JP2009074610A - 液体封入式防振装置 - Google Patents

液体封入式防振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エアダイヤフラム式の液体封入式防振装置において、ゴム弾性体の形状設計の自由度を高めつつ、主流体室に入り込んだ気体を確実に副流体室に導けるようにする。
【解決手段】液体Lが封入される主流体室5及び副流体室6を、内筒体1と一体成型されたゴム弾性体3で外筒体2内を上下に区画した液体封入式防振装置である。主流体室5は、ゴム弾性体3の下部に形成された上向きに凹む凹部3eで構成されている。主流体室5と副流体室6とに連通するオリフィス7とは別に、主流体室5の上端から横向きに延びる横排気通路8aと、これに連なって上向きに延びて副流体室6に連通する周排気通路8bとが形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動車のエンジン等を支持するために用いられるエアダイヤフラム式の液体封入式防振装置に関する。
従来より、液体とともに空気を封入し、その空気の圧縮膨張を利用することでダイヤフラムを省略したエアダイヤフラム式の液体封入式防振装置が知られている(特許文献1)。
図5は、その防振装置の断面図を示しており、図中、符号101は筒軸Xが略水平となるように横向きに配置された内筒体であり、符号102はこの内筒体101の周囲を囲む外筒体、符号103はこの外筒体102と内筒体101とを互いに連結するゴム弾性体、符号104はゴム弾性体103中に内筒体101の周囲を囲むよう埋め込まれた中間筒体である。
そして、符号105は主流体室、符号106は副流体室であり、主流体室105と副流体室106とは、オリフィス107及び連通孔108で互いに連通している。各流体室105,106には非圧縮性の流体としての液体Lと、圧縮性の気体としての空気Aとが封入されるが、使用時には、適正な防振性能が発揮できるように、主流体室105は液体Lで満たし、副流体室106は液体Lと空気Aとで満たした状態となるように構成されている。
すなわち、図の(a)のように被支持体の静荷重を支持していない無負荷の状態、つまり使用前においては、主流体室105の上部は、筒軸X方向から見て断面がハ字状に広がるゴム弾性体103の一対の主ばね部103a,103bで区画されているため、主流体室105が下に副流体室106が上になるようにすると、空気Aは各室105,106の上部に溜まることとなる。
そこで、この防振装置では、主流体室105の上部に溜まった空気Aを排除して副流体室106へ導くために、図の(b)のように被支持体の静荷重を支持する使用状態になると、ハ字状に広がっていた各主ばね部103a,103bが変形して、主流体室105の上部が連通孔108の開口に向かって上向きに傾斜し、主流体室105内に溜まっていた気体Aが連通孔108を通じて副流体室106に導かれるようになっている。
特許第3676025号公報
ところが、上記の防振装置では、ゴム弾性体が被支持体の静荷重を支持して変形する作用を利用して主流体室内の気体を排除しているため、ゴム弾性体の形状、特に主ばね部の形状が強い制約を受け、求められる性能に対して自由に設計することができなかった。
例えば、垂直方向の剛性を高めたい場合には、主ばね部を垂直方向側に立てるように構成するのが好ましいが、そうすると、ゴム弾性体が変形しても主流体室の上部中央付近の凹みに空気が残ってしまい、それを確実に副流体室に導くことが困難になる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、防振装置の性能を決めるゴム弾性体の形状設計の自由度を高めつつ、主流体室から気体を確実に副流体室に導いて、安定した性能を発揮する液体封入式防振装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、オリフィスとは別に、ゴム弾性体が変形しなくても主流体室から気体を排除して副流体室に導くことのできる排気通路を設けた。
具体的には、筒軸を横向きにして配置される内筒体と、この内筒体の周囲を囲む外筒体と、これら内筒体と外筒体との間に介在して両者を互いに連結するゴム弾性体と、このゴム弾性体で区画されて、相対的に下側に形成される主流体室及び相対的に上側に形成される副流体室と、これら主流体室と副流体室とに連通するオリフィスと、を備えた液体封入式防振装置であって、上記ゴム弾性体の下部には、主流体室となる凹部が上向きに凹んで形成されており、この凹部の上端に開口し、そこから外側に向かって横向きに延びる横排気通路と、この横排気通路に接続され、上向きに延びて副流体室に連通する周排気通路と、が形成されている構成とする。
この構成によれば、主流体室となる上向きに凹む凹部の上端から横向きに横排気通路が延びていて、周排気通路を介して上方に形成された副流体室に連通している。主流体室に溜まる気体は主流体室の上部に集まるが、その集まった気体は、ゴム弾性体が変形しなくても、そこから横に延びる横排気通路に導かれ、周排気通路を介して副流体室に移動する。
従って、先の特許文献1の防振装置のように、特定の形状に縛られることもなく比較的自由にゴム弾性体の形状設計を行うことができる。例えば、垂直方向の剛性を高めるために、主ばね部を垂直方向側に立てるように構成すると、主流体室の側面も垂直方向に立つようになるが、こうしても排気が不十分になることはない。
更に具体的には、横排気通路は、貫通孔や、下向きに開放された溝で構成することができる。前者であれば、ゴム弾性体の物性をほとんど損うことがなく、バネバランスに優れるし、後者であれば、型抜きなどの点で成型し易い利点がある。
また、上記主流体室の床面となる部位に、上方に突出するストッパを設け、上記主流体室の天井面となる凹部の内壁上部に、上記ストッパの衝突を柔らげる緩衝部を下方に突出形成し、上記緩衝部の周りに、横排気通路との接続部位が最も高くなるように傾斜する周溝を全周に亘って形成することができる。そうすれば、主流体室に溜まった気体は、全て横排気通路との接続部位に集められ、より確実に横排気通路に導いて排除できる。
また、少なくとも被支持体の静荷重を支持した状態では、周排気通路との接続部位が最も高くなるように横排気通路を傾斜させることもできる。そうすれば、主流体室内の気体をよりいっそう確実に副流体室にまで導くことができる。尚、ここで、少なくとも被支持体の静荷重を支持した状態では、としたのは、無負荷の状態も含む趣旨であり、その場合には、変形する前から傾斜しているため、更に確実性が向上する。
以上説明したように、本発明によれば、ゴム弾性体の形状を自由に設定しながら、主流体室に入り込んだ気体を確実性をもって副流体室に導くことができ、要求される性能を安定して発揮する液体封入式防振装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1〜図3に示すように、本発明の液体封入式防振装置(以下、防振装置という)は、細筒形状をした金属製の内筒体1や、この内筒体1の周囲を囲む円筒形状をした金属製の外筒体2、これら内筒体1と外筒体2の間に介在して両者を互いに連結する略円筒形をしたゴム弾性体3、このゴム弾性体3の内部に一体化される中間筒体4、外筒体2内に形成され、液体Lが封入される主流体室5及び副流体室6、これら主流体室5及び副流体室6に連通するオリフィス7及び排気通路8、プラスチック製の蓋体9などを備えている。
この防振装置は、主流体室5が下側に位置するように筒軸Xを横向きにした状態で、内筒体1をエンジンの変速機側に取り付け、外筒体2を車体側に取り付けて使用される。尚、以下、上下等の方向はこの使用時の方向に従うものとし、例えば筒軸X方向は前後方向とする。
図1に示すように、この防振装置は、例えば、ゴム弾性体3と蓋体9とを組み合わせて外筒体2に途中まで圧入し、気体Aとしての空気の封入量を考慮して主流体室5及び副流体室6に所定量の液体Lを注入した後、最後まで圧入して外筒体2の筒軸方向の両端部をかしめることによって製造される。
図2に示すように、ゴム弾性体3は、その上部に一対の弧状壁3c、3cと、上壁3bとを有するとともに、図1に示すように、その下部の周壁3dにおいて上向きに凹んだ凹部3eを有している。
また、ゴム弾性体3は、その内部に、加硫成型により一体化された内筒体1及び中間筒体4を有しており、無負荷の状態では、図3の(a)に示すように、内筒体1は、その筒軸が外筒体2の筒軸Xよりも上方に変位した部位に当該筒軸Xと平行に前後に延びるように設けられ、中間筒体4は、ゴム弾性体3の外周寄りでその周囲を囲むように設けられている。また、ゴム弾性体3には、内筒体1の左右両側において、前後方向に延びるように一対の空隙部3a,3aが形成されている。
副流体室6は、このゴム弾性体3を外筒体2に嵌め込むことによって、先の上壁3b及び弧状壁3c,3cと外筒体2の内壁とで周囲を囲まれて形成され、主流体室5は、先の凹部3eの下側の開口に蓋体9を嵌め込むことによって形成される。
この主流体室5の床面となる蓋体9の上壁の略中央部には、上方に突出するストッパ9aが設けられている。そして、ゴム弾性体3が大きく変形してこのストッパ9aに衝突したとしても、その衝撃を緩和するように主流体室5の天井面となる凹部3eの内壁上部30には、ストッパ9に対向して下方に突出する緩衝部30aが設けられている。
このような形状をしたゴム弾性体3は、特に、垂直方向の剛性が高められていて、上下方向に硬くなるようなバネバランスでもって、内筒体1と外筒体2とが互いに弾性連結している。
すなわち、ゴム弾性体3では、内筒体1の左右両側の部分からそれぞれ弾性変形可能な主バネ部3f,3fが外筒体2に向かい対称状に斜め下方に延びていて、主として内筒体1と外筒体2との間に加わる荷重を受け止めて弾性変形するように構成されている。
そして、被支持体であるエンジンの静荷重を支持した使用状態においては、図3の(b)に示すように、内筒体1と上壁3bとの間が分離してバネ弾性体3が変形するとともに内筒体1が下方に変位する。
特に本実施形態では、これら主バネ部3f,3fは、いずれも左右より上下方向に延びて立つように構成されているため、下向きの負荷が大きくても、これはしっかりと受け止められることとなる。これら主バネ部3f,3fの形状は、後述するように排気通路8が設けられているので、主流体室5に溜まる気体Aを気にせずに自由に設計できる。
オリフィス7は、図1や図3に示すように、ゴム弾性体3の周壁3dの前後方向の略中央部を切り欠いて形成された帯状の溝部7aを含んでおり、ゴム弾性体3が外筒体2に嵌め込まれた状態で、主バネ部3fの一方の下端から周方向に延びて副流体室6に連通する帯状の通路として構成されている。このように、オリフィス7の通路長は比較的長くなっているため、低周波域で優れた防振効果が発揮される。
一方、主流体室5内の気体Aを自動的に副流体室6に導いて排除することができる排気通路8が、このオリフィス7とは別に形成されている。
すなわち、この排気通路8は、横排気通路8aと周排気通路8bとで構成されていて、その横排気通路8aは、オリフィス7が形成された他方の主バネ部3fの上端(主流体室5を構成している凹部3eの上端)に開口するとともに、そこから外周に向かって横向きに延びている。
そして、本実施形態の横排気通路8aは、図1、図4に示すように、ゴム弾性体3の一方の主バネ部3fを前後方向の略中央で二分して、下方に開放された溝状に形成されている。このように横排気通路8aを溝状に形成することは、成型時の型抜きを容易にして製造コストや量産性の面で有利となり、主流体室5に溜まった気体Aが横排気通路8a内に入り易くなって、気体Aを主流体室5から誘い出す誘い溝としても機能する。
さらに、主流体室5の天井面である凹部3eの内壁上部30に形成された緩衝部30aの周りには、横排気通路8aとの接続部位が最も高く位置するように傾斜している周溝30bが全周に亘って形成されている。つまり、周溝30bの最も高い部位に横排気通路8aが開口しているので、主流体室5の上部に溜まる気体Aはこの周溝30bを伝って自動的に横排気通路8aの開口に導かれ、主流体室5から排除され易くなる。
一方、周排気通路8bは、図4に示すように、ゴム弾性体3の周壁部3dの外周面が、実質的にオリフィスとして機能しないように、オリフィス7よりも十分小さく切り欠かれていて、ゴム弾性体3が外筒体2に嵌め込まれた状態では、ゴム弾性体3の外周部位で横排気通路8aに接続され、そこから周方向を上向きに延びて副流体室6に連通する細管状の通路となるように構成されている。
そして、本実施形態では、図3の(b)に示すように、所定の静荷重が加わる使用時には、主バネ部3fが変形して横排気通路8aの上面が傾斜し、その周排気通路8bとの接続部位が最も高くなるように設定されているため、主流体室5に溜まる気体Aが自動的に副流体室6に導かれ、確実性をもって排除できる。尚、横排気通路8aも無負荷の状態、つまり成型段階から上記のように傾斜させておけば、変形に頼らず確実に上記作用効果を得ることができる。
これら以外にも、主バネ部3fの一方の下端に設けられた、主流体室5に通じるオリフィス7の連通口7bは、主流体室5に流入する液体Lがその内壁に沿って流れるように、略上向きに開口するように設けておくとよい。そうすれば、防振装置の使用時に、オリフィス7を介して主流体室5に液体Lが流入すると、主流体室5内には、オリフィス7が設けられたその下端部から内壁に沿って横排気通路8aに向かう液体Lの流れが形成されるため、主流体室5内に気体Aが溜まるのをより確実に防ぐことができる。
なお、本発明にかかる防振装置は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
すなわち、上記実施形態の横排気通路8aは溝形状としたが、ゴム弾性体3を貫通する貫通孔であってもよい。そうすれば、主バネ部3fの形状を内筒体1に対してほぼ対称状にすることができ、バネバランスを向上させることができる。
その他、オリフィス7と排気通路8とは、同じ主バネ部3fに形成されていてもよい。また、ゴム弾性体3は、その内部に中間筒体4を含まないものであってもよい。
本発明の液体封入式防振装置の分解斜視図である。 本発明のゴム弾性体を上方から見た図である。 本発明の液体封入式防振装置の筒軸方向から見た側方断面図である。(a)は無負荷の状態を、(b)は負荷が加わった状態を示している。 本発明のゴム弾性体の要部を示す斜視図である。 従来の液体封入式防振装置の筒軸方向から見た側方断面図である。(a)は無負荷の状態を、(b)は負荷が加わった状態を示している。
符号の説明
1 内筒体
2 外筒体
3 ゴム弾性体
3b 上壁部
3e 凹部
4 中間筒体
5 主流体室
6 副流体室
7 オリフィス
8a 横排気通路
8b 周排気通路
9a ストッパ
30a 緩衝部
30b 周溝
L 液体
X 筒軸

Claims (5)

  1. 筒軸を横向きにして配置される内筒体と、この内筒体の周囲を囲む外筒体と、これら内筒体と外筒体との間に介在して両者を互いに連結するゴム弾性体と、このゴム弾性体で区画されて、相対的に下側に形成される主流体室及び相対的に上側に形成される副流体室と、これら主流体室と副流体室とに連通するオリフィスと、を備えた液体封入式防振装置であって、
    上記ゴム弾性体の下部には、主流体室となる凹部が上向きに凹んで形成されており、
    この凹部の上端に開口し、そこから外側に向かって横向きに延びる横排気通路と、この横排気通路に接続され、上向きに延びて副流体室に連通する周排気通路と、が形成されていることを特徴とする液体封入式防振装置。
  2. 請求項1に記載の液体封入式防振装置において、
    上記横排気通路が、貫通孔として形成されていることを特徴とする液体封入式防振装置。
  3. 請求項1に記載の液体封入式防振装置において、
    上記横排気通路が、下向きに開放された溝として形成されていることを特徴とする液体封入式防振装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の液体封入式防振装置において、
    上記主流体室の床面となる部位には、上方に突出するストッパが設けられ、
    上記主流体室の天井面となる凹部の内壁上部には、上記ストッパの衝突を柔らげる緩衝部が下方に突出形成されており、
    上記緩衝部の周りには、横排気通路との接続部位が最も高くなるように傾斜する周溝が全周に亘って形成されていることを特徴とする液体封入式防振装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の液体封入式防振装置において、
    少なくとも被支持体の静荷重を支持した状態では、周排気通路との接続部位が最も高くなるように横排気通路が傾斜していることを特徴とする液体封入式防振装置。
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