JP2009092569A - 屈折率計 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な形態やサイズの試料の複素屈折率(実部及び虚部)を高い精度で測定する。
【解決手段】導波モード共鳴格子1の格子層4を覆う媒体層を試料Sとし、基板2の下面に光を照射して、分光光学系23及び検出器24によりその反射光を検出し、データ処理部25で反射スペクトルを作成する。反射スペクトル上には高い反射率を示す共鳴ピークが現れるが、その共鳴ピークの波長は試料Sの複素透過率の実部に依存し、共鳴ピークの強度は試料Sの複素透過率の虚部に依存する。そこで、検出した共鳴ピークの波長及び強度から試料Sの複素透過率の実部及び虚部をそれぞれ算出する。格子周期、溝深さなどの導波モード共鳴格子のパラメータを適切に設定し狭帯域化することで、屈折率の測定精度を高めることができる。
【選択図】図9

Description

本発明は屈折率計に関し、さらに詳しくは、固相、液相、気相など、様々な相の誘電体及び吸収誘電体である試料の複素屈折率を測定するための屈折率計に関する。
様々な物質の内部での光の挙動を表すパラメータの1つである複素屈折率において、その実部は屈折率を表し、虚部は吸収特性を表す。従来、物質の屈折率を測定する手法として、様々な方法が利用され、また提案されている。
例えば固体試料の屈折率を測定する方法としては、最小偏角法や臨界角法などといった異なる屈折率を持つ誘電体の平坦な界面での屈折角を測定する方法、或いは、エリプソメトリのような薄膜試料の干渉効果による反射特性を測定する方法、などが知られている。また、流体(気体及び液体)試料の屈折率を測定する方法としては、マイケルソンモーレー型干渉計や、吸収スペクトル分光法など、試料を伝播する光の吸収を測定するものが一般的である。
しかしながら、上述のような各種方法にはそれぞれデメリットがある。即ち、最小偏角法では、試料をプリズム化する必要があるため、試料の形状やサイズを任意に選ぶことができない。そのため、薄膜試料や微小化された試料を測定することできない。また、複素屈折率の実部、つまり一般的な屈折率しか知ることができず、虚部の測定は行えない。
アッベ式やプルフリッヒ式などの臨界角法でも同様に、薄膜試料には十分に対応することができない。何故なら、薄膜試料では、その干渉効果により臨界線の境界が明確ではなくなり、高精度の測定が不可能だからである。また、臨界角法でも最小偏角法と同様に、複素屈折率の実部しか知ることができない。
一方、エリプソメトリを利用した測定法では、複素屈折率の実部と虚部とを共に測定することができる。しかしながら、半導体結晶のエピタキシャル成長やスパッタリングによる蒸着などにより形成される、界面が極めて平坦で且つ平行となる薄膜試料しか測定することができず、測定可能な試料の制約が非常に大きい。また、マイケルソンモーレー型干渉計や吸収スペクトル分光法では、光路長を大きくとる必要があり、微小量の試料の測定には向かない。また、これらは一般に吸収(複素屈折率の虚部)のみを測定するものであり、複素屈折率の実部を測定対象としていない。
ところで、近年、上記のような従来の屈折率の測定原理とは異なる、導波モード共鳴格子と呼ばれる光学素子を利用して屈折率を測定する方法が提案されている(非特許文献2参照)。導波モード共鳴格子(Guided-mode resonant grating: GMRG)は、1985年にマシェフらにより初めて提案された(非特許文献1参照)サブ波長回折格子の一種であり、誘電体材料の屈折率や寸法などを適当に定めた構造とすることにより非常に鋭い狭帯域特性を持つことが知られている。この特性を利用して、波長選択フィルタや波長シフタなどへの応用が進められている。
上記のようにして狭帯域化された導波モード共鳴格子の光学特性は、その素子を構成する誘電体材料や基板、或いは入射空間の屈折率に大きく依存するので、ごく僅かな屈折率の変化を検出することが可能となる。非特許文献2、3では、この特性を利用した屈折率センサの可能性について開示している。しかしながら、こうした従来技術は、導波モード共鳴格子を利用して複素屈折率の実部を測定することのみを示しており、複素屈折率の虚部についての測定は考慮されていない。
マシェフ、ほか1名、「ゼロ・オーダー・アノマリー・オブ・ディエレクトリック・コーテッド・グレーティングス(zero order anomaly of dielectric coated gratings)」、オプティカル・コミュニケーション(optical communication)、55、pp.377-380、1985 スー・シェン、ほか2名、「ストロング・リゾナント・カップリング・オブ・サーフェス・プラズモン・ポラリトンズ・トゥー・ラディエイション・モーズ・スルー・ア・スィン・メタル・スラブ・ディエレクトリック・グレーティングス(Strong resonant coupling of surface plasmon polaritons to radiation modes through a thin metal slab with dielectric gratings)」、ジャーナル・オブ・オプティカル・ソサイエティ(J. Opt. Soc.)、Vol.24, No.1, pp. 225-230、2007 菊田久雄、ほか4名、「リフラクティブ・インデクス・センサ・ウィズ・ア・ガイデッド-モード リゾナント・グレーティング・フィルタ(Refractive index sensor with a guided-mode resonant grating filter)」、プロシーディングス・オブ・SPIE(Proc. SPIE)、Vol.4416, pp. 219-222、2001
本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、測定対象の試料の相の制約、試料の形状やサイズの制約をできるだけ軽減し、且つ屈折率の実部及び虚部の両方を高い分解能で以て測定することができる屈折率計を提供することにある。
上述のように、導波モード共鳴格子に光を照射し、その反射光の波長スペクトル又は角度スペクトルを測定したとき、そのスペクトルに現れるピーク(共鳴ピーク)の波長や角度は導波モード共鳴格子の基板の複素屈性率の実部や格子層に接触する空間に存在する物質の複素屈性率の実部に依存することが知られている。本願発明者は、シミュレーション計算等による検討の結果、共鳴ピークの波長や角度が導波モード共鳴格子の基板や上記物質の複素屈性率の実部に依存するのみならず、その共鳴ピークのピーク強度が複素屈折率の虚部に依存することを見い出し、それを利用して本願発明に想到した。
即ち、上記課題を解決するためになされた本発明に係る屈折率計は、
a)格子層と導波層との複層構造体又は両者の機能を併せ持つ単層構造体を基板上に形成し、前記複層構造体又は単層構造体を挟んで前記基板と反対側の面に測定対象の試料を接触するように設けて成る導波モード共鳴格子と、
b)前記導波モード共鳴格子の基板面又は試料面に光を照射する光照射手段と、
c)前記光照射手段による光照射に対する前記導波モード共鳴格子からの反射光を受けてその波長を変化させたときの波長スペクトル又は照射光の入射角度を変化させたときの角度スペクトルを測定するスペクトル測定手段と、
d)前記スペクトル測定手段の測定結果に基づいてピークの強度から前記試料の複素屈折率の虚部を計算する演算手段と、
を備えることを特徴としている。
上記スペクトル測定手段は、例えば、反射光を波長分散させて特定の波長光を取り出すとともにその波長を走査可能な分光器と該分光器から取り出された光を検出する検出器、或いは、上記光照射手段による光の入射角と検出器に導入される反射光の出射角とが所定の関係を満たしながら走査されるように光照射手段、導波モード共鳴格子及び検出器の相対位置を変化させる走査機構、を含むものとすることができる。
また本発明に係る屈折率計において、好ましくは、前記演算手段は、共鳴ピークを与える波長又は角度から複素屈折率の実部を計算する構成とするとよい。
導波モード共鳴格子には様々な形態(構造)のものが知られており、本発明に係る屈折率計に用いる導波モード共鳴格子としてもそうした各種の形態を利用することができる。即ち、上記導波モード共鳴格子は、互いに屈折率の相違する第1格子と第2格子とを周期的に配置した単層構造体を有する導波モード共鳴格子であるものとすることができる。また、上記導波モード共鳴格子は、互いに屈折率の相違する、又は屈折率が同じ格子層と導波層との二層構造体を有する導波モード共鳴格子であるものとすることができる。
本発明に係る屈折率計では、導波モード共鳴格子の格子層又は導波層との間に界面を形成するように試料を配置できさえすれば、試料の形状やサイズなどに依らずにその試料の複素屈折率の実部と虚部とを共に測定することができる。したがって、測定対象の試料は、固相、液相、気相のいずれでもよい。また、導波モード共鳴格子に照射された光は格子層又は導波層と試料との間に界面から試料側にごく僅かしみ出す程度であるため、試料の形状や厚さに対する制約が小さく、例えば薄膜試料についても高精度な測定が行える。
また、導波モード共鳴格子では、格子層や導波層などを構成する誘電体材料の屈折率や格子溝のサイズなどの構造を適宜に決めることにより狭帯域化を図ることができ、導波モード共鳴格子が狭帯域であればあるほど、その光学特性は基板や入射空間の複素屈折率(実部、虚部ともに)に対して敏感に依存する。したがって、本発明に係る屈折率はごく僅かな屈折率の変化を検出することが可能であり、高い分解能、精度での測定が行える。
参考として、従来の各種の屈折率測定方法と本発明で用いる屈折率測定方法との特徴を表1にまとめた。
Figure 2009092569
また本発明に係る屈折率計の一態様として、それぞれ共鳴波長の相違する複数の導波モード共鳴格子を用い、それら複数の導波モード共鳴格子による反射光の強度を合成する構成とすることができる。この構成によれば、上述したような分光器や走査機構が不要になる。
また本発明に係る屈折率計の別の態様として、共鳴波長が同一の複数の導波モード共鳴格子を二次元アレイ状配置又は空間内に分散配置した構成とすることができる。この構成によれば、それぞれの導波モード共鳴格子から得られる測定結果に基づいて試料の複素屈折率の実部或いは虚部の平均値や空間的な分布を求めることができる。
一般的に、導波モード共鳴格子には幾つか形態がある。図1は、典型的な導波モード共鳴格子の構造を説明するための概略断面図である。これらは、比較的作製が容易なものである。
図1(a)に示す導波モード共鳴格子1Aでは、平板状の基板2の上に所定の厚さの導波層3が形成され、さらにその上に、断面矩形状で紙面に直交する方向に延伸する格子4aが周期的に配置された格子層4が形成されている。基板2の屈折率はns、導波層3と格子層4(格子4a)は同一材料であり、同じ屈折率n1である。また、導波モード共鳴格子が光学フィルタや光スイッチとして利用される場合には、通常、格子層4の上方の空間は空気層であるが、ここではこれを、試料を配置する媒体層5とする。この媒体層5の屈折率はn0である。基板2上に誘電体材料の薄膜を形成し、その後、エッチングで導波層3を残存させるように格子4aを形成することができる。
図1(b)に示す導波モード共鳴格子1Bは基本的な構造は図1(a)と同じであるが、導波層3と格子層4とは異なる誘電体材料からなり、前者は屈折率がn2、後者は屈折率がn1である。基板2上に異なる誘電体材料の薄膜を二層積層し、上の層だけをエッチングすることで格子4aを形成することができる。例えば格子層4をフォトレジスト材料とすることで、導波層3を浸食しないエッチング終了を容易に実現することができる。
図1(c)に示す導波モード共鳴格子1Cは、格子自体が導波層を兼ねるものであり、互いに屈折率の相違する第1格子6aと第2格子6bとが周期的に交互に配置された格子層6を基板2の上に形成してある。
なお、上記導波モード共鳴格子1A、1B、1Cでは、上方側(つまり媒体層5)からでも下方側(つまり基板2)からでも相反的な光学特性を示すから、基板2と媒体層5とを入れ替えて上側を基板2、下側を媒体層5にすることもできる。
次に、上記のような導波モード共鳴格子1A、1B、1Cを用いて試料の複素屈折率の実部と虚部との測定が可能であることを、シミュレーション計算に基づいて説明する。ここでは、図1(a)に示した構造の導波モード共鳴格子1Aを例に挙げる。
この導波モード共鳴格子1Aの構造を決めるパラメータを図2に示す。即ち、格子4aの周期Λは360nm、格子4aのデューティ比fは0.5、格子4aの溝深さ(格子層4の厚さ)d1は93.6nm、導波層3の厚さd2は75.5nmである。また、格子層4と導波層3の屈折率n1は共に1.8(物質としては例えばメガネレンズ用ガラス[インターネット<http://www.ohara-inc.co.jp/jp/product/optical/opticalglass/data.html>など参照]などの高屈折率ガラスを想定)であり、基板2の屈折率nsは1.52(物質としては例えばBK7などの通常の光学ガラスを想定)である。
ここで、試料で満たされる媒体層5の複素屈折率n0=1.6−ikであるとする。iは虚数単位で、kが複素屈折率の虚部であってこれが媒体層5での吸収の度合いを表す。k=0である場合、波長が584.4nmである垂直入射TE偏光(偏光方位が格子4aと平行)がこの導波モード共鳴格子1Aに入射したとき、共鳴効果により反射率が100%となる。このkの値を0、10-4、10-3、及び10-2とした場合の反射スペクトルの計算結果を図3に示す。また、波長584.4nmでのピーク強度とkの対数値(−log(k))との関係をプロットしたものを図4に示す。
図3より、kの値が大きくなるほど反射率(共鳴ピークのピーク強度)が下がることが分かる。また、図4より、特にkが10-4程度よりも大きくなると反射率が急激に落ちることが分かる。したがって、反射率における共鳴ピークの強度に基づいて、複素屈折率の虚部を算出できることが分かる。
次に、媒体層5の複素屈折率n0が1.7−ikである、つまり複素屈折率の実部が上記の場合と異なる場合について考える。この場合には、導波モード共鳴格子1Aの共鳴条件が若干異なり、素子構造を決めるパラメータは、格子4aの溝深さd1が114.0nm、導波層3の厚さd2が91.96nmとなり、そして共鳴波長は612.0nmとなる。その他の数値は上記と同じである。
kの値を0、10-9、10-8、10-7、10-6、10-5、及び10-4とした場合の反射スペクトルの計算結果を図5に示す。また、波長612.0nmでのピーク強度とkの対数値(−log(k))との関係をプロットしたものを図6に示す。図5より、kの値が大きくなるほど反射率(共鳴ピークのピーク強度)が下がることが分かる。また、図6より、特にkが10-8程度より大きくなると反射率が急激に落ちることが分かる。
以上のことから、反射率の共鳴ピークの強度を測定することで、吸収係数に関連した複素屈折率の虚部を推算できることは明らかである。また、検出したいkの値に合わせて、導波モード共鳴格子の構造(各部の寸法や透過率)を最適化するような設計を行うことによって、複素屈折率の虚部の検出感度を高くすることができる。即ち、試料による吸収が小さいほど(つまりkの値が小さいほど)、より狭帯域の光学特性、つまり共鳴ピークの波長幅が小さい特性が必要となる。
なお、格子層4及び導波層3の材料の屈折率比や格子4aのデューティ比fを調整することにより、理論的には導波モード共鳴格子の帯域幅に下限はなく、それ故に検出感度にも限界はない。換言すれば、導波層3や格子層4として選択し得る材料の屈折率の制約や格子4aのデューティ比の精度の限界などにより、検出感度の下限が決まることになる。また、使用する光の波長や入射角に特に制約はなく、任意の入射条件に対して導波モード共鳴格子を設計することが可能である。
図2に示した導波モード共鳴格子1Aの構造及び入射条件の下で、複素屈折率の実部の値が相違すると反射率の共鳴ピークの波長が相違することを示す。いま、複素屈折率の虚部がゼロである場合の、複素屈折率(つまり複素屈折率の実部)と共鳴波長との関係の計算結果を図7に示す。この図に示すような関係を用いることで、共鳴ピーク波長から複素屈折率の実部を推算できることが分かる。
複素屈折率の虚部がゼロでない場合には、吸収の影響を受けて共鳴波長の値は若干ずれる。但し、その場合でも、複素屈折率の実部に依存して共鳴波長が変化することは同様である。したがって、複素屈折率の虚部がゼロであってもなくても、反射率の共鳴ピークの波長の値を調べ、この値から複素屈折率の実部を推算することができる。さらに、複素屈折率の虚部がゼロでない場合には、上述したように反射スペクトルに現れる共鳴ピークの強度から虚部の値を推算することができる。
上記説明では、反射率と波長との関係を示す反射スペクトルに現れる共鳴ピークの位置(波長)と強度とから、複素屈折率の実部及び虚部が求まることを明らかにしたが、波長の代わりに入射光及び出射光の角度を用いた角度スペクトルの測定によっても同様に複素屈折率の実部及び虚部を求めることができることを示す。この場合、導波モード共鳴格子の構造を決めるパラメータは、格子4aの周期Λが360nm、格子4aのデューティ比fが0.5、格子4aの溝深さd1が109.4nm、導波層3の厚さd2が96.0nmである。格子層4と導波層3の屈折率n1は共に1.8であり、基板2の屈折率nsは1.52であるとする。
媒体層5の屈折率n0を1.7と1.7±0.0001としたときの、波長500nmでTE偏光を入射光とする角度スペクトルを図8に示す。なお、このときの測定光学系は後述する、いわゆるθ−2θ光学系であり、導波モード共鳴格子に入射する光の入射角を変化させるように回転させるに伴い、その反射光を受ける検出器の位置も回転させる。図8に示すように、屈折率の値によって共鳴ピークを与える入射角が異なるので、その角度を測定することで媒体層5の複素屈折率の実部を知ることができる。またこの場合にも、共鳴ピークの強度により複素屈折率の虚部を知ることができる。
また、上記説明では、媒体層5を測定対象の試料としていたが、前述のように、図1に示したような各種形態の導波モード共鳴格子では、導波層3及び格子層4、又は格子層6を挟んだ上方側からと下方側からとでは相反的な光学特性を示す。したがって、屈折率nsを持つ基板2を試料としても、同様の手法で、その試料の複素屈折率の実部及び虚部を精度良く測定することができる。媒体層5を試料とする場合には基板2の下方側から光が入射し、逆に基板2を試料とする場合には媒体層5の上方側から光が入射するものとすれば、光は試料にごく僅かしみ出すのみである。したがって、試料の複素屈折率に関する測定値はその試料の形状に依存せず、薄膜状の試料でもよい。
続いて、上述したような測定手法を利用した本発明に係る屈折率計の一実施例を図9により説明する。図9は本実施例による屈折率計の概略構成図である。導波モード共鳴格子1は図1(a)に示した構造のものであり、格子層4を覆い、隣接する格子4aの間の空間にまで侵入するように試料Sが設けられている。この場合、試料Sは液体又は気体である。
光源20から放出された所定の波長範囲の成分を含む測定光21は、導波層3及び格子層4を挟んで試料Sとは反対側の基板2の一面(図中の下面)に所定の入射角で以て入射される。この導波モード共鳴格子1からの反射光22は上述したように試料Sの複素屈折率の実部及び虚部を反映した波長特性を有する。この反射光22はモノクロメータ或いはポリクロメータなどを含む分光光学系23に導入され、分光光学系23で波長分散されて特定の波長光が選択されて取り出され検出器24に導入される。分光光学系23で選択される波長は所定の波長範囲内で可変となっており、制御部30により波長走査が達成される。検出器24による検出信号はデータ処理部25に入力され、ここで予め定められたデータの演算処理等が実行されて、測定対象の試料の複素屈折率の実部及び虚部がそれぞれ求められる。
より詳しく述べると、制御部30は定の波長範囲で波長走査を行うように分光光学系23を制御し、データ処理部25において反射スペクトル算出部26はその波長走査に伴って得られる検出信号に基づいて各波長毎の反射率を計算し、反射スペクトルを作成する。このときの波長範囲は、目的とする試料に関する知見や予備的に行われる測定結果などに応じて適宜に決めることが好ましい。次に、ピークパラメータ抽出部27は、得られた反射スペクトルにおいて共鳴ピークを検出し、そのピークの波長と強度とをパラメータとして抽出する。そして複素屈折率算出部28は共鳴ピークの波長及び強度から、複素屈折率の実部及び虚部の値を算出する。このために、予め作成された、共鳴ピークの波長と複素屈折率実部との関係、共鳴ピークの強度と複素屈折率虚部との関係、を示す換算式や換算表などを用いることができる。
上述したように、複素屈折率の算出精度は共鳴ピークの鋭さ、つまり半値幅に依存し、これは導波モード共鳴格子の各部のサイズ(例えば格子の周期、デューティ比、溝深さ、導波層の厚みなど)や、基板、格子層、導波層を構成する材料の屈折率に依存するので、これらを適切に設計することにより測定精度を高めることができる。
なお、上述のような反射スペクトルを求めるために、機械的な波長走査を行う代わりに例えばフォトダイオードアレイ検出器のような多波長同時検出型の検出器を用い、分光器で波長分散された所定波長範囲の光を一斉に検出する構成としてもよい。
また、上記実施例による屈折率計は波長スペクトル上で共鳴ピークを検出するものであったが、上述したように、角度スペクトル上で共鳴ピークを検出する構成に変形することもできる。この場合、図10に示すように、導波モード共鳴格子の基板2の下面に照射する測定光21の入射角θを所定角度範囲で走査するとともに、検出器24で受ける反射光22の出射角も入射角と同一になるように検出器24の位置も移動させる。例えば、入射角をθ→θ+Δθに変化させるように光源20の位置を符号20’の位置に移動させたとき、検出器24の位置も符号24’の位置に移動させる。即ち、いわゆるθ−2θ光学系を使用して鏡面反射の強度スペクトルを得ることになるが、そのためには周知のゴニオメータなどを利用して光源20と検出器24とを同期して移動させればよい。
上記屈折率計では、多波長同時検出型の検出器を用いる場合以外は何らかの機械的な走査機構が必要になる。こうした走査機構を不要とするために、図11に示したように、それぞれ共鳴波長が異なる複数の導波モード共鳴格子41〜4nを同一平面上に二次元アレイ状配置(図11において紙面に直交する方向にも導波モード共鳴格子が配列されている)とした構成としてもよい。この場合、白色光源から放射される光が回折格子50で波長分散されて波長λ1、λ2、…、λnを持つ単色光になり、それぞれの波長と入射角に合わせて目的試料の屈折率で共鳴するように設計された導波モード共鳴格子41〜4nに入射する。この入射光に対する反射光の反射強度を合成することで、離散的な反射スペクトルを作成することができるから、この反射スペクトルから上述のようにして試料の屈折率を求めることができる。
また、上記屈折率計のように単一の導波モード共鳴格子を用いた構成では、数ミリ四方程度の狭い領域についての試料の複素屈折率を測定することができる。これに対し、場合によっては試料の広い範囲における平均的な屈折率を測定したいことがある。そうした場合には、共鳴波長が同一である複数の導波モード共鳴格子を図11に示したように二次元アレイ状に配置し、各導波モード共鳴格子について試料の屈折率を求めて、その平均値を計算すればよい。また、平均値でなく、試料の屈折率の空間的な(二次元的な)分布を求めることもできる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、又は追加を行っても、本発明に包含されることは明らかである。
本発明に係る屈折率計に利用される典型的な導波モード共鳴格子の構造を説明するための概略断面図。 導波モード共鳴格子の一例の構造を決めるパラメータを示す図。 吸収係数の値を変化させた場合の反射スペクトルの計算結果の一例を示す図。 図3の場合における波長584.4nmでのピーク強度とkの対数値との関係を示す図。 吸収係数の値を変化させた場合の反射スペクトルの計算結果の他の例を示す図。 図5の場合における波長612.0nmでのピーク強度とkの対数値との関係を示す図。 複素屈折率の虚部がゼロである場合の複素屈折率と共鳴波長との関係の計算結果の一例を示す図。 試料の屈折率を変化させたときの角度スペクトルの計算結果の一例を示す図。 本発明の一実施例である屈折率計の概略構成図。 本発明の他の実施例である屈折率計の要部の構成図。 本発明の他の実施例である屈折率計の要部の構成図。
符号の説明
1、1A、1B、1C、41、42〜4n…導波モード共鳴格子
2…基板
3…導波層
4、6…格子層
4a、6a、6b…格子
5…媒体層(試料)
6…格子層
20…光源
21…測定光
22…反射光
23…分光光学系
24…検出器
25…データ処理部
26…反射スペクトル算出部
27…ピークパラメータ抽出部
28…複素屈折率算出部
30…制御部
41…導波モード共鳴格子
50…回折格子
S…試料

Claims (7)

  1. a)格子層と導波層との複層構造体又は両者の機能を併せ持つ単層構造体を基板上に形成し、前記複層構造体又は単層構造体を挟んで前記基板と反対側の面に測定対象の試料を接触するように設けて成る導波モード共鳴格子と、
    b)前記導波モード共鳴格子の基板面又は試料面に光を照射する光照射手段と、
    c)前記光照射手段による光照射に対する前記導波モード共鳴格子からの反射光を受けてその波長を変化させたときの波長スペクトル又は照射光の入射角度を変化させたときの角度スペクトルを測定するスペクトル測定手段と、
    d)前記スペクトル測定手段の測定結果に基づいてピークの強度から前記試料の複素屈折率の虚部を計算する演算手段と、
    を備えることを特徴とする屈折率計。
  2. 請求項1に記載の屈折率計であって、前記演算手段は、ピークを与える波長又は角度から複素屈折率の実部を計算することを特徴とする屈折率計。
  3. 請求項1又は2に記載の屈折率計であって、前記導波モード共鳴格子は、互いに屈折率の相違する第1格子と第2格子とを周期的に配置した単層構造体を有する導波モード共鳴格子であることを特徴とする屈折率計。
  4. 請求項1又は2に記載の屈折率計であって、前記導波モード共鳴格子は、互いに屈折率の相違する格子層と導波層との二層構造体を有する導波モード共鳴格子であることを特徴とする屈折率計。
  5. 請求項1又は2に記載の屈折率計であって、前記導波モード共鳴格子は、屈折率が同じ格子層と導波層との二層構造体を有する導波モード共鳴格子であることを特徴とする屈折率計。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の屈折率計であって、それぞれ共鳴波長の相違する複数の導波モード共鳴格子を用い、それら複数の導波モード共鳴格子による反射光の強度を合成することで波長スペクトルを得ることを特徴とする屈折率計。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の屈折率計であって、共鳴波長が同一の複数の導波モード共鳴格子を二次元アレイ状配置又は空間内に分散配置したことを特徴とする屈折率計。
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