JP2009078471A - 樹脂成形品の成形方法及び成形装置 - Google Patents

樹脂成形品の成形方法及び成形装置 Download PDF

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満晴 金子
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Abstract

【課題】より確実に、気泡セルの成長を局所的に抑制すること。
【解決手段】発泡性の溶融樹脂をキャビティ内に充填した後、前記キャビティを形成する第1コアに隣接する第2コアをコアバックして前記キャビティの容積を部分的に拡大する樹脂成形品の成形方法において、前記第2コアが、第1コアバック部と、前記第1コアに隣接して前記第1コアバック部と前記第1コアとの間に介在し、前記第1コアバック部と分離して設けた第2コアバック部と、を有し、前記第2コアバック部のコアバック量を、前記第1コアバック部のコアバック量よりも小さくしたことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂成形品の成形技術に関するものである。
樹脂成形品の成形方法として、金型内に形成されたキャビティ内に発泡性の溶融樹脂を充填して樹脂成形品を成形する射出成形方法が実用化されている。この射出成形方法では、キャビティを形成するコアをコアバックしてキャビティ内の容積を拡大することで、溶融樹脂の発泡を促進することができる。溶融樹脂の発泡を促進することで、樹脂成形品内に気泡セルが形成されて、樹脂成形品の軽量化を図ることができる。気泡セルが大きくなると、樹脂成形品の軽量化の点では有利であるが、強度が落ちる場合がある。
例えば、図8(a)に示すようなボルト孔101を有する樹脂成形品100の場合、ボルト締結時にボルト孔101の周囲部分102が座屈してしまい、必要な締結力が得られない場合がある。この場合、気泡セルの成長を抑制して樹脂成形品を成形し、強度向上を図ることも可能であるが、強度が要求されない部位においても一様に気泡セルの成長を抑制することは、軽量化の点で望ましくない。
そこで、気泡セルの成長を抑制したい部位においてはコアバックをせず、その周囲をコアバックすることで、局所的に気泡セルの成長を抑制することが提案されている(例えば特許文献1)。図8(b)は、この種の成形方法の説明図であり、図8(a)に示した樹脂成形品100のボルト孔101周辺の成形部位を示した図である。同図左において、金型が固定型110と、可動型120とにより構成され、固定型110と可動型120とが形成するキャビティ内に発泡性の溶融樹脂130が充填されている。可動型は、コアバックしない固定コア121と、コアバックする可動コア122とを有する。
しかして、図8(b)右に示すように、可動コア122をコアバックすると、溶融樹脂130のうち、可動コア122に面する部分においては溶融樹脂130の気泡セルの成長が促進されるが、固定コア121に面する部分においては溶融樹脂130の気泡セルの成長が抑制され、よりソリッドに成形できる。
特開平11−156881号公報
しかし、図8(b)に示す方法であっても、固定コア121に面する部分で成形された、樹脂成形品の部分の強度が十分でない場合があった。その原因について探求したところ、図9に示すように、可動コア122のコアバックによる溶融樹脂の圧力低下により、固定コア121に面する部分の溶融樹脂130が可動コア122側に引きずられて密度が低下し、発泡が十分に抑制できない場合があることが分かった。
本発明の目的は、より確実に、気泡セルの成長を局所的に抑制することにある。
本発明によれば、発泡性の溶融樹脂をキャビティ内に充填した後、前記キャビティを形成する第1コアに隣接する第2コアをコアバックして前記キャビティの容積を部分的に拡大する樹脂成形品の成形方法において、前記第2コアが、第1コアバック部と、前記第1コアに隣接して前記第1コアバック部と前記第1コアとの間に介在し、前記第1コアバック部と分離して設けた第2コアバック部と、を有し、前記第2コアバック部のコアバック量を、前記第1コアバック部のコアバック量よりも小さくしたことを特徴とする樹脂成形品の成形方法が提供される。
また、本発明によれば、発泡性の溶融樹脂を充填するキャビティを形成する第1コアと、前記第1コアに隣接して設けられ、前記キャビティを形成する第2コアと、前記溶融樹脂を前記キャビティに充填した後、前記第2コアをコアバックして、前記キャビティの容積を部分的に拡大するコアバック手段と、を備えた樹脂成形品の成形装置において、前記第2コアが、第1コアバック部と、前記第1コアに隣接して前記第1コアバック部と前記第1コアとの間に介在し、前記第1コアバック部と分離して設けた第2コアバック部と、を有し、前記コアバック手段は、前記第2コアバック部のコアバック量が前記第1コアバック部のコアバック量よりも小さくなるように前記第1及び第2コアバック部をコアバックすることを特徴とする樹脂成形品の成形装置が提供される。
本発明の樹脂成形品の成形方法及び成形装置では、前記第2コアバック部のコアバック量を、前記第1コアバック部のコアバック量よりも小さくすることにより、前記溶融樹脂のうち、前記第1コアに面する部分が、前記第2コアのコアバックに引きずられることを抑制し、これにより当該部分の気泡セルの成長を、より確実に抑制できる。したがって、より確実に、気泡セルの成長を局所的に抑制することができる。
本発明においては、前記第1及び第2コアバック部の各々のキャビティ形成面が、コアバック後に連続するように、前記第1及び第2コアバック部のコアバック前の位置を設定してもよい。この構成によれば、前記第1及び第2コアバック部の境界部分における樹脂成形品の平滑性を向上でき、外観及び強度を向上できる。
また、本発明においては、前記第2コアバック部を、前記第1コアの周囲を囲包するように設けてもよい。この構成によれば、前記溶融樹脂のうち、前記第1コアに面する部分の全体に渡って気泡セルの成長を抑制でき、更に確実に気泡セルの成長を局所的に抑制することができる。
また、本発明においては、前記溶融樹脂が物理発泡剤を含有したものであってもよい。物理発泡剤は、微細気泡セルを形成し易く、強度向上の点で好適である一方、発泡圧が高いために上記課題が生じ易いところ、本発明によれば、より確実に気泡セルの成長を局所的に抑制することができる。物理発泡剤としては、超臨界状態の流体が挙げられる。この場合、より微細な気泡セルを形成することができる。
以上述べた通り、本発明によれば、より確実に、気泡セルの成長を局所的に抑制することができる。
<第1実施形態>
図1(a)は本発明の一実施形態に係る樹脂成形品の成形装置Aの概略図である。成形装置Aは射出装置10と型締め装置20と超臨界ガス発生装置30とを備える。射出装置10は樹脂成形品の原材料となる樹脂材料が投入されるホッパー11と、ホッパー11に投入された樹脂材料の移送、圧縮、混練、溶融、計量等を行うスクリューシリンダ12と、スクリューシリンダ12を駆動する駆動部13と、スクリューシリンダ12内の溶融樹脂を型締め装置20内の金型内へ射出するノズル14と、を備える。このような射出装置10の構成は公知の射出装置と同様の構成とすれば足りる。
超臨界ガス発生装置30は、ボンベ31に充填された炭酸ガスや窒素ガス等のガスを超臨界状態の不活性ガスに遷移させる装置である。超臨界ガス発生装置30により発生した超臨界ガスは注入装置32を介してスクリューシリンダ12内に導入され、スクリューシリンダ12内の溶融樹脂に溶解される。超臨界ガスが溶融した溶融樹脂は型締め装置20内の後述する金型内に射出されることになる。
このように本実施形態では、超臨界状態の流体を溶融樹脂に含有することで、溶融樹脂に発泡性を付与するが、他の物理発泡剤或いは化学発泡剤を溶融樹脂に含有してもよい。しかし、物理発泡剤は微細気泡セルを形成し易く、超臨界状態の流体は特に微細な気泡セルを形成することができる。したがって、強度に代表される樹脂成形品の物性向上の点で、物理発泡剤、特に超臨界状態の流体が好ましい。物理発泡剤は発泡圧が高いが、これから述べる本実施形態によれば、局所的に気泡セルの成長をより確実に抑制できる。
なお、溶融樹脂としては補強繊維(例えば、ガラス繊維やカーボン繊維等)を含有したものも採用できる。補強繊維を混入しておくことで、コアバック前に樹脂流動に基づき流動方向に沿って強制的に配向された補強繊維の内部応力がコアバックに伴って開放され、その配向が開放されて溶融樹脂の見かけ上の体積が増加し(スプリングバック現象)、溶融樹脂の発泡の促進を図ることができる。したがって、全体としては発泡を促進しながら、これから述べる本実施形態により、局所的に発泡を抑制できる。
次に、型締め装置20内に収納される金型構造について説明する。図1(b)は成形装置Aの金型構造Bの概略図であり、コアバック前の状態を示す。本実施形態では、図8(a)に示すボルト孔101を有するような樹脂成形品を成形することを想定し、ボルト孔101の周囲部分102を、よりソリッドに(ほとんど発泡がない状態に又は若干の発泡はあるものの発泡が抑制された状態に)成形する場合を想定する。無論、本発明は他の樹脂成形品の成形に適用できることは言うまでもない。よりソリッドにする部分としては、強度が要求される締結部位の他、他の部品と溶着する部位、寸法精度が要求される部位(例えば、他の部品との合わせ部)が挙げられる。寸法精度が要求される部位を、よりソリッドにする利点は、一般にコアバックによるキャビティ容積の拡大により気泡セルの成長を促すと、樹脂成形品に欠け等が生じる場合があり、寸法精度を確保できない場合があるところ、よりソリッドに形成すると、このような問題を回避し易いからである。
金型構造Bは、固定型40と可動型50とを備える。可動型50は図示しないアクチュエータによって全体として移動可能に構成され、固定型40に対して型締め又は型割が行われることになる。固定型40と可動型50との間には、キャビティ60が形成されている。固定型40にはノズル14から射出される溶融樹脂の導入部となるゲート部41が形成されており、このゲート部41から溶融樹脂がキャビティ60内に充填されることになる。
可動型50は、本体部51と、本体部51内に収容した固定コア52と、可動コア53と、を有する。本書において、固定コアとは、キャビティ60の容積を拡大させるコアバックを行わないコアをいい、可動コアとはキャビティ60の容積を拡大させるコアバックを行うコアをいう。
固定コア52は、ボルト孔101及び周囲部分102に相当する部分を形成するキャビティ形成面52aを有する。可動コア53は2つに分割されており、互いに分離した(別体とした)コアバック部53aと、コアバック部53bとから構成されている。コアバック部53a、53bは、それぞれ、キャビティ形成面53a’、53b’を有している。
コアバック部53bは固定コア52に隣接して設けられ、その内側面は固定コア52の側面に摺接する。コアバック部53bは、また、コアバック部53aと固定コア52との間に介在しており、その外側面はコアバック部53aの内側面に摺接する。図2(a)は図1(b)の線X−Xに沿う、固定コア52周辺の断面図である。
同図に示すように、本実施形態の場合、コアバック部53bを、固定コア52の周囲を囲包するように、その全周に渡って連続的に設けている。したがって、コアバック部53bは、固定コア52の全周に渡ってコアバック部53aと固定コア52との間に介在している。
図1(b)に戻り、油圧アクチュエータ70は、固定コア52を固定型40に押し付けるアクチュエータである。本実施形態では油圧アクチュエータ70により固定コア52を固定型40に成形中押し付けるようにしているが、固定コア52を本体部51に固定した構成も採用可能である。
油圧アクチュエータ71はコアバック部53aをコアバックするアクチュエータであり、一対の油圧アクチュエータ72は、コアバック部53aとは独立してコアバック部53bをコアバックするアクチュエータであり、これらはキャビティ60の容積を部分的に拡大するコアバック手段として機能する。なお、これらのアクチュエータ70乃至72は油圧アクチュエータ以外のアクチュエータ(例えば電動アクチュエータ)でもよい。
各アクチュエータ70乃至72の動作は、制御弁73の切り換えにより制御される。制御弁73は、例えば、電磁弁であり、各アクチュエータ70乃至72への作動油の供給を切り換える。制御弁73の切替は制御部74が制御する。制御部74は制御弁73を逐次切り替えるシーケンス回路や、或いは、CPU、RAM、ROM、インターフェース等からなる制御回路である。コアバック部53a、53bのコアバック量は、油圧アクチュエータ71、72の最大伸縮量とし、目的とするコアバック量に応じた最大伸縮量を有するアクチュエータを用いるようにしてもよいし、制御弁73の切り換えにより調節してもよい。
次に、金型構造Bによる成形動作について説明する。図3(a)及び(b)は金型構造Bの要部の動作説明図である。図3(a)は、キャビティ60内に溶融樹脂を充填した直後の状態を示す。コアバック部53a、53bはコアバック前の初期位置にあり、キャビティ形成面53a’及び53b’は略面一である。
図3(b)は、図3(a)の状態からコアバック部53a、53bを油圧アクチュエータ71、72によりコアバックし、完了した状態を示す。コアバック部53a、53bは同時にコアバックしても順次にコアバックしてもいずれでもよい。
線L1はコアバック部53a、53bの初期位置を示し、線L2はコアバック部53aのコアバック後の位置(キャビティ形成面53a’の位置)を、線L3はコアバック部53bのコアバック後の位置(キャビティ形成面53b’の位置)を、それぞれ示す。したがって、線L1と線L2の距離がコアバック部53aのコアバック量であり、線L1と線L3の距離がコアバック部53bのコアバック量である。コアバック部53bの方が、コアバック部53aよりもコアバック量を小さくしている。
コアバック部53bのコアバック量を小さくすることで、溶融樹脂のうち、固定コア52に面する部分(キャビティ形成面52aと固定型40とに囲まれる部分)の溶融樹脂が可動コア53側に引きずられることが抑制される。つまり、固定コア52に面する部分の周囲においては、コアバックによるキャビティ60の容積拡大量を小さくして、溶融樹脂の膨張を小さくすることで、溶融樹脂の引きずり、圧力低下を抑制する。
こうして、本実施形態では固定コア52に面する部分の溶融樹脂の気泡セルの成長を、より確実に抑制し、気泡セルの成長を局所的に抑制することができる。特に、本実施形態では、コアバック部53bを、固定コア52の周囲を囲包するように設けているので、固定コア52に面する部分全体について気泡セルの成長を抑制できる。
なお、本実施形態では、コアバック部53bを、固定コア52の周囲を囲包するように設けたが、固定コア52の周囲に部分的に設けてもよい。図2(b)はコアバック部53bに代えてコアバック部153bを設けた例を示す。同図は図1(b)の線X−Xに沿う断面形状に相当する。固定コア152は上記の固定コア52に相当し、コアバック部153aは上記のコアバック部53aに相当する。
同図の例では、コアバック部153bを間欠的に設けており、コアバック部153aの一部は固定コア52に摺接している。同図の例の場合、コアバック部153bの欠落部分においては、気泡の成長抑制効果が低下することになるが、固定コア152に面する部分の溶融樹脂の気泡の成長を概ね抑制することができ、コアバック部153aのみから可動コア53を構成した場合よりも、固定コア152に面する部分の溶融樹脂を、よりソリッドに成形できる。
図2(c)も、コアバック量を小さくするコアバック部を固定コアの周囲に部分的に設けた例を示し、やはり図1(b)の線X−Xに沿う断面形状に相当する。同図の例では、固定コア252に面する部分の溶融樹脂のうち、特に、破線で囲む領域R近傍の溶融樹脂を、よりソリッドとすることを目的とした場合を想定している。このため、コアバック量を小さくするコアバック部253bは領域R近傍にのみ設け、コアバック量が大きいコアバック部253aは、領域R近傍以外の部分においてはコアバック部253bが介在せず、固定コア252に摺接するようにしている。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、コアバック完了後のコアバック部53a及び53bのキャビティ形成面53a’、53b’に段差があり(図3(b))、樹脂成形品の表面にはこの段差に相当する段差が形成されることになるが、樹脂成形品によってはその表面を平滑にした場合もある。本実施形態では、このような段差を解消する。
図4(a)及び(b)は本実施形態における、上記金型構造Bの要部の動作説明図である。図4(a)は、キャビティ60内に溶融樹脂を充填した直後の状態を示す。コアバック部53a、53bはコアバック前の初期位置にあり、この初期位置は、以下に述べるように、コアバック部53a及び53bの各々のキャビティ形成面53a’及び53b’が、コアバック後に連続するように設定する。
線L11は初期位置におけるキャビティ形成面53a’の位置を、線L12は初期位置におけるキャビティ形成面53b’の位置を、それぞれ示す。線L11と線L12との距離は、コアバック部53a及び53bの各コアバック量の差分に設定する。
図4(b)は、図4(a)の状態からコアバック部53a、53bを油圧アクチュエータ71、72によりコアバックし、完了した状態を示す。線L13は、コアバック部53a及び53bの各キャビティ形成面53a’及び53b’のコアバック完了後の位置を示す。各キャビティ形成面53a’及び53b’は互いに連続している。
したがって、樹脂成形品の表面には、キャビティ形成面53a’及び53b’の境界部分の段差がほとんど生じず、樹脂成形品表面の平滑性を向上できる。また、段差がないことで応力集中等も生じにくくなるので強度も向上できる。なお、本実施形態では、キャビティ形成面53a’及び53b’が平坦面で連続しているが、曲面で連続する場合にも同様に本実施形態を適用できる。
線L11と線L13の距離がコアバック部53aのコアバック量であり、線L12と線L13の距離がコアバック部53bのコアバック量である。コアバック部53bの方が、コアバック部53aよりもコアバック量を小さくしている。したがって、上記第1実施形態と同様に固定コア52に面する部分について気泡セルの成長を抑制できる。
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、可動コア53を2分割構成としたが、3分割以上としてもよい。この場合、固定コア51に相対的に近いコアバック部のコアバック量を相対的に小さくすることができる。図5(a)及び(b)は本実施形態における、上記金型構造Bの要部の動作説明図である。図5(a)は、キャビティ60内に溶融樹脂を充填した直後の状態を示す。本実施形態では可動コア53を3分割して、コアバック部53a乃至53cから構成している。
コアバック部53bは固定コア52に隣接し、コアバック部53cと固定コア52との間に介在している。コアバック部53cはコアバック部53aとコアバック部53bとの間に介在している。図5(a)において、コアバック部53a乃至53cはコアバック前の初期位置にあり、各キャビティ形成面53a’、53b’及び53c’は略面一である。
図5(b)は、図5(a)の状態からコアバック部53a乃至53cをコアバックし、完了した状態を示す。線L21はコアバック部53a乃至53cの初期位置を示し、線L22はコアバック部53aのコアバック後の位置(キャビティ形成面53a’の位置)を、線L23はコアバック部53cのコアバック後の位置(キャビティ形成面53c’の位置)を、線L24はコアバック部53bのコアバック後の位置(キャビティ形成面53b’の位置)を、それぞれ示す。したがって、線L21と線L22の距離がコアバック部53aのコアバック量であり、線L21と線L23の距離がコアバック部53cのコアバック量であり、線L21と線L24の距離がコアバック部53bのコアバック量である。
コアバック量は、コアバック部53aが最も大きく、コアバック部53bが最も小さい。コアバック部53bのコアバック量が小さいことから、上記第1実施形態と同様に固定コア52に面する部分について気泡セルの成長を抑制できる。
本実施形態は全体としてコアバック量を大きく取りたい場合に有効である。すなわち、上記第1実施形態において、コアバック部53aのコアバック量をより大きくしたい場合、コアバック部53bとのコアバック量の差も大きくなり、コアバック部53aのコアバック部による溶融樹脂の引きずりの影響が、固定コア52に面する部分の溶融樹脂にも及ぶおそれがある。これに対して本実施形態では、可動コア53の分割数を増やして、固定コア51に相対的に近いコアバック部のコアバック量を相対的に小さくすることで、コアバック部53aによる溶融樹脂の引きずりの影響が、固定コア52に面する部分の溶融樹脂に及ぶことを抑制できる。
なお、本実施形態と上記第2実施形態とを組み合わせることができることはいうまでもない。
<第4実施形態>
上記第1実施形態では固定コア52を可動型50に設けたが、固定型40に設けることもできる。図6(a)及び(b)は本実施形態における、上記金型構造Bの要部の動作説明図である。図6(a)は、キャビティ60内に溶融樹脂を充填した直後の状態を示す。可動コア53は、コアバック部353a、353bと、非押し付け部353cと、を有する。固定型40’は、固定コア352を有する。固定コア352は不図示のアクチュエータにより、成形中、非押し付け部353cに押し付けられる。
コアバック部353bは固定コア352に隣接しているが、固定コア352に摺接しない。コアバック方向で見た場合、コアバック部353bは、コアバック部353aと固定コア352との間に介在している。
コアバック時には非押し付け部353cもコアバックされるが、固定コア352が常時押し付けられているため、キャビティ60の容積拡大に寄与しない。したがって、非押し付け部353cは本書におけるコアバック部ではない。
図6(a)において、コアバック部353a、353bはコアバック前の初期位置にある。線L31は初期位置におけるコアバック部353aのキャビティ形成面の位置を、線L32は初期位置におけるコアバック部353bのキャビティ形成面の位置を、それぞれ示す。本実施形態では、線L31と線L32との距離を、コアバック部353a及び353bの各コアバック量の差分に設定し、上記第2実施形態のように樹脂成形品の表面を平滑にする。
図6(b)は、図6(a)の状態からコアバック部353a及び353b並びに非押し付け部353cをコアバックし、完了した状態を示す。線L33は、コアバック部353a及び353bの各キャビティ形成面のコアバック完了後の位置を示す。線L31と線L33の距離がコアバック部353aのコアバック量であり、線L32と線L33の距離がコアバック部353bのコアバック量である。コアバック部353bの方が、コアバック部353aよりもコアバック量を小さくしている。したがって、上記第1実施形態と同様に固定コア52に面する部分について気泡セルの成長を抑制できる。また、コアバック部353a及び353bの各キャビティ形成面がコアバック完了時に連続していることから、樹脂成形品の表面の平滑性を向上できる。
なお、非押し付け部353cは、本実施形態の場合、コアバック部353aと等量移動とし、これに伴って固定コア352も移動している。
<第5実施形態>
上記各実施形態では、各コアバック部にそれぞれ油圧アクチュエータを設け、独立してコアバックするようにしたが、各コアバック部をコアバック途中で係合させることで、油圧アクチュエータの数を減らすことができる。
図7(a)は、金型構造Bに代わる本実施形態における金型構造Cの概略図である。上記第1実施形態における金型構造Cと同じ構成については図中、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成のみ説明する。
本実施形態では、可動コア53が、コアバック部453a、453bを有し、これらは上記第1実施形態のコアバック部53a、53bに相当する。但し、本実施形態では、コアバック部453bには油圧アクチュエータを設けておらず、コアバック部453aにのみ油圧アクチュエータ70を設けている。
コアバック部453bの外側面には、当該外側面から突出した係合部453b’を設けている。コアバック部453aの内側面には、係合部453b’が挿入される溝部453a’を設けている。溝部453はコアバック方向に所定の幅を有している。
図7(a)では、コアバック部453a及び453bがコアバック前の初期位置にあり、溝部453a’の固定型40側の内端面と、溝部453の固定型40の端面との間には一定の初期離間距離が開けられている。この初期離間距離は、コアバック部453a及び453bのコアバック量の差分に設定する。すなわち、コアバック部453bのコアバック量は、コアバック部453aのコアバック量よりも少なくし、両者の差分に初期離間距離を設定する。
しかして、油圧アクチュエータ71によりコアバック部453aをコアバックすると、当初の段階ではコアバック部453bはコアバックしないが、コアバック部453aのコアバック量が上記初期離間距離に達すると、図7(b)に示すように、溝部453a’の固定型40側の内端面と、溝部453の固定型40の端面とが係合し、コアバック部453bもコアバックすることになる。この結果、コアバック部453bのコアバック量を、コアバック部453aのコアバック量よりも少なくすることができ、かつ、油圧アクチュエータの数を減らすことができる。
(a)は本発明の一実施形態に係る樹脂成形品の成形装置Aの概略図、(b)は成形装置Aの金型構造Bの概略図である。 (a)は図1(b)の線X−Xに沿う、固定コア52周辺の断面図、(b)及び(c)はコアバック部等の他の構成例を示す断面図である。 (a)及び(b)は金型構造Bの要部の動作説明図である。 (a)及び(b)は、第2実施形態における、金型構造Bの要部の動作説明図である。 (a)及び(b)は、第3実施形態における、金型構造Bの要部の動作説明図である。 (a)及び(b)は、第4実施形態における、金型構造Bの要部の動作説明図である。 (a)は、第5実施形態における金型構造Cの概略図、金型構造Cの動作説明図である。 (a)は樹脂成形品100の部分斜視図、(b)は従来の成形方法の説明図である。 従来の成形方法の問題点を説明した図である。
符号の説明
A 成形装置
B 金型構造
52 固定コア
53 可動コア
53a、53b コアバック部
60 キャビティ

Claims (10)

  1. 発泡性の溶融樹脂をキャビティ内に充填した後、前記キャビティを形成する第1コアに隣接する第2コアをコアバックして前記キャビティの容積を部分的に拡大する樹脂成形品の成形方法において、
    前記第2コアが、
    第1コアバック部と、
    前記第1コアに隣接して前記第1コアバック部と前記第1コアとの間に介在し、前記第1コアバック部と分離して設けた第2コアバック部と、を有し、
    前記第2コアバック部のコアバック量を、前記第1コアバック部のコアバック量よりも小さくしたことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
  2. 前記第1及び第2コアバック部の各々のキャビティ形成面が、コアバック後に連続するように、前記第1及び第2コアバック部のコアバック前の位置を設定したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法。
  3. 前記第2コアバック部を、前記第1コアの周囲を囲包するように設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形品の成形方法。
  4. 前記溶融樹脂が物理発泡剤を含有したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂成形品の成形方法。
  5. 前記物理発泡剤が超臨界状態の流体であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂成形品の成形方法。
  6. 発泡性の溶融樹脂を充填するキャビティを形成する第1コアと、
    前記第1コアに隣接して設けられ、前記キャビティを形成する第2コアと、
    前記溶融樹脂を前記キャビティに充填した後、前記第2コアをコアバックして、前記キャビティの容積を部分的に拡大するコアバック手段と、
    を備えた樹脂成形品の成形装置において、
    前記第2コアが、
    第1コアバック部と、
    前記第1コアに隣接して前記第1コアバック部と前記第1コアとの間に介在し、前記第1コアバック部と分離して設けた第2コアバック部と、を有し、
    前記コアバック手段は、前記第2コアバック部のコアバック量が前記第1コアバック部のコアバック量よりも小さくなるように前記第1及び第2コアバック部をコアバックすることを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
  7. 前記第1及び第2コアバック部の各々のキャビティ形成面が、コアバック後に連続するように、前記第1及び第2コアバック部のコアバック前の位置を設定したことを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形品の成形装置。
  8. 前記第2コアバック部を、前記第1コアの周囲を囲包するように設けたことを特徴とする請求項6又は7に記載の樹脂成形品の成形装置。
  9. 前記溶融樹脂が物理発泡剤を含有したものであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の樹脂成形品の成形装置。
  10. 前記物理発泡剤が超臨界状態の流体であることを特徴とする請求項9に記載の樹脂成形品の成形装置。
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