以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態となる縦列駐車支援装置について説明する。
〔第1の実施形態〕
〔装置構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施形態となる縦列駐車支援装置の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態となる縦列駐車支援装置は、車両に設けられ、図1に示すように、カメラ10,ソナー20,舵角センサ30,車輪速センサ40,モニタ50,及び駐車支援制御部60を備える。カメラ10は、自車両周囲の路面を撮像する。ソナー20は、自車両周囲に存在する障害物を検出する。舵角センサ30は、運転者による自車両のハンドルの操舵量に基づいて自車両の移動方向を検出する。
車輪速センサ40は、車輪に設けられ、自車両の移動量を検出する。モニタ50は、駐車支援制御部60内の画像データ生成部69が出力する画像データを受け、自車両上方に設定した視点位置から見下ろした画像に自車両を示す自車両アイコンVをインポーズした俯瞰画像を表示すると共に、自車両の最終的な駐車位置,途中目標位置,駐車動作可能領域等を俯瞰画像に重畳表示する。
駐車支援制御部60は、俯瞰画像生成部61,障害物検出部61,駐車スロット検出部63,最終駐車位置設定部64,途中目標位置設定部65,駐車動作可能領域設定部66,自車位置検出部67,駐車動作可能領域選択部68,画像データ生成部69,及びメモリ70を備える。
俯瞰画像生成部61は、カメラ10により撮像された撮像画像に対し視点変換を行うことにより、自車両の上方から見た画像に自車両アイコンVをインポーズした俯瞰画像を生成する。具体的には、図2(a)に示すように自車両V周囲の路面全体を撮像できるように複数のカメラ10(10a〜10d)が設けられている場合、俯瞰画像生成部61は、各カメラから入力される撮像画像の各々に対して視点変換を行って俯瞰画像IMa〜IMdを生成する。そして俯瞰画像生成部61は、図2(b)に示すように、生成された俯瞰画像を合成し、中央部に自車両アイコンVをインポーズした俯瞰画像を生成する。以下では、符号Vは自車両アイコンそのものを表す際と実際の車両を模式的に表す際の双方に用いられるものとする。
障害物検出部62は、ソナー20から出力される信号を受け、自車両の周囲に存在する障害物の位置及び障害物までの距離を特定する。駐車スロット検出部63は、俯瞰画像生成部61が生成する俯瞰画像において、自車両を駐車できる所定面積の領域(駐車スロット)を検出する。最終駐車位置設定部64は、検出された駐車スロット内に自車両を縦列駐車させることができるか否かを判定し、縦列駐車できると判定した場合、駐車スロット内における自車両の最終的な駐車位置(最終駐車位置)を設定する。途中目標位置設定部65は、自車両を後退させながら最終駐車位置に到達させる経路上に複数の途中目標位置を設定する。駐車動作可能領域設定部66は、途中目標位置の各々について、自車両を後退させて途中目標位置に到達可能な所定範囲(駐車動作可能領域)を設定する。
自車位置検出部67は、カメラ10,ソナー20,舵角センサ30,及び車輪速センサ40からの出力に基づいて、自車両の現在位置、及び自車両の最終駐車位置を基準とした位置と角度を検出する。駐車動作可能領域選択部68は、自車両の現在位置に基づいて、駐車動作可能領域設定部66により設定された複数の駐車動作可能領域の中から、自車両を内包する駐車動作可能領域を選択する。画像データ生成部69は、最終駐車位置,途中目標位置,及び途中目標位置に設定された駐車動作可能領域を俯瞰画像に重畳表示した画像をモニタ50に表示させるための画像データを生成する。
俯瞰画像生成部61,障害物検出部62,駐車スロット検出部63,最終駐車位置設定部64,途中目標位置設定部65,駐車動作可能領域設定部66,自車位置検出部67,駐車動作可能領域選択部68,及び画像データ生成部69の各機能ブロックは、周知のマイクロコンピュータにより構成されており、縦列駐車支援装置が備える図示しないCPUが図示しないROMに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
メモリ70は、自車両アイコンデータや自車両の後輪位置のデータ等を記憶する。自車両アイコンデータは、俯瞰画像に重畳表示させる自車両を示すアイコン(自車両アイコン)を作成するためのデータであり、自車両アイコンのデザインやモニタ50に表示する俯瞰画像の縮尺に応じて決まる自車両アイコンの大きさ(全長及び全幅)等を規定するデータである。自車両後輪位置データは、俯瞰画像に重畳表示させる自車両アイコンにおいて、左右後輪及びアスクル(車軸)を強調表示する際のデザインや自車両アイコンにおけるアスクルの位置等を示すデータである。メモリ70には、自車両のハンドルを一方向一杯に切った状態(フル転舵状態)で車両が後退する時の旋回方向における内側に位置する後輪の軌跡(最小回転半径軌跡)を示すデータや、ハンドルを中立位置に位置させた状態で車両が後退する時の自車両の左右後輪の軌跡を示すデータ等が記憶されている。
〔縦列駐車支援処理〕
このような構成を有する縦列駐車支援装置は、以下に示す縦列駐車支援処理を実行することにより、車両の縦列駐車を支援する。以下、図3に示すフローチャートを参照して、この縦列駐車支援処理を実行する際の縦列駐車支援装置の動作について説明する。図3に示すフローチャートは、縦列駐車支援装置が起動されたタイミングで開始となり、縦列駐車支援処理はステップS101の処理に進む。
ステップS101の処理では、俯瞰画像生成部61が、カメラ10により撮像された自車両V周囲の路面の撮像画像に対し視点変換を行い、自車両上方から見た画像に自車両アイコンVをインポーズした俯瞰画像を生成する。自車両アイコンVは、メモリ70に記憶されている自車両アイコンデータを読み込むことにより生成される。また撮像画像の俯瞰画像への変換は、メモリ70に記憶されている各カメラ10から入力される撮像画像の各画素と俯瞰画像の各画素との対応関係を規定した変換マップ(図示せず)を参照して行われる。これにより、ステップS101の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS102の処理に進む。
ステップS102の処理では、障害物検出部62が、ソナー20からの出力信号に基づいて、自車両V周囲に存在する障害物を検出し、検出された障害物の位置及び障害物までの距離を特定する。これにより、ステップS102の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS103の処理に進む。
ステップS103の処理では、駐車スロット検出部63が、俯瞰画像生成部61により生成された俯瞰画像において駐車スロットを検索する。駐車スロットの検索は、俯瞰画像において従来公知の白線検出処理等を行って、路面上に描かれた駐車枠を示す白線を検出し、障害物が存在しない白線で囲まれた領域を駐車スロットとすることや、障害物検出部62により検出された障害物の位置情報に基づいて障害物が存在しない所定の広さを有する領域を検出し、検出された領域を駐車スロットとすること、等により行われる。なお駐車枠は、枠線に限定されることはなく、前後方向に他車両があり、左側には壁やガードレール等の障害物がある領域も含まれる。これにより、ステップS103の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS104の処理に進む。
ステップS104の処理では、最終駐車位置設定部64が、俯瞰画像において検出された駐車スロットに対して自車両の縦列駐車を行うことができるか否かを判定する。具体的には、最終駐車位置設定部64は、メモリ70に記憶されている自車両アイコンデータを参照して俯瞰画像において自車両が占める範囲を特定し、検索された駐車スロットが自車両を縦列駐車できる面積及び形状を有しているか否かに基づいて、俯瞰画像において検出された駐車スロットに対して自車両の縦列駐車を行うことができるか否かを判定する。判定の結果、縦列駐車を行うことができないと判定した場合、最終駐車位置設定部64は縦列駐車支援処理をステップS103の処理に戻す。一方、縦列駐車を行うことができると判定した場合には、最終駐車位置設定部64は縦列駐車支援処理をステップS105の処理に進める。
ステップS105の処理では、最終駐車位置設定部64が、駐車可能であると判定された駐車スロット内における自車両の最終駐車位置を自車両のリアオーバーハングを考慮の上で設定する。具体的には、図4(a)に示すような駐車スロットSが検出された場合、最終駐車位置設定部64は、自車両アイコンVfで示す位置を最終駐車位置に設定する。以下では、符号Vfは駐車可能な駐車スロットに設定された最終駐車位置を表す際と最終駐車位置にある自車両アイコンを表す際の双方に用いられるものとする。これにより、ステップS105の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS106の処理に進む。
ステップS106の処理では、途中目標位置設定部65が、自車両がハンドルを一方向に一杯に切った状態で旋回しながら後退して最終駐車位置に到達する際の、旋回方向における内側に位置する後輪の最小回転半径軌跡を自車両アイコンVf内に表示された後輪車軸Pを基準として設定する。具体的には、図4(a)に示す例では、自車両は駐車スロットSの右側から最終駐車位置Vfに向けて後退移動して縦列駐車を行う。従って、途中目標位置設定部65は、図4(b)に示すように、ハンドルを右方向に一杯に切った状態(右フル転舵状態)で自車両が旋回しながら後退して最終駐車位置Vfに到達する際の右側後輪Wの軌跡を最小回転半径軌跡Rとして設定する。最小回転半径軌跡Rの範囲は、後輪車軸Pを基準として最小回転半径軌跡Rの旋回中心O周りに90度の範囲に設定される。また最小回転半径は車種により異なるので、最小回転半径軌跡Rはメモリ70に記憶されている自車両の左右後輪の最小回転半径軌跡を示すデータを参照して設定される。これにより、ステップS106の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS107の処理に進む。
ステップS107の処理では、途中目標位置設定部65が、最小回転半径軌跡Rに沿って途中目標位置を複数設定する。具体的には、途中目標位置設定部65は、図5(a)に示すように、最小回転半径軌跡Rの旋回中心Oを通る法線100〜105を旋回中心O周りに15°(θ=15°)刻みで設定する。そして途中目標位置設定部65は、最小回転半径軌跡Rと各法線の交点から、法線に沿って旋回中心Oとは反対側に伸びる所定長さの範囲をそれぞれ途中目標位置として設定する。本実施形態では、途中目標位置設定部65は、俯瞰画像に表されている自車両Vの車幅と同じ長さ(後輪車軸Pの長さ)を途中目標位置の所定長さとしている。この処理によれば、図5(b)に示すように、一端が最小回転半径軌跡Rに接すると共に旋回中心Oを基準として径方向に伸びる線分が複数設定され、これら複数の線分が途中目標位置110〜115とされる。これにより、ステップS107の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS108の処理に進む。
ステップS108の処理では、駐車動作可能領域設定部66が、設定した途中目標位置の各々について、途中目標位置を基準とした駐車動作可能領域を設定する。具体的には、駐車動作可能領域設定部66は、始めに図6(a)に示すように、途中目標位置112の端部112aを通り、途中目標位置112の線分と直交する線分112cを設定する。この線分112cは、ハンドルを中立位置に位置させた状態で車両を途中目標位置112に向けて直進後退させる際の、自車両右側後輪の軌跡を示す線分である。なおこの線分112cは、最小回転半径軌跡Rを示す曲線の点112aを通る接線である。次に、駐車動作可能領域設定部66は、途中目標位置112の端部112bを始点とする最小回転半径軌跡の線分112dとこの線分112dに接続する線分112eを設定する。最小回転半径軌跡の線分112dは、ハンドルを左方向に一杯に切った状態で車両を旋回させながら途中目標位置112に向けて後退させる際の自車両左側後輪の軌跡を示す線分である。この線分112dは、最小回転半径軌跡Rと同じ半径及び曲率を有する曲線であり、線分112を基準として旋回中心O’周りに90°の範囲で設定される。そしてこの線分112dには、ハンドルを中心位置に位置させた状態で車両を直進後退させる際の自車両左側後輪の軌跡を示す線分112eが接続されている。そして駐車動作可能領域設定部66は、このようにして途中目標位置112の線分の両端から最終駐車位置に自車両が位置する際の後輪車軸を示す線分Pとは反対側に延びる線分(線分112c,線分112d,112e)を設定し、線分112,112c,112d,112eに囲まれる側に位置する領域Xを途中目標位置112の駐車動作可能領域に設定する。なお、駐車動作可能領域内に位置する車両は、ハンドルを中心位置から左フル転舵した位置までの範囲内で操作しながら後退することで、途中目標位置112に到達できることを示している。以下、途中目標位置112に設定された駐車動作可能領域を規定する線分のひとまとまりを符号122を用いて単に駐車動作可能領域122と表記する。同様にして、他の途中目標位置110,111,113,114,115についても駐車動作可能領域を規定する複数の線分が設定される。これにより、図6(b)に示すような駐車動作可能領域を示す線分120〜125が各途中目標位置110〜115について設定される。これにより、ステップS108の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS109の処理に進む。
ステップS109の処理では、自車位置検出部67が、最終駐車位置Vfを基準とした自車両Vの相対位置を求め、求めた相対位置を自車位置とする。自車位置の算出は、カメラ10により撮像された撮像画像の時系列処理の結果や、障害物検出部62により検出された障害物の位置や障害物との距離、及び舵角センサ30や車輪速センサ40の出力値等に基づき行われる。これにより、ステップS109の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS110の処理に進む。
ステップS110の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、駐車動作可能領域の各々について、自車両が包含されるか否かを確認する。具体的には、駐車動作可能領域選択部68は、自車位置検出部67で求めた自車位置とメモリ70に記憶されている自車アイコンデータとに基づいて、俯瞰画像において自車両が占める範囲を特定する。そして駐車動作可能領域選択部68は、各途中目標位置110〜115について設定された駐車動作可能領域120〜125の各々について、自車両が包含されているか否かを確認する。そして確認の結果、自車両が包含されていると確認された場合、駐車動作可能領域選択部68は、ステップS111の処理として駐車動作可能領域に対して「表示フラグ」を設定した後、縦列駐車支援処理をステップS113の処理に進める。一方、自車両が包含されていないと確認された場合には、駐車動作可能領域選択部68は、ステップS112の処理として駐車動作可能領域に対して「非表示フラグ」を設定した後、縦列駐車支援処理をステップS113の処理に進める。図7乃至図11は、自車両が駐車動作可能領域に包含されているか否かの判断と俯瞰画像に表示する駐車動作可能領域を説明する図である。例えば俯瞰画像において自車両が図7に示す位置にある場合、自車両Vは図中実線で示す駐車動作可能領域122,123に包含されている。従って、これら駐車動作可能領域122,123について「表示フラグ」が設定され、これら駐車動作可能領域委がの駐車動作可能領域(120,121,124,125)について「非表示フラグ」が設定される。
ステップS113の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、駐車動作可能領域設定部66で設定された全ての駐車動作可能領域について、フラグ設定が完了しているか否かを確認する。そして確認の結果、フラグ設定が完了していない場合、駐車動作可能領域選択部68は、縦列駐車支援処理をステップS110の処理に戻す。一方、フラグ設定が完了している場合には、駐車動作可能領域選択部68は、縦列駐車支援処理をステップS114の処理に進める。
ステップS114の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、「表示フラグ」が設定された駐車動作可能領域をモニタ50に表示させる駐車動作可能領域として選択する。従って図7に示す例では、駐車動作可能領域122,123がモニタ50に表示させる駐車動作可能領域として選択される。これにより、ステップS114の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS115の処理に進む。
ステップS115の処理では、画像データ生成部69が、選択された駐車動作可能領域、駐車動作可能領域が設定された途中目標位置,自車両アイコン,及び最終駐車位置を俯瞰画像に重畳表示した画像をモニタ50に表示させるための画像データを生成し、生成された画像データをモニタ50に出力する。このような処理によれば、自車両周囲の路面の俯瞰画像がモニタ50に表示され、俯瞰画像において、自車両を包含する駐車動作可能領域と駐車動作可能領域が設定された途中目標位置と、最終駐車位置等が重畳表示される。従って図7に示す例では、駐車動作可能領域122,123が選択されているので、図8に示すように、自車両アイコンV、最終駐車位置Vf、途中目標位置112,113、及び途中目標位置112,113」に設定された駐車動作可能領域122,123が俯瞰画像に重畳表示される。
なお俯瞰画像に表示される最終駐車位置Vfと自車両Vを示すアイコンでは、自車両後輪車軸の部分を強調するのみならず、後輪もまた強調表示されるようにすることが望ましい(図8参照)。このような処理によれば、モニタ50に表示された自車両アイコンVのどの位置を基準に位置合わせをすれば良いのかがわかりやすくなるので、俯瞰画像に表示された自車両アイコンV等を参照しつつハンドルを操作する運転者が位置合わせを行いやすくなる。また複数の駐車動作可能領域を同時に表示する場合、各駐車動作可能領域を区別できるようにすることが望ましい。よって、駐車動作可能領域毎に異なる色で表示することや、最終駐車位置から離れた位置にある途中目標位置の駐車動作可能領域ほど、図中手前側に表示されるようにすることが好ましい。
図9に示す位置に自車両が位置する場合、自車両Vは駐車動作可能領域122,123,124に包含されているので、図10に示すように、最終駐車位置Vf、自車両アイコンVf、途中目標位置112,113,114、及びこれら途中目標位置に設定された駐車動作可能領域122,123,124が俯瞰画像に重畳表示される。また図11に示す位置に自車両が位置する場合、自車両Vは駐車動作可能領域120〜125のいずれにも包含されていない。この場合、自車両Vを後退させても自車両Vを途中目標位置に到達させて自車両の右後輪を最小半径後退軌跡Rに乗せることはできない。すなわち、自車両Vの現在位置は最終駐車位置Vfに到達できない位置である。この場合、いずれかの駐車動作可能領域に包含されている位置に車両を移動させるために、車両の前進を促す文字メッセージがモニタ50に重畳表示される、及び/又は、図示しないスピーカから「車両を前進させて下さい」等の音声メッセージが出力される。また図11に示す位置に自車両が位置する場合、俯瞰画像内に駐車動作可能領域は原則として表示されない。しかしながら、運転者が自車両Vを前進させて移動すべき範囲を認識できるようにするために、駐車動作可能領域のアウトラインを自車両Vのアイコンと共に重畳表示するようにしてもよい。これにより、ステップS115の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS116の処理に進む。
ステップS116の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、自車両の現在位置が最終駐車位置であるか否かを判定する。判定の結果、自車両の現在位置が最終駐車位置である場合、駐車動作可能領域選択部68は、ステップS118の処理として、縦列駐車支援の終了を告げる文字メッセージをモニタ50に表示する、及び/又は、図示しないスピーカから「縦列駐車支援を終了します」等の音声メッセージを出力した後、縦列駐車支援処理を終了する。一方、自車両の現在位置が最終駐車位置でない場合には、駐車動作可能領域選択部68は、ステップS117の処理として、車輪速センサ40等の出力をモニタして自車両が移動しているか否かを判定する。そして判定の結果、自車両が移動していない場合、駐車動作可能領域選択部68は、自車両の移動が確認されるまで待機する。一方、自車両が移動している場合には、駐車動作可能領域選択部68は、縦列駐車支援処理をステップS109の処理に戻す。これにより、モニタ50に表示させる駐車動作可能領域の選択とモニタ50に表示した俯瞰画像への自車両アイコンVや駐車動作可能領域の重畳表示とが、自車両が最終駐車位置に到達するまで繰り返し実行されることになる。
上記説明では、モニタ50に表示させる駐車動作可能領域の選択と選択した駐車動作可能領域の俯瞰画像への表示等を行う際の基本的な処理について説明した。従って、縦列駐車の支援を行う場合、ステップS117の処理において自車両が移動したと判定された後、図示しない駐車支援情報提示部が、俯瞰画像に表示された途中目標位置のうちのいずれかに到達したか否かを判定し、途中目標位置に到着した場合、ハンドル操作等を指示する駐車支援メッセージの提示処理が行われることになる。例えば図8に示す例の場合、途中目標位置に到達した後は、自車両はハンドルを右方向にフル転舵して車両を後退させることで最終駐車位置Vfに到達できるので、自車両Vが後退して途中目標位置112,113のうちの一方に到達した時点で、図示しない駐車支援情報提示部が、「ハンドルを右方向にフル転舵して下さい」等の文字メッセージをモニタ50に重畳表示する、及び/又は、「ハンドルを右方向にフル転舵して下さい」等の音声メッセージを図示しないスピーカから出力させることになる。
上記ステップS103〜S105,駐車スロット検出部63,及び最終駐車位置設定部64が本発明における駐車位置設定部に対応し、ステップS106〜107と途中目標位置設定部65が本発明における途中目標位置設定部に対応し、ステップS108と駐車動作可能領域設定部66が本発明における駐車動作可能領域設定部に対応し、ステップS110〜S114と駐車動作可能領域選択部68が本発明における駐車動作可能領域選択部に対応し、ステップS115と画像データ生成部69が本発明における画像生成部に対応する。
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態となる縦列駐車支援装置では、車両に搭載されたカメラ10により自車両Vの周囲路面を撮像して得られる撮像画像から、自車両上方から見た画像を生成すると共に、自車両アイコンVをインポーズした俯瞰画像を生成し、俯瞰画像において、自車両Vの最終駐車位置を設定する最終駐車位置設定部64と、自車両を最終駐車位置に向けて後退させる際の最中駐車位置への到達経路上に途中目標位置を複数設定する途中目標位置設定部64と、途中目標位置の各々について、自車両を後退させて途中目標位置に到達可能な俯瞰画像内の所定範囲を駐車動作可能領域として設定する駐車動作可能領域設定部66と、途中目標位置の各々に設定された駐車動作可能領域の中から自車両が内包される駐車動作可能領域を、自車位置検出部67で検出された自車両の現在位置に基づいて選択する駐車動作可能領域選択部68と、選択された駐車動作可能領域が設定された途中目標位置及び駐車位置を俯瞰画像に重畳表示した画蔵をモニタ50に表示する画像データを生成する画像データ生成部69とを備える縦列駐車支援装置とした。これにより、モニタ50に駐車動作可能領域が表示されるか否かを確認するだけで、自車両の現在位置から最終駐車位置に到達可能であるか否かを把握することができる。
途中目標位置設定部65は、自車両Vが最小回転半径で旋回しながら最終駐車位置に向けて後退する際の、旋回方向における内側に位置する自車両後輪の後退軌跡に沿って途中目標位置を設定する構成とした。これにより、途中目標位置は、ハンドルを左又は右方向に一杯に切った状態で車両を後退させる際の最小回転半径軌跡上に設定されるので、自車両Vが途中目標位置に到達した後はハンドルを一方向に一杯に切った状態(フル転舵状態)で車両を後退させるだけで最終駐車位置に到達することができる。従って、単純なハンドル操作で自車両を最終駐車位置に到達させることができる。
駐車動作可能領域選択部68は、自車両Vを内包する駐車動作可能領域を複数選択し、画像データ生成部69は、選択された駐車動作可能領域が設定された途中目標位置のすべてを最終駐車位置と共に俯瞰画像に重畳表示した画像をモニタ50に表示させる構成とした。これにより、自車両Vの現在位置から到達可能な途中目標位置のすべてがモニタ50上に表示されるので、自車両の運転者はモニタ50に表示された複数の途中目標位置の中から自車両Vを到達させやすい位置にある途中目標位置を選択し、選択された途中目標位置に向けて自車両を後退させることができる。
画像データ生成部69は、途中目標位置に設定された駐車動作可能領域も俯瞰画像に重畳表示する構成とした。これにより、俯瞰画像には、自車両アイコンV,最終駐車位置Vf,途中目標位置に加えて、途中目標位置に向けて自車両を移動させることが可能な駐車動作可能領域が重畳表示される。従って、重畳表示された駐車動作可能領域の形状により、途中目標位置に到達するまでのハンドル操作の方向を想起しやすくなり、駐車操作をより簡単に行うことができる。
駐車動作可能領域設定部68は、ハンドルを中立位置から左又は右方向に一杯に切った位置までの範囲内に位置させて自車両を後退させた際に途中目標位置に到達可能な所定範囲を駐車動作可能領域として設定する構成とした。これにより、途中目標位置の両端から延びる駐車動作可能領域の左右の境界線のうちの一方の境界線が直線に、他方の境界線が自車両の最小回転半径軌跡Rと同じ曲率及び半径を有する曲線になるので、途中目標位置に向けて自車両を移動させる際のハンドルの転舵方向を一方向にのみ限定できる。例えば図6(a)に示すように、途中目標位置112の右側境界線112cを直線とし、左側境界線112dを曲線とした場合は、途中目標位置112に至るまでのハンドルの転舵方向を中立位置から左方向の範囲にのみ限定できる。従って、途中目標位置に至るまでの間のハンドルの転舵方向を想起しやすくなる。
特にハンドルを一方向にフル転舵した状態で自車両を後退させた際に途中目標位置に到達可能な所定範囲が駐車動作可能領域として設定されているので、自車両が最終駐車位置から離れた位置にあるほど駐車動作可能領域が広く、最終駐車位置に近い位置にあるほど駐車動作可能領域が狭くなる。これにより、細かなハンドル操作を要求される最終駐車位置の近傍に到達する前の最終駐車位置から離れた位置では、大雑把なハンドル操作で自車両を最終駐車位置(駐車スロット)に向けて後退させる操作を行うことができるので、運転者に対するハンドル操作の負担や駐車操作に伴う精神的な負担を低減させることができる。従って、例えば交通量の多い道路で縦列駐車を行う場合、最終駐車位置に到達する前の細かなハンドル操作が必要な位置の手間のハンドル操作の許容範囲が大きい位置において、後続車が自車両の脇を通過するスペースを容易に確保することができる。これにより、交通量の多い道路で縦列駐車を行う場合における、運転者の精神的な負担を低減することができる。
このように最終駐車位置から離れている場合には、駐車動作可能領域は広く、1つの理想軌跡に限定されない。そして最終駐車位置に近付くに従って駐車動作可能領域は狭くなり、その軌跡も絞られる。本発明に係る縦列駐車支援装置は、最終駐車位置への軌跡を一義的に教示するものではなく、最終駐車位置への到達可否を判断し、到達可能な経路を含む領域を教示するようにしている。従って、最終駐車位置に到達できる位置に自車両が位置するのにも係わらず装置が教示した一義的な軌跡から外れたために支援されないという状況が生じることがない。
自車両の後輪車軸を基準として、最小回転半径軌跡Rを設定した上で最終駐車位置と途中目標位置とが設定される構成とした。車両が最小回転半径で旋回しながら後退する際の自車両の移動軌跡(最小回転半径軌跡)を示す曲線の旋回中心は後輪車軸の延長線上に位置する。従って、自車両の後輪車軸を基準として最終駐車位置と途中目標位置とを設定することにより、自車両の後退時の旋回軌跡を予測しやすくなる。
駐車動作可能領域選択部は、俯瞰画像に重畳表示された自車両アイコンVを内包する駐車動作可能領域を複数の駐車動作可能領域の中から選択する構成とした。これにより、自車両アイコンVの画素範囲が駐車動作可能領域の画素範囲内に収まっているか否か、すなわち画素範囲の重なりに基づいて途中目標位置へ到達できる駐車動作可能領域の選択が行われることになる。従って、途中目標位置、そしてその先にある最終駐車位置へ自車両が到達できるか否かの判断を、車両の軌道計算を必要とせずに、画素範囲の重なりに基づいて行うことができるので、CPUの演算負担を軽減できる。
俯瞰画像はカメラ10からの画像データを自車両上方の視点位置から見下ろした画像に変換したものであり、俯瞰画像の中央部に自車両アイコンVがインポーズされている構成とした。これにより、俯瞰画像内における自車両と駐車位置の変化を単純な動きとして捉えることができると共に、自車両と途中目標位置及び最終駐車位置との位置関係を簡単に把握することができる。
図12及び図13は、俯瞰画像に重畳表示される駐車動作可能領域の変形例を説明する図である。上記実施例では、自車両Vの最小回転半径軌跡Rを示す曲線に沿ってその曲線の旋回中心Oを基準として15度刻みで途中目標位置を複数設定し、各途中目標位置の駐車動作可能領域のうちの自車両が包含される駐車動作可能領域を俯瞰画像に重畳表示するようにした(図6乃至図8参照)。変形例に係る駐車動作可能領域は、自車両の外周位置を検出し、検出された自車両Vの外周の右側と接する右側境界線を有する駐車動作可能領域と、検出された自車両Vの外周の左側と接する左側境界線を有する駐車動作可能領域とを求めて、俯瞰画像に重畳表示する駐車動作可能領域を設定する。ここで、駐車動作可能領域の右側境界線とは、途中目標位置の右端から延びる自車両の右側後輪の軌跡を示す線分を意味し、左側境界線とは、途中目標位置の左端から延びる自車両の左側後輪の軌跡を示す線分を意味する。
例えば図12に示す位置に自車両Vが位置する場合、途中目標位置200の駐車動作可能領域の右側境界線201が自車両Vの右側と接しており、途中目標位置220の駐車動作可能領域の左側境界線222が自車両Vの左側と接している。従って、途中目標位置200に設定された駐車動作可能領域から、途中目標位置220に設定された駐車動作可能領域を1つにまとめた所定範囲が、俯瞰画像に重畳表示される駐車動作可能領域となる。そして途中目標位置200を示す線分から途中目標位置220を示す線分までの最小回転半径軌跡Rに沿った所定範囲Mが途中目標位置として俯瞰画像に重畳表示される。このようにすることで、運転者は所定の面積を有する途中目標位置に向けて自車両アイコンVが移動するように自車両を後退させるので、途中目標位置が所定長さの線分で表示される場合よりも自車両の後退操作を行いやすい。
図12に示すような表示形態とした場合、自車両Vを途中目標位置Mに向けて直進後退させると、経時的に変化する自車両の位置に応じて、自車両Vの左側と接する駐車動作可能領域の左側境界線が変化する。例えば図13に示すように、自車両Vが図中符号P1で示す位置から図中符号P2で示す位置に向けて直進後退すると、自車両Vの外周の左側と接する左側境界線が途中目標位置220の左側境界線から途中目標位置210に設定された境界線に向けて変化する。この結果、駐車動作可能領域の右側境界線の位置が図中符号221で示す線分から符号221で示す線分に向けて変化し、駐車動作可能領域の範囲が狭くなる。またこれと同時に、途中目標位置Mの範囲を規定していた線分220の位置が図中符号210で示す位置に向けて変化して途中目標位置Mの範囲も狭くなる。すなわち、自車両が途中目標位置Mに近付くほど、駐車動作可能領域と途中目標位置の表示範囲が狭くなる。
このようにすることで、途中目標位置から離れた位置にある程、駐車動作可能領域が広くなるので、自車両の縦列駐車を誘導しやすくなる。そして、途中目標位置に向けて自車両が移動するのに従って駐車動作可能領域と途中目標位置とが狭くなるので、運転者は徐々に狭くなる駐車動作可能領域と途中目標位置に合わせて自車両を移動させることで、途中目標位置に自車両を正確に移動させることができる。
図14,図15は、駐車動作可能領域の変形例を説明する図である。上記実施例では、ハンドルを中立位置から左方向にフル転舵した位置までの範囲内に位置させて自車両を後退させることで途中目標位置に到達可能な所定範囲を駐車動作可能領域としていた。すなわち、図14(a)に示すように、途中目標位置Tに右端から延びる自車両の右後輪の軌跡を示す線分R(駐車動作可能領域の右側境界線)がハンドルを中立位置に保持した状態で車両を後退させる際の軌跡を示し、途中目標位置Tの右端から延びる自車両の左後輪の軌跡を示す線分L(駐車動作可能領域の左側境界線)がハンドルを中立位置で所定時間保持した後に左フル転舵状態にして車両を後退させる際の軌跡を示していた。
しかしながら、駐車動作可能領域として設定する範囲や途中目標位置の両端から延びる線分R,Lの長さ等は適宜変更可能である。従って図14(a)に示す線分Lの長さをハンドルの左方向にフル転舵した状態で車両を後退させる際の最小回転半径軌跡の旋回中心O周りの90度の範囲に限定した、図14(b)に示すような駐車動作可能領域としてもよい。また図14(c)に示すように、線分Rと線分Lの先端同士を結ぶ線分を引き、この線分と線分T,L,Rの合計4つの線分で囲まれた範囲内のみを駐車動作可能領域としてもよい。
図14(a)に示す線分Rと線分Lのうち、ハンドルを中立位置に保持した状態で車両を後退させる際の軌跡の相当部分の長さを長くして、図14(d)に示すような駐車動作可能領域として駐車動作可能領域がより広い範囲にわたって設定されるようにしてもよい。また線分Rをハンドルを右方向にフル転舵した状態で車両を後退させる際の右側後輪の最小回転半径軌跡とし、線分Lをハンドルを左方向にフル転舵した状態で車両を後退させる際の左側後輪の最小回転半径軌跡とし、且つ、線分R,Lの長さを最小回転半径軌跡の旋回中心O周りの90度の範囲に限定した、図14(e)に示すような駐車動作可能領域としてもよい。
図15は、図14(e)に示す駐車動作可能領域を採用した場合の俯瞰画像を説明する図である。図14(e)に示す駐車動作可能領域を採用すると、図15に示す例の場合、各途中目標位置110a〜115aに対して符号120a〜125aで示す駐車動作可能領域が自車両Vの最小回転半径軌跡Rに沿って複数形成されることになる。従って、途中目標位置へ到達可能な領域がより広い範囲にわたって設定されるので、縦列駐車操作のばらつきが大きい初心者でも最終駐車位置Vfまでの自車両Vの移動を容易に行うことができ、初心者の縦列駐車を好適に支援することができる。なお図15に示す例の場合、自車両アイコンVは駐車動作可能領域120a〜122a内に内包されるので、モニタ50に表示される俯瞰画像では、駐車動作可能領域120a〜122aが途中目標位置110a〜112a及び最終駐車位置Vfと共に重畳表示される。
図16は、最終駐車位置や途中目標位置の変形例を説明する図である。上記実施例では、自車両の後輪車軸Pの位置を基準として最終駐車位置や途中目標位置を設定した。このため、俯瞰画像に重畳表示される自車両アイコンでは、自車両の後輪の車軸が強調表示される、自車両の後輪の車軸と略同じ形状のアイコンを最終駐車位置や途中目標位置を示すアイコンとして採用していた(図8参照)。ここで、これら最終駐車位置や途中目標位置は、自車両の後端部を基準として設定するようにしてもよい。この場合、途中目標位置に設定する際に用いられる最小回転半径軌跡は、自車両の旋回方向における内側に位置する後輪を基準として設定されるので、少なくとも後輪車軸を含む自車両の後端部を基準とすることが望ましい。
自車両の後端側の自車両の車軸からリアバンパーまでの範囲を基準とすると、図16(a)に示すように、自車両アイコンVにおいて自車両の車軸からリアバンパーまでの範囲が強調表示される。そしてこの範囲の形状を模したアイコンが最終駐車位置や途中目標位置を示すアイコンとして採用される。従って図16(a)に示す例の場合、自車両Vは図中実線で示す駐車動作可能領域122bにのみ包含される位置にあるので、モニタ50に表示される俯瞰画像では、駐車動作可能領域122bが途中目標位置112b,最終駐車位置Vf,そして自車両アイコンVと共に重畳表示されることになる。従って、自車両の運転者は、ハンドルを中立位置から左方向にフル転舵した位置までの範囲内で操作しながら、自車両アイコンVの後端部が途中目標位置112bと一致するまで自車両Vを後退させる。そして途中目標位置112bと一致した後は、ハンドルを右方向にフル転舵させた状態で自車両アイコンVの後端部が最終駐車位置VfのアイコンPと一致するまで自車両を後退させることでえ縦列駐車を行うことになる。
このゆに自車両の後端部を基準として最終駐車位置や途中目標位置が設定されるようにすると、縦列駐車の際に自車両アイコンの車軸からリアバンパーまでの範囲を基準として最終駐車位置や途中目標位置との位置合わせが行われることになる。この場合、自車両を示すアイコンで強調表示されている後輪車軸の位置合わせと自車両の後方に位置する障害物との接触を回避しつつ行うリアバンパーの位置合わせとが同時に行うことになるので、縦列駐車時における運転者の負担を軽減することがでっきる。また最終駐車位置と途中目標位置とを示すアイコンが自車両の後端部の形状と同じなので、位置合わせを直線的に行うことができ、位置合わせが容易になる。
駐車動作可能領域として図14(e)に示す駐車動作可能領域を採用した場合、図16(b)に示すような駐車動作可能領域となる。この図に示す例の場合、自車両を示すアイコンVは、図中実線で示す駐車動作可能領域120c〜122cに包含される位置にあるので、最終駐車位置Pを示すアイコン,駐車動作可能領域120c〜122c,途中目標位置110c〜112c,最終駐車位置Vf,そして自車両アイコンVが俯瞰画像に重畳表示されることになる。従って、自車両の運転者は、自車両アイコンVの後端部が途中目標位置110c〜112cのうちのいずれかと一致するまで自車両を後退させる。そして途中目標位置と一致した後は最終駐車位置VfのアイコンPと一致するまで自車両を後退させて縦列駐車を行うことになる。
上記実施例では、自車両が包含される駐車動作可能領域が複数存在する場合、旋回中心O周りに所定角度刻みで設定されている駐車動作可能領域をそれぞれ表示していた(図8参照)。しかしながら、自車両が包含される複数の駐車動作可能領域をまとめて1つの駐車動作可能領域として、俯瞰画像に重畳表示するようにしてもよい。例えば図8に示す例の場合には、駐車動作可能領域122,123の外周で囲まれた範囲が1つの駐車動作可能領域として表示されることになる。従って、自車両が包含される駐車動作可能領域が複数存在する場合であっても、俯瞰画像において駐車動作可能領域が1つにまとめて表示されるので、駐車動作可能領域の範囲がわかりやすくなる。
〔第2の実施形態〕
〔装置構成〕
次に、図17を参照して、本発明の第2の実施形態となる縦列駐車支援装置の構成について説明する。
本発明の第2の実施形態となる縦列駐車支援装置は、車両に設けられ、図17に示すように、カメラ10,ソナー20,モニタ50,及び駐車支援制御部60を備える。なおカメラ10,ソナー20,及びモニタ50は、第1の実施形態の縦列駐車支援装置におけるそれと同じであるので、以下ではその詳細な説明は省略する。駐車支援制御部60は、俯瞰画像生成部61,障害物検出部62,駐車スロット検出部63,最終駐車位置設定部64,途中目標位置設定部75,駐車動作可能領域設定部76,画像データ生成部69,及びメモリ70を備える。なお俯瞰画像生成部61,駐車スロット検出部63,最終駐車位置設定部64,及び画像データ生成部69は、第1の実施形態の縦列駐車支援装置におけるそれと同じであるので、以下ではその詳細な説明は省略する。
障害物検出部62は、ソナー20から出力される信号を受け、自車両の周囲に存在する障害物の位置及び障害物までの距離を特定する。本実施形態では、障害物検出部62は、駐車スロット長手方向距離検出部62aと、対向スペース横方向距離検出部62bを備える。駐車スロット長手方向距離検出部62aは、自車両が駐車する駐車スロットの長手方向(Y軸方向)距離を検出する。対向スペース横方向距離検出部62bは、自車両の駐車位置に対向する位置に存在する障害物と自車両との間の距離、より具体的には、自車両から見て駐車スロット右側の方向転換するスペース(対向スペース)の横方向(X軸方向)距離を検出する。
途中目標位置設定部75は、障害物検出部62により検出された駐車スロットの長手方向距離と対向スペースの横方向距離とに基づいて、自車両を後退させながら最終駐車位置に到達させる経路上に途中目標位置を設定する。駐車動作可能領域設定部76は、途中目標位置設定部75により設定された途中目標位置に自車両を後退させて到達可能な所定範囲(駐車動作可能領域)を設定する。俯瞰画像生成部61,障害物検出部62,駐車スロット検出部63,最終駐車位置設定部64,途中目標位置設定部75,駐車動作可能領域設定部76,及び画像データ生成部69の各機能ブロックは、周知のマイクロコンピュータにより構成されており、縦列駐車支援装置が備える図示しないCPUが図示しないROMに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。メモリ70は、上記第1の実施形態におけるメモリ70内に記憶されているデータに加えて、自車両のハンドルを一方向一杯に切った状態で車両が後退する時の車両の右前端部の軌跡を示すデータ等が記憶されている。
〔縦列駐車支援処理〕
このような構成を有する縦列駐車支援装置は、以下に示す縦列駐車支援処理を実行することにより、車両の縦列駐車を支援する。以下、図18に示すフローチャートを参照して、この縦列駐車支援処理を実行する際の縦列駐車支援装置の動作について説明する。図18に示すフローチャートは、縦列駐車支援装置が起動されたタイミングで開始となり、縦列駐車支援処理はステップS201の処理に進む。なおステップS201〜ステップS205の処理は、上記ステップS101〜ステップS105の処理と同じ内容であるので以下ではその説明を省略し、ステップS206の処理から説明を始める。
ステップS206の処理では、駐車スロット長手方向距離検出部63aが、ステップS203の処理により検索された駐車スロットSの長手方向(Y方向)距離DL(図19(a)参照)を算出する。これにより、ステップS206の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS207の処理に進む。
ステップS207の処理では、途中目標位置設定部75が、自車両がハンドルを一方向に一杯に切った状態で旋回しながら後退して最終駐車位置に到達する際に、右後輪WR及び左後輪WLが描く軌跡RR及び軌跡RLを自車両アイコンVf内に表示された後輪車軸Pを基準として設定する。具体的には、図19(a)に示す例では、自車両はハンドルを右方向に一杯に切った状態(右フル転舵状態)で駐車スロットSの右側から最終駐車位置Vfに向けて後退移動して縦列駐車を行う。従って、途中目標位置設定部75は、図19(b)に示すように、ハンドルを右方向に一杯に切った状態で自車両が旋回しながら後退して最終駐車位置Vfに到達する際の右後輪WR及び左後輪WLの軌跡RR及び軌跡RLを設定する。これにより、ステップS207の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS208の処理に進む。
ステップS208の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS203の処理により検索された駐車スロットSの最終駐車位置Vfから見て右前の角点PR(図19(a)参照)を設定する。この角点PRは、最小回転半径の後退動作で最終駐車位置に到達する時に自車両左前部との間の距離が最小になる駐車スロットS側の位置を示す。これにより、ステップS208の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS209の処理に進む。
ステップS209の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS206の処理により算出された駐車スロットSの長手方向距離DLを利用して、図20に示すように、ステップS208の処理により設定された角点PRを通り、且つ、ステップS207の処理により設定された左側後輪WLの軌跡RLに接する直線Lを演算する。この直線Lは、ハンドルを中立位置に保持した状態で駐車スロットSに接触することなく駐車スロットSの長手方向に対し最も平行に近い角度で自車両を駐車させる際の左側後輪WLの軌跡となる。これにより、ステップS209の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS210の処理に進む。
ステップS210の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS209により演算された直線Lの最終目標位置の左右方向に対する傾き角度θ(図20参照)を算出する。この角度θは、最終駐車位置(駐車スロットSの長手方向)に対し平行な角度からハンドルを左方向に転舵させて直線Lに沿って後退を開始する際に必要となる自車両の旋回角度となる。これにより、ステップS210の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS211の処理に進む。
ステップS211の処理では、途中目標位置設定部75が、以下の数式1を利用して、最終駐車位置に対し平行な位置P1から自車両がハンドルを傾き角度θだけ左方向に転舵させた時の自車両右前部のはみ出し量D1を算出する(図21参照)。なお数式1中、R1は最終駐車位置に対し平行な位置P1から自車両がハンドルを傾き角度θだけ左方向に転舵させた時の自車両右前部の最小旋回半径R3(旋回中心O2)、αは車両により定められる所定値、θはステップS210の処理により算出された傾き角度、R2は最終駐車位置に対し平行な位置P1から自車両がハンドルを傾き角度θだけ左方向に転舵させた時の旋回外側後輪(右側後輪)の最小旋回半径(旋回中心O2)を示す。これにより、ステップS211の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS212の処理に進む。
ステップS212の処理では、対向スペース横方向距離検出部62bが、駐車スロットS右側の自車両が方向転換するスペース(対向スペース)の横方向(x方向)距離D2(図21参照)を算出する。これにより、ステップS212の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS213の処理に進む。
ステップS213の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS211の処理により算出されたはみ出し量D1に駐車スロットSの右側面に対し自車両の左側面を接近させる時の余裕代D3(50cm〜1m程度)と自車両の横幅D4とを加算した距離D5を算出する。そして途中目標位置設定部75は、距離D2と距離D5の大小関係を比較することにより、縦列駐車を行う際に自車両の右前部が駐車スロットSに対向する障害物300と接触する可能性があるか否かを判定する。比較の結果、距離D5が距離D2未満である場合、途中目標位置設定部75は、縦列駐車を行う際に自車両の右前部が駐車スロットSに対向する障害物300と接触する可能性はないと判断し、縦列駐車支援処理をステップS213の処理に進める。一方、距離D5が距離D2以上である場合には、途中目標位置設定部75は、縦列駐車を行う際に自車両の右前部が駐車スロットSに対向する障害物300と接触する可能性があると判断し、縦列駐車支援処理をステップS214の処理に進める。
ステップS214の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS207の処理により設定された右後輪の軌跡RRに沿って左側途中目標位置を設定する。具体的には、途中目標位置設定部75は、図21に示すように、軌跡RRの旋回中心Oを通り、直線Lと直交する軌跡RRの法線を設定する。そして途中目標位置設定部75は、法線に沿って旋回中心Oとは反対側に伸びる所定長さの範囲を途中目標位置として設定する。本実施形態では、途中目標位置設定部75は、俯瞰画像に表されている自車両Vの車幅と同じ長さ(後輪車軸Pの長さ)を途中目標位置の所定長さとしている。この処理によれば、図21に示すように、一端が軌跡RRに接すると共に旋回中心Oを基準として直線Lと直交する線分が設定され、この線分が左側途中目標位置310とされる。これにより、ステップS214の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS215の処理に進む。
ステップS215の処理では、駐車動作可能領域設定部76が、ステップS214の処理により設定された左側途中目標位置を基準とした駐車動作可能領域を設定する。具体的には、駐車動作可能領域設定部76は、図21に示すように、途中目標位置310の端部310aを通る直線Lと平行な線分311を設定する。この線分311は、最終駐車位置に対し平行な位置P1からハンドルを左方向に転舵させて車両を直線Lに対し平行な位置P2に位置させた後、ハンドルを中立位置に位置させた状態で車両を途中目標位置310に向けて直進後退させる際の左後輪の軌跡を示す線分である。
次に、駐車動作可能領域設定部76は、途中目標位置310の端部310bを始点とする軌跡RRの線分312を設定する。この線分312は、ハンドルを右方向に一杯に切った状態で車両を旋回させながら途中目標位置312に向けて後退させる際の右後輪の軌跡を示す線分である。そして駐車動作可能領域設定部76は、線分310,311,312に囲まれる側に位置する領域Xを左側途中目標位置312の左側駐車動作可能領域に設定する。これにより、ステップS215の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS216の処理に進む。
ステップS216の処理では、途中目標位置設定部75が、図22に示すように、最小回転半径軌跡RRの旋回中心Oに対し左右反対方向(車両の中心軸に対し点対称)の旋回中心O3を設定し、設定された旋回中心O3を中心として最小回転半径で移動した時の自車両の右前端部が描く軌跡RFを設定する。これにより、ステップS216の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS217の処理に進む。
ステップS217の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS216の処理により設定された軌跡RFが駐車スロットSに対向する障害物300と接触しているか否かを判別する。判別の結果、軌跡RFが駐車スロットSに対向する障害物300と接触している場合、途中目標位置設定部75は、縦列駐車支援処理をステップS218の処理に進める。一方、軌跡RFが駐車スロットSに対向する障害物300と接触していない場合には、途中目標位置設定部75は縦列駐車支援処理をステップS219の処理に進める。
ステップS218の処理では、途中目標位置設定部75が、最終駐車位置に自車両を駐車させることは物理的に不可能であると判断し、他の駐車スロットSに移動することを指示した後、一連の縦列駐車支援処理を終了する。
ステップS219の処理では、途中目標位置設定部75が、図23に示すように、旋回中心Oを中心として軌跡RFを最小回転半径で右旋回させる。これにより、ステップS219の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS220の処理に進む。
ステップS220の処理では、途中目標位置設定部75が、右旋回させた結果、軌跡RFが駐車スロットSに対向する障害物300と接触した時の旋回角度θ(図23参照)を算出する。この旋回角度θは、自車両が右方向に前進切り返し動作を行う際に障害物300と接触する旋回角度を示す。これにより、ステップS220の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS221の処理に進む。
ステップS221の処理では、途中目標位置設定部75が、ステップS207の処理により設定された右後輪の軌跡RRに沿って右側途中目標位置を設定する。具体的には、途中目標位置設定部75は、図24に示すように、旋回中心Oを通り、最終駐車位置に対する角度が旋回角度θとなる軌跡RRの法線を設定する。そして途中目標位置設定部75は、法線に沿って旋回中心Oとは反対側に伸びる所定長さの範囲を途中目標位置として設定する。本実施形態では、途中目標位置設定部75は、俯瞰画像に表されている自車両Vの車幅と同じ長さ(後輪車軸Pの長さ)を途中目標位置の所定長さとしている。この処理によれば、図24に示すように、一端が軌跡RRに接すると共に最終駐車位置に対する角度が旋回角度θとなる線分が設定され、この線分が右側途中目標位置320とされる。これにより、ステップS221の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS222の処理に進む。
ステップS222の処理では、駐車動作可能領域設定部76が、ステップS221の処理により設定された右側途中目標位置を基準とした駐車動作可能領域を設定する。具体的には、駐車動作可能領域設定部76は、途中目標位置320の端部320aを通る線分321を設定する。この線分321は、途中目標位置320からハンドルを左方向に一杯に切った状態で車両を旋回させながら前進させる際の左後輪の軌跡を示す線分である。次に、駐車動作可能領域設定部76は、途中目標位置320の端部320bを通る線分322を設定する。この線分322は、自車両の右側側面を示す線分である。そして駐車動作可能領域設定部76は、線分320,321,322に囲まれる側に位置する領域Yを右側途中目標位置320の右側駐車動作可能領域に設定する。これにより、ステップS222の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS223の処理に進む。
ステップS223の処理では、駐車動作可能領域設定部76が、余裕代を示す直線L2,ステップS215の処理に処理により設定された左側駐車動作可能領域,ステップS222の処理により設定された右側駐車動作可能領域,及びステップS220の処理により算出された旋回角度θ位置における軌跡RFにより囲まれる領域を駐車動作可能領域Zに設定する(図25,26参照)。これにより、ステップS223の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS224の処理に進む。
ステップS224の処理では、自車位置検出部67が、最終駐車位置Vfを基準とした自車両Vの相対位置を求め、求めた相対位置を自車位置とする。自車位置の算出は、カメラ10により撮像された撮像画像の時系列処理の結果や、障害物検出部62により検出された障害物の位置や障害物との距離に基づき行われる。これにより、ステップS224の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS225の処理に進む。
ステップS225の処理では、画像データ生成部69が、ステップS223の処理により設定された駐車動作可能領域Z、自車両の位置を示す自車両アイコン,及び最終駐車位置を俯瞰画像に重畳表示した画像をモニタ50に表示させるための画像データを生成し、生成された画像データをモニタ50に出力する。これにより、ステップS225の処理は完了し、縦列駐車支援処理はステップS226の処理に進む。
ステップS226の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、ステップS223の処理により設定された駐車動作可能領域Z内に自車両が入ったか否かを判別する。そして駐車動作可能領域選択部68は、自車両が駐車動作可能領域に入ったタイミングで縦列駐車支援処理をステップS227の処理に進める。
ステップS227の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、自車位置検出部67で求めた自車位置とメモリ70に記憶されている自車アイコンデータとに基づいて俯瞰画像において自車両が占める範囲を特定することにより、自車両がステップS223の処理により設定された駐車動作可能領域Zに包含されているか否かを判別する。そして判別の結果、自車両が駐車動作可能領域Zに包含されていない場合、駐車動作可能領域選択部68は、ステップS228の処理として切り返し動作により駐車動作可能領域内に戻ることを運転者に指示した後、縦列駐車支援処理をステップS226の処理に戻す。一方、自車両が駐車動作可能領域に包含されている場合には、駐車動作可能領域選択部68は、縦列駐車支援処理をステップS229の処理に進める。
ステップS229の処理では、駐車動作可能領域選択部68が、自車両の現在位置が最終駐車位置であるか否かを判別する。そして駐車動作可能領域選択部68は、自車両の現在位置が最終駐車位置になったタイミングで縦列駐車支援の終了を告げる文字メッセージをモニタ50に表示する、及び/又は、図示しないスピーカから「縦列駐車支援を終了します」等の音声メッセージを出力した後、縦列駐車支援処理を終了する。上記対向スペース横方向距離検出部62bが本発明に係る第1検出部に対応し、駐車スロット長手方向距離検出部62aが本発明における第2検出部に対応する。
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態となる縦列駐車支援装置では、対向スペース横方向距離検出部62bが、駐車スロットSに対向する位置に存在する障害物300と自車両との間の距離を検出し、駐車スロット長手方向距離検出部62aが、駐車スロットSの長手方向の長さDLを検出し、途中目標位置設定部75が、対向スペース横方向距離検出部62bに基づく途中目標位置と駐車スロット長手方向距離検出部62aに基づく途中目標位置とを含む範囲を駐車動作可能領域Zとして設定する。すなわち本発明の第2の実施形態となる縦列駐車支援装置は、周囲の障害物の位置や駐車スロットSの広さを考慮して車両が実際に駐車動作を行うことができる領域を駐車動作可能領域Zとして設定する。これにより、第1の実施形態では、駐車動作可能領域内に障害物が存在する場合、運転者自らが障害物との接触を回避する行動をとっていたが、本実施形態によれば、運転者は駐車動作可能領域だけに注意を払っていれば障害物との接触を回避することができる。
本発明の第2の実施形態となる縦列駐車支援装置では、途中目標位置設定部75は、車両が駐車スロットSの長手方向に近い角度で途中目標位置に向けて後退する際の車両右先端部のはみ出し量D1を算出し、算出されたはみ出し量D1に基づいて駐車スロットSの長手方向に対し最も平行に近い角度で途中目標位置に向けて後退する際に車両が駐車スロットSに対向する障害物300に接触するか否かを判別し、障害物300と接触する可能性がある場合、駐車スロット長手方向距離検出部62aの検出結果に基づく途中目標位置を設定しない。これにより、車両が駐車スロットSの長手方向に対し最も平行に近い角度で途中目標位置に向けて後退する際に車両が駐車スロットSに対向する障害物300に接触することを防止できる。
本発明の第2の実施形態となる縦列駐車支援装置は、駐車動作可能領域設定部76により設定された駐車動作可能領域Z内に自車両のアイコンが内包された後、駐車動作可能領域Zの外周に自車両のアイコンが接触した場合、運転者に対し前進切り返し操作を指示するので、運転者は指示に応じて障害物との接触を回避しつつ自車両の位置を駐車動作可能領域Z内に戻すことができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば上記実施形態では、駐車スロットの右側から自車両を後退させて縦列駐車を行う場合を例に挙げて説明をしたが、本発明に係る装置は、駐車スロットの左側から自車両を後退させて縦列駐車を行う場合にも適用可能である。この場合、ハンドルを左方向にフル転舵した状態で車両を後退させた時の最小回転半径軌跡と駐車動作可能領域とを自車両の左側後輪を基準として設定することで、自車両の縦列従者を好適に支援することが可能となる。
また上記実施形態では、自車両の周囲の路面を路面から所定距離情報の位置から見た俯瞰画像を生成する構成としていた。この所定距離は、特定の距離に固定されたものではなく、車両に設けられたカメラの高さ位置に応じて変更することや、モニタ50に表示させたい俯瞰画像の範囲に応じて適宜変更可能である。また上記実施形態では、俯瞰画像において検索された駐車スロットの位置を固定して、俯瞰画像内において自車両アイコンVを移動させながら表示する場合を例に挙げて説明をした。しかしながら、俯瞰画像内における自車両アイコンVの位置を固定して自車両の周囲の駐車スロットを含む路面領域の方を移動させながら表示するようにしてもよい。
また上記実施形態では、俯瞰画像において設定した自車両の駐車位置への経路上に途中目標位置を設定し、自車両を後退させて途中目標位置に到達可能な駐車動作可能領域内に自車両が位置する場合に、その駐車動作可能領域を途中目標位置及び最終駐車位置と共に俯瞰画像に重畳表示する縦列駐車支援装置の有する機能として、本発明を説明した。しかしながら、本発明は、コンピュータに上記した縦列駐車支援装置の機能を実行させる縦列駐車支援プログラムやこのプログラムを記憶した媒体としても具現化可能である。このように、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。