JP2009103680A - 液体クロマトグラフィーを用いたグルコシノレート類の分析及び精製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アブラナ科植物に含まれるGSL類は、基本構造中に硫酸基を有する。硫酸基を持つ化合物は一般的に高速液体クロマトグラフィー挙動が著しく悪いことが多いため、GSL類はミロシナーゼを作用させて変換されたイソチオシアネート類をガスクロマトグラフィー分析するか、またはスルファターゼで脱硫酸させたdesulfo体を液体クロマトグラフィー分析していた。しかし、アブラナ科植物に含まれるGSL類を十分に精製および分析することはできなかった。GSL類をC30逆相クロマトグラフィー用カラムを用いて精製する方法、さらにLC-MS分析により分析する方法を提供する。
【解決手段】C30逆相クロマトグラフィー用カラムを用い、移動相としてギ酸、ギ酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムを用いる液体クロマトグラフィーによる、グルコシノレート類の精製方法並びにグルコシレート類のLC-MS分析方法。
【選択図】図3
【解決手段】C30逆相クロマトグラフィー用カラムを用い、移動相としてギ酸、ギ酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムを用いる液体クロマトグラフィーによる、グルコシノレート類の精製方法並びにグルコシレート類のLC-MS分析方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、アブラナ科植物およびその一部近縁植物に含まれるグルコシノレート(GSL)類を、C30逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより精製する方法に関するものである。本発明は、さらにアブラナ科植物に含まれるグルコシノレート(GSL)類を、C30カラム逆相クロマトグラフィー用を用いたLC-MSにより分析する方法に関するものである。
アブラナ科植物に含まれるGSL類は、基本構造中に硫酸基を有するが、硫酸基を持つ化合物は一般的に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)挙動が著しく悪いことが多い。そのため、従来的に、GSL類は、ミロシナーゼを作用させて変換されたイソチオシアネート(ITC)類をガスクロマトグラフィー分析するか(非特許文献1、非特許文献2を参照)、またはスルファターゼで脱硫酸させたdesulfo体を液体クロマトグラフィー分析していた(非特許文献3、非特許文献4を参照)。
Chiangら、J. Agric. Food Chem 46: 1018-1021, 1998
Lambrixら、Plant Cell 13: 2793-2807, 2001
Brownら、Phytochemistry 62: 471-481, 2003
Barillariら、J. Nat. Prod. 68: 234-236, 2005
従来法では、アブラナ科植物に含まれるGSL類を十分に精製および分析することはできず、従って、GSL類を効率的に精製および分析できる新たな方法が望まれていた。そこで、本発明では、GSL類をC30逆相クロマトグラフィー用カラムを用いて精製する方法、さらにLC-MS分析により分析する方法を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、GSL類の精製における液体クロマトグラフィーにおいて、カラムとしてC30逆相クロマトグラフィー用カラムを使用し、また移動相として、ギ酸、ギ酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムを使用することによって、アブラナ科植物体由来の試料中に含まれるGSL類を有効に精製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] アブラナ科植物由来の試料中に含まれるグルコシノレート(GSL)類を液体クロマトグラフィーにより精製する方法であって、該液体クロマトグラフィーがC30逆相クロマトグラフィー用カラムを用いることを特徴とする、上記方法。
[2] 液体クロマトグラフィーの移動相にギ酸を用いる、[1]の方法。
[3] 液体クロマトグラフィーの移動相にギ酸アンモニウムを用いる、[1]の方法。
[4] C30逆相クロマトグラフィー用カラムがDevelosil RPAQUEOUS-AR-5である、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 液体クロマトグラフィーの移動相に炭酸水素アンモニウムを用いる、[1]の方法。
[1] アブラナ科植物由来の試料中に含まれるグルコシノレート(GSL)類を液体クロマトグラフィーにより精製する方法であって、該液体クロマトグラフィーがC30逆相クロマトグラフィー用カラムを用いることを特徴とする、上記方法。
[2] 液体クロマトグラフィーの移動相にギ酸を用いる、[1]の方法。
[3] 液体クロマトグラフィーの移動相にギ酸アンモニウムを用いる、[1]の方法。
[4] C30逆相クロマトグラフィー用カラムがDevelosil RPAQUEOUS-AR-5である、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 液体クロマトグラフィーの移動相に炭酸水素アンモニウムを用いる、[1]の方法。
[6] C30逆相クロマトグラフィー用カラムが、Develosil RPAQUEOUSである、[5]の方法。
[7] GSL類が、グルコイベリン(GI)、プロゴイントリン(PG)、シニグリン(SG)、グルコラファニン(GR)、グルコエルシン(GE)、グルコブラシキン(GB)、4−メトキシグルコブラシキン(4mGB)および1−メトキシグルコブラシキン(1mGB)からなる群より選択される、[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 液体クロマトグラフィーが、C30逆相クロマトグラフィー用カラムに代えてエチレン架橋カラムを用いることを特徴とする、[1]の方法。
[9] エチレン架橋カラムが、Waters XBridge Shield RP18-5カラムである、[8]の方法。
[10] 移動相として炭酸水素アンモニウムを使用する、[8]または[9]の方法。
[7] GSL類が、グルコイベリン(GI)、プロゴイントリン(PG)、シニグリン(SG)、グルコラファニン(GR)、グルコエルシン(GE)、グルコブラシキン(GB)、4−メトキシグルコブラシキン(4mGB)および1−メトキシグルコブラシキン(1mGB)からなる群より選択される、[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 液体クロマトグラフィーが、C30逆相クロマトグラフィー用カラムに代えてエチレン架橋カラムを用いることを特徴とする、[1]の方法。
[9] エチレン架橋カラムが、Waters XBridge Shield RP18-5カラムである、[8]の方法。
[10] 移動相として炭酸水素アンモニウムを使用する、[8]または[9]の方法。
[11] GSL類が、GB、4mGBおよび1mGBからなる群より選択される、[8]〜[10]のいずれかの方法。
[12] 液体クロマトグラフィーによる精製の前に、試料を固相抽出によって処理する、[1]〜[11]のいずれかの方法。
[13] 固相抽出がアミノプロピルまたはOasis(登録商標) WAX固相抽出である、[12]の方法。
[14] アミノプロピル固相抽出時の溶出アンモニウム濃度が、1〜10、さらに好ましくは5%である、[13]の方法。
[15] [1]〜[14]のいずれかに記載の液体クロマトグラフィーによりGSL類を精製した後に質量分析により分析する、GSL類のLC−MS分析方法。
[12] 液体クロマトグラフィーによる精製の前に、試料を固相抽出によって処理する、[1]〜[11]のいずれかの方法。
[13] 固相抽出がアミノプロピルまたはOasis(登録商標) WAX固相抽出である、[12]の方法。
[14] アミノプロピル固相抽出時の溶出アンモニウム濃度が、1〜10、さらに好ましくは5%である、[13]の方法。
[15] [1]〜[14]のいずれかに記載の液体クロマトグラフィーによりGSL類を精製した後に質量分析により分析する、GSL類のLC−MS分析方法。
[16] 質量分析におけるCone電圧が40Vである、[15]の方法。
[17] さらに、同じ条件下で分析標品を分析して作成された検量線を用いて試料中のGSL類を定量することを含む、[15]または[16]の方法。
[18] さらに、質量分析の各ピークを分取して、キャピラリー電気泳動−飛行時間型質量分析法(CE-TOFMS)またはNMRに供すことを含む、[15]または[16]の方法。
[17] さらに、同じ条件下で分析標品を分析して作成された検量線を用いて試料中のGSL類を定量することを含む、[15]または[16]の方法。
[18] さらに、質量分析の各ピークを分取して、キャピラリー電気泳動−飛行時間型質量分析法(CE-TOFMS)またはNMRに供すことを含む、[15]または[16]の方法。
本発明による方法によって、アブラナ科植物由来の試料中に含まれるGSL類を有効に精製および分析することができる。
本発明は、アブラナ科植物由来の試料中に含まれるグルコシノレート(GSL)類を液体クロマトグラフィーにより精製する方法に関する。
GSL類は主にブロッコリー、キャベツ、ダイコン、ワサビ、カラシナなどのアブラナ科植物に含まれる成分として知られており、例えば、グルコイベリン(GI)、プロゴイントリン(PG)、シニグリン(SG)、グルコラファニン(GR)、グルコエルシン(GE)、グルコブラシキン(GB)、4−メトキシグルコブラシキン(4mGB)および1−メトキシグルコブラシキン(1mGB)などが挙げられる。
液体クロマトグラフィーに用いるカラムとしては、オクタデシリシリル基を有するC18カラムおよびトリアコンチル基を有するC30カラムなどの逆相液体クロマトグラフィー(HPLC)用カラムを用いることができるが、C30カラムを用いることが好ましい。C30カラムは逆相HPLCで汎用されるODS(C18)樹脂を改良し、より極性が高い物質を保持できるようにされたカラムであり、移動相を水のみにしてもHPLCを実施できるという優れた特性を持つために有効である。
本方法においては、移動相として酸性であるギ酸またはギ酸アンモニウムを用いる場合は、酸耐性の強いDevelosil(商標)RPAQUEOUS-AR-5(φ4.6×250 mm)(野村化学)またはDevelosil(商標)RPAQUEOUS-AR-3(φ3.0×150 mm)(野村化学)を用いるのが好ましい。特に好ましくは、Develosil(商標)RPAQUEOUS-AR-3(φ3.0×150 mm)(野村化学)を用いる。このカラムを用いた場合、液体クロマトグラフィー分析時間を短縮できると共に、流速を遅くすることによりスプリットレス化が可能となり、MS検出器にインジェクト試料全量を導くことができるために、MS検出器においてGSL類の検出感度を高めることが可能である。一方、移動相としてアルカリ性である炭酸水素アンモニウムを用いる場合は、アルカリ耐性の強いDevelosil(商標)RPAQUEOUS(φ4.6×250 mm)(野村化学)を用いるのが好ましい。これらのC30カラムのうち、Develosil RPAQUEOUSを用いた場合に、より良好なクロマトグラムが得られ、分取目的で精製する場合Develosil RPAQUEOUSが好適である。LC-MSを用いて分析を行う場合、いずれのカラムも好適に用いることができる。
また、精製するGSL類が極性の低いGB類(例えば、GB、4mGB、1mGBなど)である場合、高pHの移動相を用いる必要があるので、よりアルカリ耐性の強いカラムを用いることが望ましい。このようなカラムとして、C30カラムに代えてアルカリ耐性の強いエチレン架橋カラムを用いることができる。エチレン架橋カラムは、シリカゲル担体がエチレンで架橋されており、アルカリによるシリカゲル担体の加水分解を受けにくいように設計されており、アルカリ耐性が非常に強いというメリットを有する。例えば、XBridge(商標)ブランド(Waters社)のカラムを用いることが好ましい。用いるXBridgeブランド(Waters社)のカラムとして、特に好ましくはWaters XBridge Shield RP18-5(φ10 mm×250 mm)である。XBridgeブランドカラムの使用に合わせて、移動相である炭酸水素アンモニウムのpHも、好ましくはpH 9.0〜11.0、さらに好ましくはpH 10.0にすることが可能である。移動相のpHを10.0とすることによって、炭酸水素アンモニウムの緩衝能がより高まり、さらに滴定アンモニウム量が増すことによって、GB類を安定なアンモニウム塩として確実に単離することを可能とする。
液体クロマトグラフィーに用いる酸性の移動相としては、トルフルオロ酢酸(TFA)、ギ酸、ギ酸アンモニウムを用いることができるが、TFAはカラムや装置に与えるダメージが大きく、取り扱いにも細心の注意が必要というデメリットを有するため、本発明においてはギ酸またはギ酸アンモニウムを用いるのが好ましい。より好ましくは、ギ酸アンモニウムを用いる。従来的に酢酸アンモニウムを移動相に用いた文献がいくつか存在するが(West, L.ら、J. Chromatogr. A 966: 227-232, 2002およびSkutlarek, D.ら、Eur. Food Res. Technol. 219: 643-649, 2004を参照)、酢酸アンモニウムの緩衝能域はpH 4.76±1であり、ギ酸アンモニウムの方がより低いpHで緩衝能を発揮できる。また、アンモニウムイオンは常時解離性の硫酸基とイオンペアを形成する能力があり、そこにさらに水分子が水和し、複雑な集合体としてカラムを通過し得る。したがって、移動相に水とアンモニウムを採用することで、解離硫酸基がソフトに包容され、カラム挙動が良好になり得る。ギ酸の濃度は、0.1〜1%、好ましくは0.1%である。ギ酸のpHは2.2〜2.7、好ましくは2.7である。ギ酸アンモニウムの濃度は、1〜20mM、好ましくは5〜15mM、さらに好ましくは10mMである。ギ酸アンモニウムのpHは、pH 2.5〜5、さらに好ましくはpH 2.75〜4.75、特に好ましくはpH 3.75である。この際、有機溶媒の濃度を徐々に変化させていく濃度勾配溶出により溶出してもよい。有機溶媒としては、例えばアセトニトリル(MeCN)を用いることができる。
また、液体クロマトグラフィーに用いるアルカリ性の移動相として、炭酸水素アンモニウムを用いることができる。炭酸水素アンモニウムは水溶液中、常圧70℃でアンモニア、水、二酸化炭素に熱分解される。よって分取溶液を減圧濃縮乾固するだけで目的化合物だけが単離できるというメリットがある。炭酸アンモニウムの濃度は、1〜20mM、好ましくは5〜15mM、さらに好ましくは10mMである。炭酸水素アンモニウムのpHは、pH 7〜10、さらに好ましくはpH 7.80〜9.80、特に好ましくはpH8.80である。この際、有機溶媒の濃度を徐々に変化させていく濃度勾配溶出により溶出してもよい。有機溶媒としては、例えばアセトニトリル(MeCN)を用いることができる。
液体クロマトグラフィーは市販のHPLC装置を用いて行うことができ、カラムの平衡化や流速はカラムサイズや試料の容量によって適宜設定することができる。
液体クロマトグラフィーを行い、得られた画分は、後述の質量分析やUVまたは多波長検出器等を用いて分析することができる。所望のGSL類を含む分画を回収し、精製したGSL類を得ることができる。
アブラナ科植物由来の試料は、液体クロマトグラフィーに付す前に、予め以下の前処理を行うことが好ましい。
GSL類は、すりおろしたり噛んだりすることでこれら野菜の細胞内に含まれる酵素(ミロシナーゼ)と接触して、イソチオシアネート(ITC)類に変換される(図1を参照)。
したがって、GSL類を精製および分析するために、植物体に由来する試料中に含まれる酵素、特にミロシナーゼを失活させる必要がある。酵素の失活方法としては、当業者にとって一般的な方法、例えば、熱処理、エタノール、メタノール処理などを用いることができる。
酵素を失活させながら、および/または失活させた後に、植物体に由来する試料をすりつぶし、抽出液を固相抽出処理に付す。
試料を効率的にすりつぶすために、ジルコニアビーズ、ミキサーミルなどの一般的な破砕手段を用いても良い。
固相抽出には、逆相クロマトグラフィー用固定相、イオン交換クロマトグラフィー用固定相などを広く用いることができる。固定相として、オクダデシルシリル基(C18)、オクチル基(C8)、ブチル基(C4)、トリメチル基(C3)、フェニル基(Ph)、トリアコンチル基(C30)、アミノプロピル基(NH2)を有する充填剤を用いることができ、これらの複数の充填剤を組合せて用いてもよい。固定相としては、弱陰イオン交換性の樹脂が好ましく、例えば、アミノプロピル基を有する充填剤が好ましい。あるいは、同じく弱陰イオン交換性樹脂であるOasis(登録商標) WAXを用いても良い。Oasis(登録商標) WAXは、図35に記載の基を有する充填剤である。Oasis(登録商標) WAXを使用する際には、エリューションプレートとして当該WAX が充填された96wellプレート(Waters)を使用することができ、96連で前処理(固相抽出)ができるために従来法に比べずっと効率よく、ごく普通の溶出方法で生体サンプルを前処理することができるといった利点を有する。逆に、強陰イオン交換性の樹脂は、GSL類が非常に強く吸着され、溶出することができないために用いることはできない。固相抽出処理については、Rochfort, S.ら、J. Chromatogr. A 1120: 205-210, (2006)に記載されるC18樹脂及びアミノプロピル基を有する樹脂を組合せる方法で行うこともできるが、カロテノイド、フラボノイド、クロロフィル等の極性が低い夾雑物は、アプライおよび洗浄の工程で除去可能であるため、上記文献記載のC18樹脂による固相抽出のステップを省略しても良い。固相抽出時の溶出液としてはアンモニウム溶液を用いることができ、そのアンモニウム濃度は、1〜10%、好ましくは2〜5%、より好ましくは2%または5%のものを用いることができるが、5%のものを用いるのが特に好ましい。
溶出し得られたGSL類画分を上記の条件で液体クロマトグラフィーにより精製すればよい。本発明においては、例えばアミノプロピル基を有する充填剤を用いた固相抽出をアミノプロピル固相抽出と呼び、得られたGSL類画分をアミノプロピル吸着画分(APAF)と呼ぶ。
液体クロマトグラフィーにより精製した画分をさらに質量分析に付すことができる。この場合、液体クロマトグラフィーと質量分析を連結した手法であるLC-MS法により行えばよい。本発明は上記の条件で液体クロマトグラフィーによりGSL類を精製した後、質量分析を行う、GSL類のLC-MS分析法を包含する。
質量分析の条件については、通常、定量条件で行う場合には、ターゲットとするm/z値のみをそれぞれ単独にモニターする方法(SIM)を用いるのが一般的であるが、本方法においては、GSL類を広く分析できるように、m/z値300〜500のスキャンモードに設定して行うことが望ましい。GSLの分子種によってはその側鎖構造により特徴的なMS開裂を起こすことがあり、これもスキャンモードにより得られる有意義な情報となり得る。また、m/zがこの範囲であれば、数百種類あるGSL類全てを検出でき得る。GSL類は構造中に硫酸基を持ち(図1を参照)、硫酸基は常時解離性であるため、ESIネガティブイオンでのみのモニタリングとし得る。Cone電圧は、20、30、40、50、60、70または80 Vの電圧を用いることができるが、30 V〜50 Vの電圧が好ましく、さらに好ましくは40 Vである。その他のMS条件については、以下の実施例に具体的に記載するが、これらの条件に限定されるものではない。
質量分析は、単収束扇形磁場型質量分析法、二重収束扇形磁場型質量分析法、四重極型質量分析法、四重極イオントラップ型質量分析法、飛行時間型質量分析法、イオンサイクロトロン型質量分析法(フーリエ変換型質量分析法)などを用いて行うことができる。
質量分析において試料をイオン化させる方法としては、EI(electron ionization:電子イオン化)法、CI(chemical ionization:化学イオン化)法、DEI(desorption electron ionization:脱離電子イオン化)法、DCI(desorption chemical ionization:脱離化学イオン化)法、FAB(fast atom bombardment:高速原子衝撃)法、FRIT-FAB(FRIT-fast atom bombardment:フリット高速原子衝撃)法、ESI(electrospray ionization:エレクトロスプレーイオン化)法、MALDI(matrix-assisted laser desorption ionization:マトリックス支援レーザー脱離イオン化)法を用いることができる。
さらに、標品GSL類または本発明による精製方法により得られたGSL類を分析標品として、本方法の条件を用いて分析し、当業者にとって一般的な方法に従って検量線を作成することが可能である。そして作成した検量線を用いて試料中に含まれるGSL類を定量分析することが可能である。
またさらに、本実施形態では、安定同位体からのみ構成されるピークの精密質量数を求めるミリマスという手法を用いて、検出したGSL類の分子式を一義的に定めることができる。ミリマス測定のために質量分析における各ピークを分取して、キャピラリー電気泳動−質量分析法(CE-MS)に付すことができる。
CEに用いられるキャピラリーチューブは、例えば、ガラス、溶融シリカ、金属(例えば、ステンレススチール)及びプラスチック(例えば、PEEKポリマー)などの材料からなるものを用いることができる。用いるキャピラリーチューブの内径は、約0.1μm〜約100μm、好ましくは50μmである。またキャピラリーチューブの長さは約0.1mm〜約2m、好ましくは1mである。キャピラリーチューブ内に適当な緩衝液を満たし、両端に高電圧(10〜30kv、好ましくは30kv)をかけることによって、各GSL類はそれぞれの移動度に基づいた速度でキャピラリー内を移動し分離が達成される。
CE-MSは、CEの検出器として質量分析計を用いて行う。CEはその高い分離能により検出される成分のピークが非常にシャープになるケースがあり、かつ、その分析対象成分が微量であるため、スペクトルを高速かつ高感度で取得可能な飛行時間型質量分析法(Time of Flight Mass Spectrometry :TOF-MS)を用いるのが好ましい。
本方法においては、HPLCに汎用されるサイズのカラムを用いることができるため、本条件はこのままUVまたは多波長検出器による分析にも使用することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1:グルコシノレート(GSL)類のLC-MS分析系
1.GSL類画分の調製
植物体中に含まれるGSL類を分析するHPLC条件を検討するために、GSL類画分を調製した(調製方法については図2を参照)。ブロッコリースーパースプラウト(BS)(株式会社村上農園)2パック分(F.W. 108 g)をミリQ水400 mLが入ったビーカーに入れ、600 Wの電子レンジで10分間加熱、沸騰させ、ミロシナーゼ等の変換酵素を失活させた(ブランチング処理)。放熱後、ホモジネイトし、7,000 rpmで20分間遠心分離を行ない、上清をミリQ水で500 mLにフィルアップした。その一部を真空凍結乾燥し、抽出液の乾燥重量を求めた(4.1 g)。これに500μLのギ酸を添加し、0.1%(v/v)ギ酸溶液とした。
実施例1:グルコシノレート(GSL)類のLC-MS分析系
1.GSL類画分の調製
植物体中に含まれるGSL類を分析するHPLC条件を検討するために、GSL類画分を調製した(調製方法については図2を参照)。ブロッコリースーパースプラウト(BS)(株式会社村上農園)2パック分(F.W. 108 g)をミリQ水400 mLが入ったビーカーに入れ、600 Wの電子レンジで10分間加熱、沸騰させ、ミロシナーゼ等の変換酵素を失活させた(ブランチング処理)。放熱後、ホモジネイトし、7,000 rpmで20分間遠心分離を行ない、上清をミリQ水で500 mLにフィルアップした。その一部を真空凍結乾燥し、抽出液の乾燥重量を求めた(4.1 g)。これに500μLのギ酸を添加し、0.1%(v/v)ギ酸溶液とした。
抽出液のうち300 mL(2.5 g)を5回に分けてSep-Pak(登録商標) Vacアミノプロピル(Waters社)固相抽出(10 g樹脂)に供し、0.82 gのGSL類画分(アミノプロピル吸着画分:APAF)を得た。アプライ試料とAPAFに含まれるGRについて、A226モニターによるHPLC(次項2(II)の条件)で比較した結果(ピーク同定法については次項を参照)、回収率は99.6%と非常に良好であった。
ここで得られたAPAFを、次項のLC-MS条件検討用試料として用いた。
3.MS条件
MS条件については以下のとおりである。
スキャンモード:m/z値300〜500
モニタリング:ESIネガティブイオンのみ
MS検出装置: Waters micromass ZQ 2000
Sorce (ES-)
Capillary: 3.00 kV
Cone: 40 V
Extractor: 5.00 V
RF lens: 0.0 V
Source temperature: 120℃
Desolvation temperature: 400℃
Cone gas flow: 50 L/hr
Desolvation gas flow: 600 L/hr
Analyser
LM 1 resolution: 15.0
HM 1 resolution: 15.0
Ion energy 1: 0.5
Multiplier: 650 V
MS条件については以下のとおりである。
スキャンモード:m/z値300〜500
モニタリング:ESIネガティブイオンのみ
MS検出装置: Waters micromass ZQ 2000
Sorce (ES-)
Capillary: 3.00 kV
Cone: 40 V
Extractor: 5.00 V
RF lens: 0.0 V
Source temperature: 120℃
Desolvation temperature: 400℃
Cone gas flow: 50 L/hr
Desolvation gas flow: 600 L/hr
Analyser
LM 1 resolution: 15.0
HM 1 resolution: 15.0
Ion energy 1: 0.5
Multiplier: 650 V
4.移動相の比較結果
上記2のLC移動相条件2つを上記3のMS検出装置でモニタリングし、評価を行なった。なおクロマトグラムについてはシニグリン(SG)のUVmax 226 nm、およびベンゼン環特異的UVmax 280 nmでのモニタリングもあわせて行なった。
上記2のLC移動相条件2つを上記3のMS検出装置でモニタリングし、評価を行なった。なおクロマトグラムについてはシニグリン(SG)のUVmax 226 nm、およびベンゼン環特異的UVmax 280 nmでのモニタリングもあわせて行なった。
上記2の条件(I)(ギ酸条件、以下条件2(I)とする)でのLC-MSを図3に示した。保持時間が短い成分は極性が高いGSL類であり、m/z値より、グルコイベリン(GI)、プロゴイトリン(PG)、SG、およびGRの4本のピークを推定した。図3のクロマトグラムにおいて25分以降にブロードなピーク形状で溶出されるピークは、GSL類の中でも極性が低い成分であり、m/z値より、グルコエルシン(GE)、グルコブラシキン(GB)、およびGBメトキシ付加体2成分(4mGB, 1mGB)の4本のピークを推定した。ベンゼン環特異的なUV吸収を持つのはGB、4mGB、1mGBの3成分であり、これらは側鎖にインドール環を持つと推定され、矛盾のない結果となった。
各々のピークのMSスペクトルを図4および図5に示した。GIおよびGRについては、側鎖のメチルスルフィニル開裂が見られ、また1mGBについてはメトキシの開裂が観測された。
これらの結果により、各GSLがノミナル(整数値)MSとして推定された。各GSLの構造式を図6に示した。
上記2の条件(II)(ギ酸アンモニウム(pH 3.75)条件、以下条件2(II)とする)でのLC-MSを図7に示した。ギ酸アンモニウム移動相はpH 3.75±1で緩衝能を発揮し、その結果、GSL類のカラム挙動を安定化させることができた。一方、移動相A, Bはギ酸でpH 3.75に滴定しており、特に移動相Bについては添加ギ酸量が多いので、A226でのクロマトグラムのベースライン上昇を招いている(図7を参照)。
条件2(I)では、条件2(II)と比べ、後半に溶出される4成分のピークがブロードであり、また保持時間にも変動が見られること、またDevelosil RPAQUEOUS-AR-5カラムは耐久性にも優れていることから、条件2(II)をGSL類のLC-MS条件として以下の実施例に用いた。
実施例2:GSL類分析供試試料の調製(抽出および前処理)
1.ミロシナーゼの失活(ブランチング)
F.W. 100 mg程度の試料をサンプリングし、秤量した後に、内在性のあらゆる酵素を失活させるために、あらかじめφ5 mmのジルコニアビーズを入れた2 mL容エッペンチューブに入れ、速やかに抽出液(80%(v/v)のメタノール/水、0.1%(v/v)のギ酸)1 mLを添加した(図8を参照)。抽出液中に含まれるメタノールとの接触によってミロシナーゼ等が失活する。図8に示したように、多検体を効率よく粉砕するためにミキサーミルを使用し、遠心分離後、上清800μLを次項のアミノプロピル処理に供した。
1.ミロシナーゼの失活(ブランチング)
F.W. 100 mg程度の試料をサンプリングし、秤量した後に、内在性のあらゆる酵素を失活させるために、あらかじめφ5 mmのジルコニアビーズを入れた2 mL容エッペンチューブに入れ、速やかに抽出液(80%(v/v)のメタノール/水、0.1%(v/v)のギ酸)1 mLを添加した(図8を参照)。抽出液中に含まれるメタノールとの接触によってミロシナーゼ等が失活する。図8に示したように、多検体を効率よく粉砕するためにミキサーミルを使用し、遠心分離後、上清800μLを次項のアミノプロピル処理に供した。
2.アミノプロピル固相抽出処理
本処理方法は、実施例1のスケールダウンである(図8を参照)。まずアミノプロピル固相抽出における試料アプライ、洗浄工程において、GSL類のリークがないことをHPLCで確認した(条件2(II))。次に、溶出溶液のアンモニア濃度、液量について詳細な検討を行なった。すなわちアンモニア濃度を2%と5%、液量を5、9、15 mLとし、n=3で固相抽出の条件検討を行なった。1回につき100 mg(F.W.)のブロッコリースプラウト(実施例1を参照)が必要なので、2 gの試料に図8抽出溶媒を20 mL添加し、ホモジネイトしたものを供試試料とした。アプライ試料はアミノプロピル固相抽出を経ていないのでHPLCにおいて夾雑物が見られたが、このピーク面積値を100として、GI、GR、GE、GB、4mGB、そして1mGBの回収率を算出した。その結果、回収率はアンモニア濃度5%、液量9 mLが最適で、100%となった。アミノプロピル樹脂とGSL類硫酸基の保持、溶出機構を考慮すると、アンモニア濃度が高いほど溶出力は高まり、文献値(Rochfortら、J. Chromatogr. A 1120: 205-210, (2006))の2%では充分ではないことが分かった。溶出液は定容後、一部をdry upするので、9 mLという液量も好適と判断した。
本処理方法は、実施例1のスケールダウンである(図8を参照)。まずアミノプロピル固相抽出における試料アプライ、洗浄工程において、GSL類のリークがないことをHPLCで確認した(条件2(II))。次に、溶出溶液のアンモニア濃度、液量について詳細な検討を行なった。すなわちアンモニア濃度を2%と5%、液量を5、9、15 mLとし、n=3で固相抽出の条件検討を行なった。1回につき100 mg(F.W.)のブロッコリースプラウト(実施例1を参照)が必要なので、2 gの試料に図8抽出溶媒を20 mL添加し、ホモジネイトしたものを供試試料とした。アプライ試料はアミノプロピル固相抽出を経ていないのでHPLCにおいて夾雑物が見られたが、このピーク面積値を100として、GI、GR、GE、GB、4mGB、そして1mGBの回収率を算出した。その結果、回収率はアンモニア濃度5%、液量9 mLが最適で、100%となった。アミノプロピル樹脂とGSL類硫酸基の保持、溶出機構を考慮すると、アンモニア濃度が高いほど溶出力は高まり、文献値(Rochfortら、J. Chromatogr. A 1120: 205-210, (2006))の2%では充分ではないことが分かった。溶出液は定容後、一部をdry upするので、9 mLという液量も好適と判断した。
3.LC-MS供試試料
前項の溶出液をメタノールで10 mLに定容し、その2 mLを4 mL容スクリューバイアルに分注した(図8を参照)。水を共沸留去させる目的で1-プロパノールを約1 mL添加し、40℃に設定したヒートブロックにバイアルを入れ、窒素気流で溶媒乾固した。これを0.1%(v/v)ギ酸水500μLに再溶し、LC-MS供試試料とした。LC-MSの条件は実施例1を参照。なお前項溶出液の残りは10 mL容スクリューバイアルに入れてマイナス30℃で保存した。
前項の溶出液をメタノールで10 mLに定容し、その2 mLを4 mL容スクリューバイアルに分注した(図8を参照)。水を共沸留去させる目的で1-プロパノールを約1 mL添加し、40℃に設定したヒートブロックにバイアルを入れ、窒素気流で溶媒乾固した。これを0.1%(v/v)ギ酸水500μLに再溶し、LC-MS供試試料とした。LC-MSの条件は実施例1を参照。なお前項溶出液の残りは10 mL容スクリューバイアルに入れてマイナス30℃で保存した。
実施例3:GSL類の精製条件
ミリマスによる精密質量数の測定
1.炭酸アンモニウム移動相条件
GSL類のLC-MSにおける各ピークの分取条件を検討した。LC系には、移動相として、炭酸水素アンモニウムを用いたアルカリ性の移動相を採用した。カラムはDevelosil RPAQUEOUS(φ4.6×250 mm)(野村化学)を採択した。条件は以下のとおりである。
ミリマスによる精密質量数の測定
1.炭酸アンモニウム移動相条件
GSL類のLC-MSにおける各ピークの分取条件を検討した。LC系には、移動相として、炭酸水素アンモニウムを用いたアルカリ性の移動相を採用した。カラムはDevelosil RPAQUEOUS(φ4.6×250 mm)(野村化学)を採択した。条件は以下のとおりである。
本条件におけるLC-MSクロマトグラムを図9に示した。各GSLの溶出順は実施例1と全く同じであり、またピーク形状も実施例1図7と同様にシャープであった。A226のクロマトグラムを図7と比較すると、移動相グラジェントに伴うベースラインの上昇が見られず、非常にクリアであった。これは移動相A, BをアンモニアでpH 8.80に滴定しているためであり、水、MeCN共にUV末端吸収が非常に小さいことによる。各ピークを分取し、ミリマス測定のためにCE-TOFMSに供した。
2.キャピラリー電気泳動(CE)-TOFMS条件
機器はアジレントテクノロジーズ社G1600A CE、及びG1969A TOF-MSを用いた。測定はヒューマンメタボローム・テクノロジーズ社のプロトコールに従い行なった。分離は内径50μm、長さ1mのフューズドシリカキャピラリーカラムを使用した。移動相はヒューマンメタボローム・テクノロジーズ社ヌクレオチド分析用キットを使用した。分離は30 kVで行い、キャピラリーカラムの温度は20℃で行った。ESI-MSはネガティブイオンモードで行い、TOF-MSのキャピラリー電圧を3500Vにセットして測定した。マス軸校正用としてリファレンス物質1((M-H)-精密質量数: 119.0350)とリファレンス物質2((M-H)-精密質量数: 667.2872)を使用した。定量、及び時間補正用の内部標準物質として内部標準物質1((M-H)-精密質量数: 231.0697)、内部標準物質2((M-H)-精密質量数: 209.0092)を使用した。データの評価は付属のアプライド・バイオシステムズ社のアナリスト・ソフトウェアを使用した。この方法はSogaら、J. Chromatogr. A 1159: 125-133, (2007)に基づくものである。
機器はアジレントテクノロジーズ社G1600A CE、及びG1969A TOF-MSを用いた。測定はヒューマンメタボローム・テクノロジーズ社のプロトコールに従い行なった。分離は内径50μm、長さ1mのフューズドシリカキャピラリーカラムを使用した。移動相はヒューマンメタボローム・テクノロジーズ社ヌクレオチド分析用キットを使用した。分離は30 kVで行い、キャピラリーカラムの温度は20℃で行った。ESI-MSはネガティブイオンモードで行い、TOF-MSのキャピラリー電圧を3500Vにセットして測定した。マス軸校正用としてリファレンス物質1((M-H)-精密質量数: 119.0350)とリファレンス物質2((M-H)-精密質量数: 667.2872)を使用した。定量、及び時間補正用の内部標準物質として内部標準物質1((M-H)-精密質量数: 231.0697)、内部標準物質2((M-H)-精密質量数: 209.0092)を使用した。データの評価は付属のアプライド・バイオシステムズ社のアナリスト・ソフトウェアを使用した。この方法はSogaら、J. Chromatogr. A 1159: 125-133, (2007)に基づくものである。
各GSLの精密質量数を測定した結果、以下の表1に示したように、理論値に極めて近い実測値が得られ、それぞれの分子式が一義的に定められた。
実施例4:標品GSL類を使っての検量線作成
1.試料液調製
実施例1においてブロッコリースプラウトから検出され、実施例3において分子式が同定されたGI、PG、GR、GEおよび市販リストにあったエピプロゴイトリン(EP)、glucotropaeolin(Gtr)、gluconasturtiin(Gnas)、sinalbin(Sin)、グルコナピン(GN)、グルコラフェニン(GRe)、そしてグルコシバリン(Gsi)を入手し(Department of Natural Sciences, Faculty of Life Sciences University of Copenhagen, Denmark)、精密に秤量して分析標品とした。それぞれを0.1%(v/v)ギ酸水溶液として以下のように調製した。SGについては和光純薬工業株式会社から購入したものを用いた。
1.試料液調製
実施例1においてブロッコリースプラウトから検出され、実施例3において分子式が同定されたGI、PG、GR、GEおよび市販リストにあったエピプロゴイトリン(EP)、glucotropaeolin(Gtr)、gluconasturtiin(Gnas)、sinalbin(Sin)、グルコナピン(GN)、グルコラフェニン(GRe)、そしてグルコシバリン(Gsi)を入手し(Department of Natural Sciences, Faculty of Life Sciences University of Copenhagen, Denmark)、精密に秤量して分析標品とした。それぞれを0.1%(v/v)ギ酸水溶液として以下のように調製した。SGについては和光純薬工業株式会社から購入したものを用いた。
以上12種類のGSL類について、濃度範囲1,000倍の間で10点の溶液をオートサンプラー用バイアル内に調製した。オートサンプラーは10℃で冷却し、実施例1の酢酸アンモニウム条件(条件2(II))でLC-MSを実施した。得られた結果の解析は、Waters社LC-MS解析ソフト「MassLynx」に付属の「QuanLynx」により自動で行ない(図10を参照)、各GSLのm/z値で得られたピークの面積値を、Microsoft社Excelにエクスポートして検量線を作成した。実施例3で分子式が確定していたGI、PG、SG、GR、GEについては標品のカラム溶出時間がそれぞれの推定ピークと一致したことから、これをもって完全同定とした。
2.検量線について
各GSLについて、作成した検量線を図11、12および13に示した。市販標品はいずれもカリウム塩・1水和物であったので、x値(物質量)をプロトン型・無水物に換算して検量線を作成した。定量可能範囲(ダイナミックレンジ)すなわちx軸の範囲が3桁に及ぶ物質量に対して、いずれも良好な直線性が得られ、信頼係数R2値は0.99という極めて高い水準に達した。定量分析にあたり、試料は検量線の直線範囲に入るように調製することが必要だが、ダイナミックレンジ3桁という広い範囲で直線性が保証されたことは、今回構築したLC-MS分析系が非常に使いやすいものであることを意味する。GIおよびGRは側鎖のメチルスルフィニル特異的開裂により親イオンのシグナル強度が減弱することが予想されたが(実施例1図4を参照)、実際に検量線の傾きはSGが121,236であるのに対し、GIおよびGRはそれぞれ83,903および69,926と、低い値になった(図11を参照)。
各GSLについて、作成した検量線を図11、12および13に示した。市販標品はいずれもカリウム塩・1水和物であったので、x値(物質量)をプロトン型・無水物に換算して検量線を作成した。定量可能範囲(ダイナミックレンジ)すなわちx軸の範囲が3桁に及ぶ物質量に対して、いずれも良好な直線性が得られ、信頼係数R2値は0.99という極めて高い水準に達した。定量分析にあたり、試料は検量線の直線範囲に入るように調製することが必要だが、ダイナミックレンジ3桁という広い範囲で直線性が保証されたことは、今回構築したLC-MS分析系が非常に使いやすいものであることを意味する。GIおよびGRは側鎖のメチルスルフィニル特異的開裂により親イオンのシグナル強度が減弱することが予想されたが(実施例1図4を参照)、実際に検量線の傾きはSGが121,236であるのに対し、GIおよびGRはそれぞれ83,903および69,926と、低い値になった(図11を参照)。
BS中には顕著なピークとして検出されなかったGSL類、すなわちGtr、Gnas、Sinの検量線を図12に、そしてGN、GRe、Gsiの検量線を図13に示した。分析対象の植物中に含まれていない成分であれば、内部標準に選定することが可能である。
実施例5:SGを外部標準としたGRの定量
1.BSとブロッコリー花蕾(青果物)中に含まれるGRの定量
ブロッコリースーパースプラウト(BS)(株式会社村上農園)と、国産で新鮮なブロッコリー花蕾(青果)を購入し、実施例2に従って分析試料を調製し、実施例1のLC-MS条件で分析を行なった。外部標準としてSGの0.1%(v/v)ギ酸水溶液3.2μg/50μLをインジェクトした。結果を図14に示した。分析シリーズに都度に供試しているSGのMS強度(m/z 358)で補正を行ない(外部標準法)、GRのMS強度(m/z 436)が検量線のy軸範囲に含まれることを確認した上で、GR量を定量した。試料生重量100 mgあたりに換算すると、含有GR量はBSおよび花蕾青果でそれぞれ321μgおよび422μgと算出された(図14を参照)。
1.BSとブロッコリー花蕾(青果物)中に含まれるGRの定量
ブロッコリースーパースプラウト(BS)(株式会社村上農園)と、国産で新鮮なブロッコリー花蕾(青果)を購入し、実施例2に従って分析試料を調製し、実施例1のLC-MS条件で分析を行なった。外部標準としてSGの0.1%(v/v)ギ酸水溶液3.2μg/50μLをインジェクトした。結果を図14に示した。分析シリーズに都度に供試しているSGのMS強度(m/z 358)で補正を行ない(外部標準法)、GRのMS強度(m/z 436)が検量線のy軸範囲に含まれることを確認した上で、GR量を定量した。試料生重量100 mgあたりに換算すると、含有GR量はBSおよび花蕾青果でそれぞれ321μgおよび422μgと算出された(図14を参照)。
実施例6:SGを外部標準としたGSL類の分析
1.BSとブロッコリー花蕾(青果)中に含まれるGSL類の分析
実施例5で得られた各GSL類のMS強度実測値そのものについて、試料生重量100 mgあたりに換算した。この場合、各GSL類の検量線の傾きが同じであるかのような仮定が盛り込まれるので、注意が必要であるが、標品が存在しないGSL類も含めて比較、評価する際に、有用なグラフが得られる(図15を参照)。
1.BSとブロッコリー花蕾(青果)中に含まれるGSL類の分析
実施例5で得られた各GSL類のMS強度実測値そのものについて、試料生重量100 mgあたりに換算した。この場合、各GSL類の検量線の傾きが同じであるかのような仮定が盛り込まれるので、注意が必要であるが、標品が存在しないGSL類も含めて比較、評価する際に、有用なグラフが得られる(図15を参照)。
実施例7:側鎖にインドール環構造を有するGSL類の精製
1.GSL類画分の調製
側鎖にインドール環構造を有するGSL類であるGB、4mGB、1mGB(図6を参照)は、ブロッコリーを含むBrassica oleraceaに広く含有される成分であるが、市販標品が存在しない。特に4mGBと1mGBは構造異性体の関係にあり、分子式が同じなので精密MSでも区別できない(表1を参照)。そこでNMRに供するために、3成分をケール(B. oleracea)葉から精製することとした。実施例1と同様に、F.W. 1 kg程度のケール葉をサンプリングし、オートクレーブでブランチング処理した後、ジューサーミキサーで抽出を行い、抽出原液を200 mL得た(図16を参照)。さらに、残渣を回収し、再度熱水で抽出を行ない、3,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を洗液として回収した。各画分の一部を真空凍結乾燥することで、乾燥重量を求めた(図16を参照)。凍結乾燥によりGB類が自己触媒的に反応を起こし、水に不溶性の物質に変化してしまうことが予備試験で分かったので、以降の工程には凍結乾燥を使わないこととした。
1.GSL類画分の調製
側鎖にインドール環構造を有するGSL類であるGB、4mGB、1mGB(図6を参照)は、ブロッコリーを含むBrassica oleraceaに広く含有される成分であるが、市販標品が存在しない。特に4mGBと1mGBは構造異性体の関係にあり、分子式が同じなので精密MSでも区別できない(表1を参照)。そこでNMRに供するために、3成分をケール(B. oleracea)葉から精製することとした。実施例1と同様に、F.W. 1 kg程度のケール葉をサンプリングし、オートクレーブでブランチング処理した後、ジューサーミキサーで抽出を行い、抽出原液を200 mL得た(図16を参照)。さらに、残渣を回収し、再度熱水で抽出を行ない、3,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を洗液として回収した。各画分の一部を真空凍結乾燥することで、乾燥重量を求めた(図16を参照)。凍結乾燥によりGB類が自己触媒的に反応を起こし、水に不溶性の物質に変化してしまうことが予備試験で分かったので、以降の工程には凍結乾燥を使わないこととした。
極性が低い夾雑物を除去するために、等容の酢酸エチルで3回洗浄した(図16を参照)。得られた抽出原液(GSL類移行画分)にギ酸を添加して0.1%(v/v)ギ酸溶液とし、そのD.W. 617 mgずつをSep-Pak(登録商標) Vacアミノプロピル(Waters社)固相抽出(10 g樹脂)に供して、実施例1と同様にAPAFを調製した(図17を参照)。合計7.4g(F.W.)の抽出原液を供し、得られた溶出液を減圧濃縮し、APAF水溶液を約5 mL得た(図17を参照)。
2.GB類の精製
GB、4mGB、1mGBはGSL類の中でも極性が低く、逆相カラムでより強く保持される(図3、7、9を参照)。そこでC30ではない逆相カラムであっても保持されると予想し、アルカリ耐性が非常に強いXBridgeブランド(Waters社)のカラムを採用した。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:Waters XBridge Shield RP18-5(φ10 mm×250 mm)
温度:40℃
流速:2 mL/min
移動相A:10 mM炭酸水素アンモニウム水(pH 10.0)
移動相B:10 mM炭酸水素アンモニウムin 50% (v/v) MeCN/水(pH 10.0)
GB、4mGB、1mGBはGSL類の中でも極性が低く、逆相カラムでより強く保持される(図3、7、9を参照)。そこでC30ではない逆相カラムであっても保持されると予想し、アルカリ耐性が非常に強いXBridgeブランド(Waters社)のカラムを採用した。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:Waters XBridge Shield RP18-5(φ10 mm×250 mm)
温度:40℃
流速:2 mL/min
移動相A:10 mM炭酸水素アンモニウム水(pH 10.0)
移動相B:10 mM炭酸水素アンモニウムin 50% (v/v) MeCN/水(pH 10.0)
実施例3と同様のコンセプトで、分取精製物の乾燥を容易にするために、移動相として炭酸水素アンモニウム系を用いた。本カラムはC30よりも強いアルカリ耐性を持つので、炭酸水素アンモニウムの緩衝能を最大限に発揮させるためにpHを10.0に調整し、カラムオーブン温度を40℃に引き上げた。精製クロマトグラムを図18に示した。3成分はインドール構造を有することから、A226に加えて、A280でもモニター可能であった。移動相としてはグラジェントまたはイソクラティック条件が好ましく、まず3成分を分取できるイソクラティック条件(75%A、25%B)で精製を行なった(図18を参照)。APAF水溶液を一度に500μLもインジェクトしているので、カラムにとってはかなり高負荷であると考えられたが、3成分は問題なく分離された。
ピーク形状をよりシャープにするために、以下のグラジェントを組んだ。この条件でも3成分を効率的に分取精製でき得る。特にHPLCを開始後16分以内で3成分を分取精製できることは、グラジェント条件の大きなメリットであった。本条件での典型的クロマトグラムを図19に示した。
分取液の一部をグラジエント条件でのHPLCに供した。それぞれの純度検定結果を図20、21および22に示した。A280はベンゼン環に特徴的なものなので、純度検定はより短波長側のA226で行なった。純度はいずれも良好であり、GB、4mGBおよび1mGBのA226モニターでのHPLCで求めた値は、それぞれ92.4、95.2および96.8%となった。
分取した3成分をそれぞれ減圧濃縮し、水を共沸させる目的で1-プロパノールを加えて、乾固させた。それぞれを4 mL容スクリューバイアルに洗い込み、40℃のヒートブロックにバイアルを入れて、窒素気流で乾固させた。GB、4mGBおよび1mGBはそれぞれ8.7 mg, 3.6 mg, 6.8 mg得られた。
3.1H NMRによる物質同定
GB、4mGBおよび1mGBは市販標品がないもののいずれも既知物質である。そこで1H NMRを測定し、そのスペクトルデータを既報の値(Presteraら、Anal. Biochem. 239: 168-179, 1999, Agerbirkら、Anal. Biochem. 49: 1502-1507, 2001, Truscottら、J. Agric. Food Chem. 31: 863-867, 1983を参照)と比較して一致を確認し、実施例3で既得の精密質量数のデータ(表1)と合わせれば、3成分を完全同定することができる。そこで上項で分取した3成分について、それぞれD2Oに溶解し、1H NMRを測定した(Bruker社、Bruker AMX-400(400 MHz)、17℃)。
GB、4mGBおよび1mGBは市販標品がないもののいずれも既知物質である。そこで1H NMRを測定し、そのスペクトルデータを既報の値(Presteraら、Anal. Biochem. 239: 168-179, 1999, Agerbirkら、Anal. Biochem. 49: 1502-1507, 2001, Truscottら、J. Agric. Food Chem. 31: 863-867, 1983を参照)と比較して一致を確認し、実施例3で既得の精密質量数のデータ(表1)と合わせれば、3成分を完全同定することができる。そこで上項で分取した3成分について、それぞれD2Oに溶解し、1H NMRを測定した(Bruker社、Bruker AMX-400(400 MHz)、17℃)。
得られたスペクトルを図23、24および25に示した。それぞれの側鎖プロトンのケミカルシフト値が文献値と一致し、精密質量数から分子式が一義的に定められていることから(表1)、GB、4mGB、1mGBをそれぞれグルコブラシキン、4-メトキシGB、1-メトキシGB(ネオグルコブラシキン)と同定した。
実施例8:GB, 4mGB, 1mGBの検量線作成
1.試料液調製
実施例4と同様に、精製した3成分から試料液を調製した。溶液中の物質の安定性、および溶解性を考慮し、2 mLの2.5%アンモニア水/MeOHで溶解させた。GBのみ一部不溶化物を生じたので、バイアルを2,000 rpmでスピンダウンし、上清を用いた。上清の100μLを分取し、窒素ガスで乾固させ、上清のGB量を秤量した。上清の一部を実施例7と同様にグラジエント条件でのHPLCに供し、純度検定を行なった。結果、上清に溶けているGBは5.4 mgであり、純度はA226モニターで91.6%と良好で(図26)、図26のクロマトグラムのパターンは図20と一致したので、上清には夾雑物の混入がないことが確認された。よってGB溶液の真の濃度は2.5μg/μLとなった。
1.試料液調製
実施例4と同様に、精製した3成分から試料液を調製した。溶液中の物質の安定性、および溶解性を考慮し、2 mLの2.5%アンモニア水/MeOHで溶解させた。GBのみ一部不溶化物を生じたので、バイアルを2,000 rpmでスピンダウンし、上清を用いた。上清の100μLを分取し、窒素ガスで乾固させ、上清のGB量を秤量した。上清の一部を実施例7と同様にグラジエント条件でのHPLCに供し、純度検定を行なった。結果、上清に溶けているGBは5.4 mgであり、純度はA226モニターで91.6%と良好で(図26)、図26のクロマトグラムのパターンは図20と一致したので、上清には夾雑物の混入がないことが確認された。よってGB溶液の真の濃度は2.5μg/μLとなった。
以上のインドール系GSL類について、濃度範囲1,000倍の間で調製した10点の溶液をオートサンプラー用バイアル内に調製した。オートサンプラーは10℃で冷却し、実施例1の酢酸アンモニウム条件(条件2(II))でLC-MSを実施した。得られた結果の解析は、Waters社LC-MS解析ソフト「MassLynx」に付属の「QuanLynx」により自動で行ない(図10を参照)、各GSLのm/z値で得られたピークの面積値を、Microsoft社Excelにエクスポートして検量線を作成した。
2.検量線について
GB, 4mGB, 1mGBについて、作成した検量線を図27に示した。なおこれらのGSL類はいずれもアンモニウム塩として単離しているので、検量線はそれぞれプロトン型に換算して作成した。実施例4(図11、12、および13を参照)と同様にインドール系GSL類についても、定量可能範囲(ダイナミックレンジ)すなわちx軸の範囲が3桁に及ぶ物質量に対して、いずれも良好な直線性が得られ、信頼係数R2値は0.99という極めて高い水準に達した。1mGBは側鎖のメトキシ基が特異的に開裂するので、親イオンのシグナル強度が減弱することが予想されたが(実施例1図5を参照)、実際に検量線の傾きはGBおよび4mGBが約550,000であるのに対し、1mGBは245,550と、低い値になった(図27を参照)。外部標準SGの検量線の傾きは実施例4で算出された値の約3倍になっており、これは定期メンテナンスでMS検出器の感度が非常に良好になったことに起因する。MS検出器のコンディションは常に変わりうるので、SGを外部標準に定めるのには大きな意味がある。
GB, 4mGB, 1mGBについて、作成した検量線を図27に示した。なおこれらのGSL類はいずれもアンモニウム塩として単離しているので、検量線はそれぞれプロトン型に換算して作成した。実施例4(図11、12、および13を参照)と同様にインドール系GSL類についても、定量可能範囲(ダイナミックレンジ)すなわちx軸の範囲が3桁に及ぶ物質量に対して、いずれも良好な直線性が得られ、信頼係数R2値は0.99という極めて高い水準に達した。1mGBは側鎖のメトキシ基が特異的に開裂するので、親イオンのシグナル強度が減弱することが予想されたが(実施例1図5を参照)、実際に検量線の傾きはGBおよび4mGBが約550,000であるのに対し、1mGBは245,550と、低い値になった(図27を参照)。外部標準SGの検量線の傾きは実施例4で算出された値の約3倍になっており、これは定期メンテナンスでMS検出器の感度が非常に良好になったことに起因する。MS検出器のコンディションは常に変わりうるので、SGを外部標準に定めるのには大きな意味がある。
実施例9:SGを外部標準としたGSL類の定量
実施例6で用いたブロッコリー試料のMSのDATAを、実施例4および実施例8の検量線に当てはめ、各GSLの定量を行なった。その際、SGを外部標準として用いた。結果を図28に示した。図28上がMS強度をy軸にしたグラフ(図15と同じ)、図28下がμgをy軸にしたグラフである。両者を比較すると、含有GSL類のイメージプロファイルは酷似しているが、実測値(下図)では、GEとGBが低く算出された。その傾向を踏まえた上であれば、y軸にMS強度を指定したグラフ(図28上)も非常に有用である。
実施例6で用いたブロッコリー試料のMSのDATAを、実施例4および実施例8の検量線に当てはめ、各GSLの定量を行なった。その際、SGを外部標準として用いた。結果を図28に示した。図28上がMS強度をy軸にしたグラフ(図15と同じ)、図28下がμgをy軸にしたグラフである。両者を比較すると、含有GSL類のイメージプロファイルは酷似しているが、実測値(下図)では、GEとGBが低く算出された。その傾向を踏まえた上であれば、y軸にMS強度を指定したグラフ(図28上)も非常に有用である。
実施例10:GSL類LC-MS分析系の改変
1.GSL類画分の調製
上記実施例1の1.GSL類画分の調製で調製したAPAFを次項のLC-MS検討用試料として用いた。
2.LC条件
LC系には、野村化学のDevelosil(商標)RPAQUEOUS-AR-3(φ3.0×150 mm)を用いた。これはC30樹脂を使ったカラムであり、カラムボリュームは1.06 mLとなる(図29)。実施例1で用いたカラムは4.15 mLのボリュームなので、カラムを約1/4にスケールダウンしたこととなる(図29)。移動相の流速は、0.5 mL/minに設定した。MS検出器にスプリットレスで導入させるためである。
1.GSL類画分の調製
上記実施例1の1.GSL類画分の調製で調製したAPAFを次項のLC-MS検討用試料として用いた。
2.LC条件
LC系には、野村化学のDevelosil(商標)RPAQUEOUS-AR-3(φ3.0×150 mm)を用いた。これはC30樹脂を使ったカラムであり、カラムボリュームは1.06 mLとなる(図29)。実施例1で用いたカラムは4.15 mLのボリュームなので、カラムを約1/4にスケールダウンしたこととなる(図29)。移動相の流速は、0.5 mL/minに設定した。MS検出器にスプリットレスで導入させるためである。
図29に典型的クロマトグラムを示した。カラムボリューム1/4、流速1/2の改変により、HPLCの時間を従来法(実施例1、図7)のおよそ半分にすることができると考えられ、予想通りの結果が得られた。上に示したグラジェントの平衡化時間10分は必要で、これを5分にすると各GSL類の溶出時間が少しずつ早くなる不具合が発生した。
3.MS検出感度の向上
スプリットレス化により、MS検出器にインジェクト試料全量が導かれるので、MS検出感度の向上が期待された。図30にAPAF溶液を50, 20, 10, 5μLインジェクトした時のLC-MSクロマトグラム(TIC)を示した。従前の50μLインジェクトではGRのサチュレートが見られ、インジェクト量を減じていくに従ってピーク形状は良好となり、5μLのインジェクトで適切なクロマトグラムが得られた(図30)。
スプリットレス化により、MS検出器にインジェクト試料全量が導かれるので、MS検出感度の向上が期待された。図30にAPAF溶液を50, 20, 10, 5μLインジェクトした時のLC-MSクロマトグラム(TIC)を示した。従前の50μLインジェクトではGRのサチュレートが見られ、インジェクト量を減じていくに従ってピーク形状は良好となり、5μLのインジェクトで適切なクロマトグラムが得られた(図30)。
さらに、MS検出器の信号取り込み間隔を改変した。従前は0.1 s /1ポイントであり、GSL類のうち最もシャープなピークとなるGEでも、1ピークを210ポイントで形成していた(図31)。それではS/N比が悪くなり、またDATAとしても過重となる。そこで取り込み間隔を0.6 s/1ポイントに改変した。これによってGEピークが35ポイント、最も太いGRピークが90ポイントとなる(図32)。実際に0.6 s/1ポイントで取ったクロマトグラムを図33に示した。従来と比べてピークは滑らかになった。S/N比がよくなった分、各GSL類の検出感度が約1.2倍に向上した(図34)。
実施例11:前処理法の効率化、多検体対応
実施例2および図8記載の処理法では、弱陰イオン交換樹脂としてアミノプロピル(AP)を用いている。実施例10に記載した検討により、MS検出感度が約10倍になったので、AP固相抽出のステップをスケールダウンし、多検体に対応できるように改変した。
実施例2および図8記載の処理法では、弱陰イオン交換樹脂としてアミノプロピル(AP)を用いている。実施例10に記載した検討により、MS検出感度が約10倍になったので、AP固相抽出のステップをスケールダウンし、多検体に対応できるように改変した。
APと同じく弱陰イオン交換モードを有し、操作中に空気が入っても問題なく、さらに96-well製品があるのがOasis(登録商標) WAX樹脂(Waters社)である(図35)。AP 500 mg樹脂とWAX 225 mg樹脂の固相抽出効果を比較するために、図36に示したプロトコルで実験を行なった。供試試料は「ハイクロップ」葉とした。AP樹脂500 mgに対してWAX樹脂は225 mgと半分なので、WAX樹脂には400μL試料をアプライした。洗浄、溶出操作は同じとし、2者のクロマトグラムを直接比較できるように、LC-MSへのインジェクト量をAPで5μL、WAXで10μLとした(図36)。結果を図37に示した。両者のクロマトグラムは同じパターンを呈した。各GSLのMS強度を比較すると、両者はほぼ同じ数値になった(図38)。これをもってAP樹脂はWAX樹脂で代替え可能と判断した。
次にWAX樹脂量のスケールダウン、96-well製品対応の検討を行なった。96-wellタイプのWAXの樹脂量は30 mgなので、まず樹脂量30 mgのカートリッジで検討を行なった(図39)。WAX 30 mg樹脂にどれくらいの試料をアプライでき得るかを定めるために、「ハイクロップ」葉抽出液の100, 200μLをアプライした(図39)。溶出液を900μLとした場合の溶出液量は943μLであり、そこからそれぞれ500μLを分取し、ドライアップ後、LC-MSに供した(図39)。GSL類の分析結果を図40に示した。200μLアプライでは数値がわずかに低くなっており、これはアプライ試料がWAX 30 mg樹脂のイオン交換容量を超えた、すなわちリークと考えられた。それに対して100μLアプライでは上段で検討したWAX 225 mgでの値に一致した(図40)。これをもって最適アプライ量を100μLと定めた。
続いて図41に示したプロトコルに従って、96-wellタイプのWAX樹脂(30 mg)の検討を行なった。AP樹脂500 mgカートリッジを対象とし、B. oleracea 16品種の展開最若葉を供試した。AP樹脂でのプロトコルは実施例2および図8記載のプロトコルと同じだが、ただ1点、溶出液を9 mLとした場合の溶出液量を10.7 mLと定めた(図41)。フィルアップ工程を簡略化するためである。WAXでのGSL類分析結果を図42、APでの分析結果を図43に示した。図42と図43のy軸単位はそれぞれのGSL類のMS強度であり、供試した16品種において、含有GSL類の分析値は、ほぼ一致していた。これをもって96-wellタイプのWAX樹脂を用いた前処理法が確立された。
実施例12:標品および精製GSL類を使っての検量線作成
実施例4および実施例8と同様に各GSL類の希釈液を調製し、実施例10で確立した改変LC-MS分析に供試し、検量線を作成した。結果を図44−1〜3に示した。いずれもダイナミックレンジ3桁という広い範囲で良好な直線性が得られ、信頼係数R2値は0.98から0.999という極めて高い水準に達した。
実施例4および実施例8と同様に各GSL類の希釈液を調製し、実施例10で確立した改変LC-MS分析に供試し、検量線を作成した。結果を図44−1〜3に示した。いずれもダイナミックレンジ3桁という広い範囲で良好な直線性が得られ、信頼係数R2値は0.98から0.999という極めて高い水準に達した。
GEのみ、その0.1% (v/v) ギ酸溶液が冷蔵保存中に分解してしまったので、改めて秤量して水に溶かし、希釈列を作り直した。GEの検量線を図45に示した。極めて良好な直線性が得られ、これで15種類のGSL類の定量分析系が整った。
実施例13:シナルビン(Sin)、SGの添加回収試験
Sin(実施例4および図12の構造式を参照)は、これまでB. oleraceaから検出されたことがないので、これを用いてLC-MS分析系での添加回収試験を行なった。Sin添加試料は実施例2および図8記載のプロトコルに従って調製した。供試試料はサボイタイプのケール「カーボロネーロ」の葉を用いた。
Sin(実施例4および図12の構造式を参照)は、これまでB. oleraceaから検出されたことがないので、これを用いてLC-MS分析系での添加回収試験を行なった。Sin添加試料は実施例2および図8記載のプロトコルに従って調製した。供試試料はサボイタイプのケール「カーボロネーロ」の葉を用いた。
19.2 ngのSin(K塩1水和物)を添加した結果、回収率は89.9%と良好であった。「カーボロネーロ」葉にはSGが含まれていないので(検出限界以下)、133 ngのSGを添加して分析した結果、回収率は80.9%となり、こちらも良好な値となった。
LC-MS分析ではMS検出器の感度が変動しやすい傾向があるので、実施例9に記載したように、外部標準物質が必要である。また、試料に含まれるGSL類の抽出効率は都度に異なるので、内部標準物質を設けるのがより望ましく、B. oleracea分析に際してはSinを用いればよい。またSGはSinよりも入手が容易なので、SGが含まれない試料については、SGを内部標準と定めてもよい。
実施例14:Sinを内部標準としたGR定量分析
神奈川県産ブロッコリー市販青果(花蕾)、およびレッドキャベツスプラウト(村上農園)について、Sinを内部標準として加え、GRの定量分析を行なった(3連)。試料は図46のプロトコルに従って調製した。
神奈川県産ブロッコリー市販青果(花蕾)、およびレッドキャベツスプラウト(村上農園)について、Sinを内部標準として加え、GRの定量分析を行なった(3連)。試料は図46のプロトコルに従って調製した。
Sinの回収率は、それぞれ99.3±12.7%、91.0±10.0%と極めて良好であった。内部標準で補正を行ない、GRを定量した結果、それぞれ120±12μg/100 mg(FW)、153±10μg/100 mg(FW)と算出された。
本発明のC30カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより、アブラナ科植物由来の試料中に含まれるGSL類を精製および分析することができる。
Claims (19)
- アブラナ科植物由来の試料中に含まれるグルコシノレート(GSL)類を液体クロマトグラフィーにより精製する方法であって、該液体クロマトグラフィーがC30逆相クロマトグラフィー用カラムを用いることを特徴とする、上記方法。
- 液体クロマトグラフィーの移動相にギ酸を用いる、請求項1記載の方法。
- 液体クロマトグラフィーの移動相にギ酸アンモニウムを用いる、請求項1記載の方法。
- C30逆相クロマトグラフィー用カラムがDevelosil RPAQUEOUS-AR-5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 液体クロマトグラフィーの移動相に炭酸水素アンモニウムを用いる、請求項1記載の方法。
- C30逆相クロマトグラフィー用カラムが、Develosil RPAQUEOUSである、請求項5記載の方法。
- GSL類が、グルコイベリン(GI)、プロゴイントリン(PG)、シニグリン(SG)、グルコラファニン(GR)、グルコエルシン(GE)、グルコブラシキン(GB)、4−メトキシグルコブラシキン(4mGB)および1−メトキシグルコブラシキン(1mGB)からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 液体クロマトグラフィーが、C30逆相クロマトグラフィー用カラムに代えてエチレン架橋カラムを用いることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- エチレン架橋カラムが、Waters XBridge Shield RP18-5カラムである、請求項8記載の方法。
- 移動相として炭酸水素アンモニウムを使用する、請求項8または9に記載の方法。
- GSL類が、GB、4mGBおよび1mGBからなる群より選択される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 液体クロマトグラフィーによる精製の前に、試料を固相抽出によって処理する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 固相抽出がアミノプロピルまたはOasis(登録商標) WAX固相抽出である、請求項12記載の方法。
- アミノプロピル固相抽出時の溶出アンモニウム濃度が、1〜10%である、請求項13記載の方法。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィーによりGSL類を精製した後に質量分析により分析する、GSL類のLC−MS分析方法。
- 質量分析におけるCone電圧が40Vである、請求項15記載の方法。
- さらに、同じ条件下で分析標品を分析して作成された検量線を用いて試料中のGSL類を定量することを含む、請求項15または16に記載の方法。
- 内部標準物質としてシナルビンを用いる、請求項17記載の方法。
- さらに、質量分析の各ピークを分取して、キャピラリー電気泳動−飛行時間型質量分析法(CE-TOFMS)または核磁気共鳴(NMR)に供すことを含む、請求項15または16に記載の方法。
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