JP2009095262A - Znフィンガータンパク質 - Google Patents

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浩英 吉川
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Abstract

【課題】DNAメチルトランスフェラーゼ3に結合することができ、DNAメチルトランスフェラーゼ3による癌特異的DNAメチル化の生理的な抑制因子を提供する。
【解決手段】(a)特定のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(b)前記特定のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質のいずれかのタンパク質。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規Znフィンガータンパク質であるSALL3c及びそれをコードするポリヌクレオチドに関する。
発癌過程における、CpGアイランドのメチル化を含めたエピジェネティクな変化のメカニズムはほとんど分っていない。DNAメチルトランスフェラーゼであるDNMT3AとDNMT3BはデノボのDNAメチル化を担当する酵素として知られている(非特許文献1〜3)。そして、DNAメチル化を行う際には補助因子が必要である場合も報告されている(非特許文献4)。DNAメチルトランスフェラーゼ3(DNMT3)がデノボのDNAメチル化に重要であると考えられているが、実際にCpGアイランドのメチル化を示した報告はわずかである。さらに、CpGアイランドメチル化の抑制機構については何も知られていない。
デノボのDNAメチル化の詳細な機構は、いまだ解明されておらず、特に、DNAメチル化の生理的な抑制因子の存在は知られていなかった。
そこで、デノボのDNAメチル化の抑制機構の解明及びDNAメチル化の生理的な抑制因子、特に、DNAメチルトランスフェラーゼ3(DNMT3)の抑制因子の開発が待たれていた。
Bachman, K. E., Rountree, M. R. & Baylin, S. B. Dnmt3a and Dnmt3b are transcriptional repressors that exhibit unique localization properties to heterochromatin. J Biol Chem 276, 32282-7 (2001). Chen, T., Tsujimoto, N. & Li, E. The PWWP domain of Dnmt3a and Dnmt3b is required for directing DNA methylation to the major satellite repeats at pericentric heterochromatin. Mol Cell Biol 24, 9048-58 (2004). Okano, M., Bell, D. W., Haber, D. A. & Li, E. DNA methyltransferases Dnmt3a and Dnmt3b are essential for de novo methylation and mammalian development. Cell 99, 247-57 (1999). Vire, E. et al. The Polycomb group protein EZH2 directly controls DNA methylation. Nature 439, 871-4 (2006).
DNAメチルトランスフェラーゼ3に結合することができ、DNAメチルトランスフェラーゼ3による癌特異的DNAメチル化の生理的な抑制因子を提供する。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究した結果、SALL3cと名づけたSALL3の新規バリアントフォームが、DNMT3による癌特異的CpGアイランドのメチル化を抑制することを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明は、下記:
1.下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質のいずれかのタンパク質、
2.下記:
(a)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションし、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質をコードするポリヌクレオチドのいずれかのポリヌクレオチド、
3.上記2記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
4.上記3記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
5.上記1記載のタンパク質を含む、医薬組成物、
6.抗癌剤である、上記5記載の医薬組成物、
7.上記1記載のタンパク質を用いる、上記1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法、
8.上記1記載のタンパク質を含む、上記1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング用キット、
9.上記2記載のポリヌクレオチドを用いる、上記1記載のタンパク質の発現を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法、
10.上記2記載のポリヌクレオチドを含む、上記1記載のタンパク質の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
11.配列番号2のアミノ酸位置420〜470又は1041〜1091からなるダブルZnフィンガーモチーフからなるポリペプチド、
12.上記11記載のポリペプチドを含む、医薬組成物、
13.抗癌剤である、上記12記載の医薬組成物
14.上記12記載のポリペプチドを用いる、上記1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法、
15.上記12記載のポリペプチドを含む、上記1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング用キット、
16.上記11記載のポリペプチドとDNAメチルトランスフェラーゼ3Aとを接触させることを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法、
17.上記11記載のポリペプチドとDNAメチルトランスフェラーゼ3AのPWWPドメイン又はPHDドメインとを接触させることを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法、
18.上記11記載のポリペプチドとDNAメチルトランスフェラーゼ3AのPWWPドメイン又はPHDドメインとを含むことを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aのタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング用キット
に関する。
本発明のタンパク質は、医薬品、特に、抗癌剤として、又は、医薬品を開発するためのリサーチツールとして、有用である。
配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質(以下、本発明のタンパク質と称することもある。)は、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞、例えば、肝細胞、特に、肝癌細胞由来するタンパク質であってよく、合成タンパク質であってもよい。
配列番号2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、もっとも好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
アミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有することが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、細胞増殖抑制活性、DNAメチルトランスフェラーゼ結合活性、DNAメチル化抑制活性などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの性質が性質的に(例、生理学的に、または薬理学的に)同質であることを示す。したがって、たとえば、DNAメチルトランスフェラーゼ結合活性が同等(たとえば、約0.01〜100倍、好ましくは約0.1〜10倍、より好ましくは0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度、タンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
上記の各活性の測定には、従来公知の任意の方法を用いることができる。たとえば、細胞増殖抑制活性には、コロニーフォーメーションアッセイを、DNAメチルトランスフェラーゼ結合活性には、免疫沈降法(IP)、クロマチン免疫沈降法(ChIP)やGSTプルダウン法を、DNAメチル化抑制活性には、MSP解析、インビトロでのメチル基転位反応やバイサルファイトシークエンス法を、それぞれ、用いることができる。
また、本発明のタンパク質としては、例えば、下記:
(i)配列番号2で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜60個程度、好ましくは1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii)配列番号2で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv)配列番号2で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または
(v)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテインも含まれる。また、上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、欠失または置換の位置としては、とくに限定されない。
本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。好ましくはDNAである。DNAは、好ましくは、cDNAライブラリーからのDNAである。
上記ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接RT−PCR法によって増幅することもできる。
本発明のタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、配列番号1で表される塩基配列を含有するDNA、または配列番号1で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有し、前記した配列番号2で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号1で表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号1で表される塩基配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、好ましくは約95%以上、好ましくは約98%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLASTを用い、以下の条件で計算することができる。
期待値=10;
ギャップを許す;
フィルタリング=ON;
マッチスコア=1;
ミスマッチスコア=−3
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAとしては、配列番号1で表される塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本発明のタンパク質を完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のタンパク質をコードする塩基配列の一部分を含有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、Molecular Cloning 2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
クローン化されたタンパク質をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。このDNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンを有することができる。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のタンパク質の発現ベクターは、たとえば、本発明のタンパク質をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、次いで、該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウィルス,ワクシニアウィルス,バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。
発現ベクターには、さらに、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカーなどを含むことができる。
本発明のベクターを用いて、適当な宿主を形質転換することにより形質転換体を製造することができる。
宿主としては、細菌、たとえば、Escherichia coli、Bacillus subtilis又はSalmonella typhimuriumや哺乳類由来培養細胞などを用いることができる。
以下に、本発明のタンパク質、本発明のタンパク質または部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドの用途を説明する。
本発明のタンパク質は、SALL3c遺伝子のプロモーター領域が異常にメチル化されるとその発現が抑制されることから、疾患マーカーとして利用することができる。たとえば、肝臓癌の早期診断、症状の重篤度の判定、疾患進行の予測のためのマーカーとして有用である。
本発明のタンパク質は、DNAメチルトランスフェラーゼによる癌特異的CpGアイランドのメチル化を抑制することから、癌細胞の増殖を抑制することができる。また、DNAメチルトランスフェラーゼによるデノボでのDNAメチル化を抑制することによって、体細胞分化や脱分化の制御などの、エピジェネティックな情報を調節することができる。
例えば、生体内において本発明のタンパク質が減少あるいは欠損しているために、本発明のタンパク質の活性が十分に、あるいは正常に発揮されない患者がいる場合に、本発明のDNAを該患者に投与し、生体内で本発明のタンパク質を発現させる等の方法を用いて、治療的有効量の本発明のタンパク質を適所に送達することによって、該患者における本発明のタンパク質の役割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
本発明のタンパク質は、例えば、必要に応じてマイクロカプセル剤などとして経口的に、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のタンパク質等を生理学的に認められる担体などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
本発明のタンパク質は、生体に由来することから、安全かつ低毒性であるので、たとえば、ヒトに投与することができる。本発明のタンパク質等の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどによって、変動させることができるが、たとえば、本発明のタンパク質を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該タンパク質を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。
本発明のタンパク質は、SALL3c遺伝子のプロモーター領域が異常にメチル化されるとその発現が抑制され、また、本発明のタンパク質は、DNAメチルトランスフェラーゼと結合することによって、DNAメチルトランスフェラーゼによる癌特異的CpGアイランドのメチル化を抑制することができる。したがって、本発明のタンパク質の活性を調節(促進または阻害)する化合物は、癌などの予防・治療剤などとして使用することができることから、本発明のタンパク質は、本発明のタンパク質の活性を調節する化合物のスクリーニングのためのリサーチツールとして有用である。
すなわち、本発明は、本発明のタンパク質を用いることを特徴とする本発明のタンパク質の活性を調節(促進または阻害)する化合物のスクリーニング方法を提供する。
より具体例には、本発明のタンパク質と試験化合物とを接触させることを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼによる癌特異的CpGアイランドのメチル化の阻害剤のスクリーニング方法が挙げられる。
また、本発明のタンパク質は、DNAメチルトランスフェラーゼ、特に、DNMT3Aに結合することによって癌特異的なデノボのDNAメチル化を抑制することから、本発明のタンパク質とDNMT3Aと試験化合物とを接触させることを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼによる癌特異的CpGアイランドのメチル化の阻害剤のスクリーニング方法が挙げられる。
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のタンパク質、または本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞を含有するものである。
また、本発明のタンパク質は、そのZnフィンガードメインがDNAメチルトランスフェラーゼ3AのPWWPドメインに結合することによって、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を抑制する。したがって、本発明のタンパク質Znフィンガードメインは、本発明のタンパク質Znフィンガードメインと同様な作用、すなわち、DNAメチルトランスフェラーゼ3AのPWWPドメインに結合することによって、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を抑制する物質をスクリーニングするためのリサーチツールとして用いることができる。
また、本発明のタンパク質は、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aのメチル化能を亢進させるEZH2と、競合的にDNAメチルトランスフェラーゼ3Aに結合する。EZH2は、DNAメチルトランスフェラーゼ3AのPHDドメインに結合することが知られている。したがって、本発明のタンパク質は、DNAメチルトランスフェラーゼ3AのPHDドメインに結合することによって、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を抑制する物質をスクリーニングするためのリサーチツールとして用いることができる。
以下において、実施例により本発明をより具体的にするが、この発明はこれらに限定されるものではない。
まず、染色体ゲノム解析法であるCA−RLGS法(Yoshikawa, H. et al. Chromosomal assignment of human genomic NotI restriction fragments in a two-dimensional electrophoresis profile. Genomics 31, 28-35 (1996).)を用いて、癌特異的変化を示すNotIサイトの一つを特定した。そのNotIサイトはSALL3遺伝子の5’側に存在した。正常肝臓RNAを用いて、そのNotIサイトに関連した遺伝子をクローニングしたところ、GenBankに登録されたSALL3(NM_171999)(Kohlhase, J. et al. SALL3, a new member of the human spalt-like gene family, maps to 18q23. Genomics 62, 216-22 (1999).)のヌクレオチド位置2917から3132の216bpからなるヌクレオチドがスプライスアウトされたオルターネートフォームであることが判った。SALL3には別のバリアントフォ−ム(AJ007421)が知られていたが、これとも5’側のアミノ酸配列が異なっていた。そこで、クローニングした1228アミノ酸よりなる新規のオルターネートスプライスフォームをSALL3cと名づけた。
SALL3cは8個のC2H2タイプのZnフィンガーを有しており、そのうちの4個が2個のダブルZnフィンガーモチーフを形成しているのが特徴である(図1)。
MSP法を用いてSALL3c遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化状態を調べたところ、10個の肝細胞癌細胞株のうち、5個で異常なメチル化を認めた。一方、正常肝臓サンプルではメチル化を認めなかった(図2)。
バイサルファイトシークエンス法ではHuH2とHep3Bで非常に密なDNAメチル化を認めたが、FLC4と正常肝臓細胞では僅かなメチル化が存在するのみであった(図3)。
RT−PCR法によるSALL3cのRNA発現解析では10個のHCC細胞株のなかでFLC4のみが発現していた。これらの結果は、DNAメチル化のある細胞株がSALL3cを発現していないことを示唆した。興味深いことに正常肝臓サンプルにはSALL3cの発現は認められなかった。DNAメチル化と関連した発現抑制であるか否かを区別するために、脱メチル化剤である5Aza−dCで処理した4個の細胞株を調べた。細胞株は、SALL3cにDNAメチル化が存在する3個と、検索範囲で認められなかったもの1個の計4個である。この4個の細胞株のすべてにおいて5Aza−dC 処理によるSALL3c遺伝子の再活性化を認めた。このことから、SALL3cはDNAメチル化が関連する不活性化を受けることが明らかとなった。
HuH4においては、調べたプロモーター領域にDNAメチル化が存在しなかったにも関らず、5Aza−dC処理によってSALL3c遺伝子が再活性化されたことから、調べたプロモーター領域以外に発現抑制と関連したDNAメチル化がある可能性が考えられた。そこで、翻訳開始点あたりのDNAメチル化状態を調べたところ、この部分においても異常なDNAメチル化が存在し、また、SALL3cを発現するFLC4でも部分的なDNAメチル化が存在した。その結果、図2及び3で調べた、翻訳開始点から−3kbあたりにおけるDNAのメチル化が発現抑制と相関することが示された。次いで肝細胞癌の外科的切除サンプルにおいてDNAメチル化を検索した。30個のサンプルのうち11個(37%)に癌特異的なDNAメチル化を認めた。非腫瘍部の肝臓にはDNAメチル化は検出されなかった。
DNAメチル化が関連したSALL3cの発現抑制が明らかとなったので、SALL3c遺伝子が細胞増殖に影響を与えるか否かを検討した。SALL3cがメチル化不活性化されている2種類の細胞株(HuH2及びHep3B)にSALL3c遺伝子を導入してコロニーフォーメーションアッセイを行ったところ、2種類の細胞株共にコロニーの数が減少した。したがって、SALL3cには増殖抑制作用があることが証明された。
さらに詳しくSALL3cの機能を解析するために、蛍光顕微鏡でSALL3cの細胞内局在を調べた。SALL3cは核内で特徴的な点状の染色像を呈した。これはDNMT3の染色像と似ていた。そこで、SALL3cとDNMT3AあるいはSALL3cとDNMT3Bを共発現させてコンフォーカル顕微鏡で観察したところ、多くの場所でSALL3cとDNMT3Aあるいは DNMT3Bは共局在することが分かった。そこで、SALL3cとDNMT3が結合するか否かを免疫沈降法によって調べた。大量のDNMT3AがSALL3cと共に沈降した。DNMT3Bはそれよりも量的に少ないが、やはりSALL3cと共に沈降した(図4)。免疫沈降法による解析からSALL3cとDNMT3は結合することが明らかとなった。SALL3cはDNMT3BよりDNMT3Aに強く結合したので、以降の実験ではDNMT3Aについて検討した。
SALL3cとDNMT3Aの結合に重要な分子内の領域を明らかにするために、まずSALL3cの欠失変異体を作成した(図5、Δ1〜7)。免疫沈降法による解析で、変異体1,4,5と7はDNMT3Aと結合したが、変異体2,3と6は結合しなかった。興味深いことに、DNMT3Aと結合したSALL3cの変異体はすべてダブルZnフィンガーモチーフを有していた。対照的に、ダブルZnフィンガーモチーフのない変異体は結合していなかった。この結果はSALL3cのダブルZnフィンガーモチーフがDNMT3Aとの結合に必須であることを示唆している。このことを確認するために、インビトロでのGSTプルダウン解析を行った。
35S−メチオニンの存在下でインビトロ−トランスレーション−トランスクリプション反応によって作成したSALL3cの欠失変異体と、GSTタグ付の全長DNMT3A(GST−DNMT3A)を用いた。全長のSALL3c及び、3種のSALL3c欠失変異体(Δ1、3、7)のうちダブルZnフィンガーモチーフを有する2種(Δ1、7)が選択的にGST−DNMT3Aに結合した。しかしながら、ダブルZnフィンガーモチーフのない変異体は結合しなかった。この結果よりSALL3cのダブルZnフィンガーモチーフがDNMT3Aと直接結合することが示された。
次いで、SALL3cと結合するDNMT3Aの分子内領域を調べた。35S−メチオニンの存在下でインビトロ−トランスレーション−トランスクリプション反応によって作成したDNMT3Aの欠失変異体と、GSTタグ付のダブルZnフィンガーモチーフを有するSALL3cの欠失変異体を用いた。全長のDNMT3AはGST−SALL3c欠失変異体に結合し、同等の結合がPWWPドメインを有するDNMT3Aの欠失変異体に認められた。しかしながらPHDドメインを有するがPWWPドメインのない欠失変異体は、GST−SALL3c欠失変異体に結合しなかった(図6)。このことは、PWWPドメインがSALL3cとの結合に必要であることを示唆している。以上より、SALL3cのダブルZnフィンガーモチーフとDNMT3AのPWWPドメインが直接結合すると結論づけられた。
SALL3cとDNMT3Aの直接結合がインビトロとインビボで示されたので、次にSALL3cがインビトロでDNMT3Aのメチル基転移活性を調節し得るかを調べた。細胞から免疫沈降で単離したDNMT3Aを用いて、SアデノシルHメチオニンからSOCS−3プラスミドDNAへのメチル基の転移を測定した。SOCS−3遺伝子はある種の癌細胞株ならびにHCCの切除サンプルにおいてメチル化されているので(Niwa, Y. et al. Methylation silencing of SOCS-3 promotes cell growth and migration by enhancing JAK/STAT and FAK signalings in human hepatocellular carcinoma. Oncogene 24, 6406-17 (2005).)、メチル化を測定する基質として好適と考えた。過剰発現させた細胞から単離したDNMT3Aはコントロールに比して、顕著なメチル基転移能を認めた。興味深いことに、SALL3cとDNMT3Aを共発現させるとDNMT3A単独発現の場合より、DNMT3Aのメチル基転移能が低下した。DNMT3Aのタンパク発現量は、この2者の間で殆ど同じであった(図7)。
SALL3cがインビトロでDNMT3Aの酵素活性を抑制することを見出したので、SALL3cの新規DNAメチル化の抑制についてさらに解析した。癌特異的なメチル化を受けるCpGアイランドのメチル化を実験的に示した報告はほとんどなく、癌におけるCpGアイランドの新規メチル化についての理解は甚だ不十分である。
まず、異常なCpGアイランドのメチル化が誘導できる癌細胞株の樹立を行った。肝細胞癌株であるHuH2を9日間に渡り5Aza−dCで処理した後、生存細胞をコロニー化させた。その一つ(クローン12)を用いてHCCでメチル化される部位を調べた所、その殆どの部位で脱メチル化あるいはメチル化の顕著な減少を認めた。このクローンを用いることによって、癌特異的なCpGアイランドのメチル化の変化を細胞で効果的に調べることが可能となった。
DNMT3Aをクローン12に一過的に発現させて、親細胞のHuH2ではメチル化されているが、クローン12では脱メチル化されている10個のCpGアイランドについてメチル化状態を調べた。DNMT3A発現細胞において、SOCS−3、SALL3c、EMX1のCpGアイランドのDNAメチル化亢進を認めた。対照的に、コントロール細胞ではDNAメチル化の変化は認められなかった。また、DNMT3Bの発現ではメチル化の亢進が示されなかった。重要なこととして、SALL3cとDNMT3Aを共発現させると、上記3箇所のCpGアイランドで認められたDNMT3Aによるメチル化亢進が減弱した。DNMT3Aの発現量はDNMT3Aのみの発現細胞でも、DNMT3AとSALL3cの共発現細胞でも同じであった。また、5Aza−dCで脱メチル化した他のクローンでも同様の結果を得た。
次いで、私たちはレトロウイルスを用いて恒常的にDNMT3A、SALL3cを発現するクローン12細胞を作成した。DNMT3Aを恒常的に発現する細胞において再び、SOCS−3、SALL3cおよびEMX1のCpGアイランドのメチル化亢進がMSP解析によって示された。特に、SOCS−3のCpGアイランドのメチル化は顕著であった。一過性発現の時と同様にSALL3cとDNMT3Aを共発現させると、DNMT3AによるDNAメチル化が減少した。
DNMT3AによるDNAメチル化と、DNMT3A依存的メチル化に対するSALL3cの抑制作用を確かめるために、バイサルファイトシーケンス法で恒常的発現細胞のメチル化状態を調べた。上記3個のCpGアイランドにおいて、DNMT3A恒常的発現細胞では著明なDNAメチル化の亢進があり、SALL3cとDNMT3Aを共発現する細胞では、DNMT3AによるDNAメチル化の減少を認めた。
これらの結果は、癌特異的変化を示す一群のCpGアイランドのメチル化をDNMT3Aが促進するということを示している。さらに重要な事は、SALL3cの過剰発現がDNMT3AによるCpGアイランドのメチル化を抑制するという結果である。このSALL3cによるゲノムDNAメチル化の阻害は、インビトロでのSALL3cによるDNMT3A酵素活性の抑制と一致する。私たちは、MSP法によってDNMT3AによるDNAメチル化誘導を3個のCpGアイランドで見出したが、調べた別の7個のCpGアイランドにおいてはDNMT3Aに対する感受性が認められなかった。この結果は、DNMT3AによるCpGアイランドメチル化を過小評価しているかもしれない。なぜなら、限られた領域におけるDNAメチル化の亢進は、しばしばMSP法では検出できないからである。
次いで私たちは、SALL3cの発現抑制が癌細胞でDNAメチルを促進するか否かを調べた。10種類のHCC細胞株のうちSALL3cを発現するのはFLC4のみであった。FLC4ではDNMT3Aも発現したので、RNA干渉法を用いてFLC4細胞のSALL3c発現を抑制した。2種のsiRNA(siRNA1及びsiRNA2)が効果を示したが、siRNA1の方がより強くSALL3cの発現を抑制した。そこで、siRNA1を用いてSALL3c発現を抑制したFLC4細胞で、3箇所のCpGアイランドのメチル化状態を調べた。クローン12細胞においてDNAメチル化状態を調べたSOCS−3とEMX1のCpGアイランドの領域は、FLC4細胞では既に完全なメチル化を受けていたため、SALL3c、ECEL1とHs.670807のCpGアイランドについてバイサルファイトシークエンス解析を行った。
コントロール細胞と比較した時、SALL3c発現を抑制した細胞でより密度の高いDNAメチル化をこの3個のCpGアイランドにおいて見出した。以上のSALL3c過剰発現とRNA干渉による発現抑制の実験結果から、SALL3cは癌特異的なDNAメチル化を受ける一群のCpGアイランドのデノボのメチル化を抑制する新たな因子であると結論づけられた。
SALL3cがDNMT3AによるCpGアイランドのメチル化を抑制する機構をより深く理解するために、DNMT3A、SALL3c単独あるいは、その二者をトランスフェクションしたクローン12細胞を用いてクロマチン免疫沈降法(ChIP)による解析を行った。DNMT3Aを導入した細胞では、DNMT3Aがメチル化を亢進させた3種類(SOCS−3、SALL3c及びEMX1)のクロマチン領域と、DNMT3Aとの結合が観察された。重要なこととして、SALL3cとDNMT3Aの共発現がDNMT3Aとクロマチンの結合を減少させた。
DNMT3Aの発現量はDNMT3A単独発現細胞と、DNMT3AとSALL3cの共発現細胞間で同等であった。DNMT3Aが特異的にクロマチンに結合し、SALL3cがそれを抑制することを確かめるために、RNA干渉でSALL3cの発現抑制を行った細胞を用いてChIP解析を行った。SALL3cのRNA干渉を行った細胞では、SALL3cの発現抑制によってメチル化が亢進した3個(SALL3c、ECEL1及びHs.670807)のクロマチン領域と、DNMT3Aとの結合が増大した。これらの結果よりSALL3cは、DNMT3Aとクロマチンとの結合を抑制することが示された。このことより、SALL3cがDNMT3A依存的なDNAメチル化を抑制することを説明できる。
SALL3cのダブルZnフィンガーモチーフとDNMT3AのPWWPドメインの結合によって、SALL3cがDNMT3Aを抑制することが明らかとなった。EZH2はDNMT3のPHDドメインと結合することによって、DNMT3をEZH2のターゲットシークエンスにリクルートする。結果、その部位がメチル化を受けると報告されている(Vire, E. et al. The Polycomb group protein EZH2 directly controls DNA methylation. Nature 439, 871-4 (2006).)。私たちは、SALL3cがEZH2とDNMT3Aの結合を抑制する可能性を考えた。これを調べるため、競合的なインビトロの結合アッセイを行った。GST−DNMT3A、一定量のEZH2、様々な量のSALL3cを用いてGSTプルダウンアッセイを行った。SALL3cの量依存的に、SALL3cはEZH2とDNMT3Aの結合を減少させた。この結果は、SALL3cがEZH2とDNMT3Aとの結合を抑制することを示している。
発現ベクターの構築
全長ヒトSALL3c、DNMT3A、DNMT3B及びEZH2をPCRによって増幅した。SALL3cでは配列番号3及び4、DNMT3Aでは配列番号5及び6、DNMT3Bでは配列番号7及び8、そして、EZH2では、配列番号9及び10に示したプライマーを用いた。増幅したDNAを、N末端をHA又はFlagタグに置換した改変pcDNA3.1ベクター(Invitrogen)に挿入した。SALL3c欠失変異体を作るために用いたプライマー配列は、欠失1では配列番号11及び12、欠失2では配列番号13及び14、欠失3では配列番号15及び16、そして欠失4では配列番号17及び18であった。SALL3c欠失変異体5は、2つのDNA(全長SALL3cのEcoRI-NheIフラグメント及び欠失変異体2のNheI-EcoRIフラグメント)をアセンブルすることによって作った。欠失変異体6は、欠失変異体1のEcoRI-NotIフラグメントである。欠失変異体7は、欠失変異体1のNotI-XbaIフラグメントである。全てのSALL3c変異体をFlagタグpcDNA3.1に挿入した。DNMT3A欠失変異体1は、全長DNMT3AのEcoRI-KpnIフラグメントである。DNMT3A欠失のためのプライマーは、欠失2ではT7プライマー及び配列番号19、欠失3では配列番号20及びpcDNA3.1リバースプライマーであった。プライマーのセット(プロモーター1について配列番号21及び22、プロモーター2について配列番号23及び24)を用いて、SALL3cプロモーター領域(−1157〜−3273及び+20〜−1177)をpGL3-basic vector(Promega)にクローニングした。SOCS−3プラスミドは、Niwa, Y. et al. Methylation silencing of SOCS-3 promotes cell growth and migration by enhancing JAK/STAT and FAK signalings in human hepatocellular carcinoma. Oncogene 24, 6406-17 (2005)に記載されたとおりである。E. coliでの発現については、pcDNA3.1ベクター中のSALL3c欠失変異体7及び全長DNMT3A cDNAをpGEXベクター(GE healthcare)に移した。
SALL3cタンパク質の概略図である。SALL3cは、8つのC2H2タイプZnフィンガーを含む(縦線で示した。)。4つのフィンガーは、2つのダブルZnフィンガーモチーフを構成する。 上のパネルは、SALL3cプロモーター領域におけるCpG密度を表す。縦線は、CpG配列を示す。翻訳開始部位を「1」として示した。矢印及び三角印は、MSP及びビサルファイトシークエンスのそれぞれにセットされたプライマーを示す。下のパネルは、肝癌細胞株のMSP分析を表す。HuH4〜FLC4は、肝癌細胞株である。Mレーンのバンドは、メチル化産物であり、Uレーンのバンドは、非メチル化産物である。 バイサルファイトシークエンス分析の結果を示す。SALL3cの5’領域(−3139〜―2431)のメチル化状態を3つの肝癌細胞株(FLC4、HuH2及びHep3B)及び正常肝サンプルで調べた。各サンプルについて、10個の独立したクローンをシークエンスした。黒丸及び白丸は、それぞれ、メチル化及び非メチル化を示す。 SALL3cのDNMT3への結合を表す。細胞をHA−SALL3c又はもとのベクター(HA)に加えてFlag−DNMT3A又はFlag−DNMT3B発現ベクターでコトランスフェクションした。抗HA免疫沈降を、抗Flag又は抗HA抗体を用いるイムノブロッティングによって解析した。 ダブルZnフィンガーモチーフを含むSALL3c変異体とDNMT3Aとの相互作用を表す。Flagでタグを付けた数種類のSALL3c欠失変異体をDNMT3Aとコトランスフェクションした。抗DNMT3A抗体を用いるイムノブロッティングによって抗Flag免疫沈降を解析した。上のパネルに変異体1〜7の概略を示した。Vectorは、ベクターのコントロールである。野生型(WT)は、全長のSALL3cである。 PWWPドメインを含むDNMT3A変異体は、インビトロでダブルZnフィンガーモチーフを含むSALL3c欠失変異体に結合する。GSTプルダウンアッセイを固定化GST−SALL3cΔ7とインビトロで翻訳された35Sでラベルした野生型DNMT3A又はDNMT3A変異体を用いて行った。 インビトロのメチルトランスフェラーゼ活性アッセイを表す。DNMT3Aを指示されたプラスミドでトランスフェクションした細胞から抗Flag免疫沈降によって単離した。メチルトランスフェラーゼ反応を単離したDNMT3A、S−アデノシル−L−[メチル−H]メチオニン及びSOCS−3−プラスミドDNAを用いて行った。細胞溶解液をSDS−PAGEに付し、そしてFlag、HA又はアクチン抗体のいずれかでのイムノブロッティングによって解析した。

Claims (18)

  1. 下記:
    (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
    (b)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質
    のいずれかのタンパク質。
  2. 下記:
    (a)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
    (b)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションし、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (c)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (d)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、DNAメチルトランスフェラーゼ3A又はDNAメチルトランスフェラーゼ3Bと結合することができるジンクフィンガータンパク質をコードするポリヌクレオチド
    のいずれかのポリヌクレオチド。
  3. 請求項2記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  4. 請求項3記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  5. 請求項1記載のタンパク質を含む、医薬組成物。
  6. 抗癌剤である、請求項5記載の医薬組成物。
  7. 請求項1記載のタンパク質を用いる、請求項1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法。
  8. 請求項1記載のタンパク質を含む、請求項1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング用キット。
  9. 請求項2記載のポリヌクレオチドを用いる、請求項1記載のタンパク質の発現を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法。
  10. 請求項2記載のポリヌクレオチドを含む、請求項1記載のタンパク質の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  11. 配列番号2のアミノ酸位置420〜470又は1041〜1091からなるダブルZnフィンガーモチーフからなるポリペプチド。
  12. 請求項11記載のポリペプチドを含む、医薬組成物。
  13. 抗癌剤である、請求項12記載の医薬組成物。
  14. 請求項12記載のポリペプチドを用いる、請求項1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法。
  15. 請求項12記載のポリペプチドを含む、請求項1記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング用キット。
  16. 請求項11記載のポリペプチドとDNAメチルトランスフェラーゼ3Aとを接触させることを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法。
  17. 請求項11記載のポリペプチドとDNAメチルトランスフェラーゼ3AのPWWPドメイン又はPHDドメインとを接触させることを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法。
  18. 請求項11記載のポリペプチドとDNAメチルトランスフェラーゼ3AのPWWPドメイン又はPHDドメインとを含むことを特徴とする、DNAメチルトランスフェラーゼ3Aのタンパク質の活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング用キット。
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