JP2009084445A - 重合性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、並びにジオール化合物の製造方法 - Google Patents

重合性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、並びにジオール化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度の皮膜を形成しうるとともに未硬化領域のアルカリ現像性に優れ、現像カスを発生し難い重合性組成物、該組成物に含まれるポリウレタン樹脂、現像性に優れた平版印刷版原版、該ポリウレタン樹脂の原料として有用なジオール化合物の製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたポリウレタン樹脂、該ポリウレタン樹脂を含む重合性組成物、該組成物を含む感光層を備えた平版印刷版原版、該ジオール化合物の製造方法。
Figure 2009084445

【選択図】なし

Description

本発明は、重合性組成物、平版印刷版原版、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、及びジオール化合物の製造方法に関する。より詳細には、レーザー光による高感度な書き込みが可能な、ネガ型平版印刷版原版の感光層として好適な重合性組成物、該重合性組成物を感光層に含むネガ型平版印刷版原版、そのような重合性組成物に含まれるアルカリ水溶液溶解性に優れたアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、及び該ポリウレタン樹脂の原料として好適なジオール化合物の製造方法に関する。
従来、感光性平版印刷版原版としては、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられている。その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報を、コンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果、レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介することなく、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が注目されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブロンズテッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、感光層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査露光してレーザー照射領域のみに活性種を発生せしめ、その作用によって感光層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の感光層、さらに、必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有する刷版となりうる。
このような平版印刷版原版の感光層を形成する重合性組成物は、エネルギー付与領域が速やかに硬化して高強度の皮膜を形成するとともに、未露光部においては、アルカリ現像液により速やかに溶解除去される性質が求められる。
従来、硬化被膜強度を向上させ、平版印刷版における画像領域を高耐刷化する目的で、このような感光性重合性組成物には、アルカリ可溶性基を含むポリウレタン樹脂バインダーが用いられてきた(例えば、特許文献1、2参照。)。このようなポリウレタン樹脂バインダーに含まれるアルカリ可溶性基としては、ジメチロールプロピオン酸や、ジメチロールブタン酸が一般的に用いられているが、ポリウレタン樹脂バインダーは、ウレタン結合部分に起因する高い凝集性のために現像性が十分ではなく、また、現像層において経時的に現像カスが析出し、製版後の平版に付着して汚れを生じる懸念などもあり、平版印刷版原版の感光層に用いる際に、優れた画像形成性が得難いという問題があった。
このような問題点に対し、例えば、ウレタン樹脂において、アルカリ現像性向上を目的に、特定構造を有するカルボン酸ユニットを用いる、或いは、加水分解により酸基を生成する化合物を原料に用いるなどの方法により、ウレタン樹脂に現像液溶解性補助を目的としたユニットを導入する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。このような方法により得られたウレタン樹脂を含有する重合性組成物においては、アルカリ現像性が向上し、現像液中における現像カスなどの経時析出が効果的に抑制される。しかしながら、アルカリ現像液に対する溶解性を改良することで、ポリウレタン樹脂の本来有する優れた被膜特性に影響が及び、得られた被膜の膜性が低下し、平版印刷版原版の感光層として用いる場合、耐刷性が低下するなどの問題を生じる懸念がある。
このように、重合性組成物においては、硬化膜の強度と未硬化領域の現像性とは一般的に相反する特性であるが、特に、平版印刷版原版の感光層として用いる場合には、画像部の耐刷性、非画像部の汚れ性に影響を与えるため、これらを両立しうる重合性組成物が切望されているのが現状である。
特公平8−12424号公報 特開平1−271741号公報 特開2006−225432号公報
前記従来技術における問題点を考慮してなされた本発明の目的は、エネルギー付与により硬化して高強度の皮膜を形成するとともに、未硬化領域のアルカリ現像性に優れ、且つ、現像後の現像液中で現像カスを発生しない、ネガ型平版印刷版原版の感光層に好適な重合性組成物、そのような重合性組成物に含まれるアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記本発明の重合性組成物を含む感光層を備えてなる、画像部の耐刷性と非画像部の現像性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、本発明の重合性組成物に含有されるアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂の原料として有用なジオール化合物を安定且つ簡易に製造しうる方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のアミド基で連結された付加重合可能なエチレン性不飽和結合を含むアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明の重合性組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、光又は熱重合開始剤を含有することを特徴とする。
Figure 2009084445
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基を表す。但し、R及びRの双方が単結合となることはない。R、R及びRは、各々独立に水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
また、本発明のアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂は、(少なくとも、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び光又は熱重合開始剤を含有する重合性組成物に用いられるアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂であって、)下記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂である。
Figure 2009084445
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基を表す。但し、R及びRの双方が単結合となることはない。R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
また、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、本発明の重合性組成物を含む感光層を備えてなることを特徴とする。
本発明の重合性組成物、または本発明のアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂における、前記一般式(1)で表される化合物としては、原料であるアミン化合物の入手の容易さ及び製造の観点から、一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2009084445
一般式(2)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
本発明のアルカリ可溶性ウレタン樹脂は、前記一般式(2)で表される付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物に加えて、アルカリ可溶性を高めるためにカルボン酸ユニットを有する化合物を原料の一つとして併用して合成されることが好ましい。カルボン酸ユニットを有する化合物の中でも、一般式(4)で表される特定のアミド基で連結されたカルボン酸ユニットを含む化合物を併用して用いることが、重合感度及びカス対策の点でより好ましい。
Figure 2009084445
一般式(4)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Bは、2価以上の連結基を表す。
更に、前記一般式(2)で表される化合物の製造方法は、下記一般式(3)で表される化合物に酸性触媒を用い、60℃以下の反応温度で水により加水分解することを特徴とする。本発明の製造方法により、一般式(2)で表される化合物を安定且つ簡易に得ることができる。
Figure 2009084445
一般式(2)におけるR、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(3)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R、R、R及びAは、一般式(2)におけるR、R、R及びAとそれぞれ同義である。
前記一般式(2)で表される化合物の製造方法においては、下記一般式(3)で表される化合物に酸性触媒を用い、60℃以下の反応温度で水により加水分解した後、減圧下、60℃以下の温度条件で、水と共沸する有機溶剤を用いて、一般式(2)で表される化合物が含有する水分量を0.1質量%以下にすることができる。
したがって、本発明の製造方法により得られた一般式(2)で表される化合物(ジオール化合物)は、原料物質が低水分量であることが求められるポリウレタン樹脂の合成においても好適に用いることができる。
以下の説明では、前記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を、適宜「特定ポリウレタン樹脂」称して説明する。
本発明の重合性組成物に用いられる特定ポリウレタン樹脂は、優れた皮膜形成性と、未硬化部のアルカリ現像性に優れ、さらに、アルカリ現像液中で析出を生じないという物性を有する新規なポリマーである。
この特定ポリウレタン樹脂は、pH10以上のアルカリ水溶液に溶解させ、常温で60日放置した後において、析出が生じないものである。ここで、析出が生じないとは、pH12のアルカリ水溶液0.5リットルに特定ポリウレタン樹脂12.5gを溶解させ、25℃の雰囲気下で60日間保存した後において、目視にてポリマーの析出が観察されない状態を指す。
本発明における特定ポリウレタン樹脂は、エステル結合よりも親水性の高い特定のアミド基を有するため、充分なアルカリ可溶性を発現するものと推測される。
また、本発明における特定ポリウレタン樹脂は、特定のアミド基に連結した付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する。このような一般式(1)に表される化合物に由来する構造を有することで、エステル結合を有するポリウレタン樹脂に見られるような、エステル結合の加水分解に起因する経時的なポリマーの析出が抑制される。
更に、本発明における特定ポリウレタン樹脂は、一般式(1)に表される化合物に由来する付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する。付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する特定ポリウレタン樹脂においては、重合性が高くなり、特定ポリウレタン樹脂を含む重合性組成物を露光する際に感度が高くなると推測される。また、重合性の高い特定ポリウレタン樹脂を含む感光層は、露光部(画像部)の耐刷性に優れる。結果、特定ポリウレタン樹脂を含む重合性組成物を平版印刷版原版の感光層に用いると、得られた平版印刷版は優れた耐刷性を示す。
したがって、特定ポリウレタン樹脂を含む重合性組成物を、平版印刷版原版の感光層として適用することで、未露光部のアルカリ溶解性が充分に発揮され、現像処理後の現像液中におけるバインダーポリマーの析出(現像カス)についても優れた抑制効果を発揮するものと推測される。また、露光部(画像部)においては、優れた耐刷性が発揮される。
特に、特定ポリウレタン樹脂が、ジオール成分として、更に一般式(4)で表される特定のアミド基で連結されたカルボン酸ユニットを含む化合物を併用して合成されたものの場合には、更に優れたアルカリ可溶性を発現するものと考えられる。よって、一般式(2)に表される化合物に由来する構造と、一般式(4)に表される化合物に由来する構造とを有する特定ポリウレタン樹脂は、現像カスについて更に優れた抑制効果を発揮しつつ、高感度及び高耐刷性を発揮させる。
本発明によれば、エネルギー付与により硬化して高強度の皮膜を形成するとともに、未硬化領域のアルカリ現像性に優れ、且つ、現像後の現像液中で現像カスを発生しない、ネガ型平版印刷版原版の感光層に好適な重合性組成物、そのような重合性組成物に含まれるアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を提供することができる。
また、本発明によれば、本発明の重合性組成物を含む感光層を備えてなる、画像部の耐刷性と非画像部の現像性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
更に、本発明によれば、本発明の重合性組成物に含有されるアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂の原料として有用なジオール化合物を安定且つ簡易に製造しうる方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<重合性組成物>
本発明の重合性組成物は、一般式(1)で表される化合物を原料とするアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、光又は熱重合開始剤を含有することを特徴とする。
重合性組成物は、光又は熱により、後述する「光又は熱重合開始剤」が分解し、ラジカルを発生させ、この発生したラジカルにより「エチレン性不飽和結合を有する化合物」が重合反応を起こすという機構を有する。
以下、本発明の重合性組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
[一般式(1)で表される化合物を原料として得られるアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂(特定ポリウレタン樹脂)]
本発明の特定ポリウレタン樹脂は、下記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたものである。即ち、ジオール化合物である下記一般式(1)で表される化合物と、イソシアネート化合物と、を少なくとも用い、これらを反応させて得られる高分子化合物である。
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 2009084445
一般式(1)でR及びRは、各々独立に単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基を表すが、R及びRの双方が単結合となることはない。R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(1)で表される化合物について、詳細に説明する。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基を表すが、R及びRの双方が単結合となることはない。
又はRで表されるアルキレン基としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキレン基であることが更に好ましい。
また、R又はRで表されるアルキレン基に導入可能な置換基としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、置換基を有していてもよいアルキル基、等が挙げられる。
一般式(1)において、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、さらに炭素原子数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが更に好ましい。
で表されるアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
で表されるアルキル基として特に好ましくは、原料の入手の容易さからの観点から、置換基を有さないアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、等が挙げられる。
は、水素又はアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが更に好ましい。また、該アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよい。
で表されるアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
で表されるアルキル基として特に好ましくは、重合の反応性の観点から、置換基を有さないアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、等が挙げられる。
としては、親水性の観点から水素原子が好ましい
は、水素原子又はアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基であることが更に好ましい。
としては、重合性の高い水素原子が好ましい
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。該連結基の好適な態様の一つとして、一般式(5)の構造を含む連結基を挙げることができる。
Figure 2009084445
一般式(5)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R)−を表し、Rは、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、Rは、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、Rで表されるアルキル基に導入し得る置換基としては、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
一般式(5)は、一般式(5)内のカルボニル基を介して、一般式(1)のAに隣接するエチレン基と連結することが好ましい。
Aにおいて、一般式(5)以外の好適な連結基としては、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含んで構成される連結基が挙げられる。
より具体的には、Aを構成する総原子数が1〜30の連結基であることが好ましく、総原子数が1〜25の連結基であるであることがより好ましく、総原子数が1〜15の連結基であることが更に好ましく、総原子数1〜10の連結基であることが特に好ましい。
Aとしては、単結合であることが、製造の容易さの観点から好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物が、原料であるアミン化合物の入手の容易さ及び製造の観点から好ましい。
Figure 2009084445
一般式(2)におけるR、R、R及びAは、一般式(1)におけるR、R、R及びAとそれぞれ同義であり、好適な範囲についても同様である。
以下に、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009084445
本発明の特定ポリウレタン樹脂は、下記一般式(2)で表される化合物と、一般式(4)で表される特定のアミド基で連結されたカルボン酸ユニットを含む化合物とを、ジオール成分として併用して合成されたものであることが、露光感度を高め且つ現像カスの発生を抑制する点で、より好ましい。
Figure 2009084445
一般式(4)におけるR及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Bは、2価以上の連結基を表す。
一般式(4)において、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが更に好ましい。また、該アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよい。
該アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、等が挙げられる。該アルキル基は、更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
としては、親水性の観点から水素原子が好ましい。
は、水素原子又はアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが更に好ましい。また、該アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよい。
で表されるアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
で表されるアルキル基として特に好ましくは、原料の入手の容易さの観点から、置換基を有さないアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、等が挙げられる。
Bは2価以上の連結基を表す。ここでいう連結基には、その構造の一部に環構造を含まないものが好ましい。
Bで表される連結基としては、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含んで構成される連結基が挙げられる。より具体的には、Aを構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜7であることが特に好ましい。連結基の価数は、2〜5価が好ましい。アミド基及び末端カルボン酸を構成する以外の連結基がある場合、水酸基を除く、置換基と連結してもよい。
更に、Bで表される2価以上の連結基としては、直鎖状の連結基であることが好ましい。該直鎖状の連結基としては、主骨格を構成する原子数が、1〜20であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜7であることがさらに好ましい。
ここで、「連結基の主骨格」とは、一般式(4)における特定のアミド基(−N(R)C(=O)−)におけるカルボニル炭素と末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す
以下に、一般式(4)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009084445
Figure 2009084445
一般式(1)で表される化合物に由来する構造は、特定ポリウレタン樹脂中に、1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
特定ポリウレタン樹脂において、一般式(1)で表される化合物に由来する繰り返し単位の総含有量は、その構造や、特定ポリウレタン樹脂を含有する重合性組成物が適用される感光層の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%、さらに好ましくは5〜15モル%の範囲で含有される。
また、一般式(4)で表される化合物を併用する場合、一般式(4)で表される化合物に由来する構造は、特定ポリウレタン樹脂中に、1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
特定ポリウレタン樹脂において、一般式(4)で表される化合物を併用する場合の当該化合物に由来する繰り返し単位の総含有量は、その構造や、当該重合性組成物が適用される感光層の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜50モル%、より好ましくは10〜50モル%、さらに好ましくは15〜50モル%の範囲で含有される。
特定ポリウレタン樹脂において、一般式(2)で表される化合物に由来する繰り返し単位の総含有量と、一般式(4)で表される化合物に由来する繰り返し単位の総含有量の比率は、その構造や、当該重合性組成物が適用される感光層の設計等によって適宜決められるが、好ましくはモル比で、1:10〜1:1であることが好ましく、1:5〜1:1であることがより好ましく、1:4〜1:1.5であることが更に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、Macromolecures 1996,5375-5383に記載の方法等により製造することができる。
特に、一般式(2)で表される化合物は、以下に詳述する製造方法により、安定且つ簡易に製造することができる。
<一般式(2)で表される化合物の製造方法>
以下、一般式(1)で表される化合物の好適な態様である、一般式(2)で表される化合物の製造方法(本発明の製造方法)について詳細に説明する。
一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物に酸性触媒を用い、60℃以下の反応温度で水により加水分解して、合成することができる。
Figure 2009084445
一般式(2)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(3)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R、R、R及びAは、一般式(2)におけるR、R、R及びAとそれぞれ同義である。
一般式(3)で表される化合物は、当該化合物の原料となるアミノ基を有するジオール化合物が有するジオール部分をアセタール構造により保護した後、該ジオール化合物が有するアミノ基を反応させることにより、末端に、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する部分構造を特定のアミド基を介して該ジオール化合物に導入することにより得られる化合物である。
一般式(3)で表される化合物は、具体的には、例えば後述する合成例1に記載の方法により得ることができる。
本発明の製造方法において、一般式(3)で表される化合物を加水分解する際の温度は、60℃以下であり、熱重合回避の点からは、30〜60℃であることがより好ましく、40〜50℃であることが更に好ましい。
本発明の製造方法において、使用しうる酸性触媒としては、例えば、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、燐酸などを挙げることができ、アルミ基板への腐食を防ぐ観点からは、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸を用いることが好ましい。
酸性触媒は、一般式(3)で表される化合物に対して0.001〜0.1モル使用することが好ましく、0.01〜0.1モル使用することがより好ましく、0.01〜0.05モル使用することが更に好ましい。
本発明の製造方法においては、一般式(3)で表される化合物を加水分解した後に、減圧下、60℃以下で、水と共沸する有機溶剤を用いて、一般式(2)で表される化合物が含有する水分量を0.1%以下にすることができる。このように、共沸脱水により含有する水分量を0.1%以下にすることで、一般式(2)で表される化合物をポリウレタン樹脂の樹脂の原料として好適に用いることができる、
水と共沸する有機溶剤としては、ポリウレタン樹脂を製造する際の原料として、一般式(2)で表される化合物と共に使用されるイソシアネート化合物に対し、不活性且つ沸点が100℃以下のものを選択することが好ましい。該有機溶剤として具体的には、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、トルエン等が挙げられる。
用いられる有機溶剤の量としては、一般式(2)の化合物が含有する水の量によって異なるが、一般式(2)の化合物の質量に対し、2〜20倍量であることが好ましい。
減圧条件としては、用いる有機溶剤、温度によって異なるが、50mbar(5.0×10Pa)以下で行なうことが好ましい。また、温度は、60℃以下であり、、反応時間、熱重合回避の点からは、30〜60℃であることが好ましく、40〜50℃であることがより好ましい。
一般式(2)で表される化合物が粘性オイル状の場合、上記減圧下で留去できない高沸点溶剤を添加することで、さらに効率よく脱水できる。この場合に用いうる高沸点溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド等の溶剤が挙げられる。
本発明の製造方法においては、必要に応じて、上記のごとき共沸脱水を繰り返してもよく、これにより、一般式(2)の化合物が含有する水分量を0.1質量%以下にすることができる。また、一般式(2)の化合物が含有する水分量は、0.05質量%以下にすることがより好ましい。
本発明における水分量は、カールフィッシャー法により測定することができる。なお、本明細書における水分量は、京都電子工業(株)製、MKC-510Nにより測定した値である。
上記のように、本発明の製造方法における各反応温度(脱保護、脱水)を、それぞれ60℃以下に限定する理由は、60℃を超える温度で反応を行なうと、分子内、分子間でアミドからエステルへの交換反応(下記参照)が起こり、一般式(2)の化合物をポリウレタン樹脂の合成に用いた際にウレタン化反応に悪影響を及ぼす無置換アミノ基が発現することから、このような無置換アミノ基の発現を抑止する必要があるためである。
Figure 2009084445
<一般式(4)で表される化合物の製造方法>
以下、一般式(2)で表される化合物と好適に併用し得る、一般式(4)で表される化合物の製造方法について詳細に説明する。
一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(6)で表される化合物を、酸性触媒を用いることなく、60℃以下の反応温度で水により加水分解することで製造することができる。
Figure 2009084445
一般式(6)中、R10及びR11は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R、R及びBは、一般式(4)におけるR、R及びBとそれぞれ同義である。一般式(4)におけるR、R、及びBは前記の通りである。
一般式(6)において、R10又はR11で表されるアルキルとしては、メチル基、エチル基が挙げられる。
一般式(4)で表される化合物の製造方法は、酸性触媒を用いない点以外においては、前述の一般式(2)で表される化合物の製造方法と同様にして製造することができる。一般式(4)で表される化合物の製造方法で、酸性触媒を適用しない理由は、分子内のカルボン酸基により加水分解が進行するためである。
一般式(4)で表される化合物が粘性オイル状の場合においても、上記減圧下で留去できない高沸点溶剤を添加することで、さらに効率よく脱水できる。脱水の方法についても、一般式(2)で表される化合物の製造方法と同様に適用できる。
なお、一般式(2)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物は、単独で上記共沸脱水を行なっても、併用して上記共沸脱水を行なってもよい。
−特定ポリウレタン樹脂の基本骨格−
本発明における特定ポリウレタン樹脂は、下記一般式(I)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、一般式(II)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。本発明の特定ポリウレタン樹脂は、下記一般式(II)で表されるジオール化合物として、前記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種用いて合成される。
一般式(I): OCN−X−NCO
一般式(II): HO−Y−OH
一般式(I)及び(II)中、X、Yは、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
特定ポリウレタン樹脂は、例えば、ジイソシアネート化合物と、前記一般式(1)で表される化合物から合成されてもよいが、一般式(1)で表される化合物(この中でも好適な一般式(2)で表される化合物)に加え、他のジオール化合物類(前記一般式(4)で表される化合物を含む)を含む複数種のジオール化合物と、ジイソシアネート化合物と、を組み合わせて合成されるものが、アルカリ溶解性の観点から好ましい。
特定ポリウレタン樹脂の重量平均分子量としては、露光による画像形成性及び耐刷性の観点から、5000〜500000が好ましく、より好ましくは8000〜300000であり、最も好ましくは10000〜150000である。
本発明における特定ポリウレタン樹脂は、一般式(II)で表されるジオール化合物として、一般式(1)で表される不飽和結合を有するジオール化合物を用いるため、その側鎖に不飽和結合を有する官能基を有する。更に、本発明における特定ポリウレタン樹脂は、その側鎖に、一般式(1)で表される化合物以外の化合物に由来する不飽和結合を有する官能基を含んでいてもよい。
このような不飽和結合を有する官能基としては、下記一般式(III)〜(IV)で表される基であることが好ましい。以下、一般式(III)〜(IV)で表される基について詳述する。
Figure 2009084445
上記一般式(III)において、R12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表すが、R12〜R16は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R17)−を表す。
17は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R17は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
Figure 2009084445
上記一般式(IV)において、R18としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記一般式(IV)において、R19、R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(III)と同様のものが例示される。
また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R21)−、又は置換基を有しフェニレン基を表す。R21としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
特定ポリウレタン樹脂の側鎖に、一般式(1)で表される化合物以外の化合物に由来する不飽和結合を導入するためには、上記一般式(I)で表されるジイソシアネート化合物、又は、一般式(II)で表されるジオール化合物の少なくともどちらか一方が、一般式(III)〜(IV)で表される基のうち少なくとも1つを有していれば、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、側鎖に上記一般式(III)〜(IV)で表される基が導入された特定ポリウレタン樹脂が生成される。かかる方法によれば、ポリウレタン樹脂の反応生成後に所望の側鎖を置換、導入するよりも、容易に特定ポリウレタン樹脂を製造することができる。
特定ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和結合を導入するため用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネート化合物と、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物がある。
トリイソシアネート化合物としては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2009084445
Figure 2009084445
不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物しては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2009084445
ここで、ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入する方法としては、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジイソシアネート化合物を用いる方法が好適である。トリイソシアネート化合物と不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させることにより得ることできるジイソシアネート化合物であって、側鎖に不飽和基を有するものとしては、例えば、下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2009084445
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Figure 2009084445
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特定ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入する方法としては、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物としては、例えば、グリセリンモノメタクリレート、あるいはトリメチロールプロパンモノアリルエーテル、のように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例としては、特開2002−251008号公報の段落番号[0064]〜[0066]に記載の化合物等が挙げられる。
特定ポリウレタン樹脂の製造においては、前記一般式(I)で表されるジイソシアネート化合物と一般式(II)で表されるジオール化合物の1種である前記一般式(1)で表される化合物(この中でも好適な一般式(2)で表される化合物や、組み合わせて適用するのに好適な一般式(4)で表される化合物を含む)との組み合わせとして上述した以外にも、従来公知の他のジイソシアネート化合物及び他のジオール化合物類を、本発明の効果を損なわない範囲において制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載の化合物が挙げられる。このような他のジイソソアネート化合物、他のジオール化合物類は、それぞれ単独で使用しし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
他のジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
他のジオール化合物類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、3,3’−ジクロロビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−チオジフェノール、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエチルエーテルや、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、
平均分子量1000のポリエチレングリコール、平均分子量1500のポリエチレングリコール、平均分子量2000のポリエチレングリコール、平均分子量3000のポリエチレングリコール、平均分子量7500のポリエチレングリコール、平均分子量400のポリプロピレングリコール、平均分子量700のポリプロピレングリコール、平均分子量1000のポリプロピレングリコール、平均分子量2000のポリプロピレングリコール、平均分子量3000のポリプロピレングリコール、平均分子量4000のポリプロピレングリコール、三洋化成工業(株)製PTMG650、PTMG1000、PTMG20000、PTMG3000、ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBP−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P、ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等のポリエーテルジオール化合物、さらにポリエステルジオール化合物やポリカーボネートジオール化合物が挙げられる。
また、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエリア)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等のカルボキシル基を含有するジオール化合物と組み合わせて用いることもできる。
さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェ
ニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコール又はアミノフェノール化合物も使用しうる。
また、ポリマー合成において、未反応の末端イソシアネート基をラジカル重合性基含有アルコール化合物でキャッピングし、反応を停止させたウレタンポリマーは、耐刷性をさらに向上させるのでより好ましい。ラジカル重合性基含有アルコール化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
特定ポリウレタン樹脂の酸価としては、現像カスの点から、0.3meq/g〜1.4meq/gが好ましく、0.5meq/g〜0.9meq/gがより好ましい。
本発明の重合性組成物に含まれる特定ポリウレタン樹脂は、原料であるジオール化合物として、親水性の高いアミド基を有する一般式(1)で表される化合物を使用して合成された新規なポリウレタン樹脂である。この特定ポリウレタン樹脂は、アルカリ現像液に対する溶解性に優れ、現像後の現像液中に経時によるポリマーの析出がないという特性を有し、更に露光部(画像部)においては、優れた耐刷性が発揮されるものであって、本発明のごとき重合性組成物に好適に用いうる。
このような新規なアルカリ可溶性バインダーポリマーである特定ポリウレタン樹脂の合成方法及びその同定データは後述する実施例に明示する。
本発明における特定ポリウレタン樹脂は、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
本発明の重合性組成物における特定ポリウレタン樹脂の含有量は、固形分換算で、4〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。
本発明の重合性組成物には、特定ポリウレタン樹脂に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他のアルカリ可溶性バインダーポリマーの1種以上を併用してもよい。
併用される他のバインダーポリマーは、全バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%で用いることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。
併用しうる他のバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダー、ウレタンバインダー、アセタール変性ポリビニルアルコール系樹脂(ブチラール樹脂など)等が挙げられ、アクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等が好ましく用いられる。
本発明の重合性組成物においては、全バインダーポリマーの合計含有量、即ち、前記特定ポリウレタン樹脂単独の場合、その含有量、他のバインダーポリマーを併用する場合には、特定ポリウレタン樹脂と併用バインダーポリマーとの総量は、適宜決めることができるが、特に重合性組成物を後述する平版印刷版原版の感光層として用いる場合には、重合性組成物中の不揮発性成分の総質量に対し、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
〔付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物〕
本発明における「付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物」(付加重合性化合物)は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式(i): CH=C(R)COOCHCH(R)OH
一般式(i)中、R及びRは、H又はCHを示す。
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。
また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。
また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。
さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な重合性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、本発明の重合性組成物を、ネガ型平版印刷版原版の記録層(感光層)として用いる場合には、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えば、特定ポリウレタン樹脂等のバインダーポリマー、光又は熱重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。
付加重合性化合物は単独で用いても、2種以上併用してもよい。
本発明の重合性組成物おける付加重合性化合物の含有量としては、付加重合性化合物とバインダーポリマーの総質量に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。
本発明の重合性組成物は、以下に詳述するように、平版印刷版原版の記録層(感光層)に好適に使用しうるが、このような用途に適用した場合は、かかる平版印刷版原版の支持体やオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造の付加重合性化合物を選択することもできる。感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、所望されない組成物の相分離、或いは、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感光層成分の転写、粘着に由来する製造不良)、現像液からの析出、等の問題を生じる可能性が出てくる。
これらの観点から、平版印刷版原版の感光層に含まれる付加重合性化合物は、付加重合性化合物とバインダーポリマーの総質量に対して、5〜80質量%であることが好ましく、25〜75質量%の範囲であることがさらに好ましい。
そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては感光層自体に含有させず、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法、即ち、感光層に隣接する層に含有させるという態様も実施しうる。
〔光又は熱重合開始剤〕
本発明の重合性組成物には、露光、加熱、或いはその双方によるエネルギー付与により、前記付加重合性化合物の硬化反応を生起、促進させる開始種を発生しうる重合開始剤を含有する。
(光重合開始剤)
本発明における光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光重合開始剤、又は2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択して使用することができる。
青色半導体レーザー、Arレーザー、赤外半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合には、種々の光重合開始剤(系)が提案されており、例えば米国特許第2,850,445号明細書に記載のある種の光還元性染料、例えばローズべンガル、エオシン、エリスロシンなど、あるいは染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号公報)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号公報)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号公報)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号公報、特開昭59−140203号公報、特開昭59−189340号公報、特開昭62−174203号公報、特公昭62−1641号公報、米国特許第4766055号明細書)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−1718105号公報、特開昭63−258903号公報、特開平3−264771号公報など)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開昭64−13140号公報、特開昭64−13141号公報、特開昭64−13142号公報、特開昭64−13143号公報、特開昭64−13144号公報、特開昭64−17048号公報、特開平1−229003号公報、特開平1−298348号公報、特開平1−138204号公報など)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号公報、特開平2−244050号公報)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号公報)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号公報)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−334897号公報)等を挙げることができる。
本発明において、特に好ましい光重合開始剤(系)は、少なくとも1種のチタノセンを含有する。本発明において光重合性開始剤(系)として用いられるチタノセン化合物は、その他の増感色素との共存下で光照射した場合、活性ラジカルを発生し得るチタノセン化合物であればいずれであってもよく、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41483号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−291号公報、特開平3−27393号公報、特開平3−12403号公報、特開平6−41170号公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下「T−1」ともいう。)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム(以下「T−2」ともいう。)等を挙げることができる。
これらのチタノセン化合物は、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらのチタノセン化合物の使用法に関しても、先述の付加重合性化合物同様、重合性組成物や、重合性組成物が適用される後述する平版印刷版原版等の性能設計により適宜、任意に設定できる。例えば、平版印刷版原版の感光層に適用する場合であれば、2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。
上記チタノセン化合物等の光重合開始剤の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、重合性組成物中の含有量はは、平版印刷版原版の感光層に用いる場合も同様に、不揮発性成分100質量部に対し、0.5〜80質量部、好ましくは1〜50質量部の範囲で用いることで充分な感光性が得られる。一方、黄色灯、白色灯下での使用に際しては、500nm付近の光によるカブリ性の点からチタノセンの使用量は少ないことが好ましいが、その他の増感色素との組み合わせによりチタノセンの使用量は6質量部以下、さらに1.9質量部以下、さらには1.4質量部以下にまで下げても充分な感光性を得ることができる。
(熱重合開始剤)
本発明に用いられる、前記付加重合性化合物の硬化反応を開始、進行させるための熱重合開始剤としては、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤が有用である。このようなラジカル発生剤は前述する赤外線吸収剤と併用することで、赤外線レーザーを照射した際に赤外線吸収剤が発熱し、その熱によりラジカルを発生するものであり、これらの組合せにより記録が可能となる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられるが、オニウム塩又はオキシムエステル化合物が高感度であり、好ましい。
以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオニウム塩について説明する。
好ましいオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(A)〜(C)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009084445
一般式(A)中、Ar11、Ar12は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
(Z11は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
一般式(B)中、Ar21は置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
(Z21は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。
一般式(C)中、R31、R32、R33は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、好ましくは反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
31−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましく、特に、特開2001−343742号公報のカルボン酸イオン、更に好ましくは特開2002−148790号公報、特開2002−148790号公報のカルボン酸イオンが好ましい。
本発明において、重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2007−62051号公報に記載されたもの等を挙げることができる。以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(A)で示されるオニウム塩([I−1]〜[I−28])、一般式(B)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])、及び一般式(C)で示されるオニウム塩([S−1]〜[S−17])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009084445
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本発明において用いられる重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
また、他の好ましい重合開始剤として、特開2002−148790号、特開2002−148790号、特開2001−343742号、特開2002−006482号の各公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
また、オニウム塩化合物以外の重合開始剤の例として、以下に示す如きトリアジン系化合物、ボレート系化合物なども挙げられる。
Figure 2009084445
その他、本発明において重合開始剤として好適に用い得る化合物としては、オキシムエステル化合物が挙げられる。このオキシムエステル化合物について説明する。好ましいオキシムエステル化合物としては、下記一般式(D)で示す化合物などが挙げられる。
Figure 2009084445
一般式(D)中、Xはカルボニル基、スルホン基、又は、スルホキシド基を表し、Yは炭素数1〜12の環状又は鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、又は、複素環基を表す。
一般式(D)でYで表されるアリール基の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。また、複素環基とは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子を環構造に少なくとも1つ有する芳香族化合物を指し、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェノン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等が挙げられる。
これらYで表される置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基、又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(D)におけるZは、Yと同義又はニトリル基、ハロゲン原子、又は水素原子、アミノ基であり、これらのZの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(D)におけるWは、2価の有機基を表し、メチレン基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、イミノ基を表し、メチレン基及びイミノ基はアルキル基、アリール基、エステル基、ニトリル基、カルボニルエーテル基、スルホ基、スルホエーテル基、エーテル基等を含有する化合物により置換可能である。
nは0又は1の整数を表す。
一般式(D)におけるVは、炭素数1〜12の環状又は鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等のヘテロ原子含有芳香族化合物が挙げられる。これらVの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
また、VとZは互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(D)で表されるオキシムエステル化合物としては、感度の面から、Xはカルボニル、Yはアリール基又はベンゾイル基、Z基はアルキル基又はアリール基、Wはカルボニル基であり、Vはアリール基であることが好ましい。更に好ましくは、Vのアリール基がチオエーテル置換基を有することが好ましい。
なお、上記一般式(D)におけるN−O結合の構造はE体であってもZ体であっても構わない。
その他、本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物は、Progress in Organic Coatings、13(1985)123-150; J.C.S Perkin II(1979)1653-1660;Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)205-232; J.C.S Perkin II(1979)156-162; 特開2000−66385号公報;特開2000−80068号公報に記載の化合物である。
本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2009084445
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これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤は、例えば、本発明の重合性組成物をネガ型平版印刷版原版の感光層として適用した場合の感度や、印刷時に発生する非画像部の汚れの観点から、重合性組成物又は感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。また、これらの重合開始剤を平版印刷版原版の感光層に適用する場合、他の成分と同一の層に添加しし、感光層を多層構造とし、他の成分とは別の隣接する層へ添加してもよい。
本発明の重合性組成物は、これらの機構を利用する種々の用途に適用可能であり、例えば、ネガ型画像記録材料(例えば平版印刷版原版など)の画像記録層(感光層)や、高感度な光造形用材料としても好適であり、重合にともなう屈折率の変化を利用してホログラム材料に、また、フォトレジスト等の電子材料製造などに適用することもできる。
これらの中でも、本発明の重合性組成物は、走査露光などにより直接描画することが可能なネガ型平版印刷版原版の画像記録層として好適であり、そのような用途に適用する場合には、走査露光に用いられる光に適合する増感色素を更に含有することが感度の観点から好ましい。
即ち、本発明の重合性組成物をネガ型平版印刷版原版の感光層に適用する場合、300〜1,200nmの波長を有するレーザー光での直接描画での製版に特に好適であるように、画像記録層には増感色素として以下に示す如き赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
〔増感色素〕
本発明の重合性組成物には、増感色素を用いることができる。該増感色素としては、露光抗原に応じた吸収波長を有するものが選択され、一般的には、350〜850nmに吸収ピークを有するものが好ましい。このような増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収して光重合開始剤と相互作用する以下に示す染料あるいは顔料が挙げられる。
好ましい分光増感色素又は染料としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェエレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロラン、・ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオエン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアエン類で(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スタアリウム類(例えば、スタアリウム)等が挙げられる。
より好ましい分光増感色素又は染料の例としては、特公昭37−13034号公報記載のスチリル系色素、特開昭62−143044号公報記載の陽イオン染料、特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩、特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物、特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類、特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンデン染料、特開平2−226148号及び特開平2−226149号各公報記載のアクリジン類、時公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類、特公昭46−42363号公報記載のシアニン類、特開平2−63053号公報記載のベンゾフラン色素、特開平2−85858号、特開平2−216154号各公報記載の共役ケトン色素、特開昭57−10605号公報記載の色素、特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体、特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素、特開昭62−31844号、特開昭62−31848号、特開昭62−143043号各公報記載のキサンテン系色素、特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン、特公昭61−962l号公報記載のメロシアニン色素、特開平2−179643号公報記載の色素、特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素、特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素、特開昭59−89803号公報記載のメロシアニン色素、特開平8−129257号記載のメロシアニン色素、特開平8−334897号記載のベンゾピラン系色素、等を挙げることができる。
(赤外線吸収剤)
本発明において、760から1,200nmの赤外線を発するレーザーを光源とした露光が行われる場合には、通常、赤外線吸収剤が用いられる。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、ラジカル発生剤(重合開始剤)が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009084445
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)〜一般式(e)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009084445
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NPh、−X−L又は以下に示す基を表す。
Figure 2009084445
ここで、Xは酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。X は後述するZ と同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。
、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。
、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。
また、Z は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZ は必要ない。好ましいZ は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号公報の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
Figure 2009084445
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一般式(b)中、Lは共役炭素原子数3以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Z は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na、K、Li)などが挙げられる。R〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
ここで、一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009084445
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前記一般式(c)中、Y及びYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Z は対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZ と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009084445
Figure 2009084445
前記一般式(d)中、R29ないしR32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。
及びXは各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X及びXの少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。
Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Z は対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZ と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009084445
Figure 2009084445
一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示し、これらの基に置換基が導入可能な場合は、置換基を有していてもよい。
Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009084445
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔
料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μmから1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像感光層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
重合性組成物の硬化を促進するために添加される、これらの赤外線吸収剤等の増感色素は、本発明の重合性組成物をネガ型平版印刷版原版の感光層として適用する場合、感光層に添加し、別の層、例えば上塗り層、下塗り層を設けそこへ添加してもよい。また、特に、本発明の重合性組成物をネガ型感光性平版印刷版の感光層に適用する場合には、これらの増感色素は、感度の観点から、感光層の波長760nmから1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1から3.0の間にあることが好ましい。光学濃度は前記赤外線吸収剤の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。
感光層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
また、重合性組成物への一般的な添加量について述べれば、全固形分中、0.5〜20質量%添加されることが好ましい。この範囲において、露光による特性変化の感度が高く、高感度化が達成されるとともに、膜の均一性や強度に悪影響を与える懸念がなく、好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の重合性組成物には、以上の成分の他に、例えば、共増感剤、重合禁止剤、着色剤、可塑剤等、その用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、本発明の重合性組成物を特にネガ型の画像記録材料の記録層として適用した場合の好ましい添加剤に関して例示する。
(共増感剤)
光重合性感光層には、共増感剤を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させることができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始剤(系)の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推
定される。
これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらとヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開昭9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明の平版印刷版原版の感光層に用いられるものは、これらに限定されるものはない。
Figure 2009084445
これらの共増感剤に関しても、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素やチタノセン、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらの共増感剤は、単独又は2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(重合禁止剤)
また、本発明の重合性組成物を適用した、平版印刷版原版の光又は熱重合性ネガ型感光層においては、ネガ型感光性組成物の製造中あるいは保存中において、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(着色剤)
さらに、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用する場合には、その着色を目的として染料又は顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。
具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。
染料及び顔料の添加量は、全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
更に、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、更には、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用する場合の感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤などを加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、高分子バインダーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
<平版印刷版原版>
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、本発明の重合性組成物を含む感光層を備えてなることを特徴とする。本発明の平版印刷版原版は、感光層の他、必要に応じて、中間層、保護層等の他の層を備えていてもよい。
(感光層)
本発明の平版印刷版原版における感光層は、既述した本発明の重合性組成物を含む。
感光層は、感光層の構成成分を種々の有機溶剤に溶かして、その塗布液を、後述する支持体又は中間層上に塗布することで形成される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査露光用平版印刷版原版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/mである。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版の支持体としては、従来公知の、平版印刷版原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で、適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板はさらに好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
アルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。アルミニウム支持体には適宜必要に応じて後述の支持体表面処理が施され。もちろん施されなくてもよい。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。
その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm〜400C/dmの範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされ。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均粗さRaが好ましくは0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理されたアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされることが好ましい。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれ。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/mの範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/mの範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
〔中間層〕
本発明における平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や非画像部の汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層とも呼ばれる。)を設け。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号公報、特開昭51−71123号公報、特開昭54−72104号公報、特開昭59−101651号公報、特開昭60−149491号公報、特開昭60−232998号公報、特開平2−304441号公報、特開平3−56177号公報、特開平4−282637号公報、特開平5−16558号公報、特開平5−246171号公報、特開平5−341532号公報、特開平7−159983号公報、特開平7−314937号公報、特開平8−202025号公報、特開平8−320551号公報、特開平9−34104号公報、特開平9−236911号公報、特開平9−269593号公報、特開平10−69092号公報、特開平10−115931号公報、特開平10−161317号公報、特開平10−260536号公報、特開平10−282679号公報、特開平10−282682号公報、特開平11−84674号公報、特開平10−69092号公報、特開平10−115931号公報、特開平11−38635号公報、特開平11−38629号公報、特開平10−282645号公報、特開平10−301262号公報、特開平11−24277号公報、特開平11−109641号公報、特開平10−319600号公報、特開平11−84674号公報、特開平11−327152号公報、特開2000−10292号公報、特開2000−235254号公報、特開2000−352824号公報、特開2001−175001号公報、特開2001−209170号公報等に記載のものを挙げることができる。
〔保護層〕
本発明のように、光又は熱重合性のネガ型感光層を有する平版印刷版原版には、通常、露光を大気中で行うため、前述の感光層の上に、更に、保護層(オーバーコート層とも呼ばれる。)を設けることが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また、画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。
本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
その他、本発明の平版印刷版原版から平版印刷版を製版するための製版プロセスとして
〔平版印刷版原版の製版〕
本発明の平版印刷版原版を製版するためには、少なくとも、露光及び現像のプロセスが行われる。
本発明のネガ型平版印刷版原版を露光する光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。望ましい光源の波長は300nmから1200nmであり、具体的には各種レーザーを光源として用いることが好適であり、中でも、波長780nm〜1200nmの赤外線レーザーが好適に用いられる。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
また、本発明の平版印刷版原版に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
本発明の平版印刷版原版は、露光された後、現像処理される。かかる現像処理に使用される現像液としては、pH14以下のアルカリ水溶液が特に好ましく、より好ましくはアニオン系界面活性剤を含有するpH8〜12のアルカリ水溶液が使用される。例えば、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
また、本発明の平版印刷版原版の現像処理においては、現像液中にアニオン界面活性剤1〜20質量%加えるが、より好ましくは、3〜10質量%で使用される。少なすぎると現像性が悪化し、多すぎると画像の耐摩耗性などの強度が劣化するなどの弊害が出る。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、イソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレングリコールモノナフチルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩などのようなアルキルアリールスルホン酸塩、第2ナトリウムアルキルサルフェートなどの炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル類、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩などの様な脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、例えば、C1733CON(CH)CHCHSONaなどのようなアルキルアミドのスルホン酸塩類、例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなどの二塩基性脂肪族エステルのスルホン酸塩類などが含まれる。
必要に応じてベンジルアルコール等の水と混合するような有機溶媒を現像液に加え。有機溶媒としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘクサノール、4−メチルシクロヘクサノール及び3−メチルシクロヘクサノール等を挙げることができる。有機溶媒の含有量は、使用時の現像液の総質量に対して1〜5質量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、アニオン界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これはアニオン界面活性剤の量が少ない状態で、有機溶媒の量を多く用いると有機溶媒が溶解せず、従って良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
また、更に必要に応じ、消泡剤及び硬水軟化剤のような添加剤を含有させることもできる。硬水軟化剤としては、例えば、Na、Na、Na、NaP(NaOP)PONa、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸類(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩)、他のポリカルボン酸類(例えば、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2一ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)、有機ホスホン酸類(例えば、1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)を挙げることができる。このような硬水軟化剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させられる。
更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版原版を現像する場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させ。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
本発明の平版印刷版原版において感光層に用いられる前記特定ポリウレタン樹脂は、現像液への溶解性に優れることから非画像部の残膜がなく、また、経時による現像液中での析出が抑制されることから、自動現像機を用いて繰り返し処理を行っても、現像浴中に析出したポリマーが版面に付着して汚れを生じるといった版面故障が抑制されるため、このような処理に好適に使用しうる。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理され。本発明の平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
本発明の平版印刷版原版の製版プロセスとして、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上、感度の安定化といった利点が生じ得る。更に、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うことも有効である。
通常、現像前の加熱は、所望されない硬化反応の発生の観点から、150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。また、現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は、画像強化作用や画像部の熱分解の発生の観点から、加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
なお、印刷に供された平版印刷版の汚れは、プレートクリーナーにより除去することができる。印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来公知のPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1,CL−2,CP,CN−4,CN,CG−1,PC−1,SR,IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1:一般式(1)で表される化合物]
一般式(1)で表される化合物である化合物(1−1)を、以下に示すスキームに従って合成した。詳細は後述する。
Figure 2009084445
[化合物Aの合成]
塩化カルシウム管、攪拌機を取り付けた0.5Lの三口丸底フラスコに、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成(株)製)52gにアセトン0.3Lを加え、均一に溶解させた。反応液を5℃以下に氷冷した後、メタンスルホン酸(和光純薬(株)製)42.8gを内温が20℃以上にならないように滴下した。滴下終了時には、白色ペースト状の沈降物が生じた。次に氷冷下、2,2−ジメトキシプロパン(和光純薬(株)製)68gを滴下した。滴下終了後、反応液を室温に戻し1時間反応した時点で反応液は、均一になった。さらに4時間反応させた。
反応終了後、反応液を減圧濃縮した。濃縮物に水酸化ナトリウム18.7gを水150mlに溶解させた水溶液を加えた。該反応液を酢酸エチルで抽出後、該有機相を飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターで減圧濃縮した。さらに真空ポンプを用いて、溶媒を留去し、化合物A50gを得た。
[化合物Bの合成]
化合物A50g、及びトリエチルアミン31.8gをアセトニトリル200mlに溶解した。この混合物を氷冷し内温5℃で、アクリル酸クロライド(東京化成(株)製)28.5gを滴下した。このとき、25℃まで発熱した。反応終了後、内温5℃で濃塩酸32.7gを添加した。水150mlを加え酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で有機相を洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をエバポレーターで減圧濃縮後、58gの淡黄色結晶の粗体を得た。この粗体をカラムクロマトで精製し、化合物B49gを白色結晶として得た。得られた化合物BのNMRデータを以下に示す。
NMR(CDCl
6.27(d 1H)6.15(t 1H)5.75(bs 1H)5.63(d 1H)
4.05(d 2H)3.67(d 2H)1.85(t 2H)1.42(d 6H)
0.85(t 3H)
[化合物1−1の合成]
化合物B10gをアセトニトリル60mlに溶解させた溶液に水4.22gとメタンスルホン酸0.07gを加え、40℃で1時間反応させ、反応を完結させた。反応後の溶液にトリエチルアミン0.08gを加え、酸性成分を中和させた。反応液をエバポレーターで35℃、45mbar(4.5×10Pa)濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル50gを加え、反応液をエバポレーターで40℃、30mbar(3.0×10Pa)で濃縮した。粘性オイルの化合物(1−1)8.6gを得た。得られた化合物(1−1)のNMRデータを以下に示す。
NMR(DMSO)
6.15(d 1H)6.11(t 1H)5.55(d 1H)
3.79(d 2H)3.65(d 2H)1.75(t 2H)
0.87(t 3H)
(化合物1−1の脱水)
上記化合物1−1の合成における中和後の反応液にN−メチルピロリドン8.6g、共沸脱水溶剤としてさらにアセトニトリル40gを加え、反応液をエバポレーターで40℃、45mbar(4.5×10Pa)で濃縮した。濃縮物の含水率をカールフィッシャーにより、測定した結果含水率は0.04質量%であった。
これにより50%NMP溶液の化合物1−1のNMP溶液が得られた。
[合成例2:一般式(4)で表される化合物]
一般式(4)で表される化合物である化合物(2−1)を、以下に示すスキームに従って合成した。詳細は後述する。
Figure 2009084445
[化合物Cの合成]
合成例1と同様にして得た化合物A50g、トリエチルアミン31.8gをアセトニトリル200mlに溶解した。この混合物を氷冷し内温5℃で、固体の無水コハク酸(東京化成(株)製)31.4gを分割添加した。このとき、45℃まで発熱した。反応終了後、内温5℃で濃塩酸32.7gを添加した。水150mlを加え酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で有機層を洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層をエバポレーターで減圧濃縮後、75gの淡黄色結晶の粗体を得た。この粗体をアセトニトリルで再結晶し、化合物Cの66gを白色結晶として得た。得られた化合物CのNMRデータを以下に示す。
NMR(CDCl
6,12(1H s) 4.0(2H、d)3.7(2H d)2.7(2H t)
2.5(2H t) 1.7(2H q)1.4(6H d)0.8(3H t)
[化合物2−1の合成]
化合物Cの29gに水60gを加え、55℃で加熱攪拌した。反応終了後、反応液は均一になった。反応液をエバポレーターで50℃、45mbar(4.5×10Pa)で濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル50gを加え、反応液をエバポレーターで40℃、45mbar(4.5×10Pa)で濃縮した。粘性オイルの化合物(2−1)25gを得た。得られた化合物(2−1)のNMRデータを以下に示す。
NMR(CDOD)
3.8(2H、d)3.6(2H d)2.6(2H t)2.5(2H t)
1.7(2H q)0.8(3H t)
〔合成例3〕
[化合物2−1の脱水]
粘性オイルの化合物(2−1)25gに脱水N−メチルピロリドン25g、共沸脱水溶剤として脱水アセトニトリル70gを加え、反応液をエバポレーターで50℃、45mbar(4.5×10Pa)で濃縮した。濃縮物の含水率をカールフィッシャーにより、測定した結果含水率は0.05質量%であった。
〔合成例4:ポリウレタン樹脂(P−1)〕
本発明に係る特定ポリウレタン樹脂である「ポリウレタン樹脂(P−1)」を以下の如くして合成した。
コンデンサー、攪拌機を取り付けた500mlの三口丸底フラスコに、合成例1により得られた化合物1−1(15.57g共沸脱水を施した50質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液 含水率0.04質量%)、合成例2により得られた化合物2−1(32.98g 共沸脱水を施した50質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液 含水率0.05質量%)、ヘキサメチレンジイソシアネート(5.08g、和光純薬(株)製)、ジフェニルメタンジイソシアネート(30.24g、和光純薬(製))、平均分子量1000のポリプロピレングリコール(28.77g、和光純薬(製))1−メチル−2−ピロリドン(75g、和光純薬(製))及びネオスタンU−600(5滴、日東化成(株)製)を入れ、100℃で8時間加熱した。
その後、メタノール(100ml)、1−メチル−2−ピロリドン(560g)にて希釈した。反応溶液を水(4L)中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空乾燥させることにより、以下表1に示す特定ポリウレタン樹脂(P−1)(15.8g)を得た。
得られた特定ポリウレタン樹脂(P−1)の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、ポリスチレン換算で9.5万であり、酸価は0.61meq/gであった。
上記合成例1と同様にして、表1,2に示すジイソシアネート化合物とジオール化合物を用いて、本発明に係る特定ポリウレタン樹脂(P−2)〜(P−7)、及び比較用のポリウレタン樹脂(CP−1)〜(CP−3)を得た。
Figure 2009084445
Figure 2009084445
なお、上記により得られた特定ポリウレタン樹脂〔(P−1)〜(P−7)〕について、ポリマーの経時析出試験を行なった。即ち、ポリウレタン樹脂12.5gをpH12のアルカリ水溶液0.5リットルに溶解し、密栓した後、25℃雰囲気下で60日保存した。保存後、ポリマー析出の有無を目視にて観察したところ、P−1〜P−7の本発明の特定ポリウレタン樹脂(アルカリ可溶性ポリマー)においては、60日経過後もポリマーの析出は見られなかった。一方、比較例のポリマーであるCP−1及びCP−2においては、目視によるポリマーの析出が確認された。比較例ポリマーCP−1では、目視によるポリマーの析出は見られなかった。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
以下の手順で、表3に示す実施例1〜7、比較例1〜3のネガ型平版印刷版原版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表3に併記する。
[支持体の作製]
厚さ0.24mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて以下のように連続的に処理を行った。
(a)既存の機械的粗面化装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は40〜45μm、最大粒径は200μmだった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴を開けて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラー(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラーはブラシを回転させる駆動モーターの負荷が、ブラシローラーをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じで回転数は200rpmであった。
(b)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
(c)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度40℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で255C/cmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗した。
(f)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(g)既存の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一給電部長3m、第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後スプレーによる水洗を行った。この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第一給電部に設けられた第一給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第一電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第一給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。一方、電源からの電流は、第二給電部に設けられた第二給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第二電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第一給電部に給電される電気量と電源から第二給電部に給電される電気量は同じであり、第二給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dmであった。第二給電部では、1.35g/mの酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。ここまでのアルミニウム支持体を[AS−1]とする。
[親水化処理]
アルミニウム支持体[AS−1]に、印刷版非画像部としての親水性を高めるため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/mであった。この支持体を[AS−2]とする。
[感光層の塗設]
以上のように処理されたアルミニウム支持体[AS−1]に、下記組成の感光層塗布液を乾燥塗布量が1.0〜1.2g/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ感光層を形成した。
(感光層塗布液)
・付加重合性化合物(M−4) 1.5g
・特定ポリウレタン樹脂又は比較バインダーポリマー
(表3中に記載の樹脂) 2.0g
・増感色素(表3中に記載の化合物) 0.2g
・光重合開始剤(表3中に記載の化合物) 0.4g
・共増感色素(その他の添加剤として表3中に記載の化合物) 0.4g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
・熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・下記組成の着色顔料分散物 2.0g
・メチルエチルケトン 20.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
−着色顔料分散物組成−
・Pigment Blue 15:6 15質量部
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合モル比80/20、質量平均分子量 4万) 10質量部
・シクロヘキサノン 15質量部
・メトキシプロピルアセテート 20質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
[保護層の塗設]
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/mとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
[平版印刷版原版の露光]
平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mW)を用い、90μJ/cmの露光量で、解像度2438dpiで、1%刻みで、1から99%となる網点画像露光を行った。その後、100℃−10秒間オーブンで加熱した。
[現像/製版]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機FLP−813に、現像液D−1と富士フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wとをそれぞれ仕込み、現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を現像/製版し、平版印刷版を得た。
[画像部耐刷性試験]
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。結果を表3に示す。
[現像カスの評価試験]
得られた各平版印刷版原版(面積0.88m)を、非画像部面積0.75mとなるように上記露光方法で露光した後、富士写真フイルム(株)製の現像機LP−1310に保護層除去装置を付属させたものを使用し、pH11.90(30℃)の現像液により、1200枚連続して現像処理した。なお、使用した現像液はD−1である。
評価は、処理後の現像液中に、現像カスが析出していないかを目視にて確認することにより行った。結果を表3に示す。
[感度]
FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mW)を用い、解像度2438piで、logEで0.15ずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。その後、100℃−10秒間オーブンで加熱した。
露光後、富士フイルム(株)製自動現像機FLP−813に、現像液D−1と富士フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み、現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を現像/製版し、平版印刷版を得た。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.8を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることを示す。結果を表3に示す。
[生保存性(経時安定性)]
未露光状態の平版印刷版原版を、45℃75%RHで3日間保存した後、耐刷評価で用いた方法により露光・現像して、非画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し測定した。
また、作製直後の平版印刷版原版についても、同様の方法で露光・現像を行い、非画像部濃度を測定した。本実施例においては、それらの非画像部濃度の差Δを求め、生保存性の指標とした。Δの値が小さいほど生保存性がよく、0.02以下が実用上問題ないレベルである。結果を表3に示す。
Figure 2009084445
以下に、表3中に記載された付加重合性化合物、重合開始剤、増感色素、赤外線吸収剤、その他の添加剤、使用された現像液について、後述する他の実施例に使用したもの(表4及び表5に記載)を含めて以下に示す。
<付加重合性化合物>
M−1: ペンタエルスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
M−3: 新中村化学工業(株)製;NKエステルA−BPE−4
M−4: 下記構造の化合物
Figure 2009084445
<重合開始剤>
Figure 2009084445
<増感色素>
Figure 2009084445
<赤外線吸収剤>
Figure 2009084445
<その他の添加剤>
Figure 2009084445
<現像液>
D−1:
下記組成からなるpH10の水溶液
・モノエタノールアミン 0.1質量部
・トリエタノールアミン 1.5質量部
・下記式1の化合物 4.0質量部
・下記式2の化合物 2.5質量部
・下記式3の化合物 0.2質量部
・水 91.7質量部
Figure 2009084445
上記(式1)中、R14は水素原子又はブチル基を表す。
D−2:
下記組成からなる水溶液
・1Kケイ酸カリウム 3.0質量部
・水酸化カリウム 1.5質量部
・前記式3の化合物 0.2質量部
・水 95.3質量部
D−3:富士フイルム(株)社製DH−Nの1:4水希釈液
(実施例8〜14、比較例4〜6)
感光層塗布液の成分を以下に示すものに代えた他は、実施例1〜7、比較例1〜3と同様にして、表4に示す実施例8〜14及び比較例4〜6のネガ型平版印刷版原版を作製した。なお、本実施例及び比較例においては、感光層の乾燥後の塗布量が1.3〜1.5g/mとなるように塗布した。
(感光層塗布液)
・付加重合性化合物(M−1) 1.5g
・特定ポリウレタン樹脂又は比較バインダーポリマー
(表4中に記載の樹脂) 2.0g
・増感色素(S−1) 0.2g
・光重合開始剤(I−1) 0.4g
・その他の添加剤(C−2) 0.4g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
・熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・下記組成の着色顔料分散物 2.0g
・メチルエチルケトン 20.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
−着色顔料分散物組成−
・Pigment Blue 15:6 15質量部
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合モル比80/20、質量平均分子量 4万) 10質量部
・シクロヘキサノン 15質量部 メトキシプロピルアセテート 20質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
[平版印刷版原版の露光]
上記のようにして得られた平版印刷版原版を、FD−YAG(532nm)レーザー露光機(ハイデルベルグ社製プレートセッター:グーテンベルグ)を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cmとなる様に露光パワーを調節し、ベタ画像露光、及び2540dpi、175線/インチ、1%刻みで1から99%となる網点画像露光を行った。
[現像/製版]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機FLP−813に、現像液D−2と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wとをそれぞれ仕込み、現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を現像/製版し、平版印刷版を得た。
[画像部耐刷性試験]
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。結果を表4に示す。
[現像カスの評価試験]
得られた各平版印刷版原版(面積0.88m)を、非画像部面積0.75mとなるように上記露光方法で露光した後、富士フイルム(株)製の現像機LP−1310に保護層除去装置を付属させたものを使用し、pH11.90(30℃)の現像液により、1200枚連続して現像処理した。なお、使用した現像液はD−2である。
評価は、処理後の現像液中に、現像カスが析出していないかを目視にて確認することにより行った。結果を表4に示す。
[感度]
FD−YAG(532nm)レーザー露光機(ハイデルベルグ社製プレートセッター:グーテンベルグ)2540dpiを用い、logEで0.15ずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機FLP−813に、現像液D−2と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み、現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を現像/製版し、平版印刷版を得た。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.8を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。
なお、評価結果は、実施例8で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることを示す。結果を表4に示す。
[経時安定性]
未露光状態の平版印刷版原版を、45℃75%RHで3日間保存した後、耐刷評価で用いた方法により露光・現像して、非画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し測定した。また、作製直後の平版印刷版原版についても、同様の方法で露光・現像を行い、非画像部濃度を測定した。本実施例においては、それらの非画像部濃度の差Δを求め、生保存性の指標とした。Δの値が小さいほど生保存性がよく、0.02以下が実用上問題ないレベルである。結果を表4に示す。
Figure 2009084445
(実施例15〜21、比較例7〜9)
[支持体の作製]
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗、乾燥し支持体Aとした。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。このようにして得られた支持体を[AS−3]とする。
<下塗り層>
次に、このアルミニウム支持体表面[AS−3]に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、100℃10秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
−下塗り層用塗布液−
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:10,000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 2009084445
[感光層の塗設]
この上に、下記組成の感光層塗布液を調製し、にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が0.9g/mとなるように塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間乾燥して感光層を形成した。
(感光層塗布液)
・赤外線吸収剤(S−5) 0.038g
・重合開始剤A(I−4:下記構造) 0.061g
・重合開始剤B(I−5:下記構造) 0.094g
・メルカプト化合物(SH−1:下記構造) 0.015g
・付加重合性化合物(M−3) 0.311g
・バインダーポリマー(B−1:下記構造) 0.311g
・特定ポリウレタン樹脂(表5中に記載の化合物) 0.311g
・添加剤(C−4) 0.079g
・重合禁止剤(Q−1:下記構造) 0.0012g
・エチルバイオレット(EV−1:下記構造) 0.021g
・フッ素系界面活性剤 0.0081g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
Figure 2009084445
[保護層の塗設]
<下部保護層>
感光層表面に、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2質量%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)界面活性剤A(日本エマルジョン社製、エマレックス710)及び界面活性剤B(アデカプルロニックP−84:旭電化工業株式会社製)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液)中の合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤A/界面活性剤Bの含有量割合は、7.5/89/2/1.5(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/mであった。
<上部保護層>
下部保護層表面に、有機フィラー(アートパールJ−7P、根上工業(株)製)、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(L−3266:ケン化度87モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)、増粘剤(セロゲンFS−B、第一工業製薬(株)製)、高分子化合物A(前記構造)、及び界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液)中の有機フィラー/合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/増粘剤/高分子化合物A/界面活性剤の含有量割合は、4.7/2.8/67.4/18.6/2.3/4.2(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.8g/mであった。
このようにして、実施例15〜21、及び比較例7〜9の平版印刷版原版を得た。
[平版印刷版原版の露光]
上記のように得られた実施例平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm、解像度2400dpiの条件で露光した。
[現像/製版]
露光後、富士フイルム(株)製LP−1310Newsに、現像液D−3とフィニッシャー富士フイルム(株)製GN−2Kの1:1水希釈液とをそれぞれ仕込み、30℃で現像/製版し、平版印刷版を得た。
[画像部耐刷性試験]
印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。結果を表5に示す。
[現像カスの評価試験]
得られた各平版印刷版原版(面積0.88m)を、非画像部面積0.75mとなるように上記露光方法で露光した後、富士写真フイルム(株)製の現像機LP−1310に保護層除去装置を付属させたものを使用し、pH11.90(30℃)の現像液により、1200枚連続して現像処理した。なお、使用した現像液は表5に記載のとおりである。
評価は、処理後の現像液中に、現像カスが析出していないかを目視にて確認することにより行った。結果を表5に示す。
〔感度評価〕
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VXにて、解像度175lpi、外面ドラム回転数150rpm、出力0−8Wの範囲でlogEで0.15ずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、富士フイルム(株)社製LP−1310Newsを用い、30℃12秒で現像した。現像液は、現像液D−3(富士フイルム(株)社製DH−Nの1:4水希釈水)を用い、フィニッシャーは、富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.8を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例15で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることを示す。結果を表5に示す。
〔経時安定性評価〕
未露光状態の平版印刷版原版を、45℃75%RHで3日間保存した後、下記の方法で露光・現像して、非画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し測定した。また、作製直後の平版印刷版原版についても、同様の方法で露光・現像を行い、非画像部濃度を測定した。本実施例においては、それらの非画像部濃度の差Δを求め、生保存性の指標とした。Δの値が小さいほど生保存性がよく、0.02以下が実用上問題ないレベルである。結果を表5に示す。
Figure 2009084445
表3〜表5に明らかなように、本発明の特定ポリウレタン樹脂を含有する重合性組成物(本発明の重合性組成物)からなる感光層を備える平版印刷版原版は、405nm、532nm、830nmのいずれの波長の露光により画像形成した場合でも、高感度で非常に優れた耐刷性を有しており、さらに、連続処理によっても現像カスの析出が発生しないこと及び経時の安定性に優れていることが確認された。
このことから、本発明の重合性組成物は膜質の良好な皮膜形成が可能であり、現像液に対する溶解性にも優れることがわかる。このような重合性組成物をふくむ感光層を有することで、本発明の平版印刷版原版は、本実施例で行ったようなレーザー露光による高速での書き込みに適した平版印刷版原版であることわかる。従って、本発明が適用された平版印刷版原版は、高い生産性を発揮するものであるといえる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂と、
    付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物と、
    光又は熱重合開始剤と、
    を含有することを特徴とする重合性組成物
    Figure 2009084445

    〔一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基を表す。但し、R及びRの双方が単結合となることはない。R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
    Figure 2009084445

    〔一般式(2)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。〕
  3. 前記アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂が、前記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(4)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の重合性組成物。
    Figure 2009084445

    〔一般式(4)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Bは、2価以上の連結基を表す。〕
  4. 支持体上に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の重合性組成物を含む感光層を備えてなることを特徴とする平版印刷版原版。
  5. 下記一般式(1)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたことを特徴とするアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂。
    Figure 2009084445

    〔一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基を表す。但し、R及びRの双方が単結合となることはない。R、R及びRは、各々独立に水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。〕
  6. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載のアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂。
    Figure 2009084445

    〔一般式(2)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。〕
  7. 前記一般式(2)で表される化合物に加えて、下記一般式(4)で表される化合物を原料の一つとして使用して合成されたことを特徴とする請求項6に記載のアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂
    Figure 2009084445

    〔一般式(4)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Bは、2価以上の連結基を表す。〕
  8. 下記一般式(3)で表される化合物に酸性触媒を用い、60℃以下の反応温度で水により加水分解することを特徴とする、下記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
    Figure 2009084445

    〔一般式(2)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(3)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R、R、R及びAは、一般式(2)におけるR、R、R及びAとそれぞれ同義である。〕
  9. 前記加水分解した後、減圧下、60℃以下の温度条件で、水と共沸する有機溶剤を用いて、一般式(2)で表される化合物が含有する水分量を0.1質量%以下にすることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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