JP2009074606A - メタルラバーガスケット - Google Patents

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Kosaku Ueda
耕作 植田
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Abstract

【課題】種々の使用条件下においてもゴムビードの劣化を有効に防ぐことで、安定したシール性能を長期間発揮可能なメタルラバーガスケットを提供する。
【解決手段】ゴムビードの孔側端面(弾性シール材の孔側端面)を金属基板5で塞ぐ構造とする。これにより、ゴムビードの劣化を抑制し、長期間にわたって安定したシール性能を確保することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンを構成するシリンダーブロックとシリンダーヘッドとの間に使用するのに好適なメタルラバーガスケットに関する。
従来、例えば、エンジンのシリンダーブロックとシリンダーヘッドの接合面に介装されるガスケットとして、特許文献1に示すようなメタルラバーガスケットが知られている。このメタルラバーガスケットは、1枚の金属基板からなり、燃焼室孔、オイル孔、冷却水孔等を開口し、シールが必要な孔の周囲に板厚方向に突出したビードを設け、シリンダーブロック及びシリンダーヘッド間に介装する際にこのビードを板厚方向に圧縮変形させることで、シール面圧を発生する。
図8に、上記従来のビードの例を示す。
図8のビードは、金属基板をアーチ状に屈曲させてなる金属ビード60(以下、フルビードと呼ぶこともある。)の両面に弾性シール材70,71−1,71−2を付着させた合成ビードである。合成ビードは、接合面への介装時に所定の板厚方向高さまで圧縮変形することで、接合面間にシール面圧を発生する。このような合成ビードは、弾性シール材のみから構成されるビードと比べ、金属ビード60が弾性シール材の変形を制限するので高いシール面圧を発生できるという利点がある。なお、図9も合成ビードの例であり、金属ビード60がステップ状に形成され(以下、このような金属ビードをハーフビードと呼ぶこともある)、その両面に弾性シール材70,71が固着成型されている。
特願2002−223901号
現在、自動車用品には、自動車メーカ指定の純正品以外の類似品、代替品が多く市場に出回っており、特にエンジンオイル、冷却水等の消耗品は、自動車の使用年数が経つに従って類似品、代替品の利用率も高くなるという実情がある。また、近年では中古車が海外で使用されるケースも増えており、種々の類似品、代替品が用いられることで、通常では想定し得ないようなトラブルが発生している。例えば、冷却水として井戸水や水道水をそのまま用いるケースなどが考えられ、海岸に近い場所の井戸水等のように塩分を多く含む水を用いた場合、メタルラバーガスケットの冷却水孔の周囲に形成された上記合成ビードの弾性シール材が劣化しやすくなるおそれがある。ゴムビードが劣化すると、必要なシール圧を維持することができない。同様に、冷却水の代わりに通常の水道水を用いた場合は、不凍液を含まないため冬場に凍結する可能性も高く、やはりゴムビードの劣化をもたらすおそれがある。また、エンジンオイルも手近で容易に入手可能なものが用いられやすく、粗悪品を用いた場合、オイル孔周囲に形成されたゴムビードの劣化をもたらすおそれがある。
さらに、近年では、地球温暖化防止の観点、化石燃料の危機説や価格高騰を背景に、植物類から生成したアルコールを添加する等使用燃料も変化しつつあり、このような燃料の変化が燃焼室孔周囲に形成したゴムビードに与える影響も懸念される。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、種々の使用条件下においてもゴムビードの劣化を有効に防ぐことで、安定したシール性能を長期間発揮可能なメタルラバーガスケットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1によるメタルラバーガスケットは、金属基板に複数の孔を形成すると共に、前記金属基板を板厚方向に屈曲してなる金属ビードと、前記金属ビードの表面に弾性シール材を固着成型してなるゴムビードと、の合成から構成される合成ビードを、前記複数の孔のうちの少なくともいずれかの周囲に形成したメタルラバーガスケットにおいて、前記ゴムビードの前記孔側端面を塞ぐように、当該ゴムビードよりも孔側の前記金属基板を屈曲させたことを特徴とする。
従来技術では、図8及び図9に示すように、孔側に向く弾性シール材71−2,70が、孔を通過する冷却水等と直接接触してしまう構造であり、使用する冷却水等によっては弾性シール材が劣化し、シール機能が低下してしまうおそれがある。そこで、本発明のように、金属基板を折り曲げて、孔側に向く弾性シール材の端面を塞ぐことで、冷却水等の直接接触を回避できるので、長期的に安定したシール性能を確保することができる。
さらに、本発明の請求項2によるメタルラバーガスケットは、金属基板に複数の孔を形成すると共に、前記金属基板を板厚方向に屈曲してなる金属ビードと、前記金属ビードの表面に弾性シール材を固着成型してなるゴムビードと、の合成から構成される合成ビードを、前記複数の孔のうちの少なくともいずれかの周囲に形成したメタルラバーガスケットにおいて、前記金属ビードは、前記金属基板をアーチ状に屈曲させてなるフルビードであり、前記ゴムビードとして、前記フルビードの凸面のうち前記孔とは反対側の部分、及び、前記フルビードの凹面にのみ弾性シール材を固着成型することで、当該ゴムビードの孔側端面がフルビードの凹面によって塞がれるようにしたことを特徴とする。
このようにすることで、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
また、本発明の請求項3によるメタルラバーガスケットは、金属基板に複数の孔を形成すると共に、前記金属基板を板厚方向に屈曲してなる金属ビードと、前記金属ビードの表面に弾性シール材を固着成型してなるゴムビードと、の合成から構成される合成ビードを、前記複数の孔のうちの少なくともいずれかの周囲に形成したメタルラバーガスケットにおいて、前記金属ビードは、前記金属基板をステップ状に屈曲してなるハーフビードであり、前記ゴムビードは、前記ハーフビードの両面に弾性シール材を固着成型してなり、前記ハーフビードの傾斜面に連続する孔側の金属基板の平坦面を屈曲し、前記ゴムビードの端面を塞いだことを特徴とする。
本発明の請求項4によるメタルラバーガスケットは、請求項2又は3において、前記ゴムビードの端面を塞ぐ金属基板の先端を、前記金属ビードを挟んで前記孔とは反対側の金属基板の平坦部よりも突出させたことを特徴とする。
孔側部分で合成ビードが大きく圧縮変形することが可能になり、大きなシール面圧を確保することができる。
本発明の請求項5によるメタルラバーガスケットは、請求項2〜4のいずれかにおいて、前記ゴムビードを、少なくとも孔側端部で、前記ゴムビードの端面を塞ぐ金属基板の先端と同等の高さまで形成したことを特徴とする。
本発明によれば、弾性シール材の液体との直接接触を防止できるので、弾性シール材の劣化を抑制し、長期間にわたって安定したシール性能を確保することができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[構成]
図1は、本実施形態に係るメタルラバーガスケット10を一部切り欠いた状態で示す概略平面図である。また、図2(a)は図1のA−A線断面図、図2(b)は図1のB−B線断面図、及び、図3は接合面間にメタルラバーガスケット10を介装した状態を示す断面図である。
図1のメタルラバーガスケットは、内燃機関のシリンダーヘッド11とシリンダーブロック12との接合面間に介装されるガスケットの一例である。このメタルラバーガスケット10は、1枚の金属基板5に複数の燃焼室孔1、ボルト孔2、冷却水孔3及びオイル孔4を開口して形成されている。これらの各孔はシリンダーヘッド11及びシリンダーブロック12の接合面の開口に対応して形成される。なお、金属基板5としては、例えば、鋼板や薄肉のステンレス鋼板など用いることができる。
また、図2(b)に示すように金属基板5の端部を折り重ねることで、燃焼室孔1の周囲、ボルト孔2の周囲、及び、金属基板5の外周端部に板厚を増した増厚部13−1〜13−3を夫々形成している。
さらに、各燃焼室孔1を囲むようにして燃焼室孔シールラインSL1を設定すると共に、各冷却水孔3を囲む冷却水孔シールラインSL3、及び、オイル孔4を囲むオイル孔シールラインSL4を設定している。
そして、各シールラインSL1,SL3及びSL4に沿って、ビードを形成している。
このうち、オイル孔シールラインSL4に沿うビードは、図2(a)に示すように、金属ビードであるフルビード6−1と、ゴムビードと、の合成から構成される合成ビードとして形成されている。このゴムビードは、フルビード6−1の凸面のうちのオイル孔4とは反対側の部分に固着成型した弾性シール材7−1と、フルビード6−1の凹面に固着成型した弾性シール材7−2と、から構成されている。また、フルビード6−1は、近傍の増厚部13と同等以上の高さに、例えば増厚部13の高さよりも約15%前後高く形成され、凸面側の弾性シール材7−1はフルビード6−1と同等の高さに形成されている。一方、凹面側の弾性シール材7−2は、金属基板5の平坦部に連続する平坦面を形成するように固着成型されている。また、フルビード6−1の孔側端部6aは、このゴムビードの孔側端面7a(凹面側の弾性シール材7−2の孔側端面7a)を全て塞ぐように、金属基板5の平坦部の高さまで延びている。つまり、フルビード6−1の孔側端部6aは、ゴムビードの端面を塞ぐ金属基板5の先端に相当する。
なお、図示しないが、本実施形態では、燃焼室孔シールラインSL1や冷却水孔シールラインSL3に沿って形成するビードも同様である。また、ゴムビードを構成する弾性シール材としては、例えば、フッ素ゴム、NBR、シリコーンゴム等の弾力性を有すると共に耐熱性を有するゴム材料や樹脂材料を用いる。
[作用効果]
次に、上記メタルラバーガスケットの作用効果について説明する。
メタルラバーガスケット10は、ボルト孔2に挿入するボルトによってシリンダーヘッド11又はシリンダーブロック12に取り付けられ、図3に示すようにこれらの間に介装される。このとき、各シールラインSL1,SL3及びSL4に沿って形成された合成ビードは、ボルトの締め付け荷重を受け、増厚部13の高さまで15%前後圧縮変形することで、金属ビードとゴムビードとが協働してシール圧を発生する。これにより、燃焼室孔1、冷却水孔3及びオイル孔4を通過する燃焼ガス、冷却水及びエンジンオイルは接合面間でシールされる。また、弾性シール材7−1,7−2の成型幅は広く設計できるので、エンジンの熱膨張差によるずれや鋳巣等もカバーでき、十分なシール効果を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、ゴムビードの孔側端面7aは、全て金属ビードによって覆われているので、燃焼ガス、冷却水及びエンジンオイルとの直接接触が防がれる。従って、これらの侵食によるゴムビードの劣化を防止でき、長期間にわたって安定的にシール性能を確保できる。
[変形例]
なお、本発明の適用は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、図4に示すように、フルビード6−1の孔側端部6aを金属基板5の平坦部よりも突出させると共に、凹面側の弾性シール材7−2は底面に段差を設け、孔側端部はフルビード6−1の孔側端部6aの突出高さと同等とし、孔から離れる部分では金属基板5の平坦部と同等の高さとしてもよい。このようにすると、孔側端部で大きく圧縮変形できるため、フルビード6−1の凸面の孔側部分に弾性シール材を形成しなくても、十分なシール圧を発生させることができる。
また、図5に示すように、フルビード6−1の孔側端部6aに連続して平坦部を形成してもよい。さらに、図7に示すように、弾性シール材を両面に固着したフルビード6−1に並行して、弾性シール材を固着していないフルビード6−3やハーフビードを形成してもよい。このようにすると、燃焼ガスやオイル等が弾性シール材に直接接触するのを防ぐ効果をさらに高めることができる。また、合成ビードを2条にする場合は、図7の破線で示すように、2条のフルビード6−1,6−3間や孔側のフルビード6−3の凹面に弾性シール材を形成しても、ゴムビードの孔側端面がフルビード6−3によって塞がれるので構わない。
また、金属ビードはフルビードに限らず、図6に示すように、金属基板5を板厚方向にステップ状に屈曲してなるハーフビード6−2であってもよい。このとき、ゴムビードとして、ハーフビード6−2の両面に弾性シール材7−1,7−2を固着成型する。そして、本実施形態では、ハーフビード6−2の傾斜面に連続する平坦面を、裏面側に固着成型した弾性シール材7−2の孔側端部にて折り曲げ、板厚方向に突出する突出部9を設ける。これにより、ゴムビードの孔側端面7aが金属基板によって塞がれるため、燃焼ガスやオイル等の直接接触を防止し、種々の使用条件下においても長期間シール性能を維持できる。
また、図6においては、突出部9の先端9aを金属基板5の平坦部よりも突出させると共に、裏面側の弾性シール材7−2は、孔側端部をその突出部9の先端9aと同等の高さまで形成し、孔から離れる部分を金属基板5の平坦部と同等の高さとしている。さらに、表面側の弾性シール材7−1にも段差を設け、ハーフビード6−2の頂部近傍ではハーフビード6−2の高さと同等とし、ハーフビード6−2から離間する部分でそれよりも高く形成してもよい。このようにすることで、弾性シール材7−1,7−2の成型量の少ない部分の圧縮変形量を抑えて圧縮破壊を防止する一方で、弾性シール材7−1,7−2の成型量の多い部分では大きく圧縮変形させることで十分なシール面圧を確保することができる。
なお、メタルラバーガスケット10の全体構成やシールラインSLの設定部分も図1に示したものに限定されず、適用するエンジン等に応じて適宜設定可能である。
本実施形態に係るメタルラバーガスケットを一部切り欠いた状態で示す概略平面図である。 (a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。 接合面間にメタルラバーガスケット10を介装した状態を示す断面図である。 本発明に係るメタルラバーガスケットの他の例を示す図(図1のA−A線断面図)である。 本発明に係るメタルラバーガスケットの他の例を示す図(図1のA−A線断面図)である。 本発明に係るメタルラバーガスケットの他の例を示す図(図1のA−A線断面図)である。 本発明に係るメタルラバーガスケットの他の例を示す図(図1のA−A線断面図)である。 従来のメタルラバーガスケットの例を示す図である。 従来のメタルラバーガスケットの例を示す図である。
符号の説明
1 燃焼室孔
2 ボルト孔
3 冷却水孔
4 オイル孔
5 金属基板
6−1,6−3 フルビード
6−2 ハーフビード
6a 孔側端部
7 弾性シール材
7a 孔側端面
9 突出部
9a 先端
10 メタルラバーガスケット
11 シリンダーヘッド
12 シリンダーブロック
13 増厚部
SL1 燃焼室孔シールライン
SL3 冷却水孔シールライン
SL4 オイル孔シールライン
60 金属ビード
70,71 弾性シール材

Claims (5)

  1. 金属基板に複数の孔を形成すると共に、
    前記金属基板を板厚方向に屈曲してなる金属ビードと、前記金属ビードの表面に弾性シール材を固着成型してなるゴムビードと、の合成から構成される合成ビードを、前記複数の孔のうちの少なくともいずれかの周囲に形成したメタルラバーガスケットにおいて、
    前記ゴムビードの前記孔側端面を塞ぐように、当該ゴムビードよりも孔側の前記金属基板を屈曲させたことを特徴とするメタルラバーガスケット。
  2. 金属基板に複数の孔を形成すると共に、
    前記金属基板を板厚方向に屈曲してなる金属ビードと、前記金属ビードの表面に弾性シール材を固着成型してなるゴムビードとの合成から構成される合成ビードを、前記複数の孔のうちの少なくともいずれかの周囲に形成したメタルラバーガスケットにおいて、
    前記金属ビードは、前記金属基板をアーチ状に屈曲させてなるフルビードであり、
    前記ゴムビードとして、前記フルビードの凸面のうち前記孔とは反対側の部分、及び、前記フルビードの凹面にのみ弾性シール材を固着成型することで、当該ゴムビードの孔側端面がフルビードの凹面によって塞がれるようにしたことを特徴とするメタルラバーガスケット。
  3. 金属基板に複数の孔を形成すると共に、
    前記金属基板を板厚方向に屈曲してなる金属ビードと、前記金属ビードの表面に弾性シール材を固着成型してなるゴムビードと、の合成から構成される合成ビードを、前記複数の孔のうちの少なくともいずれかの周囲に形成したメタルラバーガスケットにおいて、
    前記金属ビードは、前記金属基板をステップ状に屈曲してなるハーフビードであり、
    前記ゴムビードは、前記ハーフビードの両面に弾性シール材を固着成型してなり、
    前記ハーフビードの傾斜面に連続する孔側の金属基板の平坦面を屈曲し、前記ゴムビードの端面を塞いだことを特徴とするメタルラバーガスケット。
  4. 前記ゴムビードの端面を塞ぐ金属基板の先端を、前記金属ビードを挟んで前記孔とは反対側の金属基板の平坦部よりも突出させたことを特徴とする請求項2又は3に記載のメタルラバーガスケット。
  5. 前記ゴムビードを、少なくとも孔側端部で、前記ゴムビードの端面を塞ぐ金属基板の先端と同等の高さまで形成したことを特徴とする請求項4に記載のメタルラバーガスケット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015105751A (ja) * 2013-12-03 2015-06-08 Nok株式会社 シール製品の製造方法

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