JP2009087867A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の構造の複雑化や、配流の不均一化を抑えつつ、凝縮水に起因する電池性能の低下を抑制する。
【解決手段】燃料電池20は、複数の発電単位体から成る複数の積層体ユニットを、互いに直列に積層して成る。また、燃料ガス流路として、各積層体ユニット内では、各々の発電単位体内を燃料ガスが並列に流れるように燃料ガスを導くと共に、積層体ユニット間では、燃料電池の一方の端部側の積層体ユニットから他方の端部側の積層体ユニットへと燃料ガスを順次導く流路を備える。燃料ガス流路は、燃料電池のアノード側端部において、燃料ガスが供給される開口部を有する。アノード端積層体ユニットは、このアノード端積層体ユニットを構成する発電単位体と、アノード端積層体ユニットに隣接する積層体ユニットを構成する発電単位体とに対して、燃料ガスを並列に流した場合に、出力電圧が低下する発電単位体に相当する数の発電単位体を備える。
【選択図】図4

Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池においては、ガス流路内に生じる液水の滞留に起因する電池性能の低下が起こり得ることが知られている。このような電池性能の低下は、燃料電池を構成する単セル内のガス流路内に滞留する凝縮水によってガス流れが阻害されて、電気化学反応に供されるガス量が不足し、ガス不足が起こった単セルにおける電圧が低下することが原因であると考えられる。凝縮水に起因する性能低下を抑制するために、従来、燃料電池内におけるガスの流し方が検討されてきた。例えば、複数の単セルを積層して成る燃料電池にガスを供給する際に、まず、燃料電池の両端部に配置された単セルにガスを供給し、その後、より中央部側に配置された残りの単セルに、上記両端部の単セルから排出されたガスを分配供給する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このように、両端部の一部の単セルのみに最初にガスを分配し、その後、残りの単セルにガスを分配することにより、温度が低下して凝縮水が生じやすい両端部の単セルにおけるガス流量を増大させ、これらの単セル内の流路からの排水性の向上を図っている。
特開2003−157887号公報 特開2003−157864号公報 特開2003−346870号公報
しかしながら、燃料電池に供給されたガスを、まず両端部の単セルに分配して、その後に残りの単セルに分配する場合には、ガスを引き回す流路の形状が複雑化するという問題を生じる。特に、反応ガスである燃料ガスと酸化ガスの双方について上記のような配流を行なおうとすると、配管の複雑化の程度が大きくなる。また、最初に両端部の単セルに反応ガスを分配することにより、反応ガスの分配がアンバランスになる場合があり、ガス利用率の確保が部分的に困難になる場合があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、燃料電池の構造の複雑化や、配流の不均一化を抑えつつ、ガス流路内で生じる凝縮水に起因する電池性能の低下を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様としての燃料電池は、アノードおよびカソードが表面に形成された電解質膜を備える発電単位体を積層して成る燃料電池であって、
積層された複数の前記発電単位体から成る積層体ユニットを、互いに直列に積層した複数個の積層体ユニットと、
アノードに燃料ガスを供給するために前記燃料電池の内部に形成される燃料ガスの流路であって、各積層体ユニット内では、前記積層体ユニットを構成する各々の前記発電単位体内を前記燃料ガスが並列に流れるように前記燃料ガスを導くと共に、前記積層体ユニット間では、前記燃料電池の一方の端部側の積層体ユニットから他方の端部側の積層体ユニットへと前記燃料ガスを順次導く燃料ガス流路と、
を備え、
前記燃料ガス流路は、前記燃料電池の両端部の内、端部に配置された前記発電単位体において前記電解質膜の端部側にアノードが配置される端部であるアノード側端部において、前記燃料ガスが供給される開口部を有し、
前記アノード側端部に配置されたアノード端積層体ユニットは、前記アノード端積層体ユニットを構成する前記発電単位体と、前記アノード端積層体ユニットに隣接する積層体ユニットを構成する前記発電単位体とに対して、前記燃料ガスを並列に流した場合に、出力電圧が低下するアノード側端部近傍の発電単位体に相当する数の発電単位体を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の第1の態様としての燃料電池によれば、燃料電池に供給する燃料ガスを、まず、アノード側端部に配置された積層体ユニット内で分配するため、アノード側端部近傍の発電単位体において、燃料ガスの流量および流速を増大させることができる。したがって、上記アノード側端部近傍の発電単位体内の燃料ガス流路における排水性を向上させると共に、液水の滞留に起因するアノード側端部近傍の発電単位体における電圧低下を抑制することができ、電池性能の低下を抑えることができる。また、このように、燃料ガス流路を、積層体ユニット間で一方の端部側から他方の端部側へと燃料ガスを順次導くように形成しているため、燃料ガス流路の配管の複雑化を抑え、燃料ガスの配流の不均一化を抑制することができる。さらに、燃料ガスの流速を速めて排水性を高めるべきアノード側端部を、燃料ガス流路の上流側としているため、アノード側端部近傍の発電単位体が備える燃料ガス流路において、流路内の水蒸気および液水の総量を抑え、液水の滞留を抑制する効果を高めることができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池において、前記燃料電池からの前記燃料ガスの排出を抑制しつつ、前記燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なうこととしても良い。このような構成とすれば、燃料ガスの排出が抑制されていることにより、排水のために燃料ガスの流速を利用し難いにも拘わらず、水が滞留しやすいアノード側端部近傍における燃料ガスの流速を確保することができる。そのため、燃料ガス流路内の凝縮水を効果的に吹き飛ばして凝縮水を流路から除去することが可能になり、液水の滞留に起因する性能低下(アノード側端部近傍における電圧低下)を抑制することができる。
このような本発明の第1の態様としての燃料電池において、さらに、前記燃料電池から前記燃料ガスが排出される排出口と、前記排出口の開閉状態を調節する燃料ガス排出調節部と、を備え、前記燃料ガス排出調節部によって前記排出口の開閉を行ないながら発電することとしても良い。このような構成とすれば、排出口を閉塞して、燃料電池の燃料ガス流路内に燃料ガスを留めた状態で発電している時であっても、アノード側端部近傍の発電単位体において、燃料ガス流路を流れる燃料ガスの流量および流速を確保して、液水の滞留を抑制することができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池において、前記アノード側端部に配置された前記積層体ユニットが備える前記発電単位体の数が、10以下であることとしても良い。また、前記アノード側端部に配置された前記積層体ユニットが備える前記発電単位体の数が、5以下であることとしても良い。アノード側端部には位置された積層体ユニットが備える発電単位体の数を、燃料ガス流路に滞留する液水を吹き飛ばすために必要十分な数に抑えることで、アノード側端部に配置される積層体ユニットを構成する発電単位体内の燃料ガス流路における流量および流速を、より増大させ、液水を除去する効果を高めることができる。
本発明の第2の態様としての燃料電池は、アノードおよびカソードが表面に形成された電解質膜を備える発電単位体を積層して成り、アノードに供給される燃料ガスの排出を抑制しつつ、前記燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行う燃料電池であって、
積層された複数の前記発電単位体から成る積層体ユニットを、互いに直列に積層した複数個の積層体ユニットと、
アノードに燃料ガスを供給するために前記燃料電池の内部に形成される燃料ガスの流路であって、各積層体ユニット内では、前記積層体ユニットを構成する各々の前記発電単位体内を前記燃料ガスが並列に流れるように前記燃料ガスを導くと共に、前記積層体ユニット間では、前記燃料電池の一方の端部側の積層体ユニットから他方の端部側の積層体ユニットへと前記燃料ガスを順次導く燃料ガス流路と、
を備え、
前記燃料ガス流路は、前記燃料電池の両端部の内、端部に配置された前記発電単位体において前記電解質膜の端部側にアノードが配置される端部であるアノード側端部において、前記燃料ガスが供給される開口部を有することを要旨とする。
以上のように構成された本発明の第2の態様としての燃料電池によれば、燃料電池に流入した燃料ガスを、まず、アノード側端部に配置される積層体ユニットのみにおいて分配するため、流入した燃料ガスをより多くの発電単位体に分配する場合に比べて、アノード側端部近傍の発電単位体内の燃料ガス流路におけるガス流量および流速を速めることができる。したがって、燃料ガスの排出が抑制されていることにより、排水のために燃料ガスの流速を利用し難いにも拘わらず、水が滞留しやすいアノード側端部近傍における燃料ガスの流速を確保することができる。そのため、燃料ガス流路内の凝縮水を効果的に吹き飛ばして凝縮水を流路から除去することが可能になり、液水の滞留に起因する性能低下(アノード側端部近傍における電圧低下)を抑制することができる。また、このように、燃料ガス流路を、積層体ユニット間で一方の端部側から他方の端部側へと燃料ガスを順次導くように形成しているため、燃料ガス流路の配管の複雑化を抑え、燃料ガスの配流の不均一化を抑制することができる。さらに、燃料ガスの流速を速めて排水性を高めるべきアノード側端部を、燃料ガス流路の上流側としているため、アノード側端部近傍の発電単位体が備える燃料ガス流路において、流路内の水蒸気および液水の総量を抑え、液水の滞留を抑制する効果を高めることができる。
A.第1実施例の燃料電池システムの全体構成:
図1は本発明の好適な一実施例としての燃料電池システム10の概略構成を表わすブロック図である。燃料電池システム10は、発電の本体である燃料電池20と、水素供給部22と、ブロワ24と、を備えている。
燃料電池20は、固体高分子型燃料電池であり、発電の単位である単セルを複数積層したスタック構造を有している。水素供給部22は、燃料ガスとして燃料電池20に供給する水素を貯蔵している。水素供給部22としては、例えば、水素ガスを圧縮して貯蔵する水素ボンベや、水素吸蔵合金を備える水素タンクを用いることができる。水素供給部22から燃料電池20に対しては、水素供給路23を介して燃料ガスが供給される。水素供給路23には圧力調整弁26が設けられており、圧力調整弁26によって、水素供給部22から燃料電池20に供給される水素の圧力が所定の圧力に調整(減圧)される。なお、このような水素の圧力調整は、単一の圧力調整弁26によって行なわれるのではなく、複数の弁を用いて順次減圧を行なうこととしても良い。
燃料電池20内を流れて燃料電池20から排出された燃料ガスは、燃料ガス排出路29に導かれて再び水素供給路23に流入する。このように、燃料電池20から排出された燃料ガス中の残余の水素は、水素供給路23の一部と燃料ガス排出路29と燃料電池20内の流路とから成る流路(以下、循環流路と呼ぶ)内を循環して再度電気化学反応に供される。電気化学反応による消費量に相当する水素は、圧力調整弁26を介して水素供給部22から循環流路へと補充され、循環流路内を循環するガス量は、所定の略一定値に保たれる。さらに、循環流路内で燃料ガスを循環させるために、燃料ガス排出路29には水素ポンプ60が設けられている。
また、燃料ガス排出路29には、気液分離器62が設けられている。電気化学反応の進行に伴ってカソードでは水が生じるが、生じた水の一部は、燃料電池20の電解質膜を介してアノード側へと移動し、燃料ガス中に気化する。そのため、循環流路内を循環する燃料ガスにおいては、水蒸気濃度が次第に上昇する。気液分離器62は、循環流路内を循環する燃料ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させて、燃料ガス中の水蒸気濃度を低減させる。気液分離器62には、バルブ64が設けられており、このバルブ64を開状態とすることで、気液分離器62内で凝縮された水が、バルブ64を介して外部に排出される。なお、所定のタイミングでバルブ64を開状態にすることで、凝縮水と共に循環流路内を循環する燃料ガスの一部も外部に排出しており、これにより、循環流路内の不純物濃度(電解質膜を介してアノード側に移動した、酸化ガスである空気中の窒素等の濃度)の上昇を抑えている。
ブロワ24は、酸化ガスとして燃料電池20に空気を供給するための装置である。ブロワ24から燃料電池20に対しては、酸化ガス供給路25を介して酸化ガスが供給され、燃料電池20内を流れた酸化ガスは、燃料電池20外部へと排出される。
図2は、燃料電池20の構成単位である単セル30の様子を表わす分解斜視図であり、図3は、単セル30の断面を表わす断面模式図である。図2では、図3に示す断面を、3−3断面として示している。単セル30は、電解質膜40と、カソード41およびアノード42と、ガス拡散層43,44と、ガスセパレータ45と、を備えている。ここで、電極であるカソード41およびアノード42は、電解質膜40上に形成されており、表面に電極が形成された電解質膜40は、ガス拡散層43,44によって挟持されている。そして、このサンドイッチ構造は、さらに両側からガスセパレータ45によって挟持されている(ただし、ガス拡散層43は、電解質膜40の裏面に配置されるため、図2では図示せず)。
電解質膜40は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。
カソード41およびアノード42は、カーボン粒子などの導電性を有する担体上に担持された、白金や白金合金等の触媒を備えている。このような電極を作製するには、例えば、上記触媒担持カーボンおよび高分子電解質を含有する電極ペーストを作製し、この電極ペーストを、電解質膜40上、あるいはガス拡散層43,44上に塗布し、乾燥・固着させればよい。
ガス拡散層43,44は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロスによって形成することができる。本実施例のガス拡散層43,44は、いずれも、全体として平坦な形状の板状部材である。このようなガス拡散層43,44は、電気化学反応に供されるガスの流路になると共に、集電を行なう。
ガスセパレータ45は、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、焼成カーボン、あるいはプレス成形した金属板により形成されている。ガスセパレータ45は、反応ガス(水素を含有する燃料ガスあるいは酸素を含有する酸化ガス)が流れるガス流路の壁面を成す部材であって、その表面には、ガス流路を形成するための凹凸形状が形成されている。単セル30内では、溝50が形成されたガスセパレータ45の一方の面とカソード41との間には、酸化ガスの流路である単セル内酸化ガス流路47が形成される(図3参照)。また、溝51が形成されたガスセパレータ45の他方の面とアノード42との間には、燃料ガスの流路である単セル内燃料ガス流路48が形成される(図3参照)。
ガスセパレータ45は、その外周近くの互いに対応する位置に、孔部53〜56を備えている。ガスセパレータ45を、電解質膜40およびガス拡散層43,44と共に積層して燃料電池を組み立てると、積層された各ガスセパレータの対応する位置に設けられた孔部は、互いに重なり合って、ガスセパレータの積層方向に燃料電池内部を貫通する流路を形成する。すなわち、単セル内ガス流路に対して反応ガスを供給・排出するガス流路であるガスマニホールドを形成する。具体的には、溝50と連通する孔部53および孔部54は、それぞれ、各単セル内酸化ガス流路47に酸化ガスを分配する酸化ガス供給マニホールドと、各単セル内酸化ガス流路47から排出されるカソード排ガスが集合する酸化ガス排出マニホールドを形成する。また、溝51と連通する孔部55および孔部56は、それぞれ、燃料ガス排出マニホールドと、燃料ガス供給マニホールドを形成する。
図4は、燃料電池20内部を燃料ガスが流れる様子を模式的に表わす説明図である。燃料電池20は、第1積層体ユニット32と、第2積層体ユニット34とを備えている。第1積層体ユニット32と第2積層体ユニット34とは、それぞれ、複数の単セル30を一定の方向に積層して成る。燃料電池20は、単セル30の積層方向が同じになるように第1積層体ユニット32と第2積層体ユニット34とを積層することにより、形成されている。したがって、燃料電池20は、第1積層体ユニット32を構成する複数の単セル30と、第2積層体ユニット34を構成する複数の単セル30とが、全体として直列に接続された構造となっている。
上記のように複数の単セル30を一定の方向に積層した積層体では、一方の端部に位置する単セル30において、電解質膜40の端部側にはアノード42が配置されることになり、他方の端部に位置する単セル30において、電解質膜40の端部側にはカソード41が配置されることになる。以下の説明では、アノードが端部側に配置される上記一方の端部をアノード側端部と呼び、他方の端部をカソード側端部と呼ぶ。本実施例の燃料電池20では、第1積層体ユニット32は、アノード側端部側に配置されており、第2積層体ユニット34は、カソード側端部側に配置されている。
本実施例では、図4に示すように、水素供給部22から供給される燃料ガスを導く水素供給路23は、第1積層体ユニット32のアノード側端部に接続されており、第1積層体ユニット32内の燃料ガスの流路と第2積層体ユニット34内の燃料ガスの流路とは、直列に接続されている。そして、各々の積層体ユニット内では、各単セル30が備える各単セル内燃料ガス流路48は、互いに並列に接続されている。具体的には、水素供給路23から供給される燃料ガスは、第1積層体ユニット32内でガスセパレータ45の孔部56が形成する燃料ガス供給マニホールドにおけるアノード側端部の開口部に接続して、この開口部から燃料ガス供給マニホールドへと燃料ガスが流入する。第1積層体ユニット32の燃料ガス供給マニホールドに流入した燃料ガスは、第1積層体ユニット32内の各単セル内燃料ガス流路48へと分配され、その後、ガスセパレータ45の孔部55が形成する燃料ガス排出マニホールドに集合する。第1積層体ユニット32内に形成される燃料ガス排出マニホールドは、ガス流路変更部49によって、第2積層体ユニット34内に形成される燃料ガス供給マニホールドに接続されている。このように、ガス流路変更部49を介して第2積層体ユニット34へと流れた燃料ガスは、第1積層体ユニット32と同様に、燃料ガス供給マニホールドから各単セル内燃料ガス流路48へと分配され、その後、燃料ガス排出マニホールドに集合する。第2積層体ユニット34の燃料ガス排出マニホールドに集合した燃料ガスは、燃料ガス排出路29へと排出される。
図5に、ガス流路変更部49の構成を示す。ガス流路変更部49は、ガスセパレータ145とガスセパレータ245とによって形成されている。ガスセパレータ145は、第1積層体ユニット32において最もカソード側端部に近い単セルの、カソード側に配置されるガスセパレータとして、ガスセパレータ45に代えて用いられるガスセパレータである。また、ガスセパレータ245は、第2積層体ユニット34において最もアノード側端部に近い単セルの、アノード側に配置されるガスセパレータとして、ガスセパレータ45に代えて用いられるガスセパレータである。ガスセパレータ145は、一方の面(図5に表されている面)には、単セル内酸化ガス流路47を形成する溝50が設けられているが、第2積層体ユニット34に面する他方の面(図5に表わされていない裏面)は、溝51を有しない平坦面となっている。さらに、ガスセパレータ145は、燃料ガス供給マニホールドを形成する孔部56を有しない点が、他のガスセパレータ45と異なっている。ガスセパレータ145が孔部56を有しないことにより、第1積層体ユニット32では、燃料ガス供給マニホールドは、第2積層体ユニット34と接する側の端部において閉塞されることになる。また、ガスセパレータ245は、一方の面(図5に表されていない裏面)には、単セル内燃料ガス流路48を形成する溝51が設けられているが、第1積層体ユニット32に面する他方の面(図5に表わされている面)には、孔部55の位置と孔部56の位置を連通させる凹部58が形成されている。さらに、ガスセパレータ245は、燃料ガス排出マニホールドを形成する孔部55を有しない点が、他のガスセパレータ45と異なっており、凹部58は、孔部55に対応する位置を含む領域に形成されている。ガスセパレータ245とガスセパレータ145とが接することで、ガスセパレータ245の凹部58は、ガスセパレータ145の平坦面との間で、第1積層体ユニット32の燃料ガス排出マニホールドから第2積層体ユニット34の燃料ガス供給マニホールドへと燃料ガスを導く流路を形成する。なお、ガス流路変更部49の形状は、第1積層体ユニット32の燃料ガス排出マニホールドと第2積層体ユニット34の燃料ガス供給マニホールドとを接続可能であれば、他の形状であっても良い。
これに対して、酸化ガスの流路においては、孔部53によって形成されて酸化ガス供給路25から酸化ガスが供給される酸化ガス供給マニホールドと、孔部54が形成する酸化ガス排出マニホールドとは、いずれも、第1および第2積層体ユニット全体を貫通して形成されている。したがって、単セル内酸化ガス流路47は、燃料電池20内全体で、互いに並列に接続されている。各単セル30から酸化ガス排出マニホールドへと集合した酸化ガスは、酸化ガス排出マニホールドから燃料電池20外部へと排出される。
燃料電池を組み立てる際には、ガスセパレータ、ガス拡散層43,44、および電極を形成した電解質膜40から成る所定数の単セル30を積層する。そして、所定数の単セル30を積層した積層体の両端に、負荷に接続される出力端子を有する集電板、絶縁版、エンドプレートを順次配置することによって、スタック構造を構成する。なお、燃料電池20においては、各単セル30間、あるいは、所定数の単セル30を積層するごとに、冷媒流路を形成しても良い。
B.温度分布と電池性能の関係:
図6は、横軸に、スタック構造を有する燃料電池における各単セルの相対的な位置を示しつつ、燃料電池内部における内部温度および出力電圧の一般的な分布を表わす説明図である。図6に内部温度および出力電圧の分布を示す燃料電池は、従来から知られる燃料電池であって、各単セル内に形成される単セル内燃料ガス流路が、燃料電池全体で並列に接続されると共に、各単セル内に形成される単セル内酸化ガス流路も、燃料電池全体で並列に接続されている。図6に示すように、スタック構造を有する燃料電池では、一般に、外部との熱交換が行なわれやすい両端近傍の単セルにおいて、内部温度がより低くなることが知られている。このように温度が低下すると、飽和水蒸気圧が低下することによってガス流路内で凝縮水が生じ、凝縮水によってガス流れが阻害される可能性がある。そのため、従来は、温度がより低くなる両端部近傍の単セルにおいて、凝縮水によるガス流れの阻害に起因する電圧低下が起こると考えられていた。
これに対して、本願発明者は、新たな知見として、内部温度が低下する両端部の内、実際には、特にアノード側端部において電圧低下が起こり易いことを見いだした。すなわち、燃料電池内に形成される単セル内燃料ガス流路と単セル内酸化ガス流路との双方が、それぞれ、燃料電池内で並列に接続されるように形成された燃料電池では、図6に示すように、アノード側端部近傍の単セルのみにおいて、電圧低下が特に顕著に認められた。
このように、アノード側端部近傍の単セルにおいて特に電圧低下が起こり易いのは、端部近傍に配置される一群の単セル内における電解質膜の両側間に存在する微少な温度差と、燃料ガスおよび酸化ガスの性質の違いによるものと考えられる。燃料電池が発電する際には、上記微少な温度差に起因して、まず、より温度が低い側のガス流路に液水が発生すると考えられる。すなわち、同じ単セル内であっても、単セル内酸化ガス流路と単セル内燃料ガス流路の間には、微少な温度差が生じ、より端部側の単セル内ガス流路の方が温度が低くなる。このように温度差が生じると、燃料ガスと酸化ガスのいずれもが略飽和蒸気圧であったとしても、わずかに温度が低い端部側の単セル内ガス流路において、内部のガスが流路壁上でガスがわずかに冷やされることにより、流路壁上で凝縮水が生じ始める。このような温度が低い側のガスは、撹拌されて電解質膜に接するが、このとき電解質膜は、両側のガス流路の中間の温度となっているため、接したガスはわずかに加熱されて飽和蒸気圧がわずかに上昇し、電解質膜から水分を奪う。電解質膜から水分を受け取ったガスは、再び撹拌されて、流路壁で冷却されて再び凝縮水を生じる。これに対して、わずかに温度が高い内部側の単セル内ガス流路を流れるガスは、撹拌されて電解質膜に接するが、接したガスはわずかに冷却されて飽和蒸気圧がわずかに低下し、電解質膜上で凝縮水を生じる。生じた凝縮水は、電解質膜内を、反対の面側(わずかに温度が低いガス流路側)に移動する。このような工程が繰り返されることにより、上記したわずかに温度が低い側の単セル内ガス流路において、凝縮水がより発生し易くなると考えられる。
そして、上記のように温度が低い側の流路で液水が発生すると、上記温度が低い側の流路が燃料ガスの流路であった場合には、燃料ガスおよび酸化ガスの性質の違いにより、特に流路内に液水が滞留し易くなると考えられる。このガスの性質の違いとは、液水を流す力の違いであり、液水を流す力は、例えばそれぞれのガスの流速の影響を受ける。ガス流速は、一般に酸化ガスの方が燃料ガスよりも速くなるが、これについて以下に説明する。燃料電池で進行する電気化学反応は、以下の(1)ないし(3)式で表わすことができる。(1)式はアノード側における反応を表わし、(2)式はカソード側における反応を表わし、(3)式は燃料電池全体で進行する反応を表わす。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
(3)式に示すように、燃料電池が所定量の発電をする際に理論的に必要とされる水素量と酸素量の比は、2:1となる。本実施例のように、燃料ガスとして水素を用い、酸化ガスとして空気を用いる場合には、空気中の酸素の割合は約20%であるため、理論的に必要とされる燃料ガス量と酸化ガス量の比は、およそ2:5となる。したがって、燃料電池に対してガスを供給する際の過剰率(理論的に必要な量に対する実際に供給する量の割合)が、燃料ガスと酸化ガスとで同じであれば、燃料電池の入り口部において、供給される酸化ガスの流速は、燃料ガスの流速の約2.5倍であるといえる。このように、一般に、燃料電池に供給される酸化ガスの流速の方が燃料ガスの流速よりも速いため、液水を吹き飛ばす力は酸化ガスの方が強くなる。
ガスが液水を吹き飛ばす力は、より具体的には、例えば、ガスの運動量や粘性力に依存すると考えることができる。運動量は、質量と速度の積であるため、ガスの運動量は、ガスの分子量と流速の積として比較することができる。水素の分子量が2であるのに対し、空気の平均分子量は約29である。また、上記したように、過剰率が同じであるときに燃料電池に供給される入り口部のガス流速は、酸化ガスが燃料ガスの約2.5倍となる。そのため、燃料ガスの運動量に対する酸化ガスの運動量の比は、以下の(4)式に示すように、1:36.25となり、燃料ガスが液水を跳ね飛ばす力は、酸化ガスの約36分の1しかないと考えることができる。
2×1:29×2.5=2:72.5=1:36.25 …(4)
また、ガスの粘性力は、ガスが液水を粘りで引きずる力として捉えることができ、ガスの粘性係数と流速の積として比較することができる。20℃、1気圧における水素の粘性係数が、8.8×10-6[Pa・s]であるのに対し、空気の粘性係数は、18.2×10-6[Pa・s]である。また、上記したように、過剰率が同じであるときに燃料電池に供給される入り口部のガス流速は、酸化ガスが燃料ガスの約2.5倍となる。そのため、燃料ガスの粘性力に対する酸化ガスの粘性力の比は、以下の(5)式に示すように、1:5.2となり、燃料ガスが液水を引きずる力は、酸化ガスの約5分の1しかないと考えることができる。
8.8×1:18.2×2.5=8.8:45.5≒1:5.2 …(5)
以上説明したように、燃料電池の両端部近傍の単セルでは、微妙な温度差に起因して、より温度が低い端部側の単セル内ガス流路において、液水が生じ始める。そして、液水を排出する力が酸化ガスに比べて弱い燃料ガスの流路においては、生じた液水を排出することができずに液水が次第に滞留してしまう。このようにして、特にアノード側端部近傍の単セルにおいて、燃料ガス流路における液水の滞留に起因して、電圧低下が起こると考えられる。
本実施例の燃料電池20は、第1積層体ユニット32と第2積層体ユニット34とによって形成されているが、この第1積層体ユニット32を構成する単セル30の数は、以下のように設定されている。すなわち、ガス流路変更部49を設けることなく、製造すべき燃料電池20と同じ数の単セルを積層して、単セル内燃料ガス流路のすべてを並列に接続した燃料電池を組み立てて、実際に発電を行なわせる。そして、図6に示すように電圧低下を起こすアノード側端部近傍の単セル30の数を調べて、第1積層体ユニット32を構成する単セル30の数としている。
以上のように構成された本実施例の燃料電池20によれば、燃料電池に供給する燃料ガスを、まず、アノード側端部に設けた第1積層体ユニット32内で分配するため、これらのアノード側端部近傍の単セルにおいて、燃料ガスの流量および流速を増大させることができる。したがって、上記アノード側端部近傍の単セルが備える単セル内燃料ガス流路48における排水性を向上させることができ、液水の滞留に起因する電圧低下を抑制することができる。既述したように、水素を燃料ガスとする燃料電池においては、アノード側端部近傍の単セルにおいて特に、液水の滞留に起因する電圧低下が起きやすいため、本実施例のようにアノード側端部近傍における燃料ガスの流速を速めて、アノード側端部近傍の単セルにおける電圧低下を抑制することにより、燃料電池20の性能低下を抑えることができる。
また、本実施例によれば、従来と同様の燃料電池において、第1積層体ユニット32と第2積層体ユニット34との境界となる位置にガス流路変更部49を設けるという簡素な構成により、各積層体ユニット内では燃料ガス流路を並列に接続すると共に、積層体ユニット間では燃料ガス流路を直列に接続する構成を実現することができる。このとき、液水を排水する効果の高い酸化ガスの流路においては、単セル全体を並列に接続している。そのため、液水の滞留を抑えるための配管の複雑化を抑えることができる。さらに、積層体ユニット間ではガス流路を順次直列に接続しているため、燃料ガスの配流の不均一化を抑制し、燃料電池全体でガスの利用率を確保することができる。
特に、本実施例では、燃料ガスの流速を速めて液水の滞留を抑制すべきアノード側端部に対して水素供給部22を接続しており、第1積層体ユニット32を燃料ガス流れの上流側にしている。そのため、第1積層体ユニット32における液水の滞留を抑制する効果を、さらに高めることができる。すなわち、燃料ガスに対しては、既述したように電解質膜40を介してカソード側から水蒸気が供給されるため、燃料ガス燃料ガス流路においては、下流側ほど、流路内に存在する水蒸気および液水の総量が増加する。本実施例のように、アノード側端部を燃料ガス流れの上流側とすることで、アノード側端部近傍のセルが備える燃料ガス流路において、流路内の水蒸気および液水の総量を抑え、液水の滞留を抑制する効果を高めることができる。ここで、アノード側端部を燃料ガス流れの下流側に配置する場合には、流路内の水蒸気および液水の総量が増えるため、第1積層体ユニット32における電圧低下を抑制するためには、燃料ガスの流速をさらに速める、すなわち、水素ポンプ60の駆動量を増大させることが必要になる。本実施例では、アノード側端部を燃料ガス流れの上流とすることで、水素ポンプ60の駆動量を抑え、燃料電池システム全体のエネルギ効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施例の燃料電池20では、既述したように、気液分離器62のバルブ64を所定のタイミングで解放して、循環流路内の燃料ガスの一部を排出している。そのため、燃料ガスに供給された燃料ガスの全量を、まず、第1積層体ユニット32内で分配することにより、上記バルブ64の解放時においても、アノード側端部近傍の単セル内における燃料ガスの流速を効果的に速めることができ、アノード側端部近傍の単セルにおける排水性を高めることができる。
C.第2実施例:
第1実施例の燃料電池システム10では、燃料電池20内の燃料ガスの流路と、燃料電池20に接続する燃料ガスの流路との間で、燃料ガスを循環させることとしたが、異なる構成としても良い。以下に、第2実施例として、燃料電池からの燃料ガスの排出を抑制して燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なう燃料電池を備えるシステムについて説明する。
図7は、第2実施例の燃料電池システム110の構成の概略を表わすブロック図である。また、図8は、第2実施例の燃料電池20内部を燃料ガスが流れる様子を、図4と同様に模式的に表わす説明図である。燃料電池システム110において、第1実施例の燃料電池システム10と共通する部分には第1実施例と同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。
燃料電池システム110が備える燃料電池20は、第1実施例と同様に、アノード側端部に配置されると共に、水素供給路23が接続する第1積層体ユニット32と、カソード側端部に配置される第2積層体ユニットと、2つの積層体ユニット内の燃料ガス流路を直列に接続するガス流路変更部49と、を備える。このような第2実施例の燃料電池システム110では、燃料電池20の第2積層体ユニット34内の燃料ガス排出マニホールドのカソード側端部である開口部28を開閉するために、燃料ガス排出路29にバルブ27が設けられている。そのため、第2実施例の燃料電池20は、所定のタイミングでバルブ27を解放するとき以外はバルブ27を閉塞して、内部に燃料ガスを留めた状態で発電を行なう。このように、第2実施例においては、燃料ガスの循環は行なわれない。燃料電池の内部に燃料ガスを留めた状態で発電を行なうことにより、電気化学反応で水素を消費する際の水素の利用率を向上させることができると共に、水素を供給するための水素ポンプ60を不要にして、システム全体のエネルギ効率を向上させることが可能になる。
ここで、上記バルブ27の解放は、燃料電池の内部に燃料ガスを留めた状態で発電を行なうことによる燃料ガス中の不純物濃度の上昇を抑制するために行っている。固体高分子型燃料電池では、電解質膜を介して酸化ガス流路側から燃料ガス流路側へと空気中の窒素が移動して、燃料ガス中の窒素濃度が次第に上昇する。また、発電に伴うカソードでの水の生成に起因して、燃料ガス中の水蒸気濃度が上昇する。このような窒素や水蒸気などの不純物濃度の上昇による燃料ガス中の水素濃度の低下や、燃料ガス流路における水の滞留は、発電効率の低下を引き起こす。そのため、本実施例では、所定のタイミングでバルブ27を解放することによって燃料ガス流路中の不純物を排出し、燃料ガス中の不純物濃度の上昇を抑えている。
第2実施例の燃料電池システム110においても、第1実施例と同様に、水素供給路23において圧力調整弁26が設けられており、圧力調整弁26によって、圧力調整弁26よりも下流側における水素供給路23内の圧力が所定の圧力となるように、圧力調整が行なわれている。水素供給路23は、燃料電池20内の燃料ガスの流路と連通しているため、発電による水素の消費に伴って、あるいは、バルブ27の解放による燃料ガスの排出に伴って、圧力調整弁26を介して燃料電池20へと水素が補充される。このように、本実施例では、圧力調整弁26によって、水素供給路23および燃料電池20内の燃料ガスの流路内のガス圧が一定となるように調節されている。
このように、燃料ガス流路の下流側端部をバルブ27によって閉塞する本実施例の燃料電池20では、バルブ27の閉塞時には、内部の燃料ガス流路内における燃料ガスの流速は均一ではない。すなわち、バルブ27の閉塞時には、出口部を閉塞した状態で電気化学反応により水素を消費しつつ、消費した量に相当する水素を上流側から補充するため、燃料ガスの入り口部で最も流速が速くなり、ガス流れの下流ほど、流速が遅くなる。具体的には、上流側に位置する第1積層体ユニット32内の燃料ガス流路の方が、下流側の第2積層体ユニット34内の燃料ガスの流路に比べて、ガスの流速が速くなる。
以上のように構成された第2実施例の燃料電池システム110が備える燃料電池20によれば、アノード側端部を燃料ガス流れの上流側にすると共に、このアノード側端部に第1積層体ユニット32を設けることにより、アノード側端部近傍における燃料ガスの流速を確保して、排水性を向上させ、電圧低下を抑制することができる。すなわち、本実施例では、燃料電池内部に燃料ガスを留めた状態で発電するため、第1実施例のように燃料電池から燃料ガスが排出される構成に比べて燃料ガスの流速は抑えられたものとなっているが、最も流速の速い入り口部をアノード側端部とすることで、水の滞留しやすいアノード側端部近傍において燃料ガスの流速を確保可能にしている。そのため、アノード側端部近傍において、燃料ガス流路内の凝縮水を効果的に吹き飛ばして凝縮水を流路から除去することが可能になり、液水の滞留に起因する性能低下(アノード側端部近傍における電圧低下)を抑制することができる。
なお、第1積層体ユニット32が備える単セル30の数は、第1実施例と同様に、ガス流路変更部49を設けることなく、製造すべき燃料電池20と同じ数の単セルを積層して、単セル内燃料ガス流路のすべてを並列に接続した燃料電池を組み立てて、実際に電圧低下がおこる単セルの数を調べればよい。そして、図6に示すように電圧低下を起こすアノード側端部近傍の単セル30の数を、第1積層体ユニット32を構成する単セル30の数とすればよい。
また、本実施例の燃料電池20は、既述したように所定のタイミングでバルブ27を解放することによって燃料ガス中の不純物濃度の上昇を抑えているが、このようなバルブ27の解放時には、燃料ガス流路を流れる燃料ガスの流量および流速が一時的に増大する。本実施例のようにアノード側端部において一部の単セルのみからなる第1積層体ユニット32を設けた場合には、バルブ27の解放時には、アノード側端部近傍における燃料ガスの流量および流速が増大する効果をさらに高めて、アノード側端部近傍における燃料ガス流路からの排水性を高めることができる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
第1および第2実施例において、第1積層体ユニット32が備える単セル30の数は、製造すべき燃料電池20と同じ数の単セルを積層して、単セル内燃料ガス流路のすべてを並列に接続したときに、出力電圧が低下する単セルの数としているが、この数は、必ずしも厳密に設定する必要はない。例えば、燃料ガス流路を形成する各部材を製造する際の精度や、燃料ガスを供給する際のガス流量の安定性などの影響により、ガス流れによる排水の性能は変動する。そのため、アノード側端部を含む一部の単セルを第1積層体ユニット32として燃料ガスの流速を速めることで、上記のように運転状態が変動等する場合であっても、アノード側端部近傍の単セルにおける電圧低下を安定して抑制可能であればよい。なお、上記効果が得られる範囲であれば、第1積層体ユニット32を構成する単セル30の数が少ないほど、第1積層体ユニット32における燃料ガスの流速を速める効果を高めることができるため、必要充分な値として第1積層体ユニット32を構成する単セル数を設定することが望ましい。このような第1積層体ユニット32を構成する単セル30の数は、例えば、10セル以下、あるいは5セル以下とすることができる。
D2.変形例2:
第1および第2実施例の燃料電池20では、第1積層体ユニット32を設けることにより、液水の滞留に起因する電圧低下が特に起きやすいアノード側端部近傍における液水の滞留を抑制可能にしているが、下流側の構成は、単一の第2積層体ユニット34とするのではなく、さらに複数の積層体ユニットへと分割しても良い。燃料電池20が発電を継続する際には、アノード側端部近傍以外の領域においても、燃料ガス流路における液水滞留の問題は生じうる。下流側の領域も複数の積層体ユニットに分割して、各積層体ユニット内では燃料ガス流路を並列に接続し、積層体ユニット間では燃料ガス流路を直列に接続することで、下流側の領域においても排水性を向上させることができる。例えば、第1実施例においてバルブ64を解放するときや、第2実施例においてバルブ27を解放するときには、下流側の領域においても、単一の第2積層体ユニット34によって構成する場合に比べて単セル内燃料ガス流路におけるガス流速を速め、排水性を向上させることができる。なお、このように下流側の領域も複数の積層体ユニットに分割する場合には、第1積層体ユニットを構成する単セルの数は、第1積層体ユニットを構成する単セルと、第1積層体ユニットに隣接する積層体ユニットを構成する単セルとの全体に対して、燃料ガスを並列に流した場合に、出力電圧が低下するアノード側端部近傍の単セルに相当する数として定めることができる。
D3.変形例3:
燃料電池の内部に形成するガス流路の形状は、種々の変形が可能である。第1および第2実施例では、単セル内燃料ガス流路を流れる燃料ガスの向きと、単セル内酸化ガス流路を流れる酸化ガスの向きとは直交しているが、異なる構成としても良い。例えば、単セル内で燃料ガスと酸化ガスとが流れる向きが、同じ向きあるいは対向する向きとなって、互いに平行に流れる形状に、各々の単セル内ガス流路を形成しても良い。また、実施例では、燃料ガスも酸化ガスも共に、アノード側端部から燃料電池20内に流入する構成としたが、酸化ガスはカソード側端部から供給しても良い。また、実施例では、単セル内ガス流路を、ガスセパレータ上に形成した溝と電極との間に形成される空間によって形成したが、異なる構成としても良い。例えば、ガスセパレータと電極との間に多孔質体を配置して、多孔質体が有する細孔によって形成される空間によって、単セル内ガス流路を形成しても良い。このように燃料電池の形状を種々変形させた場合であっても、燃料ガスをアノード側端部から供給すると共に、供給した燃料ガスを、アノード側端部に設けた第1積層体ユニット内に最初に分配することにより、実施例と同様の効果を得られる。すなわち、燃料ガスを内部に留めた状態で発電する燃料電池において、液水の滞留に起因する電圧低下が起きやすいアノード側端部近傍における燃料ガスの流量および流速を確保して、性能低下を抑制することができる。
D4.変形例4:
第2実施例の燃料電池20では、燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なうと共に、所定のタイミングでバルブ27を解放して燃料ガスの一部を排出しているが、燃料ガスを内部に留めて発電する運転状態については、種々の変形が可能である。実施例と同様に所定のタイミングでバルブ27を解放する場合には、例えば、一定の時間間隔でバルブ27を解放することができる。電解質膜を介したカソード側からの水蒸気の流入は、時間に依存するためである。また、燃料電池における発電量を積算し、積算発電量が一定値に達したときに、バルブ27を解放しても良い。カソードにおいて発電に伴い生成する水の量は、発電量に依存するためである。あるいは、燃料電池の運転状態が特定の状態になったときに、バルブ27を解放することにしても良い。例えば、燃料電池に対する負荷要求が無くなるごと(例えば、燃料電池を駆動用電源として電気自動車に搭載する場合には、停車するごと)にバルブ27を解放して、発電に対するガス圧変動の影響を抑えることとしても良い。
あるいは、バルブ27の解放を行なわず、またはバルブ27を設けず、燃料ガスの流路の下流側端部を閉塞させた状態で発電を継続するシステムであっても良い。また、バルブ27の開閉の動作を行なうのではなく、燃料電池内に留まる燃料ガスの量に比べて微量の燃料ガスを恒常的に排出し続けて、燃料ガス中の不純物濃度の上昇を抑える構成としても良い。
いずれの場合であっても、アノードに燃料ガスとして水素が供給されると共に、燃料電池からの燃料ガスの排出を抑制しつつ、燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なうならば、本願を適用することで実施例と同様の効果が得られる。
燃料電池システム10の概略構成を表わすブロック図である。 単セル30の構成を表わす分解斜視図である。 単セル30の断面を表わす断面模式図である。 燃料電池20内部を燃料ガスが流れる様子を表わす説明図である。 ガス流路変更部49の構成を示す分解斜視図である。 燃料電池内部での温度および出力電圧の分布を表わす説明図である。 燃料電池システム110の概略構成を表わすブロック図である。 燃料電池20内部を燃料ガスが流れる様子を表わす説明図である。
符号の説明
10,110…燃料電池システム
20…燃料電池
22…水素供給部
23…水素供給路
24…ブロワ
25…酸化ガス供給路
26…圧力調整弁
27…バルブ
28…開口部
29…燃料ガス排出路
30…単セル
32…第1積層体ユニット
34…第2積層体ユニット
40…電解質膜
41…カソード
42…アノード
43,44…ガス拡散層
45,145,245…ガスセパレータ
47…単セル内酸化ガス流路
48…単セル内燃料ガス流路
49…ガス流路変更部
50,51…溝
53〜56…孔部
58…凹部
60…水素ポンプ
62…気液分離器
64…バルブ

Claims (6)

  1. アノードおよびカソードが表面に形成された電解質膜を備える発電単位体を積層して成る燃料電池であって、
    積層された複数の前記発電単位体から成る積層体ユニットを、互いに直列に積層した複数個の積層体ユニットと、
    アノードに燃料ガスを供給するために前記燃料電池の内部に形成される燃料ガスの流路であって、各積層体ユニット内では、前記積層体ユニットを構成する各々の前記発電単位体内を前記燃料ガスが並列に流れるように前記燃料ガスを導くと共に、前記積層体ユニット間では、前記燃料電池の一方の端部側の積層体ユニットから他方の端部側の積層体ユニットへと前記燃料ガスを順次導く燃料ガス流路と、
    を備え、
    前記燃料ガス流路は、前記燃料電池の両端部の内、端部に配置された前記発電単位体において前記電解質膜の端部側にアノードが配置される端部であるアノード側端部において、前記燃料ガスが供給される開口部を有し、
    前記アノード側端部に配置されたアノード端積層体ユニットは、前記アノード端積層体ユニットを構成する前記発電単位体と、前記アノード端積層体ユニットに隣接する積層体ユニットを構成する前記発電単位体とに対して、前記燃料ガスを並列に流した場合に、出力電圧が低下するアノード側端部近傍の発電単位体に相当する数の発電単位体を備える
    燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記燃料電池からの前記燃料ガスの排出を抑制しつつ、前記燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なう燃料電池。
  3. 請求項2記載の燃料電池であって、さらに、
    前記燃料電池から前記燃料ガスが排出される排出口と、
    前記排出口の開閉状態を調節する燃料ガス排出調節部と
    を備え、
    前記燃料ガス排出調節部によって前記排出口の開閉を行ないながら発電する
    燃料電池。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池であって、
    前記アノード側端部に配置された前記積層体ユニットが備える前記発電単位体の数が、10以下である
    燃料電池。
  5. 請求項4記載の燃料電池であって、
    前記アノード側端部に配置された前記積層体ユニットが備える前記発電単位体の数が、5以下である
    燃料電池。
  6. アノードおよびカソードが表面に形成された電解質膜を備える発電単位体を積層して成り、アノードに供給される燃料ガスの排出を抑制しつつ、前記燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行う燃料電池であって、
    積層された複数の前記発電単位体から成る積層体ユニットを、互いに直列に積層した複数個の積層体ユニットと、
    アノードに燃料ガスを供給するために前記燃料電池の内部に形成される燃料ガスの流路であって、各積層体ユニット内では、前記積層体ユニットを構成する各々の前記発電単位体内を前記燃料ガスが並列に流れるように前記燃料ガスを導くと共に、前記積層体ユニット間では、前記燃料電池の一方の端部側の積層体ユニットから他方の端部側の積層体ユニットへと前記燃料ガスを順次導く燃料ガス流路と、
    を備え、
    前記燃料ガス流路は、前記燃料電池の両端部の内、端部に配置された前記発電単位体において前記電解質膜の端部側にアノードが配置される端部であるアノード側端部において、前記燃料ガスが供給される開口部を有する
    燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015169581A (ja) * 2014-03-07 2015-09-28 バキュームプロダクツ株式会社 物性依存式圧力計及び水素濃度測定装置

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