JP2009086297A - 現像装置、画像形成装置、現像方法、現像装置制御プログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

現像装置、画像形成装置、現像方法、現像装置制御プログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】現像剤の嵩密度の変動により透磁率センサがトナー濃度を誤検知した場合であっても、トナー濃度を安定した状態で維持する現像装置等を実現する。
【解決手段】本発明の現像装置は、静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する直流バイアス電圧検出部302と、直流バイアス電圧検出部302が検出した現像バイアス電圧に基づいて現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正するトナー濃度判断部301、トナー補給量算出部303、トナー補給指示部304、トナー消費量算出部305およびトナー消費指示部306と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、現像装置に関し、特に、二成分現像剤を用いた場合のトナー濃度を安定化し、長期に亘って高画質の画像出力を実現できる現像装置等に関するものである。
従来から、レーザープリンタや複写機などの電子写真技術を利用した画像出力機器が知られている。これらは、像担持体上に形成された静電潜像を現像し可視像を形成するための現像剤を必要とする。そして、現像剤としては、トナー(色素粉末)単体から成る一成分現像剤とトナーとキャリア(磁性粉末)とから成る二成分現像剤とが用いられてきた。
これらのうち、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式は、他の現像方式と比較して画質の面で優れているため、幅広く用いられてきた。そして、特に、フルカラー画像形成装置において、数多くの機種で用いられている。
二成分現像剤を用いた画像形成装置においては、トナーとキャリアとが充填された現像装置を用い、画像形成時に現像剤中のトナーのみを消費する。そして、消費された分のトナーを現像装置に新たに補給することで、現像剤中のトナー重量混合比で表されるトナー濃度を一定に維持する制御が行われている。
これは、二成分現像剤のトナー濃度を一定に維持することが、画像品質を安定化させる上で極めて重要な制御要素であるためである。すなわち、トナー濃度が不安定になると、後述するように様々な画像欠陥を引き起こす可能性が出てくるためである。
例えば、トナー濃度が規定値よりも低くなった場合は、像担持体と現像剤担持体との対向領域である現像領域に搬送されるトナーの量が不足するため、規定濃度の画像が得られない可能性がある。また、キャリアに対するトナーの接触確率が増加し、トナーの帯電量が上昇するため、同一の画像を形成する際のトナーの総量が、帯電量が低い場合と比較して減少することで、画像の緻密さが失われ、画質の劣化を引き起こす可能性がある。
ここで、規定値とは、トナー濃度が規定値であれば、最も好ましい状態の画像が形成されるときの値をいう。
一方、トナー濃度が規定値よりも高くなった場合は、キャリアに対するトナーの接触確率が減少し、トナーの帯電量が低下するため、非画像部にトナーが付着する画像かぶりや、トナー飛散による機内汚染が発生する可能性がある。
以上のように、トナー濃度の変動は、画像品質を維持する上で大きな弊害となる。このため、従来は、トナー濃度自動制御装置を用いて、現像剤の見かけのトナー濃度を検出し、検出結果に応じて現像装置へのトナー補給/未補給を繰り返し行うことにより、トナー濃度を一定に維持する制御が行われていた。
具体的には、現像装置内の現像剤の見かけのトナー濃度を透磁率センサ等により検出し、規定のトナー濃度よりも低いと判断された場合には、その差分に基づいてトナー補給手段により現像装置にトナーを補給することで、規定のトナー濃度を維持するものである。
しかしながら、トナー濃度センサとして透磁率センサを用いた場合、その検出値は一定体積中に存在する磁性粒子(キャリア)の個数に依存するため、同一のトナー濃度でも現像剤の嵩密度が変化すると(換言すれば、キャリア間の距離が変化すると)、検出値が異なってしまう。すなわち、いわゆる誤検知が発生する恐れがある。したがって、透磁率センサにより検出したトナー濃度と真のトナー濃度とに誤差が生じ、トナー濃度を一定に維持する制御が正しく働かないことで、トナー濃度が不安定となり、上述した不具合が発生する可能性がある。
ここで、図7は、印字率の高い画像出力が連続した場合における特性変化を示す図であり、図8は、印字率の低い画像出力が連続した場合における特性変化を示す図である。
そして、上図を用いて具体的に説明すると、例えば、印字率の高い画像出力が連続した場合、図7(a)に示すようにトナーの帯電量が減少する。そして、これによりトナー同士の反発が緩和されることによりキャリア間の距離が縮まる。これにより、図7(b)に示すように嵩密度が増加する。従って、図7(c)に示すように透磁率センサが検出するトナー濃度は減少しているものとなり、現像装置に対してトナー補給を行うことになる。その結果、図7(d)に示すように、真のトナー濃度は規定値に対して増加してしまう。
これに対し、印字率の低い画像出力が連続した場合、図8(a)に示すようにトナーの帯電量が増加する。そして、これによりトナー同士の反発が顕著となることによりキャリア間の距離が広がる。これにより、図8(b)に示すように嵩密度が減少する。従って、図8(c)に示すように透磁率センサが検出するトナー濃度は増加しているものとなり、現像装置へのトナー補給を停止することになる。その結果、図8(d)に示すように、真のトナー濃度は規定値に対して低下してしまう。
そして、上記の様な現象を避けるべく、嵩密度の変化によるトナー濃度誤検知の影響を受けることなく、現像剤のトナー濃度を安定制御する方法が必要であり、これまで様々な制御方式が提案されてきた。
例えば、特許文献1では、現在の画像形成時に検出した透磁率センサの検出信号値と前回の画像形成時に検出した検出信号値とを比較し、その検出信号値との差分が所定の値以上であった場合、トナー濃度制御を、ビデオカウント数からトナー消費量を予想してそれに対応する量のトナーを補給するビデオカウント方式との併用に切り替え、上記差分によって決定される時間の間、併用制御を実行する技術が開示されている。
また、特許文献2では、画像形成装置の電源投入後のウォームアップ時におけるトナー濃度検出手段からの出力と、前回の画像形成時における電源遮断直前の出力との差に応じて補給するトナー量を決定し、該トナー量のトナー補給が完了するまでの間、画像形成により消費されるトナー量に見合った量のトナーを定量補給する技術が開示されている。
また、特許文献3では、画像信号の画像毎の出力値の積算値、あるいはビデオカウントの積算値に基づき、トナー補給制御の基準値の補正量を変える技術が開示されている。
特開2002―72663号公報(2002年3月12日公開) 特開平11−316495号公報(1999年11月16日公開) 特開2004−85710号公報(2004年3月18日公開)
以上の通り、画像品質を長期にわたって良好に維持するためには、現像剤のトナー濃度を安定化することが必要不可欠である。しかしながら、出力画像の印字率やプリント枚数によって、トナーの帯電量が増減し、これに伴って現像剤の嵩密度が変化することで、透磁率センサがトナー濃度を誤検知する不具合が発生してしまう。これにより、真のトナー濃度は規定値に対して大きく変動し、画像品質を劣化させることになる。従って、嵩密度の変化の影響を受けないトナー濃度制御を実現することは、二成分現像剤を用いた画像形成装置において極めて重要な課題である。
上記課題に対して、特許文献1に記載の技術では、長時間放置後の嵩密度変化に起因するトナーの過補給を防ぐため、起動後はビデオカウント方式によるトナー補給を優先させ、所定時間を経過した後に本来の透磁率センサの検出信号に基づいたトナー濃度制御に戻すことで、トナー濃度を安定化させている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は起動時のトナーの過補給を防ぐには有効であるが、通常の稼動時における嵩密度の変化に起因するセンサの誤検知に対しては、何ら補正を加えることはできず、安定したトナー濃度を実現することはできない。
また、特許文献2に記載の技術では、電源遮断後と電源投入後のそれぞれのセンサ出力の差に応じて補給するトナー量を決定し、該トナーの補給が完了するまでの間、画像形成により消費されるトナー量に見合った量のトナーを定量補給することで、トナー濃度を安定化させている。
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、特許文献1と同様、通常稼動時における嵩密度の変化に起因するセンサの誤検知に対しては、何ら補正を加えることはできず、安定したトナー濃度を実現することはできない。
また、特許文献3に記載の技術では、印字率に応じてプリント枚数の増加に対する嵩密度の変化を予測し、これに基づいてセンサの基準値を変更することでトナー濃度を安定化させている。
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、連続印字した場合の嵩密度変化を予測するものである。よって、間欠印字が組み合わされた場合には、嵩密度変化を予測することが困難となる。なぜなら、間欠印字が組み合わされた場合は、総プリント枚数に対する現像装置の総空転時間が変動するため、トナー帯電量の変化やその他複数の要因に起因する嵩密度の変化(センサの出力変化)は、連続印字、間欠印字の頻度に影響され、一定の特性を示すことはないためである。
従って、センサの出力変化の予測は容易でなく、正確にトナー濃度を補正することは極めて困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像剤の嵩密度の変動により透磁率センサがトナー濃度を誤検知した場合であっても、トナー濃度を安定した状態で維持する現像装置等を実現することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、現像バイアス電圧とトナー濃度との関係を見出し、以下の発明を案出した。
上記課題を解決するために、本発明に係る現像装置は、像担持体上に形成された静電潜像を、現像ユニットに収納されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤により現像する現像装置において、上記静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する現像バイアス電圧検出手段と、上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧に基づいて上記現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正する第1トナー濃度補正手段と、を備えていることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明にかかる現像方法は、像担持体上に形成された静電潜像を、現像ユニットに収納されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤により現像する現像方法であって、上記静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する現像バイアス電圧検出ステップと、上記現像バイアス電圧検出ステップで検出した現像バイアス電圧に基づいて上記現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正するトナー濃度補正ステップと、を含んでいることを特徴としている。
上記の構成および方法によれば、検出した現像バイアス電圧に基づいてトナー濃度が補正される。これは、従来技術のようにトナー濃度センサを用いてトナー濃度を調整しないので、現像剤の嵩密度が変化することによる、トナー濃度センサの誤検知等の影響を受けない。よって、現像剤の嵩密度の変動によりトナー濃度センサの誤検知が生じたとしても、トナー濃度を安定した状態で維持することができる。
本発明に係る現像装置では、上記トナー濃度と上記現像バイアス電圧との関係を示す関係情報を記憶している記憶部を備え、上記第1トナー濃度補正手段は、上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧から上記関係情報を用いて現在のトナー濃度を求め、求めた現在のトナー濃度と上記記憶部に記憶されている規定のトナー濃度との差に対応するトナー量を求め、求めたトナー量に基づいてトナーを補給または消費してトナー濃度を補正するものであることが好ましい。
上記の構成によれば、記憶部には、上記トナー濃度と上記現像バイアス電圧との関係を示す関係情報を記憶されている。そして、上記関係情報を用いて上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧から、現在のトナー濃度が求められる。そして、求められたトナー濃度と規定のトナー濃度との差に対応するトナー量が求められ、求められたトナー量に基づいて、トナーが補給または消費される。
これにより、トナー濃度が規定のトナー濃度と差があれば、該差分の量のトナーが補給または消費される。よって、トナー濃度を規定のトナー濃度で維持することができる。
ここで、上記関係情報とは、例えば、現像バイアス電圧とトナー濃度との関係を示す関係式、対応テーブルが挙げられる。
本発明に係る現像装置では、透磁率センサと、透磁率センサからの測定値と基準値との比較結果に基づいてトナー濃度を補正する第2トナー濃度補正手段と、第1および第2トナー濃度補正手段の何れか一方または両方に上記トナー濃度の補正を、現像条件に基づいて指示する補正指示手段とをさらに備えるものであることが好ましい。
上記の構成によれば、第1トナー濃度補正手段のほかに、さらに、透磁率センサの測定値と基準値との比較結果を用いてトナー濃度を補正する第2トナー濃度補正手段が備えられる。そして、補正指示手段は、第1および第2トナー濃度補正手段の何れか一方または両方に上記トナー濃度の補正を、現像条件に基づいて指示する。
これにより、現像条件に応じて、第1トナー濃度補正手段と第2トナー濃度補正手段とが併用もしくは使い分けられることができる。
例えば、第2トナー濃度補正手段に用いる透磁率センサの測定値が誤りだったとしても、第1トナー濃度補正手段により、トナー濃度を補正することで、透磁率センサの測定値が誤りだったことに基づくトナーの過補給による不具合等の発生を防止することができる。
ここで、現像条件とは、透磁率センサの測定値や検出された現像バイアス電圧等が考えられる。
本発明に係る現像装置では、上記第1トナー濃度補正手段がトナー濃度を補正した後、上記透磁率センサによる複数回の測定値が安定したとき、第2トナー濃度補正手段は、上記基準値を上記複数回の測定値の代表値に変更するものであることが好ましい。
上記の構成によれば、トナー濃度補正手段によってトナー濃度が補正された後に、透磁率センサによって測定された複数回の測定値が安定すれば、第2トナー濃度補正手段は、上記基準値をその複数回の測定値の代表値に変更する。
これにより、第1トナー濃度補正手段によってトナー濃度が補正された後のトナー濃度を基準値とするので、例えば、嵩密度の変化の影響等で透磁率センサによって測定された値に誤りを生じていたとしても、それ以降の誤りの影響を小さくすることができる。
ここで、代表値とは、複数回の測定値の平均値、最も多かった値、最後に測定した値が考えられる。
本発明に係る現像装置では、上記補正指示手段は、上記第1トナー濃度補正手段が求めた現在のトナー濃度が、上記規定のトナー濃度より高い場合において、さらに所定の濃度より高いとき、上記第1トナー濃度補正手段に、トナー濃度の補正を指示し、上記第1トナー濃度補正手段が求めた現在のトナー濃度が、所定の濃度以下のときは、上記第2トナー濃度補正手段にトナー濃度の補正を指示するものであってもよい。
上記の構成によれば、上記第1トナー濃度補正手段が求めた現在のトナー濃度が、所定の濃度より高い場合、トナー濃度が補正される。
よって、所定のトナー濃度に到達するまで、上記第1トナー濃度補正手段によるトナー濃度補正を行わないで済む。これにより、上記第1トナー濃度補正手段による補正回数を減少でき、特に連続印刷時の補正待ち時間を短縮できる。
本発明に係る現像装置では、上記所定の濃度とは、予め規定されたトナー飛散が発生するトナー濃度の閾値、予め規定されたデベ凝集が発生するトナー濃度の閾値、および予め規定された非画像領域への画像かぶりが発生するトナー濃度の閾値のうち、最も低い閾値であってもよい。
上記の構成によれば、トナー濃度が高くなることにより発生する不具合であるトナー飛散の発生、デベ凝集の発生、非画像領域への画像かぶりの発生のうち、最も低いトナー濃度で発生する不具合のトナー濃度を所定の濃度の閾値とする。
これにより、上記いずれの不具合の発生も防止することができる。
本発明に係る現像装置では、上記所定の濃度を、上記最も低い閾値よりもさらに0.5%低い値に設定するものであってもよい。
上記の構成によれば、上記最も低い閾値よりもさらに0.5%低い値に所定の値が設定される。
これにより、上記不具合が発生する可能性があるトナー濃度の閾値よりもさらに0.5%低く閾値が設定されるので、上記トナー濃度補正手段が求めたトナー濃度と真のトナー濃度とに0.5%以内の誤差が生じたとしても、上記不具合の発生を防止することができる。
本発明に係る現像装置では、上記補正指示手段は、上記第1トナー濃度補正手段が求めたトナー濃度が、上記規定のトナー濃度より低い場合、上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧が、設定した上限値に到達すると、上記第1トナー濃度補正手段にトナー濃度の補正を指示し、上記検出した現像バイアス電圧が、設定した上限値に到達するまでは、上記第2トナー濃度補正手段にトナー濃度の補正を指示するものであってもよい。
上記の構成によれば、上記第1トナー濃度補正手段は、上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧が設定した上限値に到達すると、トナー濃度を補正する。
これにより、現像バイアス電圧の上限値到達まで、上記第1トナー濃度補正手段によるトナー濃度補正は行われず、補正回数を減少でき、特に連続印刷時の補正待ち時間を短縮できる。
本発明に係る現像装置では、上記第1トナー濃度補正手段は、上記求めた現在のトナー濃度が、上記規定のトナー濃度より高い場合、上記関係情報を用いて求めた規定のトナー濃度に対する現像バイアス電圧と上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧との平均値に現像バイアス電圧を設定し、上記求めたトナー量を、規定濃度のベタ画像を出力する場合の画像1枚あたりのトナー消費量で除した数の画像を上記現像装置に現像させるものであることが好ましい。
本来、ベタ画像を現像することによるトナー消費過程において、規定の画像濃度を得るための現像バイアス電圧は変化する。しかし、トナー濃度と規定の画像濃度に対応する現像バイアス電圧とは線形の関係にある。
そこで、上記の構成によれば、ベタ画像形成に用いる現像バイアス電圧を平均化できる。これにより、簡便な方法で適正量のトナー消費を行うことができる。
本発明に係る現像装置では、湿度センサを備え、上記第1トナー濃度補正手段は、上記湿度センサによって計測された湿度に応じてトナー濃度を補正するものであることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1トナー濃度補正手段は、上記湿度センサによって計測された湿度に応じてトナー濃度を補正する。
これにより、湿度に応じたトナー濃度補正が可能となり、より高精度のトナー濃度補正を実現できる。
本発明に係る現像装置では、記録媒体に記録される画像の濃度を調整するための上記現像バイアス電圧の自動調整が行われている間は、上記第1トナー濃度補正手段は、動作しないものであることが好ましい。
上記の構成によれば、現像バイアス電圧の自動調整が行われている間は、上記第1トナー濃度補正手段は動作しない。
よって、プロセスコントロールにおける像担持体や中間転写ベルト上のパッチ画像濃度に基づいた現像バイアス電圧の自動調整中に現像バイアス電圧を検出して、正規の現像バイアス電圧を誤検知してしまう不具合を防止することができる。
なお、上記各構成の現像装置を搭載した画像形成装置であれば、上述の効果を奏することができる。
なお、上記現像装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記現像装置をコンピュータにて実現させる現像装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
以上のように、本発明に係る現像装置は、静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する現像バイアス電圧検出手段と、上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧に基づいて上記現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正する第1トナー濃度補正手段と、を備えている構成である。
また、本発明にかかる現像方法は、静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する現像バイアス電圧検出ステップと、上記現像バイアス電圧検出ステップで検出した現像バイアス電圧に基づいて上記現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正するトナー濃度補正ステップと、を含んでいる方法である。
これにより、現像剤の嵩密度の変動によりトナー濃度センサの誤検知が生じたとしても、トナー濃度を安定した状態で維持することができる。
本発明の一実施の形態について図1から図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、これは一実施の形態を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
(本発明の概略的な構成)
図1は、本実施の形態に係る現像装置1の制御部30の構成を示すブロック図である。また、図2は、本実施の形態に係る現像装置1の概略的な構成を示す図である。現像装置1は、図2に示すように、現像ユニット10、像担持体15、およびトナーホッパー18を備えている。現像ユニット10は、現像剤担持体12と、現像剤規制部材13と、攪拌スクリュー14と、トナー濃度センサ(透磁率センサ)17とを備えている。また制御部30、記憶部31、トナー補給装置20、電源16を備え、図1に示すように、制御部30は、トナー濃度判断部(第1トナー濃度補正手段)301、直流バイアス電圧検出部(直流バイアス電圧検出手段)302、トナー補給量算出部(第1トナー濃度補正手段)303、トナー補給指示部(第1トナー濃度補正手段)304、トナー消費量算出部(第1トナー濃度補正手段)305、およびトナー消費指示部(第1トナー濃度補正手段)306を備えている。
そして、現像ユニット10内には、磁性キャリアと非磁性トナーとから成る二成分現像剤(現像剤)11が、予め投入されている。具体的には、磁性キャリアは、半導電性粒子(コア)の表面にシリコン樹脂をコーティングして樹脂層を形成したもので、体積平均粒径40μm、密度4.7[g/cm]である。また、非磁性トナーは、粉砕法によって精製されており、体積平均粒径6.7μm、密度1.0[g/cm]である。
なお、二成分現像剤11のトナー濃度は、トナー濃度センサ17により検知され、画像形成により消費された分のトナーは、予め定められた規定トナー濃度に達したことをトナー濃度センサ17が検知するまでトナーホッパー18から補給され、現像ユニット10内部の現像剤11におけるトナー濃度は略一定に保たれる。
(画像の形成方法)
本実施の形態に係る現像装置1では、図2に示すように、まず、攪拌スクリュー14によって、二成分現像剤11を攪拌して安定した摩擦帯電が行われる。そして、現像剤担持体12は、磁界を発生させる永久磁石が配設されているマグネットローラ(図示せず)を備えており、該マグネットローラの磁気拘束力によって、現像剤担持体12の表面には、二成分現像剤11が保持される。
次に、現像剤担持体12の表面に保持された二成分現像剤11は、現像剤規制部材13により一定層厚に規制され、現像剤担持体12と像担持体15との間に磁気ブラシを形成する。そして、電源16は、現像剤担持体12に対し、交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳した現像バイアス電圧を印加する。そして、これにより形成される振動電界下において、像担持体15の表面に形成された静電潜像にトナーのみを付着させることにより可視像を形成する。
本実施の形態の現像装置1は画像形成装置に備えることができる。画像形成装置に備えた場合の、他の構成は、公知の電子写真方式の画像形成装置と同様である。すなわち、例えば、表面に静電荷像を形成し得る感光層を有する像担持体と、像担持体表面を所定電位に帯電させる帯電手段と、表面が帯電状態にある像担持体に画像情報に応じた信号光を照射して像担持体の表面に静電荷像(静電潜像)を形成する露光手段と、現像装置1からトナーが供給されて現像された像担持体表面のトナー像を、中間転写体に転写した後記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体表面のトナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、トナー像の記録媒体への転写後に像担持体表面に残留するトナーなどを除去するクリーニング手段と、上記中間転写体に付着した余分なトナー、紙粉などを除去するクリーニング手段と、を備える構成である。
静電荷像を現像する際には、像担持体15上の静電荷像を反転現像法で顕像化する現像工程がトナーの各色毎で実行され、中間転写体上に色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて多色トナー像が形成される。本実施形態では、中間転写体を用いた中間転写方式を採用しているが、像担持体から直接記録媒体にトナー像を転写する構成が用いられてもよい。
(現像剤の詳細)
次に、本実施の形態で用いたトナーとキャリアとを混合してなる現像剤(二成分現像剤11)について詳細に説明する。
トナーは、次のように製造した。すなわち、ポリエステルを主樹脂とし、顔料、離型剤、帯電制御剤を溶融混練し、粉砕、分級工程を経て、体積平均粒径100nmおよび12nmの2種類の疎水化処理したシリカを外添した、体積平均粒径φ6.7μmの負帯電性を有した非磁性トナーを作製した。
キャリアは、フェライトコア材(飽和磁化65emu/g、平均粒径φ40μm)に対し、導電性粒子(導電剤)、帯電制御剤、カップリング剤、硬化触媒、を内添・分散したシリコン樹脂を、浸漬法により被覆したものを用い、下表1に示す3種類のキャリアを作製した。なお、各材料の投入量は、コア材1kgを基準とした量である。
そして、浸漬法によりコーティングした後、240℃環境、120分のキュア工程を経て、最後に、目開き150μmのふるいにより篩い掛けしてキャリア(磁性キャリア)を製造した。
なお、コーティング方法は、浸漬法に限らず、スプレー法、流動層法など、他のコーティング方法であってもよい。
Figure 2009086297
上記非磁性トナーと上記磁性キャリアとを混合してなる二成分現像剤11は、現像剤の総重量に占めるトナーの重量混合比(以下、トナー濃度と称する)を8wt%に設定し、V型混錬機により60分間混合撹拌することにより作製した。
(上記現像剤を用いた従来の画像形成装置による実験結果)
次に、上述した条件にて作製した3種類(トナー1種類×キャリア3種類)の二成分現像剤11を用いて行った画像形成実験に関して、各種条件について詳細に説明する。
上述した条件にて作製した3種類の二成分現像剤11を用いて、デジタル複合機を使用した複数印字率における連続または間欠画像プリントによるエージング試験を実施した。試験には、シャープ株式会社製デジタルフルカラー複合機MX−7001N(プリント速度:<カラー>50ppm、<モノクロ>70ppm)を使用した。
上記試験機において、二成分現像剤11のトナー濃度制御は、トナー濃度センサ(透磁率センサ)17の検出値に基づいて行われている。そして、トナー濃度センサ17の検出値と基準値とを比較し、検出値が基準値を上回っている場合には、見かけの透磁率が大きく、トナー濃度が低下していると判断してトナーホッパー18から現像ユニット10へトナーを補給する。その後、検出値が基準値に達したことを確認した後、トナーホッパー18からのトナー補給を停止する。
また、上記試験機では、基準濃度を調整する画像濃度調整手段を備えている。この画像濃度調整手段は、中間転写ベルト上に微小面積のベタ画像(パッチ画像)を形成し、光学センサによりパッチ画像の濃度を検出する。そして、検出したバッチ画像の濃度が、基準濃度を満たしていない場合には、電源16より供給されるバイアス電圧の直流バイアス電圧を変更して基準濃度に調整する。
よって、エージング試験において現像剤担持体12に印加されるバイアス電圧の直流バイアス電圧は、画像濃度の変化に応じて適宜変更され、ベタ画像の画像濃度が規定値になるように調整される。なお、像担持体15上の非画像部電位と現像剤担持体12との電位差は、200Vとしている。
さらに、上記試験機では、現像剤担持体12と現像剤規制部材13とのギャップ、および現像領域における現像剤担持体12と像担持体15とのギャップを設定することができ、本実験例では、0.4[mm]に設定している。なお、これは単なる例示でありこの数値に限定されるものではない。
上記条件にて、表1に示すキャリアCを用い、印字率1%と印字率25%とでそれぞれ連続印字によるエージング試験を実施した。図3は、この試験を行ったときの、プリント枚数に対するトナー濃度の推移を示すグラフである。
図3に示すように、印字率1%の低濃度印字では、プリント枚数の増加につれて、トナー濃度は減少している。一方、印字率25%の高濃度印字では、プリント枚数の増加につれて、トナー濃度は増加している。これは、上述した通り、印字率の差異に起因するトナー帯電量の増減傾向の相違により、現像剤の嵩密度の増減が発生し、トナー濃度センサ17がトナー濃度を誤検知したことが原因と考えられる。
すなわち、印字率1%の低濃度印字では、現像ユニット10内におけるトナーの入れ替わりが少ないため、トナーとキャリアとの接触回数が増加し、トナーの摩擦帯電量が増加する。これにより、トナー同士の反発が顕著となり、キャリア間距離が広がる。その結果、トナー濃度センサ17により検出される電圧値が低下し、トナー濃度センサ17は、トナー濃度が増加していると誤検知し、トナー補給は実施されない。よって、トナー濃度が徐々に減少していったと考えられる。
一方、印字率25%の高濃度印字では、現像ユニット10内におけるトナーの入れ替わりが多いため、トナーとキャリアとの接触回数が減少し、十分な摩擦帯電量が得られない。これにより、トナー同士の反発が軽減され、キャリア間距離が縮まる。その結果、トナー濃度センサ17により検出される電圧値が上昇し、トナー濃度センサ17は、トナー濃度が減少していると誤検知し、トナー補給が行われる。よって、トナー濃度が徐々に増加していったと考えられる。なお、キャリアA、キャリアBについても、上記と同じ傾向が見られた。
上記の結果から、トナー濃度センサ17の検出結果に基づいたトナー濃度制御のみでは、印字率の違いやプリント枚数の増加に追従できず、規定のトナー濃度が得られないことが分かる。また、上記は連続印字における試験結果を示したものであるが、出力間隔を広げた間欠エージングでは、現像ユニット10内における現像剤11の攪拌時間が増加するため、トナーの帯電量はより高帯電側にシフトし、低濃度印字条件でのトナー濃度の減少がより顕著となる。
なお、上記試験結果が示す課題は、上記試験機を用いたものによるものであるが、上記試験機特有のものではなく、一般的に、透磁率センサを用いたトナー濃度制御を行う機器が有するものである。
(本発明の詳細な構成)
本発明は、上記問題を解決するために制御部30を備えている。そして、上述したように、制御部30は、トナー濃度判断部301、直流バイアス電圧検出部302、トナー補給量算出部303、トナー補給指示部304、トナー消費量算出部305、およびトナー消費指示部306を備えている。
トナー濃度判断部301は、実際のトナー濃度を算出し、規定のトナー濃度と算出した実際のトナー濃度とを比較する。そして、実際のトナー濃度が規定のトナー濃度よりも高ければ、トナー消費量算出部305に対し実際のトナー濃度が規定のトナー濃度となるために必要なトナー消費量を算出させる。一方、実際のトナー濃度が規定のトナー濃度よりも低ければ、トナー補給量算出部303に対し、実際のトナー濃度が規定のトナー濃度となるために必要なトナー補給量を算出させる。
これは、次にようにして行う。すなわち、記憶部31には、現像ユニット10内の二成分現像剤11の実際のトナー濃度と電源16により供給される現像バイアス電圧の直流バイアス電圧成分との関係を示す一次関数の関係式と規定のトナー濃度とが記憶されている。なお、上記一次関数の関係式については後述する。
そして、トナー濃度判断部301は、直流バイアス電圧検出部302より受信した現在の直流バイアス電圧を示すデータから、上記関係式を用いて実際のトナー濃度を算出する。次に、算出した実際のトナー濃度と記憶部31に記憶されている規定のトナー濃度とを比較し、その大小により上記処理を行う。
直流バイアス電圧検出部302は、電源16が供給する現像バイアス電圧の直流バイアス電圧成分を検出し、検出した直流バイアス電圧を示すデータをトナー濃度判断部301へ送信する。
トナー補給量算出部303は、トナー濃度判断部301の指示により、補給すべきトナーの量を算出する。そして、算出したトナー量を示すデータをトナー補給指示部304に送信する。なお、具体的な算出方法については後述する。
トナー補給指示部304は、トナー補給量算出部303より受信したトナー量を示すデータに基づいて、トナー補給装置20によってトナーを補給させる。
トナー消費量算出部305は、トナー濃度判断部301の指示により、消費すべきトナーの量を算出する。そして、算出したトナー量を示すデータをトナー消費指示部306へ送信する。なお、具体的な算出方法については後述する。
トナー消費指示部306は、トナー消費量算出部305より受信したトナー量を示すデータに基づいて、トナーを消費させる。具体的には、ベタ画像を感光体に形成した後、感光体から中間転写ベルトに画像を転写せずに、感光体ユニット内でトナーを回収し、廃トナーとして処理する。なお、この際、給紙を停止し、紙の排出は行われない。
ここで、補給または消費するトナー量の算出方法について説明する。まず、現像ユニット10への現像剤11の初期投入量をD[g]とし、規定のトナー濃度(T/D)から現像剤11に含まれるキャリア量C[g]を、C={100−(T/D)}/100×Dにより算出する。次に、規定のトナー濃度(T/D)におけるトナー量Tを、T=D−Cより算出し、現在のトナー濃度(T/D)におけるトナー量Tを、T=C/[{100−(T/D)}/100]−Cにより算出する。そして、T−Tを上記補給または消費するトナー量とする。
次に上述した、現像ユニット10内の二成分現像剤11の実際のトナー濃度と電源16により供給される現像バイアス電圧の直流バイアス電圧成分との関係を示す一次関数の関係式の求め方について説明する。
まず、現像剤のトナー濃度と、電源16により供給される現像バイアス電圧の直流バイアス電圧成分との相関に着目し、種々の印字条件にてエージング試験を行った。図4は、任意の経過時点におけるトナー濃度と直流バイアス電圧との関係を示すグラフである。ここで、種々の印字条件とは、印字率が1%、5%、10%、25%の4通り、印字モードが連続、間欠(10秒)の2通り、キャリアの使用履歴は0〜100000枚の間で、各々の条件を複数組み合わせたものである。
図4に示すように、キャリアA、キャリアB、キャリアC共に、印字条件に依存せず、トナー濃度と直流バイアス電圧とが略線形の関係に保たれていることが分かる。よって、図4に示すグラフから、現像剤のトナー濃度と直流バイアス電圧との関係を示す一次関数の関係式を求めることができる。この式は、トナー濃度を(T/D)、直流バイアス電圧をVとした場合、V=a×(T/D)+bで表すことができる(a、bは定数)。
また、直流バイアス電圧をモニタすることにより、現像剤11の真のトナー濃度を予測でき、従来からのトナー濃度センサ17の検出結果に基づいたトナー濃度制御から脱却できる。よって、直流バイアス電圧に基づいたトナー濃度制御を行うことで、真のトナー濃度を安定化できる。
(トナー濃度の補正処理の流れ)
次に、図5を用いて本実施の形態の処理の流れを説明する。図5は、本実施の形態における、トナー濃度を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
まず、予めトナー濃度と直流バイアス電圧との関係を示す一次関数の関係式が、記憶部31に記憶されている。そして、直流バイアス電圧検出部302は、現在の直流バイアス電圧Vを電源16から検出する(S501)。次に、トナー濃度判断部301は、記憶部31に記憶された関係式から予測される現在のトナー濃度(T/D)を算出する(S502)。ここで、一次関数の関係式は、トナー濃度を(T/D)、直流バイアス電圧をVとした場合、V=a×(T/D)+bで表される(a、bは定数)。次に、トナー濃度判断部301は、規定のトナー濃度(T/D)を記憶部31から読込み(S503)、(T/D)<(T/D)か否かの判断を行う(S504)。
そして、規定のトナー濃度が現在のトナー濃度よりも大きければ(S504でYES)、トナー補給量算出部303は、規定のトナー濃度(T/D)に到達する量のトナー補給量を算出する(ステップS505)。次に、S605で算出されたトナー補給量に基づいてトナー補給指示部304はトナーを補給する指示をトナー補給装置20に対して行う。指示を受けたトナー補給装置20は、補給スクリュー19を規定回転数回転させてトナー補給を行う(S506)。
一方、S504にてNOと判断された場合には、次に、トナー濃度判断部301は、(T/D)>(T/D)か否かの判断を行う(S507)。そして、トナー濃度判断部301は、S507でNOと判断した場合は(T/D)=(T/D)と判断し、トナー濃度の制御を終了する。
また、トナー濃度判断部301は、S507でYESと判断した場合、トナー消費量算出部305は、規定のトナー濃度(T/D)に到達するトナー消費量を算出する(S508)。次に、トナー消費指示部306は、S508で算出されたトナー消費量に基づいてベタ画像出力によるトナー消費を指示する(S509)。
ここで、現在のトナー濃度が規定のトナー濃度を上回っている場合のベタ画像出力によるトナー消費方法について説明する。
ベタ画像によるトナー消費過程では徐々にトナー濃度が減少していくため、規定の画像濃度を維持したままトナー消費を行うには、転写ベルト上のパッチ画像の濃度を光学センサにより検知し、検知結果に基づいて直流バイアス電圧を調整(増加)していく必要がある。しかしながら、この方法では、ベタ画像を出力する度に直流バイアス電圧を調整する必要があり、トナー消費に長時間を要する。
他方で、トナー濃度と規定の画像濃度に対応する直流バイアス電圧とは線形の関係にあるため、トナー消費過程におけるベタ画像出力条件を平均化することができる。すなわち、検出された現在の直流バイアス電圧Vと、上記関係式により算出される規定のトナー濃度に対する直流バイアス電圧Vとの平均値(V+V)/2に直流バイアス電圧を固定する。そして、算出されたトナー消費量を、規定濃度のベタ画像を出力する際の画像1枚あたりのトナー消費量で除した数の画像出力を行うことで、より短時間で高精度のトナー消費を実現できる。
なお、上記トナー濃度の制御は、画像濃度調整作業に関わる直流バイアス電圧の自動調整が行われている間は、実行してはならない。なぜなら、プロセスコントロールにおける像担持体や中間転写ベルト上のパッチ画像濃度に基づいた直流バイアス電圧の補正中に直流バイアス電圧を検出することで、正規の直流バイアス電圧を誤検知してしまい、適切なトナー濃度の制御が行われないからである。
また、上記トナー濃度制御は、直流バイアス電圧の検出結果に基づいたトナー濃度の補正中には、トナー濃度センサによる検出結果に基づいたトナー濃度補正を実行してはならない。なぜなら、直流バイアス電圧の検出結果に基づいたトナー消費によるトナー濃度補正中に、トナー濃度センサの検出結果に基づいた制御を行うと、トナー濃度センサはトナー濃度が低下していると検知し、トナー消費過程であるにも関わらずトナー補給を実行してしまい、適切なトナー濃度補正が行われないからである。
(本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置を用いた実験結果)
次に、上記本発明の実施の形態を適用し、直流バイアス電圧の検出結果に基づいたトナー濃度補正を実施しながら、エージング試験を行い、その効果を検証した。上述した図3に示した実験と同様の条件にて、実験を行い、プリント枚数に対するトナー濃度の推移を確認した。その結果を図6に示す。図6に示すように、本発明の実施の形態によれば、プリント枚数が増加してもトナー濃度が大きく変動せず、いずれの印字率においても規定値前後で安定推移することが分かる。
これにより、図3に示す検討結果との比較で明らかなように、本実施の形態による直流バイアス電圧に基づいたトナー濃度補正が、トナー濃度の安定化に対して、極めて有効な手段であることが認識できる。なお、キャリアA、キャリアBについても、上記と同様の効果を確認でき、さらに、出力間隔を広げた間欠エージングにおいても、同様の効果を確認できた。
(その他の構成)
なお、本実施の形態においては、トナー濃度がさほど大きく変動しない領域でも、直流バイアス電圧に基づいたトナー濃度補正を行う構成について説明した。この点、トナー濃度センサ17により検出されたトナー濃度に基づいてトナー濃度補正を行うトナー濃度補正部40(第2トナー濃度補正手段、図示せず)、およびトナー濃度補正を指示するトナー濃度補正指示部41を設け、トナー濃度補正指示部41の指示に基づいて、画像形成に際して不具合が発生する条件を満たした場合にのみ、上記トナー濃度補正を実施し、不具合が発生する条件を満たさない場合には、上記トナー濃度補正部40によりトナー濃度補正を実施してもよい。
例えば、上記関係式により算出される、検出された直流バイアス電圧に対応するトナー濃度が、規定のトナー濃度より大きい場合、さらに、予め定められたトナー濃度を上回ったときのみ、上記トナー濃度補正を行うものであってもよい。なぜなら、トナーの過補給により生じる不具合が発生しない限り、画像形成を行う上で弊害となる要素が存在しないからである。
なお、上記トナー濃度制御は、直流バイアス電圧の検出結果に基づいたトナー濃度の補正中には、トナー濃度センサ17による検出結果に基づいたトナー濃度補正を実行してはならない。なぜなら、直流バイアス電圧の検出結果に基づいたトナー消費によるトナー濃度補正中に、トナー濃度センサ17の検出結果に基づいた制御を行うと、トナー濃度センサ17はトナー濃度が低下していると検知し、トナー消費過程であるにも関わらずトナー補給を実行してしまい、適切なトナー濃度補正が行われないからである。
また、上記トナー濃度の補正後、トナー濃度センサ17による複数回の検出値が安定した後に、トナー濃度センサ17の基準値をその時点での検出値に変更することが好ましい。なぜなら、嵩密度の変化の影響で誤検知を生じていたトナー濃度センサ17の基準値を、直流バイアス電圧に基づいたトナー濃度補正後の検出値に変更することで、トナー濃度センサ17の基準値と規定のトナー濃度との相関が回復し、以後しばらくの間、トナー濃度センサ17の検出結果に基づいたトナー濃度制御が可能となるからである。
ここで、上記トナーの過補給により生じる不具合とは、例えば、トナー飛散に起因する機内汚染や非画像部へのトナー付着、デベ凝集に起因する画像むら、あるいはトナー過多に伴う帯電量の低下に起因する非画像領域への画像かぶり等が挙げられる。そこで、これら3要素におけるトナー濃度の発生閾値のうち、最も低いトナー濃度を上回った場合にのみ、上記トナー濃度補正を実施すれば、トナーの過補給により生じる不具合を防止することができる。よって、例えば、この発生閾値を上記予め定められたトナー濃度とすれば、いずれの不具合も発生させることはない。
さらに、上述した3つの不具合要素におけるトナー濃度の発生閾値のうちで最も低いトナー濃度よりも、さらに0.5%低いトナー濃度に達した場合に、上記トナー濃度補正を行うことが好ましい。なぜなら、図4に示されている通り、同一直流バイアス電圧におけるトナー濃度は誤差範囲を持ち、その範囲は最大で平均値±0.5%であるためである。従って、予め0.5%低いトナー濃度を上限としておけば、万が一、直流バイアス電圧から推測されるトナー濃度と真のトナー濃度とに誤差が生じたとしても、不具合の発生を防ぐことができる。
また、上記関係式により算出される、検出された直流バイアス電圧に対応するトナー濃度が、規定トナー濃度より小さい場合、検出された直流バイアス電圧が、画像形成装置における直流バイアス電圧の設定上限値に達したときのみ、トナー補給によるトナー濃度補正を行ってもよい。なぜなら、直流バイアス電圧が上限に達しない限り、画像濃度不足が生じることは無いためである。
以上のように、画像形成に際して不具合が発生する条件を満たした場合のみ、上記トナー濃度補正を実施することで、上記トナー濃度補正の回数を必要以上に増やさなくてもよくなる。その結果、上記トナー濃度補正を行っている間の待ち時間を少なくすることができる。
次に、トナーの帯電量に大きく寄与する湿度環境の変化の影響について考えてみる。一般的に、湿度が低いとトナー帯電量は高くなるため、現像量が減少する。これにより、トナー濃度と直流バイアス電圧との関係において、図4に示すグラフにおいて縦軸のプラス方向に直線が全体的にシフトする。一方、湿度が高いとトナー帯電量が低くなるため、現像量が増加し、図4に示すグラフにおいて縦軸のマイナス方向に直線が全体的にシフトする。
従って、各湿度環境に対応したトナー濃度と直流バイアス電圧との関係式を準備しておき、画像形成装置に内蔵した湿度センサによる検出結果に応じて関係式を選択し、選択された関係式に基づいてトナー濃度補正を行うことが好ましい。これにより、画像形成装置が設置された場所の湿度環境が変化しても、その環境に応じて最適なトナー濃度補正が行われ、常時安定した画像出力が可能となる。
なお、本実施の形態においては、現像バイアス電圧として、交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳した方式を用いたが、直流バイアス電圧のみで現像を行う方式を用いてもよい。
(ソフトウェアによる構成)
最後に、現像装置1の各ブロック、特に制御部30のトナー濃度判断部301、直流バイアス電圧検出部302、トナー補給量算出部303、トナー補給指示部304、トナー消費量算出部305、およびトナー消費指示部306は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、現像装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである現像装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記現像装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital video disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、現像装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した実施形態や各実験例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
磁性キャリアを含む二成分現像剤を用いた電子写真式画像形成システムを適用した画像形成装置、例えば、レーザープリンタ、複写機、複合機、およびファックスなどに広く適用することができる。
本発明の実施の形態を示すものであり、現像装置の制御部の構成および記憶部を示すブロック図である。 本発明の実施の形態を示すものであり、現像装置の要部構成を示すブロック図である。 印字率1%と25%とで連続印字によるエージング試験を行ったときの、プリント枚数に対するトナー濃度の推移を示す図である。 種々の印字条件にてエージング試験行ったときの、任意の経過時点におけるトナー濃度と直流バイアス電圧との関係を示す図である。 上記実施の形態に係るトナー濃度制御の流れを示すフローチャートである。 上記実施の形態に係るトナー濃度制御を適用したときの、印字率1%と25%におけるエージング試験を行ったときのプリント枚数に対するトナー濃度の推移を示した図である。 従来技術において、高濃度連続印字によって生じる不具合を説明する図であり、(a)はトナー帯電量の推移を示し、(b)は現像剤の嵩密度の推移を示し、(c)はトナー濃度センサが検知する見かけのトナー濃度の推移を示し、(d)は真のトナー濃度の推移を示すものである。 従来技術において、低濃度連続印字によって生じる不具合を説明する図であり、(a)はトナー帯電量の推移を示し、(b)は現像剤の嵩密度の推移を示し、(c)はトナー濃度センサが検知する見かけのトナー濃度の推移を示し、(d)は真のトナー濃度の推移を示すものである。
符号の説明
1 現像装置
10 現像ユニット
11 二成分現像剤
12 現像剤担持体
13 現像剤規制部材
14 攪拌スクリュー
15 像担持体
16 電源
17 トナー濃度センサ(透磁率センサ)
18 トナーホッパー
19 補給スクリュー
20 トナー補給装置
30 制御部
31 記憶部
301 トナー濃度判断部(第1トナー濃度補正手段)
302 直流バイアス電圧検出部(現像バイアス電圧検出手段)
303 トナー補給量算出部(第1トナー濃度補正手段)
304 トナー補給指示部(第1トナー濃度補正手段)
305 トナー消費量算出部(第1トナー濃度補正手段)
306 トナー消費指示部(第1トナー濃度補正手段)

Claims (15)

  1. 像担持体上に形成された静電潜像を、現像ユニットに収納されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤により現像する現像装置において、
    上記静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する現像バイアス電圧検出手段と、
    上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧に基づいて上記現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正する第1トナー濃度補正手段と、を備えていることを特徴とする現像装置。
  2. 上記トナー濃度と上記現像バイアス電圧との関係を示す関係情報を記憶している記憶部を備え、
    上記第1トナー濃度補正手段は、
    上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧から上記関係情報を用いて現在のトナー濃度を求め、
    求めた現在のトナー濃度と上記記憶部に記憶されている規定のトナー濃度との差に対応するトナー量を求め、
    求めたトナー量に基づいてトナーを補給または消費してトナー濃度を補正することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 透磁率センサと、
    透磁率センサからの測定値と基準値との比較結果に基づいてトナー濃度を補正する第2トナー濃度補正手段と、
    第1および第2トナー濃度補正手段の何れか一方または両方に上記トナー濃度の補正を、現像条件に基づいて指示する補正指示手段とをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
  4. 上記第1トナー濃度補正手段がトナー濃度を補正した後、上記透磁率センサによる複数回の測定値が安定したとき、第2トナー濃度補正手段は、上記基準値を上記複数回の測定値の代表値に変更することを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
  5. 上記補正指示手段は、上記第1トナー濃度補正手段が求めた現在のトナー濃度が、上記規定のトナー濃度より高い場合において、さらに所定の濃度より高いとき、
    上記第1トナー濃度補正手段に、トナー濃度の補正を指示し、
    上記第1トナー濃度補正手段が求めた現在のトナー濃度が、所定の濃度以下のときは、上記第2トナー濃度補正手段にトナー濃度の補正を指示することを特徴とする請求項3または4に記載の現像装置。
  6. 上記所定の濃度とは、予め規定されたトナー飛散が発生するトナー濃度の閾値、予め規定されたデベ凝集が発生するトナー濃度の閾値、および予め規定された非画像領域への画像かぶりが発生するトナー濃度の閾値のうち、最も低い閾値であることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
  7. 上記所定の濃度を、上記最も低い閾値よりもさらに0.5%低い値に設定することを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
  8. 上記補正指示手段は、上記第1トナー濃度補正手段が求めた現在のトナー濃度が、上記規定のトナー濃度より低い場合、
    上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧が、設定した上限値に到達すると、上記第1トナー濃度補正手段にトナー濃度の補正を指示し、
    上記検出した現像バイアス電圧が、設定した上限値に到達するまでは、上記第2トナー濃度補正手段に、トナー濃度の補正を指示することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の現像装置。
  9. 上記第1トナー濃度補正手段は、上記求めた現在のトナー濃度が、上記規定のトナー濃度より高い場合、
    上記関係情報を用いて求めた規定のトナー濃度に対する現像バイアス電圧と上記現像バイアス電圧検出手段が検出した現像バイアス電圧との平均値に現像バイアス電圧を設定し、
    上記求めたトナー量を、規定濃度のベタ画像を出力する場合の画像1枚あたりのトナー消費量で除した数の画像を上記現像装置に現像させることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の現像装置。
  10. 湿度センサを備え、
    上記第1トナー濃度補正手段は、上記湿度センサによって計測された湿度に応じてトナー濃度を補正することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置。
  11. 記録媒体に記録される画像の濃度を調整するための上記現像バイアス電圧の自動調整が行われている間は、上記第1トナー濃度補正手段は、動作しないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置を動作させる現像装置制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための現像装置制御プログラム。
  14. 請求項13に記載の現像装置制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  15. 像担持体上に形成された静電潜像を、現像ユニットに収納されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤により現像する現像方法であって、
    上記静電潜像を現像するための現像バイアス電圧を検出する現像バイアス電圧検出ステップと、
    上記現像バイアス電圧検出ステップで検出した現像バイアス電圧に基づいて上記現像ユニットに収納された二成分現像剤のトナーの濃度であるトナー濃度を補正するトナー濃度補正ステップと、を含んでいることを特徴とする現像方法。
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