JP2009101384A - レーザ加工方法 - Google Patents

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友紀 今村
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Abstract

【課題】多層構造の被加工物を通過するレーザ光によって切断加工を行う場合に、被加工物から出射するレーザ光の屈折や反射等によって切断部以外の部位が損傷されることを防止する。
【解決手段】膜2および基板3からなる被加工物4を、被加工物4の膜2の表面(第1主面4a)から入射して基板3の裏面(第2主面4b)から出射するレーザ光1によって切断するレーザ加工において、被加工物4の基板3の第2主面4bに密着する基板3と同じ屈折率の液体7を保持する凹部5aを有する液体保持部材5に被加工物4を載置し、レーザ光1が第2主面4bで反射せずに液体7に導かれるようにして当該第2主面4bにおけるレーザ光1の反射等に起因する逆行現象を防止し、第2主面4bで反射したレーザ光1が基板3内を逆行して膜2を損傷する現象を防止する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、レーザ加工技術に関し、たとえば、光の透過や反射等に用いられる光学素子等の被加工物の製造工程等に適用して有効な技術に関する。
従来におけるレーザ照射による基板加工技術として、たとえば、特許文献1(特開2003−230978号公報)には、二つの技術が開示されている。
第1に、筒状の載置台に伸縮性のある粘着シートを貼りつけ、この粘着シートに透明基板の裏面を張り付けてレーザ加工を行う技術が開示されている。
また、第2に、あらかじめ、レーザ光やダイヤモンドホイールを用いて、被加工基板の表面に溝を形成し、その溝の中にレーザ光を吸収する液体を付着させ、この液体の上から、レーザ光を照射し、温度変化による割断の現象を用いて切断する技術が開示されている。
上述の特許文献1では、透明な基板の単体を加工する事例が開示されているが、基板と膜から構成された多層構造の被加工物の切断加工における以下のような技術的課題は認識されていない。
すなわち、特許文献1の技術では、透明な基板を対象としているために、当該特許文献1の照射条件を、そのまま多層構造の基板に適用すると、被加工物である基板の加工閾値よりも膜の加工閾値が低い場合には、基板表面にある膜が損傷してしまう懸念がある。
これは、基板と膜で構成された被加工物において、膜の加工閾値が基板よりも低い場合には、基板を切断するために膜の加工閾値よりも高いエネルギーのレーザ光を照射するので、ガラス基板などの透明な材料で構成された被加工物に入射したレーザ光が基板の裏面で反射や回折を起こし、基板内を逆行して当該基板の表面にある膜を損傷させてしまうためである。
また、レーザ光が基板に入射して、レーザ光の延長線上の被加工物の裏面での反射を防ぐために、前者の開示技術のように基板の裏面に伸縮性の粘着テープを貼っても、基板の裏面と粘着シートの隙間に、微量な空気の層ができて、基板と空気の屈折率の差から反射が起こり基板の表面に形成された膜を損傷させてしまう懸念もある。
そして、後者の開示技術のように、液体の吸収作用と急激な温度変化を利用した割断工程を用いて基板を任意形状に切断する場合には、あらかじめレーザ光やダイヤモンドホイールを用いて液体の溝を作成するが、レーザ光やダイヤモンドホイールで作成した溝部分の断面と、急激な温度変化で割断した切断面の断面は、表面状態が異なるので、厚さ方向に断面の品質を均一にすることが困難となる。
さらに、割断では、クラックが発生する可能性があり基板断面の品質を損なう恐れがある。
特開2003−230978号公報
本発明の目的は、多層構造の被加工物を通過するレーザ光によって切断加工を行う場合に、被加工物から出射するレーザ光の屈折や反射等によって切断部以外の部位が損傷されることを防止するとともに、切断面の品質を均一にする技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、多層構造の被加工物の第1主面から第2主面へ透過するレーザ光によって前記被加工物を切断するレーザ加工方法であって、
前記被加工物から前記レーザ光が出射する前記第2主面に流体を密着させるレーザ加工方法を提供する。
本発明の第2の観点は、多層構造の被加工物の第1主面から第2主面へ透過するレーザ光によって前記被加工物を切断するレーザ加工方法であって、
加工に先立って、前記被加工物の前記第2主面における前記レーザ光の出射領域を選択的に粗面化するレーザ加工方法を提供する。
本発明によれば、多層構造の被加工物を通過するレーザ光によって切断加工を行う場合に、被加工物から出射するレーザ光の屈折や反射等によって切断部以外の部位が損傷されることを防止するとともに、切断面の品質を均一にする技術を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
最初に、本実施の形態の各態様につき概括的に説明し、その後、図面を参照してさらに詳細な説明を行う。
第1の態様では、被加工物は基板と膜から構成され、レーザ光が膜と対向するように被加工物を配置させ、基板と膜から構成された被加工物の前記膜の表面にレーザ光を照射し、被加工物をX−Yステージや回転ステージ、もしくは、ガルバノミラーを搭載した装置を用いてレーザ光と被加工物を任意形状に相対的に走査して、被加工物を任意形状に切断加工する工程において、膜の加工閾値が基板の加工閾値より低いときには、前記基板と同じ屈折率の液体に前記基板を密着させることによって、前記基板の裏面と試料台の隙間に発生する空気と前記基板の屈折率の差から発生する反射を無くすことができる。
そのため、前記膜の加工閾値が前記基板の加工閾値よりも低い場合でも、この屈折率の差によって反射したレーザ光による前記基板表面にある膜の損傷を防ぐことができる。
また、第2の態様では、上述の第1の態様に記載のレーザ加工方法において、基板と膜から構成された被加工物の前記基板を密着させる前記基板と同じ屈折率の液体を浸すための液体保持部材の内壁を研磨剤やサンドブラストを用いて粗面化したのち前記基板と同じ屈折率の液体を浸して、前記基板と同じ屈折率の液体を密着させながら、レーザ光と被加工物を相対的に走査して任意形状に切断するときに、前記基板と前記膜から構成された被加工物の前記基板と同じ屈折率の液体を透過したレーザ光が、液体保持部材の内壁に反射をすることによって、前記基板の加工閾値よりも、前記膜の加工閾値の低いときでも前記基板表面にある前記膜の損傷を防ぐことができる。
第3の態様では、被加工物は基板と膜から構成され、レーザ光が膜と対向するように被加工物を配置させ、レーザ光と被加工物を相対的に走査して任意形状に切断するとき、被加工物へのレーザ光の入射方向の延長線上にある基板の裏面のレーザ光の照射面積を、あらかじめ研磨剤やサンドブラストを用いて粗面化してから被加工物を切断することによって、レーザ光が被加工物の前記基板に入射した場合に、前記基板の加工閾値よりも前記膜の加工閾値が低いときでも、レーザ光が前記基板の裏面に当たって反射することによる前記基板表面の前記膜の損傷を防ぐことができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法の原理を説明する概念図であり、図2は、本実施の形態のレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置の構成例を示す略断面図である。図3は、本実施の形態の効果を説明するために例示される参考技術の構成を示す説明図である。
本実施の形態では、図1に示すように、たとえば、膜2と基板3から構成された多層構造の被加工物4を加工対象とする。被加工物4は、第1主面4aの側に膜2が形成され、反対側の第2主面4bが基板3となっている。
そして、レーザ光1を用いて、レーザ光1が第1主面4aの側の膜2と対向するように被加工物4を配置させ、レーザ光1を被加工物4に対して相対的に走査し、被加工物4を、第1主面4a(膜2の表面)から入射して第2主面4b(基板3の裏面)から出射するように透過するレーザ光1のエネルギーによって切断する。
このようなレーザ光1の照射による切断工程の中において、本実施の形態では、図2に示すように、基板3とほぼ同じ屈折率(同じ屈折率が最良)の液体7に基板3の裏面(第2主面4b)を密着させることで、膜2に損傷を与えずに被加工物4を任意の形状に切断可能とする。
図2を参照して本実施の形態のレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置20の構成を説明する。
図2に示すように、本実施の形態のレーザ加工装置20は、レーザ光1を発生するレーザ光源21と、被加工物4が載置されるX−Yステージ9を備えている。
レーザ光1は、X−Yステージ9の被加工物4に対してほぼ垂直に入射するように、レーザ光源21から被加工物4に照射され、X−Yステージ9をレーザ光1の光路に対して直交する平面内でレーザ光1に対して相対的に移動させることにより、レーザ光1を被加工物4に対して任意の形状で走査することが可能になっている。
この場合、被加工物4が載置されるX−Yステージ9には、被加工物4の第2主面4b(裏面)を支持する液体保持部材5が着脱自在に設けられている。この液体保持部材5の上面、すなわち被加工物4の第2主面4bに対する接触面には、上向きに開口する凹部5aが設けられている。そして、この凹部5aには、被加工物4の第2主面4bに接する液位となるように液体7が貯留されている。
また、液体保持部材5の凹部5aには、被加工物4の切断領域以外を裏面側から支持する柱6が設けられている。
この場合、液体保持部材5の凹部5aの内壁は、研磨材や、サンドブラストを用いてあらかじめ粗面化された粗面化内壁8となっている。そして、上述のように、液体保持部材5の凹部5aに満たされた液体7は、被加工物4の基板3の裏面(第2主面4b)に密着する。
この液体保持部材5は、X−Yステージ9に固定して設けてもよいし、被加工物4の裏面に密着した状態で一体にX−Yステージ9に載置されるようにしてもよい。
被加工物4の第2主面4bの側の基板3の屈折率が不明である場合には、所望の屈折率測定装置で基板3の屈折率を測定し、当該屈折率と同じ屈折率の液体7を準備する。
この液体7としては、たとえば、ガラスなどの屈折率の測定に用いる屈折率調整液等を用いることができる。
なお、レーザ光1を被加工物4に対して走査する機構としては、X−Yステージ9に限らず、レーザ光源21から被加工物4に至るレーザ光1の光路上に配置される不図示のガルバノミラーを用いてもよいし、X−Yステージ9と、被加工物4を回転させる図示しない回転ステージ等を組み合わせて用いてレーザ光1を被加工物4に対して螺旋状に走査してもよい。
以下、本実施の形態1の作用を説明する。
本実施の形態では図2に示す被加工物4として、一例として、膜2は、厚さ0.2μmのアルミ膜、基板3には、厚さ1mmのガラスを用いた。
あらかじめ、図2に示す被加工物4を構成する膜2と基板3をそれぞれ同じ材料を用いてレーザ光1の照射実験をして加工閾値(その物質の加工に必要な最小のエネルギー値)を求めて、レーザ光1の照射エネルギーを設定した。
次に、液体保持部材5の凹部5aの内部に液体7を満たして、被加工物4の基板3の裏面が液体7に密着するように被加工物4を載置し、これらの被加工物4および液体保持部材5のセットをX−Yステージ9の上に載せる。
液体7には、ガラスなどの屈折率を測定する際に使用する屈折率調整液を用いた。この場合、液体7を用いたが、ほかにゲル状の物質を用いることもできる。
ここで、基板3に密着させるように液体7を設置した理由を説明する。一般に、空気の屈折率は1.0であり、基板3を構成するガラスの屈折率は、含有される成分によって異なるが、1.5程度であることから、図3に示すように、液体保持部材5を用いずに、被加工物4を通常の試料台11に載置した場合、被加工物4の基板3と基板3の裏面(第2主面4b)と試料台11の隙間にできる空気の層10の屈折率の違いにより、第2主面4bと空気の層10との境界で、第2主面4bから試料台11に出射しようとするレーザ光1の、当該第2主面4bにおける反射や屈折、散乱等に起因する逆行現象12が起こり、反射されたレーザ光1は、基板3の中を逆行して第1主面4aの側の膜2に裏側から照射される。このとき、第1主面4aから第2主面4bに至る間に減衰するため、第2主面4bから逆行するレーザ光1のエネルギーは比較的小さいが、基板3よりも膜2の加工閾値が低い場合、膜2は逆行したレーザ光1によって損傷13をうける。
そこで、本実施の形態では、被加工物4の第2主面4bに密着するように同じ屈折率の液体7が貯留された液体保持部材5を配置することにより、第2主面4bでのレーザ光1の逆行現象12を防止して膜2の損傷13の発生を防止する。
そして、レーザ光1と被加工物4を相対的に走査させながら、レーザ光1を被加工物4の膜2の表面(第1主面4a)に対向させるように照射し、被加工物4内を第1主面4aから第2主面4bに向かって進むレーザ光1によって、被加工物4を任意形状に切断する。このとき、第2主面4bから出射するレーザ光1は、当該第2主面4bに密着した液体7の存在により、反射等の逆行現象12を生じることなく液体7内に入射する。
この液体保持部材5の凹部5aの深さは、たとえば10mmであり、縦方向と横方向のサイズは、膜2と基板3から構成された被加工物4の任意形状の切断面積よりも大きく、切断後の被加工物4が落下しないように、図2に示すように、被加工物4を保持する機構として、柱6を具備している。
また、図2に示すように、液体保持部材5の凹部5aに貯留された液体7に被加工物4(基板3)の第2主面4bから入射したレーザ光1が当該液体7を通過して、液体保持部材5の内壁に反射して被加工物4の膜2を損傷しないように、レーザ光1の反射を無くすための対策として、上述のように、凹部5aの内壁は粗面化内壁8となっている。
この粗面化内壁8は、たとえば、サンドブラストや研磨加工を用いて、あらかじめ液体保持部材5の凹部5aの内壁を、表面粗さ(Ry)が、たとえば1μm程度となるまで粗面化することにより形成され、これにより粗面化内壁8におけるレーザ光1の反射を防止している。
このように、本実施の形態1によれば、膜2および基板3からなる多層構造の被加工物4を第1主面4aから第2主面4bに通過するレーザ光1によって切断加工を行う場合に、被加工物4の第2主面4bから出射するレーザ光1の屈折や反射等によって、基板3よりも加工閾値の低い膜2の切断部以外の部位が損傷されることを確実に防止することができる。
また、被加工物4の切断面に厚さ方向に段差を生じることなく、一様な品質の切断面を得ることができる。
次に、本実施の形態1の変形例を以下に示す。
図4は、本実施の形態1の変形例の構成および作用を示す概念図である。
この図4に例示される変形例では、液体保持部材5の代わりにプレート15を用いる。この場合、被加工物4の基板3(第2主面4b)と密着するプレート15の表面を、予め表面粗さ(Ry)が1μmの程度まで、サンドブラストや研磨剤で粗面化して粗面化平面15aを形成しておく。
そして、プレート15の粗面化平面15aの上に、たとえばスポイトで、液体7を滴下した後に被加工物4の基板3を載置し、さらに、被加工物4の上から加圧14を行い、被加工物4の基板3の裏面(第2主面4b)の全体に液体7を密着させる。
この変形例の場合には、液体保持部材5よりもプレート15は構造が簡単であり、より簡便に、被加工物4の膜2の損傷を防止できる、という利点がある。
なお、膜2の材質には、樹脂、金属も含み、膜2は単層に限らず、基板3よりも加工閾値の低い多層膜も含む。
被加工物4の基板3を構成する透明な材料としては、ガラス以外にも、石英、サファイアなども含む。
レーザ光1の種類に関しては、COレーザや、YAGレーザもあり、特に、超短パルスレーザを用いることによって熱の影響を受けにくい、より高精度な切断面の加工ができる。
本実施の形態1によれば、膜2と基板3から構成される被加工物4において、基板3の加工閾値よりも、膜2の加工閾値が低い場合においても、膜2に損傷を与えずに、任意の形状に被加工物4を切断することができる。また、レーザ光1で切断することによって、切断した断面が均一な高精度な加工ができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2であるレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置20の概念図である。
この実施の形態2では、図5に示すように、被加工物4において、膜2の第1主面4aから入射し、基板3の第2主面4bから出射するレーザ光1の通過経路に位置する第2主面4bの切断代領域に、粗面化領域16を選択的に形成したのちに、膜2と基板3から構成される被加工物4を切断する方法を述べる。
図5に示すように、レーザ加工装置20は、レーザ光1を出射するレーザ光源21と、膜2および基板3からなる被加工物4が載置される試料台11と、この試料台11が載置されるX−Yステージ9から構成される。
この場合、レーザ光1が膜2と対向するように被加工物4を載置する前に、予め、被加工物4には、上述のように、膜2へのレーザ光1の入射方向の延長線上にある基板3の裏面(第2主面4b)の照射領域(切断代領域)に、選択的に粗面化領域16を形成しておく。
以下、本実施の形態2の作用を説明する。
あらかじめ、図5に示す被加工物4を構成する膜2と基板3をそれぞれ同じ材料を用いてレーザ光1の照射実験をして加工閾値を求めてレーザ光1の照射エネルギーを設定した。
そして、設定したレーザ光1の照射エネルギーを用いて、X−Yステージ9や、不図示の回転ステージ、もしくは、ガルバノミラー搭載した装置を用いて、レーザ光1と被加工物4を相対的に走査させて、任意形状に切断する。
このとき、基板3の加工閾値が、膜2の加工閾値よりも高い場合には、図3のように、膜2と基板3に入射したレーザ光1が、基板3の第2主面4bから出射する際に、基板3と試料台11の隙間に出来る空気の層10においてレーザ光1の逆行現象12が発生して、膜2の損傷13が起こる場合がある。
そこで、本実施の形態2では、基板3と膜2から構成される被加工物4の膜2の表面(第1主面4a)からレーザ光1を照射して、任意形状に切断する場合に、被加工物4へのレーザ光1の入射方向の延長線上にある基板3の裏面(第2主面4b)のレーザ光1の照射領域(切断代領域)に、サンドブラストや研磨剤で粗らして粗面化領域16を形成しておき、レーザ光1が被加工物4に入射したときの基板3の裏面(第2主面4b)における逆行現象12の発生を防ぐことで膜2の損傷13を防ぐ。
この粗面化される粗面化領域16の面積(設定範囲)の求め方には、第1の方法として、レーザ光1を生成するレーザ光源21を構成する光学系の対物レンズのNA、被加工物4である基板3の屈折率、および基板3の厚みから算出する方法がある。
もしくは、粗面化領域16の面積(設定範囲)の求め方の第2の方法として、以下の方法が考えられる。すなわち、切断加工の前の基礎実験として、不図示であるが、被加工物と同じ材料を用意して、この被加工物4の下に、基板3および膜2のいずれよりも加工閾値の極端に低い不図示の材料のシートを敷いた状態で被加工物4にレーザ光1を照射して任意形状に切断し、その後、この加工閾値の極端に低い材料のシートの表面を、測長が可能な顕微鏡で観察することによって、レーザ光1の被加工物4の裏面(第2主面4b)における照射面積を測定して、粗面化領域16の面積(設定範囲)を決定する方法がある。
実際に、たとえば、#1500の研磨剤を用いて、基板3の裏面の粗面化領域16の部分以外には、粗面化によって透明性が損なわれないように保護テープなどでマスクをして粗面化する。
その後、X−Yステージ9を用いて、レーザ光1と被加工物4を相対的に走査して、レーザ光1を照射した。
その結果として、基板3の裏面を粗面化していないものと、粗面化したものを透過観察のできる顕微鏡で観察した比較をすると、基板3の裏面を粗面化していない場合には、図3に示すような膜2の損傷13が見られたが、本実施の形態のように基板3の裏面(第2主面4b)に粗面化領域16を形成した被加工物4には、任意形状に切断したい部分以外の膜2に損傷13が見られないことが確認できた。
このように、被加工物4の第2主面4bの切断領域に選択的に粗面化領域16を形成することによって、図3に示すような膜2に損傷13を与えずに、膜2と基板3から構成される被加工物4を任意形状に切断した切断面にクラックなどがなく、しかも切断面が均一である高精度な切断加工が可能になる。
また、被加工物4へのレーザ光1の入射方向の延長線上にある裏面のレーザ光1の照射面積のみを粗面化して粗面化領域16を形成するのでフィルターなどの透過性が必要な光学素子の作成にも、被加工物4の裏面(第2主面4b)の透明性を害うことなく、適用できる。
さらに、被加工物4として、透過性が不必要であるミラーなどの反射光学系の光学素子の場合に限っては、基板3の裏面の全面を予め研磨剤やサンドブラストを用いて粗面化することで粗面化領域16を形成した後に、レーザ光1を照射することによって、膜2に損傷13を与えずに、膜2と基板3から構成される被加工物4を任意形状に加工することができる。
以上説明したように、本発明の各実施の形態によれば、たとえば、フィルターなどの膜2および基板3の透過性を必要とする光学素子等の被加工物4、および基板3の透過性が不必要な反射光学系の光学素子等の被加工物4を、レーザ光1の照射によって任意形状に切断する工程において、被加工物4の基板3に比べて膜2の加工閾値が格段に低く、膜2がレーザ光1によって損傷を受け易い場合においても、膜2に損傷を与えずに、被加工物4を任意形状に切断することができる。
また、クラックや厚さ方向に段差等のない均一な切断面を得ることができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
(付記1)
被加工物は基板と膜から構成され、レーザ光が膜と対向するように被加工物を配置させ、レーザ光と被加工物を相対的に走査して任意形状に被加工物を切断加工する工程において前記膜の加工閾値が前記基板の加工閾値よりも低く、前記基板と同じ屈折率の液体に被加工物の前記基板を密着させて被加工物を切断することを特徴とするレーザ加工方法。
(付記2)
被加工物は膜と基板から構成され、前記基板に密着させる前記基板と同じ屈折率の液体を浸すための液体保持部材の内壁を粗面化することを特徴とする付記1に記載のレーザ加工方法。
(付記3)
被加工物は基板と膜から構成され、レーザ光が膜と対向するように被加工物を配置させ、レーザ光と被加工物を相対的に走査して任意形状に被加工物を切断加工する工程において前記膜の加工閾値が前記基板の加工閾値よりも低く、被加工物へのレーザ光の入射方向の延長線上にある被加工物の前記基板の裏面のレーザ光の照射面積をあらかじめ粗面化してから、被加工物を切断することを特徴とするレーザ加工方法。
本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法の原理を説明する概念図である。 本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置の構成例を示す略断面図である。 本発明の各実施の形態の効果を説明するために例示される参考技術の構成を示す説明図である。 本発明の一実施の形態の変形例の構成および作用を示す概念図である。 本発明の他の実施の形態であるレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置の概念図である。
符号の説明
1 レーザ光
2 膜
3 基板
4 被加工物
4a 第1主面
4b 第2主面
5 液体保持部材
5a 凹部
6 柱
7 液体
8 粗面化内壁
9 X−Yステージ
10 空気の層
11 試料台
12 逆行現象
13 損傷
14 加圧
15 プレート
15a 粗面化平面
16 粗面化領域
20 レーザ加工装置
21 レーザ光源

Claims (7)

  1. 多層構造の被加工物の第1主面から第2主面へ透過するレーザ光によって前記被加工物を切断するレーザ加工方法であって、
    前記被加工物から前記レーザ光が出射する前記第2主面に流体を密着させることを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 請求項1記載のレーザ加工方法において、
    流体保持部材に貯留された前記流体に前記被加工物の前記第2主面が密着され、前記流体保持部材の内周面が粗面化されていることを特徴とするレーザ加工方法。
  3. 請求項1記載のレーザ加工方法において、
    前記被加工物の前記第2主面に対向する面が粗面化されたプレートと前記第2主面との間に前記流体を満たすことにより、前記第2主面に前記流体を密着させることを特徴とするレーザ加工方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザ加工方法において、
    前記被加工物は、前記第2主面を構成する基板と、前記基板に被着されて前記第1主面を構成する膜からなる前記多層構造を呈し、
    前記レーザ光による前記膜の加工閾値が前記基板の加工閾値よりも低いことを特徴とするレーザ加工方法。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザ加工方法において、
    前記流体は、前記被加工物の前記第2主面の側とほぼ同じ屈折率の液体またはゲルからなることを特徴とするレーザ加工方法。
  6. 多層構造の被加工物の第1主面から第2主面へ透過するレーザ光によって前記被加工物を切断するレーザ加工方法であって、
    加工に先立って、前記被加工物の前記第2主面における前記レーザ光の出射領域を選択的に粗面化することを特徴とするレーザ加工方法。
  7. 請求項6記載のレーザ加工方法において、
    前記被加工物は、前記第2主面を構成する基板と、前記基板に被着されて前記第1主面を構成する少なくとも1層の膜からなる前記多層構造を呈し、
    前記レーザ光による前記膜の加工閾値が前記基板の加工閾値よりも低いことを特徴とするレーザ加工方法。
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