JP2009088101A - 静電チャックシステムおよび真空成膜装置の試験方法 - Google Patents

静電チャックシステムおよび真空成膜装置の試験方法 Download PDF

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Yasukuni Iwasaki
安邦 岩崎
Atsuhiro Terakura
厚広 寺倉
Daisuke Akashi
大輔 明石
Masao Marunaka
正雄 丸中
Noriaki Miyazaki
典明 宮崎
Takayuki Tsuchiya
貴之 土屋
Etsuro Nishida
悦郎 西田
Kiyoshi Takeuchi
清 武内
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Abstract

【課題】真空成膜装置の評価試験において、静電チャックのチャック面よりも小さな試験基板を適切に吸着できる静電チャックシステムを提供する。
【解決手段】静電チャックシステム110は、電極52が内蔵された誘電体層53を有し、誘電体層53の表面において電極52により区画された領域がチャック面54として機能する静電チャック50と、電極52に電圧を印加させる電源51と、静電チャック50のチャック面54よりも小さな開口62Aを有しており、開口62A以外のチャック面54を覆っている第1のカバー61Aと、を備え、開口62Aと略同一形状の試験基板63Aを開口62Aに配した場合に、電極52に印加された電圧に基づいて試験基板63Aとチャック面54との間に静電力を生じさせ、静電力に基づいて試験基板63Aをチャック面54に吸着させているシステムである。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電チャックシステムおよび真空成膜装置の試験方法に関する。
静電チャックは、静電力(クーロン力やジョンソン・ラベック力)を利用して基板を物理的に吸着でき、更には、基板の加熱や冷却に優れた効果を発揮できるとされている。よって、この静電チャックは、半導体やLCDを製造する真空成膜装置において、真空容器内のシリコン基板やLCD基板などを固定するのに極めて適しており、従来から様々な改良技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、静電チャックのチャック面に対して、真空成膜による導電膜が付着した際の、吸着力低下を防止する機構が記載されている。
また、特許文献2では、PVD装置の試験運転時において、静電チャックのチャック面を保護する目的で用いられるダミーウェハが記載されている。
また、特許文献3では、プラズマ処理装置において、基板トレイ(基板ホルダ)の開口に搭載された複数の基板を、個別に吸着できるように作り込まれた静電チャックが記載されている。
特開平10−107132号公報 特開2004−146790号公報 特開2007−109770号公報
ところで、真空成膜装置により基板上に形成された堆積膜の成膜レートやその分布の評価試験において、高価な大型のシリコン基板(例えば、300mm径の大型基板)を試験の度に使用すると、基板の取扱が煩雑であるとともに、評価試験のコストアップになる。このため、このような評価試験では、通常、大型基板を小さく切断した試験ピース(基板片)が用いられている。ところが、大型基板を吸着できる大面積の静電チャックのチャック面に、このチャック面よりも小さな試験ピースを直接配した場合には、試験ピース以外のチャック面への導電膜(金属膜)の付着を招くことがある。そして、この場合、上述の特許文献1記載のとおり、チャック面の吸着力が低下するという不都合が生じる。この不都合を解消する目的で、試験ピースをチャック面に直接配することに代えて、試験ピースとチャック面との間に、チャック面への堆積膜付着防止用の大型(チャック面と略同形)のダミー基板を介在させるという次善の方策を取る必要がある。しかしながら、この方策では、試験ピースが、ダミー基板を介してチャック面に吸着されているので、試験ピースの吸着力を適切に確保できないのみならず、真空成膜装置の評価試験において、真空成膜装置の本来の成膜条件を再現できないという重大な欠点が顕在化する。
なお、特許文献3では、静電チャックに吸着された複数の基板の自動搬送が意図されており、基板トレイに基板装着用の開口を形成することが記載されている。しかしながら、当該公報に記載の静電チャックは、この開口形状に適合した一定形状の基板を吸着できるようにチャック面が作り込まれた専用機器となっている。よって、大型基板から切断された任意形状の試験ピースを用いることを想定している真空成膜装置の評価試験において、特許文献3記載の静電チャックシステムを流用することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、真空成膜装置の評価試験において、静電チャックのチャック面よりも小さな試験基板を適切に吸着できる静電チャックシステムを提供することを目的とする。また、上述の静電チャックシステムが組み込まれた真空成膜装置の試験方法を提供することも目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、電極が内蔵された誘電体層を有し、前記誘電体層の表面において前記電極により区画された領域がチャック面として機能している静電チャックと、
前記電極に電圧を印加させる電源と、
前記静電チャックのチャック面よりも小さな開口を有しており、前記開口以外の前記チャック面を覆っている第1のカバーと、を備え、
前記開口と略同一形状の試験基板を前記開口に配した場合に、前記電圧に基づいて前記試験基板と前記チャック面との間に静電力を生じさせ、前記静電力に基づいて前記試験基板を前記チャック面に吸着させている、静電チャックシステムを提供する。
これにより、本発明の静電チャックシステムを用いた真空成膜装置の評価試験では、真空成膜装置の本来の成膜条件(例えば、静電チャックによる基板吸着力や静電チャックにより基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板において適切に再現できる。
また、チャック面の全域が、第1のカバーおよび試験基板により覆われるので、真空成膜装置の評価試験において、例えば、試験基板に導電膜を形成した場合、チャック面への導電膜の付着を防止できる。
また、評価試験後の小型の試験基板をサンプリングすることにより、真空成膜装置により形成される大型の基板の成膜性を簡易に検証できる。
ここで、本発明の静電チャックシステムでは、前記第1のカバーの開口の周囲には、環状の段差部が形成され、前記試験基板の周囲には、鍔部が形成されており、前記段差部の面と、前記鍔部の面と、を対向させてもよい。
これにより、第1のカバーの開口における試験基板との間の隙間を通じた、チャック面への導電膜の付着を適切に防止できる。また、この第1のカバーを適宜のリフトピン(図示せず)などを用いて持ち上げると、試験基板の鍔部が第1のカバーの開口における段差部に引っ掛かり、試験基板を第1のカバーに保持させ持ち上げることができる。よって、この場合の第1のカバーは、複数の試験基板を一括して搬送可能な基板ホルダとしての機能を兼ねている。
また、本発明は、電極が内蔵された誘電体層を有し、前記誘電体層の表面において前記電極により区画された領域がチャック面として機能している静電チャックと、
前記電極に電圧を印加させる電源と、
前記静電チャックのチャック面よりも小さな開口を有しており、前記開口以外の前記チャック面を覆っている第1のカバーと、
前記開口よりも小さな試験基板を前記開口に配した場合に、前記試験基板と前記開口との間の隙間を覆って前記試験基板の表面の一部を露出させるように、前記試験基板上に配された第2のカバーと、を備え、
前記電圧に基づいて前記試験基板と前記チャック面との間に静電力を生じさせ、前記静電力に基づいて前記試験基板を前記チャック面に吸着させている、静電チャックシステムを提供する。
これにより、本発明の静電チャックシステムを用いた真空成膜装置の評価試験では、真空成膜装置の本来の成膜条件(例えば、静電チャックによる基板吸着力や静電チャックにより基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板において適切に再現できる。
また、チャック面の全域が、第1のカバーおよび第2のカバー並びに試験基板により覆われるので、真空成膜装置の評価試験において、例えば、試験基板に導電膜を形成した場合、チャック面への導電膜の付着を防止できる。
また、評価試験後の小型の試験基板をサンプリングすることにより、真空成膜装置により形成される大型の基板の成膜性を簡易に検証できる。
更に、本発明の静電チャックシステムでは、試験基板は、第1のカバーの開口よりも小さい任意の形状に形成できるので、試験基板の製作の煩わしさを大幅に削減できる。例えば、ダイヤモンドカッター割りのような単純な手作業により、上述の大型の基板を小さく任意形状に切断すれば、試験基板を製作できる。これにより、真空成膜装置の評価試験のコストを適切に抑えることができる。
また、本発明は、電極が内蔵された誘電体層を有し、前記誘電体層の表面において前記電極により区画された領域がチャック面として機能している静電チャックと、
前記電極に電圧を印加させる電源と、
前記静電チャックのチャック面よりも小さな開口を有しており、前記開口を裏面から塞ぐように前記開口よりも大きな試験基板を配した場合に、前記試験基板以外の前記チャック面を覆っている第3のカバーと、を備え、
前記電圧に基づいて前記試験基板と前記チャック面との間に静電力を生じさせ、前記静電力に基づいて前記試験基板を前記チャック面に吸着させている、静電チャックシステムを提供する。
これにより、本発明の静電チャックシステムを用いた真空成膜装置の評価試験では、真空成膜装置の本来の成膜条件(例えば、静電チャックによる基板吸着力や静電チャックにより基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板において適切に再現できる。
また、チャック面の全域が、第3のカバーおよび試験基板により覆われるので、真空成膜装置の評価試験において、例えば、試験基板に導電膜を形成した場合、チャック面への導電膜の付着を防止できる。
また、評価試験後の小型の試験基板をサンプリングすることにより、真空成膜装置により形成される大型の基板の成膜性を簡易に検証できる。
更に、本発明の静電チャックシステムでは、試験基板は、第3のカバーの開口よりも大きい任意の形状に形成できるので、試験基板の製作の煩わしさを大幅に削減できる。例えば、ダイヤモンドカッター割りのような単純な手作業により、上述の大型の基板を小さく任意形状に切断すれば、試験基板を製作できる。これにより、真空成膜装置の評価試験のコストを適切に抑えることができる。
また、本発明は、上記記載の静電チャックシステムおよび真空成膜手段が組み込まれた真空成膜装置の試験方法であって、
マザー基板から基板片を切断した後、前記基板片を前記試験基板として用いて前記チャック面に吸着させ、この状態で、前記真空成膜手段を用いて前記基板片の表面に堆積膜を形成させる、真空成膜装置の試験方法を提供する。
本発明によれば、真空成膜装置の評価試験において、静電チャックのチャック面よりも小さな試験基板を適切に吸着できる静電チャックシステムが得られる。
また、上述の静電チャックシステムが組み込まれた真空成膜装置の試験方法も得られる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるシートプラズマを用いたスパッタリング装置(真空成膜装置)の構成例を示す概略図である。なお、以下の説明の便宜上、図1に示す如く、プラズマ輸送の方向をZ方向にとり、このZ方向に直交し、かつ棒磁石24A、24B(後記)の磁化方向をY方向にとり、これらのZ方向およびY方向の両方に直交する方向をX方向にとって、このスパッタリング装置100の構成を述べる。
スパッタリング装置100は、図1に示す如く、プラズマ輸送の方向(Z方向)から見て順番に、プラズマを高密度に生成するプラズマガン40と、Z方向の軸を中心とした円筒状の非磁性(例えばステンレス製やガラス製)のシート状プラズマ形成室20と、Y方向の軸を中心とした円筒状の非磁性(例えばステンレス製)の真空成膜室30(真空容器)と、を備える。なお、これらの各部40、20、30は、プラズマを輸送する通路を介して互いに気密状態を保って連通されている。
プラズマガン40は、減圧可能な放電空間(不図示)を有し、このプラズマガン40のZ方向の一端は、この放電空間を塞ぐようにフランジ11(カソードマウント)が配置されている。このフランジ11には、プラズマ放電誘発用の熱電子を放出するカソードKが配置されているとともに、プラズマ放電により電離される放電ガスとしてのアルゴン(Ar)ガスをこの放電空間に導くガス導入手段(不図示)が設けられている。
また、プラズマガン40の放電空間の適所には、カソードKとの間でプラズマ放電(グロー放電)を維持するため、直流電源V1と適宜の抵抗Rv、R1、R2の組合せにより所定のプラス電圧を印加された一対のグリット電極G1、G2(中間電極)が配置されている。このようなプラズマ放電により、プラズマガン40の放電空間には、荷電粒子(ここではAr+と電子)の集合体としてのプラズマが形成される。
なお、ここでは、直流電源V1に基づく低電圧かつ大電流の直流アーク放電により、カソードKとアノードA(後記)との間に高密度のプラズマ放電を可能にする、公知の圧力勾配型のプラズマガン40が採用されている。
シート状プラズマ形成室20は、Z方向の軸を中心とした円柱状の減圧可能な輸送空間21を有する。シート状プラズマ形成室20の側面周囲には、このシート状プラズマ形成室20を取り囲み、円柱状プラズマ22のZ方向の推進力を発生する電磁コイル23(空心コイル)が配設されている。なお、電磁コイル23の巻線には、カソードK側をS極、アノードA側をN極とする向きの電流が通電されている。
また、この電磁コイル23のZ方向の前方側(アノードAに近い側)には、このシート状プラズマ形成室20(輸送空間21)をY方向の向きに挟み、互いに同極(ここではN極)が対向している一対の角形の棒磁石24A、24B(永久磁石;磁界発生手段の対)が、Y方向に所定の間隔を隔てて配設されている。そして、これらの棒磁石24A、24Bは、Y方向に磁化され、X方向に延びている。
上記電磁コイル23の巻線に電流を流すことによりシート状プラズマ形成室20の輸送空間21に作られるコイル磁界と、棒磁石24A、24Bによりこの輸送空間21に作られる磁石磁界との相互作用により、シート状プラズマ形成室20の輸送空間21を円柱状プラズマ22がZ方向に移動する間に、この円柱状プラズマ22は、その輸送方向(Z方向)の輸送中心Pを含むXZ平面(以下、「主面S」という)に沿って拡がる、均一なシート状のプラズマ(以下、「シート状プラズマ27」という)に変形される。
このようにして変形されたシート状プラズマ27は、図1に示す如く、シート状プラズマ形成室20のZ方向の他端と真空成膜室30の側壁との間に介在する、シート状プラズマ27の通過用のスリット状のボトルネック部28を介して真空成膜室30へ引き出される。なお、ボトルネック部28の間隔(Y方向寸法)および厚み(Z方向寸法)並びに幅(X方向寸法)は、シート状プラズマ27を適切に通過するように設計されている。
また、本実施形態の真空成膜室30としては、例えば、シート状プラズマ27中のAr+の衝突エネルギにより平板状のターゲット35Bの材料をスパッタ粒子として叩き出す真空スパッタリング装置が採用されている。なお、このシート状プラズマ27は、上記ターゲット35Bおよび後記の平板状の基板34に対し平行に拡がっている。
真空成膜室30は、Y方向の軸を中心とした円柱状の減圧可能な、スパッタリングプロセス用の成膜空間31を有し、この成膜空間31は、バルブ37により開閉可能な排気口から真空ポンプ36(例えばターボポンプ)により真空引きされる。これにより、当該成膜空間31はスパッタリングプロセス可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。
ここで成膜空間31は、その機能上、上下方向(Y方向)において、ボトルネック部28の間隔に対応する水平面(XZ平面)に沿った中央空間を境にして、板状のターゲット35Bを格納する囲い部により区画されたターゲット空間と、板状の基板34を格納する囲い部により区画された基板空間と、に区分けされている。
ターゲット35Bは、ターゲットホルダ35Aに装着された状態において、中央空間の上方に位置するターゲット空間内に格納され、適宜のアクチュエータ(不図示)によりターゲット空間内を上下(Y方向)に移動可能に構成されている。また、基板34は、中央空間の下方に位置する基板空間内に格納され、適宜のアクチュエータ(不図示)により基板空間内を上下(Y方向)に移動可能に構成されている。
ここで、本実施形態のスパッタリング装置100では、大型のシリコン製の基板34が、静電チャック直流電源51を用いて静電チャック50に吸着され、固定されている。このように、静電チャック50は、基板保持装置としての機能を果たすが、この静電チャック50の詳細な構成は後述する。
なお、上記中央空間は、真空成膜室30においてシート状プラズマ27の主成分を輸送させる空間である。
このようにして、ターゲット35Bおよび基板34は互いに、シート状プラズマ27の厚み方向(Y方向)に一定の好適な間隔を隔てるようにして、このシート状プラズマ27(中央空間)を挟み、成膜空間31内に対向して配置されている。
また、ターゲット35Bには、スパッタリングプロセス中、直流電源V3により数百ボルトの範囲内で変更可能な可変バイアス電圧(マイナス電圧)が印加される。これにより、シート状プラズマ27中のAr+がターゲット35Bに向かって引き付けられる。その結果、Ar+とターゲット35Bとの間の衝突エネルギによりターゲット35Bのスパッタ粒子が、ターゲット35Bから基板34に向かって叩き出される。
また、基板34には、スパッタリングプロセス中、RF電源V2によりバイアス電圧が印加され、これにより、シート状プラズマ27により、電子を剥ぎ取られて電離されたスパッタ粒子(イオン)が、基板34に向かって加速され、この基板34に対し付着強度を高めて堆積される。
次に、ボトルネック部28から見て、Z方向に対向する位置の真空成膜室30の周辺構成を説明する。この対向位置における真空成膜室30の側壁には、アノードAが配置され、この側壁とアノードAとの間には、プラズマ通過用の通路29が設けられている。
アノードAは、カソードKとの間で適宜のプラス電圧(例えば100V)を印加され、これにより、カソードKおよびアノードAの間の直流アーク放電によるシート状プラズマ27中の荷電粒子(特に電子)を回収する役割を果たす。
また、アノードAの裏面(カソードKに対する対向面の反対側の面)には、アノードA側をS極、大気側をN極とした永久磁石38が配置されている。このため、この永久磁石38のN極から出てS極に入るXZ平面に沿った磁力線により、アノードAに向かうシート状プラズマ27の幅方向(X方向)の拡散を抑えるようにシート状プラズマ27が幅方向に収束され、シート状プラズマ27の荷電粒子が、アノードAに適切に回収される。
また、電磁コイル32、33(空心コイル)は、互いに対をなして、真空成膜室30の側壁を臨むようにして、成膜空間31内のターゲット35Bおよび基板34をZ方向の向きに挟み、異極同士(ここでは、電磁コイル32はN極、電磁コイル33はS極)を向かい合わせて配置されている。
詳しくは、電磁コイル32は、電磁コイル32の巻線が、一対の棒磁石24A、24Bと真空成膜室30との間のZ方向の適所を取り囲むよう配置されている。電磁コイル33は、電磁コイル33の巻線が、真空成膜室30の側壁とアノードAとの間のZ方向の適所を取り囲むように配置されている。
このような電磁コイル32、33の対の巻線に電流を流すことにより作られるコイル磁界によれば、シートプラズマ27の幅方向(X方向)の形状が、真空成膜室30の成膜空間31をシート状プラズマ27がZ方向に移動する間に、シート状プラズマ27中の荷電粒子の拡散を適切に抑えるように整形される。
次に、上述のスパッタリング装置100に使用されている静電チャック50の基本構成および基板吸着原理について概説する。
図2は、静電チャックの基板吸着原理を示した模式図である。
静電チャック50は、図2に示すように、円盤状の内部電極52が内蔵された円盤状の誘電体層53を備える。この内部電極52には、静電チャック直流電源51により直流電圧(以下、必要に応じて「チャック電圧」という)が印加されている。これにより、被吸着物(ここでは、基板34)と誘電体層53の表面とにそれぞれ異種の電荷が現われ、この異種の電荷に基づく静電力(クーロン力やジョンソン・ラベック力)によって、基板34は誘電体層53に吸着される。この静電チャック50には、図2に示す如く、単極型と双極型の2種類の方式があるが、このような静電チャック50の基本構成自体は、すでに公知なので、ここでは、詳細な説明を省略する。
なお、本明細書においては、電荷の誘起(発生)がなされる誘電体層53の円形表面の、内部電極52により区画された領域を「チャック面54」というものとする。
ここで、上述のスパッタリング装置100の評価試験において、試験基板を吸着できるように構成された静電チャックシステムについて図面を参照しながら詳しく説明する。
図3は、本発明の第1実施形態による静電チャックシステムの構成例を示した図である。図3(a)は、静電チャックシステムを試験基板側から平面視した図である。図3(b)は、図3(a)のB−B線に沿った部分の断面図である。なお、図3において、静電チャック50の図示を簡略化しており、静電チャック直流電源51(図2参照)の図示を省略している。
本実施形態の静電チャックシステム110は、図3(a)、(b)に示すように、上述の静電チャック50(図2参照)と、成膜レートの分布の評価試験に用いる円盤状のチャック面カバー61A(第1のカバー)と、を備える。
このように、本実施形態の静電チャックシステム110では、量産用の静電チャック50を用いて、以下に詳述するように、スパッタリング装置100の評価試験を適切に行うことができる。
チャック面カバー61Aの外寸は、円盤状の静電チャック50の外寸よりも若干大きくなっている。このチャック面カバー61Aには、静電チャック50の動径方向に一定の間隔を隔てて十字状に並んでいる複数(ここでは、13個)の開口62Aが形成されている。つまり、チャック面カバー61Aは、静電チャック50のチャック面54よりも小さな円形の開口62Aを複数個有しており、これらの開口62A以外のチャック面54を完全に覆るようになっている。
本実施形態の静電チャックシステム110では、チャック面カバー61Aの円形の開口62Aのそれぞれに、この開口62Aと略同一形状の試験基板63Aがぴったり嵌まるように配されている。すると、内部電極52(図2参照)に印加されたチャック電圧に基づいて試験基板63Aとチャック面54との間に静電力が生じ、この静電力に基づいて試験基板63Aがチャック面54に接触して物理的に吸着される。
なお、この試験基板63Aについては、上述の基板34をマザー基板として適宜の方法により小さく切断して使用すると経済的である。
試験基板の開口への配置法として、図4(a)に示すように、直孔状の開口62Aに、開口62Aと略同一直径の試験基板63Aを嵌めるとよい。但し、この配置法では、開口の孔加工や基板製作を容易にできるという利点があるものの、チャック面カバー61Aの開口62Aにおける僅かな隙間GAを通じた、チャック面54への導電膜の付着が懸念される場合がある。
そこで、試験基板の開口への他の配置法として、図4(b)に示すように、段付きの開口62Bおよび鍔付きの試験基板63Bを準備してもよい。つまり、図4(b)に示すように、チャック面カバー61Bの開口62Bの周囲には、環状の段差部101が形成され、試験基板63Bの周囲には、鍔部102が形成されており、段差部101の加工面と、鍔部102の加工面と、が対向するようになっている。これにより、チャック面カバー61Bの開口62Bにおける試験基板63Bとの間の隙間GAを通じた、チャック面54への導電膜の付着を適切に防止できる。
また、このチャック面カバー61Bを適宜のリフトピン(図示せず)などを用いて持ち上げると、試験基板63Bの鍔部102がチャック面カバー61Bの開口62Bにおける段差部101に引っ掛かり、試験基板63Bをチャック面カバー61Bに保持させ持ち上げることができる。よって、この場合のチャック面カバー61Bは、複数の試験基板63Bを一括して搬送可能な基板ホルダとしての機能を兼ねている。
このようにして、静電チャックシステム110を用いたスパッタリング装置100の評価試験では、スパッタリング装置100の本来の成膜条件(例えば、静電チャック50による基板吸着力や静電チャック50により基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板63A、63Bにおいて適切に再現できる。
また、チャック面54の全域が、チャック面カバー61A、61Bおよび試験基板63A、63Bにより覆われるので、スパッタリング装置100の評価試験において、試験基板63A、63Bに導電膜を形成した場合、チャック面54への導電膜の付着を防止できる。
また、評価試験後の小型の試験基板63A、63Bをサンプリングすることにより、スパッタリング装置100により形成される大型の基板34上の成膜レートの分布を簡易に検証できる。
(第1実施形態の変形例)
図5は、第1実施形態の変形例による静電チャックシステムの構成例を示した図である。図5(a)は、静電チャックシステムを試験基板側から平面視した図である。図5(b)は、図5(a)のB−B線に沿った部分の断面図である。
本変形例による静電チャックシステム120は、上述の静電チャック50(図2参照)と、成膜レート(膜厚)の評価試験に用いる円盤状のチャック面カバー65(第1のカバー)を備える。
このチャック面カバー65の外寸は、円盤状の静電チャック50の外寸よりも若干大きくなっている。チャック面カバー65には、静電チャック50の略中央部に対応する位置に1個の開口66が形成されている。つまり、チャック面カバー65は、図5(a)、(b)に示すように、静電チャック50のチャック面54よりも小さな円形の開口66を1個有しており、この開口66以外のチャック面54を完全に覆るようになっている。
本変形例の静電チャックシステム120では、円形の開口66と略同一形状の試験基板67が開口66にぴったり嵌まるように配されている。すると、内部電極52(図2参照)に印加されたチャック電圧に基づいて試験基板67とチャック面54との間に静電力が生じ、この静電力に基づいて試験基板67がチャック面54に接触して物理的に吸着される。
なお、この試験基板67については、上述の基板34をマザー基板として適宜の方法により小さく切断して使用すると経済的である。
このようにして、静電チャックシステム120を用いたスパッタリング装置100の評価試験では、スパッタリング装置100の本来の成膜条件(例えば、静電チャック50による基板吸着力や静電チャック50により基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板67において適切に再現できる。
また、チャック面54の全域が、チャック面カバー65および試験基板67により覆われるので、スパッタリング装置100の評価試験において、試験基板67に導電膜を形成した場合、チャック面54への導電膜の付着を防止できる。
更に、評価試験後の小型の試験基板67をサンプリングすることにより、スパッタリング装置100により形成される大型の基板34上の略中央部の成膜レートを簡易に検証できる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。但し、本実施形態による静電チャックシステム以外のスパッタリング装置の構成は、第1実施形態によるスパッタリング装置の構成と同じであるので、両者に共通する構成の説明は省略する。
図6は、本発明の第2実施形態による静電チャックシステムの構成例を示した図である。図6(a)は、静電チャックシステムを試験基板側から平面視した図である。図6(b)は、図6(a)のB−B線に沿った部分の断面図である。なお、図6において、静電チャック50の図示を簡略化しており、静電チャック直流電源51(図2参照)の図示を省略している。
本実施形態の静電チャックシステム130は、図6(a)、(b)に示すように、上述の静電チャック50(図2参照)と、成膜レートの分布の評価試験に用いる円盤状のチャック面カバー161(第1のカバー)と、を備える。
このように、本実施形態の静電チャックシステム130では、量産用の静電チャック50を用いて、以下に詳述するように、スパッタリング装置100の評価試験を適切に行うことができる。
チャック面カバー161の外寸は、円盤状の静電チャック50の外寸よりも若干大きくなっている。チャック面カバー161には、静電チャック50の動径方向に一定の間隔を隔てて十字状に並んでいる複数(ここでは、9個)の開口162が形成されている。つまり、チャック面カバー161は、静電チャック50のチャック面54よりも小さな円形の開口162を複数個有しており、これらの開口162以外のチャック面54を完全に覆るようになっている。
本実施形態の静電チャックシステム130では、チャック面カバー161の円形の開口162のそれぞれに、これらの開口162よりも小さな任意形状(例えば、五角形)の試験基板163が開口162内に配されている。すると、内部電極52(図2参照)に印加されたチャック電圧に基づいて試験基板163とチャック面54との間に静電力が生じ、この静電力に基づいて試験基板163がチャック面54に接触して物理的に吸着される。
なお、この試験基板163については、上述の基板34をマザー基板として適宜の方法により小さく切断して使用すると経済的である。
また、本実施形態の静電チャックシステム130は、図6(a)、(b)に示すように、試験基板163と開口162との間の隙間GBを完全に覆うことができ、かつ、試験基板163の表面の一部を露出させるように、試験基板163上のそれぞれに配された複数(ここでは、9個)の基板カバー70(第2のカバー)を備える。ここでは、基板カバー70は円環状に形成され、基板カバー70の外寸は、開口162の外寸よりも大きく、基板カバー70の内寸は、試験基板163の外寸よりも小さくなっている。つまり、基板カバー70の略中央部には、試験基板163より小さな円形の開口71が形成されており、この開口71を通じて、試験基板163の表面の一部が露出している。
なお、各基板カバー70の位置ずれ防止法として、図7(a)に示すように、基板カバー70に一体的に形成された位置決めピン202を、チャック面カバー161に形成された位置決め孔204に嵌めてもよい。また、図7(b)に示すように、基板カバー70に一体的に形成されたリング状の凸部203を、チャック面カバー161における開口162の周囲に当接させてもよい。
このようにして、静電チャックシステム130を用いたスパッタリング装置100の評価試験では、スパッタリング装置100の本来の成膜条件(例えば、静電チャック50による基板吸着力や静電チャック50により基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板163において適切に再現できる。
また、チャック面54の全域が、チャック面カバー161および試験基板163並びに基板カバー70により覆われるので、スパッタリング装置100の評価試験において、試験基板163に導電膜を形成した場合、チャック面54への導電膜の付着を防止できる。
また、評価試験後の小型の試験基板163をサンプリングすることにより、スパッタリング装置100により形成される大型の基板34上の成膜レートの分布を簡易に検証できる。
更に、本実施形態の静電チャックシステム130では、試験基板163は、チャック面カバー161の開口162よりも小さい任意の形状に形成できるので、試験基板163の製作の煩わしさを大幅に削減できる。例えば、ダイヤモンドカッター割りのような単純な手作業により、上述の大型の基板34を小さく任意形状に切断すれば、試験基板163を製作できる。これにより、スパッタリング装置100の評価試験のコストを適切に抑えることができる。
なお、ここでは、図示を省略するが、本実施形態の静電チャックシステム130のチャック面カバー161および基板カバー70を、第1実施形態の変形例で述べた如く、基板中央部の成膜レート(膜厚)の評価試験に用いるカバーに容易に改変することができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。但し、本実施形態による静電チャックシステム以外のスパッタリング装置の構成は、第1実施形態によるスパッタリング装置の構成と同じであるので、両者に共通する構成の説明は省略する。
図8は、本発明の第3実施形態による静電チャックシステムの構成例を示した図である。図8(a)は、静電チャックシステムを試験基板側から平面視した図である。図8(b)は、図8(a)のB−B線に沿った部分の断面図である。なお、図8において、静電チャック50の図示を簡略化しており、静電チャック直流電源51(図2参照)の図示を省略している。
本実施形態の静電チャックシステム140は、図8(a)、(b)に示すように、上述の静電チャック50(図2参照)と、成膜レートの分布の評価試験に用いる略円盤状のチャック面/基板カバー80(第3のカバー)と、を備える。
このように、本実施形態の静電チャックシステム110では、量産用の静電チャック50を用いて、以下に詳述するように、スパッタリング装置100の評価試験を適切に行うことができる。
チャック面/基板カバー80の外寸は、円盤状の静電チャック50の外寸よりも若干大きくなっている。チャック面/基板カバー80には、静電チャック50の動径方向に一定の間隔を隔てて十字状に並んでいる複数(ここでは、5個)の開口262が形成されている。つまり、チャック面/基板カバー80は、静電チャック50のチャック面54よりも小さな円形の開口262を複数個有している。そして、チャック面/基板カバー80の開口262よりも大きな任意形状の試験基板263が、チャック面/基板カバー80の裏面から開口262を完全に覆うように配された場合、チャック面/基板カバー80は、試験基板263以外のチャック面54を完全に覆るようになっている。この場合、内部電極52(図2参照)に印加されたチャック電圧に基づいて試験基板263とチャック面54との間に静電力が生じ、この静電力に基づいて試験基板263がチャック面54に接触して物理的に吸着される。
なお、この試験基板263については、上述の基板34をマザー基板として適宜の方法により小さく切断して使用すると経済的である。
このようにして、静電チャックシステム140を用いたスパッタリング装置100の評価試験では、スパッタリング装置100の本来の成膜条件(例えば、静電チャック50による基板吸着力や静電チャック50により基板を加熱乃至冷却する場合の基板温度)を、取扱性に優れた小型の試験基板263において適切に再現できる。
また、チャック面54の全域が、チャック面/基板カバー80および試験基板263により覆われるので、スパッタリング装置100の評価試験において、試験基板263に導電膜を形成した場合、チャック面54への導電膜の付着を防止できる。
また、評価試験後の小型の試験基板263をサンプリングすることにより、スパッタリング装置100により形成される大型の基板34上の成膜レートの分布を簡易に検証できる。
更に、本実施形態の静電チャックシステム140では、試験基板263は、チャック面/基板カバー80の開口262よりも大きい任意の形状に形成できるので、試験基板263の製作の煩わしさを大幅に削減できる。例えば、ダイヤモンドカッター割りのような単純な手作業により、基板34を小さく任意形状に切断すれば、試験基板263を製作できる。これにより、スパッタリング装置100の評価試験のコストを適切に抑えることができる。
なお、ここでは、図示を省略するが、本実施形態の静電チャックシステム140のチャック面/基板カバー80を、第1実施形態の変形例で述べた如く、基板中央部の成膜レート(膜厚)の評価試験に用いるカバーに容易に改変することができる。
更に、本実施形態の静電チャックシステム140には、以下に述べる如く、各種のアイデアが具体化されている。
まず、本実施形態の静電チャックシステム140では、図8(a)、(b)に示すように、試験基板263の外周近傍の表面とチャック面/基板カバー80の開口262近傍の内面との間に、リング状のスクィーズパッキン201(例えば、Oリング)が配されている。これにより、チャック面/基板カバー80および静電チャック50により形成される内部空間を、成膜空間31(図1参照)に対して気密に保つことができる。よって、静電チャック50に形成された伝熱ガス供給用の孔および溝(図示せず)を通じて伝熱ガスをこの空間に供給した場合、この伝熱ガスが成膜空間31に漏れないよう、伝熱ガスを適切に閉じ込めることができる。その結果、閉じ込められた伝熱ガスにより、試験基板263の冷却や加熱が適切になされる。但し、この場合、成膜空間31の真空圧と伝熱ガスが充填された空間のガス圧との間の差圧が大きくなり過ぎて、チャック面/基板カバー80の、試験基板263からの遊離が懸念される場合には、チャック面54への導電膜の付着による悪影響を受け難いチャック面/基板カバー80の部分に、適宜の伝熱ガスの逃がし孔(図示せず)を設けてもよい。
また、本実施形態の静電チャックシステム140では、略円盤状のチャック面/基板カバー80の面内方向および厚み方向の適切な位置決めを図る目的で、チャック面/基板カバー80の円環状の周縁部300は、図9(a)に示すように、段付き形状に加工されている。つまり、この周縁部300における静電チャック50(誘電体層53)との間の水平当接面301により、チャック面/基板カバー80の厚み方向の位置が規制され、これにより、上述の伝熱ガスの閉じ込め空間を適切に確保できる。なお、この水平当接面301を静電チャック50のチャック面54に接触させると、チャック面/基板カバー80を静電チャック50に吸着させることができる。
また、この周縁部300における静電チャック50(誘電体層53)との間の垂直当接面302により、チャック面/基板カバー80の面内方向の位置が規制され、これにより、チャック面/基板カバー80の中心を、静電チャック50(誘電体層53)の中心に適切に合わせることができる。なお、チャック面/基板カバー80の円環状の周縁部300を段付き加工することに代えて、静電チャック50(誘電体層53)の側部400を段付き加工しても、図9(b)の図示から容易に理解できるとおり、上述の効果と同じ効果を奏する。
また、本実施形態の静電チャックシステム140では、図8(a)に示すように、チャック面/基板カバー80の回り止めを図る目的で、チャック面/基板カバー80の周縁部300の適所に突起部304が形成され、静電チャック50(誘電体層53)の側部に、この突起部304を嵌め込む溝部305が形成されている。
また、本実施形態の静電チャックシステム140では、図8(a)、(b)に示すように、試験基板263と干渉しない領域に、チャック面/基板カバー80において、試験基板263の厚みと略同等の厚みとなる複数(ここでは4個)の円柱形の肉厚部81が形成されている。これにより、この肉厚部81を介して、チャック面/基板カバー80が静電チャック50のチャック面54に吸着して固定される。
また、本実施形態の静電チャックシステム140では、試験基板263を5個配する例を述べたが、試験基板263の個数はこれに限定されない。例えば、第1実施形態の変形例で述べたように、スパッタリング装置100の成膜レート自体の評価試験を行う場合には、試験基板263は、チャック面/基板カバー80の中央部の開口262のみに配すればよい。この場合、この中央部の開口262以外の開口262には、例えば、シリコン製の試験基板263よりも安価なダミーの基板(例えば、鉄製の基板;図示せず)を配してもよい。
また、チャック面54内の試験基板263の搭載予定位置(正確には静電チャック50上にチャック面/基板カバー80を載せた際の開口262に対向する位置)には、所定の目印を付けてもよい。例えば、図示は省略するが、円形溝、円形着色、伝熱ガス溝を用いた模様、材料の違いによる円形金属色、表面粗さの違いによる円形光沢などを付けることにより、試験基板263のチャック面54への配設を容易にできる。
本発明によれば、真空成膜装置の評価試験において、静電チャックのチャック面よりも小さな試験基板を適切に吸着できる静電チャックシステムが得られる。よって、本発明は、例えば、このような静電チャックシステムを組み込んだ真空成膜装置の試験に利用できる。
本発明の第1実施形態によるスパッタリング装置(真空成膜装置)の構成例を示す概略図である。 静電チャックの基板吸着原理を示した模式図である。 本発明の第1実施形態による静電チャックシステムの構成例を示した図である。 第1実施形態による静電チャックシステムにおいて、試験基板の開口への配置法を説明する図である。 第1実施形態の変形例による静電チャックシステムの構成例を示した図である。 本発明の第2実施形態による静電チャックシステムの構成例を示した図である。 第2実施形態による静電チャックシステムにおいて、基板カバーの位置ずれ防止法を説明する図である。 本発明の第3実施形態による静電チャックシステムの構成例を示した図である。 第3実施形態による静電チャックシステムにおいて、チャック面/基板カバーの面内方向および厚み方向の位置決め法を説明する図である。
符号の説明
11 フランジ
20 シート状プラズマ形成室
21 輸送空間
22 円柱状プラズマ
23、32、33 電磁コイル
24A、24B 棒磁石
36 真空ポンプ
37 バルブ
27 シート状プラズマ
28 ボトルネック部
29 通路
30 真空成膜室
31 成膜空間
34 基板
35A ターゲットホルダ
35B ターゲット
38 永久磁石
40 プラズマガン
50 静電チャック
51 静電チャック直流電源
52 内部電極
53 誘電体層
54 チャック面
61A、61B、65 チャック面カバー
62A、62B、66、71、162、262 開口
63A、63B、67、163、263 試験基板
70 基板カバー
80 チャック面/基板カバー
81 肉厚部
100 スパッタリング装置
110、120、130、140 静電チャックシステム
101 段差部
102 鍔部
201 スクィーズパッキン
202 位置決めピン
203 凸部
204 位置決め孔
300 周縁部
301 水平当接面
302 垂直当接面
400 側部
A アノード
GA、GB 隙間
K カソード
P 輸送中心
S 主面
V1、V3 直流電源
V2 RF電源

Claims (5)

  1. 電極が内蔵された誘電体層を有し、前記誘電体層の表面において前記電極により区画された領域がチャック面として機能している静電チャックと、
    前記電極に電圧を印加させる電源と、
    前記静電チャックのチャック面よりも小さな開口を有しており、前記開口以外の前記チャック面を覆っている第1のカバーと、を備え、
    前記開口と略同一形状の試験基板を前記開口に配した場合に、前記電圧に基づいて前記試験基板と前記チャック面との間に静電力を生じさせ、前記静電力に基づいて前記試験基板を前記チャック面に吸着させている、静電チャックシステム。
  2. 前記第1のカバーの開口の周囲には、環状の段差部が形成され、前記試験基板の周囲には、鍔部が形成されており、
    前記段差部の面と、前記鍔部の面と、が対向するようになっている、請求項1記載の静電チャックシステム。
  3. 電極が内蔵された誘電体層を有し、前記誘電体層の表面において前記電極により区画された領域がチャック面として機能している静電チャックと、
    前記電極に電圧を印加させる電源と、
    前記静電チャックのチャック面よりも小さな開口を有しており、前記開口以外の前記チャック面を覆っている第1のカバーと、
    前記開口よりも小さな試験基板を前記開口に配した場合に、前記試験基板と前記開口との間の隙間を覆って前記試験基板の表面の一部を露出させるように、前記試験基板上に配された第2のカバーと、を備え、
    前記電圧に基づいて前記試験基板と前記チャック面との間に静電力を生じさせ、前記静電力に基づいて前記試験基板を前記チャック面に吸着させている、静電チャックシステム。
  4. 電極が内蔵された誘電体層を有し、前記誘電体層の表面において前記電極により区画された領域がチャック面として機能している静電チャックと、
    前記電極に電圧を印加させる電源と、
    前記静電チャックのチャック面よりも小さな開口を有しており、前記開口を裏面から塞ぐように前記開口よりも大きな試験基板を配した場合に、前記試験基板以外の前記チャック面を覆っている第3のカバーと、を備え、
    前記電圧に基づいて前記試験基板と前記チャック面との間に静電力を生じさせ、前記静電力に基づいて前記試験基板を前記チャック面に吸着させている、静電チャックシステム。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の静電チャックシステムおよび真空成膜手段が組み込まれた真空成膜装置の試験方法であって、
    マザー基板から基板片を切断した後、前記基板片を前記試験基板として用いて前記チャック面に吸着させ、この状態で、前記真空成膜手段を用いて前記基板片の表面に堆積膜を形成させる、真空成膜装置の試験方法。
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