JP2009092458A - ラマン散乱信号取得方法ならびにラマン散乱信号取得装置、および、プラスチックの識別方法ならびに識別装置 - Google Patents

ラマン散乱信号取得方法ならびにラマン散乱信号取得装置、および、プラスチックの識別方法ならびに識別装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明または半透明なプラスチックであっても正確にその材質を識別する。
【解決手段】被識別プラスチックPをステンレス鋼製の板により形成されたベルト4a上に載置して搬送するベルトコンベア4と、ベルトコンベア4上の被識別プラスチックPにレーザ光Lを照射し、この被識別プラスチックPから散乱されたラマン散乱光Rを得て被識別プラスチックPの材質を識別するラマン散乱識別機5とを備える。被識別プラスチックPが透明または半透明であっても、被識別プラスチックPを透過したレーザ光がベルト4aの表面で反射され、ベルト4aによるラマン効果の影響が少なくなるため、このベルト4aの影響の少ない被識別プラスチックPの際立ったラマン散乱信号が得られ、より正確な識別が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明または半透明の対象物から散乱されたラマン散乱信号を取得するラマン散乱信号取得方法ならびにラマン散乱信号取得装置、および、取得したラマン散乱信号に基づいてプラスチックの材質を非破壊的に識別するプラスチックの識別方法ならびに識別装置に関する。
家庭ごみや産業廃棄物として廃棄されるプラスチックの処理に際して、廃棄プラスチックの材質が不明の場合がある。このような廃棄プラスチックの大部分は、粉砕後、焼却処理するしかない。しかしながら、プラスチックは、廃棄プラスチックの材質(原料の種類)が何であるかを識別することで、融解、再成形することが可能であるという特質を有するので、付加価値の高い製品に再利用することが可能である。また、焼却する場合でも、例えばポリ塩化ビニルが存在していれば有毒ガス発生の恐れがあるので事前にその存在を検出する必要がある。
このような廃棄プラスチックの材質を識別する方法の一つとして、ラマン散乱スペクトルを利用した方法が提案されている。例えば、特許文献1には、レーザ光源から発した単色のレーザ光を、光ファイバを介してファイバヘッドに導き、このファイバヘッドを介してプラスチック素材にレーザ光を照射し、ファイバヘッドに備えられるファイバヘッド対物レンズを介してプラスチック素材から散乱された光を集め、この集められた光を、光ファイバを介して分光器に導き、分光分析することによりラマン散乱スペクトルを決定し、データベースに格納された既知のバンドパターンと照合することによりプラスチック素材の種類を識別することが記載されている。
また、例えば、特許文献2には、ベルトコンベア上に載って運ばれてくる素材が未知の被識別プラスチックに、レーザ装置からレーザ光を照射して、分光器でラマン散乱スペクトルを測定し、このラマン散乱スペクトルから複数のラマンピークの波数およびその波数での相対強度値を抽出し、素材が既知のプラスチックのラマンピークの波数およびその波数での相対強度値と測定されたラマン散乱スペクトルのラマンピークの波数およびその波数での相対強度値とを比較し、この比較結果から被識別プラスチックの素材を識別することが記載されている。
特開2000−356595号公報 特開平10−38807号公報
ところで、被識別プラスチックを連続的に識別するような場合、特許文献2に記載のように被識別プラスチックをベルトコンベアによって所定の位置まで運びながらレーザ光を照射してラマン散乱スペクトルを測定することになる。ところが、実際にベルトコンベア上に載置された被識別プラスチックにレーザ光を照射してラマン散乱スペクトルを測定してみると、被識別プラスチックが透明または半透明のプラスチックの場合、ラマン散乱スペクトルのピークが明確に現れず、正確に識別することができないことがある。
そこで、本発明においては、透明または半透明の対象物であっても明確なラマン散乱信号を得ることが可能なラマン散乱信号取得方法およびラマン散乱信号取得装置を提供するとともに、透明または半透明なプラスチックであっても正確にその材質を識別することが可能なラマン散乱に基づくプラスチックの識別方法および識別装置を提供することを目的とする。
本発明のラマン散乱信号取得方法は、金属表面または鏡面を有する載置台上に載置された対象物にレーザ光を照射し、この対象物から散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得ることを特徴とする。また、本発明のラマン散乱信号取得装置は、金属表面または鏡面を有し、対象物が載置される載置台と、載置台上に載置された対象物にレーザ光を照射するレーザ照射系と、対象物から散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得手段とを有するものである。
これらの発明では、対象物が載置された載置台の金属表面または鏡面がレーザ光を反射することで、対象物から散乱されたラマン散乱光への載置台によるラマン効果の影響を少なくすることができるため、対象物が透明または半透明であっても、載置台の影響の少ない明確なラマン散乱信号が得られる。
本発明のプラスチックの識別方法は、金属表面または鏡面を有する載置台上に載置された識別対象物である被識別プラスチックにレーザ光を照射し、この被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得ステップと、予め既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより設定した1点以上のピーク位置(以下、「既知ピーク位置」と称す。)のラマン散乱強度およびベースライン位置(以下、「既知ベースライン位置」と称す。)のラマン散乱強度と、被識別プラスチックのラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度とに基づいて被識別プラスチックの材質を識別する識別ステップとを含む。
また、本発明のプラスチックの識別装置は、金属表面または鏡面を有し、識別対象物である被識別プラスチックが載置される載置台と、レーザ光を識別対象物である被識別プラスチックに照射するレーザ照射系と、被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得手段と、予め既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより設定した1点以上のピーク位置(既知ピーク位置)のラマン散乱強度およびベースライン位置(既知ベースライン位置)のラマン散乱強度を記憶する記憶手段と、被識別プラスチックのラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度と、記憶手段に記憶された既知ピーク位置のラマン散乱強度および既知ベースライン位置のラマン散乱強度とに基づいて被識別プラスチックの材質を識別する識別手段とを有するものである。
これらの発明によれば、予め既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより1点以上の既知ピーク位置のラマン散乱強度および既知ベースライン位置のラマン散乱強度を設定しておき、これらの既知ピーク位置のラマン散乱強度および既知ベースライン位置のラマン散乱強度と、レーザ光を識別対象物である被識別プラスチックに照射して得られたラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度とに基づいて被識別プラスチックの材質を識別することができる。すなわち、本発明では、被測定プラスチックのラマン散乱スペクトルを正確に測定してピーク位置を求めることなく、予めプラスチックの材質ごとに設定した既知ピーク位置と既知ベースライン位置にそれぞれ対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度のみをラマン散乱信号から求めるだけで良いため、高速でプラスチックの材質を識別することが可能である。
特に、本発明では、被識別プラスチックが載置された載置台の金属表面または鏡面がレーザ光を反射することで、被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光への載置台によるラマン効果の影響を少なくすることができるため、この載置台の影響の少ない被識別プラスチックの際立ったラマン散乱信号が得られ、より正確にプラスチックの材質を識別することが可能となる。そのため、被識別プラスチックが、透明または半透明のプラスチックの場合に、この透明または半透明の被識別プラスチックを透過したレーザ光が載置台に到達しても、載置台によるラマン効果の影響が少なく、正確にプラスチックの材質を識別することが可能となる。
ここで、載置台の金属表面は、光沢を有するものであることが望ましい。光沢を有する金属表面であれば、載置台の表面からほとんどラマン散乱光は発生しないので、より正確なプラスチックの識別が可能となる。また、載置台の金属表面を構成する金属は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたは銅とすることができ、これらの金属であれば安価で加工性が良いため、金属表面を有する載置台を容易に得ることができる。
また、レーザ照射系は、焦点距離150mm以下の1枚の凸レンズによりレーザ光を集光して被識別プラスチックに照射するものであることが望ましい。レーザ光を対物レンズではなく、通常の凸レンズ1枚で集光して被識別プラスチックに照射することにより、レンズ先から被識別プラスチックまでの作動距離をその焦点距離150mm以下と同程度に確保することができる。また、焦点深度(焦点が合う範囲)も、対物レンズを使用した場合に比べて広くなり、様々な大きさや厚さの被識別プラスチックに対して、加熱しすぎることなく適度な強さでレーザ光を集光できるとともに、効率よくラマン散乱光を集めることができる。
凸レンズは、さらに被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光を集光する集光系の一部を構成するものであることが望ましい。被識別プラスチックにレーザ光を照射する照射用レンズと散乱光を集光する集光用レンズを同じ凸レンズにより構成することで、被識別プラスチックにどの方向からレーザ光を照射してもラマン散乱光を集光することができ、光の照射と集光を効率良く行うことができる。
また、レーザ照射系は、レーザ発生装置により発生したレーザ光をミラーの反射のみによって凸レンズまで導くものであることが望ましい。レーザ発生装置により発生したレーザ光を光ファイバを用いずにミラーの反射のみによって凸レンズまで導くことで、レーザ光の出力を落とさずに凸レンズで集光して被識別プラスチックに照射することができる。
また、ラマン散乱信号取得手段は、分光器と、凸レンズにより集光した光を分光器へ導く光ファイバと、分光器により分光した光を検出して電気信号へ変換するマルチチャンネル光検出器とを有し、マルチチャンネル光検出器により変換した電気信号からラマン散乱信号を得るものであることが望ましい。これにより、精密機器である分光器およびマルチチャンネル光検出器を、レーザ照射系と離して作業環境の良い場所に配置することができる。
(1)金属表面または鏡面を有する載置台上に載置された対象物にレーザ光を照射し、この対象物から散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得ることにより、対象物から散乱されたラマン散乱光への載置台によるラマン効果の影響を少なくすることができるため、対象物が透明または半透明であっても、載置台の影響の少ない明確なラマン散乱信号を得ることが可能となる。
(2)予め既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより1点以上の既知ピーク位置のラマン散乱強度および既知ベースライン位置のラマン散乱強度を設定しておき、これらの既知ピーク位置のラマン散乱強度および既知ベースライン位置のラマン散乱強度と、金属表面または鏡面を有する載置台上に載置された識別対象物である被識別プラスチックにレーザ光を照射して得られたラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度とに基づいて被識別プラスチックの材質を識別する構成により、予め識別したいプラスチックごとに設定したラマン散乱スペクトル上の1点以上の既知ピーク位置および既知ベースライン位置にそれぞれ対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度のみをラマン散乱信号から求めるだけで被識別プラスチックの材質を識別することができるので、従来のようにラマン散乱スペクトル全体を測定する必要はなく、高速でプラスチックの材質を識別することが可能となる。特に、本発明では、被識別プラスチックが載置された載置台の金属表面または鏡面がレーザ光を反射することで、被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光への載置台によるラマン効果の影響を少なくすることができるため、この載置台の影響の少ない被識別プラスチックの際立ったラマン散乱信号が得られ、より正確にプラスチックの材質を識別することが可能となる。そのため、被識別プラスチックが、透明または半透明のプラスチックの場合であっても、正確にプラスチックの材質を識別することが可能となる。
(3)載置台の金属表面が、光沢を有するものであることにより、載置台の表面からほとんどラマン散乱光は発生しないため、より正確なプラスチックの識別が可能となる。
図1は本発明の実施の形態におけるプラスチック識別装置の概略構成図、図2は図1のラマン散乱識別機の構成図、図3は図1のラマン散乱識別機のブロック図である。
図1において、本発明の実施の形態におけるプラスチック識別装置1は、搬入された粉砕プラスチックを異物とプラスチック片とに選別する前処理風選機2と、前処理風選機2により選別されたプラスチック片を振動させて整列させる振動整列フィーダ3と、振動整列フィーダ3により整列させたプラスチック片を載置台としてのベルト4a上に載置して搬送する搬送装置としてのベルトコンベア4と、ベルトコンベア4上のプラスチック片、すなわち識別対象物である被識別プラスチックにレーザ光を照射し、この被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光を得て被識別プラスチックの材質を識別するラマン散乱識別機5とを備える。なお、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、ベルト4aがステンレス鋼製の板により形成されており、その表面は光沢を有している。
また、このプラスチック識別装置1は、ラマン散乱識別機5による識別の結果に応じてエアを噴出することにより被識別プラスチックを材質ごとに選別する選別用エアガン6と、選別用エアガン6を駆動するエアガン駆動装置7と、ラマン散乱識別機5とエアガン駆動装置7との動作を同期させて制御する同期制御装置8とを備える。また、このプラスチック識別装置1は、ベルトコンベア4の搬送速度を調整するコンベア速度調整装置9を備えており、同期制御装置8は、前述のラマン散乱識別機5とエアガン駆動装置7とともにコンベア速度調整装置9の動作を同期させて制御する。
ラマン散乱識別機5は、図2に示すように、レーザ光をベルト4a上に載置された被識別プラスチックPに照射するとともにこの被識別プラスチックPから散乱されたラマン散乱光を集光する検出部ヘッド11と、検出部ヘッド11と光ファイバ21により接続されるマルチチャンネル分光器22と、マルチチャンネル分光器22から出力される電気信号を入力して処理するデータ処理装置30と、後述の半導体レーザ発生装置12を駆動するための半導体レーザ駆動電源40とを有する。
検出部ヘッド11は、レーザ光を識別対象物である被識別プラスチックPに照射するレーザ照射系10(図3参照。)を構成する半導体レーザ発生装置12、焦点距離40〜150mmの1枚の凸レンズ13と、半導体レーザ発生装置12により発生したレーザ光Lを反射して凸レンズ13まで導くミラー14aおよびダイクロイックミラー14bとを備える。ダイクロイックミラー14bは、レーザ光Lを反射し、かつラマン散乱光Rを透過するものである。なお、ミラー14aは、半導体レーザ発生装置12の向きを調整することで省略することも可能である。また、ダイクロイックミラー14bは、レーザ光Lを反射し、かつラマン散乱光Rを透過するハーフミラーに代えることも可能である。
半導体レーザ発生装置12は、例えば、波長600〜900nmの範囲で100mW以上の出力が得られる高出力のものを用いる。半導体レーザ発生装置12により発生したレーザ光Lは、ミラー14aにより反射され、さらにダイクロイックミラー14bにより反射されて凸レンズ13へ導かれ、凸レンズ13により集光されて被識別プラスチックPへと照射される。また、この検出部ヘッド11は、被識別プラスチックPから散乱されたラマン散乱光Rを凸レンズ13により集光して光ファイバ21へ導く集光系を兼ねている。ラマン散乱光Rは、ダイクロイックミラー14bを透過して光ファイバ21の入射口へ集光される。
光ファイバ21は、検出部ヘッド11の凸レンズ13により集光した光をマルチチャンネル分光器22へ導くものである。マルチチャンネル分光器22は、分光器と、分光器により分光した光を検出して電気信号へ変換するCCD(Charge Coupled Device)やリニアアレイフォトダイオード等の1024画素以下の2次元の光検出器とから構成される小型分光器である。このマルチチャンネル分光器22の入光側には励起光除去フィルタ23が設けられている。これらの光ファイバ21、マルチチャンネル分光器22および励起光除去フィルタ23は、被識別プラスチックPから散乱されたラマン散乱光Rをマルチチャンネル分光して電気信号へ変換することによりラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得手段20(図3参照。)を構成する。マルチチャンネル分光器22は、高分解能のものでなくて良く、内部に組み込む回折格子や光検出器の性能により選択可能であり、例えば、ラマンシフトの波数400〜1600cm-1の範囲で2cm-1のラマン散乱信号を得られるものであれば良い。
データ処理装置30は、パーソナルコンピュータやCPUボード等であり、マルチチャンネル分光器22は、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)インターフェースにより接続される。データ処理装置30は、図3に示すように、予め設定された基準値等を記憶する記憶手段31と、ラマン散乱信号取得手段20により取得したラマン散乱信号に基づいて被識別プラスチックPの材質を識別する識別手段32と、識別手段により識別した結果(識別信号)を出力する出力手段33とを有する。
記憶手段31に記憶される基準値は、識別したいプラスチック、例えば、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、LDPE(低密度ポリエチレン)やHDPE(高密度ポリエチレン)等の既知のプラスチックの材質ごとに予め設定した1点以上の既知ピーク位置および既知ベースライン位置のそれぞれラマン散乱強度である。
図4は本実施形態におけるプラスチック識別装置により参照試料としての既知のプラスチック(アクリル(クリア色)、PC(白色)、ABS(白色)、PS(クリア色)、PVC(クリア色))のそれぞれのラマン散乱スペクトルを取得した結果を示している。図4の横軸はラマンシフトの波数(cm-1)、縦軸はラマン散乱強度(任意強度)である。
図4において、PSを例に説明すると、PSでは点A1と点A2の位置にピークがあるので、これら2点A1,A2またはその近傍をPS識別のためのピーク位置とする。また、これらのピーク位置A1,A2間にベースライン上の点Bがあるので、この点BをPS識別のためのベースライン位置とする。なお、ベースラインの位置と強度には、ピーク位置からあまり離れていないラマン散乱強度が弱く、底になった部分の値を用いることが望ましい。また、強度の算出には、ピーク位置やベースライン位置を含む近傍の測定点の平均値を算出して、これを用いることでSN比の向上を図ることができる。
識別手段32は、ラマン散乱信号取得手段20により取得したラマン散乱信号から識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置(PSの例では2点A1,A2)に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置(PSの例では点B)に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度を得るとともに、これらの得られたラマン散乱強度と記憶手段31に記憶された基準値とに基づいて被識別プラスチックの材質を識別するものである。
例えば、識別手段32は、識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置(2点A1,A2)に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1,RA2と既知ベースライン位置(点B)に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとのそれぞれの差(RA1−RB),(RA2−RB)と、基準値としての既知のプラスチックの既知ピーク位置のラマン散乱強度RA10,RA20と既知ベースライン位置のラマン散乱強度RB0との差(RA10−RB0),(RA20−RB0)とを、直接またはそれぞれの比(RA1−RB)/(RA2−RB),(RA10−RB0)/(RA20−RB0)によって比較することにより被識別プラスチックの材質を識別する。なお、直接比較する際の基準値(RA10−RB0),(RA20−RB0)、または、比によって比較する際の基準値(RA10−RB0)/(RA20−RB0)は、予め記憶手段31に記憶しておく。
図5はこの識別手段32によるPSの識別例を示している。図5に示すように、PSの2点A1,A2の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1,RA2と点Bの既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとのそれぞれの差(RA1−RB),(RA2−RB)の比(RA1−RB)/(RA2−RB)は、他の材質のものとは大きく相違している。したがって、PSの既知ピーク位置のラマン散乱強度RA10,RA20と既知ベースライン位置のラマン散乱強度RB0との差(RA10−RB0),(RA20−RB0)の比(RA10−RB0)/(RA20−RB0)から設定した基準値としての閾値SPSによってフィルタリング(図示例では(RA10−RB0)/(RA20−RB0)>SPS=2.5のみ抽出)することにより、PS、PP、PET、LDPE、HDPEが混在した試料からPSのみを識別して抽出することが可能である。
同様に、図6はこの識別手段32によるPPの識別例を示している。図6に示すように、PPの2点の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度とのそれぞれの差の比Xは、他の材質のものとは正負が異なっている。したがって、PPの既知ピーク位置のラマン散乱強度と既知ベースライン位置のラマン散乱強度との差の比から設定した基準値としての閾値SPPによってフィルタリング(図示例ではX>0のみ抽出)することにより、PS、PP、PET、LDPE、HDPEが混在した試料からPPのみを識別して抽出することが可能である。なお、図6に示すように上記の条件ではすべてのPPを抽出できていないが、この識別手段32によって抽出したものの中にはPP以外のものは含まれないので、廃棄プラスチックの再利用には問題なく使用することができる。
また、識別手段32は、識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1,RA2と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとの比RA1/RB,RA2/RBを算出し、既知のプラスチックの既知ピーク位置のラマン散乱強度RA10,RA20と既知ベースライン位置のラマン散乱強度RB0との比RA10/RB0,RA20/RB0から設定した基準値としての閾値と比較することにより被識別プラスチックの材質を識別する構成とすることも可能である。
図7はこの識別手段32によるPSの識別例を示している。図7に示すように、PSの1点A1の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとの比RA1/RBは、他の材質のものとは相違している。したがって、この例では、PSの既知ピーク位置のラマン散乱強度RA10と既知ベースライン位置のラマン散乱強度RB0との比RA10/RB0からそれぞれ設定した基準値としての閾値SPS1によってフィルタリングし、この閾値SPS1を満たすことを条件とすることにより、PS、PP、PET、LDPE、HDPEが混在した試料からPSのみを識別して抽出することが可能である。
同様に、図8はこの識別手段32によるPPの識別例を示している。図8の(a),(b)に示すように、PPの2点の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度との比Xは、他の材質のものとは相違している。したがって、この例では、PPの既知ピーク位置のラマン散乱強度と既知ベースライン位置のラマン散乱強度との比からそれぞれ設定した基準値としての閾値SPP1,SPP2によってフィルタリングし、両閾値を満たすことを条件とすることにより、PS、PP、PET、LDPE、HDPEが混在した試料からPPのみを識別して抽出することが可能である。
あるいは、識別手段32は、識別したいプラスチックの材質ごとの2点の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1,RA2の差(RA1−RA2)と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとの比(RA1−RA2)/RBを算出し、既知のプラスチックの2点の既知ピーク位置のラマン散乱強度RA10,RA20の差(RA10−RA20)と既知ベースライン位置のラマン散乱強度RB0との比(RA10−RA20)/RB0から設定した基準値としての閾値と比較することにより被識別プラスチックの材質を識別する構成とすることができる。
図9はこの識別手段32によるPSの識別例を示している。図9に示すように、PSの2点A1,A2の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1,RA2の差(RA1−RA2)と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとの比(RA1−RA2)/RBは、他の材質のものとは大きく相違している。したがって、PSの2点の既知ピーク位置のラマン散乱強度RA10,RA20の差(RA10−RA20)と既知ベースライン位置のラマン散乱強度RB0との比(RA10−RA20)/RB0から設定した基準値としての閾値SPSによってフィルタリングすることにより、PS、PP、PET、LDPE、HDPEが混在した試料からPSのみを識別して抽出することが可能である。
このように、PSの2点A1,A2の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RA1,RA2の差(RA1−RA2)と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度RBとの比(RA1−RA2)/RBを採ることで、より識別精度を向上させることが可能である。また、ラマン散乱強度RA1,RA2,RBの3つの数値のみから十分な識別精度が得られるので、演算処理に要する時間は極わずかであり、短時間で大量の廃棄プラスチックを識別することができる。
同様に、図10はこの識別手段32によるPPの識別例を示している。図10に示すように、PPの2点の既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度の差と既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度との比Xは、他の材質のものとはその範囲が相違している。したがって、PPの2点の既知ピーク位置のラマン散乱強度の差と既知ベースライン位置のラマン散乱強度との比から設定した基準値としての閾値SPPH,SPPLによってフィルタリング(図示例ではSPPH>X>SPPLの範囲内にあるもののみを抽出)することにより、PS、PP、PET、LDPE、HDPEが混在した試料からPPのみを識別して抽出することが可能である。
以上のように、識別手段32は、ラマン散乱信号取得手段20により取得したラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度と、記憶手段31に記憶された基準値とに基づいてプラスチックを識別するものであり、従来のようにラマン散乱スペクトル全体を測定し、この測定されたラマン散乱スペクトルからピークを抽出するような複雑な演算処理を行うことなく、簡単な演算処理によりプラスチックを識別するものである。なお、本発明に係る識別手段32は、上述した具体的演算例に限らず、特定のプラスチックのみが際立つような簡単な演算処理であれば採用することが可能である。
上記構成のプラスチック識別装置1では、搬入された粉砕プラスチック(異物が含まれている場合もある。)を前処理風選機2により異物とプラスチック片とに選別し、この選別されたプラスチック片を振動整列フィーダ3により振動させて整列させ、ベルトコンベア4により搬送する。そして、ラマン散乱識別機5によりベルトコンベア4のベルト4a上の被識別プラスチックPにレーザ光を照射してプラスチックの材質を識別し、識別結果に応じて選別用エアガン6により選別して材質ごとに回収する。
このとき、ラマン散乱識別機5では、強力なレーザ光を発生する半導体レーザ発生装置12を光源として、このレーザ光を試料である被識別プラスチックPの表面に凸レンズ13により集光照射し、その散乱光に含まれるラマン散乱光を、レーザ光の集光に使用した同じ凸レンズ13により同軸で集光し、光ファイバ21でマルチチャンネル分光器22に導き、マルチチャンネル分光してラマン散乱信号を得る。ここで得るラマン散乱信号は、予め設定したピーク位置とベースライン位置のみを得るだけで良いため、従来のようにラマン散乱スペクトル全体を正確に測定する必要はない。また、できるだけ少ない画素数で測定すれば、1画素当たりの光強度が大きくなるので、大きな電気信号を取り出すことが可能となる。したがって、例えば512画素のマルチチャンネル分光器22により得たラマン散乱信号であっても十分なSN比で高速に測定することが可能である。図11はPPのラマン散乱信号を50msおよび10msでそれぞれ測定した例を示しており、図11に示されるように、1回の測定に10ms程度の高速処理を行っても識別に十分なSN比(低ノイズ)で必要なラマン散乱信号が得られている。
また、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、こうして得られたラマン散乱信号から、識別したいプラスチックごとに予め決められたピーク位置(例えば、PSの場合のA1,A2)に対応するラマンシフトの波数の1点または2点のラマン散乱強度と、ベースライン位置(例えば、PSの場合のB)に対応するラマンシフトの波数のラマン散乱強度とを求め、その比を計算するなど簡単な演算処理を行い、その値と参照試料のプラスチックで求めた基準値とを比較するという簡便な方法によって毎秒50個以上のプラスチックを識別することが可能である。なお、本実施形態においては、ピーク位置に対応するラマンシフトの波数を1点または2点使用しているが、3点以上とすることも可能である。
特に、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、ベルトコンベア4のベルト4aがステンレス鋼により形成されているため、識別したいプラスチックがクリア色のような透明または半透明であっても、このプラスチックを透過したレーザ光がベルト4aの表面で反射されるので、ベルト4aのラマン散乱光を発生しない。これにより、ベルト4a上の識別したいプラスチックから散乱されたラマン散乱光へのベルト4aによるラマン効果の影響が少なくなるため、このベルト4aの影響の少ない際立ったラマン散乱信号が得られ、より正確なプラスチックの識別が可能となっている。
ここで、図12を参照してラマン散乱光の発生プロセスについて詳述する。図12に示すように、ステンレス鋼製のベルト4a等の金属表面を有する載置台100上に被識別プラスチックP等の透明または半透明の対象物Qを載置し、この対象物Qにレーザ光をレーザ照射系10の凸レンズ13から照射した場合、凸レンズ13から対象物Qへ向かうレーザ光L1により発生するラマン散乱光R1と、透明または半透明の対象物Qを透過して載置台100の金属表面により反射したレーザ光L2により発生するラマン散乱光R2とが凸レンズ13により集光される。すなわち、レーザ光が透明または半透明の対象物Qを透過して載置台100の金属表面で反射することによって2倍のラマン散乱光R1,R2が集光されることになるので、これらの集光されたラマン散乱光R1,R2からラマン散乱信号取得手段20により明確なラマン散乱信号を得ることができる。
なお、本実施形態においては、ベルト4aをステンレス鋼製の板としているが、ゴムベルトの表面をアルミニウム箔により覆った構成とすることも可能である。あるいは、ステンレス鋼以外の金属である銅やアルミニウムにより形成することも可能である。要するに、ベルト4aは、金属表面を有するものとすれば良く、さらに光沢を有するものであればなおさら良い。あるいは、ベルト4aの表面を鏡面としても良く、同様に透明または半透明の対象物を透過したレーザ光が載置台の鏡面で反射することによって、明確なラマン散乱信号が得られる。なお、ベルト4aの材質の違いによるラマン散乱スペクトルへの影響については後述する。
従来のラマン散乱に基づくプラスチックの識別方法は、ラマン散乱スペクトルを正確に測定することが必要であるため、測定時間が長く、解析法も複雑であるが、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、ラマン散乱スペクトルを正確に測定してピーク位置を求めることなく、予め設定したピーク位置とベースライン位置のラマン散乱強度のみを測定したラマン散乱信号から求めるだけ良いため、1秒間に50個以上の高速でプラスチックの材質を識別することが可能である。したがって、現実に排出されている大量の廃棄プラスチックを、ベルトコンベア4によって搬送しながら材質を識別して分別し、プラスチックリサイクルのための純度の高い再生原料を得ることが可能である。
また、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、焦点距離150mm以下の1枚の凸レンズ13によりレーザ光Lを集光して被識別プラスチックPに照射するので、レンズ先から被識別プラスチックPまでの作動距離をその焦点距離150mm以下と同程度に確保することができ、ベルトコンベア4によって搬送されている様々な大きさのプラスチック片の材質を識別することが可能である。
さらに、この凸レンズ13が、被識別プラスチックPから散乱されたラマン散乱光を集光する集光系の一部を構成するので、被識別プラスチックPにどの方向からレーザ光Lを照射してもラマン散乱光Rを集光することができ、光の照射と集光を効率良く行うことができる。これにより、レーザ光Lの照射方向の制限がなくなり、専門家だけでなく一般の利用者であっても容易に使用することが可能となる。また、ベルトコンベア4によって搬送されている様々な形状のプラスチック片に対してどの方向からレーザ光Lが照射された場合であっても、そのラマン散乱光Rを集光して材質を識別することができる。
また、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、レーザ照射系10が、半導体レーザ発生装置12により発生したレーザ光Lをミラー14aおよびダイクロイックミラー14bの反射のみによって凸レンズ13まで導くものであることにより、レーザ光Lの出力を落とさずに凸レンズ13で集光して被識別プラスチックに照射することができる。
また、本実施形態におけるプラスチック識別装置1では、高速に被識別プラスチックの識別を行うことが可能であるため、試料をベルトコンベア4の上で常時移動している状態で識別することが可能である。そのため、レーザ光Lも連続発振させていれば良く、レーザの同期パルス発振が不要であるため、構造が簡単である。
半導体レーザ発生装置12を内蔵する検出部ヘッド11とマルチチャンネル分光器22とが汎用的な光ファイバ21のみで接続しているため、マルチチャンネル分光器22やデータ処理装置30といった精密な部分を作業環境の良い離れた場所に設置することが可能である。
なお、図12で説明したように、本実施形態におけるステンレス鋼製のベルト4a等の金属表面を有する載置台100と、レーザ照射系10およびラマン散乱信号取得手段20とをラマン散乱信号取得装置として特許文献1,2に適用すれば、透明または半透明の対象物Qであっても明確なラマン散乱信号を得ることができるので、より明確なラマン散乱スペクトルを得て、被識別プラスチックの識別をより正確に行うことが可能となる。
プラスチック識別装置1のベルト4aの材質の違いによるラマン散乱スペクトルへの影響について実験を行った。図13は各種金属板およびゴムベルト上に配置したアクリル(クリア色)のラマン散乱スペクトルを取得した結果を示している。実験対象とした各種金属は表1のとおりである。
図13から明らかなようにゴムベルトと比較して、各種金属板ではラマン散乱スペクトルのピーク位置が際立っており、これに基づいてクリア色のプラスチックをより正確に識別することが可能である。一方、ゴムベルトでは、ラマン散乱スペクトルのピーク位置が不明確であるため、クリア色のプラスチックを識別することが不可能である。これは、ゴムのラマン散乱光が影響していると推定される。
また、クリア色および白色のアクリルのレーザ光の透過率を表2に示す。レーザ光の透過率の測定は、クリア色および白色のアクリル板(2mm厚)を挟んだ両側にレーザ照射系10とスペクトラフィジクス(Spectra-Physics)製レーザパワーメータ(Model 407A)を配置して行い、それぞれのアクリル板を透過したときのレーザパワーメータの強度値(W)と、アクリル板を除去したときのレーザパワーメータの強度値(W)との比を求めた。結果を、表2に示す。
表2から白色のアクリル板はほとんどレーザ光を透過していないことが分かる。一方、クリア色のアクリル板はレーザ光を透過しており、半透明あるいは透明であることが分かる。すなわち、図5で示したアクリル(クリア色)、PS(クリア色)、PVC(クリア色)の各プラスチックのラマン散乱スペクトルは、半透明あるいは透明であるに関わらず、レーザ光をほとんど透過しないPC(白色)、ABS(白色)と遜色ない際立ったラマン散乱信号が得られていることが分かる。
本発明のラマン散乱信号取得方法およびラマン散乱信号取得装置は、透明または半透明の対象物から散乱されたラマン散乱信号を取得し、取得したラマン散乱信号に基づいてプラスチックの材質を非破壊的に識別するプラスチックの識別方法および識別装置に有用である。また、本発明のプラスチック識別装置および識別装置は、ラマン散乱という散乱現象を測定することによりプラスチックの材質を識別する方法および装置であり、リサイクルのために家庭ごみや産業廃棄物として廃棄される様々なプラスチックを識別する方法および装置として有用である。
本発明の実施の形態におけるプラスチック識別装置の概略構成図である。 図1のラマン散乱識別機の構成図である。 図1のラマン散乱識別機のブロック図である。 本実施形態におけるプラスチック識別装置により参照試料としての既知のプラスチックのそれぞれのラマン散乱信号を取得した結果を示す図である。 識別手段によるPSの識別例を示す図である。 識別手段によるPPの識別例を示す図である。 識別手段によるPSの識別例を示す図である。 識別手段によるPPの識別例を示す図である。 識別手段によるPSの識別例を示す図である。 識別手段によるPPの識別例を示す図である。 PPのラマン散乱信号を50msおよび10msでそれぞれ測定した例を示す図である。 ラマン散乱光の発生プロセスを説明する断面図である。 各種金属板およびゴムベルト上に配置したアクリル(クリア色)のラマン散乱スペクトルを取得した結果を示す図である。
符号の説明
1 プラスチック識別装置
2 前処理風選機
3 振動整列フィーダ
4 ベルトコンベア
4a ベルト
5 ラマン散乱識別機
6 選別用エアガン
7 エアガン駆動装置
8 同期制御装置
9 コンベア速度調整装置
10 レーザ照射系
11 検出部ヘッド
12 半導体レーザ発生装置
13 凸レンズ
14a ミラー
14b ダイクロイックミラー
20 ラマン散乱信号取得手段
21 光ファイバ
22 マルチチャンネル分光器
23 励起光除去フィルタ
30 データ処理装置
31 記憶手段
32 識別手段
33 出力手段
40 半導体レーザ駆動電源

Claims (7)

  1. 金属表面または鏡面を有する載置台上に載置された対象物にレーザ光を照射し、この対象物から散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得ることを特徴とするラマン散乱信号取得方法。
  2. 金属表面または鏡面を有する載置台上に載置された識別対象物である被識別プラスチックにレーザ光を照射し、この被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得ステップと、
    予め既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより設定した1点以上のピーク位置(以下、「既知ピーク位置」と称す。)のラマン散乱強度およびベースライン位置(以下、「既知ベースライン位置」と称す。)のラマン散乱強度と、前記被識別プラスチックのラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度とに基づいて前記被識別プラスチックの材質を識別する識別ステップと
    を含むプラスチックの識別方法。
  3. 前記被識別プラスチックは、透明または半透明のプラスチックである請求項2記載のプラスチックの識別方法。
  4. 金属表面または鏡面を有し、対象物が載置される載置台と、
    前記載置台上に載置された対象物にレーザを照射するレーザ照射系と、
    前記対象物から散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得手段と
    を有するラマン散乱信号取得装置。
  5. 金属表面または鏡面を有し、識別対象物である被識別プラスチックが載置される載置台と、
    前記載置台上に載置された被識別プラスチックにレーザを照射するレーザ照射系と、
    前記被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得るラマン散乱信号取得手段と、
    予め既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより設定した1点以上のピーク位置(以下、「既知ピーク位置」と称す。)のラマン散乱強度およびベースライン位置(以下、「既知ベースライン位置」と称す。)のラマン散乱強度を記憶する記憶手段と、
    前記被識別プラスチックのラマン散乱信号から得た識別したいプラスチックの材質ごとの既知ピーク位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度および既知ベースライン位置に対応するラマンシフトの波数におけるラマン散乱強度と、前記記憶手段に記憶された既知ピーク位置のラマン散乱強度および既知ベースライン位置のラマン散乱強度とに基づいて前記被識別プラスチックの材質を識別する識別手段と
    を有するプラスチックの識別装置。
  6. 前記載置台の金属表面は、光沢を有するものである請求項5記載のプラスチックの識別装置。
  7. 前記載置台の金属表面を構成する金属は、ステンレス鋼、アルミニウムまたは銅である請求項5または6に記載のプラスチックの識別装置。
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