JP2009097112A - ナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置 - Google Patents

ナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置 Download PDF

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Abstract

【課題】物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができ、またそれらを混合し若しくは積層して堆積してなる高分子ウェブを製造することができるナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置を提供する。
【解決手段】外周部に径の異なる複数種類の小穴2a、2bがそれぞれ複数形成された1つの回転容器1又は同心状に一体結合された複数の回転容器内に、高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液7を供給し、回転容器1を回転するとともに小穴2a、2bから流出する高分子溶液7に電荷を帯電させ、小穴2a、2bから流出した高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバー16a、16bを生成し、またそれらのナノファイバー16a、16bを積層堆積して高分子ウェブ18を製造するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、物性が異なっている複数種類のナノファイバーを一度に製造し、またそれらを混合し若しくは積層して堆積してなる高分子ウェブを製造するナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置に関するものである。
従来、高分子物質から成るサブミクロンスケールの直径を有するナノファイバーを製造する方法として、電荷誘導紡糸法(エレクトロスピニング法)が知られている。従来の電荷誘導紡糸法では、高電圧を印加した針状のノズルに高分子溶液を供給することで、この針状のノズルから線状に流出する高分子溶液に電荷が帯電され、高分子溶液の溶媒蒸発に伴って帯電電荷間の距離が小さくなって作用するクーロン力が大きくなり、そのクーロン力が線状の高分子溶液の表面張力より勝った時点で線状の高分子溶液が爆発的に延伸される現象が生じ、この静電爆発と称する現象が、一次、二次、場合によっては三次等と繰り返されることで、サブミクロンの直径の高分子から成るナノファイバーが製造されるものである。
こうして製造されたナノファイバーを電気的に接地された基板上に堆積させることで、立体的な網目を持つ3次元構造の薄膜を得ることができ、さらに厚く形成することでサブミクロンの網目を持つ高多孔性の高分子ウェブを製造することができる。この高分子ウェブの製造方法として、並列配置された複数のノズルから高電圧に帯電された高分子溶液を流出させて電荷誘導紡糸法にてナノファイバーを製造し、このナノファイバーを電気的に接地された収集体上を移動するシート上に堆積させることで製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、繊維径が異なる等の物性の異なる繊維を積層・堆積させて積層ウェブを構成することで、高い機能性を持たせることができることは知られている。例えば、平均繊維径の異なるウェブを積層した積層ウェブは、単層のウェブに比較して液体又は気体中における固形分の分離性能を長期にわたって維持できることが知られている。不織布にて培養等を行う場合に、繊維径の異なるファイバーにて構成された不織布中に形成される隙間が好適であることも知られている。また、均一な繊維径のファイバーから成る不織布や糸条よりも、繊維径の異なるファイバーにて構成されたものの方がより高い強度が得られることも知られている。
そして、繊維径の異なるナノファイバーから成る積層ウェブを製造する方法として、静電紡糸法により紡糸した繊維を直接堆積して第1のウェブを形成した後、第1のウェブ上に、静電紡糸法により紡糸した第1のウェブとは繊維径の異なる繊維を直接堆積して第2のウェブを形成することで、積層ウェブを製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この種の積層ウェブの製造装置の構成例を図12を参照して説明すると、一端開口の第1と第2の紡糸容器61a、61b内にそれぞれ第1と第2の紡糸ノズル62a、62bを配設し、これら紡糸ノズル62a、62bに対してそれぞれ高分子溶液供給手段63a、63bにて、組成は同じであるが分子量若しくは濃度の異なる高分子溶液を供給するとともに、高電圧発生手段64a、64bにて発生させた高電圧を印加し、紡糸容器61a、61bの一端開口に対向して収集体65を接地して配設し、収集体65上を移動する担持シート66上に第1の紡糸ノズル62aにて生成されたナノファイバー67aと第2の紡糸ノズル62bにて生成されたナノファイバー67bを順次堆積させることで、積層ウ ェブ68を製造するように構成されている。
なお、図12の構成では、複数の高分子溶液供給手段63a、63bを配設し、複数の高分子溶液を調製する必要があるため、設備が大掛かりになるとともに、配管清掃等にも手間がかかるために製造効率が低いという課題があるとして、特許文献2では、第1と第2の紡糸容器61a、61b内の相対湿度をそれぞれ第1と第2の気体供給手段によって変えることで、共通の高分子溶液供給手段を用いて同一の組成と濃度の高分子溶液を供給しながら、紡糸ノズルから流出する高分子溶液の粘度を異ならせ、異なる繊維径のナノファイバーを生成することが開示されている。
米国特許第6713011号明細書 特開2005−213668号公報
ところで、上記のように並列配置された複数の紡糸ノズル62a、62bにてそれぞれナノファイバー67a、67bを生成し、生成されたナノファイバー67a、67bを収集体65上を移動する担持シート66上に順次堆積させて積層ウェブ68を製造する方法では、各紡糸ノズル62a、62bに印加された高電圧にて生成されたナノファイバー67a、67bが帯電しているため、収集体65との間の電界によって収集体65に向けて流動する一方で、たとえ紡糸ノズル62a、62bがそれぞれの紡糸容器61a、61b内に配設されていても、隣接する紡糸ノズル62a、62bに印加された高電圧の影響を受けることになり、各紡糸ノズル62a、62bで生成されたナノファイバー67a、67bが担持シート66上に均一に積層されず、品質の高い積層ウェブ68を製造することができないという課題がある。
このような課題を解決するため、本出願人は先に、図13に示すように、ナノファイバー生成部41を、第1と第2のナノファイバー生成手段42a、42bを適当な距離をあけて並列配置して構成し、このナノファイバー生成部41に対して、適当な距離をあけて回転駆動可能なドラム状の収集体43を配設するとともに、収集体43の外周面のナノファイバー生成手段42a、42bに対向する部分に接触若しくは近接して担持部材44を配置し、収集体43と担持部材44を同期して移動させるように構成し、かつナノファイバー生成部41と収集体43の間の空間の電界を各ナノファイバー生成手段42a、42bの間で確実に隔離するため、隔壁板46に交流電源47から交流電圧を印加するようにした隔離手段45を配設したものを提案している(特願2007−171950号参照)。
また、各ナノファイバー生成手段42a、42bは、収集体43や担持部材44に対して垂直な軸芯回りに回転駆動され、周面に複数の小穴49又はノズル部材が設けられた円筒容器48と、円筒容器48の軸芯方向の収集体43や担持シート44の配設方向とは反対側の一側に配置した反射電極50とを組み合わせ、円筒容器48から遠心力と静電爆発にて放射状に生成されたナノファイバー51a、51bを反射電極50によって収集体43や担持シート44に向けて流動させるようにした構成されている。52は円筒容器48の回転駆動手段、53は円筒容器48に高電圧を印加する高電圧発生手段で、接地された収集体43との間の空間に電界が形成されるように構成されている。このように円筒容器48などの回転容器を用いたナノファアバー生成手段42a、42bを適用することで、高分子溶液が小穴49やノズル部材から遠心力にて流出して遠心力で延伸されるので、小穴49やノズル部材を多数並列配置しても電荷の相互干渉を受けずに品質の良いナノファイバーが生成されるため、多量のナノファイバーを効率的に生成でき、高品質の積層高分子ウェブ54の生産性を飛躍的に向上することができる。
しかしながら、図13のような構成においても、ナノファイバー生成部41を、複数のナノファイバー生成手段42a、42bを並列配置して構成しているため、大掛かりで複雑な構成になるという問題があり、また物性の異なるナノファイバーが均一に混合した状態で製造することができないという問題もある。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができ、またそれらを混合し若しくは積層して堆積してなる高分子ウェブを製造することができるナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置を提供することを目的とする。
本発明のナノファイバーの製造方法は、外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された1つの回転容器又は同心状に一体結合された複数の回転容器内に、高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する工程と、回転容器を回転するとともに小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、小穴から流出した高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーを生成する工程とを有するものである。
なお、小穴は回転容器の周壁に直接穴を開けたものに限らず、回転容器の周壁に装着したノズル部材にて構成しても良いことは言うまでもない。また、高分子溶液としては、各種の合成樹脂材料に限らず、核酸や蛋白質などの生体高分子などの各種高分子物質(本発明では、分子量が10000以上の一般的な高分子物質に限らず、分子量が1000〜10000の準高分子物質も含める)を溶媒に溶解したものが適用される。また、上記高分子物質は単体物に限らず、各種物質の混合物であっても良い。さらに、粒径がナノオーダーの微粉末を混合させた混合物であっても良く、その場合製造されるナノファイバー中に微粉末を含むことになる。また、高分子物質と溶媒の混合比率は、それらの種類によって異なるが、高分子物質の量が約5%から40%の間が好ましく、さらに5%から20%の間がより好ましい。また、高分子溶液に電荷を帯電させるには、回転容器の少なくとも小穴近傍と、この回転容器との間でナノファイバー生成空間を形成する収集体又は地球等の接地電位体との間に電界が形成されていれば良く、そのためには回転容器と収集体との少なくとも何れか一方に高電圧発生手段にて高電圧を印加してそれらの間に電位差を発生させれば良い。
上記構成によれば、外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された1つの回転容器又は同心状に一体結合された複数の回転容器を用いているので、これら1又は複数の回転容器をその軸芯回りに単一の駆動手段にて高速で回転させるとともに、上記電界を形成することで、内部の高分子溶液が遠心力の作用で径の異なる小穴からそれぞれ同時に流出し、遠心力の作用と静電爆発によって爆発的に延伸されることによって、複数種類の小穴の径に対応して互いに径の異なる複数種類のナノファイバーが一度に生成されることになり、物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができる。製造されたナノファイバーは、そのまま撚り合わせて物性の異なる複数種類のナノファイバーが均一に混合されて合糸された糸条を製造しても良く、後述のように堆積させて高分子ウェブを製造しても良い。
また、本発明のもう1つのナノファイバーの製造方法は、外周部に複数の小穴が形成されかつ同心状に一体結合された複数の回転容器内にそれぞれ、高分子物質を溶媒に溶解させた互いに組成の異なる高分子溶液を供給する工程と、回転容器を回転するとともに小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、小穴から流出した高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーを生成する工程とを有するものである。ここで、高分子溶液の組成が異なるとは、高分子物質(化学式) 自体が異なる場合、高分子物質は同じでその分子量が異なる場合、高分子物質とその分子量は同じで溶媒が異なる場合、高分子物質及びその分子量や溶媒は同じであるが濃度だけが異なる場合等を含むものである。
この構成によれば、複数の回転容器内にそれぞれ互いに組成の異なる高分子溶液を供給し、これら回転容器をその軸芯回りに単一の駆動手段にて高速で回転させるとともに、上記電界を形成することで、組成の異なる高分子溶液が遠心力の作用で小穴からそれぞれ同時に流出し、遠心力の作用と静電爆発によって爆発的に延伸されることによって、高分子溶液の複数の組成(濃度や分子量や物質等)に対応して互いに物性(径や材質等)の異なる複数種類のナノファイバーが一度に生成されることになり、物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができる。
また、本発明の高分子ウェブの製造方法は、上記のナノファイバーの製造方法によって生成されたナノファイバーを、回転容器に対して間隔をあけて配置され、小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷とは逆極性の電圧を印加され若しくは接地された面的広がりを有する収集体又はその上に配置された担持部材上に堆積させる工程とを有するものである。
この構成によれば、上記のようにして生成された物性の異なる複数種類のナノフアイバーが面的広がりを有する収集体又はその上に配置された担持部材上に堆積することで、簡単な装置構成にて一度に効率的に、複数種類のナノフアイバーにて構成された高分子ウェブを製造することができる。
また、1又は複数の回転容器における軸芯方向に異なる領域毎に互いに径の異なる小穴の群を配設し、若しくは複数の回転容器内に互いに組成の異なる高分子溶液を供給し、回転容器に対して径方向に間隔をあけて対向するように収集体を配置し、生成されたナノファイバーを回転容器の軸芯方向に移動する担持部材上に順次堆積させると、物性の異なるナノファイバーが順次積層されて堆積されるため、簡単な装置構成にて一度に効率的に積層高分子ウェブを製造することができる。
また、回転容器に対して、収集体とは反対側に配置した導電性の反射電極に、小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷とは同極性の電圧を印加すると、回転容器に対して軸芯方向又は径方向に対向するように間隔をあけて収集体を配置していても、その収集体に対向する方向以外の方向に流動するナノフアイバーを確実に収集体に向けて流動させることができ、無駄なく効率的に高分子ウェブ又は積層高分子ウェブを製造することができる。
また、回転容器に対して、収集体側とは反対側から収集体側に向けて気体流を形成すると、回転容器からその径方向に流動するナノファイバーを気体流に乗せて収集体側に確実に流動させることができ、無駄なく効率的に高分子ウェブ又は積層高分子ウェブを製造することができ、また気体流にて溶媒の蒸発を促進させることができて、静電爆発をより効果的に生じさせて、ナノファイバーの製造効率を一層向上できる。
また、本発明のナノファイバーの製造装置は、外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された回転容器と、回転容器をその軸芯回りに回転させる回転駆動手段と、回転容器内に高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器に対して間隔をあけて配置された収集体と、回転容器の少なくとも小穴近傍と収集体との間に電位差を発生させる第1の高電圧発生手段とを備えたものである。
この構成によれば、外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された回転容器を用い、この回転容器を回転駆動手段にて高速で回転させるとともに第1の高電圧発生手段にて回転容器と収集体との間に電界を形成することで、径の異なる小穴からそれぞ れ同時に高分子溶液が帯電して流出し、遠心力の作用と静電爆発によって爆発的に延伸されることによって、複数種類の小穴の径に対応して互いに径の異なる複数種類のナノファイバーが一度に生成されることになり、物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができる。
また、本発明のもう1つのナノファイバーの製造装置は、外周部に複数の小穴が形成されかつその小穴の径が互いに異なっている複数の回転容器が同心状に一体結合された回転容器ユニットと、各回転容器をその軸芯回りに回転させる回転駆動手段と、各回転容器内に高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器ユニットに対して間隔をあけて配置された収集体と、各回転容器の少なくとも小穴近傍と収集体との間に電位差を発生させる第1の高電圧発生手段とを備えたものであり、上記ナノファイバーの製造装置と同様に簡単な装置構成にて物性の異なるナノァイバーを一度に効率的に製造することができる。
また、本発明のさらに別のナノファイバーの製造装置は、外周部に複数の小穴が形成された複数の回転容器が同心状に一体結合された回転容器ユニットと、各回転容器をその軸芯回りに回転させる回転駆動手段と、各回転容器内にそれぞれ高分子物質を溶媒に溶解させた互いに組成の異なる高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器ユニットに対して間隔をあけて配置された収集体と、各回転容器の少なくとも小穴近傍と収集体との間に電位差を発生させる第1の高電圧発生手段とを備えたものであり、組成の異なる高分子溶液が遠心力の作用で小穴からそれぞれ同時に帯電して流出し、遠心力の作用と静電爆発によって爆発的に延伸されることによって、高分子溶液の複数の組成(濃度や分子量や物質等)に対応して互いに物性(径や材質等)の異なる複数種類のナノファイバーが一度に生成されることになり、同様に物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができる。
また、本発明の高分子ウェブの製造装置は、上記何れか1つのナノファイバーの製造装置において、収集体が面状に広がる導電体からなり、生成されたナノファイバーを堆積する担持部材を収集体上に沿って移動させる担持部材移動手段を備えたものであり、物性の異なる複数種類のナノフアイバーが面的広がりを有する収集体上を移動する担持部材上に堆積することで、複数種類のナノフアイバーにて構成された高分子ウェブを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができる。
また、1又は複数の回転容器における軸芯方向に異なる領域毎に互いに径の異なる小穴の群を配設し、回転容器に対して径方向に間隔をあけて対向するように収集体を配設し、担持部材移動手段は担持部材を回転容器の軸芯方向に移動するものであると、径が異なることで物性の異なるナノファイバーを担持部材上に順次積層させて堆積させることができ、簡単な装置構成にて一度に効率的に積層高分子ウェブを製造することができる。
また、複数の回転容器内に互いに組成の異なる高分子溶液を供給し、回転容器に対して径方向に間隔をあけて対向するように収集体を配設し、担持部材移動手段は担持部材を回転容器の軸芯方向に移動するものであると、組成が異なることで物性の異なるナノファイバーを担持部材上に順次積層させて堆積させることができ、簡単な装置構成にて一度に効率的に積層高分子ウェブを製造することができる。
また、回転容器に対して収集体とは反対側に導電性の反射電極を配設し、反射電極に小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷とは同極性の電圧を印加する第2の高電圧発生手段を設けると、回転容器に対して軸芯方向又は径方向に対向するように間隔をあけて収集体を配置していても、その収集体に対向する方向以外の方向に流動するナノフアイバーを反射電極にて確実に収集体に向けて流動させることができるので、無駄なく効率的に高分子 ウェブ又は積層高分子ウェブを製造することができる。
また、回転容器に対して収集体側とは反対側から収集体側に向かう気体流を発生する気体流発生手段を設けると、回転容器からその径方向に流動するナノファイバーを気体流に乗せて収集体側に確実に流動させることができるので、無駄なく効率的に高分子ウェブ又は積層高分子ウェブを製造することができ、また気体流にて溶媒の蒸発を促進させることができて、静電爆発をより効果的に生じさせて、ナノファイバーの製造効率を一層向上できる。
本発明のナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置によれば、1又は複数の回転容器に高分子溶液を供給し、その回転容器を軸芯回りに高速で回転させるとともに電界を形成することで、回転容器の径の異なる小穴から高分子溶液が、若しくは回転容器の小穴から組成の異なる高分子溶液が、それぞれ遠心力の作用で同時に流出し、遠心力の作用と静電爆発によって爆発的に延伸されることによって、複数種類の小穴の径又は高分子溶液の組成に対応して互いに物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができ、またそれらのナノファイバーを混合若しくは積層して堆積させることで所望の高分子ウェブを製造することができる。
以下、本発明のナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置の実施形態について、図1〜図11を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態の高分子ウェブの製造装置について、図1〜図5を参照して説明する。
図1〜図3において、1は直径が20〜500mmの円筒容器から成る回転容器であり、外周に直径が0.02〜2mm程度の小穴2が数mmピッチ間隔で多数配設されている。この小穴2は、本実施形態では、図3に示すように、回転容器1の外周に一体的に設けられた短寸のノズル部材のノズル穴にて構成されているが、回転容器1の周壁に形成した開口穴にて構成しても良い(図2では、開口穴の構成を図示している。)。本実施形態では、回転容器1を軸芯方向に2つの領域3a、3bに2分割し、領域3aの小穴2は相対的に大径の小穴2aにて構成し、領域3bの小穴2は相対的に小径の小穴2bにて構成して、領域3a、3bによって小穴2の径を異ならせている。
回転容器1には、その軸芯位置に中空回転軸4が一体的に配設されるとともに、この中空回転軸4が回転容器1の一端から突出され、回転容器1の軸芯方向一側に配設された電気的に絶縁構造とされている支持フレーム5にて軸受6を介して回転自在に支持され、かつ回転駆動手段(図示せず)にて回転駆動可能に構成されている。回転容器1の回転速度は、数100rpmから10000rpmを越える速度範囲まで適用され、小穴2の径や高分子溶液7の粘度等により、その回転速度が調整される。
中空回転軸4の一端は、高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液7を供給する高分子溶液供給手段を構成する溶液供給管(図示せず)に接続され、若しくは溶液供給管(図示せず)が一端から挿通されている。中空回転軸4の回転容器1内の空間に対向する部分には、図2に示すように、内部の高分子溶液7を回転容器1内に均等に供給する流出開口8が適宜に形成されている。
高分子溶液7を構成する高分子物質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリス チレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が好適なものとして例示でき、さらには核酸や蛋白質などの生体高分子なども例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、使用できる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、水等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、高分子溶液7には無機質固体材料を混入することも可能である。その無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、耐熱性、加工性などの観点からは酸化物を用いるのが好ましい。酸化物としては、Al2O3、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B2O3、P2O5、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb2O3、As2O3、CeO2、V2O5、Cr2O3、MnO、Fe2O3、CoO、NiO、Y2O3、Lu2O3、Yb2O3、HfO2、Nb2O5等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
回転容器1には第1の高電圧発生手段9から軸受6及び中空回転軸4を介して高電圧が印加されている。第1の高電圧発生手段9には、1kV〜100kV、好適には5kV〜100kVの高電圧を発生させるものが適用され、またその出力をオン・オフ切替するスイッチ9aを備えたものが好適に適用される。回転容器1に対して、径方向に対向し、適当な距離をあけて導電体からなる平板状の収集体10が配設されている。この収集体10は第1の高電圧発生手段9の低電圧側に接続されるとともに接地手段11にて電気的に接地され、回転容器1と収集体10との間の空間に電界が形成されるように構成されている。なお、収集体10を接地するのではなく、第1の高電圧発生手段9とは逆極性の高電圧発生手段(図示せず)に接続してもよい。また、収集体10側に高電圧を印加して回転容器1側を接地電位としても良い。
回転容器1に対して、収集体10とは反対側に径方向に対向して、回転容器1の軸芯方向のほぼ全幅にわたって反射電極12が配設されている。反射電極12は、図2に示すよ うに、回転容器1から放射状に流出した高分子溶液7及びそれにより生成されたナノファイバー16を収集体10に向けて反射させるように放物反射面を構成するように配設されている。この反射電極12には、第2の高電圧発生手段(図示せず)にて発生させた、回転容器1から流出する高分子溶液7及びナノファイバー16の帯電電荷と同極性の高電圧が印加される。この第2の高電圧発生手段(図示せず)は、第1の高電圧発生手段9を共用することが可能である。また、反射電極12は、方物反射面に限定するものではなく、回転容器1の小穴より遠心力で収集体10とは、反対方向に流出したナノファイバー16が、収集体10側に集まるように構成すればよい。
収集体10の回転容器1に対向する表面に接触若しくは近接して担持部材としての担持シート13が配置されている。この担持シート13を回転容器1の軸芯方向に移動させるように、収集体10の担持シート移動方向上手側の側部に担持シート供給手段14が、下手側の側部に担持シート回収手段15が配設され、これら担持シート供給手段14と担持シート回収手段15で担持部材移動手段が構成されている。
以上の構成において、回転容器1に第1の高電圧発生手段9にて高電圧を印加して回転容器1と収集体10との間に電界を発生させた状態で、回転容器1内に高分子溶液7を供給しつつ回転駆動手段(図示せず)にて回転させると、回転容器1内の高分子溶液7が電荷を帯電された状態で遠心力の作用にて回転容器1の小穴2(2a、2b)から線状に流出し、その後遠心力の作用でさらに延伸されるとともに、高分子溶液7中の溶媒の蒸発に伴って帯電されている電荷間の距離が小さくなって作用するクーロン力が大きくなり、そのクーロン力が線状の高分子溶液7の表面張力より勝った時点で線状の高分子溶液7が爆発的に延伸される現象が生じ、この静電爆発と称する現象が、一次、二次、場合によっては三次等と繰り返されることで、サブミクロンの直径の高分子物質から成るナノファイバー16(16a、16b)が生成される。
ここで、回転容器1の軸芯方向の2つの領域3a、3bに形成されている小穴2a、2bの径が異なっているので、各小穴2a、2bからそれぞれ流出した高分子溶液7にて生成されるナノファイバー16a、16bの径も異なったものとなる。具体実験例を示すと、図4に示すように、小穴2の径が、0.5mmでは、生成されるナノファイバー16の繊維径は平均略300nm、小穴2の径が1.0mmで、繊維径が平均略400nm、小穴2の径が1.5mmで、繊維径が平均略560nm、小穴2の径が2.0mmで、繊維径が平均略800nm程度となっており、小穴2の径を異ならせることで、繊維径の異なるナノファイバー16を生成することができる。この時の、回転容器1の内径は、30mmで、回転数は、3000rpmであり、高分子溶液7は、ポリビニルアルコール10%で、残りの溶媒としては、水が使用されている。
本実施形態では、回転容器1の領域3aの相対的に大径の小穴2aにて生成されたナノファイバー16aの繊維径は大きく、領域3bの相対的に小径の小穴2bにて生成されたナノファイバー16bの繊維径は小さい。かくして、これらのナノファイバー16a、16bは、それぞれ回転容器1と収集体10との間の電界と反射電極12の作用によって収集体10に向かって流動し、図5に示すように、担持シート13の移動方向上手側の領域3aの小穴2aにて生成されたナノファイバー16aが先に担持シート13上に堆積されて繊維径の大きいナノファイバー16aから成る高分子ウェブ17aが形成され、次いでその上に下手側の領域3bの小穴2bにて生成されたナノファイバー16bが堆積されて繊維径の小さいナノファイバー16bから成る高分子ウェブ17bが形成される。こうして、担持シート13上に物性の異なる高分子ウェブ17a、17bが順次積層された積層高分子ウェブ18が製造される。
以上の説明では、単一の回転容器1を軸芯方向に複数の領域3a、3bに分割してそれ ぞれに径の異なる小穴2を配設した例を示したが、複数の領域3a、3bに分割するのではなく、複数の回転容器を同芯状に並列配置して一体的に結合した回転容器ユニットを構成し、各回転容器にそれぞれ径の異なる小穴2を配設した構成としても良い。また、以上の説明では、物性の異なるナノファイバー16a、16bからなる高分子ウェブ17a、17bを2層に積層した例について説明したが、3層以上の積層高分子ウェブ18を製造することもができる。
以上のようにして製造された積層高分子ウェブ18は、フィルタ材やその他の種々の機能性素材に適用される。例えば、従来は4種類の材料を重ね、成型や圧縮工程を経て、一体の4層構造の素材を構成して製造されていたマスクの場合、各材料の物性を持つナノファイバーを積層した4層の積層高分子ウェブを用いることで、製造工程を大幅に削減することができる。また、内側層として親水性素材、中間層として断熱性素材、外側層として撥水性素材を用いた3層構造のスポーツウェアにおいても、そのような物性のナノファイバーを順次堆積させた積層高分子ウェブを用いることにより、その製造工程を大幅に削減することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の高分子ウェブの製造装置について、図6〜図8を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明では、先行する実施形態と同一の構成要素については同一参照符号を付して説明を省略し、主として相違点についてのみ説明する。
上記第1の実施形態では、回転容器1の軸芯方向に分割した複数の領域3a、3bにそれぞれ径の異なる小穴2a、2bを配設し、物性の異なる高分子ウェブ17aと17bを順次積層させた積層高分子ウェブ18を製造する例を示したが、本実施形態では、図6(a)、(b)に示すように、回転容器1の外周に、大径の小穴2aと小径の小穴2bを周方向に交互にかつそれぞれ軸芯方向に沿う列状に複数配置している。このような回転容器1を、図1に示した高分子ウェブの製造装置に適用することで、繊維径が異なり、それによって物性が異なる複数種類のナノファイバー16a、16bが均一に混合された単一層の高分子ウェブを製造することができる。
なお、図6の例では、大径の小穴2aと小径の小穴2bを、周方向に交互にかつ軸芯方向にはそれぞれ所定の間隔あけた同一位置に位置するように配置した例を示したが、図7に示すように、これら小穴2a、2bの軸芯方向の配置位置を互いにずらせ、相手側の中間に位置するように配置しても良い。また、図8に示すように、大径の小穴2aと小径の小穴2bを周方向に交互に、かつ小穴2a、2bがそれぞれ回転容器1の外周に螺旋状に配列されるように配置しても良い。このように大径の小穴2aと小径の小穴2bは、これら以外にも任意の配置規則に基づいて配置することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態の高分子ウェブの製造装置について、図9〜図11を参照して説明する。
上記第1の実施形態では、単一の回転容器1内に高分子溶液7を供給し、回転容器1に形成した径の異なる小穴2a、2bから物性の異なるナノファイバー16a、16bを生成するようにした例を示したが、本実施形態では、図9、図10に示すように、複数の回転容器21a、21bを同芯状に並列配置し、これら回転容器21a、21bに対して組成の異なる高分子溶液7a、7bを供給して、物性の異なるナノファイバー16a、16bを生成するように構成している。
複数の回転容器21a、21bは同芯の中空回転軸4にて一体的に結合して回転容器ユ ニットを構成し、その中空回転軸4に挿通した溶液供給管22a、22bを通してこれら回転容器21a、21b内にそれぞれ組成の異なる高分子溶液7a、7bを供給するように構成されている。中空回転軸4は、軸受6を介して支持フレーム5にて回転自在に支持されるとともに、駆動モータ23aと、その出力軸に固定された駆動プーリ23bと、中空回転軸4に固定された従動プーリ23cと、駆動プーリ23bと従動プーリ23cに巻回されたベルト23dから成る回転駆動手段23にて回転駆動可能に構成されている。
また、本実施形態では、回転容器21a、21bの軸芯方向の他側方、すなわち支持フレーム5とは反対側に適当な距離をあけて収集体10が配設され、かつ回転容器21a、21bの軸芯方向の一側方に、回転容器21a、21bの周囲空間を通して収集体10に向けて気体流24を形成するファン25が配設されている。なお、気体流24を温風とすると、高分子溶液7a、7bの溶媒をより効率的に蒸発させることができ、ナノファイバー16a、16bが効率的に生成されるので好適である。
以上の構成において、各回転容器21a、21b内に互いに組成の異なる高分子溶液7a、7bを供給し、回転駆動手段23にて回転容器21a、21bを回転することで、各回転容器21a、21bから流出した高分子溶液7a、7bにて上述と同様に互いに物性の異なる高分子物質から成るナノファイバー16a、16bが効率的に生成される。生成されたナノファイバー16a、16bは、それぞれ回転容器21a、21bと収集体10との間の電界とファン25により形成された気体流24によって、回転容器21a、21bの軸芯方向一側方の収集体10に向かって互いに均一に混合されながら流動し、収集体10上に堆積され、収集体10上に異なる物性のナノファイバー16a、16bが均一に混合されて堆積された高分子ウェブが製造される。
図9、図10に示した構成では、生成されたナノファイバー16a、16bを回転容器21a、21bの軸芯方向他側方の収集体10に向かう流動を促進させる手段として気体流24を発生させるファン25を配設したが、図11に示すように、ファン25に代えて、若しくはファン25と併用して、回転容器21a、21bの軸芯方向に収集体10とは反対側に反射電極26を配設し、この反射電極26に対して第2の高電圧発生手段27にて、回転容器21a、21bの小穴2から流出する高分子溶液7a、7bの帯電電荷と同極性の高電圧を印加するように構成しても良く、この場合も、ナノファイバー16a、16bを反射電極26にて確実に収集体10に向けて流動させることができるので、無駄なく効率的に高分子ウェブを製造することができる。
なお、第2の高電圧発生手段27は、第1の高電圧発生手段9にて兼用するようにしても良い。また、図11において、28a、28bは高分子溶液7a、7bを収容する容器、29a、29bは供給ポンプであり、これら容器28a、28b、供給ポンプ29a、29b、及び溶液供給管22a、22bにて高分子溶液供給手段30a、30bが構成されている。
以上の説明では、回転容器21a、21bの外周に形成した小穴2の径が同一である例を示したが、上記第1の実施形態と同様に回転容器21a、21bに互いに異なる径の小穴2a、2bを形成し、組成の異なる高分子溶液7a、7bと組み合わせ、組成と繊維径の両方が異なって、物性が異なっているナノファイバー16a、16bを堆積した高分子ウェブを製造するようにすることもできる。
また、回転容器21a、21bで生成されたナノファイバー16a、16bを回転容器21a、21bの軸芯方向他側方に流動させ、ナノファイバー16a、16bを均一に混合して収集体10上に堆積させるようにした例を示したが、上記第1の実施形態と同様に、回転容器21a、21bに対して径方向に対向して収集体10を配設し、収集体10上 を回転容器21a、21bの軸芯方向に移動する担持シート13上に、物性の異なる高分子ウェブ17a、17bが順次積層することで積層高分子ウェブ18を製造するようにしても良い。
以上の各実施形態では、回転容器1又は21a、21bに第1の高電圧発生手段9にて高電圧を印加し、収集体10を接地した構成を例示したが、逆に収集体10に第3の高電圧発生手段にて正又は負の高電圧を印加し、回転容器1又は21a、21b側を接地した構成としても良く、若しくは逆極性の高電圧を印加する構成としても良い。
本発明のナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置によれば、複数種類の小穴の径又は高分子溶液の組成に対応して互いに物性の異なる複数種類のナノファイバーを簡単な装置構成にて一度に効率的に製造することができ、またそれらのナノファイバーを混合若しくは積層して堆積させることで所望の高分子ウェブを製造することができるので、各種物性のナノファイバーを混合した糸条や各種物性のナノファイバーを組み合わせて積層した各種機能性ウェブの製造に好適に利用することができる。
本発明の第1の実施形態の高分子ウェブの製造装置の要部概略構成を示す正面図。 図1のA−A矢視断面図。 同実施形態の回転容器の正面図。 回転容器の小穴の径とナノファイバーの繊維径との関係を示すグラフ。 同実施形態にて製造される積層高分子ウェブの断面図。 本発明の第2の実施形態の高分子ウェブの製造装置における回転容器を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図。 同実施形態における回転容器の他の構成例を示す正面図。 同実施形態における回転容器のさらに別の構成例を示す正面図。 本発明の第3の実施形態の高分子ウェブの製造装置の要部概略構成を示す斜視図。 同実施形態におけるナノファイバーの生成状態を示す斜視図。 同実施形態の高分子ウェブの製造装置の変形構成例を示す縦断正面図。 従来例の積層高分子ウェブの製造装置の概略構成を示す正面図。 本発明に先行する高分子ウェブの製造装置の要部構成を示す斜視図。
符号の説明
1 回転容器
2、2a、2b 小穴
3a、3b 領域
7、7a、7b 高分子溶液
9 第1の高電圧発生手段
10 収集体
12 反射電極
13 担持シート(担持部材)
14 担持シート供給手段(担持部材移動手段)
15 担持シート巻取手段(担持部材移動手段)
16、16a、16b ナノファイバー
17、17a、17b 高分子ウェブ
18 積層高分子ウェブ
21a、21b 回転容器
22a、22b 溶液供給管(高分子溶液供給手段)
23 回転駆動手段
24 気体流
25 気体流発生手段
26 反射電極
27 第2の高電圧発生手段
30a、30b 高分子溶液供給手段

Claims (14)

  1. 外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された1つの回転容器又は同心状に一体結合された複数の回転容器内に、高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する工程と、回転容器を回転するとともに小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、小穴から流出した高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーを生成する工程とを有することを特徴とするナノファイバーの製造方法。
  2. 外周部に複数の小穴が形成されかつ同心状に一体結合された複数の回転容器内にそれぞれ、高分子物質を溶媒に溶解させた互いに組成の異なる高分子溶液を供給する工程と、回転容器を回転するとともに小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、小穴から流出した高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーを生成する工程とを有することを特徴とするナノファイバーの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のナノファイバーの製造方法によって生成されたナノファイバーを、回転容器に対して間隔をあけて配置され、小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷とは逆極性の電圧を印加され若しくは接地された面的広がりを有する収集体又はその上に配置された担持部材上に堆積させる工程とを有することを特徴とする高分子ウェブの製造方法。
  4. 1又は複数の回転容器における軸芯方向に異なる領域毎に互いに径の異なる小穴の群を配設し、若しくは複数の回転容器内に互いに組成の異なる高分子溶液を供給し、回転容器に対して径方向に間隔をあけて対向するように収集体を配置し、生成されたナノファイバーを回転容器の軸芯方向に移動する担持部材上に順次堆積させ、積層高分子ウェブを製造することを特徴とする請求項3記載の高分子ウェブの製造方法。
  5. 回転容器に対して、収集体とは反対側に配置した導電性の反射電極に、小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷とは同極性の電圧を印加することを特徴とする請求項3又は4記載の高分子ウェブの製造方法。
  6. 回転容器に対して、収集体側とは反対側から収集体側に向けて気体流を形成することを特徴とする請求項3〜5の何れか1つに記載の高分子ウェブの製造方法。
  7. 外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された回転容器と、回転容器をその軸芯回りに回転させる回転駆動手段と、回転容器内に高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器に対して間隔をあけて配置された収集体と、回転容器の少なくとも小穴近傍と収集体との間に電位差を発生させる第1の高電圧発生手段とを備えたことを特徴とするナノファイバーの製造装置。
  8. 外周部に複数の小穴が形成されかつその小穴の径が互いに異なっている複数の回転容器が同心状に一体結合された回転容器ユニットと、各回転容器をその軸芯回りに回転させる回転駆動手段と、各回転容器内に高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器ユニットに対して間隔をあけて配置された収集体と、各回転容器の少なくとも小穴近傍と収集体との間に電位差を発生させる第1の高電圧発生手段とを備えたことを特徴とするナノファイバーの製造装置。
  9. 外周部に複数の小穴が形成された複数の回転容器が同心状に一体結合された回転容器ユニットと、各回転容器をその軸芯回りに回転させる回転駆動手段と、各回転容器内にそれぞれ高分子物質を溶媒に溶解させた互いに組成の異なる高分子溶液を供給する高分子溶液 供給手段と、回転容器ユニットに対して間隔をあけて配置された収集体と、各回転容器の少なくとも小穴近傍と収集体との間に電位差を発生させる第1の高電圧発生手段とを備えたことを特徴とするナノファイバーの製造装置。
  10. 請求項7〜9の何れか1つのナノファイバーの製造装置において、収集体が面状に広がる導電体からなり、生成されたナノファイバーを堆積する担持部材を収集体上に沿って移動させる担持部材移動手段を備えたことを特徴とする高分子ウェブの製造装置。
  11. 1又は複数の回転容器における軸芯方向に異なる領域毎に互いに径の異なる小穴の群を配設し、回転容器に対して径方向に間隔をあけて対向するように収集体を配設し、担持部材移動手段は担持部材を回転容器の軸芯方向に移動することを特徴とする請求項10記載の高分子ウェブの製造装置。
  12. 複数の回転容器内に互いに組成の異なる高分子溶液を供給し、回転容器に対して径方向に間隔をあけて対向するように収集体を配設し、担持部材移動手段は担持部材を回転容器の軸芯方向に移動することを特徴とする請求項10記載の高分子ウェブの製造装置。
  13. 回転容器に対して収集体とは反対側に導電性の反射電極を配設し、反射電極に小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷とは同極性の電圧を印加する第2の高電圧発生手段を設けたことを特徴とする請求項10〜12の何れか1つに記載の高分子ウェブの製造装置。
  14. 回転容器に対して収集体側とは反対側から収集体側に向かう気体流を発生する気体流発生手段を設けたことを特徴とする請求項10〜13の何れか1つに記載の高分子ウェブの製造装置。
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