JP2009099519A - 配線基板用導体ペーストおよびこれを用いた配線基板の製造方法、ならびに配線基板 - Google Patents

配線基板用導体ペーストおよびこれを用いた配線基板の製造方法、ならびに配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】線幅のバラツキやショート、断線の抑制された線幅30μm以下の微細な配線を形成するための配線基板用導体ペーストおよびこれを用いた配線基板の製造方法、ならびに配線基板を提供する。
【解決手段】金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを含み、前記有機バインダーのSP値と前記有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4〜3.9であることを特徴とする配線基板用導体ペーストである。また本発明は、複数の絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された断面矩形状の配線とを含み、平面視による前記配線の直線部分の線幅が30μm以下であって最大線幅と最小線幅との差が8μm以下であることを特徴とする配線基板である。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子収納用パッケージや混成集積回路装置などに適した配線基板の配線回路を形成するための配線基板用導体ペーストおよびこれを用いた配線基板の製造方法、ならびに配線基板に関するものである。
ICやLSI等の半導体素子を搭載する半導体素子収納用パッケージや、各種電子部品が搭載される混成集積回路装置等に適用される配線基板においては、小型化、高性能化のために配線を高密度に形成する必要があるため、配線の微細化が求められている。また、配線を流れる信号についても高速化が求められている。
このような要求を満足するために、例えば線幅30μm以下の微細な配線を形成する配線基板の製造方法として、感光性樹脂膜(フォトレジスト)を用いた方法が知られている。具体的には、樹脂フィルムからなる基材表面に感光性樹脂膜を形成した後、配線と同様のパターンの遮光膜を有するフォトマスクを通してi線(波長365nm)を照射して露光し、不要な部分をアルカリ水溶液等で現像することで感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝を形成する。次に、この溝に導体ペーストをブレード等で充填した後、感光性樹脂膜をアルカリ水溶液で取り除くことによって樹脂フィルム上に配線を形成する。そして、樹脂フィルム上に形成された配線を、セラミックグリーンシートに転写し、配線の転写されたセラミックグリーンシートを積層し焼成するという方法である(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平7−122839号公報
しかしながら、上記の方法で樹脂フィルム上に配線を形成しようとすると、溝だけでなく感光性樹脂膜上にも導体ペーストが残留してしまい、感光性樹脂膜をアルカリ水溶液で除去する際に、感光性樹脂膜上に残留する導体ペーストを完全に除去することは困難であり、このことが配線の線幅バラツキを生じさせてしまい、配線をショートさせる原因となってしまっていた。
この解決策として、感光性樹脂膜上に残留する導体ペーストをヘラ等で掻き取る、あるいはラッピングフィルムを用いて研磨する方法が挙げられるが、配線自体にダメージを与える可能性が高く、このことが断線を引き起こす原因となってしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、線幅のバラツキを抑制することが可能な線幅30μm以下の微細な配線を形成するための配線基板用導体ペーストおよびこれを用いた配線基板の製造方法、ならびに配線基板を提供することを目的とする。
本発明は、金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを含み、前記有機バインダーのSP値と前記有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4以上3.9以下であることを特徴とする配線基板用導体ペーストである。
また本発明は、樹脂フィルムの一方の主面上に粘着性樹脂膜を介して感光性樹脂膜を形成する工程と、露光処理および現像処理を施して前記感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝を形成する工程と、該溝に請求項1に記載の配線基板用導体ペーストを充填し乾燥する工程と、前記感光性樹脂膜を取り除いて配線付きフィルムを作製する工程と、該配線付きフィルムに前記配線基板用導体ペーストおよび前記粘着性樹脂膜を覆うようにセラミックスラリーを塗布する工程と、該セラミックスラリーを固化させた後に前記樹脂フィルムおよび前記粘着性樹脂膜を取り除いて配線付きセラミックグリーンシートを作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシートを複数積層して配線付きセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法である。
また本発明は、樹脂フィルムの一方の主面上に粘着性樹脂膜を介して感光性樹脂膜を形成する工程と、露光処理および現像処理を施して前記感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝を形成する工程と、該溝に請求項1に記載の配線基板用導体ペーストを充填し乾燥する工程と、前記感光性樹脂膜を取り除いて配線付きフィルムを作製する工程と、該配線付きフィルムに前記配線基板用導体ペーストおよび前記粘着性樹脂膜を覆うようにセラミックグリーンシートを押し当てて前記配線基板用導体ペーストを前記セラミックグリーンシートに転写した後に前記樹脂フィルムおよび前記粘着性樹脂膜を取り除いて配線付きセラミックグリーンシートを作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシートを複数積層して配線付きセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法である。
さらに本発明は、複数のセラミック絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、前記セラミック絶縁層の内部に配線基板用導体ペーストによって形成された断面が略矩形状の配線とを含み、平面視による前記配線の線幅が30μm以下であって最大線幅と最小線幅との差が8μm以下であることを特徴とする配線基板である。
本発明の配線基板用導体ペーストによれば、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4以上であるので、有機バインダーと有機溶剤との相溶性が低く、これにより、配線基板用導体ペーストのペースト膜強度(結合力)を低く抑えることができることから、感光性樹脂膜をアルカリ水溶液で除去する際、感光性樹脂膜上に残留した乾燥後の配線基板用導体ペーストも容易に除去可能となる。したがって、バリ等の発生をなくして線幅のバラツキを抑制することができるため、線幅30μm以下の微細な配線を得ることができる。一方、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が3.9以下であるので、有機バインダーが有機溶剤に十分に溶けずに有機バインダーと有機溶剤とが分離して金属粉末の分散性が悪くなり配線形成ができなくなってしまうことはない。
そして、本発明の配線基板の製造方法によれば、感光性樹脂膜上に残留する配線基板用導体ペーストが容易に除去できるため、配線の線幅バラツキが少なくなり、より高精度な配線形成が可能となる。
また、本発明の配線基板によれば、平面視による配線の線幅が30μm以下であって最大線幅と最小線幅との差が8μm以下であることから、断線やショートのおそれが少なく、配線の高密度化および小型化を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の配線基板用導体ペーストは、金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを含み、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4〜3.9であることを特徴とするものである。
金属粉末としては、低抵抗のCu粉末またはAg粉末が好ましく、金属成分のマイグレーションによる信頼性低下を抑制するためにはCu粉末が最も望ましい。金属粉末の平均粒径は、ペーストの諸特性(粘度、生強度)の点から0.5μm以上、また線幅30μm以下の微細配線形成の点から5μm以下であるのが好ましい。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径d50を意味する。粉体の粒度分布は、たとえばレーザ回折・散乱法によるマイクロトラック粒度分布測定装置X−100(日機装株式会社製)を用いて測定できる。
有機バインダーとしては、例えばイソブチルメタクリレート樹脂(SP値=8.2(cal/cm1/2)、ポリメチルメタクリレート樹脂(SP値=9.2(cal/cm1/2)、ニトロセルロース(SP値=10.1(cal/cm1/2)が用いられる。
そして、有機溶剤としては、そのSP値と有機バインダーのSP値との差が1.4〜3.9の範囲となるように選定される。例えば、有機バインダーがイソブチルメタクリレート樹脂(SP値=8.2(cal/cm1/2)の場合には、有機溶剤としてメチルアセテート(SP値=9.6(cal/cm1/2)、フタル酸ジブチル(DBP)(SP値=10(cal/cm1/2)、エチレングリコールモノエチルエーテル(SP値=10.5(cal/cm1/2)、ピリジン(SP値=10.7(cal/cm1/2)、ニトロエタン(SP値=11.1(cal/cm1/2)、イソプロピルアルコール(IPA)(SP値=11.5(cal/cm1/2)、ジエチレングリコール(SP値=12.1(cal/cm1/2)などが選定され、有機バインダーがポリメチルメタクリレート樹脂(SP値=9.2(cal/cm1/2)の場合には、有機溶剤としてピリジン(SP値=10.7(cal/cm1/2)、ニトロエタン(SP値=11.1(cal/cm1/2)、イソプロピルアルコール(IPA)(SP値=11.5(cal/cm1/2)、ジエチレングリコール(SP値=12.1(cal/cm1/2)、エタノール(SP値=12.7(cal/cm1/2)などが選定され、有機バインダーがニトロセルロース樹脂(SP値=10.1(cal/cm1/2)の場合には、有機溶剤としてイソプロピルアルコール(IPA)(SP値=11.5(cal/cm1/2)、ジエチレングリコール(SP値=12.1(cal/cm1/2)、エタノール(SP値=12.7(cal/cm1/2)などが選定される。さらに、有機バインダーのSP値が有機溶剤のSP値よりも大きい値であってもよく、有機バインダーがニトロセルロース樹脂(SP値=10.1(cal/cm1/2)の場合には、有機溶剤としてトルエン(SP値=8.5(cal/cm1/2)などが選定される。
ここで、SP(solubility parameter)値は物質の極性を示す指標であり、分子間結合力を示すCED(凝集エネルギー密度:cohesive energy density)の平方根で示されるものである。そして、SP値は有機バインダーと有機溶剤との親和性の指標となるもので、SP値が近いほど有機バインダーの有機溶剤への溶解性が高いことになる。一般的には、SP値はそれぞれの有機バインダー、有機溶剤の材料に固有の値となるが、例えば2種以上混合されている場合には、それぞれのSP値に体積分率を乗じて、これらを加えれば求められる。
そして、上述の金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを混合することで、本発明の配線基板用導体ペーストが作製される。ここで、有機バインダーは金属粉末100質量部に対して0.5〜5.0質量部の割合で混合されるのが好ましく、有機溶剤は金属粉末100質量部に対して、5〜100質量部の割合で混合されるのが好ましい。特に、後述の感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝に配線基板用導体ペーストを充填する際の感光性樹脂膜上への配線基板用導体ペーストの残留(バリ)を抑止するために、有機溶剤は金属粉末100質量部に対して10質量部以上の割合で混合されるのが好ましい。また、配線の電気特性を向上させるために配線は厚く形成するのが好ましく、そのために配線を形成する配線基板用導体ペーストの溶剤量は、金属粉末100質量部に対して30質量部以下の割合で混合されるのが好ましい。なお、この配線基板用導体ペーストには、必要に応じてセラミック粉末やガラス粉末が添加されていてもよく、これらの粉末が添加された場合は、金属粉末とセラミック粉末および/またはガラス粉末の合計100質量部に対して有機バインダーおよび有機溶剤を上記の割合で混合すれば良い。
ここで、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値を1.4〜3.9とするのは、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4未満であると、感光性樹脂膜上に残留した配線基板用導体ペーストをきれいに除去することができず、配線にいわゆるバリとして残ってしまい、セラミックグリーンシートと配線基板用導体ペーストとを同時焼成した際に、バリが大きいと配線材料であるCuおよびAgは拡散し易いこともあって隣の配線と見た目では分からないレベルでつながる可能性があるからである。特に、配線材料としてAgを用いる場合、バリが大きいと高温高湿バイアス試験においてマイグレーションにより隣の配線とつながりやすくなるからである。逆に有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が3.9を超えてしまうと、配線形成自体が困難になってしまうからである。これに対して、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値を1.4以上とすることで、有機バインダーと有機溶剤との相溶性が低くなる。そのため、配線基板用導体ペーストのペースト膜強度(結合力)を低く抑えることができることから、後述する配線基板の製造方法において、感光性樹脂膜をアルカリ水溶液で除去する際、感光性樹脂膜上に残留した乾燥後の配線基板用導体ペーストも容易に除去可能となり、線幅のバラツキが抑制された線幅30μm以下の微細な配線を得ることができる。特に、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値は2を超える値であるのが好ましい。これにより、最大線幅と最小線幅の差が極めて小さくなるため、例えば高温高湿バイアス試験等の信頼性試験において、長期の信頼性を向上させることができる。一方、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値を3.9以下とすることで、有機バインダーと有機溶剤との分離を防ぎ、金属粉末の分散性が良好な配線基板用導体ペーストを得ることができる。
なお、配線基板用導体ペースト中に含まれる有機バインダーや有機溶剤は、ガスクロマトグラフ(GC)分析によって特定することができる。具体的には、配線基板用導体ペーストを焼き、このときに発生するガスを分析することで、定性分析することができる。定量分析したい場合には、あらかじめ量がわかっているサンプルを再度ガスクロマトグラフ(GC)分析して、強度比から検量線を引いて特定することができる。
また、配線基板用導体ペースト中に含まれる無機物(金属、セラミック、ガラス)は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析で定性分析および定量分析することができる。
次に、上述の配線基板用導体ペーストを用いた配線基板の製造方法について説明する。
本発明の配線基板の製造方法は、図1に示すように、まずポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明で柔軟な樹脂フィルム1の一方の主面上に、粘着性樹脂膜2を乾燥後に3μm程度の厚みとなるようドクターブレード法により形成し、さらに粘着性樹脂膜2の主面に感光性樹脂膜3を粘着性樹脂膜2と同様の方法で形成する。
粘着性樹脂膜2は、これに感光性樹脂膜3を密着させ、現像処理等の際の感光性樹脂膜3の剥離を抑制するためのものであり、アクリル樹脂の中でもガラス転移温度の低いブチルアクリレートなどをトルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン等の有機溶剤に溶解させてドクターブレード法により形成するのが好ましい。この粘着性樹脂膜2の粘着力は、感光性樹脂膜3に対して1mN/mm〜15mN/mmの範囲が望ましく、1mN/mm以上とすることで感光性樹脂膜3が工程途中段階で樹脂フィルム1から剥離してしまうのを防止し、15mN/mm以下とすることで最終的に感光性樹脂膜3を剥離する際に大きな負荷を与えることなく剥離することができる。なお、粘着力の測定は、樹脂フィルム1上に粘着性樹脂膜2を形成し、粘着性樹脂膜2の表面に感光性樹脂膜3(ポジ型フォトレジスト)をドクターブレード法で形成し、110℃×2時間で乾燥して多層フィルムを作製した後、引張圧縮試験装置(オリエンテック社製 STA−1150)による感光性樹脂膜/粘着性樹脂膜間の180°ピール強度試験によるものである。具体的には、上記の値は、多層フィルムを幅15mm×長さ100mmの大きさにカットし、300mm/minのスピードで引っ張り、感光性樹脂膜が完全に剥離したときの荷重を読み取り、15mm幅あたりの強度を示している。
感光性樹脂膜3は、有機溶剤に溶解させた液状の感光性レジストを用いてドクターブレード法により形成してもよいが、フィルム状のドライフィルムレジストをラミネーターにより熱圧着して形成してもよい。
次に、図2に示すように、露光処理および現像処理を施して感光性樹脂膜3を貫通する配線形成用の溝4を形成する。具体的には、配線と同様のパターンが形成された厚さ約1.6mmのフォトマスク7を用いて、i線(波長365nm)による露光処理を行い、アルカリ水溶液(例えば1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液)で現像処理を施して感光性樹脂膜3を貫通し、当該感光性樹脂膜3と粘着性樹脂膜2を有する樹脂フィルム1とで形成される配線形成用の溝4を形成する。
次に、図3に示すように、感光性樹脂膜3を貫通する配線形成用の溝4に、上述の金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを含み、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4〜3.9である配線基板用導体ペースト5を充填する。
配線基板用導体ペースト5の溝4への充填は、例えばウレタンゴム製のスキージであって、望ましくは剣スキージを用いて行われる。充填方法は手動でも可能であるが、圧力を適切に制御するためにもスクリーン印刷機等を用いるのがより望ましい。その後、60〜100℃で1〜3時間程度かけて乾燥させる。
そして、感光性樹脂膜3を取り除いて配線付きフィルム6を作製する。感光性樹脂膜3の除去には、アルカリ水溶液(例えば2%濃度の水酸化ナトリウム水溶液)を用いて、感光性樹脂膜3を溶解させる。
このとき、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4未満であると感光性樹脂膜3上に残留する乾燥後の配線基板用導体ぺースト5をきれいに取り除くことができず、これがいわゆるバリとなって、平面視による配線の最大線幅と最小線幅との差が8μmを超えてしまい、ショートの原因となってしまう。これに対し、本発明の配線基板用導体ぺースト5は、これに含まれる有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4〜3.9であるため、感光性樹脂膜3上に残留する乾燥後の配線基板用導体ぺースト5が感光性樹脂膜3の溶解とともにきれいに取り除くことができる。
なお、平面視による配線の最大線幅と最小線幅との差の測定にあっては、いわゆるバリによって線幅が大きくなっている部分も配線としてとらえて見ている。上記のバリ形成によって、このバリの形成された部分とバリの形成されていない部分とがちょうど波打つような配線が形成されることから、バリが形成されないうようにすることで最大線幅と最小線幅との差を8μm以下とすることができる。例えば、測定に際しては、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、1000倍のSEM画像から求めることができる。
さらに、図4に示すように、配線付きフィルム6に配線基板用導体ペースト5および粘着性樹脂膜2を覆うように、ドクターブレード法により所望の厚みにセラミックスラリー8を塗布する。そして、このセラミックスラリー8を乾燥させて固化させた後に、樹脂フィルム1を粘着性樹脂膜2ごと剥離してこれらを取り除き、配線付きセラミックグリーンシート9を作製する。
なお、別途セラミックグリーンシートを用意しておき、配線付きフィルム6の配線形成面を、別途用意したセラミックグリーンシートの表面に熱圧着させた後に、樹脂フィルム1を粘着性樹脂膜2ごと剥離して、配線をセラミックグリーンシートに転写することで、配線付きセラミックグリーンシート9を作製してもよい。
ここで、配線付きセラミックグリーンシート9におけるセラミックグリーンシートは、例えば結晶化ガラスまたは非結晶ガラスとSiOやAl、ZrO等の無機フィラーとを混合した後、成形して得られるものである。無機フィラーとしては、他にコランダム(αアルミナ)、フォルステライト、ジルコニア、マグネシアなどが例示できる。また、結晶化ガラスの場合、焼成することによって、クォーツ、クリストバライト、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライト等の結晶を析出するものが例示できる。結晶化ガラスまたは非結晶ガラスと前記無機フィラー(セラミック成分)を混合してガラスセラミック組成物を調製し、その混合物に有機バインダー等を加えてセラミックグリーンシートとなるセラミックスラリーを作製した後、ドクターブレード法、圧延法、プレス法などによりシート状に成形して作製する。
なお、配線付きセラミックグリーンシート9には、上述の方法による配線形成の他、マイクロドリルや赤外線レーザー等によりビア加工を行い、ビアに上述した配線基板用導体ペースト5をスクリーン印刷法で埋め込むことによる配線形成も行われる。
得られた配線付きセラミックグリーンシート9を複数積層して配線付きセラミックグリーンシート積層体を作製し、例えば窒素雰囲気中400〜800℃で1〜3時間かけて有機バインダーを消失させた後、例えば窒素雰囲気中800〜1000℃で1〜2時間かけて焼成することで、配線基板を得ることができる。
上述の配線基板の製造方法によれば、スクリーン印刷法などと比較して微細な配線(平面視による線幅が30μm以下)を形成することができ、配線基板のより小型化、高性能化を実現できる。
また、スクリーン印刷法などでは配線の断面に鋭角部分が存在し、その部分に電荷が集中することで比抵抗や高周波信号の伝送損失(S21)等の電気特性が低下してしまうことがあったが、これに対し上述の配線基板の製造方法によれば、断面矩形状(角の角度が80〜95度)の配線を形成することができるので、配線の比抵抗や高周波信号の伝送損失(S21)等の電気特性を向上させることができる。
そして、金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを含み、有機バインダーのSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4〜3.9である上述の配線基板用導体ペーストを用いることによって、平面視による配線の最大線幅と最小線幅との差を8μm以下とすることができる。
SP値の差が上記範囲よりも小さいと、配線基板の平面視による配線の最大線幅と最小線幅との差を8μm以下とすることができず、近接する配線同士が接触してショートを引き起こしてしまうなどの問題がある。また、SP値の差の絶対値が上記範囲よりも大きいと、有機バインダーと有機溶剤とが分離して金属粉末の分散性が悪くなってしまい、配線を形成することができなくなってしまう。
以上のように、本発明の配線基板用導体ペーストを用いた配線基板の製造方法によれば、複数のセラミック絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、前記セラミック絶縁層の内部に配線基板用導体ペーストによって形成された断面略矩形状の配線とを含み、平面視による前記配線の線幅が30μm以下であって最大線幅と最小線幅との差が8μm以下である配線基板を得ることができる。なお、セラミック絶縁層の内部とは、セラミック絶縁層一層の内側に配線が形成されていることをいい、隣り合うセラミック絶縁層同士の境界に面して形成されているものを排除するものではない。
樹脂フィルムとしてのPETフィルム上に、ブチルアクリレートを主とする粘着性樹脂膜をドクターブレード法により乾燥後の厚みが3μmとなるように形成した後、この粘着性樹脂膜の表面に感光性樹脂膜としてのポジ型フォトレジスト(東京応化社製 PMER LA900PM)をドクターブレード法で乾燥後の厚みが20μmとなるように、乾燥温度110℃で膜状に形成した。そして、配線と同様のパターンの遮光膜を有するフォトマスクを用い、i線照射機により感光性樹脂膜側から1000mJ/cmで露光し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液により現像処理を行い、ポジ型フォトレジスト(東京応化社製 PMER LA900PM)を貫通する配線形成用の溝を形成した。
そして、平均粒径が2μmのCu粉末98質量%とホウ珪酸ガラス粉末2質量%とからなる混合粉末100質量部に対して、表1に示す有機バインダーを5質量部、表1に示す有機溶剤を20質量部加え、3本ロールミルで混合して、配線基板用導体ペーストを作製した。作製した配線基板用導体ペーストをスキージを用いて溝内に充填した。
その後、充填した配線基板用導体ペーストを、80℃の温度で乾燥させた後、2%濃度の水酸化ナトリウム水溶液にて感光性樹脂膜であるポジ型フォトレジストの溶解処理を行った。ポジ型フォトレジストを溶解することによって、配線付きフィルムを得た。
この配線付きフィルム上にセラミックスラリーをドクターブレード法により乾燥後の厚みが150μmとなるようにブレード厚みを調整し、塗布した後、80℃で乾燥し、粘着性樹脂膜が形成された樹脂フィルムとしてのPETフィルムを剥離することで、配線付きセラミックグリーンシートを得た。
このときのセラミックスラリーは、セラミック粉末100質量部と、有機バインダー(イソブチルメタクリレート)15質量部と、トルエン70質量部とを、ボールミルで24時間混練して作製されたものである。なお、セラミック粉末は、無機フィラーとしてのSiOと非結晶性のホウ珪酸ガラスとを混合したもので、この混合原料粉末の平均粒径を2μmとしたものを用いた。ガラスの組成としては、SiO:40質量%、B:10質量%、BaO:40質量%、Al:5質量%、CaO:5質量%のものを用いた。
そして、上記配線付きセラミックグリーンシート5層を、10MPa、50℃で熱圧着積層し、配線付きセラミックグリーンシート積層体を作製した。得られた配線付きセラミックグリーンシート積層体は、窒素雰囲気中750℃で3時間かけて有機バインダー等の有機成分を焼失させた後、窒素雰囲気中950℃で1時間焼成することで、配線基板を得た。
なお、配線のパターンはL(線幅)/S(間隔)=20/20μmとし、熱圧着積層前に配線がショートしているかを40倍の光学顕微鏡で確認し、ショートしているものを不良とした。また、ペースト特性として、有機バインダーが有機溶剤に溶けずに有機バインダーと有機溶剤とが分離して配線が形成されていないものを目視確認し、不良とした。その結果を表1に示す。
Figure 2009099519
表1の結果より、本発明の範囲においては、線幅30μm以下(20μm)の配線において、最大線幅と最小線幅との差が8μm以下であってショートのないものが形成されていることがわかる。すなわち、最大線幅と最小線幅との差が8μm以下であれば、隣り合う配線同士がショートするほどのバリが形成されていないことがわかる。
これに対し、本発明の範囲外においては、隣り合う配線同士がショートするほどのバリが形成されたり(試料No.1〜3)、有機バインダーと有機溶剤とが分離して金属粉末の分散性が良好な配線基板用導体ペーストを得ることができなくなったり(試料No.9)していることがわかる。
このように、本発明の配線基板用導体ペーストによれば、線幅のバラツキを抑制することが可能となり、本発明の配線基板によれば、断線やショートのおそれが少なく、配線の高密度化および小型化を実現することができる。
本発明の配線基板の製造方法の説明図であって、樹脂フィルムの主面に粘着性樹脂膜を介して感光性樹脂膜が形成された状態を示している。 本発明の配線基板の製造方法の説明図であって、(a)は感光性樹脂膜に露光している状態を示しており、(b)は感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝が形成された状態を示している。 本発明の配線基板の製造方法の説明図であって、(a)は感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝に配線基板用導体ペーストが充填された状態を示しており、(b)は(a)に示す感光性樹脂膜を取り除くことで作製された配線付きフィルムを示している。 本発明の配線基板の製造方法の説明図であって、(a)は配線付きフィルムにセラミックスラリーが塗布された状態を示しており、(b)は(a)に示す樹脂フィルムおよび粘着性樹脂膜を取り除くことで作製された配線付きセラミックグリーンシートを示している。
符号の説明
1・・樹脂フィルム
2・・・粘着性樹脂膜
3・・・感光性樹脂膜
4・・・溝
5・・・配線基板用導体ペースト
6・・・配線付きフィルム
7・・・フォトマスク
8・・・セラミックスラリー
9・・・配線付きセラミックグリーンシート

Claims (4)

  1. 金属粉末と有機バインダーと有機溶剤とを含み、前記有機バインダーのSP値と前記有機溶剤のSP値との差の絶対値が1.4以上3.9以下であることを特徴とする配線基板用導体ペースト。
  2. 樹脂フィルムの一方の主面上に粘着性樹脂膜を介して感光性樹脂膜を形成する工程と、露光処理および現像処理を施して前記感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝を形成する工程と、該溝に請求項1に記載の配線基板用導体ペーストを充填し乾燥する工程と、前記感光性樹脂膜を取り除いて配線付きフィルムを作製する工程と、該配線付きフィルムに前記配線基板用導体ペーストおよび前記粘着性樹脂膜を覆うようにセラミックスラリーを塗布する工程と、該セラミックスラリーを固化させた後に前記樹脂フィルムおよび前記粘着性樹脂膜を取り除いて配線付きセラミックグリーンシートを作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシートを複数積層して配線付きセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法。
  3. 樹脂フィルムの一方の主面上に粘着性樹脂膜を介して感光性樹脂膜を形成する工程と、露光処理および現像処理を施して前記感光性樹脂膜を貫通する配線形成用の溝を形成する工程と、該溝に請求項1に記載の配線基板用導体ペーストを充填し乾燥する工程と、前記感光性樹脂膜を取り除いて配線付きフィルムを作製する工程と、該配線付きフィルムに前記配線基板用導体ペーストおよび前記粘着性樹脂膜を覆うようにセラミックグリーンシートを押し当てて前記配線基板用導体ペーストを前記セラミックグリーンシートに転写した後に前記樹脂フィルムおよび前記粘着性樹脂膜を取り除いて配線付きセラミックグリーンシートを作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシートを複数積層して配線付きセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、該配線付きセラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法。
  4. 複数のセラミック絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、前記セラミック絶縁層の内部に配線基板用導体ペーストによって形成された断面が略矩形状の配線とを含み、平面視による前記配線の線幅が30μm以下であって最大線幅と最小線幅との差が8μm以下であることを特徴とする配線基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109390073A (zh) * 2017-08-10 2019-02-26 株式会社则武 导电性糊剂

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