(関連出願の相互参照)
本願は、2000年6月15日に出願された米国仮出願番号60/211,835の優先権を主張し、この出願は、本明細書中で参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は、結腸癌および形成異常症において差次的に発現される遺伝子に関する。より詳細には、本発明は、結腸癌で差次的に調節されるポリヌクレオチド、およびコードされた遺伝子産物に関する。
(発明の背景)
結腸癌は、米国における癌関連の死亡の、第二位の原因である。American Cancer Societyは、1999年の米国において、約947,000人の結腸癌の新たな症例が存在し、そして結腸癌が約47,000人の死亡の原因であると見積もっている。結腸は、4つの節:上行結腸、横行結腸、下行結腸およびS状結腸を有し、そして直腸で終わる。腺腫様ポリープまたは腺腫、癌腫へ進行する一般的な良性病変は、結腸の4つの節のいずれかまたは直腸において発生し得る。95%を超える結腸癌が、腺癌、または結腸の内側を裏打ちする細胞の癌である。結腸癌は、頻繁に、肝臓および肺に転移する。
疾患の原因である第一の病因因子として喫煙が同定されている肺癌とは異なり、結腸癌の下敷きとなる本質的な機構は複雑であり、かつ理解が不完全である。食餌因子(特に高脂肪摂取)は、発癌を促進すると考えられる。分子レベルでは、多くの変異を含む多段階のプロセスが、腺腫の結腸腫瘍への進行において疑われる(Vogelsteinら(1988)N.Engl.J.Med.319:525−532)。結腸癌の発生および進行は、以下の3つの遺伝子型における配列変異によって駆動される:癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、およびミスマッチ修復遺伝子(これは、他の遺伝子(癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子を含む)の変異の速度を制御する)。これらの変異は、遺伝的素因(生殖系列変異)の結果として、または環境的因子(体細胞変異)に応答して生じる。
結腸癌に関連するいくつかの変異が、同定されている。遺伝性、または家族性の結腸癌に関連する生殖系列変異としては、腫瘍抑制遺伝子の腺腫様結腸ポリポーシス(APC)(Lengauerら(1991)Science 253:665−669)ならびにミスマッチ修復遺伝子のMutLおよびMutS(Modrich(1995)Phil.Trans.R.Soc.Lond.B 347:89−95;Kolodner(1996)Genes Dev.10:1433−1442)が挙げられる。欠損性APCは、家族性腺腫様ポリポーシス(FAP)に関連し、そしてMutLおよびMutSは、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌(HNPCC)に関連する。散発性結腸癌に関連すると同定された体細胞変異としては、結腸癌において欠失された(DCC)、および結腸癌において変異した(MCC)、癌遺伝子(K−ras、c−myc)および腫瘍抑制遺伝子(p53、APC、神経線維腫症1型GTPase活性化タンパク質(NF1 GAP))が挙げられる(Midgleyら(1999)Lancet 353:391−399)。
結腸癌は、非常に処置可能であり、そしてしばしば初期段階で検出および処置される場合には、治癒可能である。従来の診断手順としては、侵襲性の手段(例えば、デジタル直腸検査法、S状結腸鏡検査法、結腸鏡検査法、およびバリウム浣腸)ならびに非侵襲性の手段(例えば、便潜血検査および遺伝的スクリーニング)が挙げられる。腫瘍マーカーのスクリーニングは、遺伝性疾患の同定および再発の診断のために特に示される。例えば、癌胚性抗原(carcinoembryonic antigen)(CEA)のスクリーニングは、無症候性の再発を診断するために使用される。新たな診断方法としては、結腸壁の上皮表面または結腸壁内の癌性細胞を検出し得るレーザー誘導蛍光画像化技術が挙げられる(例えば、von Ruedenら(1993)J.Surg.Oncol.53:43−46を参照のこと)。
結腸癌を処置するための従来の治療的アプローチとしては、外科的切除、放射線療法および化学療法(アジュバント治療を含む)が挙げられる。遺伝子治療アプローチとしては、ウイルスベクターを使用する(Zwackaら(1998)Hematol.Oncol.Clin.North Am.12:595−615)、サイトカイン遺伝子または免疫抗原遺伝子の移入、酵素−プロドラッグ系の移入(Huberら(1993)Cancer Res.53:4619−ノ4626を参照のこと)、および腫瘍抑制遺伝子の置換(例えば、Venookら(1998)Proc.ASCO 17:431aを参照のこと)が挙げられる。
結腸癌に関連するいくつかの遺伝子が同定されているが、結腸癌の発生(または発生の阻害)に関連するさらなる遺伝子の同定は、さらなる診断手段および治療標的を提供し得る。結腸癌において差次的に発現される遺伝子の同定は、薬物発見、診断技術、ならびに結腸癌の進行および性質の理解の進歩において特に重要である。本発明は、このような差次的に発現される遺伝子の同定を提供する。
(発明の要旨)
本発明は、結腸癌(例えば、腺腫様ポリープ、結腸直腸癌腫、高い転移の可能性のある結腸腫瘍および転移性結腸癌)において差次的に発現される遺伝子を示すポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、このようなポリヌクレオチド、これらの対応する遺伝子または遺伝子産物(プローブ、アンチセンスヌクレオチドおよび抗体が挙げられる)を含む診断剤および治療剤に関する。
従って、1つの局面において、本発明は、癌性結腸細胞の同定の方法を特徴とし、ここで、この方法は、少なくとも1つの差次的に発現される遺伝子産物を検出する工程(ここで、この遺伝子産物は、試験サンプル中の配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の配列を含む遺伝子によってコードされ、ここで、この試験サンプルは、癌性結腸細胞であることが疑われる試験細胞に由来する)、および検出された差次的に発現された遺伝子産物の発現レベルを、コントロールサンプルにおいて差次的に発現された遺伝子産物の発現レベルと比較する工程(ここで、このコントロールサンプルは、癌性結腸細胞に由来する)を包含する。コントロールサンプル中の遺伝子産物の発現レベルに類似する、試験サンプル中の差次的に発現された遺伝子産物の発現レベルの検出は、この試験細胞が癌性結腸細胞であることを示す。1つの実施形態において、検出は、参照アレイに対する試験サンプルのハイブリダイゼーションによって達成され、ここで、この参照アレイは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の少なくとも1つの同定配列を含む。
本発明はまた、癌性結腸細胞を同定する方法を特徴とし、ここで、この方法は、少なくとも1つの差次的に発現される遺伝子産物を検出する工程(ここで、この検出は、試験サンプル中に配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の配列を含むポリペプチドのハイブリダイゼーションを検出することにより、ここで、この試験サンプルは、癌性結腸細胞であることが疑われる試験細胞に由来する)、および検出された差次的に発現された遺伝子産物のハイブリダイゼーションレベルを、コントロールサンプル中で差次的に発現された遺伝子産物のハイブリダイゼーションレベルと比較する工程(ここで、このコントロールサンプルは、癌性結腸細胞に由来する)を包含する。コントロールサンプル中の遺伝子産物のハイブリダイゼーションレベルに類似する、試験サンプル中の差次的に発現された遺伝子産物のハイブリダイゼーションレベルの検出は、この試験細胞が癌性結腸細胞であることを示す。1つの実施形態において、検出は、参照アレイに対する試験サンプルのハイブリダイゼーションによって達成され、ここで、この参照アレイは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の少なくとも1つの同定配列を含む。
本発明はまた、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の同定配列またはその縮重改変体に対して、少なくとも90%の配列同一性の配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを特徴とする。関連する局面において、本発明は、アレイおよび本発明のポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を特徴とする。1つの実施形態において、このポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるクローンに含まれ、そしてATCCに寄託された挿入物のヌクレオチド配列を含む。
別の局面において、本発明は、本発明の差次的に発現された遺伝子によってコードされる単離されたポリペプチド、およびこのようなポリペプチドを特異的に結合する抗体を特徴とする。
別の局面において、本発明は、癌性結腸細胞において差次的に発現される遺伝子の発現を調節するための活性薬剤を含む治療的組成物を特徴とする。例えば、この治療的組成物の活性薬剤は、正常細胞に対して癌性細胞で過剰発現される遺伝子によってコードされる遺伝子産物の生物学的活性の減少をもたらし得るか、または、正常細胞に対して癌性細胞において過少発現される遺伝子によってコードされる遺伝子産物の生物学的活性の増大をもたらし得る。
本発明はまた、差次的に発現された遺伝子のライブラリーを特徴とし、ここで、このライブラリーは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のポリヌクレオチドの少なくとも1つの配列情報を含む。このライブラリーは、核酸アレイとして、またはコンピューター読み取り可能な形式で提供され得、そして配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のポリヌクレオチドの相対的な量を含み得、ここで、この相対的な量は、疾患結腸細胞において見出されるポリヌクレオチドの相対的な量を示す。
本発明の主な目的は、差次的に発現される遺伝子およびこれらのフラグメントに対応するポリヌクレオチド、結腸癌の診断ならびに合理的な薬物設計および治療設計に有用なポリヌクレオチドを提供することである。
本発明の種々の局面および実施形態は、本明細書中に提供される記載を読んだ当業者に、容易に明らかである。
(発明の詳細な説明)
本発明をさらに記載する前に、本発明が、本発明の以下に記載される特定の実施形態に限定されず、特定の実施形態のバリエーションが、添付の特許請求の範囲内で作製され得、そしてなお添付の特許請求の範囲内であることが理解されるべきである。また、使用される専門用語が、特定の実施形態を説明する目的のためであり、そして限定を意図しないことが理解されるべきである。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって確立される。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの」(「a」、「an」および「the」)は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数形の言及を含む。他に規定されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明の属する分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。
本発明は、開示されたヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドに関し、全長cDNA、mRNAゲノム配列、およびこれらの配列に対応する遺伝子ならびにそれらの縮重改変体に関し、そして本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドおよびポリペプチド改変体に関する。以下の詳細な記載は、本発明によって包含されるポリヌクレオチド組成物、全長の遺伝子産物をコードするcDNAまたはゲノムDNAを得るための方法、これらのポリヌクレオチドおよび遺伝子の発現、ポリヌクレオチドおよび遺伝子の構造モチーフの同定、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によってコードされる遺伝子産物の機能の同定、提供されるポリヌクレオチドのプローブとしての使用ならびにマッピングおよび組織プロファイリングにおける使用、抗体を惹起するための対応するポリペプチドおよび他の遺伝子産物の使用、そして治療目的および診断目的のためのポリヌクレオチドおよびそれらがコードする遺伝子産物の使用を記載する。
(定義)
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書中で交換可能に使用され、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態をいう。従って、これらの用語は、さらに、一本鎖、二本鎖もしくは複数鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA,cDNA、DNA−RNAハイブリッド、あるいはプリン塩基およびピリミジン塩基、または他の天然の、化学的もしくは生化学的に改変された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含むが、これらに限定されない。これらの用語はさらに、イントロン配列を含むmRNAまたはcDNAを含むが、これらに限定されない(例えば、Niwaら(1999)Cell 99(7):691−702を参照のこと)。ポリヌクレオチドの骨格は、(RNAまたはDNAにおいて代表的に見出され得るように)糖およびリン酸基を含み得るか、または改変もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含み得る。あるいは、ポリヌクレオチドの骨格は、合成サブユニット(例えば、ホスホラミダイト)のポリマーを含み得、従って、オリゴデオキシヌクレオシドホスホラミダイトまたは混合されたホスホラミダイト−ホスホジエステルオリゴマーであり得る。Peyrottesら(1996)Nucl.Acids Res.24:1841−1848;Chaturvediら(1996)Nucl.Acids Res.24:2318−2323。ポリヌクレオチドは、改変されたヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ、ウラシル、他の糖、ならびに結合基(例えば、フルオロリボースおよびチオエート))、ならびにヌクレオチド分枝を含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、ポリマー化の後に、例えば、標識成分との結合体化によって、さらに改変され得る。この定義内に含まれる他の型の改変は、キャップ、アナログによる1以上の天然に存在するヌクレオチドの置換、およびタンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチドまたは固体支持体にポリヌクレオチドを結合させるための手段の導入である。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態をいい、コードアミノ酸および非コードアミノ酸、化学的もしくは生化学的に改変もしくは誘導体化されたアミノ酸、ならびに改変されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る。この用語は、異種アミノ酸配列との融合タンパク質、N−末端メチオニン残基を有するかもしくは有さない、異種リーダー配列および同種リーダー配列との融合物;免疫学的にタグ化されたタンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない融合タンパク質を含む。
「異種」とは、材料が、異なる供給源(例えば、異なる遺伝子、異なる種など)に由来することを意味する。
用語「差次的に発現される遺伝子」は、癌性でない同じ細胞型の細胞と比較した場合に、癌性結腸細胞で差次的に発現される遺伝子を示すかまたはこのような遺伝子に対応するポリヌクレオチドを包含するように意図される。このような差次的に発現される遺伝子は、遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)をコードするオープンリーディングフレーム、ならびにこのような遺伝子のイントロン、および発現の調節に関与する、隣接5’および隣接3’の非コードヌクレオチド配列(コード領域を越える約20kbまでの、しかしいずれの方向においてもさらに可能である)を含み得る。この遺伝子は、染色体外維持のための、または宿主ゲノム内への組込みのための適切なベクターに導入され得る。一般に、少なくとも約25%、通常は、少なくとも約50%〜75%、より通常は、少なくとも約90%以上の発現レベルの減少に関連する発現レベルにおける差異は、目的の差次的に発現される遺伝子、すなわち、コントロールサンプルと比較して、試験サンプルにおいては過少発現されるか、またはダウンレギュレートされる遺伝子を示す。さらに、少なくとも約25%、通常は、少なくとも約50%〜75%、より通常は、少なくとも約90%であり、そしてコントロールサンプルと比較して少なくとも約1 1/2倍、通常は、少なくとも約2倍〜約10倍であり得、そして約100倍〜約1,000倍の増加であり得る、発現の上昇に関連する発現レベルにおける差異は、目的の差次的に発現される遺伝子、すなわち、過剰発現、またはアップレギュレートされる遺伝子を示す。
本明細書において使用される場合、「差次的に発現されるポリヌクレオチド」は、差次的に発現される遺伝子を示す配列を含む核酸分子(RNAまたはDNA)を意味し、例えば、差次的に発現されるポリヌクレオチドは、サンプル中で差次的に発現されるポリヌクレオチドの検出が、差次的に発現される遺伝子またはサンプル中の差次的に発現される遺伝子の遺伝子産物の存在と相関するように、差次的に発現される遺伝子を独自に同定する配列(例えば、遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレーム)を含む。例えば、差次的に発現されるポリヌクレオチドに(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズする、サンプル中のポリヌクレオチドの検出は、サンプル中の対応する差次的に発現される遺伝子の存在を示す。「差次的に発現されるポリヌクレオチド」はまた、開示されたポリヌクレオチドのフラグメント(例えば、生物学的活性を有するフラグメント)、ならびにその開示されたポリヌクレオチドに相同性があるか、実質的に類似するか、または実質的に同一である(例えば、約90%の配列同一性を有する)核酸を含むことが意味される。
「対応する」または「示す」は、例えば、遺伝子に「対応する」または遺伝子を「示す」ポリヌクレオチドまたは配列に関して使用される場合、ポリヌクレオチドの配列が、遺伝子または核酸遺伝子産物(例えば、mRNA)に存在することを意味する。ポリヌクレオチドは、遺伝子のゲノム配列の1つのエキソン内に完全に存在し得るか、またはポリヌクレオチド配列の異なる部分は、異なるエキソン中に存在し得る(例えば、その結果、連続ポリヌクレオチド配列は、遺伝子の発現産物であるmRNA中に、スプライシング前またはスプライシング後のいずれかに存在する)。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、正常細胞と比較して癌性細胞において改変されている遺伝子を示すかまたは対応し得る。例えば、癌性細胞中の遺伝子は、内在性レトロウイルス、転位性エレメントまたは他の天然に存在する核酸もしくは天然に存在しない核酸の挿入によって、改変され得る。このような場合、ポリヌクレオチドは、ネイティブな遺伝子(例えば、異種配列のない遺伝子)と、挿入された、非ネイティブ配列の両方の配列を含み得る。
「遺伝子」は、本明細書中で一般的に使用されて、遺伝子産物をコードするポリヌクレオチド(例えば、オープンリーディングフレームを規定する核酸配列)を包含する。
本明細書中で使用される場合、「遺伝子産物」は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現の産物の全てまたは一部(RNA分子またはポリペプチドを含むが、これらに限定されない)を包含することを意味する。
本明細書中で使用される場合、「診断」は、一般に、疾患または障害に対する患者の感受性の決定、被験体が疾患または障害に現在罹患しているか否かに関する決定、および疾患または障害に罹患した被験体の予後に関する決定を含む。本発明は、結腸癌(例えば、腺腫様ポリープ、結腸直腸癌腫)、およびこのような癌の任意の段階(例えば、段階I〜段階IVの重篤度)に関する、被験体の診断を包含する。
本明細書中で使用される場合、「結腸癌」は、結腸癌および直腸癌の良性形態または悪性形態;結腸癌の非転移性形態、転移前形態および転移形態;ならびに結腸および直腸の細胞から生じる任意の特定の癌の型(例えば、腺腫様ポリープ、結腸直腸癌腫など)を包含することを意味する。
用語「個体」、「被験体」、「宿主」および「患者」は、本明細書中で交換可能に使用され、そして診断、処置または治療が所望される任意の哺乳動物被験体、特にヒトをいう。他の被験体としては、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどが挙げられ得る。
用語「サンプル」または「生物学的サンプル」は、生物から得られ、そして診断またはモニタリングアッセイにおいて使用され得る種々のサンプル型を包含する。この用語は、血液および生物学的起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル(例えば、生検検体または組織培養物もしくはこれらに由来する細胞ならびにこれらの子孫)を包含する。この用語は、その獲得後に任意の方法で(例えば、試薬による処理、可溶化、または特定の成分の富化によって)操作されたサンプルを包含する。この用語は、臨床的サンプルを包含し、そしてまた、細胞培養物中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的液体および組織サンプルを含む。
本明細書中で使用される場合、「宿主細胞」は、組換えベクターまたは他の移入ポリヌクレオチドのレシピエントとして使用され得るか、あるいは使用されてきた微生物または真核生物細胞もしくは単細胞実体として培養される細胞株をいい、そして、トランスフェクトされた元の細胞の子孫を含む。単一細胞の子孫が、天然の、偶然のまたは意図された変異に起因して、形態学的に、またはゲノムDNA相補体または総DNA相補体において、元の親と必ずしも完全に同一ではないかもしれないことが、理解される。
用語「癌」、「新生物」、「腫瘍」および「癌腫」は、本明細書中で交換可能に使用され、比較的自律的な増殖を示し、その結果、細胞増殖の制御の有意な喪失によって特徴付けられる異常な増殖表現型を示す細胞をいう。一般に、本出願における検出または処置のための目的の細胞としては、前癌性(例えば、良性)細胞、悪性細胞、転移前細胞、転移細胞、および非転移細胞が挙げられる。特別な目的は、癌性細胞の検出である。
「癌性表現型」は、一般に、癌性細胞の特徴である種々の生物学的現象のいずれかをいい、この現象は、癌の型によって異なり得る。この癌性表現型は、一般に、例えば、細胞増殖(growth)または増殖(prolieration)における異常(例えば、制御されない増殖(growth)または増殖(prolieration))、細胞周期の調節における異常、細胞移動性における異常、または細胞−細胞相互作用における異常によって同定される。
「治療標的」は、一般に、遺伝子または遺伝子産物をいい、これらは、(例えば、発現、生物学的活性などの改変による)その活性の改変の際に、癌性表現型の改変を提供し得る。
全体を通して使用される場合、「改変」は、示された現象の増大または減少をいうように意味される(例えば、生物学的活性の改変は、生物学的活性の増大または生物学的活性の減少をいう)。
(発明の概要)
一般に、本発明は、癌性結腸細胞において差次的に発現される遺伝子を示すポリヌクレオチドの発見に基づく。癌に罹患した、結腸細胞における遺伝子の差次的な発現は、例えば、癌性結腸細胞において発現される遺伝子を検出し、そして遺伝子発現レベル(例えば、質的または量的かのいずれか)を、正常結腸細胞(すなわち、結腸癌に罹患していない結腸細胞)における同じ遺伝子の発現レベルと比較することによって決定される。
本明細書中に記載される、差次的に発現された遺伝子に対応するポリヌクレオチドは、正常結腸細胞、初代結腸腫瘍細胞、転移性結腸腫瘍細胞および腺腫様ポリープ細胞に由来するサンプルのディファレンシャルディスプレイを使用して同定された。本発明の差次的に発現された遺伝子を示す特定のポリヌクレオチドの配列は、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29に示される。
(ポリヌクレオチド組成物)
ポリヌクレオチド組成物に関する本発明の範囲は、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のうちのいずれか1つにおいて示される配列を含むポリヌクレオチド;本明細書中に記載される生物学的材料またはストリンジェントな条件(特に高ストリンジェンシーの条件)下でのハイブリダイゼーションによって他の生物学的供給源(特にヒト供給源)から得られるポリヌクレオチド;提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子;提供されるポリヌクレオチドおよびそれらの対応する遺伝子の改変体、特にコードされる遺伝子産物の生物学的活性(例えば、タンパク質ファミリーへの遺伝産物の割当ておよび/または遺伝子産物に存在する機能的ドメインの同定の結果として、提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子産物に帰する生物学的活性)を保持するそれらの改変体を含むが、これらに必ずしも限定されない。本発明の範囲により意図され、本発明の範囲内である他の核酸組成物は、本明細書中での開示が提供される場合、当業者に容易に明らかである。
組成物の核酸に関して本明細書中で交換可能に使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、特に示されない限り、核酸の長さまたは構造に関して限定されることを意図されない。さらに、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドは、実質的にエキソン配列(例えば、オープンリーディングフレームを規定し、そして遺伝子産物の全てまたは一部をコードする配列)からなり得る。本明細書中に記載されるポリヌクレオチドに関して「実質的に〜からなる」は、ポリヌクレオチドが、オープンリーディングフレームをコードする配列からなることを意味し、この配列は、コードされた遺伝子産物の基本的な特徴に実質的に影響しない任意の種々の配列に隣接し得る。適切な隣接配列としては、プロモーター配列、エンハンサー配列、転写開始部位および/または停止部位、構築物もしくはベクター配列(例えば、線状分子または環状分子内のポリヌクレオチドの操作を提供する配列(構築物またはベクターの複製および維持のための配列、選択を提供する遺伝子産物(例えば、抗生物質耐性または抗生物質感受性、補充を有するかまたは有さない培地における増殖に影響を与える因子など)をコードする配列、ポリヌクレオチドまたは異種ポリペプチド(すなわち、作動可能に連結されたポリヌクレオチド以外の供給源に由来するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド)との融合タンパク質の生成を提供する配列を含むが、これらに必ずしも限定されない)))などが挙げられるが、これらに必ずしも限定されない。
本発明は、ヒト組織、詳細にはヒト結腸組織において発現されるポリヌクレオチドを特徴とする。特定の目的の本発明の新規な核酸組成物は、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のいずれか1つにおいて示される配列およびその同定配列を含む。「同定配列(identifying sequence)」は、ポリヌクレオチド配列を固有に同定する少なくとも約10nt長〜約20nt長、通常少なくとも約50nt長〜約100nt長の残基の連続配列であり、例えば、約20ntを超える任意の連続ヌクレオチド配列に対して、90%未満の、通常約80%〜約85%未満の配列同一性を示す。従って、本発明の核酸組成物は、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のいずれか1つの連続ヌクレオチドの同定配列を含む全長のcDNAまたはmRNAを含む。
本発明のポリヌクレオチドはまた、配列類似性または配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。配列類似性を有する核酸は、低いストリンジェンシー条件下、例えば、50℃および10×SSC(0.9M生理食塩水/0.09Mクエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーションによって検出され、そして1×SSC中55℃での洗浄に供される場合、結合を保持する。配列同一性は、ストリンジェントな条件下、例えば、50℃以上および0.1×SSC(9mM生理食塩水/0.9mMクエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーションによって決定され得る。ハイブリダイゼーション方法およびハイブリダイゼーション条件は、当該分野において周知であり、例えば、USPN 5,707,829号を参照のこと。提供されるポリヌクレオチド配列に実質的に同一である核酸、例えば、対立遺伝子改変体、遺伝子の遺伝的に変化したバージョンなどは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、提供されるポリヌクレオチド配列(配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29)に結合する。プローブ、特にDNA配列の標識プローブを使用することによって、相同な遺伝子または関連の遺伝子を単離し得る。相同な遺伝子の供給源は、任意の種、例えば、霊長類種、特にヒト:げっ歯類(例えば、ラットおよびマウス);イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、線虫などであり得る。
一般には、ハイブリダイゼーションは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のうちの少なくとも1つの少なくとも15連続ヌクレオチド(nt)を使用して行われる。すなわち、開示される配列番号のうちの1つの少なくとも15連続ntがプローブとして使用される場合、そのプローブは相補的な配列を含有する核酸と優先的にハイブリダイズし、選択されたプローブに固有にハイブリダイズする核酸の同定および回収を可能にする。1つより多い配列番号からのプローブは、それらが由来するcDNAが同じ全長mRNAに対応する場合、同じ核酸とハイブリダイズし得る。15ntより大きいプローブ、例えば、約18nt〜約100ntのプローブが使用され得るが、15ntは固有の同定のために十分な配列を示す。
本発明のポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチド配列の天然に存在する改変体(例えば、縮重改変体、対立遺伝子改変体など)を含む。本発明のポリヌクレオチドの改変体は、本明細書中に開示されるヌクレオチド配列と推定の改変体とのハイブリダイゼーションによって、好ましくはストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションによって同定される。例えば、適切な洗浄条件を使用することによって、本発明のポリヌクレオチドの改変体は、対立遺伝子改変体が、選択されたポリヌクレオチドプローブに対して多くとも約25〜30%の塩基対(bp)ミスマッチを示す場合に同定され得る。一般に、対立遺伝子改変体は、15〜25%bpのミスマッチを含み、そして5〜15%、または2〜5%、または1〜2%bp程度のミスマッチ、ならびに単一bpのミスマッチを含み得る。
本発明はまた、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のポリヌクレオチドに対応するホモログを包含し、ここで、相同な遺伝子の供給源は、任意の哺乳動物種、例えば、霊長類種、特にヒト;げっ歯類(例えば、ラット);イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、線虫などであり得る。哺乳動物種間(例えばヒトとマウス)で、ホモログは一般に、実質的な配列類似性、例えば、ヌクレオチド配列間に少なくとも75%、通常少なくとも90%、より通常少なくとも95%の配列同一性を有する。配列類似性は、参照配列に基づいて算定され、参照配列は保存されたモチーフ、コード領域、隣接領域などのような、より長い配列のサブセットであり得る。参照配列は通常、少なくとも約18連続ntの長さ、より通常には少なくとも約30ntの長さであり、そして比較されている完全な配列に伸長され得る。配列分析のためアルゴリズムは、当該分野において公知である(例えば、ギャップ化BLAST(Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402において記載される))。
一般に、本発明の改変体は、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約85%を越える配列同一性を有し、そしてMPSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行されるようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される場合、少なくとも約90%以上を越え得る。本発明の目的のために、同一性パーセントを計算する好ましい方法は、以下を使用するSmith−Watermanアルゴリズムである。全体的なDNA配列同一性は、以下の検索パラメーター:ギャップオープンペナルティー12、およびギャップ伸長ペナルティー1、を用いるアフィンギャップ検索を使用する、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行されるようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される場合、65%よりも大きくなければならない。
本発明の核酸は、cDNAまたはゲノムDNA、およびそのフラグメント(特に、生物学的に活性な遺伝子産物をコードするフラグメントおよび/または本明細書中に開示された方法において有用であるフラグメント(例えば、診断において、目的の示差発現された遺伝子の固有の識別子として、など)であり得る。用語「cDNA」は、本明細書中で使用する場合、ネイティブの成熟mRNA種において見出される配列エレメントの配置を共有する全ての核酸を含むことを意図され、ここで配列エレメントは、エキソンならびに3’非コード領域および5’非コード領域である。通常、mRNA種は、連続するエキソンを有し、介在するイントロンは、存在する場合、核RNAスプライシングにより除去され、本発明のポリペプチドをコードする連続性のオープンリーディングフレームを作成する。
目的のゲノム配列は、列挙される配列(天然の染色体に通常存在する全てのイントロンを含む)において規定されるような、開始コドンと終止コドンとの間に存在する核酸を含む。これは、成熟mRNAにおいて見い出される3’および5’非翻訳領域をさらに含み得る。これは、特異的転写調節配列および翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)(約1kbの(しかしそれ以上の可能性もある)転写される領域の5’および3’末端のいずれかの隣接ゲノムDNAを含む)をさらに含み得る。ゲノムDNAは、100kbp以下のフラグメントとして単離され得;そして実質的には隣接染色体配列がない。コード領域に隣接するゲノムDNA(3’および5’、または時々イントロンに見い出されるような内部調節配列のいずれか)は、適当な組織、段階特異的発現、または疾患状態特異的発現のために必要とされる配列を含む。
本発明の核酸組成物は、本発明のポリペプチドの全てまたは一部分をコードし得る。二本鎖または一本鎖のフラグメントは、従来の方法に従う化学合成オリゴヌクレオチド、制限酵素消化、PCR増幅などによって、DNA配列から得られ得る。本発明の単離されたポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドフラグメントは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29に示されるようなポリヌクレオチド配列から選択される少なくとも約10、約15、約20、約35、約50、約100、約150〜約200、約250〜約300、または約350連続するヌクレオチドを含む。大部分について、フラグメントは、少なくとも15ヌクレオチド、通常は少なくとも18ヌクレオチドまたは25ヌクレオチドの長さであり、そして少なくとも約50連続するヌクレオチドまでまたはそれ以上の長さである。好ましい実施態様において、ポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29に示されるポリヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも12ヌクレオチドの連続する配列を含む。
本発明のポリヌクレオチドに対して特異的なプローブは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29に開示されるポリヌクレオチド配列を使用して作製され得る。このプローブは、好ましくは配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の対応する連続する配列の、少なくとも約12、15、16、18、20、22、24、または25ヌクレオチドフラグメントであり、そして2、1、0.5、0.1、または0.05kb長未満であり得る。このプローブは化学的に合成され得るか、または制限酵素を使用してより長いポリヌクレオチドから作製され得る。このプローブは、例えば、放射性タグ、ビオチニル化タグ、または蛍光性タグを用いて標識化され得る。好ましくは、プローブは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の1つのポリヌクレオチドの配列の同定に基づいて設計される。より好ましくは、プローブは、配列に対する低い複雑性をマスキングするためのマスキングプログラム(例えば、XBLAST)の適用後にマスキングされないままの、本発明のポリヌクレオチドの1つの連続する配列に基づいて設計される。すなわち、マスキングプログラムによって生成されるマスキングされた配列のポリ−nストレッチの外側のポリヌクレオチドによって示されるような、マスキングされていない領域を選択する。
本発明のポリヌクレオチドは、実質的に純粋で単離および獲得される(一般的に、インタクトな染色体以外として)。通常、ポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれかとして)は、他の天然に生じる核酸配列を実質的に含まずに獲得され(一般的に、少なくとも約50%、通常少なくとも約90%純粋である)、そして、代表的には「組換え型」であり、例えば天然に存在する染色体には普通付随しない1つ以上のヌクレオチドに隣接される。
本発明のポリヌクレオチドは、直鎖状分子としてまたは環状分子内に提供され得、そして自己複製分子(ベクター)内または複製配列を有さない分子内に提供され得る。ポリヌクレオチドの発現は、それら独自の調節配列または当該分野で公知の他の調節配列によって調節され得る。本発明のポリヌクレオチドは、当該分野において利用可能な種々の技術(例えば、トランスフェリンポリカチオン媒介DNA移入、裸の核酸またはカプセル化された核酸を用いるトランスフェクション、リポソーム媒介DNA移入、DNAコートラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、遺伝子銃、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションなど)を使用して適切な宿主細胞に導入され得る。
本発明の核酸組成物は、例えば、ポリペプチドを生成するために、ポリヌクレオチドのさらなるコピーを生成するための生物学的サンプル(例えば、ヒト細胞の抽出物)における本発明のmRNAの検出のためのプローブとして、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを生成するために、および一本鎖DNAプローブとしてまたは三本鎖形成オリゴヌクレオチドとして、使用され得る。本明細書中に記載されるプローブは、例えば、サンプル中の配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29に示されるようなポリヌクレオチド配列、またはそれらの変異体の有無を決定するために使用され得る。これらおよび他の使用法は、以下により詳細に記載される。
(全長cDNA、遺伝子、およびプロモーター領域を獲得するためのポリヌクレオチドの使用)
開示されるポリヌクレオチドを含む全長cDNA分子は、以下のように得られる。配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29のうちの1つの配列を含むか、または少なくとも12、15、18、もしくは20ヌクレオチドヌクレオチドを含むこれらの一部を含むポリヌクレオチドは、プローブ設計方法、クローニング方法、およびクローン選択技術(例えば、米国特許第5,654,173号に記載される技術)を使用して、cDNAライブラリーのハイブリダイズするメンバーを検出するための、ハイブリダイゼーションプローブとして使用される。cDNAのライブラリーは、選択された組織(例えば、正常組織または腫瘍組織)または例えば薬剤で処置された哺乳動物の組織から、作製される。好ましくは、この組織は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドおよびcDNAの両方が発現した遺伝子を表わす場合、本発明のポリヌクレオチドが単離された組織と同じものである。最も好ましくは、このcDNAライブラリーは、本明細書中の実施例において記載される生物学的材料から、作製される。ライブラリー構築のための細胞型の選択は、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコードされるタンパク質の同一性を確認した後に、なされ得る。このことは、どの組織型および細胞型が関連遺伝子を発現する可能性があるか示し、従って、cDNAを生成するためのmRNAに適切な供給源を表す。提供されたポリヌクレオチドがcDNAライブラリーから単離される場合、このライブラリーは、ヒト結腸細胞、より好ましくは、ヒト結腸癌細胞のmRNAから調製され、これらの細胞は、患者組織から獲得され得るか、または例えば、結腸細胞株Km12L4−Aであり得る。
核酸配列ライブラリーの作製およびプローブ化についての技術は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版,(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYに記載される。配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29由来の配列に基づくプライマーを使用することにより、cDNAが調製され得る。1つの実施態様において、このcDNAライブラリーは、ポリアデニル化mRNAのみから作製され得る。従って、ポリTプライマーは、mRNAからcDNAを調製するために使用され得る。
提供されるポリヌクレオチドより大きいライブラリーのメンバー、および好ましくはネイティブメッセージの完全コード配列を含むライブラリーのメンバーが獲得される。cDNAの全体が得られたことを確認するために、RNA保護実験が以下のように実行される。mRNAに対する全長cDNAのハイブリダイゼーションは、RNase分解からRNAを保護する。もしcDNAが全長でないならば、次いでハイブリダイズされないmRNAの部分は、RNase分解に供される。これは、当該分野で公知であるように、ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動の移動度の変化、または放出されるモノリボヌクレオチドの検出によりアッセイされる。Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版,(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY。部分的cDNAの末端に対して5’側のさらなる配列を得るため、5’RACE(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,(1990)Academic Press,Inc.)が実行され得る。
全長cDNAの単離に類似の様式で提供されるポリヌクレオチドを用いて、ゲノムDNAを単離する。手短には、提供されるポリヌクレオチド、またはその一部分は、ゲノムDNAのライブラリーに対するプローブとして使用される。好ましくは、このライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドを生成するために使用された細胞型から得られる。しかし、これは必須ではない。最も好ましくは、このゲノムDNAは、本明細書中の実施例に記載される生物学的材料から得られる。このようなライブラリーは、ゲノムの大きなセグメント(例えば、Sambrookら、9.4−9.30に詳細に記載されるようなP1またはYAC)を運ぶのに適するベクターに存在し得る。さらに、ゲノム配列は、ヒトBACライブラリーから単離され得る。これは、例えば、Research Genetics,Inc.,Huntville,Alabama,USAより市販されている。さらなる5’または3’配列を得るために、Sambrookらに記載されるように、染色体ウォーキングが実行され、その結果、ゲノムDNAの隣接フラグメントおよび重複フラグメントが単離される。これらは、当該分野で公知のように、制限消化酵素およびDNAリガーゼを使用して、マッピングおよび互いにつなぎ合わされる。
本発明のポリヌクレオチド配列を使用して、対応する全長遺伝子が、cDNAライブラリーを構築およびプローブするための古典的な方法およびPCR法の両方を使用して単離され得る。いずれかの方法、好ましくはノーザンブロットを使用して、どの細胞株が最も高いレベルで目的の遺伝子を発現するのかを決定するために、多くの細胞型に関して実行される。cDNAライブラリーを構築する古典的な方法は、Sambrookら(前出)に教示される。これらの方法を用いて、cDNAは、mRNAから作製され得、そしてウイルスベクターまたは発現ベクターに挿入され得る。代表的には、ポリ(A)テイルを含むmRNAのライブラリーは、ポリ(T)プライマーを用いて作製され得る。同様に、cDNAライブラリーは、プライマーとして本発明の配列を使用して、作製され得る。
PCR法は、所望の挿入物を含むcDNAライブラリーのメンバーを増幅するために使用される。この場合、所望の挿入物は、本発明のポリヌクレオチドに対応する全長cDNA由来の配列を含む。このようなPCR法は、遺伝子トラッピングおよびRACE法を含む。遺伝子トラッピングは、cDNAライブラリーのメンバーをベクターに挿入することを必要とする。次いで、このベクターを変性させ、一本鎖分子を生成する。次に、基質結合プローブ(例えば、ビオチン化オリゴ)を、目的のcDNA挿入物をトラップするために使用する。ビオチン化プローブを、アビジン結合固体基質に連結し得る。PCR法を、このトラップしたcDNAを増幅するために使用し得る。全長の遺伝子に対応する配列をトラップするために、標識化プローブ配列は、本発明のポリヌクレオチド配列に基づく。ライブラリーベクターに対して特異的なランダムプライマー(単数または複数)をこのトラップしたcDNAを増幅するために使用し得る。このような遺伝子トラッピング技術は、Gruberら、WO 95/04745およびGruberら、米国特許第5,500,356号に記載される。遺伝子トラッピング実験を実施するためのキットは、例えば、Life Technologies,Gaithersburg,Maryland,USAから市販されている。
「cDNA末端の高速増幅」、すなわちRACEは、多数の異なるRNAからcDNAを増幅するPCR法である。このcDNAを、オリゴヌクレオチドリンカーに連結させ、そして2つのプライマーを用いてPCRによって増幅する。1つのプライマーは、本発明のポリヌクレオチド由来の配列に基づく(このために、全長配列が所望される)。そして第2のプライマーは、cDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドリンカーとハイブリダイズする配列を含む。この方法の記載は、WO 97/19110に報告される。RACEの優先的な実施態様において、共通のプライマーは、cDNA末端に連結された任意のアダプター配列とアニールするよう設計される(ApteおよびSiebert,Biotechniques(1993)15:890−893;Edwardsら、Nuc.Acids Res.(1991):5227−5232)。単一の遺伝子特異的RACEプライマーが、共通のプライマーと対を形成する場合、単一の遺伝子特異的プライマーと共通のプライマーとの間の配列の好ましい増幅が起こる。RACEにおける使用のために改変された市販のcDNAプールが、利用可能である。
別のPCRに基づく方法は、cDNA配列の特定の情報を必要とせず、アンカー末端を有する全長のcDNAライブラリーを生成する。この方法は、ロックドッキングプライマー(I−IV)を使用する。ここで、1つのプライマー、ポリTV(I−III)は、第1鎖合成を生じる真核生物mRNAのポリAテイルをロックし、そして第2のプライマー、ポリGH(IV−VI)は、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)により付加されたポリCテイルをロックする(例えば、WO96/40998を参照のこと)。
遺伝子のプロモーター領域は、一般に、RNAポリメラーゼIIのための開始部位に対して5’に位置する。何百ものプロモーター領域は、「TATA」ボックス(TATTAまたはTATAAのような配列)を含み、これは、変異に対して感受性である。プロモーター領域は、遺伝子のコード領域由来のプライマーを使用する5’RACEを実施することにより獲得され得る。あるいは、cDNAは、ゲノム配列についてのプローブとして使用され得、そしてコード領域に対して5’の領域は「ウォーキングアップ」により同定される。遺伝子が高度に発現されるか、または示差的に発現される場合、この遺伝子由来のプロモーターは、異種遺伝子のための調節構築物において有用であり得る。
一旦、全長cDNAまたは遺伝子が獲得されると、改変体をコードするDNAは、部位特異的変異誘発により調製され得る(Sambrookら、15.3−15.63に詳細に記載される)。置換されるコドンまたはヌクレオチドの選択は、タンパク質の構造および/または機能の変化を達成するためのアミノ酸における必要に応じた変更についての本明細書中の開示に基づき得る。
生物学的材料由来のDNAまたはRNAを得るための代替方法として、本発明の1つ以上のポリヌクレオチドの配列を有するヌクレオチドを含む核酸が、合成され得る。従って、本発明は、1つ以上の生物学的操作(核酸分子の複製および発現を含む)に適した15ヌクレオチド長(配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の1つの少なくとも15連続するヌクレオチドに対応する)から最大長までの範囲の核酸分子を含む。本発明は、(a)完全遺伝子のサイズを有し、かつ配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の少なくとも1つを含む核酸;(b)融合タンパク質の発現を可能にするために作動可能に連結された、少なくとも1つのさらなる遺伝子もまた含む(a)の核酸;(c)(a)または(b)を含む発現ベクター;(d)(a)または(b)を含むプラスミド;および(e)(a)または(b)を含む組換えウイルス粒子、を含むが、これらに限定されない。一旦、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドが提供されれば、(a)〜(e)の構築および調製は、当業者に周知である。
配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の少なくともいずれか1つの、少なくとも15連続するヌクレオチドを含む核酸配列、好ましくは配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の少なくともいずれか1つの全体配列を含む核酸配列は、限定されず、そして、A、T、G、および/またはC(DNA)ならびにA、U、G、および/またはC(RNA)、あるいはそれらの改変された塩基(イノシンおよびプソイドウリジンを含む)の任意の配列であり得る。配列の選択は、所望される機能に依存し、そして所望されるコード領域、所望されるイントロン様領域、および所望される調節領域によって指示され得る。配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29のいずれか1つの全体配列が核酸内に存在する場合、得られる核酸は、本明細書中において配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29のいずれか1つの配列を含むポリヌクレオチドと呼ばれる。
(全長cDNAまたは全長遺伝子によりコードされるポリペプチドの発現)
提供されるポリヌクレオチド(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29のうちの1つの配列を含むポリヌクレオチド)、対応するcDNA、または全長遺伝子は、部分的または完全な遺伝子産物を発現させるために用いられる。配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29の配列を含むポリヌクレオチドの構築物はまた、合成的に作製される。あるいは、多くのオリゴデオキシリボヌクレオチドからの遺伝子およびプラスミド全体の一段階工程アセンブリは、例えば、Stemmerら、Gene(Amsterdam)(1995)164(1)49−53により記載される。この方法において、アセンブリPCR(多くのオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴ)からの長いDNA配列の合成)が記載される。この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer、Nature(1994)370、389−391)に由来し、そしてアセンブリプロセスの間、徐々により長いDNAフラグメントを構築していくためにDNAリガーゼではなく、DNAポリメラーゼに頼る。
適切なヌクレオチド構築物は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor、NYに記載され、そしてUnited States Dept.of HHS、National Institute of Health(NIH)Giudelines for Recombinant DNA Resarfhに記載される標準的な組み換えDNA技術を用いて精製される。本発明のポリヌクレオチドによりコードされる遺伝子産物は、任意の発現系(例えば、細菌系、酵母系、昆虫系、両生類系、および哺乳動物系)において発現される。同じような発現を獲得するためのベクター、宿主細胞、および方法は、当該分野で周知である。適切なベクターおよび宿主細胞は、米国特許第5,564,173号に記載される。
本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、一般的に、ベクター中にこの分子を配置することによって増殖される。ウイルスおよび非ウイルスベクター(プラスミドを含む)が使用される。プラスミドの選択は、増殖が所望される細胞のタイプおよび増殖の目的に依存する。特定のベクターが、大量の所望のDNA配列を増幅および作製するために有用である。他のベクターは、培養中の細胞における発現に適切である。さらなる他のベクターは、全動物またはヒトの細胞における転移および発現のために適切である。適切なベクターの選択は、十分に当該分野の技術の範囲内である。多くのこのようなベクターは、市販されている。所望の配列を含むベクターを調製するための方法は、当該分野で周知である。
配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27、および29に示されるポリヌクレオチドまたはそれらの対応する全長ポリヌクレオチドは、所望の発現特性を得るために適切なように、調節配列に連結される。これらは、プロモーター(センス鎖の5’末端またはアンチセンス鎖の3’末端のいずれかに取り付けられる)、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、およびインデューサーを含み得る。プロモーターは、調節され得るか、または構成性であり得る。いくつかの状況では、条件的活性プロモーター(例えば、組織特異的または発生期特異的プロモーター)を使用することが望ましくあり得る。これらは、ベクターへの連結のために上述の技術を使用して、所望のヌクレオチド配列に連結される。当該分野で公知の任意の技術が用いられ得る。
上記の宿主細胞のいずれか、または他の適切な宿主細胞または生物が、本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製し、そして/または発現させるために用いられる場合、得られた複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または生物の産物として、本発明の範囲内にある。この産物は、当該分野で公知の任意の適切な手段によって回収される。
一旦、選択されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子が同定されると、その発現は、その遺伝子がネイティブである細胞において調節され得る。例えば、細胞の内因性遺伝子は、米国特許第5,641,670号に開示されるように外因性調節配列によって調節され得る。
(公的に入手可能なデータベースに対する遺伝子スクリーニングの機能的および構造的モチーフの同定)
提供されるポリヌクレオチド、cDNA、または完全遺伝子のヌクレオチド配列の翻訳が、個々の既知配列と整列され得る。個々の配列との類似性が、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。また、1つより多い個々の配列との類似性を呈示する配列は、個々の配列のいずれかまたは両方に特徴的な活性を呈示し得る。
最も近い隣接物(neighbor)のポリヌクレオチド配列の全長配列およびフラグメントは、提供されるポリヌクレオチドに対応する全長配列を同定および単離するためのプローブおよびプライマーとして使用され得る。最も近い隣接物は、提供されたポリヌクレオチドに対応する全長配列のためのライブラリーを構築するために使用され得る組織または細胞型を示し得る。
代表的には、選択されたポリヌクレオチドは、個々の配列との最良の整列を決定するために、6つ全てのフレームで翻訳される。配列表において本明細書中に開示された配列は、5’から3’への方向であり、そして3つのフレームでの翻訳は十分であり得る(実施例に記載のような少数の特定の例外はあるが)。これらのアミノ酸配列を、一般に、「問い合わせ配列」と称し、これは、個々の配列と整列される。個々の配列を有するデータベースは、「Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis」 Methods in Enzymology(1996)266、Doolittle、Academic Press,Inc.a division of Harcourt Brace & Co.,San Diego、California、USAに記載されている。データベースとしては、Genbank、EMBL、およびDNA Database of Japan(DDBJ)が挙げられる。
問い合わせ配列および個々の配列は、上記の方法およびコンピュータプログラムを用いて整列され得、そしてBLAST2.0(ワールドワイドウェブhttp://ww.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において利用可能)を含む。Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402もまた参照のこと。別の整列アルゴリズムは、Fasta(Genetics Computing Group(GCG)パッケージ、Madison、Wisconsin、USA(Oxford Molecular Group、Inc.の完全所有子会社)において利用可能)である。整列のための他の技術は、Doolittle、前出に記載される。好ましくは、配列中のギャップを可能にする整列プログラムが、配列を整列させるために利用される。Smith−Watermanは、配列整列中のギャップを可能にするアルゴリズムの1つの型である。Meth.Mol.Biol.(1997)70:173−187を参照のこと。また、NeedlemanおよびWunsch整列法を用いるGAPプログラムが、配列を整列させるために利用され得る。
代替の検索ストラテジーは、MPSRCHソフトウェアを使用する。これは、MASPARコンピューターで実行する。MPSRCHは、大規模なパラレルコンピューターにおいて配列をスコア付けするためにSmith−Watermanアルゴリズムを使用する。このアプローチは、遠縁に関連付けられた適合である配列を同定する能力を改善し、そして小さなギャップおよびヌクレオチド配列誤差に特に寛容である。提供されるポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列は、タンパク質データベースおよびDNAデータベースの両方を検索するために使用され得る。任意のDNAまたはタンパク質配列データベース(特許データベース(例えば、GeneSeqを含む)により本出願の出願日の時点で公開されている全ての配列は、本明細書中で参考として援用される。本出願の出願日の時点でこれらのデータベースに提出されているが、本出願の出願日の後まで公開されていない配列もまた、参考として援用される。
個々の配列および問い合わせ配列の整列の結果は、3つのカテゴリー:高類似性、低類似性、および類似性なし、に分けられ得る。高類似性から低類似性までの範囲の個々の整列結果は、ポリペプチド活性および/または構造を決定するための基礎を提供する。個々の結果を分類するためのパラメーターは、以下を含む:最も強い整列が見出される整列領域長の百分率、配列同一性パーセント、およびp値。整列領域長の百分率は、最も強い整列の領域(例えば、整列した問い合わせ配列の対応する領域の残基と同一である残基の最も多くの数を含む個々の配列の連続的な領域)において見出される個々の配列の残基の数を計数することによって算定される。この数を、問い合わせ配列の全残基長で割って、百分率を算定する。例えば、20アミノ酸残基の問い合わせ配列を、個々の配列の20アミノ酸領域と整列し得る。個々の配列は、問い合わせ配列のアミノ酸残基5、9〜15、および17〜19に同一であり得る。従って、最も強い整列の領域は、残基9〜19に伸長する領域である11アミノ酸ストレッチである。整列領域長の百分率は、以下の通りである:11(最も強い整列の領域の長さ)÷20(問い合わせ配列の長さ)、すなわち55%。
パーセント配列同一性は、問い合わせ配列と個々の配列との間のアミノ酸適合の数を計数し、そして適合の総数を最も強い整列の領域において見出される個々の配列の残基の数で割ることによって算定される。従って、上記の例におけるパーセント同一性は、10適合を11アミノ酸で割ったもの、すなわち約90.9%である。
p値は、整列が偶然に生じた確率である。単整列については、p値は、Karlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1990)87:2264およびKarlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1993)90に従って算定され得る。同じ問い合わせ配列を用いる多重整列のp値は、Altschulら、Nat.Genet.(1994)6:119に記載の発見的アプローチを用いて算定され得る。BLASTプログラムのような整列プログラムがp値を算定し得る。Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402もまた参照のこと。
同一性または類似性を決定することについて考慮する別の要因は、類似性または同一性の位置である。強い局部的な整列は、たとえ整列の長さが短かったとしても、類似性を示し得る。問い合わせ配列の長さ全体にわたって分散された配列の同一性もまた、問い合わせ配列とプロフィール配列との間で類似性を示し得る。配列が整列する領域の境界は、Doolittle、前出;BLAST2.0(例えば、Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402もまた参照のこと)もしくはFASTプログラムに従って;または配列同一性が最も高い領域を決定することによって、決定され得る。
(高類似性)
一般に、高類似性であるとみなされる整列結果において、整列領域長のパーセントは、代表的には、問い合わせ配列の全長の少なくとも約55%;より代表的には、少なくとも約58%;さらにより代表的には、問い合わせ配列の全残基長の少なくとも約60%である。通常、整列領域の長さのパーセントは、約62%程度の多さ;より通常には、約64%程度の多さ;さらにより通常には、約66%程度の多さであり得る。さらに、高類似性について、整列の領域は、代表的には、少なくとも約75%の配列同一性;より代表的には、少なくとも約78%;さらにより代表的には、少なくとも約80%の配列同一性を示す。通常、配列同一性パーセントは、約82%程度の多さ;より通常には、約84%程度の多さ;さらにより通常には、約86%程度であり得る。
p値は、これらの方法と併用して使用される。高類似性が見出された場合、p値が約10−2以下であり;より通常には、約10−3以下であり;さらにより通常には、約10−4以下であるとき、問い合わせ配列は、プロフィール配列と高い類似性を有するとみなされる。より代表的には、問い合わせ配列が類似性が高いとみなされるには、p値は、約10−5を超えず;より代表的には、約10−10以下であり;さらにより代表的には、約10−15以下である。
(低類似性)
一般に、整列結果が低類似性であるとみなされる場合、整列領域の長さの最少のパーセントも、整列の最少の長さも存在しない。整列の領域が、代表的には、少なくとも約15アミノ酸残基長;より代表的には、少なくとも約20;さらにより代表的には、少なくとも約25アミノ酸残基長であるとき、低類似性をより良好に示すとみなされる。通常、整列領域の長さは、約30アミノ酸残基程度の多さ;より通常には、約40程度の多さ;さらにより通常には、約60アミノ酸残基程度の多さであり得る。さらに、低類似性について、整列の領域は、代表的には、少なくとも約35%の配列同一性;より代表的には、少なくとも約40%;さらにより代表的には、少なくとも約45%の配列同一性を示す。通常、パーセント配列同一性は、約50%程度の多さ;より通常には、約55%程度の多さ;さらにより通常には、約60%程度の多さであり得る。
低類似性が見出された場合、p値が通常約10−2以下であり;より通常には、約10−3以下であり;さらにより通常には、約10−4以下であるとき、問い合わせ配列は、プロフィール配列との低類似性を有するとみなされる。より代表的には、問い合わせ配列が低類似性であるとみなされるには、p値は、約10−5を超えず;より代表的には、約10−10以下であり;さらにより代表的には、約10−15以下である。
(配列同一性のみにより決定された類似性)
配列同一性は、単独で、個々の配列に対する問い合わせ配列の類似性を決定するために使用され得、そして配列の活性を示し得る。このような整列は、好ましくは、配列を整列するためにギャップを許容する。代表的には、問い合わせ配列は、問い合わせ配列全体にわたる配列同一性が、少なくとも約15%;より代表的には、少なくとも約20%;さらにより代表的には、少なくとも約25%;さらにより代表的には、少なくとも約50%である場合、プロフィール配列に関連する。単独での類似性の尺度としての配列同一性は、問い合わせ配列が、通常、少なくとも80残基長;より通常には90残基;さらにより通常には、95アミノ酸残基長であるとき、最も有用である。より代表的には、問い合わせ配列が、好ましくは100残基長;より好ましくは120残基長;さらにより好ましくは、150アミノ酸残基長であるとき、配列同一性のみに基づいて、類似性が決定され得る。
(プロフィールおよび多重整列配列との整列)
提供されるポリヌクレオチドの翻訳は、タンパク質ファミリーまたは共通モチーフのいずれかを規定するアミノ酸プロフィールと整列され得る。また、提供されるポリヌクレオチドの翻訳は、タンパク質ファミリーまたはモチーフのメンバーのポリペプチド配列を含む多重配列整列(MSA)に対して整列され得る。プロフィール配列またはMSAとの類似性または同一性は、提供されるポリヌクレオチドまたは対応するcDNAもしくは遺伝子によりコードされる遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)の活性を決定するために使用され得る。例えば、ケモカインプロフィールまたはMSAとの同一性または類似性を示す配列は、ケモカイン活性を示し得る。
プロフィールは、(1)MSA(このファミリーに属するメンバーのアミノ酸配列の整列である)を作製し、そして(2)整列の統計的表示を作成することによって、手動で設計され得る。このような方法は、例えば、Birneyら、Nucl.Acid Res.(1996)24(14):2730−2739において記載される。いくつかのタンパク質ファミリーおよびモチーフのMSAは、公的に入手可能である。例えば、http://genome.wust1.edu/Pfam/は、547の異なるファミリーおよびモチーフのMSAを含む。これらのMSAは、Sonnhammerら、Proteins(1997)28:405−420にも記載される。ワールドワイドウェブ上の他の供給源として、http://www.embl−heidelberg.de/argos/ali/ali.htm1のサイトが挙げられる;あるいは、メッセージが、情報のためにALI@EMBL−HEIDELBERG.DEに送られ得る。これらのMSAの簡単な説明は、Pascarellaら、Prot.Eng.(1996)9(3):249−251に報告されている。MSAからのプロフィール構築のための技術は、Sonnhammerら、前出;Birneyら、前出;および「Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis」Methods in Enzymology(1996)266、Doolittle、Academic Press,Inc.、San Diego、California、USAに記載されている。
問合せ配列とタンパク質ファミリーもしくはモチーフとの間の類似性は、(a)プロフィールに対して問合せ配列を比較することによって、および/または(b)問合せ配列をファミリーもしくはモチーフのメンバーと整列することによって、決定され得る。代表的に、Searchwiseのようなプログラムが、プロフィールとしてもまた知られる複数の整列の統計学的関係に対して問合せ配列を比較するために使用される(Birneyら、前出を参照のこと)。配列およびプロフィールを比較するための他の技術は、Sonnhammerら、前出およびDoolittle、前出に記載される。
次に、Fengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351およびHigginsら、CABIOS(1989)5:151によって記載される方法が、問合せ配列を、MSAとしてもまた知られるファミリーまたはモチーフのメンバーとを整列するために使用され得る。配列整列は、任意の多様なソフトウェアツールを使用して作成され得る。例としては、PileUPが挙げられ、これは、複数の配列整列を作成し、そしてFengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351に記載される。別の方法のGAPは、Needlemanら、J.Mol.Biol.(1970)48:443の整列法を使用する。GAPは、配列の全体の整列に最も良好に適している。第3の方法のBestFitは、Smithら、Adv.Appl.Math.(1981)2:482の局所的な(local)相同性アルゴリズムを使用して一致する数を最大にするようにギャップを挿入することによって機能する。一般に、問合せ配列とプロフィールまたはMSAとの間に類似性が存在するか否かを決定するために以下の因子が使用される:(1)問合せ配列において見出される保存された残基の数、(2)問合せ配列において見出される保存された残基のパーセント、(3)フレームシフトの数、および(4)保存された残基間のスペーシング。
配列の翻訳および整列の両方を行ういくつかの整列プログラムが、最も良好な整列を生成するようにヌクレオチド配列を翻訳する場合に、任意の数のフレームシフトを作成し得る。整列を作成するために必要とされるフレームシフトが少ないほど、問合せ配列とプロフィールまたはMSAとの間の類似性または同一性は強い。例えば、フレームシフトなしから生じる弱い類似性は、2つのフレームシフトから生じる強力な類似性よりも、問合せ配列の活性または構造をよりよく示し得る。好ましくは、3つ以下のフレームシフトが、整列において見出され;より好ましくは2つ以下のフレームシフト;さらにより好ましくは、1つ以下のフレームシフト;さらにより好ましくはフレームシフトなしが、問合せ配列とプロフィールまたはMSAとの整列において見出される。
保存された残基は、ファミリーまたはモチーフのメンバーの全てまたはいくつかにおいて特定の位置で見出されるアミノ酸である。あるいは、ある位置が、アミノ酸の特定のクラスのみがファミリーメンバーの全てまたはいくつかにおいて特定の位置で見出される場合、保存されていると考えられる。例えば、N末端の位置は、リジン、アルギニン、またはヒスチジンのような正に荷電されたアミノ酸を含み得る。
代表的に、ポリペプチドの残基は、アミノ酸または単一のアミノ酸のクラスが、全てのクラスメンバーのうちの少なくとも約40%;より代表的に、少なくとも約50%;さらにより代表的に、メンバーのうちの少なくとも約60%において、特定の位置で見出される場合に、保存されている。通常、残基は、クラスまたは単一のアミノ酸がファミリーまたはモチーフのメンバーのうちの少なくとも約70%;より通常、少なくとも約80%;さらにより通常、少なくとも約90%;さらにより通常、少なくとも約95%において見出される場合に、保存されている。
残基は、3つの非関連のアミノ酸;より通常、2つの非関連のアミノ酸が、メンバーのうちのいくつかまたは全てにおいて特定の位置で見出される場合に、保存されていると考えられる。これらの残基は、非関連のアミノ酸が、全てのクラスのメンバーのうちの少なくとも約40%;より代表的に、少なくとも約50%;さらにより代表的に、メンバーのうちの少なくとも約60%において、特定の位置で見出される場合に、保存されている。通常、残基は、クラスまたは単一のアミノ酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーのうちの少なくとも約70%;より通常、少なくとも約80%;さらにより通常、少なくとも約90%;さらにより通常、少なくと約95%において見出される場合に、保存されている。
問合せ配列が、プロフィールまたはMSAの保存された残基のうちの少なくとも約25%;より通常、少なくとも約30%;さらにより通常;少なくとも40%を含む場合に、この問合せ配列は、プロフィールまたはMSAに対して類似性を有する。代表的に、問合せ配列が、プロフィールまたはMSAの保存された残基のうちの少なくとも約45%;より代表的に、少なくとも約50%;さらにより代表的に;少なくとも約55%を含む場合に、この問合せ配列は、プロフィール配列またはMSAにより強い類似性を有する。
(分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドの同定)
本発明の分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドの両方は、特に重要である。例えば、分泌ポリペプチドのレベルは、都合のよい体液(例えば、血液、血漿、血清、ならびに尿、前立腺液および精液のような他の体液)においてアッセイされ得る。膜結合ポリペプチドは、ワクチン抗原を構築するためか、または免疫応答を誘発するために有用である。このような抗原は、膜結合ポリペプチドの細胞外領域の全てまたは部分を含む。分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドの両方は、連続する疎水性アミノ酸のフラグメントを含むので、疎水性を予測するアルゴリズムが、このようなポリペプチドを同定するために使用され得る。
シグナル配列は通常、細胞の表面にポリペプチドを指向させるために、分泌ポリペプチド遺伝子および膜結合ポリペプチド遺伝子の両方によってコードされる。シグナル配列は、通常、疎水性残基のストレッチを含む。このようなシグナル配列は、らせん構造に折畳まれ得る。膜結合ポリペプチドは代表的に、膜を横切り得る疎水性アミノ酸のストレッチを保有する少なくとも1つの膜貫通領域を含む。いくつかの膜貫通領域はまた、らせん構造を示す。ポリペプチド内の疎水性フラグメントは、コンピュータアルゴリズムを使用することによって同定され得る。このようなアルゴリズムとしては、HoppおよびWoods、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1981)78:3824−3828;KyteおよびDoolittle、J.Mol.Biol.(1982)157:105−132;およびRAOARアルゴリズム、Degli Espostiら、Eur.J.Biochem.(1990)190:207−219が挙げられる。
分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドを同定する別の方法は、全部で6フレームにおいて本発明のポリヌクレオチドを翻訳し、そして少なくとも8個の連続する疎水性アミノ酸が存在するか否かを決定することである。少なくとも8個の;より代表的には、10個の;さらにより代表的には、12個の連続する疎水性アミノ酸を有するこれらの翻訳されたポリペプチドは、推定の分泌ポリペプチドまたは膜結合ポリペプチドのいずれかであると考えられる。疎水性アミノ酸としては、アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが挙げられる。
(全長遺伝子の発現産物の機能の同定)
リボザイム、アンチセンス構築物、および優性のネガティブ変異体が、本明細書中で提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現産物の機能を決定するために使用され得、そして本明細書中に記載されるポリペプチドに対応する遺伝子によりコードされる機能的遺伝子産物の産生阻害にさらに使用され得る。このコードされた遺伝子産物の機能的特徴において、アンチセンス、リボザイムおよび/または優性のネガティブ変異体の使用は、提供されるポリヌクレオチドが公知の機能の遺伝子をコードする配列に有意または実質的な相同性を示さない場合に特に有用である。
アンチセンス分子およびリボザイムは、合成ポリヌクレオチドから構築され得る。代表的に、オリゴヌクレオチド合成のホスホルアミダイト法が使用される。Beaucageら、Tet.Lett.(1981)22:1859および米国特許第4,668,777号を参照のこと。合成のための自動装置が、この化学を使用してオリゴヌクレオチドを生成するために利用可能である。このような装置の例としては、Applied Biosystems a division of Perkin−Elmer Corp.,Foster City,California,USAによるBiosearch 8600,モデル392およびモデル394;ならびにPerceptive Biosystems、Framingham、Massachusetts、USAによるExpediteが挙げられる。合成RNA、リン酸アナログオリゴヌクレオチド、および化学的に誘導体化されたオリゴヌクレオチドもまた生成され得、そして他の分子に共有結合的に付着され得る。RNAオリゴヌクレオチドが、例えば、RNAホスホルアミダイトを使用して合成され得る。この方法は、Applied Biosystems、モデル392およびモデル394(Foster City、California USA)のような自動合成機において行われ得る。
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドもまた、アンチセンス構築のために合成され得る。硫化試薬(例えば、アセトニトリル中のテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)が、室温で15分間以内でヌクレオチド間のシアノエチル亜リン酸エステルをホスホロチオエートトリエステルに変換するために使用され得る。TETDは、インドール試薬に置き換わるが、標準的なホスホルアミダイト化学に使用される他の試薬の全ては同じままである。このような合成法は、例えば、Applied Biosystems、モデル392およびモデル394を使用して自動化され得る。
200ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチド、より代表的に、100ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチド、より代表的に50ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチド;さらにより代表的に30〜40ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドが合成され得る。これらの合成フラグメントは、より大きなフラグメントを構築するためにアニールされ得、そして互いに連結され得る。例えば、Sambrookら、前出を参照のこと。トランス切断型触媒RNA(リボザイム)は、エンドリボヌクレアーゼ活性を保有するRNA分子である。リボザイムは、特定の標的に特異的に設計され、そして標的メッセージは特定のヌクレオチド配列を含まなければならない。これらは、細胞性RNAのバックグラウンドにおいて、任意のRNA種を部位特異的に切断するように操作される。切断事象は、mRNAを不安定にし、そしてタンパク質発現を妨げる。重要なことに、リボザイムは、インビトロまたはインビボの状況におけるその機能を、表現型効果を検出することによって決定する目的で、その機能の遺伝子の発現を阻害するために使用され得る。1つの一般に使用されるリボザイムモチーフはハンマーヘッドであり、これについての基質配列要件は極わずかである。ハンマーヘッドリボザイムの設計、ならびにリボザイムの治療用途は、Usmanら、Current Opin.Struct.Biol.(1996)6:527に開示される。リボザイム(ヘパリン構造のリボザイムフラグメントを含む)の生成のための方法、リボザイム特異性を増加する方法などは、当該分野において公知である。
リボザイムのハイブリダイズ領域は、HornおよびUrdea、Nucleic Acids Res.(1989)17:6959に記載されるように改変され得るか、または分枝構造として調製され得る。リボザイムの基本的な構造はまた、当業者によく知られる方法で化学的に変化され得、そして化学的に合成されたリボザイムは、モノマー単位で修飾される合成オリゴヌクレオチド誘導体として投与され得る。治療学的状況において、リボザイムのリポソーム媒介送達は、Birikhら、Eur.J.Biochem.(1997)245:1に記載されるように、細胞取込みを改善する。
アンチセンス核酸は、RNAに特異的に結合するように設計され、RNA−DNAまたはRNA−RNAハイブリッドの形成を生じ、DNAの複製、逆転写、またはメッセンジャーRNAの翻訳の停止を伴う。選択されたポリヌクレオチド配列に基づくアンチセンスポリヌクレオチドは、対応する遺伝子の発現を妨げ得る。アンチセンスポリヌクレオチドは代表的に、転写された鎖としてアンチセンス鎖を含むアンチセンス構築物からの発現によって細胞内に産生される。開示されるポリヌクレオチドに基づくアンチセンスポリヌクレオチドは、アンチセンスポリヌクレオチドに相補的な配列を含むmRNAを結合し、そして/またはその翻訳を妨げる。コントロール細胞およびアンチセンス構築物で処理された細胞の発現産物は、そのアンチセンス構築物が基づいているポリヌクレオチドに対応する遺伝子のタンパク質産物を検出するために比較される。このタンパク質は、慣用的な生化学的方法を使用して単離され、そして同定される。
広範な背景文献およびアンチセンス治療における臨床経験を考慮して、当業者は、さらなる潜在的な治療薬として本発明の選択されたポリヌクレオチドを使用し得る。ポリヌクレオチドの選択は、癌性結腸細胞のゲノムの「ホットスポット」領域への結合について、先ずそれらを試験することによって絞られ得る。ポリヌクレオチドが「ホットスポット」に結合すると同定される場合、対応する結腸癌細胞においてこのポリヌクレオチドをアンチセンス化合物として試験することが保証される。
本明細書中に開示されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の機能を同定するための代替の方法として、優性のネガティブな変異が、ホモマルチマーとして活性である対応するタンパク質について容易に作成される。変異体ポリペプチドは、野生型ポリペプチド(他方の対立遺伝子から作成される)と相互作用し、そして非機能的なマルチマーを形成する。従って、変異は、基質結合ドメイン、触媒ドメイン、または細胞局在ドメインにおける変異である。好ましくは、変異体ポリペプチドは過剰産生される。このような効果を有する点変異が作成される。さらに、タンパク質の末端に対して種々の長さの異なるポリペプチドの融合は、優性のネガティブな変異体を生じ得る。一般的なストラテジーが、優性のネガティブな変異体を作成するために利用可能である(例えば、Herskowitz、Nature(1987)329:219を参照のこと)。このような技術は、タンパク質の機能を決定するために有用である機能喪失の変異を作成するために使用され得る。
(ポリペプチドおよびそれらの改変体)
本発明のポリペプチドは、開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、および遺伝子コードの縮重により、開示されるポリヌクレオチドに対する配列が同一でない核酸によってコードされるポリペプチドを含む。従って、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のいずれか1つの配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドまたはその改変体を本発明の範囲内に含む。本明細書中に記載されるポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームによってコードされる例示的なポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、14、17、19、21、23、25および28を含む。
一般に、本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、引用されるポリヌクレオチドによってコードされる全長のポリペプチド、引用されるポリヌクレオチドによって示される遺伝子によってコードされるポリペプチドの両方、ならびにそれらの部分またはフラグメントをいう。「ポリペプチド」はまた、天然に存在するタンパク質の改変体を含み、ここではこのような改変体は、天然に存在するタンパク質に相同であるかまたは実質的に類似し、そして天然に存在するタンパク質と同じまたは異なる種(例えば、ヒト、マウス、または引用されるポリペプチドを天然に発現するいくつかの他の種、通常、哺乳動物種)の起源であり得る。一般に、改変体ポリペプチドは、上記のパラメーターを使用してBLAST 2.0によって測定されるように、本発明の差次的に発現されるポリペプチドと、少なくとも約80%、通常少なくとも約90%、およびより通常少なくとも約98%の配列同一性を有する配列を有する。改変体ポリペプチドは、天然にグリコシル化されるか、または非天然にグリコシル化される(すなわち、ポリペプチドは、対応する天然に存在するタンパク質において見出されるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する)。
本発明はまた、開示されたポリペプチドのホモログ(またはそれらのフラグメント)を含み、ここでこのホモログは、他の種(すなわち、他の動物または植物種)から単離され、このようなホモログは通常、哺乳動物種(例えば、マウス、ラットのようなげっ歯類:家畜(例えば、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ);およびヒトである。「ホモログ」とは、上述で同定されるような特定の差次的に発現されるタンパク質に対して、少なくとも約35%、通常少なくとも約40%、およびより通常少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを意味し、ここでは配列同一性は、前出に記載されるパラメーターを用いるBLAST 2.0アルゴリズムを使用して決定される。
一般に、本発明のポリペプチドは、天然に存在しない環境において提供され、例えば、それらの天然に存在する環境から分離されている。特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、コントロールと比較してそのタンパク質について富化された組成物中に存在する。それ自体、精製されたポリペプチドが提供され、ここでは精製されたとは、タンパク質が非示差的に発現されたポリペプチドが実質的にない組成物中に存在することを意味し、ここで「実質的にない」とは、その組成物の90%未満、通常60%未満、およびより通常50%未満が、非示差的に発現されるポリペプチドから構成されることを意味する。
また本発明の範囲内にあるのは、改変体であり;ポリペプチドの改変体は、変異体、フラグメント、および融合物を含む。変異体は、アミノ酸の置換、付加、または欠失を含む。アミノ酸の置換は、保存的なアミノ酸の置換、または非必須アミノ酸を排除するため(例えば、グリコシル化部位、リン酸化部位、もしくはアセチル化部位を変化させるため)か、または機能について必須ではない1つ以上のシステイン残基の置換または欠失によって誤った折畳みを最小にするための置換であり得る。保存的なアミノ酸の置換は、全体的な電荷、疎水性/親水性、および/または置換されるアミノ酸の立体的なバルクを保存する置換である。
改変体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能的ドメインおよび/または、ポリペプチドがタンパク質ファミリーのメンバーである場合、コンセンサス配列と関連する領域)の増強された生物学的活性を、保持するかまたは有するように設計され得る。改変体の生成についてのアミノ酸変化の選択は、アミノ酸の接近可能性(内部対外部)(例えば、Goら、Int.J.Peptide Protein Res.(1980)15:211を参照のこと)、改変体ポリペプチドの熱安定性(例えば、Querolら、Prot.Eng.(1996)9:265を参照のこと)、所望のグリコシル化部位(例えば、OlsenおよびThomsen、J.Gen.Microbiol.(1991)137:579を参照のこと)、所望のジスルフィド架橋(例えば、Clarkeら、Biochemistry(1993)32:4322;およびWakarchukら、Protein Eng.(1994)7:1379を参照のこと)、所望の金属結合部位(例えば、Tomaら、Biochemistry(1991)30:97、およびHaezerbrouckら、Protein Eng.(1993)6:643)、ならびにプロリンループ内での所望の置換(例えば、Masulら、Appl.Env.Microbiol.(1994)60:3579)に基づき得る。システイン欠乏させたムテインは、米国特許第4,959,314号に記載されるように産生され得る。
改変体はまた、本明細書中に開示されるポリペプチドのフラグメント、特に生物学的に活性なフラグメントおよび/または機能的ドメインに対応するフラグメントを含む。目的のフラグメントは代表的に、少なくとも約10アミノ酸長から少なくとも約15アミノ酸長、通常少なくとも約50アミノ酸長であり、そして300アミノ酸長またはそれよりも長くあり得るが、通常約1000アミノ酸長を超えず、ここではフラグメントは、任意の配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の配列を含むポリヌクレオチドまたはそれらのホモログによってコードされるポリペプチドに同一であるアミノ酸のストレッチを有する。本明細書中に記載されるタンパク質改変体は、本発明の範囲内であるポリヌクレオチドによってコードされる。遺伝子コードは、対応する改変体を構築するために適切なコドンを選択するために使用され得る。
(コンピューターに関連する実施形態)
一般に、ポリヌクレオチドのライブラリーは、配列情報のコレクションであり、その情報は、生化学的形態において(例えば、ポリヌクレオチド分子のコレクションとして)、または電気的形態において(例えば、コンピューター読み出し可能な形態で記憶されているポリヌクレオチド配列のコレクションとして、コンピュータシステムとして、および/またはコンピュータプログラムの部分として)のいずれかで提供される。ポリヌクレオチドの配列情報は、例えば、遺伝子発見のための資源として、選択された細胞型において発現される配列の表示として(例えば、細胞型のマーカー)、および/または所与の疾患もしくは疾患状態のマーカーとして、多様な方法において使用され得る。一般に、疾患マーカーは、正常細胞(例えば、疾患によって実質的に影響されない同じ型または類似の型の細胞)に比べて上昇されたレベルまたは減少されたレベルのいずれかで、疾患によって影響される全ての細胞に存在する遺伝子産物の表示である。例えば、ライブラリーにおけるポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドによってコードされるmRNA、ポリペプチド、または他の遺伝子産物を示すポリヌクレオチドであり得、正常な(すなわち、実質的に疾患のない)結腸細胞に比べて、癌によって影響される結腸細胞において過剰発現されるかまたは抑制発現されるかのいずれかである。
ライブラリーのヌクレオチド配列情報は、任意の適切な形態(例えば、電気的形態または生化学的形態)において具体化され得る。例えば、電気的形態において具体化される配列情報のライブラリーは、例えば、i)癌性結腸細胞と正常結腸細胞との間で;ii)癌性結腸細胞と形成異常結腸細胞との間で;iii)癌性結腸細胞と癌以外の疾患もしくは状態によって影響される細胞との間で;iv)転移性の癌性結腸細胞と正常結腸細胞および/もしくは非転移性の癌性結腸細胞との間で;v)悪性癌性結腸細胞と非悪性の癌性結腸細胞(もしくは正常結腸細胞)との間で、ならびに/またはvi)正常結腸細胞に関連した形成異常結腸細胞で、示差的に発現される(例えば、過剰発現されるまたは抑制発現される)遺伝子の代表的なヌクレオチド配列を含む、アクセス可能なコンピュータデータファイルを含む(または生化学的形態において、核酸分子のコレクション)。種々の疾患または疾患の段階によって影響される結腸細胞の他の組み合わせおよび比較は、当業者に容易に明らかである。ライブラリーの生化学的実施態様は、ライブラリー中に遺伝子の配列を有する核酸のコレクションを含み、ここで核酸は、以下により詳細に記載されるように、ライブラリー中の遺伝子全体またはそのフラグメントに対応し得る。
本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、一般に、複数のポリヌクレオチド配列の配列情報を含み、ここで、少なくとも1つのポリヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のいずれかの配列を含む。複数とは、少なくとも2つ、通常少なくとも3つを意味し、そして配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の全てまでを含み得る。ライブラリー中のポリヌクレオチドの長さおよび数は、例えば、ライブラリーがオリゴヌクレオチドアレイ、cDNAアレイ、配列情報のコンピュータデータベースなどであるかどうかで、ライブラリーの性質とともに変化する。
ライブラリーが電子ライブラリーである場合、核酸配列情報は、多様な媒体中に存在し得る。「媒体」は、本発明の配列情報を含む、単離された核酸分子以外の製造物をいう。このような製造物は、核酸中に存在するようには配列に直接適用可能でない手段によって試験され得る形態において、ゲノム配列またはそのサブセットを提供する。例えば、本発明のヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のポリヌクレオチドのいずれかの核酸配列)は、コンピューター読み出し可能な媒体(例えば、コンピューターによって直接的に読み取られてアクセスされ得る任意の媒体)に記録され得る。このような媒体としては:磁気記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ):光記憶媒体(例えば、CD−ROM);電子記憶媒体(例えば、RAMおよびROM);ならびにこれらのカテゴリーのハイブリッド(例えば、磁気/光記憶媒体)が挙げられるが、これらに制限されない。
当業者は、現在公知の任意のコンピューター読み出し可能などのような媒体が、本発明の配列情報の記録を含む製造物を作製するために使用され得るかを容易に理解し得る。「記録される」とは、当該分野において公知であるような任意の方法を使用して、コンピューター読み出し可能な媒体に情報を記憶するためのプロセスをいう。任意の便利なデータ記憶構造が、記憶されている情報にアクセスするために使用される手段に基づいて選択され得る。多様なデータプロセッサープログラムおよびフォーマットが、記憶のために使用され得る(例えば、ワードプロセッシングテキストファイル、データベースフォーマットなど)。配列情報に加えて、本発明のライブラリーの電子バージョンは、他のコンピューター読み出し可能な情報および/または他の型のコンピューター読み出し可能なファイル(例えば、検索可能なファイル、実行可能なファイルなど(例えば、検索プログラムソフトウェアなどを含むがこれに制限されない))と組み合わせてまたはそれとともに提供され得る。
コンピューター読み出し可能な形態においてヌクレオチド配列を提供することによって、情報は多様な目的のためにアクセスされ得る。配列情報にアクセスするためのコンピュータソフトウェアは、公的に利用可能である。例えば、Sybaseシステムにおけるギャップ化BLAST(Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402)検索アルゴリズムおよびBLAZE(Brutlagら、Comp.Chem.(1993)17:203)検索アルゴリズムが、他の生物体からのオープンリーディングフレーム(ORF)に対する相同性を含むゲノム内にORFを同定するために使用され得る。
本明細書中で使用される場合、「コンピュータベースのシステム」は本発明のヌクレオチド配列情報を分析するために使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ記憶手段をいう。本発明のコンピュータベースのシステムの最小のハードウェアは、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ記憶手段を備える。当業者は、現在利用可能なコンピュータベースのシステムのいずれか1つが、本発明における使用に適切であることを容易に理解し得る。データ記憶手段は、上記のような本発明の配列情報の記録を含む任意の製造物、またはこのような製造物にアクセスし得るメモリアクセス手段を含み得る。
「検索手段」とは、標的配列もしくは標的構造モチーフ、またはサンプル中のポリヌクレオチドの発現レベルを、記憶されている配列情報と比較するための、コンピュータベースのシステムにおいて実行される1つ以上のプログラムをいう。検索手段は、特定の標的配列または標的モチーフと一致するゲノムのフラグメントまたは領域を同定するために使用され得る。多様な公知のアルゴリズムが、公的に公知であり、そして市販されている(例えば、MacPattern(EMBL)、BLASTN、およびBLASTX(NCBI))。「標的配列」は、6個以上の連続するヌクレオチドまたは2つ以上のアミノ酸の任意のポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列、好ましくは約10〜100個のアミノ酸、または約30〜300ntであり得る。多様な比較手段を使用して、データ記憶手段を用いる、サンプルからの配列情報の比較を達成し得る(例えば、標的配列、標的モチーフ、または相対的な発現レベルを分析し得る)。当業者は、公的に利用可能な相同性検索プログラムのいずれか一つが、標的配列およびモチーフの比較を達成するために、本発明のコンピュータベースのシステムについての検索手段として使用され得ることを容易に認識し得る。サンプル中およびコントロール中の発現レベルを分析するためのコンピュータプログラムもまた、当該分野において公知である。
「標的構造モチーフ」または「標的モチーフ」は、合理的に選択される任意の配列または配列の組み合わせをいい、ここで配列は、標的モチーフの折畳みの際に形成される三次元立体構造に基づいてか、または調節部位もしくは活性部位のコンセンサス配列に基づいて選択される。当該分野で公知である多様な標的モチーフが存在する。タンパク質標的モチーフは、酵素活性部位およびシグナル配列を含むが、これらに制限されない。核酸標的モチーフは、ヘアピン構造、プロモーター配列、および転写因子についての結合部位のような他の発現エレメントを含むが、これらに制限されない。
入力手段および出力手段についての多様な構造フォーマットが、本発明のコンピュータベースのシステムにおいて情報を入力および出力するために使用され得る。出力手段についての1つのフォーマットは、異なるポリヌクレオチドの相対的な発現レベルを評価する。このような提示は、当業者に遺伝子発現プロフィールを決定するための相対的な発現レベルの格付を提供する。
上述で考察されるように、本発明の「ライブラリー」はまた、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29のポリヌクレオチドの生化学的ライブラリー(例えば、提供されるポリヌクレオチドを表す核酸のコレクション)を含む。生化学的ライブラリーは、種々の形態(例えば、cDNAの溶液、固体支持体の表面と安定に会合されるプローブ核酸のパターン(すなわち、アレイ)など)を採り得る。特に興味深いのは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29の1つ以上がアレイにおいて表される核酸アレイである。アレイとは、基板の表面の1つに少なくとも2つの異なる核酸標的を有する、少なくとも1つの基板を有する製造物の物品を意味し、ここで、異なる核酸の数は、かなり高くあり得、代表的に少なくとも10nt、通常少なくとも20nt、およびしばしば少なくとも25ntであり得る。多様な異なるアレイフォーマットが開発され、そしてそれらは、当業者に公知である。本発明のアレイは、多様な適用(上記に列挙される例示的な特許文書において開示されるような、遺伝子発現分析、薬物スクリーニング、変異分析などを含む)における使用を見出す。
上述の核酸ライブラリーに加えて、ポリペプチドのアナログライブラリーもまた提供され、ここで、ライブラリーのポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29によってコードされるポリペプチドの少なくとも一部を表す。
(有用性)
ポリヌクレオチドプローブは、一般に、配列表において示されるようなポリヌクレオチドの少なくとも12の連続するntを含み、多様な目的(例えば、ポリヌクレオチドの染色体マッピング、および転写レベルの検出)ために使用される。開示されるポリヌクレオチド配列の好ましい領域についてのさらなる開示は、実施例において見出される。本明細書中に開示されるポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするプローブは、他の非関連の配列を用いて提供されるバックグラウンドハイブリダイゼーションよりも少なくとも5倍、10倍、または20倍高い検出シグナル伝達を提供するべきである。
(発現レベルの検出)
ヌクレオチドプローブが、提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現を検出するために使用される。ノーザンプロットにおいて、mRNAは、電気泳動的に分離され、そしてプローブと接触される。プローブは、特定の大きさのmRNA種にハイブリダイズする場合に検出される。ハイブリダイゼーションの量は、例えば、特定の条件下での発現の相対的な量を決定するために定量される。プローブは、発現を検出するために、細胞に対するインサイチュハイブリダイゼーションに使用される。プローブはまた、ハイブリダイズする配列の診断的検出のために、インビボで使用され得る。プローブは代表的に、放射性同位体で標識される。検出可能な標識の他の型が使用され得る(例えば、発色団、蛍光体、および酵素)。ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイの他の例は、WO92/02526および米国特許第5,124,246号に記載される。
あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、小量の標的核酸を検出するための別の手段である(例えば、Mullisら、Meth.Enzymol.(1987)155:335;米国特許第4,683,195号;および米国特許第4,683,202号を参照のこと)。標的核酸とハイブリダイズする2つのプライマーポリヌクレオチドヌクレオチドが、反応をプライムするために使用される。このプライマーは、配列表のポリヌクレオチド内の配列、または配列表のポリヌクレオチドに対して3’側および5’側の配列から構成され得る。あるいは、プライマーが、これらのポリヌクレオチドに対して3’側および5’側である場合、これらは、ポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズする必要はない。熱安定性ポリメラーゼでの標的の増幅後、増幅された標的核酸は、当該分野において公知の方法(例えば、サザンブロット)によって検出され得る。mRNAまたはcDNAはまた、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(New York,Cold Spring Harbor Laboratory、1989)において記載される伝統的なブロッティング技術(例えば、サザンブロット、ノーザンブロットなど)(例えば、PCR増幅を伴わない)によって検出され得る。一般に、mRNA、またはポリメラーゼ酵素を使用してmRNAから作製されるcDNAは、ゲル電気泳動を使用して精製および分離され得、そしてニトロセルロースのような固体支持体に移される。固体支持体は、標識化プローブに曝露され、洗浄して任意の未ハイブリダイズのプローブが除去され、そして標識化プローブを含む2重鎖が検出される。
(マッピング)
本発明のポリヌクレオチドは、対応する遺伝子が存在する染色体を同定するために使用され得る。このようなマッピングは、公知の機能を有する他の遺伝子に対するその近位性により、ポリヌクレオチド関連遺伝子の機能を同定する際に有用であり得る。機能はまた、特定の症候群または疾患が同じ染色体上にマッピングされる場合、そのポリヌクレオチド関連遺伝子に割り当てられ得る。例えば、核酸配列異常の同定および定量におけるポリヌクレオチドプローブの使用は、米国特許第5,783,387号に記載される。例示的なマッピング方法は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)であり、これは相対的なコピー数のDNA配列における変化の全体的なゲノム評価を可能にするための、比較のゲノムハイブリダイゼーションを容易にする(例えば、Valdesら、Methods in Molecular Biology(1997)68:1を参照のこと)。ポリヌクレオチドはまた、例えば、放射線ハイブリッドパネルまたは染色体特異的ハイブリッドパネルを使用して、特定の染色体にマッピングされ得る。Leachら、Advances in Genetics,(1995)33:63−99;Walterら、Nature Genetics(1994)7:22;WalterおよびGoodfellow、Trends in Genetics(1992)9:352を参照のこと。放射線ハイブリッドマッピングについてのパネルは、Research Genetics,Inc.,Huntsville,Alabama,USAから入手可能である。種々のパネルを使用するマーカーのデータベースは、http:/F/shgc−www.stanford.edu;およびhttp://www−genome.wi.mit.edu/cgi−bin/contig/rhmapper.plにてワールドワイドウェブを介して利用可能である。統計学的プログラムRHMAPは、ある順序に対する別の順序の相対的な尤度の測定を用いて、放射線ハイブリダイゼーションからのデータに基づいてマップを構築するために使用され得る。RHMAPは、http//www.sph.umich.edu/group/statgen/softwareにてワールドワイドウェブを介して入手可能である。さらに、癌のような疾患に一般に関連する染色体の領域を同定するための市販のプログラムが利用可能である。
(組織タイピングまたはプロフィーリング)
提供されたポリヌクレオチドに対応する特異的なmRNAの発現は、異なる細胞型において変化し得、そして組織特異的であり得る。異なる細胞型におけるmRNAレベルのこの変化は、組織型を決定するための核酸プローブアッセイを用いて活用され得る。例えば、配列表において列挙されるポリヌクレオチドに実質的に同一かまたは相補的な核酸プローブを利用する、PCR、分枝型(branched)DNAプローブアッセイ、またはブロッティング技術は、対応するcDNAまたはmRNAの存在または非存在を決定し得る。
組織タイピングは、転移性病変の発生的な器官供給源または組織供給源を、その器官または組織の特定のマーカーの発現を同定することによって、同定するために使用され得る。ポリヌクレオチドが、特異的な組織型においてのみ発現される場合、および転移性病変がそのポリヌクレオチドを発現することが見出される場合、次いで、病変の発生的な供給源が同定される。特定のポリヌクレオチドの発現は、対応するmRNAまたはタンパク質産物のいずれかの検出によってアッセイされ得る。任意の法医学者に容易に明らかであるように、本明細書中に開示される配列は、非ヒト組織からヒト組織を区別する際に有用である。特に、これらの配列は、例えば、鳥類、爬虫類、および両生類の組織からヒト組織を区別するために有用である。
(多型の使用)
本発明のポリヌクレオチドは、法医学的分析、遺伝子分析、マッピング、および診断的適用において使用され得、ここで、遺伝子の対応する領域は、ヒト集団において多型である。遺伝子における多型を検出するための任意の手段が使用され得、これらとしては、タンパク質多型改変体の電気泳動、制限酵素切断に対する示差的な感受性、および対立遺伝子特異的プローブへのハイブリダイゼーションが挙げられるが、これらに制限されない。
(抗体産生)
本発明のポリヌクレオチド、および対応するmRNA、cDNA、または完全な遺伝子の発現産物が調製され得、そして実験的な目的、診断的な目的、および治療学的な目的のために抗体を惹起するために使用され得る。対応する遺伝子が割り当てられていないポリヌクレオチドについて、これは対応する遺伝子を同定するためのさらなる方法を提供する。ポリヌクレオチドまたは関連のcDNAは上記のように発現され、そして抗体が調製される。これらの抗体は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド上のエピトープに特異的であり、そして細胞もしくは組織調製物において、またはインビトロ発現系の無細胞抽出物において、対応するネイティブなタンパク質を沈澱させ得るか、またはこれに結合し得る。
選択された抗原を特異的に結合する抗体の産生のための方法は、当該分野において周知である。抗体を惹起するための免疫原は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドをアジュバントともに混合することによって、および/またはより大きな免疫原性タンパク質との融合タンパク質を作製することによって調製され得る。ポリペプチドはまた、他のより大きな免疫原性タンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン)に共有結合的に連結され得る。免疫原は典型的に、抗体を生成するために、皮内、皮下、または筋肉内で、実験動物(例えば、ウサギ、ヒツジ、およびマウス)に投与される。モノクローナル抗体は、脾細胞を単離し、そして骨髄腫細胞を融合してハイブリドーマを形成することによって作製され得る。あるいは、選択されたポリヌクレオチドが、例えば、筋肉内注射によって直接的に投与され、そしてインビボで発現される。発現されるタンパク質は、種々のタンパク質特異的免疫応答(抗体の産生を含む)を生じ、これは、タンパク質の投与に匹敵する。
選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製は、当該分野において公知の標準的な方法を使用して作製される。抗体は、配列表において開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに存在するエピトープに特異的に結合する。典型的に、少なくとも6、8、10、または12の連続するアミノ酸がエピトープを形成するために必要とされる。連続しないアミノ酸を含むエピトープは、より長いポリペプチド(例えば、少なくとも15、25、または50アミノ酸)を必要とし得る。提供されるポリペプチドによってコードされるヒトポリペプチドに特異的に結合する抗体は、ウエスタンブロットまたは他の免疫化学的アッセイにおいて使用される場合、他のタンパク質を用いて提供される検出シグナルよりも少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供するべきである。好ましくは、本発明のポリペプチドを特異的に結合する抗体は、免疫化学アッセイにおいて、検出可能なレベルで他のタンパク質に結合せず、そして特定のポリペプチドを溶液から免疫沈降し得る。
本発明はまた、本発明のポリペプチドに特異的な天然に存在する抗体を企図する。例えば、ヒト集団における本発明のポリペプチドに対する血清抗体は、当該分野で周知の方法、例えば、対応する選択されたポリペプチドまたは融合タンパク質が結合するカラムに抗血清を通過させることによって、精製され得る。次に、結合した抗体は、例えば、高塩濃度の緩衝液を使用して、カラムから溶出され得る。
上記抗体に加えて、本発明はまた、当該分野で周知の方法によって、遺伝子的に操作された抗体、抗体誘導体(例えば、単鎖抗体、抗体フラグメント(例えば、Fabなど))を企図する。
(差次的に発現された遺伝子産物の検出を包含する診断方法および他の方法)
本発明は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドを使用する方法を提供する。特定の非限定的な実施形態において、この方法は、結腸癌細胞を検出するため、被験体における癌および癌の重篤度(例えば、腫瘍の分類、腫瘍負荷など)の診断を容易にするため、被験体の予後診断の決定を容易にするために、そして被験体の治療に対する応答性を(例えば、化学治療レジメンの間または化学治療レジメンの後の腫瘍負荷を評価することによって治療効果の測定を提供することによって)評価するために有用な方法である。検出は、結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドの検出、および/または結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(「結腸癌に関連するポリペプチド」)の検出に基づき得る。本発明の検出方法は、単離された細胞、または全組織もしくは体液(例えば、血液、血漿、血清、尿など)中で、インビトロまたはインビボで実施され得る。
一般的に、遺伝子産物(例えば、mRNA、このようなmRNAから生成されたcDNA、およびポリペプチド)の検出を包含する本発明の方法は、サンプルと目的の遺伝子産物に特異的なプロープを接触させる工程を包含する。本明細書中のこのような方法で使用される「プロープ」は、目的の遺伝子産物に特異的に結合する(例えば、このプロープは標的遺伝子と結合し、非特異的な非標的(バックグラウンド)分子への結合を上回って標的分子への結合を区別するのに十分な特異性を有する)分子をいうことを意味する。「プロープ」として、核酸プロープ(例えば、DNA、RNA、改変された核酸など)、抗体(例えば、抗体、標的エピトープへの結合性を保持する抗体フラグメント、単鎖抗体など)、または他のポリペプチド、ペプチド、もしくは目的の標的遺伝子産物に特異的に結合する分子(例えば、レセプターリガンド)が挙げられるが、これらに限定される必要はない。
このプロープおよび目的の遺伝子産物を有することが疑われるサンプルを、このプロープの遺伝子産物への結合に適切な条件下で、接触させる。例えば、接触は、一般的にプローブの遺伝子産物への結合を可能にするのに十分な時間(例えば、数分〜数時間)、プローブのバックグラウンド結合と十分に区別可能なレベルでこのプローブの遺伝子産物への結合を提供する温度および浸透圧などの条件下(例えば、非特異的結合を最小にする条件下)での接触である。プローブ−標的遺伝子産物結合のために適切な条件は、コントロールおよび当業者に利用可能でありかつ公知の他の技術を使用して容易に決定され得る。
この実施形態において、このプローブは、抗体または他のポリペプチド、ペプチド、もしくは目的の標的ポリペプチドに特異的に結合する分子(例えば、レセプターリガンド)であり得る。
検出方法は、キットの一部として提供され得る。従って、本発明はさらに、結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドおよび/もしくはこのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの存在ならびに/またはレベルを(例えば、差次的に発現される目的の遺伝子によってコードされるmRNAの検出によって)、生物学的サンプル中で検出するためのキットを提供する。これらのキットを使用する手順は、臨床的研究室、実験的研究室、医師、または個人によって実施され得る。結腸癌細胞中で差次的に発現されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを検出するための本発明のキットは、ポリペプチド(これは、特定の抗体であり得る)に特異的に結合する部分を含む。結腸癌細胞中で差次的に発現されるポリヌクレオチドを検出するための本発明のキットは、このようなポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする部分を含む。このキットは、この手順で有用なさらなる成分(緩衝液、現像試薬、標識、反応表面、検出手段、コントロールサンプル、標準、説明書、および説明のための情報が挙げられるが、これらに限定されない)を必要に応じて提供し得る。
(結腸癌細胞中で差次的に発現されるポリヌクレオチドによって、コードされるポリペプチドの検出)
いくつかの実施形態において、結腸癌細胞中で差次的に発現される遺伝子によってコードされるポリペプチドを細胞中で検出することによる方法が、結腸癌について提供される。種々の公知の方法のいずれかが、検出(コードされるポリペプチドに特異的な抗体を使用する(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)などによる)免疫アッセイおよびコードされるポリペプチドについての機能的(例えば、結合活性または酵素活性)アッセイが挙げられるが、これらに限定されない)のために使用され得る。
例えば、免疫蛍光アッセイは、コードされたポリペプチドを最初に単離することなく、細胞で容易に実施され得る。細胞は、最初に固体支持体(例えば、顕微鏡用スライドガラスまたはマイクロタイターウェル)上に固定化される。この固定化工程は、細胞膜を透過化し得る。細胞膜の透過化は、ポリペプチド特異的プローブ(例えば、抗体)の結合を可能にする。あるいは、ポリペプチドが分泌されるか、もしくは膜結合するか、または別の様式で細胞表面(例えば、レセプター)で接近可能であり、そして他の分子が細胞の外膜に安定に結合されるか、もしくは別の様式で細胞膜に安定に結合される場合、このような透過化は必要でないかもしれない。
次に、固定化された細胞は、コードされたポリペプチドに特異的な抗体に曝露される。アッセイの感度を増加するために、固定化された細胞は、第二の抗体(これは、標識され、そしてコードされるポリペプチドに特異的な第一の抗体に結合する)にさらに曝露され得る。代表的には、第二の抗体は、例えば、蛍光マーカーで検出可能に標識される。コードされるポリペプチドを発現する細胞は、蛍光標識され、そして顕微鏡下で容易に可視化される。例えば、Hashidoら(1992)Biochem.Biophys.Res.Comm.187:1241〜1248を参照のこと。
本明細書を読む際に当業者には容易に明らかであるように、本明細書中に記載の検出方法および他の方法は、容易に変化され得る。このようなバリエーションは、本発明の意図された範囲内である。例えば、上記検出スキームにおいて、検出に使用するためのプローブは、固体支持体上に固定化され、試験サンプルと固定化プローブとを接触させ得る。次いで、試験サンプルのプローブへの結合は、種々の方法で(例えば、試験サンプル−固定化プローブ複合体の検出を容易にするために試験サンプルに結合させた検出可能な標識を検出することによって)検出され得る。
本発明はさらに、生物学的サンプル中のポリペプチド(このポリペプチドは、癌細胞、特に結腸癌細胞において差次的に発現される遺伝子を代表するポリヌクレオチドによってコードされる)の存在および/またはこのポリペプチドのレベルを、このコードされたポリペプチドに特異的なプローブを使用して検出/測定するための方法を提供する。この実施形態において、このプローブは、抗体、もしくは他のポリペプチド、ペプチド、または目的の標的ポリペプチドに特異的に結合する分子(例えば、レセプターリガンド)であり得る。
本方法は、一般的に、a)試験細胞中で差次的に発現されるポリペプチドに特異的な抗体とサンプルとを接触させる工程;b)抗体とサンプル中の分子間の結合を検出する工程を包含する。抗体結合のレベル(定性的または定量的)は、細胞の癌性状態を示す。例えば、差次的に発現される遺伝子が、癌性細胞中で増加した場合、正常細胞に結合する抗体結合レベルに対して試験サンプルに結合する抗体の増加したレベルの検出は、試験細胞が癌性であることを示す。
適切なコントロールとして、コードされるポリペプチドを含まないことが既知のサンプル、およびコードされたポリペプチドに特異的ではない抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体)と接触させたサンプルが挙げられる。特定の抗体−抗原相互作用を検出するための種々の方法が当該分野で公知であり、そして標準的免疫組織学的方法、免疫沈降法、酵素免疫アッセイ、および放射免疫アッセイが挙げられるが、これらに限定されない方法に使用され得る。
一般的に、特定の抗体は、直接的にかまたは間接的にかのいずれかで検出可能に標識される。直接的な標識として、放射性同位元素;その生成物が検出可能な酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼなど);蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリンなど);蛍光発光金属(例えば、EDTAのような金属キレート化基を介して抗体に結合する152Eu、または他のランタニド系列など);化学発光化合物(例えば、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウム塩など);生物発光化合物(例えば、ルシフェリン、エクオリン(緑色蛍光タンパク質))などが挙げられる。
この抗体は、不溶性の支持体(例えば、ポリスチレンプレートまたはビーズ)に付着(結合)させ得る。間接的標識は、コードされたポリペプチドに特異的な抗体(「第一の特異的抗体」)に特異的な第二の抗体(ここで第二の抗体は、上記のように標識される)、および特定の結合(例えば、ビオチン−アビジンなど)対メンバーを含む。生物学的サンプルは、細胞、細胞粒子、または可溶性タンパク質を固定化し得るニトロセルロースのような固体支持体またはキャリアに接触させられ、そして固定化され得る。次に、固体支持体は、適切な緩衝液で洗浄され得、続いて検出可能に標識された第一の特異的抗体に接触させ得る。検出方法は、当該分野で公知であり、そして検出可能な標識によって出されるシグナルに適切であるように選択される。検出は、一般的に適切なコントロール、および適切な標準との比較によって達成される。
いくつかの実施形態において、この方法は、例えば、インビボで結腸癌細胞が存在する部位の位置を決定するか、またはそのような部位を同定するための使用に適応される。これらの実施形態において、結腸癌関連ポリペプチドに特異的な検出可能に標識された部分(例えば、抗体)は、個体に(例えば、注入によって)投与され、そして標識された細胞は、標準的な画像化技術を使用して位置を決定される。標準的な画像化技術として、磁気共鳴画像法、コンピューター断層撮影スキャニングなどが挙げられるがこれらに限定されない。この様式において、結腸癌細胞は、区別して標識される。
(結腸癌で差次的に発現される遺伝子に相当するポリヌクレオチドの検出)
いくつかの実施形態において、細胞での転写物の発現、すなわち、結腸癌細胞で差次的に発現される転写物を検出することによって、結腸癌細胞を検出するための方法を提供する。種々の公知の方法のいずれかが、検出に使用され得、この方法として、結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによる転写物の検出;特定のオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応による転写物の検出;結腸癌細胞で差次的に発現される遺伝子にハイブリダイズするポリヌクレオチドをプローブとして使用する細胞のインサイチュハイブリダイゼーション、が挙げられるが、これらに限定されない。
この方法を使用して、結腸癌細胞で差次的に発現される遺伝子のmRNAレベルを検出および/または測定し得る。いくつかの実施形態において、この方法は、以下の工程を包含する:a)サンプルと本明細書中に記載される差次的に発現される遺伝子に対応するポリヌクレオチドとを、ハイブリダイゼーション可能な条件下で接触させる工程;およびb)ハイブリダイゼーション(存在する場合)を検出する工程。適切なコントロールと比較した場合、差次的なハイブリダイゼーションの検出は、結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドのサンプル中での存在の指標である。適切なコントロールとしては、例えば、結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドを含まないことが既知のサンプル、および結腸癌で差次的に発現されるポリヌクレオチドと同一「センス」の標識されたポリヌクレオチドを使用することが挙げられる。ハイブリダイゼーションを可能にする条件は、当該分野で公知であり、そして上記により詳細に記載されている。
検出はまた、以下に挙げられるが、限定ではない、任意の公知の方法によって達成され得る:インサイチュハイブリダイゼーション、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、RT−PCR(逆転写−PCR)、および「ノーザン」ブロッティングもしくはRNAブロッティング、または適切に標識されたポリヌクレオチドを使用するこのような技術の組み合わせ。ポリヌクレオチドについての種々の標識および標識方法が当該分野で公知であり、本発明のアッセイ方法に使用され得る。特定のハイブリダイゼーションは、適切なコントロールと比較することによって、決定され得る。
配列表に示されるような、本明細書中で提供されるポリヌクレオチドまたは配列表のポリヌクレオチドに対応する遺伝子配列の少なくとも12連続するntを一般的に含むポリヌクレオチドが、種々の目的(例えば、結腸癌細胞で差次的に発現されるポリヌクレオチドの検出および/または転写レベルの測定のためのプローブ)に使用される。開示されるポリヌクレオチド配列の好ましい領域についてのさらなる開示は、実施例において見出される。本明細書中で開示されるポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするプローブは、他の無関係の配列で提供されるバックグラウンドハイブリダイゼーションよりも少なくとも5倍、10倍、または20倍高い検出シグナルを提供すべきである。核酸検出の状況で使用される「プローブ」は、試験サンプル中で差次的に発現される遺伝子産物を検出するために使用されるポリヌクレオチド配列をいうことが意味されるということに注目すべきである。当業者によって容易に理解されるように、プローブは、検出可能に標識され得、そして、例えば、試験サンプルから得られた固定化ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むアレイと接触させ得る。あるいは、このプローブは、アレイに固定化され得、そして検出可能に標識され得る。本発明の方法のこれらのバリエーションおよび他のバリエーションは、十分に当該分野の技術範囲であり、そして本発明の範囲内である。
ヌクレオチドプローブを使用して、提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現を検出する。ノザンブロッティングにおいて、mRNAは、電気泳動により分離され、そしてプローブと接触される。プローブは、特定の大きさのmRNA種へのハイブリダイゼーションによって検出される。ハイブリダイゼーションの量は、例えば、特定の条件下で、発現の相対量を決定するために定量され得る。プローブは、発現を検出するための細胞へのインサイチュハイブリダイゼーションに使用される。プローブはまた、ハイブリダイズする配列の診断的検出のためにインビボで使用され得る。代表的に、プローブは放射性同位元素によって標識される。検出可能な標識の他の型(例えば、発色団、発蛍光団、および酵素)が使用され得る。ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイの他の例は、WO92/02526およびUSPN5,124,246に記載される。
PCRは微量な標的核酸を検出するための別の手段である(例えば、Mullisら、Meth.Enzymol.(1987)155:335;USPN4,683,195;およびUSPN4,683,202を参照のこと)。標的核酸とハイブリダイズする2つのプライマーポリヌクレオチドを使用して反応をプライムする。プライマーは、配列表のポリヌクレオチド内の配列または配列表のポリヌクレオチドの3’側および5’側から構成され得る。あるいは、これらのプライマーがこれらのポリヌクレオチドの3’側および5’側である場合、プライマーは、これらのポリヌクレオチドまたは相補体にハイブリダイズする必要はない。熱安定なポリメラーゼを用いて標的を増幅した後、増幅された標的核酸は、当該分野で公知の方法(例えば、サザンブロッティング)によって検出され得る。mRNAまたはcDNAはまた、伝統的なブロッティング技術(例えば、サザンブロッティング、ノザンブロッティングなど)(Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(New York、Cold Spring Harbor Laboratory、1989)に記載されている)(例えば、PCR増幅なしの技術)によって検出され得る。一般的に、ポリメラーゼ酵素を使用してmRNAから作製されるmRNAまたはcDNAは精製され得、そしてゲル電気泳動を使用して分離され、そしてニトロセルロースのような固体支持体に移され得る。固体支持体は、標識されたプローブに曝露され、洗浄されハイブリダイズしていない任意のプローブが除去され、そして標識されたプローブを含む二重鎖が検出される。
PCR増幅を使用する方法は、単一の細胞由来のDNAで実施され得るが、少なくとも105個の細胞の使用が簡便である。ポリメラーゼ連鎖反応の使用は、Saikiら(1958)Science 239:487に記載され、そして現在の技術の総説は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、CSH Press 1989、14.2〜14.33頁に見出され得る。検出可能な標識は、増幅反応に含まれ得る。適切な検出可能な標識として、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリスリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例えば、32P、35S、3Hなど)などが挙げられる。標識は、2段階システムであり得、ここでポリヌクレオチドは、高親和性の結合パートナー(例えば、アビジン、特異的抗体など)を有するビオチン、ハプテンなどと結合体化され、ここで、結合パートナーは、検出可能な標識と結合体化される。標識は、プライマーの1つまたは両方と結合体化され得る。あるいは、増幅で使用されるヌクレオチドのプールは、増幅産物に標識を組み込むように標識される。
(アレイ)
ポリヌクレオチドアレイは、サンプル中の多数のポリヌクレオチドまたはポリペプチドをアッセイし得る、高いスループット技術を提供する。この技術は、差次的発現に関する試験のためのツールとして使用され得る。
アレイを作製する種々の方法、およびこれらの方法の変形は、当該分野で公知であって、そして本発明における使用のために意図される。例えば、アレイは、基材(例えば、ガラス、ニトロセルロースなど)上へとポリヌクレオチドプローブをスポットすることによって、結合プローブを有する二次元マトリックスまたはアレイに作製し得る。このプローブは、共有結合または非特異的相互作用(例えば、疎水性相互作用)のいずれかによって、基材に結合し得る。
ポリヌクレオチドのサンプルは、(例えば、放射活性標識または蛍光標識を用いて)検出可能に標識され得、次いで、プローブにハイブリダイズされ得る。二本鎖ポリヌクレオチド(プローブポリヌクレオチドに結合される、標識されたサンプルポリヌクレオチドを含む)は、一旦、サンプルの結合されていない部分が洗い流されると、検出され得る。あるいは、試験サンプルのポリヌクレオチドは、アレイ上に固定され得、そして、プローブは、検出可能に標識され得る。アレイを構築するための方法およびこれらのアレイを用いる方法は、例えば、Schenaら、(1996)Proc Natl Acad Sci USA.93(20):10614−9;Schenaら、(1995)Science 270(5235):467−70;Shalonら、(1996)Genome Res.6(7):639−45、USPN5,807,522、EP799897;WO97/29212;WO97/27317;EP785280;WO97/02357;USPN5,593,839:USPN5,578,832;EP728520;USPN5,599,695;EP721016;USPN5,556,752;WO95/22058;およびUSPN5,631,734中で記載されている。
アレイを、例えば、遺伝子の差次的発現を試験するために使用し得、そして、遺伝子の機能を決定するために使用し得る。例えば、アレイを、本明細書中で記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の差次的発現を検出するために使用し得る。ここで、発現は、試験細胞とコントロール細胞(例えば、癌細胞と正常細胞)とで比較される。例えば、対応する正常細胞中では観測されない、癌細胞中の特定のメッセージの高い発現は、癌に特異的な遺伝子産物を表し得る。アレイの模範的な使用は、さらに、例えば、Pappalaradoら、Sem.Radiation Oncol.(1998)8:217;およびRamsay Nature Biotechnol.(1998)16:40中に記載される。さらに、アレイを用いる検出法の多くの変形は、十分に当該分野の技術内であって、本発明の範囲内である。例えば、プローブを固体支持体に対して固定する以外に、試験サンプルが、固体支持体上に固定され得、これが次にプローブと接触される。
(癌の評価の診断、予後、治療(治療測定学(therametrics))、評価および管理)
本明細書中で記載されるポリヌクレオチド、および、それらの遺伝子産物ならびに対応する遺伝子および遺伝子産物は、発癌経路に沿う初期変化を検出し、そして/または種々の治療および予防的介入の効力をモニターする遺伝的マーカーまたは生化学的マーカー(例えば、血液中または組織中で)として、特に興味がある。
例えば、特定のポリヌクレオチドの発現のレベルは、より弱い予測を暗示し得、そして、そのために、患者に対して、より積極的な化学治療または放射線治療を正当化し、その逆の場合も同様である。新規の代用の腫瘍特異性の特徴と処置に対する応答との相関関係、および患者における結果は、腫瘍の分子的プロフィールに基づく、患者に合わせた治療の設計を可能にする、予測的な指標を規定しうる。これらの治療は、抗体標的化、アンタゴニスト(例えば、低分子)、および遺伝子治療を含む。
特定のポリヌクレオチドの発現の決定、および正常組織中の既知の発現を用いた患者のプロフィールの比較、および疾患の変形は、患者にとって、処置の特異性という点、および患者の満足レベルという点での、最も有力な処置の決定えお可能にする。代用腫瘍マーカー(例えば、ポリヌクレオチド発現)はまた、癌の異なる形態および疾患状態のより良い分類のために使用し得、従って、これらの診断および処置に使用し得る。本明細書中で記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現レベルの同定から利益を得ることができる、腫瘍学において広く使用される2つの分類は、癌性障害の病期分類、および癌性組織の性質の悪性度分類である。
差次的に発現された遺伝子に対応するポリヌクレオチド、およびそれらのコードされた遺伝子産物は、癌を有するかまたは有する疑いのある患者をモニターして、癌が巨視的な形態学的レベルで検出可能になる前に、分子レベルで潜在的な悪性事象を検出するために有用であり得る。さらに、本明細書中で記載されるポリヌクレオチド、およびこのようなポリヌクレオチドに対応する遺伝子は、治療測定学に対して、例えば、ポリヌクレオチドまたはそれらのコードされた遺伝子産物を用いることによる治療の有効性を評価するために、例えば、治療前、治療中、治療後に患者における全身腫瘍組織量を評価するために、有用であり得る。
さらに、癌の1つの型において、差次的発現され、従ってこの型のために重要である遺伝子に対応するものとして同定されるポリヌクレオチドはまた、例えば、ポリヌクレオチドが、種々の癌型に対して差次的に発現される遺伝子を表す場合、癌の他の型の進行または進行のおそれに対する密接な関係を有し得る。従って、例えば、転移性結腸癌に対して臨床的に密接な関係を有する遺伝子に対応するポリヌクレオチドの発現はまた、乳癌または卵巣癌に対する密接な関係を有し得る。
(病期分類)
病期分類は、患者内で癌の状態がどれぼど進行しているかを述べるために、医師によって使用されるプロセスである。病期分類は、予後を決定して、処置を計画して、そしてこのような処置の結果を評価することにおいて、医師を補助する。病期分類システムは、癌の型によって変動するが、一般的に、以下の「TNM」システムを含む:Tで示される腫瘍の型;Nで示される、癌が近くのリンパ節まで転移しているかどうか;および、Mで示される、癌が身体のより離れた部分まで転移しているかどうか。一般的に、癌が、いずれのリンパ節にも広がっておらず、一次病巣の範囲のみで検出可能である場合、I期と呼ばれる。癌が、最も近接したリンパ節までしか広がっていない場合、II期と呼ばれる。II期において、癌は、一般的に一次病巣の範囲に非常に近いリンパ節まで広がっている。身体の離れた部分(例えば、肝臓、骨、脳または他の部位)まで広がっている癌は、IV期であり、もっとも進行した段階である。
本明細書中で記載されるポリヌクレオチドならびに対応する遺伝子および遺伝子産物は、癌の攻撃性(例えば、転移能力、および身体の異なる領域での存在)に関するマーカーを同定することによって、病期分類プロセスの微調整を容易にし得る。従って、高い転移能力の癌を表すポリヌクレオチドを有するII期の癌は、II期の腫瘍とIII期の腫瘍のボーダーラインを変更して、より攻撃的な治療を正当化するために使用し得る。逆に、より低い転移能力を表すポリヌクレオチドの存在は、腫瘍のより慎重な病期分類を可能にする。
(癌の悪性度分類)
悪性度分類は、腫瘍がその同じ型の正常組織とどれほどよく似ているかを記載するために使用される用語である。腫瘍の微細な外観は、細胞形態学、細胞組織のようなパラメーター、および分化の他のマーカーに基づいて、腫瘍の分類を同定するために使用される。一般的な法則として、腫瘍の分類は、その増殖または攻撃の速度に対応し、分化していない腫瘍または高い分類の腫瘍は、一般的に、十分に分化した腫瘍または低い分類の腫瘍よりも、より攻撃的である。以下のガイドラインは、一般的に腫瘍の悪性度分類のために使用される:1)GX分類は、評価し得ない;2)G1は、十分に分化している;G2は、中程度によく分化している;3)G3は、不十分に分化している;4)G4は、分化していない。「配列列挙」のポリヌクレオチド、ならびにこれらの対応する遺伝子および遺伝子産物は、腫瘍の分類を決定することにおいて特別に価値があり得る。なぜならば腫瘍の細胞の分化状態を決定することにおいて補助し得るだけではなく、腫瘍の攻撃性(例えば、転移能力)を決定するととにおいて価値がある、分化以外の因子を同定し得るからである。
(結腸癌の検出)
適切な発現パターンを示す遺伝子に対応するポリヌクレオチドを、被検体中の結腸癌を検出するために使用し得る。結腸直腸癌は、ヒトにおける最も一般的な新生物の1つであり、そしておそらく遺伝性新生物の最も頻繁な形態である。予防および初期の検出は、結腸直腸癌の制御および治癒における重要な因子である。結腸直腸癌は、ポリープ(結腸の内膜(inner lining)に形成される、結腸の細胞の小さな良性増殖)として始まる。数年間にわたって、これらのポリープのいくつかは、さらなる変異を蓄積して、そして癌性になる。複数の家族性結腸直腸癌障害は、同定され、以下のようにまとめられる:1)家族性大腸腺腫症(FAP);2)ガードナー症候群;3) 遺伝性非腺腫性大腸癌(HNPCC);および4)Ashkenazi Jewsの家族性結腸直腸癌。
適切なポリヌクレオチドの発現は、結腸直腸癌の診断、予後および管理において使用され得る。結腸癌の検出は、任意のこれらの配列のみの発現レベルかまたは発現のレベルを組み合わせて使用して決定され得る。結腸癌の攻撃性の性質および/または転移能力の決定は、本明細書中で記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の1つ以上の遺伝子産物のレベルを比較することによって、そして癌性組織において変動することが公知の別の配列(例えば、p53、DCC、ras、FAPの発現)の全体のレベルを比較することによって決定され得る(例えば、Fearon ERら、Cell(1990)61(5):759;Hamilton SRら、Cancer(1993)72:957;Bodmer Wら、Nat Genet.(1994)4(3):217;Fearon ER,Ann NY Acad Sci.(1995)768:101を参照のこと。
例えば、結腸癌の進行は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現レベルを、オンコジーンのレベル(例えば、ras)または腫瘍抑制遺伝子(例えば、FAPまたはp53)に対して、検査することによって検出され得る。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常な結腸組織と癌性の結腸組織とを識別するため、起源の細胞が異なる結腸癌を識別するため、異なる潜在的な転移速度を有する結腸癌を識別するためなどに使用され得る例えば、癌のマーカーの総説については、Hanahanら、(2000)Cell 100:57−70を参照のこと。
(結腸癌の処置)
本発明はさらに、直腸癌細胞の増殖を低減するための方法を提供する。この方法は、結腸癌細胞中で差次的に発現される遺伝子の発現を減少させるため、あるいは結腸癌に関連するポリペプチドのレベルおよび/または活性を減少させるために提供する。一般的に、この方法は、(1)結腸癌中に差次的に発現される遺伝子の発現;または(2)結腸癌関連ポリペプチドのレベルおよび/または活性、を調節する物質、結腸癌細胞に接触させることを含む。
「結腸癌細胞の増殖(growth)を減少させる」こととしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:結腸癌細胞の増殖(proliferation)を減少させること、および癌性結腸細胞になる非癌性結腸細胞の発生を減少させること。結腸癌細胞の増殖における減少が達成されるかどうかは、以下に挙げられるが、これらに限定されない任意の公知のアッセイを用いて容易に決定され得る:[3H]−チミジン組込み;一定時間にわたる細胞数のカウント;結腸癌に関連するマーカー(例えば、CEA、CA19−9、およびLASA)を検出することおよび/または測定すること。
本発明は、結腸癌細胞増殖を低減する物質を、結腸癌の処置を必要とする個体に、結腸癌細胞増殖の低減および結腸癌の処置のために十分な量で投与することを一般的に含む、方法を提供する。物質かまたは特定量の物質が、結腸癌を処置するのに効果的であるかどうかは、任意の種々の公知の結腸癌に関する診断用アッセイを用いて評価され得る。この診断用アッセイとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:S状結腸鏡検査法、結腸鏡検査法、直腸検査、生検を用いる結腸内視術、造影剤によるX線検査研究、CATスキャン、血管造影法、および個体の血液中の結腸癌に関する腫瘍マーカーの検出。その物質は、全身にかまたは局所的に投与され得る。従って、いくつかの実施形態において、この物質は、局所的に投与され、そして結腸癌の増殖は、投与部位で低減する。局所投与は、例えば、固体腫瘍を処置するのに有用であり得る。
結腸癌細胞の増殖を低減する物質は、結腸癌細胞を標的とし得る。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、被検体に対して薬物−抗体複合物を投与することを含む、結腸癌細胞に薬物を送達する方法を提供し、この方法において、抗体は、結腸癌関連のポリペプチドに対して特異的であり、そしてこの薬物は、結腸癌細胞の増殖を低減する薬物であり、これら種々の薬物が、当該分野で公知である。標的化は、結腸癌関連のポリペプチドに対して特異的な抗体への薬物のカップリング(例えば、直接かまたはリンカー分子を介し、共有結合的または非共有結合的のいずれかの、薬物−抗体複合体を形成するような連結)によって達成され得る。薬物を抗体にカップリングする方法は、当該分野で周知であり、そして本明細書中で詳細に述べる必要はない。
(治療用標的および抗癌治療用薬剤の同定)
本発明はまた、差次的に発現された遺伝子産物の活性を調節する能力を有する薬剤の同定のための方法、および癌、特に結腸癌の処置のための治療用標的としての差次的に発現された遺伝子産物を同定するための方法を含む。
(候補の薬剤)
差次的に発現された遺伝子産物の活性を調節する化合物の同定は、任意の種々の薬物スクリーニング技術を用いて達成され得る。このような薬剤は、癌治療の開発のための候補である。特に関心があるのは、正常な非癌性ヒト細胞に対する許容できる毒性を有する薬剤に関するスクリーニングアッセイである。本発明のスクリーニングアッセイは、一般的に、差次的に発現された遺伝子産物の活性を調節し、そして/または癌に関連する現象(例えば、細胞増殖、コロニー形成、細胞周期停止、転移など)を阻害するかまたは抑制する薬剤の能力に基づく。
本明細書中で使用される用語「薬剤」は、任意の分子、例えば、差次的に発現された遺伝子産物の生物学的活性を調節する能力を有するタンパク質または薬学的分子を記載する。一般的に、複数のアッセイ混合物は、異なる薬剤濃度を有して並行して行われ、種々の濃度に対して異なる応答を得る。典型的に、これらの濃度の1つは、陰性コントロール、すなわち、濃度0かまたは検出レベルより下として得られる。
候補薬剤は、多くの化学的クラスを含むが、典型的には、これらは有機分子であり、好ましくは、50ダルトンを超えて約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さな有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質と構造的な相互作用、詳細には水素結合のために必要とされる官能基を含み、そして典型的には、アミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を少なくとも1つ含み、好ましくは、官能的な化学基を少なくとも2つ含む。候補薬剤は、しばしば、1つ以上の上記の官能基で置換された、環状炭素または複素環構造および/または芳香族構造または多環式芳香族(polyaromatic)構造を含む。候補薬剤はまた、以下が挙げられるが、これらに限定されない生体分子の中に見いだされる:ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、これらの誘導体、構造的アナログまたは組み合わせ。
候補薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む、広範囲の原料から得られる。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む、多くの手段が、広範囲の有機化合物および生体分子のランダム合成および直接合成に利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態(差次的に発現された遺伝子産物に影響を与える内在性因子を同定するためのヒト組織からの抽出物を含む)の天然化合物のライブラリーは、利用可能であるかまたは容易に生成される。さらに、天然もしくは合成的に生成されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学的手法を通じて容易に修飾され、そして、コンビナトリアルライブラリーを生成するために使用され得る。公知の薬学的薬剤は、構造的アナログを生成するためのアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などのような直接化学修飾またはランダム化学修飾を受け得る。
特定の目的の候補薬剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アンチセンスポリヌクレオチド、および抗体、可溶性レセプターなど。抗体および可溶性レセプターは、差次的に発現された標的遺伝子産物が、細胞表面に分泌されるかまたは利用可能である(例えば、レセプターおよび外側の細胞膜に関連する安定な他の分子)場合に、候補薬剤として特に目的のものである。
(候補薬剤のスクリーニング)
スクリーングアッセイは、当業者に容易に利用可能かつ公知の種々の任意の技術に基づき得る。一般に、スクリーニングアッセイは、癌細胞(好ましくは結腸癌細胞)を候補試薬と接触させる工程、および差次的に発現した遺伝子産物の生物学的活性に対する影響を評価する工程を包含する。生物学的活性に対する影響は、例えば、差次的に発現された遺伝子の遺伝子産物の発現の検出によって検出され得る(例えば、mRNAまたはポリペプチドレベルの減少が、順に遺伝子産物の生物学的活性の減少を引き起こす)。あるいは、またはさらに、候補薬剤の影響は、機能アッセイにおける候補薬剤の影響を試験することによって評価され得る。例えば、この差次的に発現した遺伝子産物が酵素である場合、生物学的活性に対する影響は、差次的に発現した遺伝子産物に関連する酵素活性レベルを検出することによって、評価され得る。この機能アッセイは、差次的に発現した遺伝子産物によって選択され得る。一般に、差次的に発現した遺伝子が、癌細胞での発現において増加される場合、目的の薬剤は、差次的に発現した遺伝子産物の活性を減少させる薬剤である。
下に記載のアッセイは、本発明のスクリーニングアッセイの実施形態に、容易に適応され得る。候補試薬のスクリーニングに有益な例示的アッセイとしては、ハイブリダイゼーションベースのアッセイ(例えば、発現レベルを評価するための核酸プローブまたはプライマーの使用)、抗体ベースのアッセイ(例えば、ポリペプチド遺伝子産物レベルの評価のため)、結合アッセイ(例えば、候補薬剤と差次的に発現したポリペプチドとの相互作用の検出のため、ここで、そのポリペプチドに対する天然または合成のリガンドが入手可能な場合、このアッセイは競合的アッセイであり得る)などが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的アッセイとしては、細胞増殖アッセイ、アンチセンスノックアウトアッセイ、細胞周期の阻害を検出するアッセイ、細胞死/アポトーシス誘導のアッセイなどが挙げられるが、これらに限定される必要はない。一般的にこのようなアッセイはインビトロで実施されるが、多くのアッセイは、インビボ分析(例えば、癌の動物モデル)に適応され得る。
(治療標的の同定)
別の実施形態において、本発明は、治療標的としての差次的に発現した遺伝子および遺伝子産物の同定を意図する。いくつかの局面において、これは、差次的に発現した遺伝子産物の活性の調節(例えば、減少または増強)において活性を有する薬剤の同定についての上に記載のアッセイの逆である。
この実施形態において、治療標的は癌の表現型を調節すること(例えば、癌の表現型の発達を阻害または抑制するか、あるいは予防する)が証明され得るか、または証明されている薬剤の影響を試験することによって同定される。このような薬剤を、通常、本明細書中では「抗癌剤」といい、この薬剤は化学療法剤を含む。例えば、この薬剤は、選択した遺伝子転写物に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。例えば、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書中に記載の差次的に発現された遺伝子の配列に対応する配列(例えば、配列番号1〜309のうちの1つの配列)を有し得る。
治療薬剤の同定のアッセイは、当業者に周知の方法を用いる種々の方法で実施され得る。例えば、差次的に発現された遺伝子を発現するか、または過剰発現する試験癌細胞は、抗癌剤と接触され、癌の表現型に対する影響および候補遺伝子産物の生物学的活性が評価される。候補遺伝子産物の生物学的活性は、例えば、候補遺伝子産物をコードする遺伝子の発現の調節(例えば、転写物レベルまたはポリペプチドレベルの増加または減少によって検出されるように)、あるいは遺伝子産物の酵素活性または他の活性の調節を試験することによって評価され得る。この癌の表現型は、例えば、細胞増殖、増殖の接触阻害の欠損(例えば、コロニー形成)、腫瘍増殖(インビトロまたはインビボ)などであり得る。あるいは、またはさらに、細胞死/アポトーシスまたは細胞周期調節に対する候補標的遺伝子の生物学的活性の調節の影響が、評価され得る。
候補遺伝子産物の生物学的活性の調節の結果としての、癌の表現型の阻害または抑制、あるいは細胞死/アポトーシスの増加は、候補遺伝子産物が、癌治療にとって適切な標的であることを示す。下に記載のアッセイは、治療標的の同定のためのアッセイに容易に適応され得る。一般に、このようなアッセイは、インビトロで実施されるが、多くのアッセイはインビボ分析(例えば、当該分野で認められた適切な癌の動物モデル)に適応され得る。
(ペプチドアナログおよびアンタゴニストの同定)
本明細書中で同定された差次的に発現される遺伝子によってコードされるポリペプチドは、コードされるポリペプチドの中からレセプターのような結合パートナーを同定するために、ペプチドライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。ペプチドライブラリーは、当該分野において公知の方法に従って合成され得る(例えば、米国特許第5,010,175号およびWO91/17823を参照のこと)。
本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストは、シグナル伝達、抗体結合、レセプター結合、分裂促進アッセイ、走化性アッセイなどのような当該分野において公知の任意の利用可能な方法を用いてスクリーニングされ得る。このアッセイ条件は理想的には、ネイティブな活性がインビボで示される条件、すなわち、生理学的pH、温度、およびイオン強度下の条件に類似するべきである。適切なアゴニストまたはアンタゴニストは、被験体において毒性の副作用を引き起こさない濃度で、ネイティブな活性の強力な阻害または増強を示す。ネイティブなポリペプチドへの結合に関して競合するアゴニストまたはアンタゴニストは、ネイティブな濃度に等しいかまたはこれよりも大きい濃度を必要とし得るが、ポリペプチドに不可逆的に結合し得るインヒビターは、ネイティブな濃度の大きさに類似する濃度において添加され得る。
このようなスクリーニングおよび実験は、本明細書中に記載のポリヌクレオチドに対応する遺伝子またはcDNAによってコードされる、レセプターのようなポリペプチド結合パートナー、および結合パートナーの少なくとも1つのペプチドアゴニストまたはアンタゴニストの同定を導き得る。このようなアゴニストおよびアンタゴニストは、レセプターがネイティブである細胞、または遺伝子操作の結果としてレセプターを保有する細胞において、レセプター機能を調節、増強、または阻害するために使用され得る。さらに、このレセプターが公知のレセプターと生物学的に重要な特徴を共有する場合、アゴニスト/アンタゴニスト結合についての情報は、公知のレセプターの改善されたアゴニスト/アンタゴニストの開発を容易にし得る。
(薬学的組成物および治療用途)
本発明の薬学的組成物は、治療有効量において、本願発明のポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド(アンチセンスヌクレオチドおよびリボザイムを含む)を含み得る。本明細書中で使用されるように用語「治療有効量」は、所望の疾患もしくは状態を処置、改善、または予防するための、または検出可能な治療学的または予防的効果を示すための、治療薬剤の量をいう。効果は、例えば、化学マーカーまたは抗原レベルによって検出され得る。治療効果はまた、体温の低下のような身体的症状の減少を含む。被験体についての正確な有効量は、被験体の大きさおよび健康状態、状態の性質および程度、ならびに投与のために選択される治療薬または治療薬の組合せに依存する。従って、正確な有効量を予め特定することは有用でない。しかし、所定の状態についての有効量は、慣用的な実験法によって決定され、および臨床医の判断の範囲内である。本発明の目的のために、有効用量は、一般に、これが投与される個体において、約0.01mg/kg〜50mg/kg、または0.05mg/kg〜約10mg/kgのDNA構築物である。
薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、抗体またはポリペプチドのような治療薬剤、遺伝子、および他の治療薬剤の投与のためのキャリアをいう。この用語は、組成物を受ける個体に有害な抗体の生成をそれ自身誘導せず、および過度の毒性を伴わずに投与され得る任意の薬学的キャリアをいう。適切なキャリアは、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性なウイルス粒子のような大きな、ゆっくりと代謝される高分子であり得る。このようなキャリアは当業者に周知である。治療組成物における薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールのような液体を含み得る。湿潤化剤または乳化剤、pH緩衝化剤などのような補助物質もまた、このようなビヒクルに存在し得る。
代表的に、治療組成物は、注射可能な、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され;注射の前に液体ビヒクルにおける溶液または懸濁液に適切な固体形態もまた、調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの規定内に含まれる。薬学的に受容可能な塩もまた、薬学的組成物中に存在し得る(例えば、塩化水素塩、臭化水素塩、リン酸塩、硫酸塩などのような無機酸塩;および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩)。薬学的に受容される腑形剤の徹底的な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co.,N.J. 1991)において入手可能である。
(送達方法)
一旦処方されると、本発明の組成物は、(1)被験体に直接的に投与され得る(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとして)か;または(2)被験体から誘導される細胞にエキソビボで送達され得る(例えば、エクスビボ遺伝子治療におけるように)。組成物の直接的な送達は一般に、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内もしくは筋肉内、腫瘍内、または組織の間質腔への)によって達成される。投与の他の態様としては、経口投与および肺投与、坐剤、および経皮適用、針、および遺伝子銃またはハイポスプレイが挙げられる。投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数用量スケジュールであり得る。
エキソビボ送達および被験体への形質転換された細胞の再移植のための方法は、当該分野において公知であり、そして例えば、国際公開第WO93/14778号において記載される。エキソビボ適用において有用な細胞の例としては、例えば、幹細胞、特に造血幹細胞、リンパ細胞、マクロファージ、樹状細胞、または腫瘍細胞が挙げられる。一般に、エキソビボおよびインビトロ適用のための核酸の送達は、例えば、デキストラン媒介性のトランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、ポリブレン媒介性のトランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中のポリヌクレオチドのカプセル化、および核へのDNAの直接的なマイクロインジェクションによって達成され得、全て当該分野において周知である。
一旦、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子が、新生物、形成異常、および過形成のような、増殖障害と相関することが見出されると、障害は、提供されるポリヌクレオチド、対応するポリペプチド、または他の対応する分子(例えば、アンチセンス、リボザイムなど)に基づく治療薬剤の投与による処置に影響を受けやすい。
本発明の薬学的組成物の投与の用量および手段は、治療組成物の特定の質、患者の状態、年齢、および体重、疾患の進行、ならびに他の関連の因子に基づいて決定される。例えば、本発明のポリヌクレオチド治療組成物薬剤の投与は、局所投与または全身投与を含み、注射、経口投与、パーティクルガン、またはカテーテル法による投与、および局所的な投与が挙げられる。好ましくは、治療ポリヌクレオチド組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドの少なくとも12、22、25、30、または35の連続したntのポリヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーターを含有する発現構築物を含む。
種々の方法が、治療組成物を身体の特定の部位に直接的に投与するために使用され得る。例えば、小さな転移性病変が位置づけられ、そして治療組成物は、腫瘍の本体内のいくつかの異なる位置において数回注射される。あるいは、腫瘍を養う動脈が同定され、そして治療組成物は、組成物を腫瘍に直接的に送達するために、このような動脈に注射される。壊死中心を有する腫瘍は吸引され、そして組成物は、腫瘍のいまや空の中心に直接的に注射される。アンチセンス組成物は、例えば、組成物の局所的な適用によって腫瘍の表面に直接的に投与される。X線画像化は、特定の上述の送達法を補助するために使用される。
アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノムポリヌクレオチド、または特定の組織に対する抗体を含有する治療組成物のレセプター媒介性の標的化送達がまた、使用され得る。レセプター媒介性のDNA送達技術は、例えば、Findeisら、Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wuら、J. Biol. Chem.(1988)263:621;Wuら、J. Biol. Chem.(1994)269:542;Zenkeら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1990)87:3655;Wuら、J. Biol. Chem.(1991)266:338において記載される。ポリヌクレオチドを含有する治療組成物は、遺伝子治療プロトコルにおける局所投与について、約100ng〜約200mgのDNAの範囲において投与される。約500ngから約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲はまた、遺伝子治療プロトコルの間に使用され得る。作用の(例えば、コードされる遺伝子産物のレベルを増強するまたは阻害するための)方法、ならびに形質転換および発現の効率のような因子は、アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドの最大の効力のために必要とされる投薬量に影響する考慮事柄である。組織のより大きな領域にわたってより優れた発現が所望される場合、アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドのより多くの量、または投与の継続的なプロトコルにおいて再投与される同じ量、あるいは例えば、腫瘍部位の異なる近接のまたは近い組織部分への数回の投与が、ポジティブな治療結果を達成するために必要とされ得る。全ての場合において、臨床試験における慣用的な実験法は、至適な治療効果についての特定の範囲を決定する。抗炎症活性を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチド関連性の遺伝子についての、適切な使用、用量、および投与は、米国特許第5,654,173号において記載される。
本発明の治療ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達され得る。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス起源または非ウイルス起源であり得る(概して、Jolly、Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura、Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly、Human Gene Therapy(1995)1:815;およびKaplitt、Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと)。このようなコード配列の発現は、内因性の哺乳動物プロモーターまたは異種プロモーターを使用して誘導され得る。コード配列の発現は、構成的または調節性のいずれかであり得る。
所望のポリヌクレオチドの送達のためのウイルスベースのベクター、および所望の細胞における発現は、当該分野において周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルとしては、組換え体レトロウイルス(例えば、WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;米国特許第5,219,740号;WO93/11230;WO93/10218;米国特許第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;EP 0 345 242;およびWO91/02805を参照のこと)、αウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR 1249;ATCC VR−532)、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984、およびWO95/00655を参照のこと)が挙げられるが、これらに制限されない。Curiel. Hum. Gene Ther.(1992)3:147において記載されるような殺傷されたアデノウイルスに連結されるDNAの投与もまた、用いられ得る。
非ウイルス送達ビヒクルおよび方法がまた、用いられ得、これらの方法としては、殺傷されたアデノウイルス単独に連結されるかまたは連結されないポリカチオン性の濃縮されたDNA(例えば、Curiel,Hum. Gene Ther.(1992)3:147を参照のこと);リガンド連結化DNA(例えば、Wu、J. Biol. Chem.(1989)264:16985を参照のこと);真核生物細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;WO95/07994;WO96/17072;WO95/30763;およびWO97/42338を参照のこと)、ならびに核電荷中和、または細胞膜との融合が挙げられるがこれらに制限されない。裸のDNAもまた、用いられ得る。例示的な裸のDNAの導入方法は、WO90/11092および米国特許第5,580,859号において記載される。遺伝子送達ビヒクルとして作用し得るリポソームは、米国特許第5,422,120号;WO95/13796号;WO94/23697;WO91/14445;およびEP 0524968において記載される。さらなるアプローチは、Philip、Mol. Cell. Biol.(1994)14:2411、およびWoffendin、Proc. Natl. Acad. Sci.(1994)91:1581において記載される。
使用のために適切なさらなる非ウイルス送達は、Woffendinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1994)91(24):11581において記載されるアプローチのような機械的送達系を含む。さらに、コード配列およびこのような配列の発現の産物は、光重合化ヒドロゲル材料の沈着または電離放射線の使用を介して送達され得る(例えば、米国特許第5,206,152号およびWO92/11033を参照のこと)。コード配列の送達のために使用され得る遺伝子送達のための他の従来の方法としては、例えば、手持ちの遺伝子移入パーティクルガン(例えば、米国特許第5,149,655号を参照のこと)の使用;移入された遺伝子の活性化のための電離放射線の使用(例えば、米国特許第5,206,152号およびWO92/11033を参照のこと)が挙げられる。
本発明は、特に有利な実施態様を記載する以下の実施例を参照することによって、今、説明され得る。しかし、これらの実施態様は説明であって、本発明を制限するとしては決して解釈されないことに、留意されるべきである。
(実施例)
以下の実施例は、例示の目的のために主に提供される。本発明の処方物、投与量、投与の方法および他のパラメーターが、本発明の精神および範囲より逸脱せずに、種々の方法においてさらに改変され得るか、もしくは置換され得るということは、当業者に容易に明らかである。
(実施例1:生物学的材料の供給源および生物学的材料によって発現されるポリヌクレオチドの概要)
結腸癌において差次的に発現される遺伝子を同定するために、cDNAライブラリーをいくつかの異なった細胞株および組織源から調製した。表1は、これらのライブラリーの概要を提供し、省略したライブラリー名(本明細書において以後使用)、cDNAライブラリーを調製するのに用いたmRNA供給源、以下の表で用いられるライブラリーの「ニックネーム」(引用符で囲んで)、およびライブラリーにおけるおよそのクローン数が含まれる。cDNAライブラリーは、当該分野で周知の方法によって調製され、そしてcDNA挿入物の配列を周知の方法を用いて決定した。
KM12L4−A細胞株は、KM12C細胞株から誘導される(Morikawaら、Cancer Research(1988)48:6863)。KM12C細胞株は、あまり転移性でなく(低い転移性)、Dukes’stage B
2の外科的標本からの培養において樹立された(Morikawaら、Cancer Res.(1988)48:6863)。KML4−Aは、KM12Cから誘導された非常に転移性の亜株である(Yeatmanら、Nucl.Acids.Res.(1995)23:4007;Bao−Lingら、Proc.Annu.Meet.Am.Assoc.Cancer.Res.(1995)21:3269)。KM12CおよびKM12C由来の細胞株(例えば、KM12L4、KM12L4−Aなど)は、結腸癌の研究についてのモデル細胞株として当該分野において十分に認識される(例えば、Moriakawaら、前出;Radinskyら、Clin.Cancer Res.(1995)1:19;Yeatmanら(1995)前出;Yeatmanら、Clin.Exp.Metastasis(1996)14:246を参照のこと)。
MDA−MB−231細胞株は、元来胸水から単離され(Cailleau、J.Natl.Cancer.Inst.(1974)53:661)、高い転移可能性であり、そして乳癌と一致してヌードマウスにおいてあまり分化しない腺癌病期(grade)IIを形成する。MCF7細胞株は、乳腺癌の胸水から誘導され、そして非転移性である。これらの細胞株は、ヒト乳癌および肺癌の研究のためのモデルとして当該分野において十分に認識される(例えば、Chandrasekaranら、Cancer Res.(1979)39:870;Gastparら、J Med Chem(1998)41:4965;Ransonら、Br J Cancer(1998)77:1586;Kuangら、Nucleic Acids Res(1998)26:1116を参照のこと)。ライブラリー15〜20のサンプルは、2人の異なる患者(UC#2およびUC#3)から誘導される。GRRpzおよびWOca細胞株は、Donna M.Peehl博士、Department of Medicine、Stanford University School of Medicineによって提供された。GRRpzは、正常な前立腺上皮から誘導された。WOca細胞株は、Gleason病期4細胞株である。
それぞれのライブラリーは、示されるmRNA供給源において発現されるmRNAを順に表すcDNAクローンのコレクションから構成される。各ライブラリーにおける数百万の配列の分析を容易にするために、配列をクラスターに割当てた。「クローンのクラスター」の概念は、約300個の7bpオリゴヌクレオチドプローブのパネルへのそれらのハイブリダイゼーションパターンに基づくcDNAクローンの選別/グループ化に由来する(Drmanacら、Genomics(1996)37(1):29を参照のこと)。組織ライブラリーからのランダムなcDNAクローンを、300個の7bpオリゴヌクレオチドに中程度のストリンジェンシーでハイブリダイズさせる。各オリゴヌクレオチドは、その特定のクローンへの特異的なハイブリダイゼーションのいくつかの尺度を有する。300個のプローブについてのハイブリダイゼーションのこれらの尺度の300個の組合わせは、特定のクローンについての「ハイブリダイゼーション特徴」に等しい。類似の配列を有するクローンは、類似のハイブリダイゼーション特徴を有する。これらの特徴を分析するための選別/グループ化アルゴリズムを開発することによって、ライブラリーにおけるクローンの群が同定され得、そしてコンピューターで集められ得る。クローンのこれらの群は「クラスター」と呼ばれる。
アルゴリズムにおける選択のストリンジェンシー(古典的なライブラリーcDNAスクリーニングプロトコルにおけるハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに類似する)に依存して、各クラスターの「純度」が制御され得る。例えば、ちょうど人為的結果が、最も高いストリンジェンシーであってでも、400bp cDNAフラグメントを有するcDNAライブラリーの「wet−lab」スクリーニングにおいて生じ得るように、クラスター形成の人為的結果は、コンピューターによるクラスター形成において生じ得る。本明細書中のクラスターの実行において使用されるストリンジェンシーは、一般に同じcDNAまたは密接に関連するcDNA由来であるクローンの群を提供する。密接に関連するクローンは、同じcDNAの異なる長さのクローン、高度に関連した遺伝子ファミリー由来の密接に関連したクローン、または同じcDNAのスプライス改変体の結果であり得る。
選択したクラスターについての差次的な発現は、先ず第1のライブラリーにおいて選択したクラスターに対応するcDNAクローン(1回目におけるクローン)の数を決定し、そして第2のライブラリーにおいて選択したクラスターに対応するcDNAクローン(2回目におけるクローン)の数を決定することによって、評価された。第2のライブラリーに比較して第1のライブラリーにおいて選択したクラスターの差次的な発現は、2つのライブラリー間の発現パーセントの「比率」として表される。一般に、「比率」は:1)第1のライブラリーにおいて選択したクラスターに対応するクローンの数を、第1のライブラリーからの分析したクローンの総数で除算することによって、第1のライブラリーにおいて選択したクラスターの発現パーセントを算定し;2)第2のライブラリーにおいて選択したクラスターに対応するクローンの数を、第2のライブラリーからの分析したクローンの総数で除算することによって、第2のライブラリーにおいて選択したクラスターの発現パーセントを算定し;3)第1のライブラリーからの算定した発現パーセントを、第2のライブラリーからの算定した発現パーセントで除算することによって、算定される。ライブラリーにおける選択されるクラスターに対応する「クローンの数」が、ゼロである場合、算定を補助するために値は1に設定される。比率を算定する際に使用される式は、比較されるそれぞれのライブラリーの「深さ」、すなわち、各ライブラリーにおいて分析したクローンの総数を考慮する。
このライブラリー比較の結果として、17のポリヌクレオチド(添付の配列表において配列番号1、3、5、7、9、11〜13、15、16、18、20、22、24、26、27および29として列挙され、においてまとめられる)を、結腸癌患者の組織において差次的に発現された遺伝子に対応すると同定した。表2は以下を提供する:1)本明細書での使用のために各配列に割り当てられる配列識別番号(「ポリヌクレオチドの配列番号」);2)クラスター識別番号(「クラスター」);3)候補識別番号;4)ththe CHIR番号(これは、以下に議論されるアンチセンスオリゴの相互参照として提供される)、例えば、CHIR7は、対応するオリゴCHIR7−2AS(アンチセンス)およびCHIR7−RC(逆コントロール)を有する;5)配列の内部識別子として使用される配列名(「配列名」);6)配列が単離されたクローンに割り当てられた名前(「クローン識別番号」);7)同定されたオープンリーディングフレームの開始コドンおよび終止コドンの最初のヌクレオチド(「ORF開始」および「ORF終止」);ならびに8)必要に応じてコードポリペプチドに割り当てられる配列識別番号(「コードポリペプチドの配列番号」)。提供されるポリヌクレオチドが部分的なmRNA転写物を示すので、本発明の2つ以上のポリヌクレオチドは、同じmRNA転写物および同じ遺伝子の異なる領域を示し得る。従って、2つ以上の配列が同じクローンに属するとして同定される場合、いずれかの配列は、全長mRNAまたは全長遺伝子を得るために使用され得る。
表3は、1名の患者由来の結腸組織において差次的に発現した遺伝子に対応するポリヌクレオチドをまとめる。
(実施例2:本発明のポリヌクレオチドの分析および特徴付け)
提供されたポリヌクレオチドのいくつかは、遺伝子産物をコードする1つ以上の推定のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。これらのORFについての開始部位および終止部位を、表2に列挙する。
配列番号15は3つのORFを含む。第1のORFは、ヌクレオチド181〜ヌクレオチド361まで伸びる。第2のORFは、ヌクレオチド363〜ヌクレオチド542まで伸びる。第3のORFは、ヌクレオチド731〜ヌクレオチド911まで伸びる。
配列番号26は、39ヌクレオチドの挿入配列(ヌクレオチド269〜ヌクレオチド307まで)および2つのORFを含む。第1のORFは、ヌクレオチド33〜ヌクレオチド183まで伸びる。第2のORFは、ヌクレオチド420〜ヌクレオチド615まで伸びる。
配列番号29は、5’−RACEの結果による電子配列であり、2つのORFを含む。第1のORFは、ヌクレオチド40〜ヌクレオチド190まで伸びる。第2のORFは、ヌクレオチド388〜ヌクレオチド583まで伸びる。
(実施例3:タンパク質ファミリーのメンバー)
提供されるポリヌクレオチドの翻訳物は、タンパク質ファミリーまたは共通のモチーフのいずれかを規定するアミノ酸プロフィールを用いて整列され得る。本発明のポリヌクレオチドのいくつかは、公知のタンパク質ファミリーに属するポリペプチドの特徴を有し(従って、これらのタンパク質ファミリーの新たなメンバーを示す)、および/または公知の機能的なドメインを含む、ポリペプチドをコードすることが見出された。問合せ配列とタンパク質ファミリーまたはモチーフとの間の類似性を、(a)プロフィールに対して問合せ配列を比較することによって、および/あるいは(b)ファミリーまたはモチーフのメンバーと問合せ配列とを整列することによって、決定した。
それぞれのプロフィールヒットは、以下により詳細に記載される。表4は、プロフィール配列に対して類似性または同一性を有する遺伝子産物をコードする、提供されたポリヌクレオチドの対応配列番号を提供する。類似性(強いかまたは弱い)はまた、表4に記載される。プロフィールについての略語(カッコ内に提供される)は、PfamデータベースおよびPrositeデータベースにおけるプロフィールを同定するために使用された略語である。Pfamデータベースは、以下の任意のURL:http://pfam.wustl.edu/index.html;http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/;およびhttp://www.cgr.ki.se/Pfam/のいずれかを介してアクセスされ得る。Prositeデータベースは、http://www.expasy.ch/prosite/にてアクセスされ得る。種々のプロフィールに関してPfamデータベースおよびPrositeデータベースにおいて利用可能な公的な情報は、種々のタンパク質ファミリーおよびタンパク質ドメインの活性、機能、およびコンセンサス配列を含むがこれらに制限されず、本明細書中に参考として援用される。
(グリコシルヒドロラーゼファミリー5(GLYCOSYL_HYDROL_F5:Pfam登録番号PS00659;PDOC00565)。)
配列番号1は、グリコシルヒドロラーゼファミリー5のポリペプチドに対して相同性を有するポリペプチドをコードする遺伝子に対応する(Henrissat Biochem.J(1991)280:309−316)(セルラーゼファミリーAとしてもまた公知(HenrissatらGene(1989)81:83−95))。このファミリーのメンバーは、セルロースおよびキシランの分解に関与し、そして一般に、細菌、真菌、および酵母において見出される。このファミリーのメンバーに対するコンセンサスパターンは、以下である:[LIV]−[LIVMFYWGA](2)−[DNEQG]−[LIVMGST]−x−N−E−[PV]−[RHDNSTLIVFY](ここでEは、推定の活性部位残基である)。
配列番号1は、グリコシルヒドロラーゼのファミリーの1つのメンバーをコードする遺伝子に対応する(Henrissatら、Biochem.J.(1993)293:781−788)。これらの酵素は、少なくとも1つの保存されたグルタミン酸残基(またはアスパラギン酸残基)を含み、これは、求核性試薬として作用することによって、グリコシド結合の切断に直接関与することが示されている。
(Ank反復(ANK:Pham登録番号PF0023))
配列番号3は、Ank反復含有タンパク質をコードする遺伝子に対応する。アンキリンモチーフは、24個のタンデムな33アミノ酸モチーフを有するタンパク質アンキリンにちなんで名付けられた33アミノ酸の配列である。Ank反復は、もともと細胞周期制御タンパク質cdc10において同定された(Breedenら,Nature(1987)329:651)。アンキリン反復を含有するタンパク質としては、アンキリン、ミオトロピン(myotropin)、I−κBタンパク質、細胞周期タンパク質cdc10、Notchレセプター(Matsunoら,Development(1997)124(21):4265);主要組織適合遺伝子複合体のクラスIII領域のG9a(またはBAT8)(Biochem J.290:811−818,1993)、FABP、GABP、53BP2、Lin12、glp−1、SW14、およびSW16が挙げられる。アンキリン反復の機能は、タンパク質間相互作用における役割と適合する(Bork,Proteins(1993)17(4):363;LambertおよびBennet、Eur.J.Biochem.(1993)211:1;Kerrら,Current Op.Cell Biol.(1992)4:496;Bennetら,J.Biol.Chem.(1980)255:6424)。
(7回膜貫通型内在性膜タンパク質−−ロドプシンファミリー(7tm_1;Pfam登録番号PF00001))
配列番号3は、7回膜貫通型(7tm)レセプターロドプシンファミリーのメンバーであるポリペプチドをコードする遺伝子に対応する。(7tm)ロドプシンファミリーのG−タンパク質共役レセプター(R7Gともまた呼ばれる)としては、ホルモン、神経伝達物質、およびグアニンヌクレオチド結合(G)タンパク質との相互作用によって細胞外シグナルを導入する光レセプターが挙げられる(Strosberg A.D.Eur.J.Biochem.(1991)196:1、Kerlavage A.R.Curr.Opin.Struct.Biol.(1991)1:394、Probstら、DNA Cell Biol.(1992)11:1、Savareseら、Biochem.J.(1992)283:1、http:/www.gcrdb.uthscsa.edu/、http://swift.embl−heidelberg.de/7tm/)。保存されたトリプレットを含みかつまた第3の膜貫通ヘリックスの主要な部分に及ぶコンセンサスパターンは、この広範なファミリーのタンパク質を検出するために使用される:[GSTALIVMFYWC]−[GSTANCPDE]−{EDPKRH}−x(2)−[LIVMNQGA]−x(2)−[LIVMFT]−[GSTANC]−[LIVMFYWSTAC]−[DENH]−R−[FYWCSH]−x(2)−[LIVM]。
(EFハンド(EFhand;Pfam登録番号PF00036))
配列番号11および12は、EF−ハンドタンパク質のファミリーのタンパク質をコードする遺伝子に対応する。多くのカルシウム結合タンパク質は、同じ進化的なファミリーに属し、そしてEFハンドとして公知の型のカルシウム結合タンパク質を共有する(Kawasakiら、Protein.Prof.(1995)2:305−490)。この型のドメインは、両側で12残基のαヘリックスドメインに隣接する12残基ループからなる。EFハンドループにおいて、カルシウムイオンは、5角形の2錐体立体配座で配位される。結合に関与する6残基は、1位、3位、5位、7位、9位および12位にあり;これらの残基は、X、Y、Z、−Y、−Xおよび−Zによって示される。12位での不変(invariant)なGluまたはAspは、Caを連結するための2つの酸素を提供する(二座のリガンド)。コンセンサスパターンは、完全なEFハンドループ、ならびにループに続きかつ常に疎水性であるようである最初の残基を含む:D−x−[DNS]−{ILVFYW}−[DENSTG]−[DNQGHRK]−{GP}−[LIVMC]−[DENQSTAGC]−x(2)−[DE]−[LIVMFYW]。
(内因性レトロウイルスプロテアーゼ/インテグラーゼ)
配列番号15は、レトロウイルスpolタンパク質のヒト内因性レトロウイルスプロテアーゼ/インテグラーゼドメインに対して相同性のドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子に対応する。
(RNA認識モチーフ(rrm;Pfam登録番号PF00076))
配列番号16は、RNA認識モチーフ(またRRM、RBD、またはRNPドメインとしても公知)をコードする遺伝子に対応する。このドメインは、約90アミノ酸長であり、一本鎖RNAを結合する真核生物タンパク質に含まれる(Bandziulisら、Genes Dev.(1989)3;431−437;Dreyfussら、Trends Biochem Sci.(1988)13:86−91)。RNA結合ドメイン内の2つの領域は高度に保存される:第1は、6残基の疎水性セグメント(これはRNP−2モチーフと呼ばれる)であり、第2は、8ペプチドモチーフ(これはRNP−1またはRNP−CSと呼ばれる)である。コンセンサスパターンは:[RK]−G−{EDRKHPCG}−[AGSCI]−[FY]−[LIVA]−x−[FYLM]である。
(実施例4:本発明のポリヌクレオチドの検出および定量)
本発明のポリヌクレオチドを、患者の組織サンプル内において、逆転写酵素PCR(RT−PCR)によって検出および定量した。総RNA増幅を、LightCyclerTMサーマルサイクリングシステム(Roche Diagnostics)を使用して、提供されるプライマーおよびdsDNA結合色素SYBR Green Iを含む標準的なPCR反応において実施した。PCR増幅を、蛍光色素SYBR Green Iによってモニタリングした。この色素は、二本鎖DNAに結合した場合にのみ蛍光を発する。産物の特異性を、融解曲線分析によって確認した。
(標準的な調製)
1μgのヒト胎盤総RNA(Clontech,Palo Alto,CA)を、42℃で1時間逆転写し、次いで、20μlの全反応容量で94℃で5分間加熱した(1st−StrandTM cDNA合成キット、Clontech)。この反応混合物を、1×のテンプレート標準として使用した。次いで、1×テンプレート標準からの以下の系列希釈物を調製した:10−1×テンプレート標準、10−2×テンプレート標準、10−3×テンプレート標準、10−4×テンプレート標準、10−5×テンプレート標準、10−6×テンプレート標準。
(総RNAサンプル調製)
患者の組織サンプルを、凍結したTRIZOL試薬中で移送した。これらのサンプルを、TRIZOL試薬中でホモジナイズした。次いで、単離RNAにクロロホルムを添加し、続いてイソプロパノールでRNAを沈澱させた。このRNA沈殿物を75%エタノールで洗浄し、風乾し、次いで無RNase蒸留水中に溶解した。逆転写の前に、RNAサンプルをDNase I(無RNase)(2U/μl、Ambion,Austin,TX)で処理し、そしてRNeasy Mini Kit(Qiagen,Santa Clarita,CA)を使用して清浄化した。
(RT−PCR)
総RNAサンプルを、オリゴ−dT18プライマー(1st−StrandTM cDNA合成キット、Clontech)を用いて逆転写した。PCRを、以下の遺伝子特異的プライマーを使用して実施した:
β−アクチンおよびGAPDHを、陽性コントロールとして使用した。全てのPCR産物は、150〜250bpである。各LightCycler
TMキャピラリー中の20μlのPCR反応混合物は、2μlの10×PCR緩衝液II、3mM MgCl
2(Perkin−Elmer,Foster City,CA)、140μM dNTP、1:50000のSYBR Green I、0.25mg/ml BSA、1ユニットのTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)、0.175μMの各プライマー、2μlのRT反応混合物を含んだ。PCR増幅を、95℃での20秒間の変性で開始し、続いて45サイクルの95℃で5秒間の変性、60℃で1秒間のアニーリング、および72℃で30秒間の伸長を行った。最後のサイクルの終了時に、PCR産物を60℃で5秒間アニーリングし、次いで、0.2℃/秒で95℃までゆっくりと加熱して、特異的PCR産物の融解曲線を測定した。全ての実験を、二連で実施した。
データ分析を、定量および融解曲線オプションを用いて、LightCyclerTMソフトウェア(Roche Diagnostics)を使用して実施した。蛍光を、陽性コントロールおよび陰性コントロールに対して標準化する。
(結腸癌患者の組織全体における遺伝子の過剰発現)
以下の表に提供される結果は、直接採取され、顕微解剖されておらず(すなわち、組織全体の)、そして示されるプライマーを使用して増幅した、結腸組織サンプルから単離したポリヌクレオチドに対する蛍光データを含む。正常な細胞型、原発性腫瘍細胞型、および転移性細胞型を、それぞれN、PTおよびMetで表す。過剰発現を、転移性細胞または原発性腫瘍細胞のいずれか、あるいは両方を、正常細胞と比較することによって、決定した。各患者サンプルにおける示されるクラスターに対応する各遺伝子に対する結果を、以下の表に要約する。全ての値は、β−アクチンコントロールに対するレベルに調整されている。
結腸癌患者の上皮における遺伝子の過剰発現。以下の表に示される結果は、脂質なしで97%より高純度の上皮を得るために上皮振り落とし(shakeoff)法によって調製した、結腸上皮細胞から単離したポリヌクレオチドに対する蛍光データを含む。正常な細胞型、前癌(腺腫様ポリープ)細胞株、および原発性腫瘍細胞型を、それぞれN、polypおよびPTで表す。過剰発現を、原発性腫瘍細胞または前癌細胞のいずれか、あるいはその両方を、正常細胞と比較することによって、決定した。全ての値は、β−アクチンコントロールに対するレベルに調整されている。
(実施例5:ノーザンブロット分析)
癌性結腸細胞における差次的遺伝子発現を、ノーザンブロット分析のような他の技術によって、さらに確認し得る。ノーザン分析は、当該分野において周知の方法によって達成され得る。簡単に言えば、5mg/mlの変性一本鎖精子DNAを含むラピッド−Hyb緩衝液(rapid−Hyb buffer)(Amersham Life Science,Little Chalfont,England)を、65℃に予熱し、そしてヒト結腸腫瘍総RNAブロット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を、緩衝液中で振盪しながら、65℃で30秒間予備ハイブリダイズする。[α−32P]dCTP(3000Ci/mmol,Amersham Pharmacia Biotech Inc.,Piscataway,NJ)(Prime−It RmT Kit,Stratagene,La Jolla,CA)で標識し、そしてProbeQuantTM G−50 Micro Columns(Amersham Pharmacia Biotech Inc.)で精製した、遺伝子特異的DNAプローブ(1つの反応あたり50ng)を添加し、そして振盪しながら65℃で一晩、このブロットとハイブリダイズさせる。このブロットを、2×SSC、0.1%(w/v)SDSで室温で20分間、1×SSC、0.1%(w/v)SDSで65℃で15分間2回洗浄し、次いでHyperfilms(Amersham Life Science)に露出する。
(実施例6:結腸直腸癌腫における、SK2に対応する遺伝子(クラスター9083(c9083))(配列番号3)の発現の分析)
SK2の配列を含む遺伝子(これはクラスター番号9083にクラスター化する)の発現を、いくつかの癌細胞株(多数の結腸直腸癌腫細胞株を含む)において、定量的PCRによって試験した。発現を試験した細胞を、以下に要約する。
定量的リアルタイムPCRを、製造業者の指示に従ってRoche RNA単離キットを使用して、RNAを細胞からまず単離することによって、実施した。1マイクログラムのRNAを使用し、MMLV逆転写酵素(Ambion)を使用し、製造業者の緩衝液ならびに推奨される濃度のオリゴdT、ヌクレオチドおよびRnasinを使用して、第一鎖cDNAを合成した。この第一鎖cDNAは、機械の説明書において推奨されるように、Rocheライトサイクラーを使用する定量的リアルタイムPCRのためのテンプレートとして働いた。SK2(C9083)(配列番号3)に対応する遺伝子を、順方向プライマー5’−cgctgacctcaaccag−3’(配列番号60)および逆方向プライマー5’−ctgtttgcccgttcttattac−3’(配列番号61)を用いて増幅した。産物を、増幅が内部鎖と比較して増幅の直線段階に入るサイクルに基づいて、そして製造業者によって供給されるソフトウェアを使用して、定量した。第一鎖cDNA反応における、量または全テンプレートにおける小さな差異を、順方向プライマー5’−CGGGAAATCGTGCGTGACATTAAG−3’(配列番号56)および逆方向プライマー5’−TGATCTCCTTCTGCATCCTGTCGG−3’(配列番号57)を使用する別の定量的PCR反応において増幅したアクチンの量に対して標準化することによって、排除した。これらの結果を図1に示す。
(実施例7:SK2に対応する遺伝子(c9083)(配列番号3)の機能的分析)
SK2(c9083)(配列番号3)に対応する遺伝子の役割をさらに評価するために、この配列に対応する遺伝子に関する機能的情報を、アンチセンスノックアウト技術を使用して得た。手短に言えば、試験されるべき細胞型(c9083に対応する遺伝子によってコードされるポリペプチドを発現するSW620細胞またはHT1080細胞)を、およそ60〜80%のコンフルエンシーで、6ウェルのディッシュ、または増殖アッセイについては96ウェルのディッシュにプレートした。アンチセンスまたは逆コントロールオリゴヌクレオチドを、オプチメム(optimem)中2μMに希釈し、そして送達ビヒクル(SW620細胞の場合にはリピトイド(lipitoid)116−6、またはHT1080細胞の場合には1:1のリピトイド1:コレステロイド(cholesteroid)1)を希釈したオプチメムに添加した。次いで、このオリゴ/送達ビヒクル混合物を、細胞上の血清を含む培地中にさらに希釈した。全ての実験に対するオリゴヌクレオチドの最終濃度は300nMであり、そして全ての実験に対するオリゴ対送達ビヒクルの最終的な比は、1.5nmolリピトイド/μgオリゴヌクレオチドであった。細胞を37℃で一晩トランスフェクトし、そしてこのトランスフェクション混合物を、翌朝新しい培地と交換した。
以下のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、c9083(配列番号3)RNAを消耗する能力に関して試験した:
細胞に対するこのオリゴヌクレオチドの影響を、上記のようなPCRレベルの定量と、Stratagene Quantos
TMキットで定量されるようなDNA量を使用する増殖アッセイとの両方によって評価して、細胞数を決定した。
mRNAレベルの定量の結果を、図2に示す。4日間にわたる増殖に対するオリゴヌクレオチドの影響を、図3および4に示す。オリゴヌクレオチド処理なしの細胞(WT)は、コントロールとして働いた。オリゴCHIR−8−4ASが、9083cに対応する遺伝子に対するmRNAを減少させる際に最も効果的であった。これらのオリゴの、SW620細胞へのトランスフェクションは、整合した逆コントロールオリゴに対して減少した速度の増殖を生じ、CHIR−8−4の方が、CHIR−8−5よりいくらか効果的であった(図3)。重要なことに、同じアンチセンスオリゴヌクレオチドは、線維肉腫細胞株(HT1080)の増殖に影響を有さなかった(図4)。このことは、c9083に対応する遺伝子の機能的役割が組織特異的であること、さらに、c9083に対応する遺伝子が増殖に対して特異的影響を有することを示す。
次に、これらのオリゴを、それらの軟質寒天アッセイにおけるコロニー形成に対する影響に関して試験した。軟質寒天アッセイを、新たにプレートした培地中で細胞上への層形成の数時間以内に、2mlの0.6%寒天の底部層をまず確立することによって、実施した。0.05%トリプシンを使用してプレートから上記のようにトランスフェクトした細胞(陽性コントロールとしてのいずれかのアンチセンスk−Rasオリゴ)(CHIR−8−4、CHIR−8−5、CHIR−8−4RC、またはCHIR−8−5RC)を除去し、そして培地中で2回洗浄することによって、細胞層をこの底部層上に形成した。これらの細胞をCoulter計数器で計数し、そして培地中1mlあたり106で再懸濁させた。10μlのアリコートを、培地と共に96ウェルプレートにプレートし(WST1を用いた計数を確認するため)、または軟質寒天アッセイのためにさらに希釈した。2000の細胞を、二連のウェル中で0.6%寒天底部層の上に800μlの0.4%寒天にプレートした。細胞層の寒天が固化した後に、2mlの培地を頂部に滴下し、そしてアンチセンスまたは逆コントロールオリゴを、送達ビヒクルなしで添加する。新しい培地およびオリゴを、3〜4日ごとに添加する。コロニーが、10日間〜3週間で形成される。コロニーの領域を目視により計数した。WST−1代謝値を使用して、開始細胞数の小さな差異を補償し得る。より大きな領域を、差異の目視による記録のために走査し得る。
CHIR−8−4アンチセンスオリゴとCHIR−8−5アンチセンスオリゴとの両方が、コントロールのCHIR−8−4RCオリゴおよびCHIR−8−5RCオリゴと比較して減少したコロニーの大きさおよび数を導いた。これらの結果は、c9083(配列番号3)に対応する遺伝子を、治療的介在のための標的としてさらに確認する。
(実施例8:標的遺伝子へのメッセージレベルに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの影響)
本明細書中に記載の配列およびクラスターに対応する遺伝子へのメッセージレベルに対する、アンチセンスオリゴヌクレオチドの影響を、上記実施例においてc9083に関して記載したようなアンチセンスノックアウト技術を使用して、分析した。具体的には、c719、c1665、c3376、c115762、c454001、c3788805、およびc776682の各々に対応する遺伝子に関するアンチセンスオリゴを、上記のように調製した。一旦、合成および定量したら、これらのオリゴマーを、癌細胞株のパネルにおける転写ノックアウトの効率に関してスクリーニングした。ノックアウトの効率を、ライトサイクラー定量を使用してmRNAレベルを分析することによって決定した。最高レベルの転写ノックアウトを生じ、そのレベルが少なくとも約50%、好ましくは約80〜90%、95%まで、またはそれより高く検出不可能なメッセージであったオリゴマーを、細胞に基づく増殖アッセイ、足場非依存性増殖アッセイ、およびアポトーシスアッセイにおける使用のために選択した。
SW620細胞(これは、分析されるべき対応する遺伝子によってコードされるポリペプチドを発現する)を、およそ60〜80%のコンフルエンシーで、6ウェルのディッシュ、または増殖アッセイについては、96ウェルのディッシュにプレートした。各転写混合物に対して、キャリア分子(好ましくは、lipotoidまたはコレステロイド)を、水中0.5mMの作用濃度で調製し、超音波処理して均一な溶液を得、そして0.45μmのPVDF膜を通して濾過した。次いで、アンチセンスまたはコントロールオリゴヌクレオチドを、滅菌Millipore水中100μMの作用濃度で調製した。このオリゴヌクレオチドをOptiMEMTM(Gibco/BRL)中に、微量遠心チューブ中で、20μM、すなわち約20μgオリゴ/ml OptiMEMTMにさらに希釈した。別の微量遠心チューブ中で、リピトイドまたはコレステロイドを、代表的には約1.5〜2nmolのリピトイド/μgアンチセンスオリゴヌクレオチドの量で、オリゴヌクレオチドを希釈するために使用したと同容量のOptiMEMTMに希釈した。この希釈したアンチセンスオリゴヌクレオチドを即座に、希釈リピトイドに添加し、そして上下にピペッティングすることによって混合した。オリゴヌクレオチドを細胞に添加し、30nMの最終濃度とした。
目的の標的遺伝子に対応する標的mRNAの、トランスフェクトされた細胞におけるレベルを、癌細胞株において、Roche LightCyclerTMリアルタイムPCR機を使用して定量した。標的mRNAに関する値を、内部コントロール(例えば、β−アクチン)に対して標準化した。各20μlの反応に対して、抽出したRNA(一般に合計0.2〜1μg)を、0.5mlまたは1.5mlの滅菌した微量遠心チューブに入れ、そして総容量12.5μlまで水を添加した。各チューブに、7.5μlの緩衝液/酵素混合物を添加した。この混合物は、(列挙される順に)2.5μl H2O、2.0μl 10×反応緩衝液、10μl オリゴdT(20pmol)、1.0μl dNTP混合物(各10 mM)、0.5μl RNAsin(登録商標)(20u)(Ambion,Inc.,Hialeah,FL)、および0.5μl MMLV逆転写酵素(50u)(Ambion,Inc.)を混合することによって、調製された。これらの内容物を、上下にピペッティングすることによって混合し、そしてこの反応混合物を、42℃で1時間インキュベートした。各チューブの内容物を遠心分離し、その後、増幅した。
増幅混合物を、以下の順で混合することによって調製した:1×PCR緩衝液II、3mM MgCl2、140μMの各dNTP、0.175pmolの各オリゴ、1:50,000希釈のSYBR(登録商標)Green、0.25mg/ml BSA、1ユニットのTaqポリメラーゼ、および20μlまでのH2O。(PCR緩衝液IIは、10倍の濃度で、Perkin−Elmer,Norwalk,CTから入手可能である)。1倍の濃度において、この緩衝液は、10mMのTris(pH8.3)および50mM KClを含む。SYBR(登録商標)Green(Molecular Probes,Eugene,OR)は、二本鎖DNAに結合した場合に蛍光を発する色素である。増幅の間に二本鎖PCR産物が産生するにつれて、SYBR(登録商標)Greenからの蛍光が増加する。増幅混合物の各20μlのアリコートに、2μlのテンプレートRTを添加し、そして増幅を、標準的なプロトコルに従って実施した。
以下のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、示されるクラスターに対応する遺伝子のメッセージレベルを消耗する能力に関して試験した。標的遺伝子:オリゴ位置は、標的遺伝子が割り当てられるクラスターの名称および使用されたオリゴの名称を提供する。ASはアンチセンスを示す;RCは逆コントロールを示す。c9083に対応する遺伝子についてのデータを、比較のために提供する。
細胞に対するオリゴヌクレオチドの影響を、PCRレベルの定量によって評価した。このmRNAレベルの定量の結果を、すぐ上の表に要約する。
上記各遺伝子に対するメッセージの損失の影響を、上記実施例7に記載のように、細胞に基づくアッセイにおいて評価し得る。配列番号108によって記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドのこのような1つの使用は、実施例7におけるトランスフェクションプロトコルおよび増殖アッセイプロトコルに記載のように使用される場合に、SW620細胞の増殖の阻害を生じた(図5)。
(実施例9:c3376および402380に対応する遺伝子の発現の、増殖に対する影響)
c3376に対応する遺伝子(配列番号13に対応する遺伝子)および402380に対応する遺伝子(配列番号16に対応する遺伝子)の発現の、細胞増殖の阻害に対する影響を、結腸の結腸直腸癌腫細胞SW620において評価した。
細胞を、およそ60〜80%のコンフルエンシーで、96ウェルのディッシュにプレートした。アンチセンスまたは逆コントロールオリゴヌクレオチドを、OptiMEMTM中2μMに希釈し、そして送達ビヒクル(SW620細胞の場合にはリピトイド116−6、またはMDA−MB−231細胞の場合には1:1のリピトイド1:コレステロイド1)を希釈したOptiMEMTMに添加した。次いで、このオリゴ/送達ビヒクル混合物を、細胞上の血清を含む培地にさらに希釈した。全ての実験に対するオリゴヌクレオチドの最終濃度は、300nMであり、そして全ての実験に対するオリゴ対送達ビヒクルの最終的な比は、1.5nmolリピトイド/μgオリゴヌクレオチドであった。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、上記のように調製した。細胞を、37℃で一晩トランスフェクトし、そしてこのトランスフェクション混合物を、翌朝新しい培地と交換した。トランスフェクションを、上記実施例8に記載のように実施した。増殖を、当該分野において周知の方法に従って、比色試薬WST−1を使用して測定した。これらのアンチセンス実験の結果を、図6〜9に示す。Y軸上の値は、相対蛍光単位を表す。K−Rasに対するアンチセンスおよび逆コントロールオリゴは、このアッセイが予測どおりに実施されたことを実証するためのコントロールとして働いた(図6)。
(実施例10:軟寒天中のコロニー形成に対する遺伝子発現の効果)
SW620細胞のコロニー形成に対する402380に対応する遺伝子(配列番号16に対応する遺伝子)の発現の効果を、軟寒天アッセイ中で試験した。軟寒天アッセイを、細胞上での数時間の層形成中に新たにプレートした培地中で、2mlの0.6%寒天の底面層を最初に確立することによって、行なった。細胞層を、0.05%トリプシンを使用してプレートから上記のようにトランスフェクトした細胞を取り除き、そして培地中で2回洗浄することによって底面層上に形成した。細胞を、Coulterカウンター中で計数し、そして培地中で1m当り106に再懸濁した。10μlのアリコートを、96ウェルプレート中の培地と交換するか(WST−1での計数をチェックするために)、または軟寒天アッセイのためにさらに希釈した。2000の細胞を、0.6%寒天底面層上に二連で、800μlの0.4%寒天中にプレートした。細胞層寒天が凝固した後、2mlの培地を最上層に滴下し、そしてアンチセンスまたは逆コントロールオリゴ(上記のように生成された)を、送達ビヒクルなしで添加した。新しい培地およびオリゴを、3〜4日毎に添加した。コロニーは、10日〜3週間で形成した。コロニーの領域を、眼で計数した。Wst−1代謝値を使用して、開始細胞数における小さな差異を補正した。より大きい領域を、差異の視覚的記録のために走査した。
結果を、図9に示す。y軸は規定された領域あたりの細胞数を表し、WST−1を使用して細胞計数を容易にし、そしてコントロールに対して正規化する。K−Ras(kRAS 2576−asおよびkRAS 2576−rc)に対するアンチセンスおよび逆コントロールオリゴは、コントロールとして機能し、アッセイが予測したように働くことを実証した。
(実施例11:細胞死に対する遺伝子発現の効果)
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)細胞毒性アッセイにおける細胞死に対する、クラスター719(配列番号1に対応する遺伝子、CHIR−7);クラスター9083(配列番号3に対応する遺伝子、CHIR−8);クラスター1665(配列番号7および9に対応する遺伝子、CHIR−9);クラスター3376(配列番号13に対応する遺伝子、CHIR−11);クラスター115762(配列番号5に対応する遺伝子、CHIR−16);およびクラスター402380(配列番号16に対応する遺伝子、CHIR−33)に対応する遺伝子の発現の効果を、HT1080細胞(ヒト線維肉腫細胞株)、SW620細胞、および転移性乳癌細胞株(MDA−MB−231(「231」))細胞中で試験した。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)細胞毒性アッセイは、基本的に以下の通りである:
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)細胞毒性アッセイは、基本的に以下のようにして行なった:
1日目:細胞を、代表的に5000細胞/ウェルで、4つの別々の96ウェルプレート中に播種し、そして37℃および5%CO2でインキュベートした。
2日目:細胞を、実施例4において基本的に使用されるように、アンチセンスおよび逆相補体コントロールでトランスフェクトした。1つのプレート(0日目)を、播種コントロールとしてトランスフェクトしないままとした。
トランスフェクションを、WO01/16306(その全体が本明細書中で参考として援用される)において記載されるように、送達のための液体ビヒクルを使用して行なった。簡単にいうと、トランスフェクションは、例えば、米国番号60/023,867、同60/054,743、および同09/132,808に基づく、PCT公開WO01/16306、WO98/06437およびWO99/08711(これらはまた、本明細書中で参考として援用される)において記載される「リピトイド(lipitoid)」および「コレステロイド(cholesteroid)」として公知の薬剤を使用した。これらの脂質−陽イオン性ペプトイド結合体は、インビトロでの細胞へのプラスミドDNAの送達のための効果的な試薬であることが、これらの参考文献中に示されている。上記の出願において記載されるキャリアのいずれかは、本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドのトランスフェクションにおける使用に適切である。
これらの化合物は、従来の溶液または固相合成によって調製し得る。1つのこのような手順において、上に引用される、WO99/08711において記載されるように、樹脂結合ペプトイドのN末端は、Fmocアミノヘキサン酸またはFmoc−3−アラニンのようなスペーサーでアシル化されている。Fmoc基の除去後、第一級アミノ基は、コレステロールクロロギ酸エステルと反応し、カルバメート結合を形成する。次いで、この生成物を、トリフルオロ酢酸で樹脂から切断し、そして逆相HPLCによって精製する。脂肪酸由来脂質部分(例えば、リン脂質)を、ステロイド部分の代わりに使用し得る。ステロイドまたは他の脂質部分をまた、当業者に容易に利用可能な、任意の効果的な長さの他の連結によって、ペプトイド部分に連結し得る。
細胞型に依存して、異なる脂質ビヒクルを、異なる長さの時間のトランスフェクションのために使用する。しかし、トランスフェクション時間は、24時間を超えなかった。トランスフェクションを、完全培地で行ない、そして最終アンチセンス濃度は、1ウェル当り300nMであった。薬物を含むウェル中で、薬物を、トランスフェクションの始めに培養物に添加した。
3日目で開始:1日当り1プレートで細胞を取り除き、そして上清へのLDHの放出ならびにインタクトな細胞中のLDHを、製造業者の推奨に従ってRocheからのキットを使用して測定した(Roche Diagnostics,Basel,Switzerland)(データを1日目、2日目、3日目と標識した)。
各サンプルについて、総LDHと比較した放出されたLDHの相対的レベルを調査することによって分析し、ここで、総LDHの部分としての増加は、増加した細胞死(培地中の放出されたLDHのより高い比率に起因する)を示す。データを、未処理のコントロール(オリゴなし)との比較によって定量的に評価した。このアッセイは、特定の遺伝子についてのメッセージのアンチセンス誘導性減少が、単独で使用された場合に細胞死を引き起こすか否か、またはメッセージのこの減少が、薬物の効果に対して細胞を感作するか否かに関する決定を可能にする。
結果を、直ぐ下の表に示す。
(実施例12;アレイを使用する差次的発現の検出)
患者から得られた癌性および正常な結腸組織のサンプルから単離したmRNAを分析して、癌性細胞および正常細胞において差次的に発現される遺伝子を同定した。凍結保存された患者組織から回収された正常細胞および癌性細胞を、レーザー捕捉顕微解剖(LCM)技術を使用して単離した。これらの技術は当該分野で周知である(例えば、Ohyamaら(2000)Biotechniques 29:530−6;Curranら(2000)Mol.Pathol.53:64−8;Suarez−Quianら(1999)Biotechniques 26:328−35;Simoneら(1998)Trends Genet 14:272−6;Coniaら(1997)J.Clin.Lab.Anal.11:28−38;Emmert−Buckら(1996)Science 274:998−1001を参照のこと)。
表5(図面の簡単な説明の前に挿入されている)は、サンプルが単離された各患者についての情報を提供し、これらは、以下を含む:「患者ID」および「症状報告ID」(これらは、患者に割り当てられた番号および識別目的のための症状報告である);「群」(患者が割り当てられる);腫瘍の解剖位置(「解剖位置」);「原発性腫瘍サイズ」;「原発性腫瘍等級」;組織病理学的等級の識別(「組織病理学的等級」);腫瘍が浸潤した局所的部位の説明(「局所的浸潤」);リンパ節転移の存在(「リンパ節転移」);リンパ節転移の発生率(調査されたリンパ節の数に対する転移について陽性のリンパ節の数として提供される)(「リンパ節転移の発生率」);「局地的リンパ節等級」;腫瘍およびこれらの位置に対して離れた部位への転移の同定または検出(「遠隔転移&位置」);遠隔転移の説明(「遠隔転移の説明」);遠隔転移の等級(「遠隔転移等級」);および患者または腫瘍についての一般的なコメント(「コメント」)。線腫は、患者のいずれにも記載されていない;線腫異形成(病理学者によって過形成として記載される)は、患者ID番号695において記載されている。結節外伸展が、2人の患者(患者ID番号784および791)において記載された。リンパ管浸潤は、7人の患者(患者ID番号128、278、517、534,784、786、および791)において記載された。クローン病様浸潤が、7人の患者(患者ID番号52、264、268、392、393、784および791)において記載された。
(差次的に発現された遺伝子の同定)
cDNAプローブを、上記の患者細胞から単離した総RNAから調製した。LCMは、実質的に同質の細胞サンプルを提供するために特定の細胞型の単離を提供するので、これは、同様に純粋なRNAサンプルについて提供した。
総RNAを、まずT7RNAポリメラーゼプロモーターを含むプライマーを使用してcDNAに逆転写し、第2鎖DNA合成を行なった。次いで、cDNAを、インビトロで転写して、T7プロモーター媒介発現を使用してアンチセンスRNAを生成し(例えば、Luoら(1999)Nature Med 5:117−122)、次いでアンチセンスRNAを、cDNAに変換した。第2のセットのcDNAを、T7プロモーターを使用して再びインビトロ転写して、アンチセンスRNAを提供する。必要に応じて、RNAを、再びcDNAに変換し、3回目までのT7媒介増幅を可能にし、さらにアンチセンスRNAを生成する。従って、この手順は、2回または3回のインビトロ転写を提供し、蛍光標識のために使用される最終RNAを生成する。
蛍光プローブを、まずコントロールRNAをアンチセンスRNAミックスに添加し、そしてRNA開始材料から蛍光標識したcDNAを生成することによって作製した。腫瘍RNAサンプルから調製した蛍光標識したcDNAを、正常細胞RNAサンプルから調製した蛍光標識したcDNAと比較した。例えば、正常細胞由来のcDNAプローブを、Cy3蛍光色素(緑色)で標識し、そして腫瘍細胞から調製したcDNAプローブを、Cy5蛍光色素(赤色)で標識した(逆もまた同様)。
使用した各アレイは、同一の空間レイアウトおよびコントロールスポットセットを有した。各マイクロアレイを2つの領域に分け、各領域は、各半面に、12のグループの32×12スポットを有するアレイ(各アレイあたり合計約9,216スポット)を有した。1つのアレイ当り各クローンの少なくとも2つの複製物を提供する2つの領域を、同一にスポットした。
アレイ上での使用のために本明細書中で記載される差次的に発現される遺伝子に対応するポリヌクレオチドを、公に利用可能な供給源、ならびに選択した細胞株および患者組織から作製したcDNAライブラリーの両方から得た。これらの供給源から増幅された約0.5kb〜2.0kbのPCR産物を、製造業者の推奨に従って、Molecular Dynamics GenIII spotterを使用して、アレイにスポットした。アレイ上の24領域の各々の第1列は、4つのネガティブコントロールスポットおよび8つの試験ポリヌクレオチドを含む、約32のコントロールスポットを有した。試験ポリペプチドを、2〜600pg/スライドの濃度範囲および1:1の比での標識反応の前に、各サンプルにスパイクした。各アレイ設計について、2つのスライドを、標識反応において逆標識した試験サンプルとハイブリダイズした。これは、各クローンについて約4連測定(各サンプルについてある色のものを2つ、他の色のものを2つ)を提供する。
差次的な発現アッセイを、同じ患者の腫瘍細胞および正常細胞由来の同じ量のプローブを混合することによって、行なった。このアレイを、5×SSC/0.2%SDS/1mM EDTA中、60℃で約2時間のインキュベーションすることによってプレハイブリダイズし、次いで、水中で3回そしてイソプロパノール中で2回洗浄した。アレイのプレハイブリダイゼーション後、プローブ混合物を、高ストリンジェンシーの条件下(50%ホルムアミド、5×SSC、および0.2%SDS中42℃で一晩)でアレイにハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、アレイを、55℃で3回、以下のようにして洗浄した:1)1×SSC/0.2%SDS中の第1の洗浄;2)0.1×SSC/0.2%SDS中の第2の洗浄;および3)0.1×SSC中の第3の洗浄。
次いで、アレイを、Molecular Dynamics GenerationIII dual color laser−scanner/detectorを使用して緑色および赤色蛍光についてスキャンした。画像を、BioDiscovery Autogeneソフトウェアを使用して処理し、そして各スキャンセットからのデータを正規化して、正常と比較した発現の比を提供した。マイクロアレイ実験からのデータを、E.J.Moler,M.A.BoyleおよびF.M.Randazzoによる表題「Precision and accuracy in cDNA microarray data」の米国特許出願番号60/252,358(2000年11月20日出願、この出願は、参考として本明細書中に詳細に援用される)において記載されるアルゴリズムに従って分析した。
この実験を繰り返し、今回は、両方の「色の方向」でアッセイを行なうために、反対の色で2つのプローブを標識する。各実験を、時々2つ以上のスライドで繰り返した(各色の方向で1つ)。アレイ上の各配列についての蛍光レベルを、4つのアレイ由来の8つの複製スポット/遺伝子、または2つのアレイもしくは他の順列由来の4つの複製スポット/遺伝子の相乗平均の比として表した。データを、各複製領域に存在するスパイクされたポジティブコントロールを使用して正規化し、そしてこの正規化の精度は、各示差の有意性の最終決定に含まれた。各スポットの蛍光強度をまた、各複製領域におけるネガティブコントロールと比較して、どのスポットが、各サンプルにおいて有意な発現レベルを検出したかを決定した。
蛍光強度の統計学的分析を複製スポットの各セットに適用し、各差次的測定の精度および有意性を評価し、各患者の腫瘍細胞と正常細胞との間の発現レベルにおいて差異が存在しないという帰無仮説を試験するp値を得た。マイクロアレイの最初の分析の間、p>10−3の場合、仮説は受け入れられ、そして差次的な比は、これらのスポットについて1.000に設定された。他の全てのスポットは、腫瘍サンプルと正常サンプルとの間で有意な差異を有する。腫瘍サンプルが検出可能な発現を有し、そして正常サンプルが有さない場合、正常サンプルに対する発現の値は0となるので、比は、1000で切り捨てられ、そして比は、数学的に有用な値ではない(例えば、無限大)。正常サンプルが検出可能な発現を有し、そして腫瘍サンプルが有さない場合、腫瘍サンプルにおける発現についての値は0であり、そして比は数学的に有用な値ではないので、比は、0.001で切り捨てられる。これらの後者の2つの状況は、本明細書中で「オン/オフ」としていわれる。データベース表を、95%信頼レベル(p>0.05)を使用して、集団化した。
結果を、以下の表6に提供する。この表は、以下を含む:1)配列番号;2)サンプル識別(サンプルID);3)スポット識別番号(「スポットID」);および4)遺伝子の発現レベルが適合した正常組織におけるよりも癌性組織において少なくとも2倍を超える、試験された患者の割合(「補正した結腸患者のp値95_>=2x」)。差次的発現の比は、正常なプローブを用いる正規化されたハイブリダイゼーションシグナルによって除算された、腫瘍プローブと結合する正規化されたハイブリダイゼーションシグナルとして表される。従って、1を超える比は、遺伝子産物が、正常な細胞と比較して癌性細胞における発現において増加することを示すが、1未満の比は、反対を示す。
これらのデータは、示された配列を有するポリヌクレオチドによって示される遺伝子が結腸癌において差次的に発現される証拠を提供する。
当業者は、せいぜい慣用的である実験を使用して、本明細書中に記載される本発明の特定の実施態様に対する多くの等価物を認識するか、または確認し得る。このような特定の実施態様および等価物は、前記の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
本明細書中に引用される全ての刊行物および特許出願は、各々個々の刊行物または特許出願が参考として援用されるように明確かつ個々に示されるのと同様に、本明細書において参考として援用される。任意の刊行物の引用は、出願日より前のその開示に対してであり、そして本発明が、先行する発明に基づいてこのような刊行物に先立つように権利を与えられないという承認として解釈されるべきではない。
上述の発明は、理解の明瞭化の目的のために図および実施例によって幾分詳細に記載されたが、これは、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなくそれに対してなされ得ることが、本発明の教示に鑑みて、当業者に容易に明らかである。
(寄託情報)
以下のウイルスの生物学的に純粋な培養物の寄託は、本願の出願日またはそれ以前に、ブタペスト条約の規定の下で、American Type Culture Collection,10801 University Blvd.,Manassa,VA 20110−2209で行なわれた。示された登録番号は、首尾良い生存度試験の後に割り当てられ、そして必要な料金が支払われた。上記培養物へのアクセスは、37 C.F.R.§1.14および35U.S.C.§122の下で権利付与される委員によって決定された者に対して、特許出願の係属の間、利用可能である。公への上記培養物の利用可能性に対する全ての制限は、出願に基づく特許の譲渡の際に、取り消し不能に取り除かれる。さらに、示された寄託物は、寄託の日付から30年間、または寄託についての最後の要求後5年間;または米国特許の効力のある間(これらのうちのより長い期間)、維持される。培養物が生存可能でなくなるか、または不注意に破棄されるか、プラスミド含有株の場合にそのプラスミドを失う場合、これは、同じ分類学的説明の生存可能な培養物と交換される。
これらの寄託物は、当業者に対する利便性のために提供され、そして寄託物が要求される承認ではない。これらのプラスミドの核酸配列、およびそれによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書中の記載とのいずれの衝突の事象をも制御する。寄託された材料を作製、使用、販売するためには、許可が必要であり得、そしてこのような許可は、本明細書によって認可されない。
さらに、選択されたクローンのプール、ならびに特定のクローンを含むライブラリーは、「ES」番号(内部参照)を割り当てられ、そしてATCCに受託された。以下の表7は、ES寄託物のATCC受託番号を提供する。これらの全ては、本願の出願日またはそれ以前に寄託された。
(プールされたクローンの寄託物からの個々のクローンの回収)
ATCC寄託物がcDNAのクローンのプールまたはcDNAクローンのライブラリーから構成される場合、この寄託物を、各クローンを別々の細菌細胞にまずトランスフェクトすることによって調製した。次いで、プールまたはライブラリー中のクローンを、複合性(composite)の寄託物中の等価な混合物のプールとして寄託した。特定のクローンを、当該分野で周知の方法を使用して複合性の寄託物から獲得し得る。例えば、特定のクローンを含む細菌細胞を、単一のコロニーを単離することにより、およびクローンインサートの配列に特異的にハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブまたはプローブ(例えば、示された配列番号を有するコードされたポリヌクレオチドのマスクされていない配列に基づくプローブ)を使用して、標準的なコロニーハイブリダイゼーション技術によって特定のクローンを含むコロニーを同定することにより、同定し得る。このプローブは、約80℃(AまたはTの各々について2℃、およびGまたはCの各々について4℃を仮定する)のTmを有するように設計されるべきである。次いで、陽性コロニーを採集し得、培養中で増殖させ、そして組換えクローンを単離した。あるいは、この様式において設計されたプローブをPCRに使用して、当該分野で周知の方法(例えば、寄託された培養プールからcDNAを精製することによって、および対応する所望のポリヌクレオチド配列を有する増幅産物を生成するためのPCR反応においてこのプローブを使用して)に従ってプールされたクローンから核酸分子を単離し得る。
図1は、示された細胞株中の、SK2(c9083、配列番号3)に対応する遺伝子のメッセージレベルを示すグラフである。
図2は、SK2(配列番号3)に対応する遺伝子のメッセージレベルに対するSK2(9083)アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を示すグラフである。
図3は、SW620細胞の増殖に対するSK2(9083)アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を示すグラフである。
図4は、非結腸細胞株であるHT1080の増殖に対するSK2(9083)アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を示すグラフである。
図5は、SW620細胞の増殖に際しての、クラスター378805に対応する遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を示すグラフである(31−4as:アンチセンス、31−4rc:逆コントロール、WT:野生型コントロール(オリゴなし))。
図6は、K−Ras(コントロール)の発現の効果を試験するために、SW620アッセイを用いる増殖アッセイの結果を示すグラフである。
図7は、c3376に対応する遺伝子(CHIR11−4)の発現の効果を試験するために、SW620アッセイを用いる増殖アッセイの結果を示すグラフである。
図8は、402380に対応する遺伝子(CHIR33−4)の発現の効果を試験するために、SW620アッセイを用いる増殖アッセイの結果を示すグラフである。
図9は、軟寒天におけるSW620細胞の結腸形成に対する、K−Rasに対応する遺伝子(コントロール)および402380に対応する遺伝子(CHIR33−4)の発現の効果を示すグラフである(値は、WST1に対して正規化される)。