JP2009083845A - 自転車の前側ギアシフト用支持体、および該支持体を備える自転車の前側ギアシフト - Google Patents

自転車の前側ギアシフト用支持体、および該支持体を備える自転車の前側ギアシフト Download PDF

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Abstract

【課題】シートポストチューブへの安定な固定を与える、自転車の前側ギアシフト用の支持体を得る。
【解決手段】本発明は、自転車のシートポストチューブへの固定部(32)と、自転車のチェーンの押し部材(24)へのカップリング部(34)とを備える、自転車の前側ギアシフト(20)用の支持体(22)に関する。固定部(32)は、カップリング部(34)とは構造的に別個であり、したがってカップリング部(34)の材料とは異なる材料で製作可能である。特に、固定部(32)およびカップリング部(34)を、それらの特有かつ異なる機能との関連で、別個に設計することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、自転車の前側ギアシフト用支持体に関する。
さらに本発明は、該支持体を備える自転車の前側ギアシフト、および該前側ギアシフトを備える自転車に関する。好ましくは、上述の自転車は、競走用自転車である。
さらに、本発明は、自転車の前側ギアシフト用支持体を製造するための方法に関する。
公知のとおり、自転車は、筋肉による駆動力が、運動伝達システムを介して後ろの「駆動」輪へと伝達されることによって動く機械式の乗り物である。運動伝達システムは、自転車乗りによって推進力が加えられる1対のクランクアームと、クランクアームに直接にカップリングすることによって回転する1つ以上の駆動歯車と、チェーンを介して駆動歯車によって回転する1つ以上の被駆動歯車すなわち「スプロケット」とを備えており、該スプロケットが、後輪のハブに接続されている。
特に、競走用自転車は、種々の直径の複数のスプロケットと、やはり種々の直径の複数の駆動歯車とを備えている。チェーンが、駆動歯車およびスプロケットに同時に係合し、ギアシフト装置によって駆動歯車およびスプロケット上を選択的に移動して、道路の条件に最も好ましい伝達比を与える駆動歯車およびスプロケットの組み合わせを得ることができる。
自転車は、典型的には、チェーンを1つの駆動歯車から別の駆動歯車へと移動させる前側ギアシフトと、チェーンを1つのスプロケットから別のスプロケットへと移動させる後側ギアシフトとを備えている。
特に、本出願は、前側ギアシフトを対象とする。
従来技術において、前側ギアシフトは、チェーンを移動させるべくチェーンを囲んでチェーンに必要な押しを加えるチェーンガイドと、前側ギアシフトそのものを自転車のフレームのシートポストチューブへと固定するための支持体と、チェーンガイドを支持体へと可動に接続するための2つの関節アームとを備えている。基本的に、チェーンガイド、支持体、および2つの関節アームは、チェーンを駆動歯車上で移動させることができるようにする関節四辺形を形成している。
図1は、自転車のシートポストチューブ3に固定された従来技術の前側ギアシフトを、参照番号1で示している。2つの関節アーム9および10によって接続されたチェーンガイド5および支持体7をはっきりと見分けることが可能である。
支持体7は、クリップ形状の部位12によって自転車フレームのシートポストチューブ3を囲んでいる。支持体7は、2つの関節ピン14および15を収容している。このようなピンに、関節アーム9および10のそれぞれの端部9aおよび10aが回転可能に取り付けられている。これらのピン14および15は、クリップ形状の部位12と一緒に1つの部品にて製作されて、当該部位12から片持ち梁状に延びている、支持体7の部位18に結合されている。
本出願人は、前述の前側ギアシフトが種々の欠点を有していることに気が付いた。その主たる1つは、動作時に、チェーンによってチェーンガイドへと加わる応力ゆえに、支持体のクリップ形状の部位が容易に緩む傾向があり、結果として、前側ギアシフトのチェーンガイドについて、フレームおよび駆動歯車に対する正確な配置が失われることである。
本発明の根底にある技術的課題は、従来技術に関して上述した欠点をシンプルかつ効果的に克服するため、フレームのシートポストチューブへの安定な固定を確保する自転車の前側ギアシフト用の支持体を提供することにある。
したがって、本発明の第1の構成は、自転車のシートポストチューブへの固定部と、自転車のチェーンの押し部材とのカップリング部とを備えている自転車の前側ギアシフト用の支持体において、前記固定部が前記カップリング部とは構造的に別個であることを特徴とする支持体に関する。
本明細書および特許請求の範囲において、カップリング部に対して固定部に関して使用され、あるいはその反対に固定部に対してカップリングに関して使用される「構造的に別個」という表現は、これら2つの部位が、別個の製造方法によって別々に得られる各部材で形成されることを示すべく使用されており、したがってそのような部材を、同じ材料から製作することができ、あるいは2つの異なる材料から製作することもできる。
本発明の自転車の前側ギアシフト用支持体においては、機能、形状、厚さ、および引張応力においてきわめて相違する部位である固定部およびカップリング部を、それらの特有の機能に関してより良好に設計することができ、したがって従来技術の支持体の各部位よりも単純な形状にでき、かつ、より強くすることができるので好都合である。
実際、本発明によれば、従来技術の支持体においてクリップ形の部位と2つの関節ピンが収容される部位との間の変わり目の領域に設けられる急激な断面の変化をなくして、支持体を製作することができる。このような急激な断面の変化は、残留加工張力の蓄積を生じさせるが、支持体がプラスチック材料の成型によって製作される場合に特に高くなる。
本発明の、自転車の前側ギアシフトのための支持体においては、これらの残留張力が実質的に存在せず、したがって全体の動作張力は、固定部をクランプする張力と、前側ギアシフトのチェーンガイドによって加えられる押しに対するチェーンの反作用の張力との合計のみに起因する。本出願人は、そのような合計の張力が、固定部が高温になる場合でも、固定部を、そのクランプの効果がなくなるようなレベルまで恒久的に変形させるにはもはや充分ではないことを、都合よく見出した。
本発明の支持体の第1の実施形態によれば、上述のカップリング部が、例えばピン、ねじ、ボルト、リベット、または当業者にとって公知の他の接続部材からなる群から選択される剛性の接続部材を介して、固定部に取り外し可能に取り付けられる。この場合、上述の接続部材は、固定部およびカップリング部に形成されて互いに整列したそれぞれの孔に収容される。
本発明の支持体の第2の実施形態によれば、上述のカップリング部が、例えば接着、共成形、コーキング、または当業者にとって公知の他のプロセスによって、固定部に取り外し不能に取り付けられる。
本発明の支持体の固定部とカップリング部との間のカップリング方法にかかわらず、固定部は、ほぼ環状の形状を有するのが好ましい。そのような固定部は、自転車のシートポストチューブ周りに固定部をクランプするために、少なくとも1つのボルトまたはねじによって互いにカップリングすることのできる2つの第1の端部を備えているのが好ましい。
特に、本発明支持体の第1の好ましい実施形態においては、上述の固定部が、互いに構造的に別個な1対のジョーを備えており、それぞれのジョーが、上述の第1の端部のうちの1つを備えており、上述の第1の端部とは反対側の第2の端部において他方のジョーに結合している。
この場合、好ましくは、上述のカップリング部は、上述の1対のジョーのうちの少なくとも1つの第1のジョーに取り付けられている。
本発明の支持体の第2の好ましい実施形態においては、上述の固定部が、弾性的な一体物のクリップの形態を有する単一のジョーを備えている。
本発明支持体固定部の特定の実施形態にかかわらず、そのような固定部は、前記カップリング部に形成された溝に収容される、前記カップリング部への少なくとも1つの接続部を備えている。
このやり方で、固定部とカップリング部との間のクリアランス(すき間)が回避され、ギアシフトの正確さという利点につながる。
固定部は、自転車の後輪に面する部位を備えており、支持体が自転車のシートポストチューブに取り付けられたときに、前記部位は固定部の残りの部位に比べて低いことが好ましい。
このような支持体は、自転車の後輪にきわめて近い位置にある自転車のシートポストチューブに支持体を適用する必要がある場合に特に好都合である。実際、固定部の最も低い部位、すなわち、固定部がシートポストチューブの軸にほぼ直角の平面に完全に一致して延びた場合の位置に比べて、自転車の後輪に面する部位が、下方に下げられて(すなわち、後輪がシートポストチューブから遠ざかっている領域に)位置する。
前記接続部が、自転車の後輪に面する固定部の前記部位に形成されており、支持体が自転車のシートポストチューブに取り付けられたときに、前記溝の自転車後輪に面する方の端部がそのような溝の他方の端部よりも低くなるように、前記溝は異なる高さに配置された端部を有しているのが好ましい。
本発明の特に好都合な実施形態においては、前記接続部が、きわめて安定なカップリングを形成するように、ピンおよび接着によって前記溝に保持されている。
本発明の支持体が電動式ギアシフトにおいて使用される場合には、前記カップリング部は、ウォームねじを収容するための着座部を備えている。
この場合には、製造の容易さに起因する固定部の残留張力の減少という上述の利点が特に顕著である。実際、電動式ギアシフトにおいては、カップリング部が重厚かつ非常に複雑な部品の形態をとることが不可避であるため、従来技術の支持体においては、そのようなカップリング部と薄い断面を有している固定部との接続は、非常に不安定である。
カップリング部は、複合材料から作られるのが好ましく、より好ましくは強化複合材料から作られる。
このようにして製作されるカップリング部は、高度な構造強度および軽さを保ちつつ複雑な形状を得るために、射出成型および場合により工作機械による機械加工によって容易に製造することが可能であるので好都合である。
前記固定部が、少なくとも部分的に、5・10−5m/m°Kと同等またはそれより低い線熱膨張係数を有する材料から作られるのが好ましい。
少なくとも固定部のカップリング部への接続部が、5・10−5m/m°Kと同等またはそれより低い熱膨張係数を有する前記材料から作られるのがより好ましい。
このやり方で、標準的な自転車のフレームのシートポストチューブに支持体をカップリングする固定部が、(例えば、自転車が太陽のもとで車のトランクに残されたために)たとえ高温にさらされた場合でも、10分の2ミリメートルを超える熱膨張による伸びを受けることがなく、したがって緩むことがないことが、実用上確実であるので好都合である。
このような材料は金属材料であるのが好ましい。
この選択は、製造のコストパフォーマンスと5・10−6m/m°K程度である線熱膨張との間の優れた妥協点を与える。
本発明の支持体の特に好ましい実施形態においては、固定部の全体が金属材料から作られる。
代案としては、固定部の材料、または固定部とカップリング部との接続部の材料のみが、構造複合材料である。
そのような材料は、金属の熱膨張係数よりも低い、5・10−7m/m°K程度である熱膨張係数を有し、この理由で、たとえ固定部が高温のもとに置かれた場合でも、張力による変形をほとんど無視できるので好都合である。
本発明の第2の構成は、少なくとも2つの関節アームによって互いに接続された支持体と、自転車のチェーンを動かすためのチェーンガイドとを備えている自転車の前側ギアシフトにおいて、前記支持体が、前記タイプの支持体である前側ギアシフトに関する。
そのような自転車の前側ギアシフトは、自転車の前側ギアシフトのための支持体に関して上述した構造的および機能的特徴のすべてを、個々に、または組み合わせて有しているのが好ましく、したがって上述の利点のすべてを有している。
本発明の第3の構成は、上述の種類の前側ギアシフトを備える自転車に関する。
そのような自転車は、上述の前側ギアシフトに関して上述した構造的および機能的特徴のすべてを、個々に、または組み合わせて有しているのが好ましく、したがって上述の利点のすべてを有している。
本発明の第4の構成は、自転車のシートポストチューブへの固定部と、自転車のチェーンの押し部材とのカップリング部とを備えている自転車の前側ギアシフトのための支持体を製造する方法において、
前記固定部を製作する工程、
前記カップリング部を製作する工程、および
前記カップリング部および前記固定部を互いに剛に取り付ける工程、を含んでいる方法に関する。
そのような方法は、上述の利点を得ることができる。特に、上述の方法によれば、固定部およびカップリング部を別個に製造することができる。したがって、それらの特有の機能との関連で、それらをより良好に設計することができ、従来技術の支持体の各部位よりも単純な形状にでき、しかもより強くすることができる。
すでに述べたように、カップリング部を、例えばピン、ねじ、ボルト、リベット、または当業者にとって公知の他の接続部材を介して、固定部に取り外し可能に取り付けることができ、あるいは例えば接着、共成形、コーキング、または当業者にとって公知の他のプロセスによって、固定部に取り外し不能に取付けることができる。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して行われる本発明の好ましい実施形態(本発明は、これらの実施形態に限定されない)に関する以下の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
最初に図2を参照すると、本発明による自転車の前側ギアシフト20のための支持体22の第1の実施形態が図2に示されている。
詳しくは、前側ギアシフト20が、前記ギアシフト20を自転車のフレーム(特に、従来技術に関する図1において参照番号3で示されている自転車のシートポストチューブ)に固定するための支持体22、チェーン(チェーンそのものは常套的であるため、図示されていない)に係合してチェーンを動かすための自転車チェーンの押し部材24(例えば、チェーンガイド)、および前側関節アーム26および後側関節アーム28(用語「前側」および「後側」は、支持体が自転車に取り付けられた状態について述べている)を備えている。2つの関節アーム26および28が、4つのピン30によってチェーンガイド24を支持体22に接続して、関節四辺形を形成している。
支持体22は、自転車のシートポストチューブ3への固定部32、および関節アーム26および28とのカップリング部34を備えており、本発明によれば、該部位32および34が、互いに構造的に別個である。
固定部32は、使用時に自転車のシートポストチューブ3を囲むように形成されており、一端においてヒンジ38によって連結され、他端において止めねじ(ロックスクリュー)40によって連結される1対のジョー36および37を備えている。
詳しくは、ジョー37が、ジョー36のフォーク状の端部36aに挿入されるキャップ形状の端部37aを有している。端部37aおよび36aが、回転ピン39を挿入すべく整列する各貫通孔37cおよび36c(端部37aの1つの孔37cと端部36aの2つの孔36c)を有している。ジョー37が、端部37aとは反対側の端部37bに、ねじ40が横切る開口部37bを有する一方で、ジョー36は、端部36aとは反対側の端部36dに、ねじ40が係合するねじ孔36bを有している。あるいは、ねじ40が、ねじ孔36bの代わりに、ジョー36に設けられるねじなしの孔を横切って、ナット(図示されていない)に係合してもよい。
カップリング部34は、例えば共成形または接着によって関節ピン30のうちの少なくとも1つに取り外せないように取り付けられており、さらに第2の関節ピン30のための着座部を備えている。代案として、両方のピン30がカップリング部34に取り外せないように取り付けられていても、あるいは両方のピン30がカップリング部34に着脱可能取り付けられていてもよい。
図2に示した例では、固定部32が、剛性の接続部材(互いに整列したカップリング部34の孔44およびジョー36の孔45に挿入される1対のピン42など)によって、カップリング部34に着脱可能に取り付けられている。
固定部32とカップリング部34との間のクリアランスを完全に取り除くために、ピン42による接続に加えて、2つの部位32および34を、固定部32に特別に形成された接続部33で接着することも可能である。そのような接続部33が、図2に示した例では、リブ49によって形成されている。
カップリング部34は、リブ49が挿入される溝48を備えている。整列する孔44および45が、溝48の壁およびリブ49を貫いて形成されている。
図2に示し、かつ上記で述べた固定部32とカップリング部34との間の接続は、純粋に1例として提示されており、当業者であれば、剛性のカップリングを形成する任意の種類の接続がこの目的のために適することを、容易に理解できるであろう。例えば、ピン、ねじ、ボルト、リベット、または当業者にとって公知の他の接続部材によって、取り外し可能な接続を形成することが可能であり、あるいは接着、共成形、コーキング、または当業者にとって公知の他のプロセスによって、取り外し不能な接続を形成することが可能である。
図3が、参照番号22aで示された本発明による支持体の第2の実施形態を示している。図3において、図2に関して上述した支持体22と機能的な観点において同一または同等である構成部材は同じ参照番号によって示されており、さらなる説明は省略する。
特に、支持体22aは、ジョー36が共成形によってカップリング部34aに組み合わされている点で、図2の支持体22と実質的には相違している。図3においては、1対の関節ピン30(図示されていない)を挿入すべくカップリング部34aに形成された貫通孔52も示されている。
本発明の支持体の別の実施形態(図示されていない)によれば、図2の支持体22の固定部32のジョー36および37が、一端において一体に接合されており、他端に止めねじが係合している。換言すると、この場合には、図2の固定部32の2つのジョー36および37が、ほぼ環状の形状を有する弾性的な一体物のクリップ形状の単一ジョーを形成している。そのようなクリップが、その一領域において中断され、一体に接続することができる2つの端部が形成されている。
固定部32およびカップリング部34を、例えばアルミニウム合金、複合材料、またはポリマーなど、任意の材料で製作することができる。
複合材料とは、ポリマー・マトリックスおよびフィラー(例えば、構造繊維、顆粒、または粉末を含む)を含む少なくとも2つの構成要素で構成されている材料を意味する。構造繊維は、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるのが好ましく、カーボン繊維が特に好ましい。ポリマー材料は熱硬化性であるのが好ましく、エポキシ樹脂を含んでいるのが好ましい。しかしながら、熱可塑性材料の使用を排除するものではない。
構造複合材料とは、5ミリメートル超の長さを有する構造繊維を含んでいる材料を意味する。ポリマー材料中におけるこの構造繊維の配置は、構造繊維の断片または小さなシートのランダム配置、繊維のほぼ1方向にそろった配置、繊維のほぼ2方向にそろった配置、あるいは上記の組み合わせであってよい。
他方で、強化複合材料とは、5ミリメートル以下の長さの繊維、および/または粉末、および/または顆粒が充填されたポリマー・マトリックスを含んでいる材料を意味する。ここに示した寸法が、完成後の部品において見つけることができる繊維の長さを指していることを、理解すべきである。
強化複合材料は、その構造強度が複合構造材料の構造強度よりも低いが、一般に、射出成型に適しており、加工が容易であるため、カップリング部34の製造に特に好ましく、さらにカップリング部34に顕著な軽さももたらす。しかしながら、そのようなカップリング部に、複合化されていないポリマーを使用することを排除するものではない。
複合構造材料は、高い構造強度およびきわめて小さい線熱膨張係数(通常は、5・10−7m/m°K程度)を有しているため、固定部32あるいは図2および3の2つのジョー36および37の少なくとも一方の製造に特に好ましい。
より安価な代案は、固定部32(または、例えば図2および3のジョー36など、固定部32の少なくとも一部)を、アルミニウム合金および/またはマグネシウムなどの金属から製造することであり、これらはいずれも、5・10−6m/m°K程度の線熱膨張係数を有する。一般に、固定部32を製造するために、5・10−5m/m°K未満の線熱膨張係数を有する材料は使用可能である。
図4〜9は、参照番号122で示されている本発明支持体の第3の実施形態を示している。支持体122は、自転車の前側ギアシフト120の一部である。特に、前側ギアシフト120が、本出願人の米国特許第6679797号に記載されているギアシフトに類似した形式のいわゆる電動式ギアシフトである。
図4において、図2に関して上述したギアシフト20の構造部材と機能的な観点において同一または同等である構造部材は、同じ参照番号によって示されており、さらなる説明は省略する。
ギアシフト120は、図2の固定部32にほぼ同一な固定部132と、カップリング部134とを備える支持体122を有しており、本発明によれば、前記部位132および134は、互いに構造的に別個である。
図2のギアシフト20に対する主たる相違は、カップリング部134が図2の部位34よりも複雑な形状を有していて、電動モータ105によって駆動されるウォームねじ102を収容するように構成されているという点にある。
チェーンガイド24が、図2のギアシフト20に関してすでに説明したやり方とまったく同様のやり方で、ピン30の周りで回転運動することができる前側関節アーム26および後側関節アーム28によって、カップリング部134に接続されている。
前側関節アーム26は、係合部127aを終端とする延長部127を有しており、係合部127aに保持されているナットねじが、ウォームねじ102に係合している。ウォームねじ102が、電動モータ105によって駆動されて、延長部127の係合部127aを動かすと、アーム26が、カップリング部134に対して固定されたピン30の周りで、このピン30にピボットされたレバーのように回転し、チェーンガイド24の動きを生じさせる。
図2の固定部32およびカップリング部34の接続に関して、ならびに図2の固定部32およびカップリング部34に使用される材料に関して上述した内容が、図4の対応する固定部132およびカップリング部134についても有効である。
この場合、上述した利点に加えて、本質的に複雑な形状を有するカップリング部134を備えている支持体122を、カップリング部134が固定部132とは別個に製作されるため、本出願人の米国特許第6679797号に示されている前側ギアシフトの支持体よりも容易に成型できるという事実が存在する。
さらに、薄い断面の長い部位(固定部132など)が厚さの大きな部位(カップリング部134など)に粗雑な扱いで接続されることがないため、カップリング部134内部の残留張力がより小さい。このようにして、金型内での部品(特に、カップリング部134の部品)の冷却がほぼ一様になり、残留張力がきわめて抑えられる。これにより、きわめて複雑な形状を有する部品であっても成型が可能になる(特に、カップリング部134)。
図5および6に示されているように、支持体122は、ジョー136の接続部133を、高さ全体にわたって収容するような形状の溝148を備えている。
2つのピン142aおよび142bは、図2の支持体22におけるようなジョーの接続部のリブだけではなく、ジョー136の接続部133の高さ全体を横切っている。さらに、溝148が、ピン142aおよび142bの通過点に、2つのより深い端部領域170および171を備えており、ジョー136から外へと突き出している対応する拡大部170aおよび171aを収容する。
ジョー136のフォーク形の端部136aは、より深い端部領域170に完全に収容され、ピン142bによってそこに保持され、したがってピン142bが、図2の支持体22のピン39の機能を置き換えて、ジョー136とジョー37との間の関節ピンとして機能する。この理由で、ピン142bはピン142aよりも大きな直径を有しているのが好ましい。
さらに、図5、6、および8において、支持体122が自転車のシートポストチューブ3に取り付けられたとき、ジョー136の少なくとも一部分162がジョー136の残りの部分よりも低く、そしてジョー37よりも低いことを、見て取ることができる。換言すると、図8に示されているとおり、ジョー136が「斜め」にされており、すなわちジョー136の少なくとも一部分162が、支持体122が取り付けられた自転車のシートポストチューブ3の軸Xに直角の平面にほぼ沿っているジョー136の残りの伸張部およびジョー37の伸張部に対して、「傾いた」伸張部(下向き)を有している。
さらに、図8は、固定部132が、ジョー136を自転車の後輪160の方に向けつつ、自転車のシートポストチューブ3に好都合に取り付けられることを示している。
詳しくは、ジョー136が、使用時に自転車の後輪160に面する部位162に、下向きに移行する形状を有している。このようにすることで、後輪160に面するジョー136の部位162が、固定部132の残りの部分に比べ、軸Xに直角でありかつ車輪160と自転車のシートポストチューブ3との間の距離が最小になる平面Yから遠くに保たれる。
これは、支持体122を後輪160のかなり近くに位置するシートポストチューブ3に適用する必要がある場合に特に好都合である。実際、シートポストチューブにおける支持体の位置は、チェーンガイドが駆動歯車に対してとる必要がある位置によって決定され、仮にジョー136が上述の部位162を有さず、ジョー37が伸びる平面(軸Xに垂直である)とほぼ同じ平面に位置するならば、固定部132が、ジョーの厚さに鑑み、自転車の後輪に接触する危険が存在する。対照的に、上述の方法で傾けられたジョー136では、部位162が後輪160からより大きな距離に存在する。
接続部133が、ジョー136の前記部位162に形成され、同様に「傾斜した」形状を有している溝148に収容される。換言すると、支持体122が自転車のシートポストチューブ3に取り付けられたとき、溝148が、シートポストチューブ3の軸Xに直角の平面に対して実質的に「傾いて」いる。
カップリング部134の開口部148a、148b(溝148の両端部に配置されており、ジョー136が、これらの開口部148a、148bから突き出すようにカップリング部134に取り付けられる)が、シートポストチューブ3の軸Xに直角の平面に整列せず、前記溝148のうちの自転車の後輪160に面する端部148bが、溝148の他方の端部148aよりも低くなるように、異なる高さに位置している、その仕方を図5に見ることができる。
図7は、図6とは異なる視点によるカップリング部134を示している。ピン30が、例えば共成形によってカップリング部134に一体化されていることに注意すべきである。このピン30は、前側関節アーム26とカップリングする。
さらに、カップリング部134は、チェーンガイドを形成するように互いに面している1対のプレート173を備えており、プレート173に各孔175が形成され、この孔175が、後側関節アーム28とカップリングする他方のピン30を通すために、互いに整列している。
カップリング部134は、ウォームねじ102のための収容着座部177を形成するために中空である。そのような着座部177が、チェーンガイド173および共成形のピン30の部位の方から、前側関節アーム26の延長部127をアクセスさせるために、上部開口部178を有している。開口部178のエッジに沿って取り付け固定されるカバー185(図4)が、ウォームねじ102および前側関節アーム26の延長部127のナットねじ状に成形された部位127aを保護する。
収容着座部177は、これと同軸である管状スペース182と連通しており、前記管状スペース182は、電動モータ105(図4)の1端にカップリングする、カップリング部134の部位183に形成されている。
カップリング部134の部位183は、弾性変形可能であり、カップリング部134と一体である2つのウイング180を形成することによって得られる弾性クリップ179を備えている。ボルトまたは止めねじ(図示されていない)を通すべく互いに整列した孔181が、ウイング180を横断している。
自転車の前側ギアシフト用の支持体の組み立ては、以下の方法で行われる。固定部(図2および3の32、図4の132)が、回転ピン39(図2および3)またはヒンジ(図2および6の38)のピン142b(図5)の周りでジョー(図2および3の36および37、図4の136および37)を回転させることによって開かれる。これにより、固定部(図2および3の32、図4の132)を自転車のシートポストチューブ3の周囲に配置することができる。この時点で、ジョー(図2および3の36および37、図4の136および37)は、回転ピン39(図2および3)またはピン142b(図5)の周りで回転することによって閉じられ、ねじ40をねじ込むことによってシートポストチューブ3の周囲に固定される。
固定部が一体物のクリップを備えている実施形態においては、そのようなクリップが弾性的であり、したがって、接続可能な2つの端部を、まずはクリップを自転車のシートポストチューブの周囲に配置することができるように引き離すことができる。ひとたびクリップが元の状態へと弾性的に復帰すると、接続可能な端部が、固定部の変形によってシートポストチューブへ固定されるまで、止めねじをねじ込むことによって接合される。
電動ギアシフトの場合には、クリップ179が電動モータ105の周囲に固定され、電動モータ105を、例えば収容着座部177の管状スペース182に収容されたオルダム継手(図示されていない)を介して、収容着座部177に挿入されたウォームねじ102に動作可能に接続された状態に保つ。
当然ながら、当業者であれば、上述の自転車の前側ギアシフトの支持体および前側ギアシフトに、特定および付随の要求を満足すべく多数の改良および変更をもたらすことができ、それらはすべて、特許請求の範囲によって規定される本発明の保護範囲に包含される。
従来技術による自転車の前側ギアシフトの概略的斜視図である。 本発明の第1の実施形態による支持体を備えている自転車の前側ギアシフトの概略的分解斜視図である。 本発明による自転車の前側ギアシフト用支持体の第2の実施形態の概略的分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態による支持体を備えている自転車の前側ギアシフトの概略的斜視図である。 図4の支持体の概略的分解斜視図である。 図4の支持体の別の角度による概略的斜視図である。 図4の支持体の別の角度による概略的斜視図である。 通常の動作状態において、後輪の付近で自転車のフレームチューブに取り付けられた図4の支持体の概略的平面図である。 図4の支持体の上方からの概略的平面図である。

Claims (32)

  1. 自転車のシートポストチューブ(3)への固定部(32、132)と、自転車のチェーンの押し部材(24)とのカップリング部(34、34a、134)とを備えている、自転車の前側ギアシフト(20、120)用の支持体(22、22a、122)において、
    前記固定部(32、132)が、前記カップリング部(34、34a、134)とは構造的に別個であることを特徴とする支持体。
  2. 請求項1において、前記カップリング部(34、134)が、前記固定部(32、132)に取り外し可能に取り付けられている支持体(22、122)。
  3. 請求項2において、前記カップリング部(34、134)が、ピン(42、142a、142b)、ねじ、ボルト、およびリベットからなる群から選択される剛性の接続部材を介して、前記固定部(32、132)に取り付けられており、
    前記接続部材が、前記固定部(32、132)および前記カップリング部(34、134)に形成されて互いに整列したそれぞれの孔(44、45)に収容されている支持体(22、122)。
  4. 請求項1において、前記カップリング部(34、34a、134)が、前記固定部(32、132)に取り外し不能に取り付けられている支持体(22、22a、122)。
  5. 請求項4において、前記カップリング部(34、34a、134)が、接着によって前記固定部(32、132)に取り付けられている支持体(22、22a、122)。
  6. 請求項4において、前記カップリング部(34a)が、共成形によって前記固定部(32)に取り付けられている支持体(22a)。
  7. 請求項4において、前記カップリング部(34、34a、134)が、コーキングによって前記固定部(32、132)に取り付けられている支持体(22、22a、122)。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において、前記固定部(32、132)が、ほぼ環状の形状を有している支持体(22、22a、122)。
  9. 請求項8において、前記固定部(32、132)が、少なくとも1つのボルトまたはねじ(40)によって互いに接続されて、自転車の前記シートポストチューブ(3)の周囲に、固定部(32、132)をクランプすることのできる2つの第1の端部(36d、37d)を備えている支持体(22、22a、122)。
  10. 請求項9において、前記固定部(32、132)が、1対の構造的に別個なジョー(36、37、136)を備えており、それぞれのジョー(36、37、136)が、前記第1の端部(36d、37d)のうちの1つを備えており、前記第1の端部(36d、37d、136d)とは反対側の第2の端部(36a、37a、136a)において、他方のジョー(36、37、136)と結合している支持体(22、22a、122)。
  11. 請求項10において、前記カップリング部(34、34a、134)が、前記1対のジョー(36、37、136)のうちの少なくとも1つの第1のジョー(36、136)に取り付けられている支持体(22、22a、122)。
  12. 請求項9において、前記固定部が、弾性的な一体物のクリップの形態を有する単一のジョーを備えている支持体。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項において、前記固定部(132)が、自転車の後輪(160)に面する部位(162)を備えており、支持体(122)が自転車のシートポストチューブ(3)に取り付けられたときに、前記部位(162)は、前記固定部(132)の残りの部位よりも低い、支持体(122)。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項において、前記固定部(32、132)が、前記カップリング部(34、134)に形成された溝(48、148)に収容される、前記カップリング部(34、134)への少なくとも1つの接続部(33、133)を備えている支持体(22、122)。
  15. 請求項14において、前記固定部(132)が自転車の後輪(160)に面する部位(162)を備えており、支持体(122)が自転車のシートポストチューブ(3)に取り付けられたときに、前記部位(162)は、前記固定部(132)の残りの部位よりも低く、
    前記少なくとも1つの接続部(133)が、自転車の後輪(160)に面する前記部位(162)に形成されており、
    前記支持体(122)が自転車のシートポストチューブ(3)に取り付けられたときに、前記溝(148)の自転車の後輪(160)に面する方の端部(148b)が前記溝(148)の他方の端部(148a)よりも低くなるように、前記溝(148)が異なる高さに配置された端部を有している支持体(122)。
  16. 請求項14または15において、前記接続部(133)が、ピン(142a、142b)および接着によって前記溝(148)に保持されている支持体(122)。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項において、前記カップリング部(134)が、電動式ギアシフト用のウォームねじ(102)を収容するための着座部(177)を備えている支持体(122)。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項において、前記カップリング部(34、34a、134)が、複合材料から作られている支持体(22、22a、122)。
  19. 請求項18において、前記カップリング部(34、34a、134)が、強化複合材料から作られている支持体(22、22a、122)。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項において、前記固定部(32、132)が、少なくとも部分的に、5・10−5m/m°Kと等しいか又はそれより低い線熱膨張係数を有する材料から作られている支持体(22、22a、122)。
  21. 請求項20において、前記固定部(32、132)が、前記カップリング部(34、134)に形成された溝(48、148)に収容される、前記カップリング部(34、134)への少なくとも1つの接続部(33、133)を備えており、
    前記固定部(32、132)の少なくとも前記接続部(33、133)が、5・10−5m/m°K以下の熱膨張係数を有する前記材料から作られている支持体(22、122)。
  22. 請求項20または21において、前記材料が金属材料である支持体(22、22a、122)。
  23. 請求項20または21において、前記材料が構造複合材料である支持体(22、22a、122)。
  24. 少なくとも2つの関節アーム(26、28)によって互いに接続された、支持体(22、22a、122)と、自転車のチェーンの押し部材(24)とを備えている自転車の前側ギアシフト(20、120)において、
    前記支持体(22、22a、122)が、請求項1〜23のいずれか一項に記載の支持体であることを特徴とする前側ギアシフト。
  25. 請求項24に記載の前側ギアシフト(20、120)を備えている自転車。
  26. 自転車のシートポストチューブ(3)への固定部(32、132)と、自転車のチェーンの押し部材(24)とのカップリング部(34、34a、134)とを備えている、自転車の前側ギアシフト(20、120)用の支持体(22、22a、122)を製造する方法において、
    前記固定部(32、132)を製作する工程、
    前記カップリング部(34、34a、134)を製作する工程、ならびに
    前記カップリング部(34、34a、134)および前記固定部(32、132)を、互いに剛に取り付ける工程を含んでいる方法。
  27. 請求項26において、前記カップリング部(34、134)が、前記固定部(32、132)に取り外し可能に取り付けられる方法。
  28. 請求項27において、前記カップリング部(34、134)が、ピン(42、142a、142b)、ねじ、ボルト、および/またはリベットによって、前記固定部(32、132)に取り付けられる方法。
  29. 請求項26において、前記カップリング部(34、34a、134)が、前記固定部(32、132)に取り外し不能に取り付けられる方法。
  30. 請求項29において、前記カップリング部(34、34a、134)が、接着によって前記固定部(32、132)に取り付けられる方法。
  31. 請求項29において、前記カップリング部(34a)が、共成形によって前記固定部(32)に取り付けられる方法。
  32. 請求項29において、前記カップリング部(34、34a、134)が、コーキングによって前記固定部(32、132)に取り付けられる方法。
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