図1乃至図5は本発明の第1実施例におけるアイロンを示すものである。
ここで、図1及び図2は、本アイロンの外観を示す図であり、図2におけるB−B断面図を示したものが図3であり、図2におけるA−A断面図を示したものが図4である。
1は本体たるアイロン本体であって、このアイロン本体1は加熱手段としてのヒータ2を埋設したベース3を下部に備えている。ベース3の内部には、ヒータ2の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室4が形成され、この気化室4とベース3の底面に形成された掛け面5とを連通する噴出孔6を備えている。そして、気化室4の上面に気化室4の蓋たる蓋板7が取り付けられる。
ベース3の上部には、ベース3からアイロン本体への熱を遮断する遮熱板8が取り付けられ、この遮熱板8の上部にベース3の上部を覆って設けられたカバー9を備えている。また、10はカバー9の上部に固定された把手である。
把手10の上側は把手カバー11によって覆われ、把手10にはアイロン本体1を把持する際に手を差し入れるための空洞12が形成される。また、把手10の上部と把手カバー11とで、アイロン本体1を把持するための把持部13が形成されている。そして、把持部13は空洞12から後方へ開口した形状となっており、把持部13の後方から空洞12へ手を差し入れることができるようになっている。
把手10の前方には、水タンクに相当する容器たるカセットタンク14がアイロン本体1に対し着脱自在に設けられている。カセットタンク14は例えば合成樹脂から形成され、上面から見た形状が略U字状で、その両側が把手10の前端部側から前後方向における略中央部の両側にかけて跨るように構成されている。
カセットタンク14の前方上部には、注水口カバー15が設けられ、この注水口カバー15は注水口16を備えている。そして、この注水口16からカセットタンク14内へ水を収容し、かつ、カセットタンク14内の不要な水を廃棄できるようになっている。
カセットタンク14のロック機構として、把手10の一側面にやや突出してタンクロック釦17が設けられており、このタンクロック釦17の操作に連動して上下動する昇降体18の上部に突出したロック部19が、凹部20に係止する構成になっている。なお、本実施例では、着脱式のカセットタンク14を例にとって説明しているが、上記ロック機構を備えていない固定式の水タンクであってもよい。
ここで、図3乃至図5を参照しながらカセットタンク14の内部構成について詳述する。図5は、カセットタンク14単体を側面方向から見た断面図である。
カセットタンク14内には、一時的に多量の水を気化室4へ送り込む供給装置としてのポンプ装置21が設けられている。このポンプ装置21は、円筒状のシリンダー22と、このシリンダー22内を水密状態で鉛直方向に摺動自在に設けられたピストン23と、このピストン23を上下に往復動作させる操作手段たる増量スチーム釦24とを備えている。増量スチーム釦ばね25は、ピストン23を上方に付勢することにより、増量スチーム釦24がカセットタンク14から突出するように弾性復帰させるものである。
シリンダー22の底部には、カセットタンク14からの水をシリンダー22内に導くための入水口26とシリンダー22内部とを連通する開閉弁27を備えている。ここで、入水口26は、カセットタンク14内に貯められた水内へと延びるパイプ(図示せず)に接続され、入水口26は当該水をシリンダー22内に吸い込むために設けられている。
この開閉弁27は、開閉弁27と入水口26とを連通して形成された第1の閉止部28と、開閉弁27とシリンダー22内部とを連通して形成された第2の閉止部29とを備えており、この開閉弁27には、第1の閉止部28と第2の閉止部29をともに閉塞可能な弁体である金属を球状に加工してなる入水鋼球30と、この入水鋼球30が開閉弁27内部において上下に往復動可能な程度の大きさの内部空間を有する入水凹部31とを備えている。ここで、第2の閉止部29は、開閉弁27の内面をポンプ装置21に向かいすり鉢状に縮径して形成されたテーパ孔である。すなわち、開閉弁27において入水鋼球30が入水凹部31を上下動することにより、第1の閉止部28又は第2の閉止部29を閉塞させ、入水口26を開閉可能に構成している。一方、シリンダー22の底部には、開閉弁27とは別に、シリンダー22内部の水を気化室4へ導くための管状の出水口32とシリンダー22内部とを連通する逆止弁33を備えている。この逆止弁33には、シリンダー22内部と出水口32とを連通して形成された第3の閉止部34を備えており、この逆止弁33には、第3の閉止部34を閉塞可能な弁体である金属を球状に加工してなる出水鋼球35と、この出水鋼球35が逆止弁33内部において上下動可能な程度の大きさの内部空間を有する出水凹部36とを備えている。この出水凹部36の内部には、出水鋼球35がスプリング37により第3の閉止部34へ常時付勢された状態で設けられている。すなわち、逆止弁33において出水鋼球35が出水凹部36を上下動することにより、出水口32を開閉可能に構成している。
そして、後述するように、開閉弁27及び逆止弁33を共に閉塞してポンプ装置21への水の供給を遮断した状態で、増量スチーム釦ばね25の弾性反発力が作用して、ピストン23および増量スチーム釦24が押し上げられるように移動すると、シリンダー22内に負圧が生じるように構成されており、変圧手段たる減圧手段101は、ピストン23及び増量スチーム釦24を押し上げる増量スチーム釦ばね25と、ピストン23及び増量スチーム釦24を押し上げる途中で、シリンダー2内への水の供給を遮断する入水鋼球30が当接可能な第2の閉止部29とにより構成される。
さらに、増量スチーム釦24を下方へ押すことによってポンプ装置21によりカセットタンク14内の水が一時的に多量に気化室4へ供給され、気化室4と連通する噴出口6からスチームを一時的に多量に噴出可能に構成されている。このように、シリンダー22内に水を供給させるようなポンプ装置21の給液動作時には、増量スチーム釦ばね25の弾性反発力により増量スチーム釦24及びピストン23が動き、また、気化室4へカセットタンク14内の水を送り込む、ポンプ装置21の送液動作時には、使用者の操作により増量スチーム釦24及びピストン23が動くことから、操作手段102を増量スチーム釦24とする。
カセットタンク14の内部には開閉装置としての弁装置38が設けられている。弁装置38は、カセットタンク14の下面部にあって、支持体39により直立状態にかつ上下に摺動自在に支持された開閉切換手段たる開閉部としての開閉桿40と、支持体39の凹底面上に設けられた環状のパッキン41と、このパッキン41を常時、支持体39の凹底面側に付勢して、水密状態を保持する付勢部材としてのスプリング42と、この開閉桿40の下方に設けられた滴下部としてのノズル部43とを備え、開閉桿40の上下動によりこのノズル部43の中心に穿設された小孔を開閉し、気化室4への水の供給を制御する。開閉桿40は、細長い棒状部材からなり、その下端がカセットタンク14の底面に形成された弁孔たる流出口44の中心部に臨んで設けられる一方、その上部はカセットタンク14の上方から突出するロック釦45にロック釦ばね46を介して連結されている。ここで、開閉桿40の周方向にリング状に突出して形成された環状部47には、その下端にスプリング42の一端が、一方、その上端にロック釦ばね46の一端がそれぞれ取り付けられている。その結果、スプリング42の他端に取り付けられたパッキン41は、支持体39の凹部底面に押圧された状態で当接して設けられ、一方、開閉桿40は環状部47の上部又は下部へとそれぞれ取り付けられた、ロック釦ばね46又はスプリング42からの弾性反発力を受けて、ノズル部43又はロック釦45へと付勢可能に設けられている。また、ロック釦45の上にはスチーム釦48が被せられており、このスチーム釦48を押動操作することにより、ロック釦45ひいては開閉桿40が上下動する。さらにロック釦45とロック釦ばね46により、スチーム釦48を押動する度にノズル部43の開閉状態が交互に切り換わるように、スチーム釦48を押動する度に開閉桿40が上昇位置又は下降位置の上下2箇所の位置に交互に固定されるように構成している。
すなわち、ロック釦45は、スチーム釦48と連動してスチーム釦48の押動力を開閉桿40に伝達すると共に、スチーム釦48をその動作下端にまで押し下げると、ロック釦45が回転しながら押し下げられることによりカセットタンク14内に形成した係合部(図示せず)に係合してロック状態となり、スチーム釦48ひいては開閉桿40をその位置に保持するように構成している。このとき、開閉桿40は、スプリング42の付勢力に抗して下方に移動し、ノズル部43を閉塞して、カセットタンク14から気化室4への水の供給を遮断する。一方、ロック釦45がロックした状態から、スチーム釦48をさらに下方へ押込むと、ロック釦45とカセットタンク14内の係合部との係合状態は解除され、ロック釦ばね46の弾性反発力により、ロック釦45及びスチーム釦48が押し上げられ、元の位置に復帰する。このとき、開閉桿40は、スプリング42の弾性反発力が作用して上方に移動し、ノズル部43を開放して、カセットタンク14から気化室4への水の供給を可能にする。このように、スチーム釦48の押動操作によって、ノズル部43の開閉すなわちドライとスチームの切換えを行なうように構成している。
ノズル部43の下方には第1開口部49を設けるとともに、ポンプ装置21の下方に第2開口部50を設け、第1開口部49と第2開口部50は、カセットタンク14の底部に設けた合流部51に連通しており、ノズル部43とポンプ装置21とからそれぞれ流出する水をここで合流するようにしている。この合流部51の下部には、気化室4に連通する導水路54たる通水継手52が設けられている。合流部51に対向してカバー9側に設けられたパッキン53は、カセットタンク14をベース3に装着したときに合流部51に密着して、水密性を確保するものである。ここで前記遮熱板8は、通水継手52とベース3との間に介在して設けたものである。
また、図3に示すように、54は、通水継手52内部に形成された導水路であり、合流部51と気化室4の上方に位置する水出口55とを連通して、カセットタンク14内の水を気化室4に導く。
56は、合流部51と水出口55とを連通する導水路54の途中に配置された弁体57により、気化室4の温度がスチーム発生に適した温度に上昇するまでは導水路54を閉塞して水の供給を遮断するよう構成された熱応動開閉装置である。弁体57の下端は、スプリング58により常時下方に付勢され、ベース3の凹部59に向けて下方に突出している。このベース3の凹部59には、例えば反転式のバイメタルなどからなる熱応動装置60が収容されるとともに、熱応動装置60の上面に対向して、弁体57の下端が位置している。そして、ヒータ2により加熱されるベース3の温度が所定の温度に達すると、熱応動装置60が凹部59の内部で反転し、スプリング58の付勢力に抗して弁体57を押し上げることにより、導水路54を開くように構成してある。
把手10の上部における把持部13の付根部近傍には、操作パネル61が設けられるとともに、ベース3の設定温度を変えるための調節手段に相当する温度つまみ62が配設されている。また、操作パネル61の上面には、図示しないが、例えば設定温度を示す「高」、「中」、「低」や、切状態を示す「切」の文字などが表示されている。温度つまみ62は把手10の上面に突出しており、略円筒形状の把持部13の軸心と略平行な回転軸を中心に回動自在に設けられている。そして、この温度つまみ62を回転させて操作パネル61に表示された目盛り(図示せず)に合わせ、温度設定を行なうことができるように構成されている。また、温度つまみ62は、把手10上面において操作釦24,48よりも後方に設けられ、温度調節がしやすいように構成されている。
把持部13の内部には、複数の段差を有するカム部63が温度つまみ62と一体に形成されている。そして、カム部63の下面に操作体64の上端が当接し、この操作体64は上下動可能に設けられている。また、操作体64は、カム部63に当接する合成樹脂製の操作棒65と、この操作棒65の下部の金属製の調節軸66とによって構成される。
67は、アイロン本体1の後方下部に設けられたサーモスタットである。このサーモスタット67は、ベース3の温度を感知して形状が変化する感熱応動体としてのバイメタル68を備え、バイメタル68が感知するベース3の温度に応じて、接点69の開閉を切り替えるようになっている。バイメタル68は周知のように、温度の変化により一定方向に湾曲する性質を有するもので、その基端部が固着具によりベース3の掛面の平坦面に密着するとともに、その先端部はベース3の掛面の温度上昇に伴い上方に撓むように配置されている。一方、使用者による温度つまみ62の操作によりカム部63が温度つまみ62と一体に回転し、カム部63の回転に連動して操作体64が上下動するようになっている。そして、この操作体64の上下動に応じて接点69が開閉し、この開閉動作によりヒータ2の通電が制御され、この制御によりベース3の温度が前記温度つまみ62で選択された設定温度に保たれるようになっている。なお、ベース3の温度制御にはサーモスタット67のほかに、マイクロコンピュータなどで構成される温度制御装置を用いてもよく、種々の変形実施が可能である。
上記構成において動作を説明すると、作業者がアイロンの電源を入れ、温度つまみ62を回転させて任意の温度に設定すると、ヒータ2が通電することにより発熱しベース3の温度が上昇する。そしてベース3の温度がある温度以上になると熱応動開関装置56が働き、導水路54内が開放される。スチーム釦48が上昇位置にロックされていると、カセットタンク14内の水がノズル部43,第1開口部49,合流部51を通って導水路54内に入り、水出口55から気化室4に水滴が落ちてスチームが発生する。スチームが発生してベース3の温度が所定の温度以下に低下すると、熱応動開関装置56が働き、導水路54内が閉鎖され、導水路54内の水の流れがなくなるためスチームが止まる。また、ベース3の温度とは無関係に、スチーム釦48を押し下げて開閉桿40を下げることによって、ノズル部43の小孔が閉じてスチームが止まる。
次に、増量スチーム釦24を押し下げると、これにピストン23が連動して押し下げられ、シリンダー22内に圧がかかる。このとき、シリンダー22では、開閉弁27の入水鋼球30が押し下げられ第1の閉止部28を閉塞して、開閉弁27が閉塞される。これにより、入水口26がシールされ、代わりに逆止弁33の出水鋼球35がスプリング37の付勢力に抗して下方へ押し下げられて、逆止弁33が開放されることにより、出水口32が開放される。
そして、熱応動開閉装置56が開いている場合には、シリンダー22内の水が出水口32から第2開口部50、合流部51を通って導水路54内に入り、気化室4に強制的に吐き出される。これにより、増量スチーム釦24の押動操作時には、常に、気化室4に勢い良く多量の水が流れ込むこととなり、勢いの強いスチームを噴出させることができる。
一方、増量スチーム釦24から指を離すと、増量スチーム釦ばね25の弾性反発力が作用して、ピストン23および増量スチーム釦24が押し上げられ、シリンダー22内に負圧が生じる。
このとき、逆止弁33では、前記シリンダー22内に生じた負圧と、スプリング37の付勢力も相まって、逆止弁33の出水鋼球35が吸い上げられて第3の閉止部34を閉塞して、出水口32はシールされ、一方、開閉弁27では、第1の閉止部28を閉塞している入水鋼球30が、上方へ吸い上げられ、この第1の閉止部28の閉塞が解除されて、開閉弁27が開放される。開閉弁27が開放されたことで、シリンダー22内に生じた負圧により、カセットタンク14内の水が、入水口26、そして開閉弁27を経由して、シリンダー22内に吸い上げられ、シリンダー22内に供給される。その後、上方へ吸い上げられた入水鋼球30は、シリンダー22内に生じた負圧によって入水口26からシリンダー22内に吸い上げられる水の流れによって、さらに上方へ移動していき、やがて第2の閉止部29を閉塞することで開閉弁27が閉塞され、シリンダー22内への水の供給が停止する。
そして、シリンダー22内に負圧が存在している限り、つまり、増量スチーム釦24に連結したピストン23が開閉弁27及び逆止弁33が閉塞されたシリンダー22内を上昇し続ける限り、入水鋼球30が第2の閉止部29を介してシリンダー22方向に吸引され続けることで、第2の閉止部29を閉塞し続けるので、開閉弁27は閉塞状態を保持し続けるとともに、出水鋼球35も第3の閉止部34を介してシリンダー22方向に吸引され続けることで、第3の閉止部34を閉塞し続けるので、逆止弁33の閉塞状態を保持し続け、つまり、シリンダー22内部を気密・水密状態に保持し続ける。
開閉弁27及び逆止弁33が閉塞された状態から、さらにピストン23が、増量スチーム釦ばね25の弾性反発力の作用によって、所定の位置たる、増量スチーム釦24が押し下げられる以前の位置まで戻ろうとして、シリンダー22内を上昇することで、開閉弁27及び逆止弁33を共に閉塞し、気密・水密状態に保持されたシリンダー22内の水が収容された空間の体積を増加させて、この空間をさらに減圧することができる。ここで、シリンダー22内部が減圧されると、シリンダー22内部に収容された水の沸点も低下し、シリンダー22内部の水は大気圧下での沸点より低い温度で沸騰可能となる。つまり、シリンダー22内の水を沸騰させるという点で、シリンダー22内の水を加熱した場合と同等の効果を奏することができる。
そして、減圧手段101により沸騰したシリンダー22内の水を気化室4に送り込むと、このシリンダー22内の水は水温が上がっているため、気化室4の温度がカセットタンク14からの水により下がることを防ぐ。この場合、気化室4の温度が低下することを防ぐことで、気化室4の温度が低下するごとに熱応動開閉装置56が働いて導水路54が閉鎖されることを回避して、カセットタンク14からの水を導水路54に案内可能とすることにより、この導水路54から気化室4へと供給される水を用いて行われる増量スチームの使用回数を増やすことができる。
以上のように本実施例では、加熱手段たるヒータ2によって加熱されるベース3と、前記ベース3に形成される気化室4と、液体たる水を貯えるタンクであるカセットタンク14と、水を前記気化室4に供給する装置たるポンプ装置21とを具備したアイロンにおいて、前記ポンプ装置21内を変圧させて減圧する変圧手段たる減圧手段101を備えている。
このようにすると、減圧手段101によりポンプ装置21内で温度上昇した水が、気化室4に送り込まれるので、気化室4を有するベース3の重量を増すことなく、気化室4の温度低下を遅延することができ、簡単な構成でスチーム使用の使い勝手を向上したアイロンを提供することができる。
また本実施例では、所定部としてポンプ装置21内に水を移動させて出し入れする操作手段102を備え、減圧手段101は、ポンプ装置21に一定量の水が供給された後、ポンプ装置21への水の供給を遮断した状態で操作手段102を押し上げるように移動させるものである。
このようにすると、簡単な構造で、ポンプ装置21内の水の温度を上げることができる。
次に、図6及び図7を参照しながら本発明の第2実施例を説明する。
ここで、上記第1実施例と重複する箇所については、説明を省略する。掛け面部材たるベース3は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のいずれかの良熱伝導性材料で形成され、このベース3の底面に形成された掛け面5には、ブラスト加工、ヘアライン加工、シボ加工等による表面加工たる粗面加工が均一に施された粗面加工部70を有している。
そして、この掛け面5には、複合めっき被膜によって粗面加工部70が被覆されためっき形成部71と、マスキング処理によって前記複合めっき被膜の付着を防いで粗面加工部70をそのまま外部に露出させたマスキング部たる非めっき形成部72を有している。ここで図7に示すように、この掛け面5には、めっき形成部71と非めっき形成部72による凹凸が形成されている。
ここで、めっき形成部71に被覆される複合めっき被膜とは、金属、プラスチック、セラミックス等の2種類以上の材料を組み合せてなるものであり、本実施例の複合めっき被膜はNi、P、Bを組み合せたものである。
また、掛け面5において、めっき形成部71は、文字、図形、記号、若しくはこれらの組み合せからなる模様状に形成されたものである。
次に前記構成についてその作用を説明する。本実施例のアイロンの掛け面5の製造方法において、まずアイロンの掛け面5に、ブラスト加工、ヘアライン加工、シボ加工等による粗面加工を均一に施して粗面加工部70を形成する。次に、掛け面5にマスキング処理を施して、非めっき形成部72へのめっきの付着を防ぎ、めっき形成部71の掛け面5に複合めっき被膜を成形する。ここで、マスキングによりめっき形成部71は、予め文字、図形、記号、若しくはこれらの組み合わせからなる模様状に成形される。
このように製造されたアイロンの掛け面5には、めっき形成部71と非めっき形成部72による凹凸が形成されたことにより、衣類等の対象物にこの掛け面5を当接させた場合の摩擦面積を減少させ、すなわち、掛け面5を前記対象物に当接させたままの状態で滑らせた場合の摩擦力を減少させ、掛け面5の滑り性の向上を図ることができる。
ここで、めっき形成部71に施される複合めっき被膜には、Ni、P、Bからなる複合めっきが用いられており、摺動性に優れた材料であるNiと、密着性に優れた材料であるPと、硬さに優れた材料であるBとを組み合せることにより、各材料の特性を生かし、各材料単独では不可能な機能、性能を併せ持っためっき被膜を構成して、アイロンの掛け面5のコーティングを行っている。
本実施例上の効果として、表面加工たる粗面加工が施された掛け面部材たるベース3の掛け面5と、前記掛け面5に模様状にマスキング処理をして複合めっき被膜を形成されためっき形成部71とを備えている。
このようにすると、従来のアイロンはかけ面部材に複合メッキ被膜を形成することにより、耐磨耗性、及び耐傷性を確保してきたが、外観においては他のアイロンとの差別化が図れず、また滑り性においても向上の余地があるという問題点を有していたが、本実施例のアイロンでは従来からあるアイロンとの外観上の差別化を図り、デザイン性に優れたアイロンを提供することができ、また、めっき形成部71とマスキング部たる非めっき形成部72により掛け面5に凹凸が形成されることにより、衣類等の対象物にこの掛け面5を当接させた場合の摩擦面積を減少させ、すなわち、掛け面5を前記対象物に当接させたままの状態で滑らせた場合の摩擦力を減少させ、掛け面5の滑り性の向上を図ることができる。
また、掛け面5は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のいずれかの材料で形成されたことにより、熱伝熱性に優れた掛け面5を備え、しかも安価なアイロンを提供することができる。
尚、掛け面5に、表面処理として粗面加工が施されたことにより、非メッキ形成部72においても表面に微小な凹凸を有しているので、衣類等の対象物にこの非メッキ形成部72を当接させた場合の摩擦面積を減少させ、すなわち、非メッキ形成部72を前記対象物に当接させたままの状態で滑らせた場合の摩擦力を減少させ、掛け面5の滑り性の向上を図ることができる。
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、減圧手段101によりポンプ装置21内の減圧を行う際に、ポンプ装置21内へのタンク14の水の供給を遮断する構成に関して、上記第1実施例にあるような第2の閉止部29に入水鋼球30を当接させることによって水の供給を遮断する構成以外に、この入水鋼球30のような球状体からなる弁体以外にも、板状体や、円錐、三角錐、三角錐以外の多角錘等の錐体や、これらを組み合せてなる弁体としてもよく、また、第2の閉止部29の形状についても第1実施例に示す以外に構成してもよいものとする。さらに、第2の閉止部29をスライド可能又は揺動可能等の各種動作可能な様々な弁体によって閉塞するものであってもよいものとし、さらに、第2の閉止部29を作業者からの操作や図示しない制御手段からの操作等によって開閉可能なものとしてもよい。また、複合めっき被膜を構成する材料についても、上記第2実施例に挙げたもの以外の組み合せであっても構わないものとする。また、めっき形成部71の模様についても、図6に挙げた以外にも適宜変更可能なものとする。