水性を有するゲル状物質であるグリースの基油が鉱油或いは合成油である、請求項2に記載したシール装置。
  4. 円環状若しくは円筒状の空間の一部でシールリングに対して外部空間と反対側部分に、内輪軌道及び外輪軌道と転動体とを備えた転がり軸受構造が設けられており、この転がり軸受構造部分を潤滑する為の潤滑剤が、鉱油或いは合成油、又は、鉱油或いは合成油を基油とするグリースであり、撥水性を有するゲル状物質であるグリースの基油が弗素系の油である、請求項2に記載したシール装置。
  5. 相対回転する1対の部材が、ラジアル転がり軸受を構成する外輪と内輪とである、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したシール装置。
  6. 相対回転する1対の部材が、ハウジングと、このハウジングの内径側に支持された軸とである、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したシール装置。
  7. シールリングが、芯金と、この芯金によりその基部を支持されたシールリップと、このシールリップの先端縁を摺接させるスリンガとから成る組み合わせシールリングであり、環状部材が、このスリンガと上記芯金との少なくとも一方である、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したシール装置。
  8. シールリングが、芯金と、この芯金によりその基部を支持されたシールリップとから成り、芯金を支持周面に嵌合固定すると共に、このシールリップの先端縁を他方の部材の周面に摺接させたものであり、環状部材が上記芯金である、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したシール装置。
  9. 凹溝が、被支持周面の全周に亙って設けられている、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したシール装置。
  10. 凹溝が、支持周面の全周に亙って設けられている、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したシール装置。
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