JP2009082805A - 金分離方法 - Google Patents

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Durga Parajuli
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久美子 梶山
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勝利 井上
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Abstract

【課題】 金濃度が比較的高い溶液であっても金を十分に分離することができる方法を提供する。
【解決手段】 ポリフェノールを含む果実の皮を硫酸処理して得た吸着剤に、所要濃度の塩酸に適宜濃度の金が溶解された溶液を接触させ、前記吸着剤に金を吸着させることによって前記溶液から金を分離する場合、平衡時における溶液中の金の濃度が略70mmol/dm3以上であり、吸着剤として、レモシトリン及び/又はレモシトロールを含む果実の皮から得た吸着剤を用いる。平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上では、単位質量当たりの吸着量は、白抜き丸印で示した本発明に係る吸着剤の方が、白抜き三角印で示した従来の吸着剤に比べて略1.5倍高い。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の金属が溶解している溶液から金を選択的に分離する方法に関する。
金(Au)は、宝飾品の他に、メッキ材料及び電気・電子材料として多くの産業で使用されている金属であるが、高価であるため、廃棄物又は廃液から金を分離する技術が注目されている。
しかし廃棄物中に含まれる金の量は僅かであり、大過剰に存在する他の金属等からの金の選択的な分離・回収は容易でない。
銅やニッケルのアノードスライム中の貴金属の回収に近年溶媒抽出法やイオン交換法が採用されつつある。これらの回収プロセスにおいては塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムを含む塩酸水溶液で金属分を全溶解させた後、個々の貴金属が溶媒抽出法やイオン交換法により回収される。貴金属の回収のための溶媒抽出法やイオン交換法に関しては、例えば非特許文献1等の総説等に詳細が記述されている。
現行の回収プロセスにおいては金はジブチルカービトールやメチルイソブチルケトン、あるいは燐酸トリブチルを用いて溶媒抽出されている。このような溶媒抽出法については例えば非特許文献2においても紹介されている。しかしこれらの溶媒抽出は他の貴金属や卑金属も条件によりかなり抽出されるため、多段の抽出―逆抽出操作が必要であり、分離・精製のコストの上昇を招く。
また、塩基性シアン溶液からの金や銀の回収には活性炭を用いる吸着法、又は強塩基性陰イオン交換樹脂を用いるイオン交換法も広く採用されている。
しかしこれらの方法においても活性炭や樹脂の選択性はそれ程高くないため、卑金属がかなり吸着される。また、活性炭や樹脂では吸着後の脱着、溶離が困難なため、吸着後にこれらを全て焼却して金属を回収するという非常に高コストな方法が用いられている。しかも、活性炭や樹脂の焼却は容易でなく、後処理が面倒なタールやコーク状の物質が発生することが多い。
ところで、取扱いの容易な材料の一つとして植物に含まれるタンニンを利用する金属の吸着分離技術が注目されている。タンニンは植物を構成する有機物の1つで、その分子構造中に多くのフェノール、カテコール、およびピロガロールの部位を有している。このタンニンを多く含む植物由来の天然の物質には柿、緑茶、赤ワインなどが挙げられる。特に柿に含まれるポリフェノールの量は赤ワインの約200倍と言われている。タンニンは植物の苦味や渋みの成分であり、特に柿に多く含まれているものは柿タンニンと呼ばれている。収穫適期の成熟した渋柿は1〜2%の水に可溶性の柿タンニンを含有し、未熟な渋柿は5〜6%の柿タンニンを含む。
例えば、坂口らは柿タンニンがウラニウムやトリウムの吸着・除去に有効であることを非特許文献3等で報告している。
また、ミモザタンニンやワットルタンニンを原料とする吸着剤による金属イオンの吸着が非特許文献4及び5にそれぞれ報告されている。
しかしながらこれらの吸着剤は上記のタンニン成分を、それらを含有する植物から抽出して調製されたものであり、それらの植物から抽出・回収するコストを要するため高価である。
本発明者等は以前の研究において、タンニン成分をそれらを含む植物から費用をかけて抽出して調製される吸着剤を使用するのではなく、渋柿の皮等のタンニン成分を多く含有する植物の部分そのものを原料とする吸着剤として利用することにより、ウラニウムやトリウムの回収が可能であることを見出し、例えば特許文献1等で既に報告している。
この特許文献1に開示された吸着剤は、柿の皮を利用してウラニウムやトリウムの効率的な回収を可能にするものではあるが、水に不溶な吸着剤を調製するための架橋処理に、有害な化学物質であるパラホルムアルデヒドを使用するのが難点であった。
そのため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、柿の皮を硫酸のみで架橋処理して得られる吸着剤を用いることにより、各種の金属を含有し得る特定の水溶液から金を選択的に分離できることを見出し、例えば特許文献2等で報告している。
芝田準次、奥田晃彦「貴金属のリサイクル技術」資源と素材、118巻1号、p.1−8 (2002) 越村英雄「貴金属、回収技術の現状」化学技術誌MOL、4号、p.76−81(1986) T.Sakaguchi, A.Nakajima; Separation Science and Technology, 29巻2号、p.205−221 (1994) 山口東彦、井浦良徳、樋口光雄、坂田功;木材学会誌、37巻9号、p.815−820 (1991) Y.Nakano, K.Takeshita, T.Tsutsumi; Water Research,35巻2号、 p.496−500 (2001) 特開2004−330005公報 国際公開第WO2007/023521 A1号パンフレット
しかしながら、このような柿皮を処理して得られる吸着剤を用いた場合、金濃度が比較的高い廃液等から金を分離する能力を十分に得ることができないという問題があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、金濃度が比較的高い溶液であっても金を十分に分離することができる方法を提供する。
(1) 発明に係る金分離方法は、ポリフェノールを含む果実の皮を硫酸処理して得た吸着剤に、所要濃度の塩酸に適宜濃度の金が溶解された溶液を接触させ、前記吸着剤に金を吸着させることによって前記溶液から金を分離する方法において、平衡時の溶液中の金の濃度が略70mmol/dm3以上であり、前記吸着剤として、レモシトリン及び/又はレモシトロールを含む果実の皮から得た吸着剤を用いることを特徴とする。
(2) また、本発明に係る金分離方法は必要に応じて、前記果実はレモンであることを特徴とする。
レモンの皮には、レモシトリン(図3参照)及び/又はレモシトロール(図4参照)といったポリフェノールが含有されており、このようなポリフェノールを後述するように濃硫酸を用いた縮合反応により架橋処理することによって本発明に係る吸着剤を得る。
一方、柿の皮に含まれるポリフェノールである柿タンニンは、エピカテキン、カテキン−3−ガレート、エピガロカテキン、及びガロカテキン−3−ガレートの4種類の化合物が1:1:2:2の構成比率で結合した物質であり、図5に示すような繰り返し構造を有する高分子のプロアントシアニンポリマーである。そして、かかる柿タンニンを前同様にして架橋処理することによって従来の吸着剤を得ることが出来る。
このような柿の皮由来の従来の吸着剤にあっては、図5に示したように、吸着剤の構成単位である柿タンニンの分子量が非常に大きい一方、図3及び図4に示したように、本発明に係る吸着剤の構成単位であるレモシトリン及び/又はレモシトロールの分子量は柿タンニンの分子量に比べて非常に小さい。そのため、本発明に係る吸着剤は、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上と比較的高い溶液中にあっても、従来の吸着剤に比べて金の吸着能が高いものと考えられる。
すなわち、前述した架橋処理によって柿タンニンの金吸着部位の一部も架橋に関与してしまうので金吸着能を失う一方、レモシトリン及びレモシトロールにあってはそのような現象が回避されるので、同様に架橋処理を行った後であっても高い金吸着能が維持される。
また、図3及び図4に示したように、レモシトリン及びレモシトロールは複数のメチルエーテル基を有している一方、柿タンニンは図5に示したようにメチルエーテル基を有していない。これによっても本発明に係る吸着剤の高い金吸着能が発揮されるものと考えられる。
更に、吸着剤への金の吸着は、金イオンの拡散、結合、還元、金粒子形成の各段階を経て行われるが、金イオンの還元に必要な電子の供給が、本発明に係る吸着剤の方が従来の吸着剤より優れているため、金の濃度が比較的高い塩酸溶液からであっても、金を十分に分離することができる。
従って、レモシトリン及び/又はレモシトロールを含む果実の皮から得た吸着剤を用いることによって、平衡時において略70mmol/dm3と金の濃度が比較的高い塩酸溶液からであっても、金を選択的に、かつ十分に分離することができる。
(本発明の実施形態)
以下に本発明に係る実施の形態について説明する。
本発明で用いる吸着剤を得るための架橋処理はレモン搾汁残渣を粉砕して粉末状にした後、濃硫酸と共に油浴中で撹拌して反応させることにより行われる。架橋処理の後、例えば炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて中和し、充分な洗浄、例えば、最初に水、次に1mol/dm3の塩酸、最後に再び水で洗浄した後、乾燥、次いで粉砕することにより目的の吸着剤が調製される。この場合のレモン搾汁残渣と濃硫酸の混合の割合は、濃硫酸(一般に98〜90%の濃硫酸)1dm3に対して1.0〜0.5kg、好ましくは0.7〜0.8kgである。またこのときの油浴の温度は80〜120℃、好ましくは90〜110℃である。反応時間は12〜48時間、好ましくは18〜30時間である。
以上のような、架橋処理により調製されたレモン搾汁残渣由来の吸着剤を用いれば、様々な金属イオンを含む様々な形態の塩酸水溶液と、従来行われているバッチ操作あるいはカラム操作によって該吸着剤を接触させることにより、金を選択的に吸着・分離することができる。
亜鉛、鉄、鉛、銅、コバルト等の卑金属ならびに金、パラジウム、白金等の貴金属は比較的高濃度の塩化物溶液中では陰イオンの塩化物錯体として存在しており、これらは例えば1級〜4級のアミノ基を有する陰イオン交換樹脂等に吸着されることが知られている。例えば4級アンモニウム塩型の強塩基性イオン交換樹脂であるDowex 1による塩酸中からの吸着に関しては極めて多数の金属について報告されている。
これに対して本発明に係るレモンの皮渣由来の吸着剤は金のみを塩化物水溶液中から選択的に吸着し、上記のような卑金属ならびに金以外の貴金属は殆ど吸着しない。
本発明に係る吸着剤が金を選択的に吸着するための塩化物の濃度範囲は、塩化物溶液が塩酸の場合、0.01mol/dm3〜12mol/dm3、好ましくは0.1mol/dm3〜8mol/dm3である。
ところで、柿の皮由来の従来の吸着剤を用いた場合であっても塩酸溶液から金を選択的に吸着することができるが、単位重量当たりの吸着量は、平衡時の金の濃度が略10mmol/dm3〜略60mmol/dm3の範囲では略一定であり、平衡時の金の濃度が略60mmol/dm3を超えると吸着量が増大するものの、その増大量は比較的少ない。特に、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上では単位重量当たりの吸着量はあまり増大せず、十分な量の金を分離することができない。
しかしながら、本発明に係るレモンの皮由来の吸着剤にあっては、金の濃度が平衡時の略60mmol/dm3までは従来の吸着剤と同程度の吸着量であるが、平衡時の金の濃度が略60mmol/dm3を超えると吸着量が増大し、更に、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上では単位重量当たりの吸着量が飛躍的に増大する。
従って、本発明に係る吸着剤を用いることによって、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3と比較的高濃度の溶液であっても金を選択的に、かつ十分に分離することができる。
このようにして吸着剤に吸着された金は還元され、金の粒子として析出される。この金の粒子の平均粒径は数ミクロン〜数百ミクロン程度であり、篩い分けや重力による選別(比重差選別)などの既存の方法により吸着剤の粒子と容易に分離することができる。
従って、金の製造・回収設備等、比較的金の濃度が高い廃液が生じる場所では、本発明に係る方法を適用することによって、より効率的に、またより廉価に金を分離回収することができる。
以下に実施例により本発明の実施の形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
吸着剤の調製
レモン果汁の製造において発生する搾汁残渣をそのままの状態で粉砕し、15gを取って20mlの98%の濃硫酸中に入れ、100℃で24時間加熱撹拌することにより架橋処理を行った。100g/dm3の濃度の炭酸水素ナトリウム水溶液500mlに反応混合物を加えて中和した後、最初に50℃の蒸留水1000mlで、次いで常温の蒸留水1000mlで洗浄した。その後、1mol/dm3の濃度の塩酸500mlと12時間撹拌し、濾過した後、濾過物をpHが中性になるまで蒸留水で洗浄した。しかる後に70℃の乾燥器に入れ、24時間乾燥した。その後、ボールミルで粉砕し、篩い分けして粒径が150ミクロン以下のものを吸着剤として用いた。
金及び他の金属の吸着率
図1は、本発明に係る吸着剤が金及び他の金属を含む溶液から金を選択的に吸着する様態を示すグラフであり、図中、縦軸は吸着率を、横軸は塩酸の濃度をそれぞれ示している。
0.5〜6mol/dm3の濃度の塩酸に塩化金酸、及び卑金属である鉄(III)、亜鉛(II)、銅(II)、錫(IV)、ニッケル(II)並びに貴金属であるパラジウム(II)、プラチナ(IV)を、それぞれ0.2mmol/dm3になるように溶解させることにより塩酸溶液を調製した。
各塩酸溶液15mlと実施例1で調製した吸着剤20mgとを栓付きの三角フラスコに入れ、30℃の恒温水槽中で24時間振盪させることにより吸着を行い、吸着前後における溶液中の各金属の濃度をAA−6650型原子吸光光度計(株式会社島津製作所)により測定して、各金属の吸着量を求めた。
なお、溶液中の塩酸濃度は中和滴定により求めた。
そして、吸着による溶液中の金属の濃度の減少量より次式に従って吸着率を求めた。
吸着率=〔(吸着前の金属の濃度−吸着後の金属の濃度)/吸着前の金属の濃度〕×100
なお、図中、二重丸印は金を、白抜き丸印は亜鉛を、白抜き三角印はニッケルを、黒三角印はパラジウムを、白抜き四角印は錫を、黒四角印は鉄を、白抜き菱形印はプラチナを、黒菱形印は銅をそれぞれ示している。
図1に示したように、本発明に係る吸着剤は、金については、塩酸の濃度に影響されることなく略100%の吸着率で吸着していた。これに対し、他の金属については、吸着しないか、若しくは金と比較すると無視できるほど僅かにしか吸着していなかった。
従って、本発明に係る吸着剤は、複数種類の金属が溶解した溶液から金を選択的に吸着・分離する能力が高いといえる。
金の吸着量と金の濃度との関係
0.1mol/dm3の濃度の塩酸に塩化金酸を溶解させて種々濃度の金の溶液を調製した。この溶液10mlと実施例1で調製した本発明に係る吸着剤10mgとを栓付きの三角フラスコに入れ、30℃の恒温水槽中で30時間振り混ぜることにより吸着を行った。また、実施例1と同様にして柿の皮から調整した従来の吸着剤を用いて前同様にして金の吸着を行った。
そして、吸着前後の溶液中の金の濃度をAA−6650型原子吸光光度計(株式会社島津製作所)により測定し、単位質量当たりの吸着量を求めた。
このようにして求めた金の吸着量(Q)と平衡時の溶液中の金の濃度(Ce)との関係を図2に示す。なお、図中、白抜き丸印は本発明に係る吸着剤を用いた結果を、白抜き三角印は従来の吸着剤を用いた結果をそれぞれ示している。
図2に示したように、両吸着剤は、平衡時の金の濃度が略60mmol/dm3までは、単位質量当たりの吸着量(Q)は略同じであったが、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上では、単位質量当たりの吸着量は、本発明に係る吸着剤の方が従来の吸着剤に比べて略1.5倍高かった。
従って、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上の溶液(廃液)にあっては、本発明に係る吸着剤を用いることによって、当該溶液(廃液)から金を選択的に、かつ十分に分離・回収することができる。
比較用吸着剤との比較
ブドウの皮から実施例1と同様の操作により調整して比較用吸着剤を得た。
そして、実施例3にて説明した操作と同様の操作を行って、単位質量当たりの金の吸着量を求めた。
その結果を本発明に係る吸着剤及び前述した従来の吸着剤を用いた結果と共に図6に示した。なお、図中、白抜き四角印は比較用吸着剤を用いた結果を示している。また、白抜き丸印は本発明に係る吸着剤を用いた結果を、白抜き三角印は従来の吸着剤を用いた結果をそれぞれ示している。
図6に示したように、いずれの吸着剤も、平衡時の金の濃度が略60mmol/dm3までは、単位質量当たりの吸着量(Q)は略同じであったが、平衡時の金の濃度が略70mmol/dm3以上では、単位質量当たりの吸着量は、比較用吸着が最も低かった。
ブドウの皮には図8に示したアントシアニジン(R1=R2=H:ぺラルゴジン、R1=OH,R2=H:シアニジン、R1=R2=OH:デルフィニジン)及び図9に示したレスベラトールが含まれるが、いずれも本発明の吸着剤を構成するレモシトリン及びレモシトロール(図3及び図4参照)には含まれるメチルエーテル基(−OCH3)を有していない。
そのため、アントシアニジン及びレスベラトール等から構成されるブドウ皮由来の比較用吸着剤にあっては、金の濃度が比較的高い溶液において金の吸着能が従来の吸着剤及び本発明に係る吸着剤より低い結果になったと考えられる。
この結果より、本発明に係る吸着剤では、メチルエーテル基から金イオンに電子が供給され、それによって金イオンが還元されて金粒子が生成されるめ、メチルエーテル基を有さない他の吸着剤より平衡時の金の濃度が高い環境化において金の吸着能が高いものと考えられる。
金の吸着速度
図7は、本発明に係る吸着剤及び柿皮から調整した従来の吸着剤を用いて、金の吸着速度を比較した結果を示すグラフである。
両吸着剤を2つの栓付き三角フラスコに10mgずつ格別に分取し、0.1mol/dm3の塩酸に金を2mmol/dm3になるように溶解させた溶液を10cm3ずつ加え、30℃で振盪して各吸着剤への金の吸着を開始した。そして、吸着を開始してから適宜時間経過する都度、溶液中の金の濃度を前同様に測定して各吸着剤の単位質量当たりの金の吸着量(Q)を求めた。
なお、図中、白抜き丸印は本発明に係る吸着剤を用いた場合を、また、白抜き三角印は従来の吸着剤を用いた場合をそれぞれ示している。
図7に示したように、本発明に係る吸着剤による金の吸着速度は、従来の吸着剤による金の吸着速度より遅いものであった。これは、両吸着剤における吸着部位の構造の相違によるものである。
吸着剤への金の吸着は、金イオンの拡散、結合、還元、金粒子形成の4段階を経て行われる。ここで、従来の吸着剤、及び本発明に係る吸着剤の活性化エネルギーはそれぞれ、55kJ/mol及び38kJ/molである。従って、従来の吸着剤における金の吸着の律速段階は結合及び還元の段階である一方、本発明に係る吸着剤における金の吸着の律速段階は拡散の段階であると考えられる。つまり、本発明に係る吸着剤の構造が従来の吸着剤の構造よりもリジッド(rigid)であり、金の拡散を抑制しているためであると推察される。
このように、本発明に係る吸着剤にあっては、拡散段階以降、すなわち結合、還元、金粒子形成の各段階は律速段階ではないので、平衡時の金の濃度がより高い環境下にあっては従来の吸着剤より高い金吸着能を発揮するのである。
金の粒子の生成
金を吸着した後の吸着剤を水洗、乾燥したものをデジタル顕微鏡VHX200(株式会社キーエンス)を用いて撮像したところ、図10に示す写真図が得られた。ここで白く輝いているのが金の粒子であり、黒い部分が本発明に係る吸着剤である。数100ミクロンの金の粒子が生成していることが分かる。
本発明に係る吸着剤が金及び他の金属を含む溶液から金を選択的に吸着する様態を示すグラフである。 金の吸着量(Q)と平衡時の溶液中の金の濃度(Ce)との関係を示すグラフである。 レモシトリンの化学構造を示す図である。 レモシトールの化学構造を示す図である。 柿タンニンの化学構造を示す図である。 金の吸着量(Q)と平衡時の溶液中の金の濃度(Ce)との関係を示す他のグラフである。 本発明に係る吸着剤及び柿皮から調整した従来の吸着剤を用いて、金の吸着速度を比較した結果を示すグラフである。 アントシアニジンの化学構造を示す図である。 レスベラトールの化学構造を示す図である。 本発明に係る吸着剤による金粒子の生成を示す写真図である。

Claims (2)

  1. ポリフェノールを含む果実の皮を硫酸処理して得た吸着剤に、所要濃度の塩酸に適宜濃度の金が溶解された溶液を接触させ、前記吸着剤に金を吸着させることによって前記溶液から金を分離する方法において、
    平衡時の溶液中の金の濃度が略70mmol/dm3以上であり、前記吸着剤として、レモシトリン及び/又はレモシトロールを含む果実の皮から得た吸着剤を用いることを特徴とする金分離方法。
  2. 前記果実はレモンである請求項1記載の金分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012024752A (ja) * 2010-06-22 2012-02-09 Denso Corp 貴金属吸着剤及び貴金属の回収方法

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