JP2009079931A - 電磁探査装置および電磁探索データ処理方法 - Google Patents

電磁探査装置および電磁探索データ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より正確に検出結果を出力することのできる電磁探査装置およびそれに向けられた電磁探査データ処理方法を提供する。
【解決手段】1次磁場の同一周期において、正方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(n)との差の絶対値|V1(p)−V1(n)|が、基準値に対して所定のしきい値Th1より大きくずれているか否かを判断することで、ロック外れの有無を判断することができる。このようにロック外れが生じている時間データを除外した上で、探査結果が算出される。
【選択図】図11

Description

この発明は、代表的に地質調査や地下資源探査などに用いられる電磁探査装置および電磁探索データ処理方法に関し、より特定的には超電導量子干渉素子(SQUID)を用いた構成に関する。
従来から、地質調査や地下資源探査などに用いられる電磁探査技術が実用化されている。この電磁探査技術では、代表的に地質の電気的物性(比抵抗)が測定される。このような地質の電気的物性を測定する方法として、地表面から地下の探査対象に向けて、周期的に変化する1次磁場を発生するとともに、この1次磁場によって発生する2次磁場を測定する方法が知られている(たとえば、特許文献1や非特許文献1)。
より詳細には、1次磁場が時間的に変動することによって、地表面にはその変動を妨げる方向に誘導電流が発生する。この誘導電流は、伝播経路にある地質の比抵抗の大きさに応じて減衰するが、この減衰に伴う誘電電流の時間的変化を妨げる方向に新たな誘導電流が発生する。このような誘導電流の発生プロセスが繰返されて、あたかも誘導電流が地下深部に伝播していくような現象を生じる。このような現象は「スモークリング」とも称されている。このような誘導電流は、伝播経路の比抵抗に応じて減衰するため、この誘電電流が発生する磁場を時間の関数として測定することにより、地下地質の比抵抗分布(主に断面図)を取得することができる。すなわち、誘導電流は、時間の経過とともに、その半径を広げながら深部方向に拡散する。送信ループに流していた一定電流を瞬間的に遮断した場合、深部方向に拡散する誘導電流の深度である拡散深度δは、電流を遮断してからの経過時間tを用いてδ=(2t/σμ)1/2(σ:地下の導電率、μ:地下の透磁率)と表すことができる。したがって、測定時間をより長くすることによって、より深部までの比抵抗分布を取得することができる。
従来、このような2次磁場の測定には、金属導線からなる受信コイルを用いた誘導コイル型磁力計が用いられてきた。この誘導コイル型磁力計は、原理的に、磁場の大きさではなくその時間微分を測定する。これに対して、超電導量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device;以下、「SQUID」とも称す)を用いて、磁場の大きさを直接測定する構成が提案されている。磁場の時間的変化は、磁場の時間微分の時間的変化に比較して緩やかであり、かつその値も大きい。さらに、SQUIDによれば、より微小な磁場を検出できるので、誘導コイル型磁力計よりもより遅い時間までデータを取得することができる。したがって、SQUIDを用いることにより誘導コイル型磁力計より深部についての比抵抗分布を取得することができる。
ところで、SQUIDで発生する磁場は、磁束量子φ(=2.07×10−15Wb)の単位で量子化されている。そのため、SQUIDに磁束量子φを超える振幅をもつ変動磁場が入力すると、別の量子化状態に遷移してしまう。すなわち、SQUID単独では、磁束量子φを超える振幅をもつ変動磁場を正確に測定することができない。そこで、FLL(Flux Locked Loop)と呼ばれる回路を用いて、外部磁場を打ち消すためのフィードバック磁場をSQUIDに与えることで、測定範囲を拡大させる構成が一般的に採用される。
特開平7−110382号公報 内田 利弘、斎藤 章、「電磁法探査システムの開発動向」、物理探査、社団法人物理探査学会、第47巻 第6号、pp472−500
FLL回路はフィードバック制御系を含んでおり、フィードバック磁場の発生には動作遅れ(1次遅れ)が不可避である。ここで、より深部における比抵抗分布を取得するために、より大きな1次磁場を発生すると、SQUIDに入力する磁場も大きくなる。その結果、SQUIDに入力する磁場の時間的変化がFLL回路の応答速度(スルーレート)を超えると、SQUIDが異なる量子化状態に遷移してしまい、測定信号にステップ的な測定誤差が発生するという課題があった。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、より正確に検出結果を出力することのできる電磁探査装置およびそれに向けられた電磁探索データ処理方法を提供することである。
この発明のある局面に従う電磁探査装置は、探査対象に向けて周期性の変動磁場を発生する送信部と、SQUIDを含み、探査対象に応じて発生する磁場を検出する検出部と、検出部による検出結果を収集するデータ処理装置とを備える。検出部は、SQUIDに入力する外部磁場を打ち消すための磁場を発生するフィードバックコイルと、SQUIDが発生する電圧に応じてフィードバックコイルに電流を供給するフィードバック回路部とを含む。データ処理装置は、検出部によって連続的に検出された磁場のデータから、変動磁場の各周期に対応付けて、複数の各時間データを生成する時間データ生成手段と、複数の各時間データのうち、所定の基準値に対して所定量のずれが生じている時間データを除外する除外手段と、複数の時間データのうち、除外されなかった残余の時間データに基づいて、探査対象を示す探査結果を出力する出力手段とを含む。
好ましくは、所定量は、SQUIDの単一磁束量子に相当する出力電圧に基づいて定められる。
好ましくは、変動磁場の時間波形は、ゼロ区間を挟んで正方向パルスと負方向パルスとが周期的に繰返されるパルス波形である。除外手段は、正方向パルスがゼロへ戻るタイミングから所定期間前における値と、負方向パルスがゼロへ戻るタイミングから同一の所定期間前における値とに基づいて、所定量のずれが生じているか否かを判断する。
また好ましくは、変動磁場の時間波形は、ゼロ区間を挟んで正方向パルスと負方向パルスとが周期的に繰返されるパルス波形である。除外手段は、正方向パルスがゼロへ戻るタイミングから所定期間経過時における値と、負方向パルスがゼロへ戻るタイミングから同一の所定期間経過時における値とに基づいて、所定量のずれが生じているか否かを判断する。
好ましくは、出力手段は、残余の時間データを対応の時間毎に平均化することで探査結果を算出する。
この発明の別の局面に従えば、電磁探査装置における電磁探索データ処理方法を提供する。電磁探査装置は、探査対象に向けて周期性の変動磁場を発生する送信部と、SQUIDを含み、探査対象に応じて発生する磁場を検出する検出部とを備える。検出部は、SQUIDに入力する外部磁場を打ち消すための磁場を発生するフィードバックコイルと、SQUIDが発生する電圧に応じてフィードバックコイルに電流を供給するフィードバック回路部とを含む。電磁探索データ処理方法は、検出部によって連続的に検出された磁場のデータを収集するステップと、連続的に検出された磁場のデータから、変動磁場の各周期に対応付けて、複数の時間データを生成するステップと、複数の各時間データのうち、所定の基準値に対して所定量のずれが生じている時間データを除外するステップと、複数の各時間データのうち、除外されなかった残余の時間データに基づいて、探査対象を示す探査結果を出力するステップとを備える。
この発明によれば、より正確に検出結果を出力することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
(全体構成)
図1は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1の概略構成図である。
図2は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1を用いた電磁探査方法の概略を示す図である。
図1および図2を参照して、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1は、代表的に地質調査や地下資源探査などに用いられ、探査対象の電気的物性(比抵抗)の3次元分布などを測定することができる。
より具体的な構成として、電磁探査装置1は、検出部2と、データ処理装置3と、コントローラ40と、A/D(Analog to Digital)変換部42と、パルス発振部44と、送信機46と、送信ループコイル48とを含む。
送信機46は、パルス発振部44で発生するパルス信号(周期信号)に応じて、送信ループコイル48に所定の送信電流を流すことで、送信ループコイル48から探査対象に向けて磁場(以下、「1次磁場」とも称す)を発生する。送信ループコイル48への送信電流を瞬時に遮断することにより、地表面にはその変動を妨げる方向に誘導電流が発生する。この誘導電流は、伝播経路にある地質の比抵抗の大きさに応じて減衰するが、この減衰に伴う誘電電流の時間的変化を妨げる方向に新たな誘導電流が発生する。このような誘導電流の発生プロセスが繰返されて、あたかも誘導電流が地下深部に伝播していくような現象(スモークリング)を生じる。
地表付近に配置された検出部2は、このような誘導電流によって発生する2次磁場を検出し、その検出結果をA/D変換部42を介して、データ処理装置3へ出力する。この2次磁場は、誘導電流の減衰状態、すなわち伝播経路にある探査対象の比抵抗に応じた値を示す。また、2次磁場は誘電電流の伝播に伴って発生するので、2次磁場の時間的変化における経過時間は、深度に対応する。そのため、2次磁場の時間的変化に基づいて、比抵抗の地下方向のプロファイルを取得することができる。
検出部2は、超電導量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device;以下「SQUID」とも称す。)20と、FLL回路22とを含み、探査対象に応じて発生する磁場を検出する。検出部2からはSQUID20に入力する磁束に応じた電圧値が測定信号として出力される。なお、本実施の形態では、1個の検出部2を含む電磁探査装置1を例示するが、検出部2の個数は2個まで可能である。また、1個のSQUID20から構成される検出部2を例示するが、その検出面をたとえば水平方向と垂直方向とにそれぞれ向けた複数のSQUID20によって検出部を構成してもよい。
A/D変換部42は、検出部2によって連続的に検出される電圧値(アナログ値)をデジット値に逐次変換して、データ処理装置3へ出力する。
データ処理装置3は、A/D変換部42から出力される検出部2による検出結果を連続的に収集する。特に、データ処理装置3は、後述するようなデータ処理方法に従って、検出結果に含まれる誤差を含むデータを除外した上で、探査結果を算出する。なお、算出された探査結果は、データ処理装置3のディスプレイなどに表示される。
パルス発振部44は、送信機46を駆動するための周期性の発振信号(代表的に、周期パルス信号)を出力し、データ処理装置3からの送信指令に応答して、周期、波形および信号強度などを変更可能に構成される。
送信機46と送信ループコイル48とは、探査対象に向けて磁場を発生する送信部であり、送信機46は、パルス発振部44からの発振信号を増幅し、送信ループコイル48に当該増幅した送信電流を流すとともに、送信ループコイル48はこの電流に応じて、1次磁場を発生する。
(検出部)
図3は、この発明の実施の形態に従う検出部2の一部断面側面図である。
図3を参照して、検出部2は、SQUID20を超電導状態に維持するための冷却媒体を格納する容器部24と、冷却媒体に浸漬されたSQUID20と、熱侵入を防ぐ蓋部28と、蓋部28を貫通しSQUID20と接続されたFLL回路22とを含む。
SQUID20としては、ニオブ化合物などからなる低温超電導体、もしくはセラミックスなどからなる高温超電導体のいずれで構成してもよいが、本実施の形態に従う電磁探査装置1では、高温超電導体を用いる場合について説明する。高温超電導体は、約77Kで超電導状態となるため、冷却媒体として液体窒素LN2(沸点:77.3K)が用いられる。なお、低温超電導体を用いる場合には、冷却媒体として液体ヘリウム(沸点:4.2K)を用いる必要がある。
容器部24は、代表的にガラスエポキシなどの非導電性の材料で構成されており、容器外部からの熱侵入を抑制するために、その外周には真空層26が形成されている。また、蓋部28も同様に、ガラスエポキシなどの非導電性の材料で構成されており、ネジなどによって容器部24と密着する。
図4は、SQUID20による磁場検出の原理を説明するための図である。
図5は、SQUID20へ入力する磁束と出力電圧との関係を示す図である。
図4を参照して、SQUID20は、ループ状に形成された超電導材料からなり、そのループ上に2個のジョセフソン接合JJが形成される。このジョセフソン接合JJは、絶縁材料を2つの超電導材料で積層した構造を有し、他の部分に比較して超電導材料としての特性が低い。そのため、ジョセフソン接合JJは、SQUID20の中で、最も早く超電導状態から常電導状態に移行する。すなわち、ループを流れる電流が所定の制限値を超えると、SQUID20には常電導状態の部分が生じるが、この制限値はジョセフソン接合JJによって制限されることになる。
ところで、SQUID20は、超電導状態においては、自身を貫く磁束を排除するような現象(マイスナー効果)を生じる。より具体的には、外部からの磁束がSQUID20を貫通しようとすると、この磁束を打ち消すための遮蔽電流が流れる。そこで、ジョセフソン接合JJが超電導状態を維持できる制限値に略等しいバイアス電流を外部から与えておくと、外部からの磁束を打ち消すための遮蔽電流が加わることで、ジョセフソン接合JJは部分的に常電導状態に移行し、電気抵抗が発生する。この電気抵抗は、遮蔽電流の大きさ、すなわち入力する磁束の大きさに依存するので、電気抵抗に起因して生じる出力電圧を測定することで、検出部2に生じる磁場を検出することができる。
このSQUID20に生じる磁場は、磁束量子φ(=2.07×10−15Wb)の単位で量子化される。そのため、図5に示すように、入力する磁束に対するSQUID20の出力電圧は、磁束量子φの単位で同様の特性が繰り返し表れることになる。これは、マイスナー効果がSQUID20に侵入する磁束を排除するように作用する一方で、SQUID20内に磁束が一旦侵入すると、磁束量子φの単位でその磁束を閉じ込めるように作用するからである。
図5に示すように、同一の出力電圧に複数の磁束が対応することになるので、量子化状態が既知でなければ、SQUID20に入力する磁束の大きさを出力電圧に基づいて一意に決定することはできない。そこで、以下に述べるようなFLL(Flux Locked Loop)回路22を用いて、磁場を検出する。
図6は、この発明の実施の形態に従うFLL回路22の概略の回路構成を示す図である。
図6を参照して、FLL回路22は、SQUID20を特定の量子化状態に維持するとともに、SQUID20の出力電圧を測定する。より具体的には、FLL回路22は、SQUID20の両端に発生する電圧を積分して出力するとともに、SQUID20に近接して配置されたフィードバックコイル21から、この積分電圧に応じたフィードバック磁場をSQUID20に与える。このフィードバック磁場は、SQUID20に入力する外部磁場を打ち消すためのものである。このようなフィードバック磁場によって、SQUID20に入力する磁束を実質的にゼロに維持し、量子化状態の遷移による誤差発生を抑制する。SQUID20に入力する磁束を実質的にゼロに維持することで、検出対象に応じて発生する2次磁場の大きさを直接的に測定することができる。
より具体的な構成として、FLL回路22は、SQUID20の両端に生じる電圧を差動増幅する差動増幅器221と、演算増幅器222,226と、コンデンサ223と、抵抗器224,225と、可変抵抗器227とを含む。
演算増幅器222とコンデンサ223とは積分器を構成し、演算増幅器222の増幅率およびコンデンサ223の容量によって定まる時定数τをもつ。この時定数τは、FLL回路としての応答速度(スルーレート)を定めるものであり、時定数τが小さいほど、その応答速度は高くなるが、安定性が低下するので、応答速度および安定性を考慮して適切に設定される。この積分器(演算増幅器222およびコンデンサ223)からSQUID20についての測定信号(電圧信号)が出力される。演算増幅器222の出力には、抵抗器224を介してフィードバックコイル21が接続されており、SQUID20が発生する電圧に応じた電流がフィードバックコイル21へ供給される。
また、抵抗器224とフィードバックコイル21との間には、電源ラインから可変抵抗器227、演算増幅器226、および抵抗器225が直列に接続されており、SQUID20の電圧出力のゼロレベルを調整するために、フィードバックコイル21へ供給される初期電流の微調整が可能になっている。
以上のような構成によって、検出部2は、1次磁場を受けて、検出対象に応じて発生する2次磁場の大きさを直接的に測定することができる。なお、図6に示すFLL回路22の回路構成と本願請求項に係る発明との対応関係については、差動増幅器221と、演算増幅器222と、コンデンサ223と、抵抗器224とが「フィードバック回路」に相当する。
図7は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1における送信電流および発生する2次磁場を説明するための時間波形である。
図7(a)は、送信ループコイル48に供給される送信電流を示し、図7(b)は、計測する2次磁場を示し、図7(c)は、計測する2次磁場の時間微分を示す。
図7(a)に示すように、送信ループコイル48にパルス状の送信電流が供給されると、図7(b)に示すような2次磁場が発生する。図7(b)に示す2次磁場の時間微分は、図7(c)に示すような波形となる。従来の誘導コイル型磁力計は、この図7(c)に示すような2次磁場の時間微分を測定するものであったので、その測定感度に限界があった。本実施の形態に従う検出部2は、図7(b)に示すような2次磁場の大きさそのものを測定できるため、より微小な2次磁場を長時間にわたって測定することができる。すなわち、より深部についての比抵抗分布を取得することができる。
(FLL回路の動作)
次に、図8を参照して、FLL回路22を構成するFLL回路の動作、およびそこから出力される測定信号に発生するステップ的な誤差について説明する。
図8は、FLL回路の動作原理を説明するための図である。図8(a)は、あるタイミングにおける定常状態を示し、図8(b)は、図8(a)に示す定常状態からFLL回路の応答速度(スルーレート)を超える時間的な磁場変動が印加された場合を示す。
図8(a)を参照して、まず定常状態において、FLL回路は、SQUID20へ入力する外部磁場を打ち消すように、フィードバックコイル21(図6)からフィードバック磁場を発生させる。すなわち、フィードバックコイル21は、その発生するフィードバック磁場BfによってSQUID20へ入力する磁束がSQUID20へ入力する外部磁束Φin(=外部磁場Binと有効断面積Aeffとの積に相当)と略同一となるように動作する。そして、FLL回路からは、このフィードバック磁場Bfを発生するための電流に応じた電圧が測定信号として出力される。このようにして、SQUID20へ入力する外部磁場Binに応じた測定信号を取得することができる。
このような定常状態においては、FLL回路は、SQUID20の出力電圧を、最大感度を得るためにSQUID20へ入力する磁束と出力電圧との関係上(SQUID20のφ−V特性)のdV/dφが最大となる位置に維持しようと、フィードバックコイル21へ供給する電流を制御する。以下では、このような位置をロック点LOCK1とも称し、ロック点LOCK1を維持しようとする動作をFLL回路のロック動作とも称す。
上記のようなロック動作中において、外部磁場がBinからΔBinだけ時間的に変化した場合を考える。なお、この外部磁場の時間的変化ΔBin/ΔtはFLL回路の応答速度(スルーレート)以下であるとする。この場合には、FLL回路のロック動作によって、フィードバック磁場BfもΔBfだけ増加する。このフィードバック磁場Bfの増加によって、SQUID20へ入力する磁束が実質的にゼロとなり、ロック点LOCK1は維持される。
次に、図8(b)を参照して、上記のようなロック動作中において、外部磁場BinがFLL回路の応答速度を超えるような時間的変化ΔBin/Δtを生じる場合を考える。この場合にも、外部磁場Binの増加に伴って、FLL回路はフィードバック磁場Bfを増加させようとするが、このフィードバック磁場Bfの増加に動作が遅れ、その結果、SQUID20に磁束量子φを超える磁束が入力されてしまうと、磁束量子φの単位でSQUID20に磁束が侵入する。このSQUID20に一旦侵入した磁束は、SQUID20内に閉じ込められ、SQUID20の量子化状態は隣接する状態に遷移する。このようにSQUID20に閉じ込められた磁束を打ち消すために、FLL回路は、この閉じ込められた磁束に対応するフィードバック磁場Bfを発生する必要があり、ロック点はLOCK1からLOCK2へステップ的に遷移してしまう。この結果、FLL回路からの測定信号もこの磁束量子φに相当する単位でステップ的に変化することになる。すなわち、FLL回路からの測定信号は、磁束量子φによってSQUID20が発生する電圧分だけステップ的に変化する。なお、以下の説明では、このようなロック点のステップ的な遷移を「オフセット」とも称し、測定中にこのオフセットが発生しているデータを「オフセット発生データ」とも称す。
本実施の形態に従う電磁探査装置1は、測定信号中に含まれるこのようなステップ的な変化が発生しているものを除外した上で、探査対象の電気的物性を示す探査結果を出力する。
(オフセット発生データの除外方法)
次に、図9および図10を用いて、送信ループコイル48が発生する周期性の変動磁場(1次磁場)および検出部2によって検出される磁場について説明する。
図9は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1において発生する磁場の時間波形である。図9(a)は、送信ループコイル48で発生する1次磁場を示し、図9(b)は、SQUID20で測定される測定信号を示す。図10は、SQUID20における磁場の時間的変化を示す模式図である。
図9(a)を参照して、送信ループコイル48で発生する1次磁場の時間波形は、ゼロ区間を挟んで正方向パルスと負方向パルスとが周期的に繰返されるパルス波形である。本実施の形態では、正方向パルスが発生してから、次に正方向パルスが発生するまでの期間を1次磁場の1周期とする。図10に示すように、1/4周期毎に発生するトリガのタイミングで正方向パルスと負方向パルスとが周期的に繰返される。この1次磁場に対して、図9(b)に示すように、SQUID20では、探査対象に応じて発生する2次磁場に加えて、送信ループコイル48で発生する1次磁場が検出される。これらを分離するため、正方向パルスおよび負方向パルスが遮断されるタイミング、すなわち正方向パルスがゼロへ戻るタイミングおよび負方向パルスがゼロへ戻るタイミングをそれぞれ基準タイミングとし、この基準タイミング以降にSQUID20から出力される測定信号に基づいて、探査対象の電気的物性が測定される。
これは、基準タイミング以降から次のパルスが発生するまでの期間においては、1次磁場がゼロに維持されるので、SQUID20で測定される磁場は2次磁場のみとなるからである。
図11は、この発明の実施の形態に従うSQUID20が出力する測定信号の時間波形である。図11(a)は、オフセットが発生していない場合を示し、図11(b)は、オフセットが発生している場合を示す。
図12および図13は、この発明の実施の形態に従うFLL回路から出力される測定信号の一例を示す時間波形である。図12および図13は、図11における2次磁場に相当する計測信号を主に表示しており、1次磁場に相当する測定信号は表示されていない。また、ソフトウェア処理の関係上、必ずしも正負の測定信号が交互に表示されていない。
図12は、オフセットが発生していない場合を示し、図13(a)では、頻繁にオフセットが発生している。また、図13(b)は、図13(a)の一部の波形を拡大表示したものである。
図11(a)を参照して、オフセットが発生していない状態では、送信ループコイル48から何らの1次磁場も発生していない期間おける測定信号の出力は、所定の基準値に収束する。
一方、図11(b)を参照して、たとえば、正方向パルスの遮断に伴う磁場変化によってオフセットが生じた場合には、そのオフセットの発生時点以降の波形全体にずれを生じる。すなわち、オフセットが発生すると、負の基準値に対して所定のオフセットだけずれて収束することになる。
図13(a)および図13(b)に示すように、オフセットが生じた場合には、1次磁場を発生していない(1次磁場の強度がゼロ)期間において、測定信号が基準値からずれている部分が発生していることがわかる。
再度、図11(b)を参照して、具体的には、1次磁場の同一周期において、正方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(n)との差の絶対値|V1(p)−V1(n)|が、基準値に対して所定のしきい値Th1より大きくずれているか否かを判断することで、オフセットの有無を判断することができる。
すなわち、対象の周期において、オフセットが発生している場合には、|V1(p)−V1(n)|は、基準値から磁束量子φに相当する電圧値の単位で偏差を生じる。そこで、単一の磁束量子φによってSQUID20が発生する電圧分に基づいて予め定めたしきい値Th1と、|V1(p)−V1(n)|とを比較して、オフセットの有無を判断することができる。
なお、この期間T1は、調査したい深度に加えて、1次磁場がゼロから所定の振幅まで立ち上がって安定した状態となるような時間を考慮して設定される。
同様に、1次磁場の同一周期において、正方向パルスについての基準タイミングから期間T2経過時における強度値V2(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T2経過時における強度値V2(n)との差の絶対値|V2(p)−V2(n)|が、基準値に対して所定のしきい値Th2より大きくずれているか否かを判断することで、オフセットの有無を判断することもできる。
すなわち、対象の周期において、オフセットが発生している場合には、|V2(p)−V2(n)|は、基準値から磁束量子φに相当する電圧値の単位で偏差を生じる。そこで、単一の磁束量子φによってSQUID20が発生する電圧分に基づいて予め定めたしきい値Th2と、|V2(p)−V2(n)|とを比較して、オフセットの有無を判断することができる。
なお、この期間T2は、探査対象で生じる2次磁場が十分に減衰した状態となるように設定される。
上述の2つのいずれのケースにおいてロック外れが発生しているため、差の絶対値|V1(p)−V1(n)|および|V2(p)−V2(n)|の両方に基づいて、オフセットの有無を判断する必要がある。
以下、このような処理を実現するための構成について説明する。
(データ処理装置)
図14は、この発明の実施の形態に従うデータ処理装置3の概略のハードウェア構成を示す模式図である。
図14を参照して、データ処理装置3は、代表的にコンピュータによって実現され、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)300と、CPU300でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するメモリ部312と、CPU300で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク部(HDD:Hard Disk Drive)310とを含む。また、ハードディスク部310には、後述するような処理を実現するためのプログラムが予め記憶されており、このようなプログラムは、FDDドライブ316またはCD−ROMドライブ314によって、それぞれフレキシブルディスク316aまたはCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)314aなどから読取られる。
CPU300は、キーボードやマウスなどからなる入力部308を介してユーザなどからの指示を受取るとともに、プログラムの実行によって測定される測定結果などをディスプレイ部304へ出力する。また、CPU300は、インターフェイス部306を介して、A/D変換部42から検出結果を受信したり、パルス発振部44に送信指令を与えたりする。
(制御構造)
次に、図15を参照して、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1におけるデータ処理を実現するための制御構造について説明する。
図15は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1のデータ処理に係る制御構造を示すブロック図である。なお、図15に示すブロック図は、データ処理装置3のCPU300(図14)がハードディスク部310などに予め格納されているプログラムをメモリ部312などに展開して実行することで実現される。
図15を参照して、データ処理装置3は、送信制御部352と、バッファ部354と、データ格納部370と、抽出部356と、判断部358と、正規化部360と、出力部362とをその機能として含む。なお、データ格納部370は、ハードディスク部310(図14)などの所定位置に形成される。
送信制御部352およびバッファ部354は、検出部2による探査対象からの応答である2次磁場を測定するための機能構成である。より具体的には、送信制御部352は、ユーザから開始指令を受けると、予め定められた設定に従って、パルス発振部44(図1)に送信指令を与えるとともに、送信ループコイル48で発生する1次磁場の同期データをバッファ部354へ通知する。すなわち、ユーザは、所望の探査対象場所に検出部2を設置した後、入力部308(図14)を操作して、探査の開始指令をデータ処理装置3へ入力する。すると、送信制御部352が予め定められた設定に応じた送信指令をパルス発振部44へ与え、パルス発振部44から送信ループコイル48への送信電流の供給が開始される。
バッファ部354は、送信制御部352からの1次磁場の同期データに対応付けて、検出部2からの検出結果をデータ格納部370に順次格納する。ここで、検出結果は、代表的にSQUID20で検出される磁場強度の連続的な時間データである。
抽出部356は、データ格納部370に格納された検出結果から、1次磁場の各周期に対応付けて、時間データを順次生成する。すなわち、時間データは、1磁場の1周期分に相当する、SQUID20で検出される磁場強度の時間データである。そして、抽出部356は、このように生成した時間データを判断部358へ出力する。
判断部358は、各時間データに対して、上述の図11(b)に示すような判断処理を実行する。すなわち、判断部358は、各時間データに対して、正方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(n)とを取得する。そして、判断部358は、これらの強度値の差の絶対値|V1(p)−V1(n)|と所定のしきい値Th1を比較する。さらに、判断部358は、|V1(p)−V1(n)|がしきい値Th1とを超えていれば、当該時間データではオフセットが生じていると判断し、正負両データを無効なデータとして取り扱う。
また、判断部358は、各時間データに対して、正方向パルスについての基準タイミングから期間T2経過時における強度値V2(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T2経過時における強度値V2(n)とを取得する。そして、判断部358は、これらの強度値の差の絶対値|V2(p)−V2(n)|と所定のしきい値Th2とを比較する。さらに、判断部358は、|V2(p)−V2(n)|がしきい値Th2を超えていれば、当該時間データではオフセットが生じていると判断し、正負両データを無効なデータとして取り扱う。
以上のような処理を行なった後、判断部358は、無効なデータではない時間データを正規化部360へ出力する。すなわち、判断部358は、抽出部356で順次生成される複数の時間データのうち、オフセットが生じている時間データを除外する。
正規化部360は、判断部358から出力される複数の時間データに対して、当該複数の時間データの全体平均から、たとえば計算して得られた標準偏差から外れたデータをさらに除外する。
具体的には、正規化部360は、判断部358から出力される複数の時間データのうち、所定数(たとえば、100個程度)の時間データを読み出して、各時間における平均値および標準偏差を算出する。そして、正規化部360は、時間データの各々に対して、算出した平均値から所定しきい値(たとえば、標準偏差に所定割合を乗じた値)の範囲外にあるものを除外し、残余の時間データを出力部362へ出力する。
ここで、各時間における平均値および標準偏差とは、抽出した複数の時間データの間で、各時間軸上の同一時刻における測定値に対して算出されるものであり、原理的には時間軸上の測定周期に沿って算出することができる。なお、各時間データを時間軸上で複数の領域に分割するとともに、領域別に定めたしきい値を用いて判断してもよい。
出力部362は、正規化部360から出力される複数の時間データに基づいて、これらを代表する時間データである探査結果を出力する。具体的には、出力部362は、これらの時間データに対して、各時間軸上の同一時刻における強度値を平均化することで、探査結果を算出する。
図16は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1によって取得された探査結果の一例を従来例と比較して示すグラフである。図16(a)は、従来の電磁探査装置によって出力された探査結果を示し、図16(a)は、本実施の形態に従う電磁探査装置によって出力された探査結果を示す。
図16(a)に示すように、オフセットによる誤差を含むデータを除外しなかった場合には、基準タイミングから遅い時間領域におけるデータが欠落しているのがわかる。これは、より深度の深い範囲(基準タイミングから遅い時間領域)のデータを取得するために、1次磁場の強度を高くすると、測定結果にオフセットによる誤差が生じ、十分な精度の探査結果を得ることができない。すなわち、このオフセットによる誤差に起因して、1次磁場の強度が制限されてしまい、十分な深度における探査結果を取得することはできない。
一方、図16(b)に示すように、本実施の形態に従う電磁探査装置1によれば、1次磁場を大きくした場合に生じるオフセットによる誤差を除外した上で、探査結果を生成することができる。そのため、より精度の高い探査結果を得ることができる。また、多数回の測定のうち、たとえその割合がわずかであっても、いずれかの周期においてオフセットが発生していないデータが得られれば、そのオフセットが発生していないデータに基づいて探査結果を算出できる。そのため、より深度の深い範囲のデータを取得することができる。
(処理手順)
以上のような制御構造の処理手順をまとめると、以下のようなフローチャートになる。
図17は、この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1における処理手順を示すフローチャートである。
図17を参照して、データ処理装置3のCPU300は、ユーザから開始指令を受けると、予め定められた設定に従って、送信指令をパルス発振部44に対して出力する(ステップS100)。この送信指令に応答して、パルス発振部44がパルス信号の発生を開始し、このパルス信号に応じて、送信機46が送信ループコイル48に所定の送信電流の供給を開始する。さらに、この送信電流によって、送信ループコイル48からは1次磁場の発生が開始する(ステップS102)。この1次磁場によって、探査対象に応じた2次磁場が発生する。
一方、データ処理装置3のCPU300は、1次磁場の同期データに対応付けて、検出部2からの検出結果をデータ格納部370に順次格納する(ステップS104)。そして、データ処理装置3のCPU300は、予め定められた期間にわたって検出結果を取得したか否かを判断する(ステップS106)。予め定められた期間にわたって検出結果を取得していなければ(ステップS106においてNO)、ステップS104以下の処理が繰返される。
一方、予め定められた期間にわたって検出結果を取得していれば(ステップS106においてYES)、データ処理装置3のCPU300は、ハードディスク部310に格納されている検出結果を読み出して、1次磁場の各周期に対応付けて時間データを順次生成する(ステップS108)。そして、データ処理装置3のCPU300は、生成した時間データに対して、正方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T1前における強度値V1(n)とを読出す(ステップS110)。そして、CPU300は、これらの強度値の差の絶対値|V1(p)−V1(n)|が所定のしきい値Th1を超えているか否かを判断する(ステップS112)。
|V1(p)−V1(n)|がしきい値Th1を超えていなければ(ステップS112においてNO)、CPU300は、当該時間データに対して、正方向パルスについての基準タイミングから期間T2経過時における強度値V2(p)と、負方向パルスについての基準タイミングから期間T2経過時における強度値V2(n)とを読出す(ステップS114)。そして、CPU300は、強度値の差の絶対値|V2(p)−V2(n)|がしきい値Th2を超えているか否かを判断する(ステップS116)。|V2(p)−V2(n)|がしきい値Th2を超えていなければ(ステップS116においてNO)、CPU300は、当該時間データを有効なものとして取り扱う(ステップS118)。
これに対して、|V1(p)−V1(n)|がしきい値Th1を超えている場合(ステップS112においてYES)、または|V2(p)−V2(n)|がしきい値Th2を超えている場合(ステップS116においてYES)には、当該時間データを無効なものとして取り扱う(ステップS120)。
そして、CPU300は、検出結果から生成されるすべての時間データに対して処理が完了したか否かを判断する(ステップS122)。検出結果から生成されるすべての時間データに対しての処理がまだ完了していなければ(ステップS122においてNO)、ステップS110以下の処理が繰返される。
一方、検出結果から生成されるすべての時間データに対しての処理が完了していれば(ステップS122においてYES)、CPU300は、ステップS118において有効なものとされた時間データのうち、所定数の時間データに対して、各時間における平均値および標準偏差を算出する(ステップS124)。そして、CPU300は、この算出した平均値および標準偏差に基づいて、当該時間データ群のうち全体の平均から大きく逸脱する時間データを除外する(ステップS126)。
さらに、CPU300は、除外されずに残った時間データに対して、各時間軸上の同一時刻における強度値を平均化することで、探査結果を算出する(ステップS128)。最終的に、CPU300は、ステップS128において算出した探査結果を出力する(ステップS130)。なお、探査結果の出力先として、CPU300は、この探査結果をディスプレイ部304に視覚的な表示したり、この探査結果のデータをハードディスク部310に格納したりする。
なお、探査対象をより精度よく調査するために、測点を複数設定する場合には、各測点において、図17に示すフローチャートのうち、ステップS100〜ステップS106における処理を予め実行しておき、その後、ステップS108〜ステップS130に係る処理を一括して実行してもよい。
この発明の実施の形態によれば、送信ループコイル48から発生する1次磁場によって探査対象に応じて発生する2次磁場の大きさそのものを測定することができるので、2次磁場の時間微分を測定する従来の誘導コイル型磁力計を用いる構成に比較して、より深部について探査することができる。
特に、検出部2によって測定される2次磁場の時間データのうち、オフセットの発生の有無を判断するとともに、オフセットが生じたものを除外した上で、探査結果を算出する。これにより、1次磁場の各周期に対応して取得される時間データのうち、少しでもオフセットが生じていない時間データを取得できれば、正確な探査結果を算出できる。すなわち、ある程度のオフセットの発生を許容できるので、1次磁場の強度を高めることができる。この結果、1次磁場の強度をより高めて、より深度の深い範囲のデータを取得することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1の概略構成図である。 この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1を用いた電磁探査方法の概略を示す図である。 この発明の実施の形態に従う検出部2の一部断面側面図である。 SQUID20による磁場検出の原理を説明するための図である。 SQUID20へ入力する磁束と出力電圧との関係を示す図である。 この発明の実施の形態に従うFLL回路22の概略の回路構成を示す図である。 この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1における送信電流および発生する2次磁場を説明するための時間波形である。 FLL回路の動作原理を説明するための図である。 この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1において発生する磁場の時間波形である。 SQUID20における磁場の時間的変化を示す模式図である。 この発明の実施の形態に従うSQUID20が出力する測定信号の時間波形である。 この発明の実施の形態に従うFLL回路から出力される測定信号の一例を示す時間波形である。 この発明の実施の形態に従うFLL回路から出力される測定信号の一例を示す時間波形である。 この発明の実施の形態に従うデータ処理装置3の概略のハードウェア構成を示す模式図である。 この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1のデータ処理に係る制御構造を示すブロック図である。 この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1によって取得された探査結果の一例を従来例と比較して示すグラフである。 この発明の実施の形態に従う電磁探査装置1における処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 電磁探査装置、2 検出部、3 データ処理装置、20 SQUID、21 フィードバックコイル、22 FLL回路、24 容器部、26 真空層、28 蓋部、40 コントローラ、42 変換部、44 パルス発振部、46 送信機、48 送信ループコイル、221 差動増幅器、222,226 演算増幅器、223 コンデンサ、224,225 抵抗器、227 可変抵抗器、304 ディスプレイ部、306 インターフェイス部、308 入力部、310 ハードディスク部、312 メモリ部、314 CD−ROMドライブ、314a CD−ROM、316 FDDドライブ、316a フレキシブルディスク、352 送信制御部、354 バッファ部、356 抽出部、358 判断部、360 正規化部、362 出力部、370 データ格納部、JJ ジョセフソン接合、LN2 液体窒素。

Claims (6)

  1. 探査対象に向けて周期性の変動磁場を発生する送信部と、
    SQUIDを含み、前記探査対象に応じて発生する磁場を検出する検出部と、
    前記検出部による検出結果を収集するデータ処理装置とを備え、
    前記検出部は、
    前記SQUIDに入力する外部磁場を打ち消すための磁場を発生するフィードバックコイルと、
    前記SQUIDが発生する電圧に応じて前記フィードバックコイルに電流を供給するフィードバック回路部とを含み、
    前記データ処理装置は、
    前記検出部によって連続的に検出された磁場のデータから、前記変動磁場の各周期に対応付けて、複数の時間データを生成する時間データ生成手段と、
    前記複数の各時間データのうち、所定の基準値に対して所定量のずれが生じている時間データを除外する除外手段と、
    前記複数の各時間データのうち、除外されなかった残余の時間データに基づいて、前記探査対象を示す探査結果を出力する出力手段とを含む、電磁探査装置。
  2. 前記所定量は、前記SQUIDの単一磁束量子に相当する出力電圧に基づいて定められる、請求項1に記載の電磁探査装置。
  3. 前記変動磁場の時間波形は、ゼロ区間を挟んで正方向パルスと負方向パルスとが周期的に繰返されるパルス波形であり、
    前記除外手段は、前記正方向パルスがゼロへ戻るタイミングから所定期間前における値と、前記負方向パルスがゼロへ戻るタイミングから同一の所定期間前における値とに基づいて、前記所定量のずれが生じているか否かを判断する、請求項1または2に記載の電磁探査装置。
  4. 前記変動磁場の時間波形は、ゼロ区間を挟んで正方向パルスと負方向パルスとが周期的に繰返されるパルス波形であり、
    前記除外手段は、前記正方向パルスがゼロへ戻るタイミングから所定期間経過時における値と、前記負方向パルスがゼロへ戻るタイミングから同一の所定期間経過時における値とに基づいて、前記所定量のずれが生じているか否かを判断する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁探査装置。
  5. 前記出力手段は、前記残余の時間データを対応の時間毎に平均化することで前記探査結果を算出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁探査装置。
  6. 電磁探査装置における電磁探索データ処理方法であって、
    前記電磁探査装置は、
    探査対象に向けて周期性の変動磁場を発生する送信部と、
    SQUIDを含み、前記探査対象に応じて発生する磁場を検出する検出部とを備え、
    前記検出部は、
    前記SQUIDに入力する外部磁場を打ち消すための磁場を発生するフィードバックコイルと、
    前記SQUIDが発生する電圧に応じて前記フィードバックコイルに電流を供給するフィードバック回路部とを含み、
    前記電磁探索データ処理方法は、
    前記検出部によって連続的に検出された磁場のデータを収集するステップと、
    前記連続的に検出された磁場のデータから、前記変動磁場の各周期に対応付けて、複数の時間データを生成するステップと、
    前記複数の各時間データのうち、所定の基準値に対して所定量のずれが生じている時間データを除外するステップと、
    前記複数の各時間データのうち、除外されなかった残余の時間データに基づいて、前記探査対象を示す探査結果を出力するステップとを備える、電磁探索データ処理方法。
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