JP2009097700A - 繊維強化樹脂歯車及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】編み物で繊維強化材を構成するとともに、切削加工により歯部が形成された繊維強化樹脂歯車において、歯部の強度低下を抑制する。
【解決手段】繊維強化樹脂歯車11は、芯金12の外周に樹脂部13が形成され、樹脂部13の外周に繊維強化樹脂部14が形成されるとともに歯部15が形成されている。各歯部15の歯先の幅Wは編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さく形成されている。各歯部15は、編み物を構成する編み目の横の列20bにおいて、一つのループとそのループに交差する2つのループとの一対の交差部、即ち図において部分A又は部分Bを1個有する。繊維強化樹脂部14の繊維強化材は、帯状に形成された編み物を繊維強化樹脂歯車11の軸方向に螺旋状に巻き重ねて環状に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂歯車及びその製造方法に関する。
繊維強化樹脂歯車は、噛み合い音が低い、軽量で回転慣性力が小さい等の利点を持つため、種々の分野で使用されている。樹脂歯車を形成するための補強繊維基材として、アラミド繊維糸を筒状に編んだ基材を使用することが提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1では、図9(a)に示すように、補強繊維基材61を軸方向に巻き上げてリング体62にして歯車の製造に用いる。このリング体62と当該リング体の中央に配置した金属製ブッシュ(芯金)とを成形金型に収容し、リング体62に樹脂を含浸して一体成形する。そして、成形したリング体の周囲に切削加工等により歯を形成し、樹脂歯車を完成する。
この構成では、製造する樹脂歯車の径に応じて、筒状に編んだ補強繊維基材の径を変更することになる。製造する歯車に応じて、種々の径の補強繊維基材を編む作業は極めて煩雑であり、場合によっては、所要の径の補強繊維基材を準備できないこともある。この不具合を改良した樹脂歯車が提案されている(特許文献2参照。)。この樹脂歯車は、アラミド繊維糸をウェールが25〜35本/inch、コースが16〜26本/inchとなるように編んだ平らなシートを筒状に巻き重ね、その筒状体を仮成形型内で軸方向に蛇腹状に折り畳むことによりリング体にして、歯車の製造に用いる。このリング体と当該リング体の中央に配置した金属製ブッシュとを成形金型に収容し、リング体に樹脂を含浸して一体成形する。そして、成形したリング体の周囲に切削加工等により歯を形成し、樹脂歯車を完成する。
また、リング状補強繊維基材の繊維方向を歯車の全周に亘って、歯の強度を大きくする方向に揃え、各歯の強度を大きく均一にすることと、リング状補強繊維基材を構成するときに、端材ができないようにすることとを目的とした樹脂歯車が提案されている(特許文献3参照。)。この樹脂歯車に使用されるリング状補強繊維基材は、図9(b)に示すように、所定幅で長尺の繊維基材63を螺旋巻きにより積層してリング状に整え、前記所定幅をリング幅とした構成である。所定幅で長尺の繊維基材63としては、織布、抄造不織布、フェルトから選ぶことができ、さらには、筒状の織物又は編み物を扁平にしたもの、中実の紐から選ぶことができるとされている。
特開平8−156124号公報 特開2003−4119号公報 特開2001−241535号公報
ところが、特許文献2に記載のように、繊維糸を平らなシート状に編んだ補強機材を筒状に巻重ね、その筒状体を軸方向に蛇腹状に折り畳んでリング体を製造するのは難しい。また、特許文献2には編み物における幅方向の編み目のピッチ及び長手方向の編み目のピッチの大きさについては規定されているが、歯車の歯の大きさと前記両編み目のピッチとの好ましい関係については述べられていない。
また、特許文献3の場合は、所定幅で長尺の繊維基材63が螺旋巻きにより積層されているため、例えば織物の緯糸が歯車の径方向に配列し易いとしている。しかし、長尺の織物を皺のない状態で螺旋巻に積層するのは、リングの内側と外側の経路差により難しい。編み物の場合は織物に比較して伸縮し易いため、螺旋巻に積層することは織物の場合に比較して容易である。ところが、特許文献3は、編み物の編み目のピッチに関しては何ら記載が無く、歯車の歯の大きさと編み目との関係に関しても何ら記載がない。織物と異なり、編み物は繊維が真っ直ぐに延びるように配列されるのではなく、ループ状の編み目が絡み合うように配列される。したがって、編み目の大きさや歯車の歯の大きさによっては、歯車を切削加工する際に編み目が切断されて、歯の部分に編み目が完全な状態で存在せず、歯車の使用時に歯部に荷重が掛かった際、強度、特に剪断強度が低下するという問題がある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、第1の目的は、編み物で繊維強化材を構成するとともに、切削加工により歯部が形成された繊維強化樹脂歯車において、歯部の強度低下を抑制することができる繊維強化樹脂歯車を提供することにある。また、第2の目的は、前記繊維強化樹脂歯車の製造方法を提供することにある。
前記第1の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、少なくとも歯部が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成された繊維強化樹脂歯車であって、前記歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅は編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さく形成され、前記歯車の各歯部は、編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つの繊維束との一対の交差部が1個以上存在する編み物の層を少なくとも1層有する。
織物と異なり、編み物は繊維が真っ直ぐに延びるように配列されるのではなく、ループ状の編み目が絡み合うように配列される。そして、この発明では、少なくとも歯車の歯部が編み物を繊維強化材とした繊維強化樹脂で形成され、歯車の各歯部には編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つの繊維束との一対の交差部が1個以上存在する編み物の層を少なくとも1層有する。したがって、歯車が使用された際に、歯車の歯部にその歯厚方向に荷重が掛かった場合、一対の交差部によりその荷重が担われるため、一対の交差部が存在しない場合に比較して強度が向上する。即ち、歯部の強度低下を抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記歯車の各歯部は、前記一対の交差部が1個だけ存在する編み物の層を少なくとも1層有する。この発明では、各歯部が小さな場合でも歯部の強度低下を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記繊維強化材は、前記編み物として帯状に形成されるとともに、編み目の縦の列が帯状の編み物の幅方向に延び、編み目の横の列が帯状の編み物の長手方向に延びるように形成されたものが使用され、かつ編み目の縦の列が放射状に配列されるように、螺旋状に巻き重ねて環状に形成されている。したがって、全周に亘って編み目の縦の列が放射方向に沿って並ぶように配置され、歯車の各歯部の強度が均一化される。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記繊維強化材は、前記編み物として帯状に形成されるとともに、編み目の横の列が帯状の編み物の幅方向に延び、編み目の縦の列が帯状の編み物の長手方向に延びるように形成されたものが使用され、かつ編み目の横の列が放射状に配列されるように、螺旋状に巻き重ねて環状に形成されている。したがって、全周に亘って編み目の横の列が放射方向に沿って並ぶように配置され、歯車の各歯部の強度が均一化される。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記繊維強化材は、編み物を外形円形状に切断したものを積層して形成されるとともに、積層された各編み物の層における編み目の縦の列の配列方向が、前記歯車の隣接する歯間の成す角度の正の整数倍ずれるように積層されている。ここで、「外形円形状」とは、円環状又は円形状であることを意味する。この発明では、歯部を構成する繊維強化樹脂の繊維強化材は、編み物を外形円形状に打ち抜いた(切り抜いた)ものを所定枚数積層して形成されるため、繊維強化樹脂の製造が容易である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記2つの繊維束は、2つのループである。編み物の種類によっては、一つのループと交差するのが隣り合うループの場合と、ループに連続する直線状に延びる部分の場合とがある。この発明では、ループ同士が交差するため、直線状に延びる繊維束の場合に比べて歯部の強度が高くなる。
前記第2の目的を達成するため請求項7に記載の発明は、少なくとも歯部が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成された繊維強化樹脂歯車の製造方法であって、形成すべき繊維強化樹脂歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅が編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さい編み物を強化材として、編み物が歯車の軸方向に複数層積層された歯車切削加工用の繊維強化樹脂成形体を製造する工程と、歯切り盤により前記繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行う工程とを備えている。そして、前記繊維強化樹脂成形体に対する歯切り加工を行う際に、前記繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目との関係で決まる歯切り開始位置を指示手段で指示した状態となるように前記繊維強化樹脂成形体を前記歯切り盤のワーク装着部に固定し、前記歯切り開始位置から歯切り盤の切削刃により歯切りを開始する。
ここで、「指示手段」とは歯切り盤が歯切りの際に、切削刃が歯切りを開始する位置を指示する手段を意味する。この発明の製造方法では、繊維強化樹脂成形体に歯切り加工を行う際に、繊維強化樹脂成形体の適切な歯切り開始位置が歯切り盤の切削刃が歯切りを開始する位置に一致するように、作業者が手作業で位置決めしてワーク装着部に固定する。そして、その状態から歯切り盤の切削刃による歯切り加工が開始される。したがって、繊維強化樹脂歯車の各歯部は、編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つの繊維束との一対の交差部が1個以上存在する構造になる。
請求項8に記載の発明は、少なくとも歯部が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成された繊維強化樹脂歯車の製造方法であって、形成すべき繊維強化樹脂歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅が編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さい編み物を強化材として、編み物が歯車の軸方向に複数層積層された歯車切削加工用の繊維強化樹脂成形体を製造する工程と、歯切り盤により前記繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行う工程とを備える。そして、前記繊維強化樹脂成形体に対する歯切り加工を行う際に、ワーク装着部に装着された繊維強化樹脂成形体の外周面に向けて照射された光の反射光を検出して、前記繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目と対応する位置を特定可能な検出装置を備えた歯切り盤を使用し、前記繊維強化樹脂成形体を前記歯切り盤のワーク装着部に固定し、その状態で前記検出装置により前記繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目との関係で決まる歯切り開始位置を特定した後、その歯切り開始位置から歯切り盤の切削刃による歯切りを開始する。
したがって、この発明では、繊維強化樹脂成形体に歯切り加工を行う際に、歯車切削加工用の繊維強化樹脂成形体を、繊維強化樹脂成形体の適切な歯切り開始位置が歯切り盤の切削刃が歯切りを開始する位置に一致するように、作業者が手作業で位置決めして歯切り盤のワーク装着部に固定する必要はない。作業者が繊維強化樹脂成形体をワーク装着部に固定すると、歯切り盤の切削刃の適切な切削開始位置が自動的に検出され、適切な位置から歯切りが開始される。
本発明によれば、編み物で繊維強化材を構成するとともに、切削加工により歯部が形成された繊維強化樹脂歯車において、歯部の強度低下を抑制することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。図1(a)に示すように、繊維強化樹脂歯車11は、芯金12の外周に樹脂部13が形成され、樹脂部13の外周に繊維強化樹脂部14が形成されている。繊維強化樹脂部14には歯部15が形成されている。繊維強化樹脂部14は、連続繊維からなる編み物が繊維強化樹脂歯車11の軸方向に複数層積層されて環状に形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成されている。詳述すれば、繊維強化材は、帯状に形成された編み物を繊維強化樹脂歯車11の軸方向に螺旋状に巻き重ねて環状に形成されている。編み物は環状部の外側となる部分が引き伸ばされるようにして積層され、真っ直ぐな帯状の状態では平行に配列されていた編み目の縦の列が放射方向に延びるように配列された状態になる。
そして、繊維強化樹脂歯車11の各歯部15の歯先の幅Wは編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さく形成されている。コース方向における編み目1つ分の距離Tとは、図1(b)に示すように、一つの編み目のループ先端に接する直線とその編み目のループと反対側の2つの湾曲部の共通接線との距離を意味する。また、各歯部15の高さHは1コースと同じに形成されている。編み目の1コースとは、図1(b)に示すように、編み目の縦の列20aにおける1ピッチの長さであり、1ウェールとは編み目の横の列20bにおける1ピッチの長さである。また、繊維強化樹脂歯車11の各歯部15は、編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つのループとの一対の交差部が1個以上存在する編み物の層を少なくとも1層有する。
一対の交差部とは、一つのループのウェール方向における両端部をそれぞれ通りコース方向に延びる一対の直線L1a,L1bと、該ループの先端部と該ループに交差するループの先端部をそれぞれ通りウェール方向に延びる一対の直線L2a,L2bとにより囲まれた部分を指す。基準となるループは、上向きでも下向きでもよく、図1(b)において矩形で囲まれた2つの部分A,Bのいずれかが一対の交差部になる。この実施形態では各歯部15は、部分A又は部分Bを1個有する。
強化材を構成する繊維は、繊維強化樹脂歯車11に要求される物性によって選択されるが、この実施形態では有機繊維としてのアラミド繊維が使用されている。樹脂部13や繊維強化樹脂部14のマトリックス樹脂としてはモノマーキャストナイロン樹脂が使用されている。
次に繊維強化樹脂歯車11の製造方法を説明する。繊維強化樹脂歯車11の製造工程は、形成すべき繊維強化樹脂歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅が編み目のコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さい編み物を強化材として、編み物が歯車の軸方向に複数層積層された歯車切削加工用の繊維強化樹脂成形体を製造する工程と、歯切り盤により繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行う工程とを備えている。この実施形態では、繊維強化樹脂成形体を製造する工程は、帯状の編み物を形成する工程と、その編み物を螺旋状に積層して所定厚さの環状体を形成する帯状編み物積層工程と、環状体に樹脂を含浸させて円環状の繊維強化樹脂成形体を製造する繊維強化樹脂成形体形成工程とを有する。また、歯切り盤により繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行う工程の前工程として、円環状の繊維強化樹脂成形体の中央部に芯金12を加熱圧入する工程を有し、芯金12が加熱圧入された繊維強化樹脂成形体に歯切り加工が行われる。
帯状の編み物を形成する工程では、図2に示すように、編み目の縦の列20aが帯状の編み物20の幅方向に延び、編み目の横の列(コース)20bが帯状の編み物20の長手方向に延びるように帯状の編み物20が形成される。この実施形態では1つの帯状の編み物20で環状体が構成されるのではなく、複数の帯状の編み物20で環状体が構成されるため、帯状の編み物20は所定の長さの物が複数形成される。また、帯状の編み物20は、繊維強化樹脂歯車11の各歯部15の歯先の幅Wを編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さく形成した際に、各歯部15に、前記部分A又は部分Bが1個以上存在するように、編み物における縦の列20aのピッチ及び横の列20bのピッチの大きさが設定されて形成される。即ち、編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つの繊維束との一対の交差部が1個以上存在するように、編み物における縦の列20aのピッチ及び横の列20bのピッチの大きさが設定されて形成される。
帯状編み物積層工程では、図3(a)に示すように、帯状の編み物20を螺旋状に変形させながら積層して、図3(b)に示すように、所定厚さの環状体21を形成する。このとき、図示しない円柱状のガイドの周囲に沿って帯状の編み物20を螺旋状に積層する。そのため、帯状の編み物20は、幅方向の片側がガイドの周面に接触しつつ一定幅で螺旋状に容易に配列される。
例えば、形成すべき環状体21の内径が60mmの場合、螺旋状に重ねられた1層分の帯状の編み物20の長さは約190mmとなり、層数が10層でも1.9mの長さが必要になる。また、層数が20層では3.8mmの長さが必要となる。したがって、1つの帯状の編み物20で1つの環状体21を形成すると、横編み機として特別に幅が広い装置が必要となる。しかし、複数の帯状の編み物20で1つの環状体21を形成するため、横編み機として特別に広い編み幅の装置を使用する必要がない。
繊維強化樹脂成形体形成工程では、例えば、レジントランスファーモールディング(RTM)法が採用される。RTM法では、樹脂含浸用金型(成形金型)内に環状体21を配置する。そして、成形金型を閉じた後、成形金型内にポリアミド(ナイロン)のモノマーを注入して環状体21に含浸させるとともに加熱して重合させた後、成形金型を冷却することにより、歯車切削加工用の円環状の繊維強化樹脂成形体が得られる。ポリアミドのモノマーとしては、例えば、ε−カプロラクタムが使用される。なお、繊維強化樹脂成形体は、内側に繊維層のない樹脂部13を有する状態に形成される。
次に繊維強化樹脂成形体の中央部に芯金12を加熱圧入して芯金12を中央部に有する歯車用成形体を形成する。そして、この歯車用成形体の外周部に切削加工で歯車の歯部15を形成することにより繊維強化樹脂歯車11が形成される。歯部15の加工は、歯切り盤により繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行うことにより行われる。
繊維強化樹脂成形体に対して歯切り加工を行う際は、繊維強化樹脂成形体の所定の位置に設定された歯切り開始位置から歯切りが開始されるように繊維強化樹脂成形体を歯切り盤のワーク装着部に固定し、歯切り装置により歯切りを開始する。上述した歯切り開始位置とは、繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目との関係で決まる位置であり、その位置から歯切りを開始すれば全ての歯部に一対の交差部が少なくとも一つ存在するように、歯の形状や編み目の形状等から計算して設定される。歯切り開始位置から歯切りが開始されるように繊維強化樹脂成形体を歯切り盤のワーク装着部に固定するやり方としては、例えば、繊維強化樹脂成形体の外面を照射する指示手段としてのレーザービームポインターを歯切り盤に設ける。そして、そのレーザービームポインターの照射位置に繊維強化樹脂成形体の歯切り位置が合うように繊維強化樹脂成形体を歯切り盤に固定し、その照射位置から歯切りを開始するようにすれば良い。また、歯切り盤に指示手段として突起を設け、突起の位置に繊維強化樹脂成形体の歯切り開始位置を合わせ、歯切り盤によりその突起の位置から歯切りを開始するようにしても良い。そのようにすれば、各歯部に編み物を構成する編み目の横の列において、一つのループとそのループに交差する2つのループとの一対の交差部が1個以上存在する構造の繊維強化樹脂歯車11が形成される。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)繊維強化樹脂歯車11は、少なくとも歯部15が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて環状に形成された繊維強化樹脂で形成されている。繊維強化樹脂歯車11の各歯部15は、歯先の幅Wが編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さく形成され、編み物を構成する編み目の横の列20bにおいて、一つのループとそのループに交差する2つのループとの一対の交差部が1個以上存在する編み物の層を少なくとも1層有する。したがって、繊維強化樹脂歯車11が使用された際に、図1(b)に矢印Fで示すように、歯部15にその歯厚方向に荷重が掛かった場合、一対の交差部(部分A又は部分B)によりその荷重が担われるため、一対の交差部が存在しない場合に比較して強度が向上する。即ち、歯部15の強度低下を抑制することができる。
(2)繊維強化樹脂歯車11の繊維強化樹脂部14に使用される繊維強化材は、編み物として帯状に形成されたものが使用されるとともに、螺旋状に巻き重ねて環状に形成されることにより、各歯部15には編み物の編み目の縦の列20aが放射方向に沿って並ぶように配置されている。したがって、繊維強化樹脂歯車11の各歯部15の強度が均一化される。
(3)繊維強化樹脂部14に使用される繊維強化材は、編み目の縦の列20aが帯状の編み物20の幅方向に延び、編み目の横の列20bが帯状の編み物20の長手方向に延びるように形成された帯状の編み物20を、複数螺旋状に重ねて円環状の環状体21に形成されている。したがって、横編み機として特別に幅が広い装置を使用せずに、一般的な幅の装置で帯状の編み物20を形成することができる。
(4)編み物を形成する繊維に有機繊維が使用されている。繊維強化樹脂歯車11の歯部15の大きさを決める歯丈や歯厚によっては編み目の縦の列20aや横の列20bのピッチが、例えば1mm程度に小さくなる。そのような場合、有機繊維の方が炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維に比べて繊維が損傷し難い。
(5)繊維強化樹脂歯車11は、芯金12と繊維強化樹脂部14との間に強化繊維が存在しない樹脂部13を有するように構成されている。したがって、芯金12が繊維強化樹脂歯車11の中心に精度良く配置された状態で製造することができ、繊維強化樹脂歯車11を回転軸に固定する際の芯出しを精度良く行うことができる。また、芯金12及び繊維強化樹脂部14の体積を必要以上に大きくせずに繊維強化樹脂歯車11を製造することができ、芯金12と繊維強化樹脂部14で構成した繊維強化樹脂歯車11に比較して軽量化及びコスト削減の点で有利である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、図4及び図5を参照しながら説明する。この実施形態は、繊維強化樹脂歯車11の繊維強化樹脂部14に使用される繊維強化材としての環状体21の製造方法が前記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と異なる部分について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
繊維強化樹脂歯車11を製造する場合は、先ずシート状の編み物を形成する工程と、その編み物を円環状に打ち抜く工程と、打ち抜いた円環状の編み物シートを積層して所定厚さの環状体を形成する編み物積層工程と、環状体に樹脂を含浸させて円環状の繊維強化樹脂成形体を製造する繊維強化樹脂成形体形成工程とを有する。また、円環状の繊維強化樹脂成形体の中央部に芯金12を加熱圧入する工程と、芯金12が加熱圧入された繊維強化樹脂成形体に歯切り加工を行う工程とを有する。
シート状の編み物を形成する工程では、形成すべき繊維強化樹脂歯車11の各歯部15の歯先の幅Wを編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さく形成した際に、各歯部15に、前記部分A又は部分Bが1個以上存在するように、編み物における縦の列20aのピッチ及び横の列20bのピッチの大きさが設定されて編み物が形成される。
図4(a)に示すように、矩形シート状の編み物30から円環状の編み物31(図4(a)に二点鎖線で図示)を打ち抜く。次に編み物積層工程で図4(b)に示すように、円環状の編み物31を所定枚数積層して環状体32を形成する。環状体32を形成する際、積層された各編み物31の層における編み目の縦の列30aの配列方向が、繊維強化樹脂歯車11の隣接する歯間の成す角度θの正の整数倍ずれるように積層されている。詳述すると、図5に示すように、(n−1)層目の編み物31の縦の列30aの配列方向が図5における上下方向であれば、n層目の編み物31の縦の列30aの配列方向はそれより角度θ傾いた状態で積層される。また、(n+1)層目の編み物31の縦の列30aの配列方向は、(n−1)層目の編み物31の縦の列30aの配列方向より角度2θ傾いた状態で積層される。積層数は少なくとも繊維強化樹脂歯車11の各歯部15に、部分A又は部分Bが1個以上存在する編み物の層が少なくとも1層存在するように設定される。
そして、第1の実施形態と同様に繊維強化樹脂成形体形成工程で環状体32を繊維強化材として円環状の繊維強化樹脂成形体を製造した後、円環状の繊維強化樹脂成形体の中央部に芯金12を加熱圧入する工程と、芯金12が加熱圧入された繊維強化樹脂成形体に歯切り加工を行う工程とを実施して、繊維強化樹脂歯車11を製造する。
この実施形態では円環状の繊維強化樹脂成形体を構成する円環状の編み物31は、矩形シート状の編み物30を打ち抜いて形成されるため、積層される各編み物31の編み目の縦の列30aの配列方向を同じにした場合は、各歯部15に含まれる編み目の縦の列30aが歯丈の方向と一致するとは限らない。例えば、歯丈の方向が編み目の縦の列30aの方向と直交する歯部15では、編み目の横の列30bが歯丈の方向と一致する。その他の歯部15では、歯厚と編み目のピッチによっては、編み目の縦の列30a又は横の列30bが歯丈の方向と一致しない。そのため、各歯部15に、前記部分A又は部分Bが1個以上存在するとは限らない。しかし、この実施形態では、各編み物31の編み目の縦の列30aの配列方向が各層によってずれる状態で積層されているため、各歯部15に、部分A又は部分Bが1個以上存在する編み物の層が少なくとも1層存在するようになる。したがって、歯部15にその歯厚方向に荷重が掛かった場合、編み目の横の列30bにおいて、一つのループとそのループに交差する2つのループとの一対の交差部が1個以上存在する部分A又は部分Bによりその荷重が担われるため、一対の交差部が存在しない場合に比較して強度が向上する。即ち、歯部15の強度低下を抑制することができる。
この実施形態においては、第1の実施形態における効果(4),(5)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(6)繊維強化材は、編み物を円環状に切断したものを積層して形成されるとともに、積層された各編み物の層における編み目の縦の列の配列方向が、前記歯車の隣接する歯間の成す角度の正の整数倍ずれるように積層されている。したがって、繊維強化樹脂歯車11が使用された際に、歯部15にその歯厚方向に荷重が掛かった場合、一対の交差部(部分A又は部分B)によりその荷重が担われるため、一対の交差部が存在しない場合に比較して強度が向上する。即ち、歯部15の強度低下を抑制することができる。
(7)繊維強化材は、編み物を打ち抜きや切り抜きで環状に切断したものを所定枚数積層して形成されるため、繊維強化樹脂の製造が容易である。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 帯状の編み物20を螺旋状に重ねて円環状の環状体21を形成する場合、帯状の編み物20は、編み目の縦の列20aが帯状の編み物20の幅方向に延び、編み目の横の列20bが帯状の編み物20の長手方向に延びるものに限らない。例えば、図6(a)に示すように、編み目の横の列20bが帯状の編み物20の幅方向に延び、編み目の縦の列20aが帯状の編み物20の長手方向に延びるように形成してもよい。この場合、得られる環状体21は、編み物の編み目の横の列20bが放射方向に沿って並ぶように配置されるため、図6(b)に示すように、各歯部15には編み物の編み目の横の列20bが放射方向に沿って並ぶように配置される。したがって、繊維強化樹脂歯車11の各歯部15の強度が均一化される。また、形成すべき帯状の編み物20の長さに関係なく、横編み機として装置の幅の狭い編み機で対応することができ、1本の帯状の編み物20で1つの環状体21を容易に形成することができる。
○ 繊維強化樹脂歯車11は、各歯部15の高さ又は歯先の幅が、繊維強化材を構成する編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さく形成され、かつ各歯部15は、編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つの繊維束との一対の交差部が1個以上存在する編み物の層を少なくとも1層有すればよい。即ち、交差部はループ同士が交差する構成に限らず、編み物の種類によっては一つのループと交差するのがループではなくループに連続して直線状に延びる繊維束の部分であってもよい。しかし、ループ同士が交差する場合の方が、直線状に延びる繊維束の場合に比べて歯部の強度が高くなる。
○ 各歯部15の大きさは歯部15の高さと歯先の幅の両方が編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さくなっていることに限らない。例えば、図7(a)に示すように、歯先の幅Wはコース方向における編み目1つ分の距離Tの半分以下で、歯部15の高さ及び歯部15の基端の幅を距離Tより大きく形成して、部分A及び部分Bのいずれかが1個存在するようにしてもよい。
○ 歯先の幅Wをコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さくした場合、歯部15内に存在する編み物の編み目の方向によっては、歯車を切削加工する際の切削開始位置を正確に設定する必要がある。例えば、編み目のコース方向が歯先の幅方向となる場合で、歯部15の基端の幅が距離Tに等しい場合、図7(b)に示すように、歯部15の基端側にほぼ一つの編み目が存在するように歯部15が切削加工されると、歯部15には一対の交差部が完全には含まれない状態となる。歯部15が同じ大きさであっても、編み目のウェール方向が歯先の幅方向と平行になる場合は、歯部15には一対の交差部が完全に含まれる状態になる。また、歯部15の高さをコース方向における編み目1つ分の距離Tより小さくした場合、歯部15内に存在する編み物の編み目の方向によっては、歯車を切削加工する際の切削開始位置を正確に設定する必要がある。例えば、編み目のウェール方向が歯先の幅方向となる場合、歯部15の基端の幅が距離Tより大きくても、図7(c)に示すように、歯部15の高さ方向に沿ってほぼ一つの編み目が存在するように歯部15が切削加工されると、歯部15には一対の交差部が完全には含まれない状態となる。即ち、編み目の向きにより歯部15の歯先の幅W及び基端部の幅と、歯部15の高さによって、歯車を切削加工する際の切削開始位置や歯先と編み目の位置を決定する必要がある。
○ 図8(a)に示すように、繊維強化樹脂歯車11の各歯部15の高さを編み物の編み目の1コースより小さく形成し、歯先の幅が1コースの複数倍に形成して、各歯部15に部分A及び部分Bが複数個存在するようにしてもよい。また、図8(b)に示すように、編み目の横の列20bが歯丈方向に配列されるようにしてもよい。
○ 編み目の縦の列20aが帯状の編み物20の幅方向に延び、編み目の横の列20bが帯状の編み物20の長手方向に延びる帯状の編み物20を使用して環状体21を形成する場合においても、1本の帯状の編み物20で形成してもよい。
○ 編み物の組織は特に限定されず、例えば、平編み、ゴム編み、パール編み等、一つのループと交差するのが隣り合うループになる組織や、デンビー編みのように一つのループと交差するのがループではなく繊維束の直線状に延びる部分になる組織であってもよい。
○ 繊維強化樹脂歯車11は、樹脂部13を設けずに、芯金12の外周に繊維強化樹脂部14が直接連続する構成としたり、芯金12を設けずに、繊維強化樹脂歯車11全体を繊維強化樹脂部14のみで構成したりしてもよい。
○ 繊維強化樹脂歯車11は、繊維強化樹脂部14が環状に限らず円板状であってもよい。
○ 繊維強化樹脂歯車11の歯部15の数、歯丈、歯厚等は目的に応じて適宜変更してもよい。
○ 平歯車に限らず、例えばウォームホイールや斜歯歯車に適用してもよい。
○ 強化材に使用される連続繊維は、アラミド繊維に限らず、超高分子量ポリエチレン繊維やポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO繊維)等の高強度の有機繊維や要求物性によっては有機繊維としてポリエステル繊維を使用してもよい。また、有機繊維に限らず、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用してもよい。
○ マトリックス樹脂はモノマーキャストナイロン樹脂に限らず、他の熱可塑性樹脂や熱硬化製樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としてはポリアミド以外の他のエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネートやポリブチレンテレフタレートやポリアセタール等を使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂やビニールエステル系樹脂が使用される。ポリマー状態の熱可塑性樹脂を編み物からなる環状体21に含浸させる場合は、成形型をマトリックス樹脂の溶融温度より高温に加熱した状態で溶融状態の熱可塑性樹脂を加圧状態で注入する。
○ 第2の実施形態のように、矩形シート状の編み物30を打ち抜いて(切断して)形成された円環状の編み物31を積層して環状体32を形成する場合、各層を構成する円環状の編み物31は、編み目の縦の列30aの配列方向が、隣り合う層で角度θずつずれる構成に限らない。積層された環状体32全体で、異なる角度に配列された編み物の層が存在すればよい。この場合も、第2の実施形態と同様な効果が得られる。
○ 繊維強化樹脂成形体に対して歯切り加工を行う場合、作業者は繊維強化樹脂成形体を位置決めせずにワーク装着部に固定し、繊維強化樹脂成形体の適切な歯切り開始位置を歯切り盤が自動的に検出した後、歯切りを開始するようにしてもよい。例えば、歯切り盤は、ワーク装着部に装着された繊維強化樹脂成形体に光を照射する光照射部と、光照射部から照射されて繊維強化樹脂成形体の表面で反射した反射光を受光するとともに、その受光状態から繊維強化樹脂成形体を構成する編み物の編み目の状態を検出可能な検出装置とを備えている。検出装置は、例えば、繊維強化樹脂成形体からの反射光により、編み物を構成する編み目のループの位置を特定可能となっている。そして、繊維強化樹脂成形体に対する歯切り加工を行う際に、作業者がワーク装着部に繊維強化樹脂成形体を装着して、スイッチを押すと、先ず検出装置により繊維強化樹脂成形体の歯切り開始位置が特定された後、その歯切り開始位置から歯切り盤の切削刃による歯切りが自動的に開始される。したがって、この実施形態では、繊維強化樹脂成形体に歯切り加工を行う際に、繊維強化樹脂成形体の適切な歯切り開始位置が歯切り盤の切削刃が歯切りを開始する位置に一致するように、作業者が手作業で位置決めして歯切り盤のワーク装着部に固定する必要はない。
○ 繊維強化樹脂成形体に対して歯切り加工を行う場合、繊維強化樹脂成形体をワーク装着部に固定した後、作業者が歯切り盤の切削刃の先端を手動操作で繊維強化樹脂成形体の歯切り開始位置に移動させて、歯切りを開始するようにしてもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された発明において、前記編み物は有機繊維で編まれている。
(a)は第1の実施形態における繊維強化樹脂歯車の模式側面図、(b)は歯部における編み目の配列状態を示す模式図。 帯状の編み物の模式平面図。 (a)は帯状の編み物を螺旋状に変形させた状態の模式斜視図、(b)は環状体の模式斜視図。 (a)は第2の実施形態における編み物の模式平面図、(b)は円環状編み物から環状体を形成する状態を示す模式斜視図。 積層される各編み物層における編み目の縦の列20aの配列方向の関係を示す模式図。 (a)は別の実施形態における帯状の編み物の模式平面図、(b)は歯部と編み目の関係を示す模式図。 (a),(b),(c)は別の実施形態における歯部と編み目の関係を示す模式図。 (a),(b)は別の実施形態における歯部と編み目の関係を示す模式図。 (a)は従来技術の繊維補強基材からリング体を形成する様子を示す概略斜視図、(b)は別の従来技術の概略斜視図。
符号の説明
θ…角度、H…高さ、T…距離、W…幅、11…繊維強化樹脂歯車、15…歯部、20…帯状の編み物、20a,30a…編み目の縦の列、20b,30b…編み目の横の列、30…シート状の編み物、31…円環状の編み物。

Claims (8)

  1. 少なくとも歯部が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成された繊維強化樹脂歯車であって、
    前記歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅は編み物の編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さく形成され、
    前記歯車の各歯部は、編み物を構成する編み目の一つのループとそのループに交差する2つの繊維束との一対の交差部が1個以上存在する編み物の層を少なくとも1層有することを特徴とする繊維強化樹脂歯車。
  2. 前記歯車の各歯部は、前記一対の交差部が1個だけ存在する編み物の層を少なくとも1層有する請求項1に記載の繊維強化樹脂歯車。
  3. 前記繊維強化材は、前記編み物として帯状に形成されるとともに、編み目の縦の列が帯状の編み物の幅方向に延び、編み目の横の列が帯状の編み物の長手方向に延びるように形成されたものが使用され、かつ編み目の縦の列が放射状に配列されるように、螺旋状に巻き重ねて環状に形成されている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂歯車。
  4. 前記繊維強化材は、前記編み物として帯状に形成されるとともに、編み目の横の列が帯状の編み物の幅方向に延び、編み目の縦の列が帯状の編み物の長手方向に延びるように形成されたものが使用され、かつ編み目の横の列が放射状に配列されるように、螺旋状に巻き重ねて環状に形成されている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂歯車。
  5. 前記繊維強化材は、編み物を外形円形状に切断したものを積層して形成されるとともに、積層された各編み物の層における編み目の縦の列の配列方向が、前記歯車の隣接する歯間の成す角度の正の整数倍ずれるように積層されている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂歯車。
  6. 前記2つの繊維束は、2つのループである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂歯車。
  7. 少なくとも歯部が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成された繊維強化樹脂歯車の製造方法であって、
    形成すべき繊維強化樹脂歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅が編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さい編み物を強化材として、編み物が歯車の軸方向に複数層積層された歯車切削加工用の繊維強化樹脂成形体を製造する工程と、歯切り盤により前記繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行う工程とを備え、前記繊維強化樹脂成形体に対する歯切り加工を行う際に、前記繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目との関係で決まる歯切り開始位置を指示手段で指示した状態となるように前記繊維強化樹脂成形体を前記歯切り盤のワーク装着部に固定し、前記歯切り開始位置から歯切り盤の切削刃により歯切りを開始することを特徴とする繊維強化樹脂歯車の製造方法。
  8. 少なくとも歯部が、編み物が歯車の軸方向に複数層積層されて形成された繊維強化材を有する繊維強化樹脂で形成された繊維強化樹脂歯車の製造方法であって、
    形成すべき繊維強化樹脂歯車の各歯部の高さ又は歯先の幅が編み目のコース方向における編み目1つ分の距離より小さい編み物を強化材として、編み物が歯車の軸方向に複数層積層された歯車切削加工用の繊維強化樹脂成形体を製造する工程と、歯切り盤により前記繊維強化樹脂成形体の歯切り加工を行う工程とを備え、前記繊維強化樹脂成形体に対する歯切り加工を行う際に、ワーク装着部に装着された繊維強化樹脂成形体の外周面に向けて照射された光の反射光を検出して、前記繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目と対応する位置を特定可能な検出装置を備えた歯切り盤を使用し、前記繊維強化樹脂成形体を前記歯切り盤のワーク装着部に固定し、その状態で前記検出装置により前記繊維強化樹脂成形体の外周面に最も近い編み物の編み目との関係で決まる歯切り開始位置を特定した後、その歯切り開始位置から歯切り盤の切削刃による歯切りを開始することを特徴とする繊維強化樹脂歯車の製造方法。
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