JP2009094918A - バックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エレクトレット誘電体膜付き固定極(エレクトレットボード)に存在する湾曲や凹凸等の影響を反映した実際の表面電圧を測定できるようにする。
【解決手段】支持リングに張設されている振動板と、振動板と対向する表面にエレクトレット誘電体膜22を一体的に備え絶縁座23に支持されている固定極21とをスペーサリングを介して対向的に配置してなるバックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法において、絶縁座23に支持されている状態での固定極21に対して、固定極21の有効電極面とほぼ同一の表面積を有する集電電極41を所定の間隔をもって対向的に配置し、固定極21と集電電極41との間の電圧を振動容量型表面電圧計40を用いて測定する。
【選択図】図1
【解決手段】支持リングに張設されている振動板と、振動板と対向する表面にエレクトレット誘電体膜22を一体的に備え絶縁座23に支持されている固定極21とをスペーサリングを介して対向的に配置してなるバックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法において、絶縁座23に支持されている状態での固定極21に対して、固定極21の有効電極面とほぼ同一の表面積を有する集電電極41を所定の間隔をもって対向的に配置し、固定極21と集電電極41との間の電圧を振動容量型表面電圧計40を用いて測定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、バックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法に関し、さらに詳しく言えば、固定極に存在する湾曲や凹凸等の影響を反映した実際の表面電圧を得るための固定極の表面電圧測定方法に関するものである。
図2に示すように、コンデンサマイクロホンユニットは、振動板10と固定極21とを電気絶縁性のスペーサリング30を挟んで対向的に組み合わせてなる音響電気変換器を備えており、このうち、固定極21側にエレクトレット誘電膜22を有するユニットがバックエレクトレット型であり、これに対して、振動板10側にエレクトレット誘電膜を有するユニットは膜エレクトレット型と呼ばれている(例えば、特許文献1参照)。なお、以下の説明において、エレクトレット誘電膜22を有する固定極21をエレクトレットボード(参照符号20)ということがある。
バックエレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットにおいて、振動板10には、通常のコンデンサマイクロホンユニットと同じく、例えば金属蒸着膜を有するPET(Poly Ethylen Terphtalate)等の合成樹脂フィルムが用いられ、金属製の支持リング11に所定の張力を持って張設された状態で、図示しないユニットケース内に組み込まれる。
また、エレクトレットボード20も、合成樹脂製の絶縁座23に支持された状態で上記ユニットケース内に組み込まれるが、絶縁座23には固定極21と電気的に接続される信号取り出し用の電極ロッド端子24が設けられる。単一指向性のユニットの場合、図示しない後部響端子孔からの音波を振動板10の背面に伝えるための複数の音孔20aが設けられる。
エレクトレット誘電膜22には、FEP(フロロエチレンポリマー)等のエレクトレット材が用いられ、この種のエレクトレット材は例えばコロナ放電等により直流の高電圧が印加されると分極化し、その電圧除去後においても分極化が残存する特異な性質を有している。
このように、エレクトレットコンデンサマイクロホンユニットにおいては、エレクトレット材を分極化処理することにより成極電圧を得ているため、DC−DCコンバータ等の成極電源が不要であり、マイクロホンの電子回路を簡素化することができる。
また、エレクトレット材自体が電気絶縁体で、電荷がエレクトレット層に閉じこめられ移動しないことから、成極電圧(バイアス電圧)として永年にわたって使用することができる。
ところで、エレクトレットボード20のエレクトレット電圧を高くすると、それに伴って高い感度が得られるが、他方において、振動板10とエレクトレットボード20との静電吸引力も大きくなり、振動板10がエレクトレットボード20側に過度に吸着され、マイクロホンとしての性能,機能が損なわれることがある。
マイクロホンの設計においては、上記静電吸引力による振動板の吸着が保存環境や使用環境によって発生しないように吸着安定度μを設定する。吸着安定度μは、次式によって表される。
μ=A×s0×(db3/Eb2)
(式中、Aは真空の誘電率,振動板の有効面積,振動板と固定極間の距離を含む比例定数、s0は振動板のスチフネス、dbは振動板と固定極間の距離、Ebは固定極の表面電圧である。)
(式中、Aは真空の誘電率,振動板の有効面積,振動板と固定極間の距離を含む比例定数、s0は振動板のスチフネス、dbは振動板と固定極間の距離、Ebは固定極の表面電圧である。)
通常、携帯電話機用途等の安価なユニットでは、μ=7程度に設定されるが、例えばスタジオ収音用の高性能ユニットになると、μ=2前後に設定される。
振動板のスチフネスs0は、例えば特許文献2に記載の発明によって、そのバラツキをある程度の範囲内に抑えることができる。したがって、吸着安定度μを決めるにあたって問題となるのが、エレクトレットボード20の加工上の平坦度と、エレクトレットボード20に印加される表面電圧である。
図3(a)に図2から抜き出したエレクトレットボード20単体の平面図を示し、図3(b)にそのA−A線断面図を示すが、通常、エレクトレットボード20の直径はたかだか20mm程度であるため、実際の生産工程では量産性の観点から、エレクトレット誘電体膜を溶着した例えばアルミニウムや黄銅合金等からなるマザーの金属板から、プレス加工により一度に多数のエレクトレットボード20を得るようにしている。
しかしながら、プレスによりマザーの金属板からエレクトレットボード20を打ち抜く際、エレクトレットボード20自体が凸状もしくは凹状に変形することがある。図4(a)にエレクトレットボード20が振動板10側に向けて凸状に変形した状態を誇張して示し、図4(b)に凹状に変形した状態を誇張して示す。
また、図4(c)に誇張して示すように、エレクトレットボード20の周縁部にダレもしくはバリが発生することがある。同じく、図4(d)に誇張して示すように、音孔20aの周りにも、ダレもしくはバリが発生することがある。
表面電圧計には、振動容量型(例えば、川口電気製作所製MMA2−17B(製品名))と、振動セクター型(例えば、川口電気製作所製S2002A(製品名))とがあるが、振動容量型は、測定ヘッドと被測定面との距離が変化すると測定値も変化し、また、漏洩電流で測定値がドリフトしやすい。これに対して、振動セクター型は、測定ヘッドと被測定面との距離が変化しても測定値の変化が少なく、また、漏洩電流による測定値のドリフトがほとんど見られない。
このため、従来では、エレクトレットの表面電圧の測定には、振動セクター型表面電圧計が用いられている。このほか、上記した特性から、振動セクター型表面電圧計は、複写機の感光ドラムの帯電量の測定など、多くの分野で好ましく採用されている。
プレスにより打ち抜かれたエレクトレットボード20には、図4(a)〜(d)に示したように、多かれ少なかれ湾曲や凹凸等が存在しているが、振動セクター型表面電圧計でエレクトレットボード20の表面電圧を測定すると、湾曲や凹凸等による影響が排除されて表面電圧が測定されることになる。
そのため、測定された表面電圧がほぼ同じであっても、例えば図4(a)のように、中央部分が振動板側に凸状に湾曲したエレクトレットボードでは吸着が発生し、図4(b)のように、中央部分が反振動板側に凹状に湾曲したエレクトレットボードでは十分な感度が得られなくなる、という問題がある。
本出願人は、特許文献2において、振動板と固定極とを組み合わせた状態でエレクトレットの表面電圧を測定する方法を提案している。これによれば、湾曲や凹凸等がある固定極でも、感度を均一に揃えることができるが、吸着安定度については正確に確認することができない。
そこで、本出願人は、特許文献3において、エレクトレットボードの平坦性を簡単に検査できるようにするため、表面が平坦な鏡面に仕上げられた金属製の検査基台上に、分極化処理されていないエレクトレットボードを載置し、検査基台とエレクトレットボードとの間の静電容量を測定し、その静電容量に基づいてエレクトレットボードの平坦性を検査する方法についても提案している。
特許文献3に記載の発明によれば、測定された静電容量値により、湾曲や凹凸等が基準値内に収まっているエレクトレットボードを選別することができるが、これは分極化処理前での選別であり、実際に分極化処理した際の表面電圧がどうような値を示すかまでは知り得ない。
したがって、本発明の課題は、エレクトレット誘電体膜付き固定極(エレクトレットボード)に存在する湾曲や凹凸等の影響を反映した実際の表面電圧を測定できるようにすることにある。
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されているように、支持リングに張設されている振動板と、上記振動板と対向する表面にエレクトレット誘電体膜を一体的に備え絶縁座に支持されている固定極とを電気絶縁性のスペーサリングを介して対向的に配置してなるバックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法において、上記絶縁座に支持されている状態での上記固定極に対して、上記固定極の有効電極面とほぼ同一の表面積を有する集電電極を所定の間隔をもって対向的に配置し、上記固定極と上記集電電極との間の電圧を振動容量型表面電圧計を用いて測定することを特徴としている。
本発明において、請求項2に記載されているように、上記集電電極と上記固定極との間隔を、上記絶縁スペーサによる上記振動板と上記固定極との間の間隔よりも狭くすることが好ましい。
固定極(エレクトレットボード)に湾曲や凹凸等があると、集電電極と固定極との間の間隔(距離)は一定ではなく、部分的に狭くなったり広くなったりする。したがって、表面電圧計として、測定ヘッドと被測定面との距離によって測定値が変化する振動容量型表面電圧計を用いるようにした本発明によれば、固定極に存在する湾曲や凹凸等の影響を反映した実際の表面電圧を測定することができる。これは、振動板と固定極とを組み合わせて音響電気変換器を組み立てる場合、それらの間の電界を均一にするうえで有用である。
また、表面電圧の測定時に、集電電極と固定極との間隔を、絶縁スペーサによる振動板と固定極との間の間隔よりも狭くすることにより、固定極表面の湾曲や凹凸等の影響が測定値により一層反映されることから、さらに測定精度が高められる。
次に、図1により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は本発明による固定極の表面電圧測定状態を示す模式図である。なお、バックエレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットの構成については、先に説明した図2を参照されたい。
図1に示すように、固定極21には、振動板10と対向する側の面にエレクトレット誘電体膜22が一体的に接合されている。このエレクトレットボード20において、エレクトレット誘電体膜22には、コロナ放電等により分極化処理が施されている。
エレクトレットボード20は、絶縁座23に支持され、かつ、固定極21に電極ロッド端子24が電気的に接続された固定極組立体25として表面電圧の測定に供される。
表面電圧の測定にあたっては、振動容量型表面電圧計40(例えば、川口電気製作所製MMA2−17B(製品名))と、その測定ヘッドとしての集電電極41と、固定極組立体25を支持する支持台42とが用いられる。
支持台42は、電気絶縁性の円筒体からなり、その上端の内周縁側には絶縁座23の一部が嵌合される位置決め用の凹状段部42aが形成されている。
エレクトレット誘電体膜22の有効電極面の表面電圧を測定するため、支持台42の内径は、スペーサリング30(図2参照)の内径とほぼ同一であることが好ましい。また、集電電極41には、外径が支持台42の内径と合致する金属製の円盤体が用いられる。
集電電極41は、支持台42内で被測定面であるエレクトレット誘電体膜22とほぼ平行に配置される。振動容量型表面電圧計40を所定のリード配線を介して電極ロッド端子24と集電電極41とに接続して、エレクトレット誘電体膜22の表面電圧を測定する。
振動容量型表面電圧計40では、測定ヘッドと被測定面との距離によって測定値が変化するため、固定極21に存在する湾曲や凹凸等の影響を反映した実際の表面電圧を測定することができる。
なお、固定極21の表面の湾曲や凹凸等の影響が測定値により一層反映されるようにするため、集電電極41とエレクトレット誘電体膜22との間隔Δ1を、図2に示すスペーサリング30による振動板10とエレクトレット誘電体膜22との間の間隔Δ2よりも狭くすることが好ましい。例えば、Δ2が50μmであるとすると、Δ1を10〜20μm程度にするとよい。
このように、本発明によれば、固定極21に存在する湾曲や凹凸等の影響を反映した実際の表面電圧が得られるため、図2に示すように、振動板10とエレクトレットボード20とを組み合わせて音響電気変換器を組み立てる場合、それらの間の電界を均一にすることができる。
また、表面電圧の測定後に、必要に応じて表面電圧を調整する。その方法のひとつとして、例えばアルコール蒸気を含んだ圧搾空気をエレクトレット誘電体膜22の全面に吹き付けることにより、表面電圧を容易に調整することができる。
10 振動板
11 支持リング
20 エレクトレットボード
21 固定極
22 エレクトレット誘電体膜
23 絶縁座
24 電極ロッド端子
30 スペーサリング
40 振動容量型表面電圧計
41 集電電極
42 支持台
11 支持リング
20 エレクトレットボード
21 固定極
22 エレクトレット誘電体膜
23 絶縁座
24 電極ロッド端子
30 スペーサリング
40 振動容量型表面電圧計
41 集電電極
42 支持台
Claims (2)
- 支持リングに張設されている振動板と、上記振動板と対向する表面にエレクトレット誘電体膜を一体的に備え絶縁座に支持されている固定極とを電気絶縁性のスペーサリングを介して対向的に配置してなるバックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法において、
上記絶縁座に支持されている状態での上記固定極に対して、上記固定極の有効電極面とほぼ同一の表面積を有する集電電極を所定の間隔をもって対向的に配置し、上記固定極と上記集電電極との間の電圧を振動容量型表面電圧計を用いて測定することを特徴とするバックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法。 - 上記集電電極と上記固定極との間隔を、上記絶縁スペーサによる上記振動板と上記固定極との間の間隔よりも狭くすることを特徴とする請求項1に記載のバックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法。
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JP2007265191A JP2009094918A (ja) | 2007-10-11 | 2007-10-11 | バックエレクトレット型コンデンサマイクロホンにおける固定極の表面電圧測定方法 |
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JP2020072600A (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | シチズン時計株式会社 | 静電誘導型変換器、静電誘導型変換器の製造方法 |
JP2020072599A (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | シチズン時計株式会社 | 静電誘導型変換器、静電誘導型変換器の製造方法、腕時計 |
JP2020080600A (ja) * | 2018-11-12 | 2020-05-28 | シチズン時計株式会社 | 静電誘導型変換器及びその製造方法 |
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2007
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Legal Events
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