JP2009096828A - 原油の処理方法 - Google Patents

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信之 太田
Hiroshi Iida
博 飯田
Nobuyuki Takahashi
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Junji Matsui
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Tetsuya Saruwatari
鉄也 猿渡
Atsushi Mase
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Abstract

【課題】ナフサ留分を除いた原油を一括水素化等の処理を、効率的に、かつ安定に運転することができる、原油の処理方法を提供する。
【解決手段】原油11からガス分及びナフサ留分12を分離し抜頭原油を得る工程(ナフサ留分分離工程1)、該抜頭原油13を水素化処理する工程(抜頭原油水素化処理工程2)、該水素化処理生成物15を分離精製工程(分離精製工程3)、及び該生成油を貯蔵・出荷する工程(貯蔵・出荷工程4)を含む、原油の処理方法であり、前記抜頭原油水素化処理工程2において、複数の固定床式主反応塔を有し、該主反応塔の内径が4.0〜5.5mであり、かつ、該主反応塔内部に設置した触媒床の長さと反応塔の内径の比が4〜10の範囲である反応装置を用い、反応塔入口の温度及び圧力下で換算した空塔液線速度を0.1〜1.0cm/秒の範囲に制御して水素化処理を行うことを特徴とする原油の処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は原油の処理方法に関し、詳しくは、本発明は、原油を効率的かつ安定に処理する方法に関するものである。
従来、石油精製工業においては原油を蒸留して各留分に分離したのち、分留した留分をそれぞれ脱硫等の改質処理をする方法がとられていた。これに対して、本出願人は、効率的な原油処理を目指して、ナフサ留分を除いた原油を一括脱硫する方法を提案した(特許文献1、2参照)。この方法によれば、石油精製設備を簡素にしつつ、運転変動費も削減することが可能である。
しかし、現実にナフサ留分を除いた原油を一括脱硫等の水素化処理するには、その処理量が膨大であるため、効率的に、かつ安定に処理することが困難になる。
例えば、膨大な量のナフサ留分を除いた原油を水素化処理する場合、水素化触媒の一部が劣化変質することに起因して、全体の機能が低下し、効率的処理が達成できなくなる、その水素化処理の温度制御によっては、早期に処理能力が低下し、安定に処理することが困難になる、などである。
したがって、ナフサ留分を除いた原油を一括脱硫することによって、得られる効率的
原油の処理方法をさらに高める技術が必要である。
特開平3−294390号公報 特開2000−136391号公報
本発明は、このような状況下で、原油を効率的かつ安定に処理する方法であって、ナフサ留分を除いた原油を一括水素化等の処理を、効率的に、かつ安定に運転することができる、原油の処理方法を提供することを目的とするものである。
原油からガス分及びナフサ留分を分離し抜頭原油を得る工程(ナフサ留分分離工程)、該抜頭原油を水素化処理する工程(抜頭原油水素化処理工程)、該水素化処理生成物を分離精製工程(分離精製工程)、及び該生成油を貯蔵・出荷する工程(貯蔵・出荷工程)を含む、原油の処理方法であり、
抜頭原油の水素化処理工程において用いる反応塔の構造及び該反応塔における反応条件を特定の範囲に制御することによって、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
〔1〕 原油からガス分及びナフサ留分を分離し抜頭原油を得る工程(ナフサ留分分離工程)、該抜頭原油を水素化処理する工程(抜頭原油水素化処理工程)、該水素化処理生成物を分離精製工程(分離精製工程)、及び該生成油を貯蔵・出荷する工程(貯蔵・出荷工程)を含む、原油の処理方法であり、
前記抜頭原油水素化処理工程において、複数の固定床式主反応塔を有し、該主反応塔の内径が4.0〜5.5mであり、かつ、該主反応塔内部に設置した触媒床の長さと反応塔の内径の比が4〜10の範囲である反応装置を用い、反応塔入口の温度及び圧力下で換算した空塔液線速度を0.1〜1.0cm/秒の範囲に制御して水素化処理を行うことを特徴とする原油の処理方法、
〔2〕前記各主反応塔内に充填する触媒層を分割して充填するとともに、水素化ガス若しくは油をクエンチとして導入して、最前の主反応塔の入口と最後の主反応塔の出口との温度差を85℃以内で、かつ各主反応塔の出口温度を、上限温度以下に制御する上記〔1〕に記載の原油の処理方法、
〔3〕主反応塔として、少なくとも水素化分解反応塔と水素化脱硫反応塔をこの順序で有する抜頭原油水素化処理工程において、水素化分解触媒を充填した水素化分解反応塔の前段に熱交換器又は加熱炉を設けて、水素化分解反応塔の導入温度を上げ、及び/又は水素化分解反応塔の後段に熱交換器を設けて水素化脱硫反応塔の導入温度を下げることによって各主反応塔の入口及び出口温度を制御することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の原油の処理方法、
〔4〕抜頭原油の水素化処理工程において、各反応塔の入口側から出口側にかけて活性が順次高くなるように触媒を配列する上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載する原油の処理方法。
〔5〕水素化処理工程においては、主反応塔として、それぞれ1以上の水素化脱金属触媒充填塔、水素化分解触媒充填塔及び水素化脱硫触媒充填塔を、この順序で配置したことを特徴充填する上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載する原油の処理方法、
〔6〕抜頭原油水素化処理工程において、水素/油比が、水素消費量の4倍以上に制御し、かつ、反応塔出口の水素分圧が90気圧以上になるように、全圧を制御し、かつ分離精製工程において、分離されたガス分から、硫化水素を除いたものをリサイクル水素化ガスとしてリサイクルし、メークアップ水素と混合した際の、水素純度が75%以上になるように、メークアップ水素の張りこみ量とガス分の抜き出し量を制御する、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載する改質原油の製造方法、
〔7〕抜頭原油水素化処理工程において、主反応塔の前に保護反応塔を設け、該保護反応塔又は保護反応塔と1ないし2以上の主反応塔に水素化脱金属触媒を全触媒に対し全水素化触媒の10〜40体積%の範囲内で充填したことを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載する原油の処理方法、
〔8〕抜頭原油水素化処理工程において、水素化脱金属触媒として、表面積球相当直径2〜40mm、平均細孔径150〜250Åの球状、円柱型、三葉型、又は四葉型の触媒、水素化分解触媒として、表面積球相当直径2〜4mm、平均細孔径160〜250Åの三葉型、又は四葉型の触媒、かつ水素化脱硫触媒として、表面積球相当直径2〜4mm、平均細孔径100〜150Åの円柱型、三葉型、又は四葉型の触媒を用いる上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載する原油の処理方法、
〔9〕抜頭原油水素化処理工程、分離精製工程及び貯蔵・出荷工程において、下記の条件を1以上満たすように処理することを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載する原油の処理方法、
1)主反応塔の水素化脱硫領域の平均温度を、405℃以下に制御する。
2)生成油中のアスファルテン含有量を、抜頭原油のアスファルテン含有量を基準にして10質量%以上に維持する。
3)生成油の100℃におけるろ紙のろ過物を0.2質量%未満とする。
4)生成油のトルエン不溶解分含有量を、50質量ppm未満とする。
5)生成油中の沸点343℃以上の留分の分解率を、50%未満とする。
6)改質原油タンクのランダウン温度を20℃以上とし、ランダウンストレーナを併設する。
7)生成油の一部を水素化処理工程へリサイクルする場合の、リサイクル比を50質量%以下とする。
〔10〕生成油をタンクに保管する場合は、20〜50℃とし、攪拌装置を有するタンクに保管すること及び、ファウリング性の大きい生成油も場合には、熱交換器とランダウンストレーナーを二重に設け、それらを切り替えて使用することを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載する原油の処理方法、
〔11〕原油が、下記の条件を1以上満たすものである上記〔1〕〜〔10〕ののいずれかに記載の原油の処理方法、
1)原油のAPI比重が、11.0〜34.0である。
2)原油の硫黄分が、0.3〜4.5質量%である。
3)原油の窒素分が、3000ppm未満である。
4)原油のメタル分(V+Ni)が、10〜320質量ppmである。
5)原油中のアスファルテン分が、2〜15質量%である。
6)原油中の(アスファルテン分)/(ミクロ残炭分)の比が、50〜80%である。
7)原油中の塩化ナトリウム含有量が、10質量ppm未満である。
8)原油の全酸価(TAN)が、1.0mgKOH/g未満である。
を提供するものである。
本発明によれば、原油を効率的かつ安定に処理する方法であって、ナフサ留分を除いた原油を一括して水素化等の処理を、効率的に、かつ安定に運転することができる、原油を処理する方法を提供することができる。
図1は、上記(1)の本発明の原油の処理方法の1例を示す。以下、図1に従って本発明を説明する。
まず、原油11は、ナフサ留分分離行程1で、ナフサ留分及びガス留分12を分離し、それらを分離した抜頭原油13を得る。抜頭原油13は、水素化ガス18の存在下、抜頭原油水素化処理工程2で、後述する処理条件で水素化処理する。ここで得られた水素化処理生成物15は、分離精製工程3で、分離精製し、生成ガス16を除去し、生成油19を得る。この生成油は、貯蔵・出荷工程4で貯蔵し、若しくは出荷される。この貯蔵される生成油は、改質原油15である。
上記各工程からなる原油の処理方法において、水素化処理工程2に用いる反応装置の1例を図2に示す。以下図1及び2を用いて説明する。図2では、水素化処理工程2は、3つの固定床式主反応塔8,9,及び10がある。これらの主反応塔の構造は、図示していないが、いずれも内径4.0〜5.5mの範囲であり、かつその内部に充填する触媒床の長さ(L)と主反応塔の内径Dとの比(L/D)は、4〜10の範囲にある。抜頭原油13は、このような構造を有する主反応塔において、空塔液線速度を、塔入口の温度と圧力下で換算した値で0.1〜1.0cm/秒の範囲に制御して水素処理を行うものである。
空塔液線速度は、〔(液相の体積流量)/(反応塔の断面積〕〕として求められる。
次に、上記(2)の発明は、上記(1)の原油の処理方法において、さらに、主反応塔8から10内に触媒層を分割して充填し(図示せず)、最前の一主反応塔の入口と最後の主反応塔の出口の温度との温度差を85℃以内で、かつ各主反応塔の出口温度を、上限温度以下に制御する原油の処理方法である。
この温度制御の手段として、水素化ガスや油をクエンチ23として導入する。
触媒層を分割して充填するとは、例えば、触媒層間に不活性な充填物、例えば、直径5〜20mmのアルミナボール球を充填するような充填方法あるいは、同種の触媒を必ず同一の反応塔に充填するなどの充填方法が挙げられる。
触媒層を分割して充填することによって、部分的に急激に温度上昇することを抑制でき、また、通常、主反応塔内の温度が、入り口から出口にかけて反応熱によって上昇することをクエンチによって抑制することによって制御し、主反応塔の入口と出口の温度を調整することができる。
上記(3)の発明は、前記(2)の主反応塔内の温度制御の別手段を示すものであり、
主反応塔として、少なくとも水素化分解反応塔9と水素化脱硫反応塔10をこの順序で有する抜頭原油水素化処理工程2において、水素化分解触媒を充填した水素化分解反応塔9の前段に熱交換器又は加熱炉21を設けて、水素化分解反応塔の導入温度を上げ、及び/又は水素化分解反応塔9の後段に熱交換器22を設けて水素化脱硫反応塔10の導入温度を下げることによって各主反応塔の入口及び出口温度を制御するものである。
これによって、(2)のクエンチ23を省略又は削減することができる。
上記(4)の発明は、(2)の主反応塔内に触媒層を分割して充填する場合の例を示すものであり、反応塔の入口側から出口側にかけて活性が順次高くなるように触媒を配列して水素化処理する方法である。例えば、入口から出口にかけて、細孔径を小さくしかつ、担持金属を増やすような触媒を選んで充填するように配列する方法が挙げられる。
このように配列することにより、部分的に急激に温度上昇することを制御できるなどの効果が得られる。
また、上記(5)の発明は、水素化処理工程2においては、主反応塔として、それぞれ水素化脱金属触媒充填塔8、水素化分解触媒充填塔9及び水素化脱硫触媒充填塔10を、この順序で配置した水素化処理方法である。それぞれの主反応塔は複数の反応塔を有してよい。
これによって、寿命の短い触媒を選択し交換するなど、効率を高める触媒交換スケジュールを実践することが容易になる。
上記(6)の発明は、抜頭原油水素化処理工程2において、水素/油比が、水素消費量(通常水素消費量は、メイクアップ水素量14と等価)の4倍以上に制御し、かつ、反応塔出口の水素分圧が90気圧以上になるように、全圧を制御し、及び、分離精製工程3において、分離されたガス16から、硫化水素・アンモニア除去工程5で硫化水素を除いたものをリサイクル水素化ガス17としてリサイクルし、メークアップ水素14と混合した際の、水素純度が75%以上になるように、メークアップ水素14の張りこみ量とガス分の抜き出し量16を制御する原油の処理方法である。
このように制御することにより、経済的でかつ安定な効率的な操業が得られるなどの効果がある。
上記(7)の発明は、抜頭原油水素化処理工程2において、主反応塔8の前に保護反応塔7を設け、該保護反応塔7又は保護反応塔7と1ないし2以上の主反応塔に水素化脱金属触媒を全触媒に対し全水素化触媒の10〜40体積%の範囲内で充填した原油の処理方法である。
これによって、後段の高活性の触媒を保護して触媒交換頻度を長くするなどの効果が得られる。
上記(8)の発明は、抜頭原油水素化処理工程2において、水素化脱金属触媒として、表面積球相当直径2〜40mm、平均細孔径150〜250Åの球状、円柱型、三葉型、又は四葉型の触媒、水素化分解触媒として、表面積球相当直径2〜4mm、平均細孔径160〜250Åの三葉型、又は四葉型の触媒、かつ水素化脱硫触媒として、表面積球相当直径2〜4mm、平均細孔径100〜150Åの円柱型、三葉型、又は四葉型の触媒を用いる原油の処理方法である。
このような触媒を用いれば、水素化処理を安定に行うことができる。
上記(9)の発明は、抜頭原油水素化処理工程2、分離精製工程3及び貯蔵・出荷工程4において、下記の条件を1以上満たすように取り扱う原油の処理方法である。
1)水素化脱硫領域10の反応塔長軸方向の平均温度を、405℃以下に制御する。
この平均温度が、405℃を超えると、ドライスラッジが生成したり、製品品質が劣化するなどの点で好ましくない。
2)生成油19中のアスファルテン含有量を、抜頭原油のアスファルテン含有量を基準にして10質量%以上に維持する。
3)生成油19の100℃におけるろ紙のろ過物を0.2質量%未満とする。
ろ過物は、IP375によって測定することができる。
4)生成油19のトルエン不溶解分含有量を、50質量ppm未満とする。
5)生成油中の沸点343℃以上の留分の分解率を、50%未満とする。
6)生成油19タンクのランダウン温度を20℃以上とし、ランダウンストレーナを併設する。
7)生成油19の一部を水素化処理工程へリサイクル量は、リサイクル比は50質量%以下とする。
これら2)〜7)の条件を満たさないと、ドライスラッジ発生やファウリング発生などにより安定的な操業が出来なくなるという問題が生じ効率的な処理が達成できない。
上記(10)の発明は、生成油19をタンクに保管する場合は、20℃以上50℃以下とし、攪拌装置を有するタンクに保管すること及び、ファウリング性の大きい生成油では、熱交換器とランダウンストレーナーを二重に設け、それらを切り替えて使用することを特徴とする原油の処理方法である。
このような方法によって、製品品質と操業が安定である原油の処理が可能となる。。
上記(11)の発明は、原油が、下記の条件を1以上満たすものである原油の処理方法である。
1)原油のAPI比重が、11.0〜34.0である。
2)原油の硫黄分が、0.3〜4.5質量%である。
3)原油の窒素分が、3000ppm未満である。
4)原油のメタル分(V+Ni)が、10〜320質量ppmである。
5)原油中のアスファルテン分が、2〜15質量%である。
6)原油中の(アスファルテン分)/(ミクロ残炭分)の比が、50〜80%である。
7)原油中の塩化ナトリウム含有量が、10質量ppm未満である。
8)原油の全酸価(TAN)が、1.0未満mgKOH/gである。
これらの条件をいずれも満たさない原油を用いると、早期に処置装置や使用する触媒などを損傷又は劣化させるため安定な処理をすることができない。
次いで、本発明の原料油、及び各工程について、さらに説明する。
(1)原油
本発明で使用する原油とは、油井由来の未処理油(石油系原油)に限らず、石炭液化油、タールサンド油、オイルサンド油、オイルシェール油、オリノコタール等、あるいはこれらから得られる合成原油であっても良い。また、上記の原油二種以上からなる混合油を使用しても良い。
本発明の対象原油は、API比重が11.0〜34.0の範囲内であることが、好ましい。API比重11未満の極めて重質な原油は、固定床式反応塔方式では、水素化処理が困難であることが多い。APIが34を超える軽質な原油は、本発明の方法では、改質することの経済的な効果が低い。
本発明の対象原油は、硫黄分が0.3〜4.5wt%の範囲内であることが、好ましい。
硫黄分4.5%を超える、極めて劣質な原油は、固定床式反応塔方式では、水素化処理が困難であることが多い。硫黄分0.3%未満オの高品質な原油は、本発明の方法では、改質することの経済的な効果が低い。
本発明の対象原油は、窒素分が3000wtppm以下であることが、好ましい。
窒素分3000wtppmを超える、極めて劣質な原油は、塩基性窒素を多く含むことが多く、この塩基性窒素分は、ゼオライト系水素化分解触媒の酸点を中和することから、極めて水素化分解活性が低いため、本技術の範囲では改質が困難となる可能性がある。窒素分の下限は特に制限はない。
本発明の対象原油は、バナジウム、ニッケルの合計含有量を10〜320wtppmの範囲であることが好ましい。バナジウム、ニッケルが320wtppmを超えると、固定床式反応塔方式では、メタル劣化による水素化活性の低下が著しく、半年〜1年間の長期の運転が困難であることが多い。バナジウム、ニッケルが10wtppm未満の高品質な原油は、本発明の方法では、改質することの経済的な効果が低い。
本発明の対象原油は、好ましくはアスファルテン(アスファルテンとは、原油に対してn−ヘプタンで抽出処理したときのn−ヘプタン不溶解分を意味する。)の含有量が1質量%以上であり、2質量%以上がより好ましい。1質量%未満の原油を使用しても得られる改質原油の性状に問題はないが、費用対効果の面や、省エネルギー化の点から好ましくない。また、上限については特に制限はないが、装置運転上、15質量%未満が好ましい。
さらに、原油中のアスファルテン/ミクロ残炭分の比は、高いほど、水素化処理が困難な劣質原油であると考えられるが、50〜80%であれば好ましい。
80%を超える劣質原油は、固定床式反応塔方式では、水素化処理が困難な場合が多い。アスファルテン/ミクロ残炭分の比が50%未満の高品質原油は、本発明の方法では、改質することの経済的な効果が低い。
原油は必要に応じて、前処理を施すことが好ましい。例えば、塩分濃度が高い場合は、脱塩処理を施し、塩化ナトリウムを10質量ppm以下にすることが好ましい。また固形分が多い場合は、10μm程度のフィルターを通すことが好ましい。
全酸価(TAN)が1.0以上の原油は、装置の腐食が激しく、本発明の方法では、大きな改善は期待できないため、対象としない方が好ましい。
(2)ナフサ留分分離工程
上記原油は、後段の抜頭原油水素化処理工程において、気相の水素分圧を低下させるためナフサ留分及びガス分は除くことが好ましい。ナフサ留分を除く方法としては、一般的なプレフラッシュドラムまたはプレフラッシュカラムを使えば良い。運転温度は150〜300℃、圧力は2〜10kg/cm2Gの範囲で分離することが好ましい。
分離するナフサ留分の沸点は、初留点は原油により決定され、終点は125〜174℃の範囲が好ましい。 終点が125℃未満の場合は、後段の抜頭原油水素化工程において水素分圧が低下するため反応速度の低下を招く。終点は174℃を越えると、改質原油中の灯油留分の硫黄分が増加して製品規格外となる場合がある。
この工程で分離されたナフサ留分あるいはガス分は、そのままナフサ製品とする、或いは、石油化学原料とする、脱硫後に水素の原料とする方法がある。あるいは、ナフサやガスを低温で回収して改質原油に戻す、或いは、脱硫後に接触改質してオクタン価の高いガソリン基材を製造し改質原油に戻す等の方法がある。ナフサやガスを低温で回収する方法は、既存の石油精製工業で汎用的に用いられる方法で良い。
(3)抜頭原油の水素化工程
(3−1)全般
ナフサ留分及びガス分の除いた残りの原油、すなわち抜頭原油は、熱交換器、加熱炉を通して所望温度まで昇温する。この際、原油中のアスファルテンの熱分解温度が低い特殊な原油については、反応塔入口まで、原油中のアスファルテンの熱分解温度を超えないようにする必要がある。もし、反応塔入口に到達するまでに、アスファルテンの熱分解温度を超えてしまえば、アスファルテンが無触媒下で熱分解を起こし、コークの前駆体を生成し、各触媒層で活性の低下を招く可能性がある。200〜300℃付近まで加熱された抜頭原油は、水素化ガスと混合され、加熱炉で所望温度まで昇温され、保護反応塔へ供給される。保護反応塔では、活性が低い水素化脱金属触媒や脱スケール機能を有する触媒が充填される。保護反応塔に充填される触媒は、全体の5〜10%程度であり、後段の主反応塔を保護する目的で、運転終期には閉塞のため保護反応塔をバイパスすることもある。
主反応塔には、1つ或いは複数の水素化脱金属触媒を充填した反応塔からなる水素化脱金属領域、次いで、1つ或いは複数の水素化分解触媒を充填した反応塔からなる水素化分解領域、次いで、1つ或いは複数の水素化脱硫触媒を充填した反応塔からなる水素化脱硫領域を設ける。
該主反応塔は何れも、内径4.0〜5.5mであり、内部に充填する触媒床の長さと内径の比は、何れも4〜10の範囲である。内径4m未満では、反応塔全体の圧力損失が大きくなり、反応塔やコンプレッサーの設計圧力が大きくなり建設費が増大する。 また、内径5.5mを超える反応塔は、工業的に製作が困難となる。また、反応塔入口の温度、圧力下で計算した空塔液線速度は、0.1〜1.0cm/秒の範囲内が好ましい。
ここで、反応塔入口部の温度、圧力条件での空塔液線速度とは、市販のプロセスシミュレーター例えば、Pro/II(ver6.01)(インベンシスシステムインコーポレート社製プロセスシミュレータ)を使って計算できる。液相の体積流量を反応塔の断面積で割ると空塔液線速度を算出できる。反応塔入口部の温度、圧力条件での空塔液線速度が、0.1cm/秒未満であれば、それ自身は問題ないが、その速度を得るためには、トレン数が非常に多くなり、経済的に好ましくない。反応塔入口部の温度、圧力条件での空塔液線速度が、1.0cm/秒を超えると反応塔全体の圧力損失が大きくなり、反応塔やコンプレッサーの設計圧力が大きくなり建設費が増大する。
同じ理由で、内部に充填する触媒床の長さと内径の比は、何れも4〜10の範囲が好ましい。この比が10を上回ると圧力損失が大きくなり、4を下回ると反応塔の基数が増えるため、コストが増加する。
主反応塔に充填される、少なく3種の触媒は、それぞれ異なる機能を有し、それぞれ寿命が異なる可能性が大きい、このため、各触媒は、それぞれ別の反応塔に充填して、異なるタイミングで交換や再充填が出来るようにしておくことが好ましい。
本発明による抜頭原油の水素化処理工程では、全て発熱反応であるため、第一反応塔入口から最終反応塔出口にかけて、温度上昇が発生する。装置の設計上限を超えたり、触媒の必要以上の劣化を防ぐため、触媒層を分割して充填し、水素化ガスや油をクエンチとして導入することで、入口から出口の温度差を85℃以内に保つべく温度を制御する必要がある。
更に、水素化脱硫活性に着目すると、反応塔入口から出口にかけて脱硫反応が進行し、難脱硫性の硫黄化合物が残存する傾向となる。従い、第一反応塔から最終反応塔にかけて各反応温度下における、水素化脱硫活性は、高く方向になるように触媒を選ぶ必要がある。
本発明に用いる水素化分解触媒は、水素化分解活性が比較的安定しており、その常用温度は400℃前後である。このため、アスファルテンが極めて低い温度で熱分解する等の理由で、第一反応塔入口を低く設定せざるを得ない場合には、水素化分解領域が400℃に到達しない場合も考えられる。そのような場合には、水素化分解領域の前段に、加熱炉又は熱交換器を設ける必要がある。
さらに、本発明に用いる水素化脱硫触媒は、劣化に応じて反応温度を上げてゆく必要がある。反応初期においては、水素化分解反応塔の出口温度が、405−415℃であるのに対し、水素化脱硫反応塔の入口は、340−360℃まで下げる必要がある。このような大きな温度低下を、クエンチで行うよりも、熱交換器を設置する方が、経済性は有利である。
抜頭原油水素化処理工程において、水素/油比は、水素消費量の4倍以上となるように供給し、かつ、最終反応塔出口の水素分圧が90気圧を下回らないように、全圧を制御すると良い。
(3−2)水素化脱金属領域
抜頭原油は、加圧昇温され水素化ガスと共に第1段の水素化脱金属領域にて水素化脱金属処理する。
この工程は、第一塔の保護反応塔を含む複数の反応塔からなる。
この工程に使用される触媒としては、アルミナ、シリカ、シリカーアルミナ又はセピオライト等の多孔性無機酸化物、酸性担体、天然鉱物等に周期律表第5、6、8、9及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を、触媒全量に基づき、酸化物として3〜30重量%程度胆持してなる平均細孔系100Å以上の触媒の何れであっても良い、更に好適には、同表面積球相当直径が2〜40mm、平均細孔径150〜250Åの球状、円柱型、三葉型、又は四葉型が良い。
水素化脱金属触媒の充填量は、所望する運転期間と脱金属率を満足し、且つ触媒の許容最大金属捕捉量,から、充填量を決定する。原油の種類や所望条件によらず、全触媒に対し10〜40体積%の範囲内であることを優先する。
水素化脱金属領域の処理条件としては、水素分圧30〜200kg/cm2G、水素/油比200〜2000Nm3/kl、LHSV(液時空間速度)0.1〜10hr―1 、好ましは水素分圧100〜180kg/cm2G、水素/油比400〜800Nm3/kl、LHSV 0.3〜5hr―1である。水素分圧、水素/油比は範囲を下回ると反応効率が低下し、範囲を上回ると経済性が低下するためである。また、LHSVは逆に範囲を下回ると経済性が低下し、範囲を上回ると反応効率が低下する。
(3−3)水素化分解領域
水素化脱金属処理された油は、次に水素化分解領域で一括水素化分解処理される。この工程は、一塔〜複数塔の反応塔からなる。
この水素化分解領域は、通常水素化脱金属処理等の後に行われる。したがって反応温度制御の必要がある場合には、熱交換器、水素ガスクエンチや油クエンチにより反応温度を制御することが好ましい。水素化分解処理は、一塔〜複数塔の反応塔で行われる。水素化分解処理に使用される触媒としては特に限定されるものではないが、特開平2―289419号公報に開示されている技術によって造られた鉄含有アルミノシリケート10〜90質量%と無機酸化物90〜10質量%からなる担体に周期律表第6、8、9及び10族に属する金属のうち選ばれた少なくとも一種を担持したものも使用することが出来る。この水蒸気処理したスチーミングゼオライトを鉄塩水溶液で処理して得られる鉄含有アルミノシリケートを使用すると、343℃以上の留分から343℃以下の留分への分解率を高める点で非常に効果的である。また、特開昭60−49131号公報、特開昭61−24433号公報、特開平3−21484号公報等に開示されている技術によって造られたものを使用することが出来る。すなわち、鉄含有アルミノシリケート20〜80質量%と無機酸化物80〜20質量%からなる担体に、周期律表第6、8、9及び10族に属する金属のうち選ばれた少なくとも一種を担持したものであって、周期律表第6族に属する金属としてはタングステン、モリブデンが好ましく、周期律表第7〜10族の金属はそれぞれ一種用いてもよく、それぞれ複数種の金属を組合わせても良いが、特に水素化活性が高く、かつ劣化が少ない点からNi−Mo,Co−Mo,Ni−W,Ni−Co−Moの組合せが好適である。
更に好適には、同表面積球相当直径が2〜4mm、平均細孔径160〜250Åの三葉型、又は四葉型を選ぶ。
水素化分解処理の処理条件としては、反応温度370〜450℃、水素分圧30〜200kg/cm2G、水素/油比200〜2000Nm3/kl、LHSV(液時空間速度)0.1〜10h-1、さらに反応温度380〜410℃、水素分圧100〜180kg/cm2G、水素/油比400〜800Nm3/kl、LHSV0.3〜5h-1が望ましい。反応温度、水素分圧、水素/油比は望ましい範囲を下回ると反応効率が低下し、範囲を上回ると経済性が低下するためである。また、LHSVは逆に望ましい範囲を上回ると反応効率が低下し、範囲を下回ると経済性が低下する。
(3−4)水素化脱硫領域
水素化分解された油は、次に水素化脱硫工程で一括水素化脱硫処理される。 この工程は、一塔〜複数塔の反応塔からなる。
この水素化脱硫領域は、水素化脱硫だけではなく、水素化脱窒素、水素化脱アロマ、各製品の品質改善を含む水素化最終工程である。また、この領域で、過度な水素化処理を行うと、後段の装置群のファウリングや、反応塔の差圧発生、タンクでのスラッジ生成を招く。
それを防ぐためには、前記発明(9)の1)〜7)の1以上の条件をことが好ましい。
この工程に使用される触媒としては、アルミナ、シリカ、シリカーアルミナ又はセピオライト等の多孔性無機酸化物、酸性担体、天然鉱物等に周期律表第5、6、8、9及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を、触媒全量に基づき、酸化物として3〜30重量%程度胆持してなる平均細孔系100Å以上の触媒の何れであっても良い、更に好適には、同表面積球相当直径が2〜4mm、平均細孔径100〜150Åの円柱型、三葉型、又は四葉型が良い。
この水素化脱硫工程における処理条件としては、反応温度300〜450℃、水素分圧30〜200kg/cm2G、水素/油比200〜2000Nm3/kl、LHSV(液時空間速度)0.1〜10hr―1、好ましは反応温度300〜420℃、水素分圧100〜180kg/cm2G、水素/油比400〜800Nm3/kl、LHSV0.2〜2hr―1である。
反応温度、水素分圧、水素/油比は範囲を下回ると反応効率が低下し、範囲を上回ると経済性が低下するためである。また、LHSVは逆に範囲を下回ると経済性が低下し、範囲を上回ると反応効率 が低下する。
また、水素化分解領域と水素化脱硫領域の順序については、水素化機能の高い触媒を用いる場合には、その処理の順序を変えても良い、更に、水素化脱硫領域、水素化分解領域の後段に、再度水素化脱硫領域工程を配しても良い。
ナフサ留分を分離した抜頭原油から水素化脱金属、水素化脱硫する方法または、水素化脱金属、水素化脱硫および水素化脱窒素する方法は、特開H3−293490号に詳しく開示されている。
ナフサ留分を分離した抜頭原油から水素化脱金属、水素化分解、水素化脱硫および気液分離工程にて気液分離し、得られた気相流体をさらに水素化改質する方法は、特開2000−136391号に詳しく開示されている。
最終の反応塔出口において、水素分圧が90気圧を下回らないように、全圧を制御することが好ましい。
(4)水素化処理生成油の分離精製工程
一括水素化脱金属処理、一括水素化分解処理、一括水素化脱硫処理された油は、分離工程に導入され、複数の分離槽やストリッパーと呼ばれる常圧蒸留塔で処理することによって生成ガスと生成油に分離される。このうち、生成ガスは、硫化水素、アンモニア等を除去する精製工程にて水素純度向上の処理等を行なった後に、大部分はメイクアップ水素と一緒になった後に、抜頭原油水素化工程に再循環される。一部の生成ガスは、水素純度を調整するための、抜き出され、燃料ガス等に利用される。
抜頭原油水素化処理工程において、水素/油比は、水素消費量の4倍以上となるように制御し、分離精製工程において、分離されたガス分から、硫化水素を除いたものをリサイクル水素化ガスとしてリサイクルし、メークアップ水素と混合した際の、水素純度が75〜85%を下回らないように、メークアップ水素の張りこみ量と生成ガスの抜き出し量を制御する。
分離工程で得られた生成油は、熱交換器等で冷却され、場合によりナフサ留分やガス分と混合されて後段の貯蔵・出荷工程へ送られる。この際、前記発明〔9〕の6)、7)の条件を考慮することが好ましい。
ファウリング性の大きい生成油では、熱交換器とランダウンストレーナーを二重に設け、これらを切り替えて使用すると良い。
(5)貯蔵・出荷工程
生成油の分離精製工程を経た生成油は、場合により洗浄・回収されたナフサ留分、ガス分と混合される。ガス分が多く、改質原油として蒸気圧が高い場合(例えば、0.07kg/cm2Gを超える)、ガス分は、改質原油に混合しないで燃料等に利用しても良い。
また、回収されたナフサ留分を混合することにより、スラッジが生成するような場合には、改質原油に混合しないで、ナフサとして販売あるいは、ガソリン、水素あるいはエチレンの原料として活用することもある。これらは、需要や経済環境を勘案して、最適な方法を選ぶことが出来る。
なお、改質原油をタンクに保管する場合は、スラッジを防止するためには、20℃以上とし、攪拌装置を有するタンクに保管することが好ましい。
本発明の原油の処理方法は、原油を効率的かつ安定に処理する方法であって、ナフサ留分を除いた原油を一括水素化等の処理を、効率的に、かつ安定に運転することができる、原油を処理する方法を提供することができる。
本発明の原油の処理方法の1例を示す概要図である 本発明の原油の処理方法における水素化処理工程に用いる反応装置の1例を示す概要図である。
符号の説明
1 ナフサ留分分離工程
2 抜頭原油水素化処理工程
3 分離精製工程
4 貯蔵。出荷工程
5 硫化水素・アンモニア除去工程
6 洗浄・回収工程
7 保護反応塔
8 主反応塔(水素化脱金属領域)
9 主反応塔(水素化脱硫属領域)
10 主反応塔(水素化分解属領域)
11 原油
12 ナフサ留分及びガス分
13 抜頭原油
14 メイクアップ水素
15 水素化処理生成物
16 生成ガス
17 リサイクル水素
18 水素化ガス
19 生成油
20 改質原油
21 加熱炉又は熱交換器
22 熱交換器
23 クウエンチ

Claims (11)

  1. 原油からガス分及びナフサ留分を分離し抜頭原油を得る工程(ナフサ留分分離工程)、該抜頭原油を水素化処理する工程(抜頭原油水素化処理工程)、該水素化処理生成物を分離精製工程(分離精製工程)、及び該生成油を貯蔵・出荷する工程(貯蔵・出荷工程)を含む、原油の処理方法であり、
    前記抜頭原油水素化処理工程において、複数の固定床式主反応塔を有し、該主反応塔の内径が4.0〜5.5mであり、かつ、該主反応塔内部に設置した触媒床の長さと反応塔の内径の比が4〜10の範囲である反応装置を用い、反応塔入口の温度及び圧力下で換算した空塔液線速度を0.1〜1.0cm/秒の範囲に制御して水素化処理を行うことを特徴とする原油の処理方法。
  2. 前記各主反応塔内に充填する触媒層を分割して充填するとともに、水素化ガス若しくは油をクエンチとして導入して、最前の主反応塔の入口と最後の主反応塔の出口との温度差を85℃以内で、かつ各主反応塔の出口温度を、上限温度以下に制御する請求項1に記載の原油の処理方法。
  3. 主反応塔として、少なくとも水素化分解反応塔と水素化脱硫反応塔をこの順序で有する抜頭原油水素化処理工程において、水素化分解触媒を充填した水素化分解反応塔の前段に熱交換器又は加熱炉を設けて、水素化分解反応塔の導入温度を上げ、及び/又は水素化分解反応塔の後段に熱交換器を設けて水素化脱硫反応塔の導入温度を下げることによって
    各主反応塔の入口及び出口温度を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の原油の処理方法。
  4. 抜頭原油の水素化処理工程において、各反応塔の入口側から出口側にかけて活性が順次高くなるように触媒を配列する請求項1〜3のいずれかに記載する原油の処理方法。
  5. 水素化処理工程においては、主反応塔として、それぞれ1以上の水素化脱金属触媒充填塔、水素化分解触媒充填塔及び水素化脱硫触媒充填塔を、この順序で配置したことを特徴充填する請求項1〜4のいずれかに記載する原油の処理方法。
  6. 抜頭原油水素化処理工程において、水素/油比を、水素消費量の4倍以上に制御し、かつ、反応塔出口の水素分圧が90気圧以上になるように、全圧を制御し、かつ、分離精製工程において、分離されたガス分から、硫化水素を除いたものをリサイクル水素化ガスとしてリサイクルし、メークアップ水素と混合した際の、水素純度が75%以上になるように、メークアップ水素の張りこみ量とガス分の抜き出し量を制御する、請求項1〜5のいずれかに記載する改質原油の製造方法。
  7. 抜頭原油水素化処理工程において、主反応塔の前に保護反応塔を設け、該保護反応塔又は保護反応塔と1ないし2以上の主反応塔に水素化脱金属触媒を全触媒に対し全水素化触媒の10〜40体積%の範囲内で充填したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載する原油の処理方法。
  8. 抜頭原油水素化処理工程において、水素化脱金属触媒として、表面積球相当直径2〜40mm、平均細孔径150〜250Åの球状、円柱型、三葉型、又は四葉型の触媒、水素化分解触媒として、表面積球相当直径2〜4mm、平均細孔径160〜250Åの三葉型、又は四葉型の触媒、かつ水素化脱硫触媒として、表面積球相当直径2〜4mm、平均細孔径100〜150Åの円柱型、三葉型、又は四葉型の触媒を用いる請求項1〜7のいずれかに記載する原油の処理方法。
  9. 抜頭原油水素化処理工程、分離精製工程及び貯蔵・出荷工程において、下記の条件を1以上満たすように処理することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載する原油の処理方法。
    1)主反応塔の水素化脱硫領域の平均温度を、405℃以下に制御する。
    2)生成油中のアスファルテン含有量を、抜頭原油のアスファルテン含有量を基準にして10質量%以上に維持する。
    3)生成油の100℃におけるろ紙のろ過物を0.2質量%未満とする。
    4)生成油のトルエン不溶解分含有量を、50質量ppm未満とする。
    5)生成油中の沸点343℃以上の留分の分解率を、50%未満とする。
    6)改質原油タンクのランダウン温度を20℃以上とし、ランダウンストレーナを併設する。
    7)生成油の一部を水素化処理工程へリサイクルする場合の、リサイクル比を50質量%以下とする。
  10. 生成油をタンクに保管する場合は、20〜50℃とし、攪拌装置を有するタンクに保管すること及び、ファウリング性の大きい生成油も場合には、熱交換器とランダウンストレーナーを二重に設け、それらを切り替えて使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載する原油の処理方法。
  11. 原油が、下記の条件を1以上満たすものである請求項1〜10のいずれかに記載の原油の処理方法。
    1)原油のAPI比重が、11.0〜34.0である。
    2)原油の硫黄分が、0.3〜4.5質量%である。
    3)原油の窒素分が、3000ppm未満である。
    4)原油のメタル分(V+Ni)が、10〜320質量ppmである。
    5)原油中のアスファルテン分が、2〜15質量%である。
    6)原油中の(アスファルテン分)/(ミクロ残炭分)の比が、50〜80%である。
    7)原油中の塩化ナトリウム含有量が、10質量ppm未満である。
    8)原油の全酸価(TAN)が、1.0mgKOH/g未満である。
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