JP2009114382A - 紫外線硬化型粘着剤組成物 - Google Patents

紫外線硬化型粘着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高温・長期間の養生を必要とせず、粘着特性にも優れるという無溶剤型の粘着剤の利点を維持しつつ、塗工性や光学特性にも優れる紫外線硬化型の粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含み、前記A成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃、重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000の範囲内のものであり、前記A成分及び前記B成分の総量を100質量部とした場合に、前記A成分を50〜99質量部、前記B成分を1〜49質量部、前記D成分を0.5〜30質量部、前記E成分を100〜900質量部を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線の照射により粘着力が発現する紫外線硬化型粘着剤組成物に関するものである。
近年、テレビジョン用やモニター用の電子画像表示装置(電子ディスプレイ)として、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイが広く普及している。プラズマディスプレイは、ディスプレイ表面に、視認性を向上させるための反射防止性フィルムが付設されている。そして、この反射防止性フィルムには、プラズマディスプレイのガラス製前面板や他の機能性フィルムとの貼り合わせを行うための粘着層が形成されていることが一般的である。また、液晶ディスプレイについても、ディスプレイ表面に対して、偏光板や他の機能性フィルムを貼り合わせるために、粘着剤を使用することが一般的である。
従来、これらの粘着剤としては、(メタ)アクリル系重合体が有機溶剤に溶解され、使用直前に熱架橋剤を配合する、いわゆる2液型溶剤系粘着剤が主流であった。この2液型溶剤系粘着剤は、加熱によって、溶剤分が揮発するとともに、熱架橋剤が架橋反応を惹起し、(メタ)アクリル系重合体が架橋することで粘着物性が発現するタイプの粘着剤である。
このような溶剤型の粘着剤は、粘着性が良好で、耐久性が高い等の利点を有してはいるものの、使用直前に熱架橋剤を配合する工程を必要とし、粘着剤製品の製造に際しても粘着剤の養生期間が必要であるという問題があった。
例えば、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂、光重合開始剤及びシラン系化合物を含有する光学積層体用活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が開示されている(特許文献1参照)。そして、特許文献1には、この粘着剤組成物については10〜20質量%濃度となるように溶媒で希釈し、架橋剤を用いることが好ましい旨が記載され、40℃という高温で、4日間という長期間の養生を行う例が開示されている。
そこで、高温・長期間の養生を必要としない無溶剤型の粘着剤が提案されている。例えば、所定の重量平均分子量のアクリル共重合体、分子内に2つの不飽和二重結合を有し、分子内にアルキレングリコール鎖を有する単量体及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化型の樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。
また、本発明者も、反応性ポリマー、光重合開始剤、重合性二重結合を有する単量体を含有し、前記反応性ポリマーが、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル系官能基を有する変性(メタ)アクリル系重合体である紫外線硬化型の粘着剤組成物を提案している(特許文献3参照)。
特開2006−316231号公報 特開2006−312664号公報 特開2006−282805号公報
特許文献2に記載の樹脂組成物や特許文献3に記載の粘着剤組成物は、紫外線を照射すると、光重合開始剤が作用し、重合性の単量体や反応性ポリマーの重合反応が進行することによって粘着力が発現する。そして、従来の溶剤型の粘着剤と比較して、(メタ)アクリル系重合体の平均分子量を小さくし、或いは(メタ)アクリル系重合体を重合性の単量体等で希釈する等の改良によって、溶剤で希釈しなくとも硬化前の粘性が大きくならないように工夫がなされている。
これらの組成物は、熱架橋剤を含まないために、粘着剤の製造に際して高温・長期間の養生を必要としないという利点があり、また、粘着力が高く、糊残りも少ないため、粘着特性にも優れている。しかしながら、電子・光学材料分野、特にディスプレイ用の粘着剤は、生産性(塗工速度)の向上、塗工精度の向上、製品の薄層化に伴う粘着剤層の薄膜化等、更なる技術レベルの向上が求められている。
このような状況に鑑みると、特許文献2に記載の樹脂組成物や特許文献3に記載の粘着剤組成物は、溶剤型の粘着剤と比較して、塗工条件によっては塗工の際にムラが発生し易い傾向がある等、塗工性の面で課題を残すものであった。また、これらの組成物は、ディスプレイ等の電子・光学材料の用途で要求される粘着剤層の光学特性が2液型溶剤系粘着剤と比べて十分に満足できるものではないという課題が残されており、なお改善の余地を残すものであった。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、高温・長期間の養生を必要とせず、粘着特性にも優れるという無溶剤型の粘着剤の利点を維持しつつ、塗工性や光学特性にも優れる紫外線硬化型の粘着剤組成物を提供するものである。
本発明者らは、上述のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、光重合性の化合物として、重合性不飽和基を有するカルボン酸又はそのオリゴマーを用いることによって、熱架橋剤を使用することなく、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の紫外線硬化型粘着剤組成物が提供される。
[1] (メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含み、前記A成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃、重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000の範囲内のものであり、前記A成分及び前記B成分の総量を100質量部とした場合に、前記A成分を50〜99質量部、前記B成分を1〜50質量部、前記D成分を0.5〜30質量部、前記E成分を100〜900質量部を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物。
[2] (メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、B成分以外の重合性不飽和基を有する化合物(C成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含み、前記A成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃、重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000の範囲内のものであり、前記A成分、前記B成分及び前記C成分の総量を100質量部とした場合に、前記A成分を50〜98質量部、前記B成分を1〜49質量部、前記C成分を1〜49質量部、前記D成分を0.5〜30質量部、前記E成分を100〜900質量部を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物。
[3] 前記A成分が、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル骨格を含むアルコキシシリル系官能基を有する変性(メタ)アクリル系重合体である前記[1]又は[2]に記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
[4] 紫外線吸収剤(F成分)として、350〜400nmの波長領域にλmaxを有するベンゾフェノン系化合物を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、高温・長期間の養生を必要とせず、粘着特性に優れるとともに、塗工性や光学特性にも優れる。
以下、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、その発明特定事項を備える全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
[1]第1の実施形態:
本発明の第1の実施形態は、(メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含む紫外線硬化型粘着剤組成物である。以下、成分毎に説明する。
[1−1](メタ)アクリル系重合体(A成分):
「(メタ)アクリル系重合体」とは、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位(以下、「単量体X由来の繰り返し単位」を単に「X単位」と記す場合がある。)を含む重合体である。なお、本明細書において「主鎖」というときは、(メタ)アクリル系重合体において最も炭素数の多い炭素鎖を意味するものとする。
一般に、「(メタ)アクリル系単量体」とは、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの塩ないしエステルを意味する。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸の他、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸塩類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;等を挙げることができる。
[1−1A]一般的な(メタ)アクリル系重合体:
A成分は、前記(メタ)アクリル系単量体の中でも、(メタ)アクリル酸エステル類由来の繰り返し単位を含むものが好ましく、エチルアクリレート、ブチルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものがより好ましく、エチルアクリレート又はブチルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが更に好ましく、エチルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが特に好ましい。これらの繰り返し単位を含ませることによって、良好な粘着特性を発揮させることが可能となるからである。
また、A成分は、主鎖が1種の(メタ)アクリル系単量体単位のみを含む単独重合体であってもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系単量体単位を含む共重合体であってもよい。但し、粘着剤・接着剤とした際に、その塗膜(粘着剤層)の物性を精密に調整することが容易であるという理由から、2種以上の(メタ)アクリル系単量体単位を含む共重合体であることが好ましい。
なお、A成分は、(メタ)アクリル系単量体単位を含むものであれば足り、全ての繰り返し単位が(メタ)アクリル系単量体単位であることを要しない。即ち、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体単位(「他の単量体単位」と記す場合がある。)を含むものであってもよい。
「(メタ)アクリル系単量体以外の単量体」の種類については特に制限はないが、例えば、重合性不飽和結合を有する単量体を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルラクタム類;等を挙げることができる。
A成分は、前記「(メタ)アクリル系単量体以外の単量体」の中でも、(メタ)アクリロニトリル類、特にアクリロニトリル由来の繰り返し単位を含むものが好ましい。これらの繰り返し単位を含ませることによって、粘着剤の凝集力を向上させ、更には再剥離性を向上させることができる。
A成分の(メタ)アクリル系単量体単位においては、(メタ)アクリル系単量体単位の含有率は、(メタ)アクリル系重合体の主鎖を構成する単量体単位の合計を100質量%とした場合に、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。即ち、主鎖の全てが(メタ)アクリル系単量体単位によって構成されていることが好ましい。(メタ)アクリル系単量体単位の含有率が50質量%未満であると、粘着特性が低下する傾向があるため好ましくない。
具体的な組成としては、(メタ)アクリル酸エステル単位及びアクリロニトリル単位を有する(メタ)アクリル系重合体が好ましい。中でも、(メタ)アクリル系重合体の主鎖を構成する単量体単位の合計を100質量%とした場合に、(メタ)アクリル酸エステル単位を70〜98.9質量%、アクリロニトリル単位を1〜20質量%、他の単量体単位を0.1〜10質量%含有する(メタ)アクリル系重合体が特に好ましい。
A成分の製造方法は特に限定されず、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液重合を用いる場合であれば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分、必要に応じてこれと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー成分とからなるエチレン性不飽和モノマー混合物を、有機溶剤等の適当な溶媒中で重合開始剤を添加して、窒素気流下に加熱撹拌する方法等により重合させる。
また、A成分の(メタ)アクリル系重合体として、市販のアクリル系共重合体を用いることもできる。例えば、商品名:パラクロンAW4500H(固形分40%、Mw32万、Tg−8℃、トルエン溶媒、根上工業社製)や商品名:パラクロンAS3000E(固形分30%、Mw650000、Tg−36℃、トルエン溶媒、根上工業社製)等を用いることができる。
[1−1B]変性(メタ)アクリル系重合体:
また、A成分は、反応性官能基が修飾された反応性重合体であってもよい。例えば、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル骨格を含むアルコキシシリル系官能基のうちの少なくとも一種を有する変性(メタ)アクリル系重合体を用いることが好ましい。
前記変性(メタ)アクリル系重合体は、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基及びアルコキシシリル骨格を含む官能基を有するものである。換言すれば、基本骨格となる(メタ)アクリル系重合体に対して、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入し変性させたものと言える。なお、本明細書において「側鎖」というときは、変性(メタ)アクリル系重合体の主鎖(最も炭素数の多い炭素鎖)から分岐している炭素鎖を意味するものとする。
側鎖中に(メタ)アクリロイル系官能基(即ち、重合性の官能基)を有する重合体は、紫外線照射によってその重合体同士が架橋されるため、紫外線硬化性が発現することとなる。また、耐候性が高いことに加えて、粘着剤を剥離した際に被着体への糊残りが少なく、被着体を汚染し難いという好ましい効果が発揮される。一方、側鎖中にアルコキシシリル系官能基を有する重合体は、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れる。具体的には、高温条件下ないしは高温・高湿条件下においても優れた密着性を示し、粘着特性に優れるという特徴がある。更に、これらの変性を行うことにより、B成分の量が少ない場合でも、耐熱・耐湿熱条件下においても粘着特性が低下し難い粘着組成物を得ることができる。
本明細書において「(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基」というときは、下記表1に示された「アクリロイル骨格」又は「メタクリロイル骨格」を含む官能基を意味し、アクリロイル骨格やメタクリロイル骨格を構成する水素原子の全部又は一部が他の原子や官能基によって置換された置換誘導体も含むものとする。本明細書においては、これらの官能基を「(メタ)アクリロイル系官能基」と称する場合がある。
Figure 2009114382
代表的なものとしては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。アクリロイル基は優れた重合性(ひいては紫外線硬化性)を付与することができる点において好ましく、メタクリロイル基はアクリロイル基と比較して安全性が高い点において好ましい。
また、(メタ)アクリロイル系官能基はアクリロイル骨格やメタクリロイル骨格が直接的に主鎖に結合し得る構造の官能基である必要はなく、アクリロイル骨格やメタクリロイル骨格が何らかの原子や官能基を介して間接的に主鎖に結合し得る構造の官能基であってもよい(例えば、アクリロイルオキシ基等)。
(メタ)アクリロイル系官能基の好ましい含有量は、主鎖の構造、重量平均分子量、ガラス転移温度、粘着物性等によっても異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体100g当たり0.05〜100mmolの範囲内であることが好ましく、0.1〜40mmolの範囲内であることが更に好ましく、0.1〜20mmolの範囲内であることが特に好ましい。例えば、重量平均分子量が300,000程度の変性(メタ)アクリル系重合体であれば、(メタ)アクリロイル系官能基を重合体1分子当たり0.16〜330個有しているものが好ましく、0.33〜132個有しているものが更に好ましく、0.33〜66個有しているものが特に好ましい。
含有量が0.05mmol/100g未満であると、(メタ)アクリロイル系官能基による変性効果(具体的には、紫外線硬化性、高耐候性、被着体への糊残りが少ない等の効果)が十分に得られなくなるおそれがあるため好ましくない。一方、100mmol/100gを超えると、重合体組成等によっても異なるが、重合体の粘度の上昇を招く傾向があるため好ましくない。
本明細書において「アルコキシシリル骨格」というときは、前記表1に示されるように、ケイ素原子に少なくとも1つのアルコキシ基が結合された骨格を意味するものとする。従って、「アルコキシシリル骨格を含む官能基」には、ケイ素原子にアルコキシ基の他、何らかの原子やアルコキシ基以外の官能基が結合された官能基も含まれる。本明細書においては、これらの官能基を「アルコキシシリル系官能基」と称する場合がある。
具体的には、トリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられる。中でも、比較的入手が容易なトリアルコキシシラン誘導体を用いて導入することができるという理由から、トリアルコキシシリル基が特に好ましい。
また、アルコキシシリル系官能基はアルコキシシリル骨格が直接的に主鎖に結合し得る構造の官能基である必要はなく、アルコキシシリル骨格が何らかの原子や官能基を介して間接的に結合し得る構造の官能基であってもよい(例えば、トリアルコキシシリルアルキル基等)。
アルコキシシリル系官能基の好ましい含有量は、主鎖の構造、重量平均分子量、ガラス転移温度等によっても異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体100g当たり0.01〜100mmolの範囲内であることが好ましく、0.01〜40mmolの範囲内であることが更に好ましく、0.01〜20mmolの範囲内であることが特に好ましい。例えば、重量平均分子量が300,000の変性(メタ)アクリル系重合体であれば、アルコキシシリル系官能基を重合体1分子当たり0.03〜330個有しているものが好ましく、0.03〜132個有しているものが更に好ましく、0.02〜66個有しているものが特に好ましい。
含有量が0.01mmol/100g未満であると、アルコキシシリル系官能基による変性効果(具体的には、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れる等の効果)が十分に得られなくなるおそれがあるため好ましくない。一方、100mmol/100gを超えると、重合体組成等によっても異なるが、重合体の粘度の上昇を招く傾向があるため好ましくない。
変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法は特に限定されないが、例えば、基本骨格となる(メタ)アクリル系重合体に対して、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法(化学修飾法)によって製造することができる。
化学修飾法の具体例としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーの水酸基に、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物やイソシアネート基を有するアルコキシシラン系化合物を直接的に結合させることによって、(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法を挙げることができる(直接結合法)。
「水酸基を有する(メタ)アクリル系重合体」は、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類と他の(メタ)アクリル系単量体とを共重合させることにより得ることができる。「イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物」としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズMOI、昭和電工社製)や2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズAOI、昭和電工社製)、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート(商品名:カレンズMOIEG、昭和電工社製)等を挙げることができる。一方、イソシアネート基を有するアルコキシシラン系化合物としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−9007、信越化学工業社製)等を挙げることができる。
また、化学修飾法としては、ベースポリマーの水酸基に、ポリイソシアネート化合物等の多官能性化合物を結合させ、その多官能性化合物を介して水酸基を有する(メタ)アクリル系化合物や水酸基を有するアルコキシシラン系化合物を間接的に結合させることによって、(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法を採ってもよい(間接結合法)。
「ポリイソシアネート化合物」としては、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を挙げることができる。「水酸基を有する(メタ)アクリル系化合物」としては、既に述べた水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。「水酸基を有するアルコキシシラン系化合物」としては、例えば、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
A成分の製造方法としては、アルコキシシリル系官能基については、アルコキシシリル系官能基を有する単量体を他の単量体と共重合させることによってベースポリマーの骨格に組み込み、(メタ)アクリロイル系官能基については、そのベースポリマーへの化学修飾によって導入する方法も挙げることができる(重合法)。
重合法をより具体的に説明すると、(メタ)アクリル系単量体、水酸基を有する単量体及びアルコキシシリル系官能基を有する単量体を含む単量体混合物を重合反応に供し、側鎖中に前記アルコキシシリル系官能基及び水酸基を有する第1の変性(メタ)アクリル系重合体を得、その第1の変性(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、そのベースポリマーの水酸基に、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基を導入して第2の変性(メタ)アクリル系重合体を得る方法である。
「アルコキシシリル系官能基を有する単量体」としては、メタクリロイルオキシトリアルコキシシラン、アクリロイルオキシトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。中でも、重合時の反応性が高い点において、メタクリロイルオキシトリアルコキシシラン又はアクリロイルオキシトリアルコキシシランを用いることが好ましく、アクリロイルオキシトリアルコキシシランを用いることが特に好ましい。
[1−1C]平均分子量:
A成分は、その重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000の範囲内のものである。重量平均分子量をこの範囲内とすることによって、溶媒との混和性が良好となり組成物の調製が容易となる他、粘着剤とした際に被着体への糊残りが少なく、被着体を汚染し難いという好ましい効果が発揮される。重量平均分子量が100,000未満であると、粘着剤とした際に被着体への糊残りが増加し、被着体を汚染する傾向があるため好ましくない。一方、1,000,000を超えると、溶媒との混和性が不良となる傾向があるため好ましくない。
前記の効果をより確実に得るためには、重量平均分子量が200,000〜800,000の範囲内のものが更に好ましく、200,000〜400,000の範囲内のものが特に好ましい。
重量平均分子量は、主鎖となる(メタ)アクリル系重合体を重合する際の重合条件、例えば、重合開始剤の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び量、溶媒の種類及び量、反応温度、反応時間等を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。また、市販の(メタ)アクリル系重合体の中から所望の重量平均分子量を有するものを適宜選択し、これを変性に供してもよい。
なお、本明細書において「重量平均分子量」というときは、GPC法(Gel Permeation Chromatography Method:GPC法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味するものとする。
具体的には、各試料の固形分が0.025%となるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、この溶液について、以下の条件で測定することが好ましい。
(1)GPC測定装置;高速GPC装置HLC−8820(商品名、東ソー社製)、
(2)カラム;TSK−GELシリーズ(商品名、東ソー社製)、
(3)移動相;THF、
(4)流量;1ml/min.、
(5)カラム温度;40℃、
(6)検出器;RI、UV、
(7)換算;ポリスチレン。
[1−1D]ガラス転移温度(Tg):
A成分は、そのガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃の範囲内のものである。ガラス転移温度をこの範囲内とすることによって、粘着剤とした際に適度な粘着性能が発現される。ガラス転移温度が0℃を超えると、粘着剤とした際に粘着強度が低下したり、溶媒との混和性の低下に伴って塗工性が低下したりする傾向があるため好ましくない。一方、−55℃未満であると、粘着剤とした際に被着体への糊残りが増加し、被着体を汚染する傾向があるため好ましくない。これらの効果をより確実に得るためには、ガラス転移温度が0℃〜−50℃の範囲内であるものが好ましく、0℃〜−40℃の範囲内であるものが更に好ましい。
ガラス転移温度は、主鎖となる(メタ)アクリル系重合体を構成する繰り返し単位の種類及び比率を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。単量体M,M,…Mに由来する繰り返し単位から構成される重合体Pのガラス転移温度(理論値)は、フォックスの式(下記数式(1))から算出することができるので、この数式を参考に繰り返し単位の種類及び比率を調節すればよい。
1/TgP=r/TgM+r/TgM… +r/TgM :(1)
(但し、TgP:重合体Pのガラス転移温度(K)、TgM:単量体Mの単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM:単量体Mの単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM:単量体Mの単独重合体のガラス転移温度(K)、r:重合体Pにおける単量体M単位の質量分率、r:重合体Pにおける単量体M単位の質量分率、r:重合体Pにおける単量体M単位の質量分率)
より具体的に説明すると、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、好ましいガラス転移温度が0℃〜−55℃と比較的低いため、重合の際に、単独重合体のガラス転移温度が比較的低い単量体、例えば、ブチルアクリレート(Tg:−55℃)、エチルアクリレート(Tg:−24℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−85℃)等を主成分とする単量体混合物に、単独重合体のガラス転移温度が比較的高い単量体、例えば、メチルメタクリレート(Tg:105℃)、スチレン(Tg:100℃)等を適宜添加して重合反応に供することによって、所望のガラス転移温度を有する重合体を得ることができる。また、市販の(メタ)アクリル系重合体の中から所望のガラス転移温度を有するものを適宜選択し、これを変性に供してもよい。
なお、本明細書において「ガラス転移温度」というときは、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定されたガラス転移温度を意味するものとする。
[1−1E]含有量:
A成分の含有量は、A成分の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、A成分及びB成分の総量を100質量部とした場合に、50〜99質量部とすることが必要である。含有量が50質量部未満であると、粘着力が低下する傾向があるため好ましくない。一方、99質量部を超えると、凝集力不足により粘着層の耐久性が低下する傾向があるため好ましくない。
前記の効果をより確実に得るためには、A成分の含有量を60〜99質量部とすることが好ましく、80〜97.25質量部とすることが更に好ましい。
[1−2]重合性不飽和基を有するカルボン酸類(B成分):
第1の実施形態の組成物は、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)を含む。B成分を含有させることにより、粘着物性の発現に養生が不要となり(無養生性)、耐熱・耐湿熱条件下においても粘着特性が低下し難い粘着組成物を得ることができる。
「重合性不飽和基を有するカルボン酸」とは、重合性二重結合又は重合性三重結合を有するカルボン酸を意味する。いわゆる不飽和カルボン酸、より具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等を挙げることができる。
「重合性不飽和基を有するカルボン酸のオリゴマー」とは、前記カルボン酸の重合体であって、その重量平均分子量が10,000以下のものを意味する。例えば、アクリル酸ダイマーの他、アクリル酸重合体であって、その重量平均分子量が10,000以下のものを挙げることができる。
B成分の含有量は、A成分の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、A成分及びB成分の総量を100質量部とした場合に、1〜50質量部とすることが必要である。含有量が1質量部未満であると、粘着層の耐久性が低下する傾向があるため好ましくない。一方、50質量部を超えると、再剥離時の糊残りが多くなる傾向があるため好ましくない。前記の効果をより確実に得るためには、B成分の含有量を1〜40質量部とすることが好ましく、2.75〜20質量部とすることが更に好ましい。
[1−3]光重合開始剤(D成分):
本発明の組成物は、光重合開始剤(D成分)を構成成分として含有する。光重合開始剤とは、重合系に添加しておくと、光照射によって重合反応を惹起する作用を有する添加剤を意味する。即ち、D成分は紫外線の照射を契機としてB成分の重合反応を惹起し、B成分に由来する重合体やA成分とB成分の架橋物の形成に寄与する。このような性質により、硬化された被膜を形成させることができる。
D成分としては、例えば、α−ヒドロキシアセトフェノン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、α−アミノアセトフェノン、ベンゾイン系化合物及びアシルフォスフィンオキサイド系化合物等の光重合開始剤が挙げられる。
本発明の組成物は、前記光重合開始剤の中でも、アシルフォスフィンオキサイド系化合物を含有することが好ましい。これは、本発明の組成物をディスプレイ用途等に用いる場合には、紫外線吸収剤(F成分)を含有させる場合があり、このような場合には、F成分の吸収波長とは異なる波長領域の紫外線によってB成分の重合反応を惹起する光重合開始剤を用いることが好ましいからである。また、アシルフォスフィンオキサイド系化合物を含有すると、粘着層の色調の悪化(黄変)を極軽微なレベルに抑えることもできる点においても好ましい。
一般に、紫外線吸収剤の吸収波長は250〜380nm程度の領域であるとされている。従って、波長380nm以上の紫外線の照射によって重合反応を惹起するアシルフォスフィンオキサイド系化合物を好適に用いることができる。
なお、波長380nm以上の紫外線の照射によって重合反応を惹起する光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等のα−アミノアルキルフェノン系化合物等も存在する。しかしながら、アシルフォスフィンオキサイド系化合物以外の光重合開始剤を用いた場合には、紫外線硬化性が低下する場合がある。
「アシルフォスフィンオキサイド系化合物」とは、アシルフォスフィンオキサイド構造(下記一般式(1)を参照)を有する化合物である。即ち、その構造の一部に、下記一般式(1)に示されるアシルフォスフィンオキサイド構造を有する限り、他の部分の構造に拘らず、本発明にいう「アシルフォスフィンオキサイド系化合物」に含まれる。従って、そのような各種物質の中から、樹脂組成物としての要求性能(紫外線硬化性、色等)に応じて、最適な物質を適宜選択しD成分として使用すればよい。
Figure 2009114382
(但し、式中のRは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。)
「アシルフォスフィンオキサイド系化合物」としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(商品名:CGL403、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASF社製)等を挙げることができる。中でも、硬化性に優れ、塗膜の色調変化が殆どないという理由から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイドが特に好ましい。
なお、「アシルフォスフィンオキサイド系化合物」には、高分子化合物も含まれる。即ち、高分子化合物中にアシルフォスフィンオキサイド構造が導入された高分子光重合開始剤もB−1成分として使用することができる。この高分子光重合開始剤には、いわゆるポリマー(重量平均分子量が概ね5万以上)のみならず、いわゆるオリゴマー(重量平均分子量が500〜5万程度)も含まれる。このような高分子光重合開始剤は、少なくともアシルフォスフィンオキサイド構造を有していることが必要であるが、これに加えて他の光重合開始剤の構造を有するものであってもよい。例えば、アシルフォスフィンオキサイド構造に加えて、ベンゾイン構造、ヒドロキシアセトフェノン構造、アミノアセトフェノン構造又はベンゾフェノン構造といった、他の光重合開始剤の構造を有するものを挙げることができる。
D成分の含有量は、A成分の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、A成分及びB成分の総量を100質量部とした場合に、0.5〜30質量部とすることが必要である。含有量が0.5質量部未満であると、粘着剤が硬化せず、又は硬化が不十分になる場合があるため好ましくない。一方、30質量部を超えると、粘着剤の色調が悪化(黄変)するおそれがあるため好ましくない。前記の効果をより確実に得るためには、D成分の含有量を1〜25質量部とすることが好ましく、1〜20質量部とすることが更に好ましい。
[1−4]溶剤(E成分):
本発明の組成物は、溶剤(E成分)を構成成分として含有する。E成分を含有させることにより、塗工性を向上させることができ、塗工の際にムラが発生し易い等の不具合を効果的に防止することができる。
E成分の種類は、特に制限されるものではなく、他の成分との混和性を考慮して適宜選択すればよい。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系の溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−5−ヘキサノン等のケトン系の溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル系の溶剤;塩化メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系の溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の溶剤;エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系の溶剤、セロソルブアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、i−ブチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブ等のセロソルブ類;等を挙げることができる。
前記溶剤の中でも、残留溶剤濃度を低減させることが容易であるという理由から、メチルエチルケトン、酢酸エチルを用いることが好ましく、メチルエチルケトンを用いることが特に好ましい。これらの溶剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
E成分の含有量は、A成分の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、A成分及びB成分の総量を100質量部とした場合に、100〜900質量部とすることが必要である。含有量が100質量部未満であると、組成物の粘度が高くなり、塗工性が低下するおそれがある。一方、900質量部を超えると、塗工膜厚の調整が困難となるおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、E成分の含有量を150〜500質量部とすることが好ましく、230〜400質量部とすることが更に好ましい。
なお、E成分の含有量は、組成物の粘度を目安に調整すればよい。具体的には、組成物の粘度(25℃)が100〜5000mPa・s、好ましくは300〜2000mPa・sとなるようにE成分の量を調整する。但し、E成分は、前記のような組成物の粘度調整時に添加されるものには限られない。例えば、A成分を溶液重合し、溶媒を留去することなく、組成物の調製に用いたような場合には、A成分の重合溶媒もE成分に含まれることになる。
[1−5]紫外線吸収剤(F成分):
本発明の組成物は、前記構成成分以外に紫外線吸収剤(F成分)を含有していてもよい。F成分を配合することにより、強力な化学作用を有する紫外線を遮蔽し、粘着層より下層側に存在する物質の酸化や変質の抑制、或いは有機物の分解による劣化(変色、退色、脆化等)を抑制するという好ましい効果が発揮される(以下、「紫外線遮蔽性」と記す場合がある)。
F成分としては、ベンゾフェノン系化合物を用いることが好ましい。「ベンゾフェノン系化合物」とは、下記構造式(2)に示されるベンゾフェノン骨格を有する化合物である。即ち、その構造の一部に、下記構造式(2)に示されるベンゾフェノン骨格を有する限り、他の部分の構造に拘らず、本発明にいう「ベンゾフェノン系化合物」に含まれる。従って、そのような各種物質の中から、樹脂組成物としての要求性能(紫外線硬化性、色等)に応じて、最適な物質を適宜選択しF成分として使用すればよい。
Figure 2009114382
但し、本発明の組成物においては、光重合開始剤(D成分)の作用を阻害することなく、紫外線遮蔽性を付与するために、D成分とF成分との吸収スペクトルのパターンが合致していないことが好ましい。本発明の組成物においては、D成分として200〜440nmの範囲内に吸収波長領域を有するもの、F成分として200〜415nmの範囲内に吸収波長領域を有するものを用いることが好ましい。
換言すれば、F成分として、そのλmaxがB成分のλmaxと異なる波長領域にあるものを用いることが好ましい。例えば、D成分として240〜250nmの範囲内にλmaxを有するものを用いる場合には、280〜300nmの範囲内にλmaxを有する紫外線吸収剤を用いることが好ましく、D成分として280〜300nmの範囲内にλmaxを有するものを用いる場合には、310〜330nmの範囲内にλmaxを有する紫外線吸収剤を用いることが好ましく、D成分として380〜410nmの範囲内にλmaxを有するものを用いる場合には、340〜380nmの範囲内にλmaxを有する紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
吸収波長領域が200〜440nmの範囲内にある光重合開始剤としては、例えば、α−ヒドロキシアセトフェノン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、α−アミノアセトフェノン、ベンゾイン系化合物及びアシルフォスフィンオキサイド系化合物(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド等)等を挙げることができる。
一方、吸収波長領域が200〜415nmの範囲内にある紫外線吸収剤(即ち、280〜380nmの波長領域にλmaxを有する紫外線吸収剤)としては、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(商品名:ダインソーブP−6、大和化成社製)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(商品名:シーソーブ107、シプロ化成社製)、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(商品名:シーソーブ100、シプロ化成社製)等を挙げることができる。
従って、本発明の組成物においては、前記の光重合開始剤と前記の紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることが好ましい。中でも、色調の悪化(黄変)が生じ難く、光学特性が良好であるという理由から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイドと2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンの組み合わせが好ましい。
F成分の含有量は、D成分の種類や量等によっても異なるが、A成分及びB成分の総量を100質量部とした場合に、0.1〜30質量部とすることが好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、紫外線遮断効果が不十分となるおそれがある。一方、30質量部を超えると、粘着剤が硬化せず、又は硬化が不十分になる場合がある。前記の効果をより確実に得るためには、F成分の含有量を0.5〜22.5質量部とすることが好ましく、1〜15質量部とすることが更に好ましい。
[1−6]シランカップリング剤(G成分):
本発明の組成物は、前記構成成分以外にシランカップリング剤(G成分)を含有していてもよい。G成分を配合することにより、ガラス等の被着体との接合用途において良好な粘着性を発揮させることができる。また、G成分を含有することにより、B成分の量が少ない場合でも、耐熱・耐湿熱条件下においても粘着特性が低下し難い粘着組成物を得ることができる。
G成分としては、一般的に「シランカップリング剤」と称されているものを広く用いることができる。具体的な化合物としては、アルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。中でも、プラズマディスプレイの前面板等、ガラス基材に対する密着性を向上させるという理由から、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基等の官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。
例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403(信越化学工業社製)等)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−403(信越化学工業社製)等)、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
G成分の含有量は、A成分の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、A成分及びB成分の総量を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部とすることが好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、ガラス等の被着体との接合用途において粘着性が不十分となる場合がある。一方、10質量部を超えると、再剥離時に糊残りが発生するおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、G成分の含有量を1.0〜5.0質量部とすることが好ましい。
[1−7]その他の添加剤:
本発明の組成物には、前記各成分以外に、老化防止剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、粘着付与剤(タッキファイヤー)、光安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、保存安定剤、熱重合禁止剤、可塑剤、濡れ性改良剤等、粘着剤組成物に添加されることがある添加剤を必要に応じて配合することもできる。これらの添加剤の含有量は、本発明の組成物の目的を阻害しない範囲で、適宜決定すればよい。
なお、本発明の組成物は、従前のものとは異なり、熱架橋剤の添加は不要である。熱架橋剤を使用しないことにより、2液型溶剤系粘着剤では必要な2液混合の操作や養生が不要となる(無養生性)。
「熱架橋剤」とは、加熱により架橋反応を促進し、粘着物性を発現させる物質を意味する。しかし、本発明の組成物では、これらの熱架橋剤を使用しなくても粘着物性を発現させることができる。以下、参考までに、2液型溶剤系粘着剤で用いられる熱架橋剤の例を挙げる。
ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物;
ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等のメラミン系化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンのジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネート付加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート等のイソシアネート系化合物;
グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等のアミン系化合物;アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の金属にアセチルアセトンやアセトアセチルエステル等が配位した金属キレート化合物;等を挙げることができる。
[2]第2の実施形態:
本発明の第2の実施形態は、(メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、B成分以外の重合性不飽和基を有する化合物(C成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含む紫外線硬化型粘着剤組成物である。即ち、第1の実施形態に係る組成物の構成成分にC成分を加えたものである。以下の説明では、第1の実施形態と重複する事項については記載を割愛し、C成分の内容とC成分と他の成分との関係を中心に説明する。
[2−1]B成分以外の重合性不飽和基を有する化合物(C成分):
「重合性不飽和基」とは、重合性を有する不飽和結合、即ち、ビニル基等の重合性二重結合、アセチレン基等の重合性三重結合等を意味する。これらの不飽和結合は重合性を有する限り、その構造は特に限定されるものではない。例えば、シクロヘキセニル基のように、環状構造の一部を構成しているものであってもよい。
なお、「化合物」とは、重合性不飽和結合を有する物質を広く包含する概念である。即ち、重合性不飽和結合を有する限り、その化学的構造は特に限定されず、単量体であってもよいし、オリゴマーであってもよい。
重合性不飽和基を有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;等を挙げることができる。
重合性不飽和基を有するオリゴマーとしては、紫外線硬化させた後、粘着剤としての使用を可能とするため、重量平均分子量が500〜50,000のオリゴマーが好ましく、1,000〜10,000のオリゴマーが特に好ましい。
具体的な構造について特に制限はないが、基本骨格となるポリエステルポリオール、ポリプロピレングリコール、脂肪族ポリエステル、エポキシ樹脂等の重合体に、(メタ)アクリル酸エステル類等の重合性不飽和結合を有する単量体が結合されたウレタンアクリレート等を挙げることができる。粘着剤の要求性能にもよるが、他の成分との相溶性や硬化後の粘着力の調整が容易であるという理由から、脂肪族ポリエステル骨格のウレタンアクリレートを用いることが好ましい。
ウレタンアクリレートとしては、例えば、ライトタックPSA805(商品名、共栄社化学社製、基本骨格:ポリエステルポリオール)、NKオリゴUA−340P(商品名、新中村化学工業社製、基本骨格:ポリプロピレングリコール)、EB270(商品名、ダイセル・サイテック社製、基本骨格:脂肪族ポリエステル)、CN−965(商品名、日本化薬社製、基本骨格:脂肪族ポリエステル)、リポキシVR−77(商品名、昭和高分子社製、基本骨格:エポキシ樹脂)等が市販されている。その他、ビスコート#300(商品名、大阪有機化学社製、基本骨格:ペンタエリスリトール)等が市販されている。但し、要求性能に合わせて、所望の構造のものを適宜合成して使用してもよい。
C成分は、前記化合物のうちの1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
C成分の含有量は、A成分の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、A成分、B成分及びC成分の総量を100質量部とした場合に、1〜49質量部とすることが必要である。含有量が1質量部未満であると、粘着強度の調節がし難くなる場合がある。一方、49質量部を超えると、粘着力が著しく低下する傾向がある。前記の効果をより確実に得るためには、C成分の含有量を1〜29質量部とすることが好ましく、1〜19質量部とすることが更に好ましい。
第2の実施形態では、第1の実施形態で用いた各成分を好適に用いることができる。A成分((メタ)アクリル系重合体)の含有量は、A成分、B成分(重合性不飽和基を有するカルボン酸類)及びC成分の総量を100質量部とした場合に、50〜98質量部とすることが必要である。含有量が50質量部未満であると、粘着力が低下する傾向があるため好ましくない。一方、98質量部を超えると、溶媒やB成分その他の成分との混和性が低下する傾向があるため好ましくない。
前記の効果をより確実に得るためには、A成分の含有量を70〜98質量部とすることが好ましく、80〜98質量部とすることが更に好ましい。
B成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量を100質量部とした場合に、1〜49質量部とすることが必要である。含有量が1質量部未満であると、粘着剤の耐久性や無養生性が低下する場合がある。一方、49質量部を超えると、過剰な粘着力が発現したり、再剥離時の糊残りが発生するおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、B成分の含有量を1〜29質量部とすることが好ましく、1〜19質量部とすることが更に好ましい。
D成分(光重合開始剤)の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量を100質量部とした場合に、0.5〜30質量部とすることが必要である。含有量が0.5質量部未満であると、粘着剤が硬化せず、又は硬化が不十分になる場合がある。一方、30質量部を超えると、色調が悪化(黄変)し易くなり、光学特性が不良となるおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、D成分の含有量を1〜25質量部とすることが好ましく、1〜15質量部とすることが更に好ましい。
E成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量を100質量部とした場合に、100〜900質量部とすることが必要である。含有量が100質量部未満であると、組成物の粘度が高くなり、塗工性が低下するおそれがある。一方、900質量部を超えると、塗工膜厚の調整が困難となるおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、E成分の含有量を150〜500質量部とすることが好ましく、230〜400質量部とすることが更に好ましい。
F成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量を100質量部とした場合に、0.1〜30質量部とすることが好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、紫外線遮断効果が不十分となるおそれがある。一方、30質量部を超えると、粘着剤が硬化せず、又は硬化が不十分になる場合がある。前記の効果をより確実に得るためには、F成分の含有量を0.5〜22.5質量部とすることが好ましく、1〜15質量部とすることが更に好ましい。
G成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部とすることが好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、ガラス等の被着体との接合用途において粘着性が不十分となる場合がある。一方、10質量部を超えると、再剥離時の糊残りが発生するおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、G成分の含有量を1.0〜5.0質量部とすることが好ましい。
第2の実施形態においても、前記各成分以外に、第1の実施形態の項で説明した他の添加剤を必要に応じて配合することができる。これらの添加剤の含有量は、本発明の組成物の目的を阻害しない範囲で、適宜決定すればよい。
[3]製造方法:
本発明の組成物は、A成分、B成分、D成分、E成分、必要に応じてC成分及びその他の添加剤を所定の比率で混合することにより得ることができる。
[4]使用方法:
本発明の組成物はそのままの状態で塗工に供することができる。例えば、アプリケーター等の従来公知の塗工装置により被着体の表面に塗工した後、乾燥により有機溶剤を除去し、次いで、D成分(光重合開始剤)の種類に応じた紫外線を照射することにより、粘着剤塗膜を形成すればよい。
本発明の組成物を適用できる被着体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリブタジエン、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ナイロン、セルロース、ニトロセルロース、トリアセチルセルロース等の熱可塑性樹脂;フェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂;ガラス、セラミックス、金属等の無機材料;等を挙げることができる。また、被着体は、用途に応じて、表面処理がなされているものを用いてもよい。
本発明の組成物は紫外線の照射により粘着力が発現する。紫外線の波長については特に制限はないが、波長が200〜400nmの紫外線を照射することが好ましい。光源の具体例としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ等を挙げることができる。
以下、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎない。従って、本発明がこれらの実施例に限定して解釈されるべきではない。
[A成分の合成]
まず、A成分の(メタ)アクリル系重合体を調製した。
(参考例1)
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた四口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を攪拌溶解し、エチルアクリレート55部、ブチルアクリレート17.5部、メチルメタクリレート15部、アクリロニトリル10部、ヒドロキシエチルアクリレート2.5部からなる単量体混合物と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を一括投入し、懸濁液を作製した。70度で4時間反応後、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、アクリル系重合体(A−1)(重量平均分子量33.5万、ガラス転移温度−8℃)を得た。次いで、メチルエチルケトン233部に溶解させ、アクリル系重合体(A−1)溶液(固形分30%、粘度1000mPa・s(25℃))を得た。その評価結果を表2に示す。
Figure 2009114382
(参考例2)
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、エチルアクリレート87部、アクリロニトリル3.5部、2ヒドロキシエチルアクリレート9.5部、及びメチルエチルケトン233部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.03部を加え、80度で3時間反応後、アクリル系重合体(A−2)溶液(重量平均分子量28.4万、ガラス転移温度−20℃、固形分30%、粘度1000mPa・s(25℃))を得た。
(参考例3)
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた四口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を攪拌溶解し、ブチルアクリレート77部、アクリロニトリル16部、ヒドロキシエチルアクリレート7部からなる単量体混合物と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を一括投入し、懸濁液を作製した。70度で4時間反応後、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、アクリル系重合体(A−3)(重量平均分子量47.3万、ガラス転移温度−36℃)を得た。次いで、メチルエチルケトン233部に溶解させ、アクリル系重合体(A−3)溶液(固形分30%、粘度5000mPa・s(25℃))を得た。
(参考例4)
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2エチルへキシルアクリレート70部、アクリロニトリル10部、2ヒドロキシエチルアクリレート10部、及びメチルエチルケトン233部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.03部を加え、80度で3時間反応後、アクリル系重合体(A−4)溶液(重量平均分子量77.1万、ガラス転移温度−55℃、固形分30%、粘度5000mPa・s(25℃))を得た。
(参考例5)
冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、参考例1の(メタ)アクリル系共重合体(A−1)100部(固形樹脂分)に対し、反応触媒(ジブチル錫ラウレート)0.1部を仕込み、撹拌しながら40℃に加熱した。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物(2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、商品名:カレンズAOI、昭和電工社製)0.02部及びアルコキシシラン系化合物(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、商品名:KBE−9007、信越化学社製)0.01部の混合液を、前記滴下ロートを通じて前記四つ口フラスコ内に滴下させた。この滴下は、前記四つ口フラスコ内部の温度を40℃に保持しながら、約1時間かけて行った。
滴下終了後も温度40℃で反応を継続し、反応液の滴定分析により、イソシアネート基の消失が確認できた時点で反応終了とし、変性(メタ)アクリル系重合体を得た(A−5成分)。反応時間は前記混合液の滴下開始から5時間であった。その評価結果を表2に示す。
(参考例6,7)
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物の種類を2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズMOI、昭和電工社製)に変更し、(メタ)アクリロイル基の修飾率及びトリエトキシシリル基の修飾率の条件を変更したことを除いては参考例5と同様にして変性(メタ)アクリル系重合体を得た(A−6,A−7成分)。その評価結果を表2に示す。
(参考例8)
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、エチルアクリレート65部、アクリロニトリル29部、2ヒドロキシエチルアクリレート6部、及びメチルエチルケトン400を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.03部を加え、80度で3時間反応後、アクリル系重合体(A−8)溶液(重量平均分子量42.5万、ガラス転移温度7℃、固形分20%、粘度6000mPa・s(25℃))を得た。
(参考例9)
市販のアクリル系共重合体(商品名:アルフォンUH2000、固形分100%、アクリル樹脂、重量平均分子量1.1万、ガラス転移温度−55℃、東亞合成社製)を重合体(A−9成分)とした。
(参考例10)
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2エチルへキシルアクリレート70部、アクリロニトリル10部、2ヒドロキシエチルアクリレート10部、及びメチルエチルケトン400部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.01部を加え、80度で5時間反応後、アクリル系重合体(A−10)溶液(重量平均分子量150万、ガラス転移温度−55℃、固形分20%、粘度8000mPa・s(25℃))を得た。
なお、A成分の品質については、以下の方法により評価した。
[重量平均分子量]
重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量をGPC法で測定した。
[ガラス転移温度]
重合体のガラス転移温度をJIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定した。
[メタクリロイル基含有量・トリエトキシシリル基含有量]
重合体のメタクリロイル基含有量及びトリエトキシシリル基含有量を酸塩基滴定法により定量した。具体的には、得られた重合体をジn−ブチルアミン(DBA)と混合し、(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物の未反応のイソシアネート基をDBAと反応させ、消費されたDBAの量を塩酸による逆滴定で定量した。
[粘着剤組成物の調製]
参考例1〜10で合成したA成分(A−1〜A−10成分)を用いて、紫外線硬化性粘着剤組成物を調製した。なお、各成分としては、以下のものを用いた。なお、C成分の詳細については、表3に示す。
<B成分>
B−1:アクリル酸(大阪有機工業化学社製)
B−2:アクリル酸ダイマー(商品名:サイポリマーβ−CEA−J、ローディア日華社製)
<C成分>
C−1:ポリエステルポリオール骨格ウレタンアクリレート(商品名:PSA805、共栄社化学社製)
C−2:脂肪族ポリエステル骨格ウレタンアクリレート(商品名:EB270、ダイセル・サイテック社製)
C−3:エポキシ樹脂骨格ウレタンアクリレート(商品名:リポキシVR−77、昭和高分子社製)
C−4:テトラヒドロフルフリルアクリレート(商品名:V#150、大阪有機化学工業社製)
C−5:4−ヒドロキシブチルアクリレート(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業社製)
Figure 2009114382
<D成分>
D−1:α−ヒドロキシアセトフェノン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
D−2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASF社製)
<E成分>
E−1:メチルエチルケトン(キシダ化学社製)
<F成分>
F−1:2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(商品名:シーソーブ107、シプロ化成社製)
<G成分>
G−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業社製)
<熱架橋剤>
ポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)
(実施例1)
参考例1の(メタ)アクリル系重合体(A−1成分)の重合液325質量部(A−1成分97.5質量部、E成分227.5質量部を含む。)、アクリル酸(B成分)2.5質量部、光重合開始剤(D成分)1質量部、更に、E成分172.5質量部を混合し、紫外線硬化性粘着剤組成物を調製した。その組成を表4に示す。
(実施例2〜19、比較例1〜6)
各成分の種類及び量を変更したことを除いては実施例1と同様にして紫外線硬化性粘着剤組成物を調製した。その組成を表4及び表5に示す。
(比較例7,8)
各成分の種類及び量を変更し、評価直前に熱架橋剤を表に記載の量だけ添加したことを除いては実施例1と同様にして紫外線硬化性粘着剤組成物を調製した。その組成を表5に示す。
Figure 2009114382
Figure 2009114382
得られた紫外線硬化型粘着剤については、以下の評価方法により評価した。その結果を表6及び表7に示す。
Figure 2009114382
Figure 2009114382
[塗工性(塗工筋)]
評価対象の組成物をそのまま塗工液とし、この塗工液をアプリケーターにより離型PETフィルム(剥離フィルム)の表面に塗布し、80℃で乾燥した後、400mW/cm・300mJ/cmの条件にて紫外線を照射し、塗膜を紫外線硬化させる。その後PETフィルム基材に貼り合わせることにより、PETフィルムの表面に厚さ15mmの粘着剤層を形成した。なお、上記紫外線の照射は、高圧水銀灯により行った。高圧水銀灯によれば、波長200〜400nmの紫外線が照射される。
塗工性の評価は、塗工液をアプリケーターにより離型PETフィルムの表面に塗布した際の塗工筋の発生の有無を確認した。具体的には、塗膜の厚さが15μmとなるようにアプリケーターのギャップ幅を調節し、約20m/分にて塗工を実施した。その際発生した塗工筋の本数を塗工幅15cmあたりの発生本数により評価した。塗工筋0本の場合「◎」(極めて良好)、1〜3本の場合「○」(良好)、4〜7本の場合「△」(やや不良)、8本以上の場合「×」(不良)として評価した。
[粘着性]
粘着剤層の厚さを25μmとしたことを除いては、前記塗工性の評価と同様にして、PETフィルムの表面に厚さ25μmの塗膜(粘着剤層)を形成した。
その後、無養生で(具体的には、塗膜形成2時間後に)、この粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体を形成した後、1時間経過した時点でのPETフィルムとアルカリガラスとの粘着力(初期粘着力)を、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の180°ピール試験にて測定した。また、この際のアルカリガラス表面の糊残りを目視により評価した。
初期粘着力が9N/25mm以上〜25N/25mm以下のものを「◎」(極めて良好)、25N/25mm以上〜30N/25mm以下のものを「○」(良好)、5N/25mm以上〜9N/25mm未満又は30N/25mm超のものを「△」(やや不良)、5N/25mm未満のものを「×」(不良)とした。糊残りについては、目視により糊残りが全く認められない場合を「○」(良好)、目視により僅かでも糊残りが認められた場合を「×」(不良)とした。その結果を表6及び表7に示す。
[耐熱性]
前記粘着性の評価と同様にして、粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体を高温(80℃)の各々の条件下で1000時間曝露し、その後のPETフィルムとアルカリガラスとの粘着力を、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の180°ピール試験にて測定した。また、この際のアルカリガラス表面の糊残りを目視により評価した。
前記粘着性の評価における常態で曝露した後の粘着力Tと、高温条件下で曝露した後の粘着力Tとから下記数式(2)により算出される粘着力比率Rが100〜125%の範囲内である場合を「◎」(極めて良好)、70〜200%の範囲内である場合を「○」(良好)、200%超である場合を「△」(やや不良)、70%未満の場合を「×」(不良)として評価した。また、糊残りについては、目視により糊残りが認められない場合を「○」(良好)、目視により糊残りが認められた場合を「×」(不良)として評価した。その結果を表6及び表7に示す。
=(T/T)×100 :(2)
(但し、T:常態での初期粘着力(N/25mm)、T:高温条件下で曝露した後の粘着力(N/25mm)、R:粘着力比率(%))
[耐湿熱性]
前記粘着性の評価と同様にして、粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体を高温・高湿(温度:60℃、湿度:90%)の各々の条件下で1000時間曝露し、その後のPETフィルムとアルカリガラスとの粘着力を、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の180°ピール試験にて測定した。
前記粘着性の評価における常態で曝露した後の粘着力Tと、高温・高湿条件下で曝露した後の粘着力Tとから下記数式(3)により算出される粘着力比率Rが100〜125%の範囲内である場合を「◎」(極めて良好)、70〜200%の範囲内である場合を「○」(良好)、200%超である場合を「△」(やや不良)、70%未満の場合を「×」(不良)として評価した。また、糊残りについては、目視により糊残りが認められない場合を「○」(良好)、目視により糊残りが認められた場合を「×」(不良)として評価した。その結果を表6及び表7に示す。
=(T/T)×100 :(3)
(但し、T:常態での初期粘着力(N/25mm)、T:高温・高湿条件下で曝露した後の粘着力(N/25mm)、T(N/25mm)、R:粘着力比率(%))
[色差]
前記粘着性の評価と同様にして、粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体の25℃における色差(b*)を色差計(商品名:スペクトロフォトメーターSQ−2000、日本電色工業株式会社製)により測定した(以下、「初期色差」と記す場合がある。)。初期色差(b*)が0.8以下のものを「◎」(極めて良好)、1.0以下のものを「○」(良好)、1.2以下のものを「△」(やや不良)1.2を超えるものを「×」(不良)として評価した。
また、耐熱性試験後の積層体及び耐湿熱性試験後の積層体についても同様の方法により色差を測定した(以下、「耐久色差」と記す場合がある。)。耐久色差(b*)については、初期色差との差が0.1以下のものを「◎」(極めて良好)、0.2以下のものを「○」(良好)、0.2を超えるものを「×」(不良)として評価した。その結果を表6及び表7に示す。
[ヘイズ]
前記粘着性の評価と同様にして、粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体の25℃におけるヘイズを濁度計(商品名:ヘイズメーターHM−150、村上色彩技術研究所製)により測定した(以下、「初期ヘイズ」と記す場合がある。)。初期ヘイズについては、1.0以下のものを「◎」(極めて良好)、1.5以下のものを「○」(良好)、2.0以下のものを「△」(やや不良)、2.0を超えるものを「×」(不良)として評価した。
また、耐熱性試験後の積層体及び耐湿熱性試験後の積層体についても同様の方法によりヘイズを測定した(以下、「耐久ヘイズ」と記す場合がある。)。耐久ヘイズについては、初期ヘイズとの差が0.1以下のものを「◎」(極めて良好)、0.2以下のものを「○」(良好)、0.2を超えるものを「×」(不良)として評価した。その結果を表6及び表7に示す。
[紫外線遮断性]
実施例16で得られた樹脂組成物については、以下の方法により紫外線遮断性を以下の方法により評価した。まず、前記粘着性の評価と同様にして、粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。その後、紫外可視分光光度計(商品名:U−ベストV−570、日本分光社製)を用いて、波長300〜800nmにおける分光スペクトルを測定し、この積層体の紫外線透過率(表6中、「UV遮断性」と記す。)を測定した。波長380nm以下の紫外線透過率がいずれも5%以下である場合を「○」(良好)、5%を超える場合を「×」(不良)として評価した。
(評価)
実施例1〜19の粘着剤組成物は、塗工性、無養生時における粘着物性及び光学特性の全てにおいて、良好な結果を示した。実施例17及び18の粘着剤組成物は、塗工性、無養生時における粘着物性及び光学特性に加えて、紫外線遮蔽性も良好な結果を示した。
これらの粘着剤組成物の中でも、A成分の重量平均分子量が200,000〜400,000、A成分の含有量が80〜97.25質量部、B成分の量が2.75〜20質量部、E成分の量が230〜400質量部の範囲を満たす実施例2,3,4,6,7の粘着剤組成物が粘着物性及び光学特性、無養生性に極めて良好な結果を示した。
また、C成分を含む粘着剤組成物の中では、C成分として、分子量が1,000〜10,000の範囲にあるC−2成分を用いた実施例11が粘着物性及び光学特性、無養生性に極めて良好な結果を示した。
更に、A成分として変性(メタ)アクリル系重合体を用いた実施例14〜16の粘着剤組成物、及びG成分を添加した実施例19の粘着剤組成物は、B成分の量が2.75質量部未満と少ないものの、耐熱・耐湿熱条件下において粘着特性が低下することがなく、粘着物性及び光学特性、無養生性に極めて良好な結果を示した。
比較例1は、E成分を含有していないため、塗工性に劣る結果であった。比較例2〜6は、A成分又はB成分の含有量、A成分のガラス転移温度、A成分の重量平均分子量の少なくとも一つが本発明の範囲から外れるために、粘着物性が劣る結果を示した。
比較例7は、熱架橋剤を用い、無養生としたので、粘着物性が劣る結果を示した。比較例8は、熱架橋剤を用いて、良好な粘着物性が得られたが、40℃4日間の養生が必要であった。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、1液型で熱硬化剤の使用前添加や高温・長期間の養生を必要とせず、粘着特性にも優れ、かつ、塗工性や光学特性にも優れる。従って、電子材料、光学材料等の用途、特にディスプレイ等の用光学材料途において好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含み、
    前記A成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃、重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000の範囲内のものであり、
    前記A成分及び前記B成分の総量を100質量部とした場合に、前記A成分を50〜99質量部、前記B成分を1〜50質量部、前記D成分を0.5〜30質量部、前記E成分を100〜900質量部を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物。
  2. (メタ)アクリル系重合体(A成分)、重合性不飽和基を有するカルボン酸及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1種(B成分)、B成分以外の重合性不飽和基を有する化合物(C成分)、光重合開始剤(D成分)及び溶剤(E成分)を構成成分として含み、
    前記A成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃、重量平均分子量(Mw)が100,000〜1,000,000の範囲内のものであり、
    前記A成分、前記B成分及び前記C成分の総量を100質量部とした場合に、前記A成分を50〜98質量部、前記B成分を1〜49質量部、前記C成分を1〜49質量部、前記D成分を0.5〜30質量部、前記E成分を100〜900質量部を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物。
  3. 前記A成分が、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル骨格を含むアルコキシシリル系官能基を有する変性(メタ)アクリル系重合体である請求項1又は2に記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
  4. 紫外線吸収剤(F成分)として、350〜400nmの波長領域にλmaxを有するベンゾフェノン系化合物を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
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