JP2009077130A - 超音波振動子 - Google Patents
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Abstract
【課題】水中用の探触子などとしての用途に適していると共に、超音波の送受信を直接的に行う構成部以外での不要な振動の発生を抑制できる超音波振動子を提供する。
【解決手段】本発明の超音波振動子1は、圧電素子8、9、10、11と、圧電素子8、9、10、11を挟持する前面板2及び裏打板3と、裏打板3に固定され、この裏打板3よりも硬度の低い緩衝部材6と、前面板2に固定されていると共に超音波送受信面7を先端面に有し、かつ固有音響インピーダンスの値が前面板2と水との間の値を示す音響整合部材5とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の超音波振動子1は、圧電素子8、9、10、11と、圧電素子8、9、10、11を挟持する前面板2及び裏打板3と、裏打板3に固定され、この裏打板3よりも硬度の低い緩衝部材6と、前面板2に固定されていると共に超音波送受信面7を先端面に有し、かつ固有音響インピーダンスの値が前面板2と水との間の値を示す音響整合部材5とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧電素子の電気歪みにより超音波振動を発生させることの可能な超音波振動子に関する。
図9に示すように、従来のボルト締めランジュバン型の超音波振動子51は、例えば一対の金属ブロックからなる前面板52及び裏打板53によって、圧電セラミック54、55を電極板56と共に挟み込み、それらをナット58及びボルト57を通じて締め付けることなどで構成されている(例えば、非特許文献1参照)
また、上記の超音波振動子51を構成する前面板52の出力側(先端部分)60には、例えばホーンなどを取り付けるための連結ねじ(雌ねじ)59が設けられている。
超音波工学(電子情報技術産業協会 編/コロナ社)P.12
超音波工学(電子情報技術産業協会 編/コロナ社)P.12
しかしながら、このような超音波振動子51を、例えば魚群探知機の探触子などとして適用する場合、次のような課題が発生する。
すなわち、隣接する媒質どうしの固有音響インピーダンスの違いが原因となり、金属でできた前面板52先端側の超音波送受信面とこの超音波送受信面を浸漬させている水との界面で起こる反射の影響で、超音波の伝播が著しく妨げられる。
すなわち、隣接する媒質どうしの固有音響インピーダンスの違いが原因となり、金属でできた前面板52先端側の超音波送受信面とこの超音波送受信面を浸漬させている水との界面で起こる反射の影響で、超音波の伝播が著しく妨げられる。
また、前面板52及び裏打板53を金属材料で構成している超音波振動子51は、特性的には、使用可能な周波数範囲が狭くなるため、探触子として用いる場合には、前記した周波数の適用範囲(反射エコーを受信可能な周波数帯域)の広帯域化を図る必要がある。さらに、超音波の直接的な送受信が行われない例えば裏打板53側では不要振動を除去することなども要求される。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、水中用の探触子などとしての用途に適していると共に、例えば超音波の送受信を直接的に行う構成部以外での不要な振動の発生を抑制することができる超音波振動子の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波振動子は、圧電素子と、前記圧電素子を挟持する一対の挟持部材と、一方の前記挟持部材に固定され、この一方の挟持部材よりも硬度の低い緩衝部材と、他方の前記挟持部材に固定されていると共に超音波の送受信部を端部に有し、かつ固有音響インピーダンスの値が前記他方の挟持部材と水との間の値を示す音響整合部材と、を具備することを特徴とする。
すなわち、本発明では、異なる媒質どうしの界面において固有音響インピーダンスの相違により生じる反射の影響を、音響整合部材により低減できるので、例えば水中から音響整合部材を介して前記他方の挟持部材へと(又はその逆の順番で)それぞれ伝播される超音波の伝播効率を高めることができ、被検出物からの反射エコーなどを効率良く受信することができる。
また、本発明では、水との固有音響インピーダンスの整合のために比較的軟らかい材質が適用される音響整合部材を、前記他方の挟持部材に固定すると共に、一方の挟持部材にこの部材よりも硬度の低い緩衝部材を固定したので、超音波振動子本体を構成する機械振動系全体の振動エネルギの分散が大きくなり、超音波振動子本体のQ値を低減させることができる。これにより、本発明の超音波振動子は、使用可能な周波数範囲の広帯域化が図られ、水中用の探触子などとして利用する場合に有用となる。また、本発明では、超音波の送受信部から遠い側の一方の挟持部材に上述した緩衝部材が固定されているので、この緩衝部材により、当該一方の挟持部材側にて発生する不要振動を除去することができる。
本発明によれば、水中用の探触子などとしての用途に適していると共に、例えば超音波の送受信を直接的に行う構成部以外での不要な振動の発生を抑制することの可能な超音波振動子を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波振動子1を一部断面で示す正面図である。
同図に示すように、この実施形態の超音波振動子1は、いわゆるランジュバン型の超音波振動子であって、魚群探知機や超音波流量計などの水中で用いる超音波機器の振動源として有用なものである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波振動子1を一部断面で示す正面図である。
同図に示すように、この実施形態の超音波振動子1は、いわゆるランジュバン型の超音波振動子であって、魚群探知機や超音波流量計などの水中で用いる超音波機器の振動源として有用なものである。
すなわち、この超音波振動子1は、図1に示すように、全体がほぼ円柱形状に形成されており、圧電素子8、9、10、11と、各々金属ブロックで構成される一対の挟持部材としての前面板2及び裏打板3と、音響整合部材5と、ダンパ材としての緩衝部材6と、電極板14、15、16、17、18と、ボルト12とを備える。
圧電素子8、9、10、11は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やチタン酸バリウムなどの圧電セラミックス材料を用い、外形が、円板形状や矩形の平板形状に形成されており、中央部分にボルト12を挿通させるための貫通穴が設けられている。また、圧電素子8、9、10、11は、それぞれ厚さ方向に分極されており、正極又は負極の電極を表面又は裏面に有する。
また、圧電素子8、9、10、11は、電極板14、15、16、17、18の間に一枚ずつ介在されており、介在されたこれらの圧電素子8、9、10、11は、電気的に並列に接続されている。電極板14、15、16、17、18の中央部分にも、ボルト12を挿通させるための貫通穴が設けられている。ここで、図1に示すように、超音波振動子1本体の長手方向のほぼ中央にある電極板16は、超音波振動子1のノード位置(振動節の位置)19に設けられている。この電極板16は、魚群探知機などの超音波機器の筐体に対し、超音波振動子1本体を振動源(内部部品)として取り付ける場合の被取付部分(超音波機器の筐体に設けられた凹部と嵌合させる凸部)として適用される。
一方の挟持部材としての裏打板3及び他方の挟持部材としての前面板2は、ステンレス鋼である例えばSUS304などを用いて各々円柱状に(少なくとも前面板2は長手方向の各部が同一直径で)形成されており、電極板14、15、16、17、18と共に圧電素子8、9、10、11を両側から挟持する。詳述すると、前面板2及び裏打板3の中央部には、ボルト12のねじ部(雄ねじ)に対応する雌ねじが形成されたねじ穴2a、3aが設けられている。つまり、電極板14、15、16、17、18及び圧電素子8、9、10、11の個々の貫通穴を挿通させたボルト(ねじの頭部がなく全長にわたって雄ねじが形成されたねじ部材)12を、前面板2及び裏打板3の中央部のねじ穴2a、3aに締結していることで、各圧電素子及び各電極板は、前面板2及び裏打板3により挟持される。
バッキング材として機能する緩衝部材6は、図1に示すように、裏打板3の基端側(裏打板3において圧電素子を保持している側と逆側)に固定されており、(SUS304製の)裏打板3よりも硬度の低い材料を用いて例えば円柱状に形成されている。具体的には、緩衝部材6は、チタン酸鉛の粉末(PT粉末)を例えば55重量%含むウレタン樹脂により構成されている。緩衝部材6は、例えば接着剤などを介して裏打板3の最基端面に固定されている。
比較的軟らかい材料で構成されるこのような緩衝部材6を設けたことで、超音波振動子1本体を構成する機械振動系全体の振動エネルギの分散が大きくなり、超音波振動子1本体のQ値(振動体の共振のするどさを表わす量)を低下させることができる。これにより、本実施形態の超音波振動子1は、使用可能な周波数範囲の広帯域化、すなわち、被検出物からの反射エコーを受信するための周波数範囲が広がり、水中用の探触子として好適に用いることができる。また、超音波振動子1では、後述する超音波の送受信部から遠い側の挟持部材となる裏打板3に緩衝部材6が固定されているので、この緩衝部材6により、裏打板3側にて発生する不要振動を除去することができる。
音響整合部材5は、図1に示すように、前面板2の先端側(前面板2において圧電素子を保持している側と逆側)に接着などで固定されていると共に、超音波の送受信部となる超音波送受信面(振動放射面)7を端部(最先端面)に備え、例えば円柱形状に形成されている。また、音響整合部材5は、その固有音響インピーダンス(密度ρ×音速C)の値が、前面板2(の固有音響インピーダンス)と水(の固有音響インピーダンス)との間の値を示す材料で構成されている。具体的には、音響整合部材5の材料として、例えばガラスエポキシ樹脂などが適用されている。
したがって、この音響整合部材5を整合層として設けたことで、異なる媒質どうしの界面で生じる超音波の反射の影響を低減できるので、水中から音響整合部材5を介して前面板2へと(又はその逆の順番で)それぞれ伝播される超音波の伝播効率を向上させることができる。なお、このような音響整合部材5の材料としては、結果的に振動エネルギ自体を分散させ易い比較的軟らかい材料(一般に水と前面板との間の強度を持つ材料)が選択されることになるため、上記した緩衝部材6と協働したかたちで超音波振動子1本体におけるQ値の低減に寄与する。
ここで、本実施形態では、図1に示した超音波振動子1に代えて、図2に示す超音波振動子21により本発明を実施することも可能である。なお、図2において、図1に示した超音波振動子1が備えるものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。すなわち、この超音波振動子21は、図1に示す超音波振動子1に設けられていた前面板2、裏打板3及び音響整合部材5に代えて、前面板22、裏打板23、及び超音波送受信面27を有する音響整合部材25を備えて構成される。
図2に示すように、超音波振動子21では、電極板14、15、18、17、19の間に順に介在された圧電素子8、9、10、11は、ボルト12による締結力を通じて前面板22及び裏打板23によって挟持されている。図2に示す前面板22及び裏打板23は、図1に示す前面板2及び裏打板3と同一材料で構成されている。ただし、裏打板23は、その軸方向において、裏打板3よりも短い長さで形成されている。一方、前面板22は、軸方向において前面板2と同じ長さで形成されているものの、その径方向に沿った断面積が、基端側(圧電素子側)から先端側(超音波送受信面27側)へと向かうにつれて徐々に拡がって行く形状で形成されている。つまり、前面板22は、円錐台形状に構成されている。したがって、この超音波振動子21では、超音波の伝播経路となる前面板22の断面積が変化しているので、超音波振動子本体の周波数依存性が低下し、これにより、Q値のさらなる低減が図られている。
また、図2に示す音響整合部材25は、音響整合部材5と同一材料で構成されているものの、前面板22の最大外径と一致させるように音響整合部材5の直径を拡大させたかたちで形成されている。ここで、図1に示す超音波振動子1及び図2に示す超音波振動子21では、各々の共振周波数(本実施形態では設計値は22KHz)をλとすると、その軸方向に沿った全長L1は、例えば3/2λの長さで構成されている。また、図1及び図2に示す音響整合部材5、25及び緩衝部材6の軸方向の長さL2は、それぞれ1/4λで構成され、さらに、ノード位置19から前面板2又は裏打板3の端面までの軸方向の長さL3は、それぞれ1/2λで構成されている。
次に、このように構成された本実施形態の超音波振動子1、21により得られる作用を上述した図1、図2に加え、図3、図4に基づき検証する。ここで、図3は、実施例1、2としてそれぞれ適用される超音波振動子1、21に対し、比較例となる超音波振動子71を一部断面で示す正面図である。この比較例の超音波振動子71は、図1に示す超音波振動子1の音響整合部材5及び緩衝部材6を削除する共に、この削除した部材の長さ分、SUS304製の前面板2及び裏打板3をそれぞれ延長した(超音波送受信面77を先端に持つ)前面板72、及び裏打板73を備える。
また、図4は、実施例1、2としての超音波振動子1、21と、比較例としての超音波振動子71と、の主にQ値(Qm)及びΔFを含む特性の比較結果である。
この図4において、Q値は、次の式(1)で与えられる。
Qm=f0/(f2−f1) …式(1)
また、ΔFは、上記式(1)中の分母を表すf2−f1の値である。
この図4において、Q値は、次の式(1)で与えられる。
Qm=f0/(f2−f1) …式(1)
また、ΔFは、上記式(1)中の分母を表すf2−f1の値である。
具体的には、超音波振動子1、21、71それぞれの空中(空気中)及び水中における周波数特性、すなわち、空中及び水中において、個々の超音波振動子から発生させる振動周波数を徐々に変更していった場合の当該振動周波数とアドミッタンス値との関係を測定した。この際、アドミッタンス値のピーク値から3dB下がった値に対応する低い側の周波数をf1、高い側の周波数をf2として求めると共に、f1とf2とのちょうど中間の中心周波数をf0として求めた。さらに、求めたf1、f2、f0と上記式(1)とに基づいて、Q値(Qm)及びΔFを算出した。
さらに、次の式(2)を用いてQ値及びΔFの各々において、超音波振動子1、21、71それぞれの空中と水中との値の変化率も併せて算出した。
Q値及びΔFの変化率=(水中の値−空中の値)×100/空中の値 …式(2)
Q値及びΔFの変化率=(水中の値−空中の値)×100/空中の値 …式(2)
図4の結果から明らかなように、図1に示す実施例1の超音波振動子1は、図3に示す比較例の超音波振動子71と比べて、空中、水中ともに、ΔFが8倍以上に広がり、Q値(Qm)が1/8以下に低減された。また、図2に示す実施例2の超音波振動子21は、上記した円錐台形状の前面板22を適用したことで、図3に示す比較例の超音波振動子71と比べて、空中、水中ともに、ΔFが16倍以上に広がり、Q値(Qm)が1/16以下に低減された。
さらに、実施例1、2及び比較例の超音波振動子1、21、71において、Q値及びΔFの上記した空中から水中への変化率に着目すると、比較例よりも実施例1、2のほうが、変化率が大きいこと(ΔFが大きく広がり、Q値が大きく低減される)が明らかとなった。
以上のことから、実施例1、2の超音波振動子1、21は、使用可能な周波数範囲を広くとるために必要なΔFが大きくQ値の低い特性を有し、しかもその特性が水中での用途で顕著に表れることから、水中用の探触子として有用であることが検証された。
既述したように、本実施形態の超音波振動子1、21によれば、異なる媒質どうしの界面において固有音響インピーダンスの相違により生じる反射の影響を、音響整合部材5、25により低減できるので、例えば水中から音響整合部材5、25を介して前面板2、22へと(又はその逆順にて)各々伝播される超音波の伝播効率を高めることができ、これにより、被検出物からの反射エコーなどを効率良く受信することができる。
また、本実施形態の超音波振動子1、21によれば、水との固有音響インピーダンスの整合のために比較的軟らかい材質が適用される音響整合部材5、25を、前面板2、22に固定すると共に、裏打板3、23よりも硬度の低い緩衝部材6を当該裏打板3、23に固定したので、超音波振動子1、21本体を構成する機械振動系全体の振動エネルギの分散が大きくなり、超音波振動子1、21本体のQ値を低減させることができる。
これにより、本実施形態の超音波振動子1、21によれば、使用可能な周波数範囲の広帯域化が図られ、水中用の探触子などとして利用する場合に有用となる。また、本実施形態の超音波振動子1、21によれば、超音波の送受信部(超音波送受信面7、27)から遠い側にある一方の挟持部材としての裏打板3、23に緩衝部材6が固定されているので、裏打板3、23側にて発生する不要振動を緩衝部材6により除去することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づき説明する。ここで、図5は、この実施形態に係る超音波振動子31を一部断面で示す正面図であり、図6は、この超音波振動子31の製造方法を説明するための図である。なお、図5及び図6において、図1に示した第1の実施形態の超音波振動子1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づき説明する。ここで、図5は、この実施形態に係る超音波振動子31を一部断面で示す正面図であり、図6は、この超音波振動子31の製造方法を説明するための図である。なお、図5及び図6において、図1に示した第1の実施形態の超音波振動子1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
すなわち、この実施形態の超音波振動子31は、第1の実施形態の超音波振動子1に設けられていた前面板2、裏打板3、ボルト12、音響整合部材5、緩衝部材6に代えて、図5に示すように、前面板32、裏打板33、ボルト37、音響整合部材35、緩衝部材36を主に備えて構成されている。
この超音波振動子31では、図5に示すように、ねじ部材であるボルト37は、ねじの頭部がなく全長にわたって雄ねじが周面に形成されており、前面板32及び裏打板33どうしを締結しつつ、これら前面板32及び裏打板33から、各端部(他端部37a、一端部37b)が各々突出するように組み込まれている。さらに、緩衝部材36及び音響整合部材35は、ボルト37の他端部37a、一端部37bを通じて前面板32、裏打板33にそれぞれ固定されている。
詳述すると、図5及び図6に示すように、前面板32及び裏打板33には、各々の中央部を軸方向に貫通し、かつボルト37のねじ径に対応した雌ねじを有するねじ穴32a、33aがそれぞれ形成されている。
さらに、音響整合部材35は、図1に示した音響整合部材5の基端部(前面板側)に雌ねじを有するねじ穴35aを追加形成することにより構成されている。このねじ穴35aは、図6に示すように、前面板32から突出させたボルト37の他端部37aに音響整合部材35締め込むために設けられている。ここで、前面板32と音響整合部材35との固定は、このようなねじ止め構造のみで実現されるものであってもよいし、また、このようなねじ止めと接着剤(互いの界面やねじ部分への接着剤の供給)による固定とを併用するものであってもよい。
緩衝部材36は、その外形部分が図1に示した緩衝部材6とほぼ同一形状に形成されており、裏打板33の基端部(圧電素子を保持している側の逆側)に、上記したボルト37の一端部37b及び熱収縮チューブ34を介して固定されている。より詳細には、図6に示すように、この緩衝部材36は、ボルト37の一端部37bを突出させた裏打板33の基端部に対して、例えばシリコーン樹脂系やフッ素樹脂系の熱収縮チューブ34を装着すると共に、この熱収縮チューブ34の内部に粉末状のチタン酸鉛と溶融状態のウレタン樹脂とを充填した後、熱処理を行うことで、裏打板33の基端部に固定される。この固定方法では、ボルト37の雄ねじ部分にウレタン樹脂が入り込んで固化する、いわゆるアンカ効果を得ることができ、緩衝部材36の接合強度を高めることができる。
このように本実施形態の超音波振動子31によれば、第1の実施形態の超音波振動子1、21とほぼ同様の効果を期待できることに加え、前面板32及び裏打板33に対して、音響整合部材35及び緩衝部材36を強固に固定することができる。なお、図5に示す態様に代えて、緩衝部材36の固定後(ウレタン樹脂の固化後)に熱収縮チューブ34を裏打板33から取り除いたかたちで超音波振動子本体を構成してもよい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施形態を図7及び図8に基づき説明する。ここで、図7は、この実施形態に係る超音波振動子41を一部断面で示す正面図であり、図8は、この超音波振動子41の製造方法を説明するための図である。なお、図7及び図8において、図1に示した第1の実施形態の超音波振動子1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施形態を図7及び図8に基づき説明する。ここで、図7は、この実施形態に係る超音波振動子41を一部断面で示す正面図であり、図8は、この超音波振動子41の製造方法を説明するための図である。なお、図7及び図8において、図1に示した第1の実施形態の超音波振動子1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
すなわち、図7及び図8に示すように、この実施形態の超音波振動子41は、第2の実施形態の超音波振動子31に設けられていたボルト37及び緩衝部材36に代えて、ボルト47及び緩衝部材46を備えて構成される。
図7及び図8に示すように、第2の実施形態と同様に前面板32及び裏打板33には、各々の中央部を軸方向に貫通し、かつボルト47のねじ径に対応した雌ねじ32b、33bを有するねじ穴32a、33aがそれぞれ形成されている。詳述すると、上記雌ねじ32b、33bは、緩衝部材46側及び音響整合部材35側にそれぞれ開口するねじ穴32a、33aの開口部分32c、33cを含み、ねじ穴32a、33aの貫通方向の全長にわたって形成されている。
ボルト47は、図7及び図8に示すように、ねじの頭部がなく全長にわたって雄ねじが周面に形成されており、その全長が第2の実施形態のボルト37よりも短い長さで形成されている。詳細には、ボルト47は、前面板32及び裏打板33どうしを締結しつつ、一端部47bが裏打板33のねじ穴33aの開口端33dから埋没し、かつ他端部47aが前面板32のねじ穴32aの開口端32dから突出するように組み込まれている。
さらに、緩衝部材46は、図7及び図8に示すように、裏打板33のねじ穴33aの開口部分33cにおける雌ねじ33bを通じてこの裏打板33に固定されていると共に、音響整合部材35は、ボルト47の他端部47aを通じて前面板32に固定(締結)されている。
詳述すると、緩衝部材46は、図8に示すように、ボルト47の一端部47bを埋没させた裏打板33の基端部に対して熱収縮チューブ34を装着すると共に、この熱収縮チューブ34の内部に粉末状のチタン酸鉛と溶融状態のウレタン樹脂とを充填した後、熱処理を行うことで、裏打板33の基端部に固定される。この固定方法では、裏打板33のねじ穴33aの開口部分33c(基端部)における雌ねじ33bにウレタン樹脂が入り込んで固化することによるアンカ効果を期待できる。なお、図7に示す構成に代えて、ウレタン樹脂の固化後に熱収縮チューブ34を取り除いた態様の超音波振動子を構成してもよい。
上述したように、本実施形態の超音波振動子41によれば、第1の実施形態の超音波振動子1、21とほぼ同様の効果が得られることに加え、前面板32及び裏打板33に対する音響整合部材35及び緩衝部材46の接合強度を高めることができる。
以上、本発明を各実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施形態では、前面板及び裏打板の材質として共にSUS304などのステンレス鋼を例示していたが、例えば前面板の材質を裏打板の材質よりも軽くて軟らかいアルミ合金などに変更することで、超音波振動子本体におけるQ値のさらなる低減を図ることができる。
また、上述した実施形態では、音響整合部材を一種類(一層)だけ介在させた態様を例示したが、固有音響インピーダンスが互いに異なる複数の音響整合部材を適用することで、音響整合層を多段階で構成し、媒質間の反射の影響のさらなる低減を図るようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、主に水中用の探触子として本発明の超音波振動子を適用した例について説明したが、本発明の超音波振動子は、例えば空気中で使用する超音波プローブ、超音波探傷機、超音波距離計などの振動源としても好適に用いることが可能である。
1,21,31,41…超音波振動子、2,22,32…前面板、2a,3a,32a,33a,35a…ねじ穴、3,23,33…裏打板、5,25,35…音響整合部材、6,36,46…緩衝部材、7,27…超音波送受信面、8,9,10,11…圧電素子、12,37,47…ボルト、32b,33b…雌ねじ、32c,33c…ねじ穴の開口部分、32d,33d…ねじ穴の開口端、34…熱収縮チューブ、36a…ウレタン樹脂、36b…チタン酸鉛、37a,47a…ボルトの他端部、37b,47b…ボルトの一端部。
Claims (5)
- 圧電素子と、
前記圧電素子を挟持する一対の挟持部材と、
一方の前記挟持部材に固定され、この一方の挟持部材よりも硬度の低い緩衝部材と、
他方の前記挟持部材に固定されていると共に超音波の送受信部を端部に有し、かつ固有音響インピーダンスの値が前記他方の挟持部材と水との間の値を示す音響整合部材と、
を具備することを特徴とする超音波振動子。 - 前記一対の挟持部材どうしを締結しつつこの一対の挟持部材から各端部が各々突出するねじ部材を備え、
さらに、前記緩衝部材及び前記音響整合部材は、前記ねじ部材の個々の端部を通じて前記一対の挟持部材にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1記載の超音波振動子。 - 前記一対の挟持部材を貫通すると共に少なくとも各開口端側に雌ねじが形成されたねじ穴と、
前記一対の挟持部材どうしを締結しつつ一端部が前記一方の挟持部材の前記ねじ穴の開口端から埋没し、かつ他端部が前記他方の挟持部材の前記ねじ穴の開口端から突出するように設けられたねじ部材と、
を備え、
さらに前記緩衝部材は、前記一方の挟持部材の前記ねじ穴の開口端に形成された前記雌ねじを通じてこの一方の挟持部材に固定されていると共に、前記音響整合部材は、前記ねじ部材の前記他端部を通じて前記他方の挟持部材に固定されていることを特徴とする請求項1記載の超音波振動子。 - 前記一方の挟持部材と前記緩衝部材とは、さらに熱収縮チューブを通じて互いに固定されていることを特徴とする請求項2又は3記載の超音波振動子。
- 前記緩衝部材は、チタン酸鉛を含むウレタン樹脂により構成され、さらに前記音響整合部材は、ガラスエポキシ樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の超音波振動子。
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---|---|---|---|
JP2007243832A JP2009077130A (ja) | 2007-09-20 | 2007-09-20 | 超音波振動子 |
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JP (1) | JP2009077130A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014084184A1 (ja) | 2012-11-29 | 2014-06-05 | 株式会社ダイセル | アクチュエータ用弾性体及び圧電アクチュエータ |
WO2024057679A1 (ja) * | 2022-09-14 | 2024-03-21 | 太陽誘電株式会社 | 振動発生装置および触覚生成装置 |
-
2007
- 2007-09-20 JP JP2007243832A patent/JP2009077130A/ja not_active Withdrawn
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