JP2009074146A - 黒色めっき物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】主としてCo、NiおよびFeを電気化学的に水素発生を伴いながら析出させて黒色めっき層を得る場合に、水素発生に伴うムラがめっき面に生じず、かつ黒色度の高い黒化めっき物を製造する方法の提供。
【解決手段】鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液2中で平板状カソード3の片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード3面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、カソード3である被めっき基板面を下方、金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金である可溶性アノード4を上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソード3を水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とする黒色めっき物の製造方法により課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、黒色めっき物の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、装飾品、光反射防止、熱吸収などの外観性能や機能が求められる各種技術分野において利用される黒色めっき物を電気化学的にカソード面に析出させる、黒色めっき物の製造方法に関するものである。
金属表面の黒色化技術は、鉄の黒染めのように化成処理による方法、陽極酸化による方法、電着塗装による方法など、いろいろな方法が考案され実用化している。
めっきによる黒色化は、高温を必要とせず、短時間で簡便な処理ができるため広く有効な方法として用いられているが、その中で最も一般的な「黒色クロムめっき」は有害なクロムを使用するため、昨今の環境意識の高まりの中では敬遠される傾向にある。
クロムを使わない黒色化めっき方法も多く報告され、実用化されている。非特許文献1には、黒色ニッケル合金系めっきとしてNi−Znや、黒色スズ合金系合金めっきとして、Sn−Ni,Sn−Ni−S,Sn−Co−Sなどが解説されている。一般的に析出しためっき皮膜にS(イオウ)分が含有されると黒色度が高まるが、これは、めっき皮膜の柔軟性を低下させるなどの欠点も有する。S分が含有されない場合には、十分な漆黒の黒色度は得られない。
このほかにも、いろいろな黒色化めっき技術が述べられている。特許文献1では、銅箔層に重量厚さ200mg/m2 〜400mg/m2 、断面高さ200nm以下の硫酸コバルトめっき層を設けて黒色化処理面としている。この処理面を得るために、硫酸コバルト(7水和物)を8g/L〜10g/L含み、pHを4.0以上の範囲とした硫酸コバルトめっき液の無攪拌浴を用いて、2A/dm2以上の電流密度で電解する。
特許文献2では、銅箔層に粗化処理層を設け、その粗化処理層上に黒色の硫酸ニッケルめっき層を設け、その両面に亜鉛−ニッケル合金層を設けた黒色化処理面が述べられている。この黒色の硫酸ニッケルめっき層は、硫酸ニッケル(5水和物)を10g/L〜300g/L含み、水酸化アルカリ金属塩でpHを5.5〜6.0の範囲とした硫酸ニッケルめっき液を用い、1A/dm2 以上の電流密度で電解する。
また、特許文献3では、CoまたはCoを含む2元系以上の電解めっき浴でめっきを行なって銅箔の表面にCoを含む黒化めっき層を形成する段階と、塩基性電解浴において該銅箔を陽極に配置して電気分解することにより該黒化めっき層の表面を酸化させる段階とを含む方法を述べている。
さらに、特許文献4では、銅箔の表面に黒化めっき層を形成させる方法において、Co:1〜40g/L、Ni:0.1〜40g/L、アンモニウム化合物:50g/L以下、錯化剤100g/L以下を含む電解めっき浴を利用してCo及びNiを含む黒化めっき層を形成し、この黒化めっき層には、更にFe、Cu、Zn、Cr、Mo、W、V、Mn、Ti及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含むという方法を述べている。
以上に挙げた特許文献は、主として、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも記す)の前面板に設置する金属製シールドメッシュの黒化処理を念頭において考案されたものである。
PDPにおける画像表示は、次のようにして行われる。PDP内に充填されたキセノンやネオンが放電によって励起して、紫外領域から近赤外領域にわたる線スペクトルが発生し、この中の紫外線が蛍光体に当たると、この蛍光体から画像表示のための可視光が発生する。この放電に伴って発生した電磁波がPDPから漏洩するため、その遮蔽の目的で、PDPの前面に金属製のシールドメッシュを設置する。メッシュの開口部から画像を見ることができ、金属であるライン部が電磁波を遮蔽する。このライン部は、ディスプレィの画面上に見えるため、画像の視認性の向上の目的で表面を黒くする。黒色化された表面は、光沢なく、外部から入射した光の反射を防止する。
このようなPDP用シールドメッシュを含め、クロムやイオウ分を含まない黒色めっき物は広い用途に対して利用検討されているが、漆黒の色調を要求されるほど、黒色度のムラが問題となる。
これは、高い黒色度が要求されるほど、何らかの要因で黒色度が不足した部分との差異が顕著となるためである。
ところが、特許文献1〜4のようにCo、Niを主な成分とした黒色めっきを行なう場合には、このような元素の析出電位が水素発生の電位よりも負であるため、水素発生を伴うが、この水素の気泡がめっき面の黒色のムラの原因となる。
通常、水素発生の程度を十分小さくするためには、めっき液のpH、金属イオン濃度、液の攪拌の度合い、温度、および電流密度を調整する。
すなわち、pHは金属イオンが沈殿しない範囲で高くし、金属イオン濃度は、溶解しうる範囲内で高くし、液の攪拌はめっき面への液流のムラなどの悪影響がない範囲内で強くし、温度はより高くするとよい。
これらの作用により、金属イオンの還元反応の電流効率が高くなり、相対的に水素発生が抑えられる。
電流密度については、低い方が水素発生の程度は小さくできる。
しかし、これらの黒化めっきにおいては、下記の式(1)の反応のように、めっき面で水素発生を伴うことによって、表面にOH- イオンを生成させ、式(2)に示したようにそれと金属イオンとの反応で生じた水酸化物や酸化物がめっき層中にインクルード(包含)されることによって黒色を呈するものである。
2H2 O + 2e → H2 + 2OH- 式(1)
2OH- + M2+ → M(OH)2 → 金属酸化物 式(2)
(上記式(2)においてMは金属イオン)
すなわち、水素発生反応は、この種のめっき層の黒化には必要不可欠なものであるが、その一方で、黒色度のムラを引き起こすという相反する課題を有しており、そのコントロールによって、ムラがなく、かつ、高い黒色度を得ることは困難であった。
榎本英彦「表面処理による黒色化技術」;表面技術 49(11),1140 (1998) 特開2005−139544 特開2004−256832 特開2005−290541 特開2005−344207
本発明の目的は、主としてCo、NiおよびFeを電気化学的に水素発生を伴いながら析出させて、装飾品、光反射防止、熱吸収などの外観性能や機能が求められる各種技術分野において利用される黒色めっき物を製造する場合に、ムラなく、かつ黒色度の高い黒化めっき物を製造する方法を提供することである。
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の発明は、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
カソードである被めっき基板面を下方、金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金である可溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とする黒色めっき物の製造方法である。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の黒色めっき物の製造方法において、
鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
カソードである被めっき基板面を下方、不溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とする黒色めっき物の製造方法である。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項3記載の黒色めっき物の製造方法において、
鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の発明は、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
アニオン交換膜、または、多孔性隔膜によってめっき液と隔離され、鉄(II)またはニッケル(II)またはコバルト(II)塩の対イオンとしてめっき液に主として含まれる陰イオンの酸を含有する隔室内に不溶性アノードを設置し、カソードである被めっき基板面を下方、不溶性アノード面を上方として対向させ、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置し、両電極間に通電することを特徴とする黒色めっき物の製造方法である。
本発明の請求項6記載の発明は、請求項5記載の黒色めっき物の製造方法において、
鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の黒色めっき物の製造方法は、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
カソードである被めっき基板面を下方、金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金である可溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とするものであり、
金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金である可溶性アノードを用いるため、電解中にこれらの各イオンがめっき液中に溶解して各イオンを補給でき、またカソード面では金属イオンの還元・析出と前記式(1)および式(2)で表される以外の反応が起こらず、めっき液の劣化が起こらないという顕著な効果を奏するとともに、可溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置しカソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することで、カソード面で発生する水素の離脱を効果的にし、黒色度を高くしても水素の気泡によってめっき面にムラが生じることを防止できる、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の黒色めっき物の製造方法において、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とするものであり、
めっき液中に銅イオンを添加して、黒色めっき物に銅を共析させることによって、黒色度を高くし、かつムラを防ぐ効果が増大する、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3記載の発明は、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
カソードである被めっき基板面を下方、不溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とする黒色めっき物の製造方法であり、
不溶性アノードを用いるため、電解中にアノードが溶解せず、形態が安定に維持されて電流密度分布が一定に保たれ、安定して電解でき、まためっき液に銅(II)イオンを添加した際に電解を停止しても不溶性アノード表面に銅が析出してめっき液中の銅濃度が変化することがない、という顕著な効果を奏するとともに、不溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置しカソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することで、カソード面で発生する水素の離脱を効果的にし、黒色度を高くしても水素の気泡によってめっき面にムラが生じることを防止できる、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項3記載の黒色めっき物の製造方法において、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とするものであり、
めっき液中に銅イオンを添加して、黒色めっき物に銅を共析させることによって、黒色度を高くし、かつムラを防ぐ効果が増大する、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項5記載の発明は、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
アニオン交換膜、または、多孔性隔膜によってめっき液と隔離され、鉄(II)またはニッケル(II)またはコバルト(II)塩の対イオンとしてめっき液に主として含まれる陰イオンの酸を含有する隔室内に不溶性アノードを設置し、カソードである被めっき基板面を下方、不溶性アノード面を上方として対向させ、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置し、両電極間に通電することを特徴とする黒色めっき物の製造方法であり、
不溶性アノードを、アニオン交換膜、または、多孔性隔膜によってめっき液と隔離された隔室内に設置して、隔室内に鉄(II)またはニッケル(II)またはコバルト(II)塩の対イオンとしてめっき液に主として含まれる陰イオンの酸を含有させることにより、不溶性アノード面上で発生する酸素によってめっき液中の鉄イオンやコバルトイオンなどが酸化されて高次酸化物となったり、めっき液中に添加した有機物が分解されるのを防止でき、安定して電解でき、まためっき液に銅(II)イオンを添加した際に電解を停止しても不溶性アノード表面に銅が析出してめっき液中の銅濃度が変化することがなく、黒色めっき物のムラをなくし、かつ、黒色度を高めながら、めっき作業を一層効率的に行なうことができる、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項6記載の発明は、請求項5記載の黒色めっき物の製造方法において、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とするものであり、
めっき液中に銅イオンを添加して、黒色めっき物に銅を共析させることによって、黒色度を高くし、かつムラを防ぐ効果が増大する、というさらなる顕著な効果を奏する。
以下に本発明による黒色めっき物の製造方法を、その一実施の形態に基いて図を用いて説明する。
図1〜3は、本発明の黒色めっき物の製造方法に関わるめっき工程を示した図であり、それぞれ、第1、第2、第3の実施形態を示している。
図4は、本発明の第3の形態を用いて、リール・トゥー・リール方式により連続的に被めっき材を処理する場合の状況を図示したものである。
図1は、第1の形態を説明する図であり、めっき槽1中に、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液2が蓄えられている。
めっき液2中には、被めっき基板である平板状カソード3と可溶性アノード4が、カソード3を下方、可溶性アノード4を上方として対向させて設置され、水平に対してθ=0〜60°の角度となっている。
このカソード、アノード間に、外部に設置した整流器5から通電することにより、カソード3の上向きの面上で水素発生を伴いながら鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物が電気化学的に析出するという方法を示している。
被めっき物であるカソード3がフレキシブルである場合には、固定用基板6に固定される。
カソード3の表面からは、水素の気泡がめっき面に再付着することなく離脱するため、表面の黒色ムラをなくすことができる。
可溶性アノードは、金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金であり、めっき液中に存在する陽イオンの種類、濃度によって使い分ける。
また、めっき液2には、銅(II)イオンを添加することもできる。この濃度は、銅分として15g/L以下がよく、多すぎるとめっき析出物中の銅含有率が高くなりすぎて、色調が黒でなく、茶褐色となる。
そして図2は、第2の形態を説明する図であり、図1における可溶性アノード4に代わり、不溶性アノード7が設置されている。
その他の構成は、図1とほぼ同様である。不溶性アノード7上では、酸素発生反応が主として起こる。発生した酸素は、傾斜した電極面に沿って上昇しめっき液面上へ浮上する。また、メッシュ状や穴を設けた不溶性アノードを使用した場合では、発生した酸素は、電極面を沿わず、めっき液面上に浮上させることができる。
カソード3の表面には、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物が電気化学的析出する。
この場合でも、めっき液中に銅イオンを添加して黒色めっき物に銅を共析させることによって、黒色度を高くし、かつムラを防ぐ効果は増大する。
そして図3は、第3の形態を説明する図であり、めっき槽1中に鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンと銅(II)イオンを含むめっき液7が蓄えられている。
さらに、不溶性アノード7を、アニオン交換膜または多孔性隔膜8によってめっき液と隔離された隔室9内に設置し、隔室9内には鉄(II)またはニッケル(II)またはコバルト(II)塩の対イオンとしてめっき液に主として含まれる陰イオンの酸溶液10を含有する。
カソードである被めっき基板3を下方、不溶性アノード7を上方として対向させて設置し、カソードは水平に対して0〜60°の角度で設置する。そして外部に設置した整流器5から両電極間に通電することにより、カソード3の上向きの面上で水素発生を伴いながら鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物が電気化学的析出する。
この場合でも、めっき液中に銅イオンを添加して黒色めっき物に銅を共析させることによって、黒色度を高くし、かつムラを防ぐ効果は増大する。
めっき液2に含まれる鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)の塩は、硫酸塩、塩化物塩、硝酸塩、スルファミン酸塩などが適当であり、金属イオンは錯体ではなく、遊離イオンの形態で含有される。
そのため、液のpHは、使用する塩の種類や金属イオン濃度にもよるが、1.5〜6.0に設定されることが望ましい。
これは、本発明においては、前記のように、めっき面で水素発生を伴うことによって、表面にOH- イオンを生成させ、それと金属イオンとの反応で生じた水酸化物や酸化物がめっき層中にインクルード(包含)されることによって黒色を呈するものであり、液のpHは、そのような反応が生じうる範囲に設定される必要がある。
そして、pHの調整は、水酸化アルカリや金属イオンの対イオンの酸、すなわち、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸などにより行なう。
金属イオンが錯体を形成すると、水酸化物や酸化物は生成せず、金属状の析出物となる。
金属イオン濃度は、合計で5〜75g/Lが適当である。濃度が低いと、めっきの色むらが発生しやすい。濃度が高いことはあまり問題ないが、塩の溶解度と経済的な理由から75g/L程度を上限とすることが適当である。
また、本発明のめっき液2には、めっき析出物の黒色度を向上するために少量の有機酸を含有できる。
有機酸は、炭素、酸素、水素のみからなり、窒素やイオウ分が含まれないものがよい。そして、カルボキシル酸基を1または2つ有し、その第1段および第2段解離のpKa値(酸解離定数の逆数の対数値)がいずれも4未満であることが適当である。
このような有機酸が液中に含有されることにより、めっき皮膜の形成において皮膜に炭素分が含有される。めっき皮膜中の炭素含有率は、有機酸の種類やその他のめっき液成分、およびめっき条件で異なるが、0.001〜30質量%の範囲内である。
このような有機酸としては、例えばギ酸、グリオキシル酸、グリコール酸、ケイ皮酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸があてはまる。
その濃度は、5〜500mmol/Lが適当であるが、黒色化に対する最適濃度も、有機酸の種類やその他のめっき液成分、およびめっき条件により異なる。また、2種以上の有機酸を混合して添加してもよい。ただし、有機酸はその添加により、めっき条件によっては黒色度が低下する場合もある。
被めっき基板であるカソード3の材料は、銅、ニッケル、鉄やそれらの合金が使用でき、めっき液中で安定な金属であれば材質は特定されない。
一方、アノードは、本発明の第1の形態においては、可溶性アノード4を、第2、第3の形態においては不溶性アノード7を使用する。
可溶性アノード4は、金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金であり、めっき液中の金属イオンと同様の成分とする。
不溶性アノード7では、表面で酸素が発生するが、その泡を電極面から離脱しやすくするため、メッシュ状や穴を設けた不溶性アノードを使用することができる。
不溶性アノード7の材質としては、例えば白金、白金めっきチタン、酸化イリジウム、および、DSEと呼ばれる寸法安定性電極などが使用できる。
本発明では、第1、第2、第3の形態によらず、被めっき基板であるカソードは下方、アノードを上方とし、対向させて設置される。カソードは水平に対して0〜60°の角度で設置される。
カソードを下方とすることで、上側面上での水素発生を伴う黒色めっき物の析出において、水素の気泡がめっき面に付着せず容易に浮上し、めっき面の黒色のムラをなくすことができる。
カソード、傾斜角度が60°を超えて大きくなると、水素の気泡が付着する傾向が生じるため、若干のムラが発生し、90°に近づくほどその傾向は顕著となる。
なお、対向するカソードおよびアノードは、平行に設置されている場合には、極間距離が面内で一定であるため、端部を除いて電流密度は概ね一定となる。
アノードとカソードを意識的に平行でないように設置すると、面内の電流密度は極間距離が広い部分では小さく、狭い部分では大きくなる。
このことにより、部位により黒色めっき層の厚さの相違により黒色度の差異が生じるが、これは、水素の気泡の影響によるような顕著な色ムラではないため、許容することができる。逆に、色調の緩やかなグラディエーションを作製する方法として利用することもできる。
本発明の第3の形態では、図3に示されるようなアニオン交換膜または多孔性隔膜8によってめっき液と隔離された隔室9を使用する。
アニオン交換膜としては、セレミオンAMT(旭硝子エンジニアリング)やネオセプタHA(アストム)などを使用できる。
多孔性隔膜としては、アルミナ/シリカ製の素焼きの板を使用できる。
隔室内にはめっき液中の鉄(II)またはニッケル(II)またはコバルト(II)塩の対イオンとして主として含まれる陰イオンの酸を加える。
前述のように、めっき液中には硫酸塩、塩化物塩、硝酸塩、スルファミン酸塩が含有されているのであるから、この酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸を使用できる。
そして電解を連続的に行なうと、隔室内の酸濃度は増大していくため、適宜希釈する。一方、めっき液のpHは徐々に上昇していくため、隔室内の酸を適宜めっき液中に添加してpHを調整するとよい。
図4は、本発明の第3の形態を用いて、リール・トゥー・リール方式により連続的に被めっき材を処理する場合の状況を図示したものである。
被めっき材はフレキシブルシート11に金属パターン12を貼り合せた長尺のものを想定しており、一定の速度で搬送されている。金属パターン12の形成方法は特に限定されないが、金属箔をエッチングしてパターン形成したものが一般的である。
PDP用電磁波シールドメッシュの場合は、PETフィルムに接着剤を介して銅箔をラミネートし、レジストでパターン形成した後、銅箔をエッチングし、レジスト剥離して作製する。
このようなフレキシブルの被めっき材は、ロール13を介してめっき液中に導入される。
めっき液中では、金属パターン12が上側面となるように配置される。
めっき液に被めっき材が浸漬される位置の前後の液面上には、電解の給電のための接点14が設けられる。
被めっき材上でのめっき反応は、主にアノードと対面している部分で起こり、それ以外の部分では電流密度が小さくなるため、ほとんど起こらない。
しかし、小さい電流密度においても、析出した金属によるムラが生じる場合には、アノードと対向している以外の部分は、邪魔板などを設置して電流の遮蔽を行なうことが好ましい。
隔室9内の構造は、図3に示したものと同様である。
なお、ここでは、第3の形態を適用した事例を示しているが、第1、第2の形態を適用した場合も、もちろん可能である。
このようなリール・トゥー・リール方式により連続的に被めっき材表面を黒色化する場合においては、その直前処理として表面を脱脂、および、化学粗化することが望ましい。
このような処理も、連続的に処理液中に浸漬することで行われる。
被めっき材の金属パターン表面には、エッチングレジストの残渣などの有機物が付着し、その部分は後続の処理において処理液の濡れ性が劣るためにムラを生じる場合がある。
そこでそれらを除くために脱脂処理を行うことが望ましい。脱脂処理は、市販の酸性またはアルカリ性の脱脂液に浸漬するか、脱脂液中で電解処理を行う。
また、黒色化される金属パターンの表面は、入射される外部からの光を散乱させるため、平坦でなく凹凸があった方がよい。
そのため、表面を化学的に粗化する。この処理は、酸水溶液、または、化学粗化液中に、金属パターンを浸漬することによって行なう。
このような、脱脂および粗化のプロセスは、最終的に黒色化した金属パターンの仕様や、上述のような表面の汚れ付着の度合いによって必要性が変わるため、導入が必要かどうかは事業者によって決められるべきである。
以下には、本発明において重要な管理すべき項目について記述する。
(液の攪拌)
本発明では、電気めっきを行なう時に、めっき槽内での強制攪拌を行なわないことが望ましい。
特定な方向への液攪拌を行うと、めっき表面で式(1)の反応により生じた水酸化物イオンの濃度は、下流に行くほど高くなるため、めっき面内での色調の分布を生じる。
そのため、液中に外部から侵入した粒子等をろ過するための循環系程度の緩やかな液流動を設け、液がめっき面に直接当たる構造は避ける。
また、空気攪拌も行なわない。
リール・トゥー・リール方式では、被めっき材が液中を一定速度で搬送され、それが基材に対して液を適当に流動させる作用を十分に持つ。
(電流密度)
カソードの電流密度は、0.5〜10A/dm2 が適当である。
低すぎると、電極表面での水素発生反応の電流効率が下がり過ぎて式(1)、式(2)の反応が起こりにくくなるため、黒色化が不十分となる。また、必要な膜厚を得るための時間が長くなる。
一方、電流密度が高すぎると、析出するめっき皮膜の表面形状が不均一になりやすい。
ただ、最適な電流密度は、液の流動の状態、めっきされる銅メッシュパターンの搬送速度や、鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)イオン、銅イオン濃度により変化するため、そのめっき装置に対して適正化されるべきである。
(温度)
めっき液の温度は、20〜60℃が適当である。
低すぎると、金属鉄、ニッケル、コバルトの析出効率が低下、および、水酸化物の酸化物への変化が不十分となり黒色度も低下する。高すぎると、液中の化学種の拡散速度が向上しすぎるため、黒色化が起こりにくくなったり、部分的にムラが生じたりする。
(膜厚)
金属パターン上の黒色めっき析出物は、十分な黒色の色調が得られる膜厚であればよい。
鉄金属に換算すると、0.02〜0.5μm、好ましくは、0.05〜0.2μmである。膜厚が薄すぎると、黒色の色調が薄すぎたり、色ムラが発生する。逆に膜厚が厚すぎると、取り込まれた酸化物量も増大するため、めっき表面の抵抗値が増大する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物の製造工程に関し、実施例を示して説明する。
PET製の透明シート(250mm×300mm、厚さ50μm)に18μm厚さの銅箔を、アクリル系樹脂の透明接着剤でラミネートした。このシート(以下PET/Cuシートと記す)を用いて、本発明による黒色化を検討した。
なお、めっき槽に投入する前には、過硫酸ナトリウム100g/L、硫酸50g/Lの溶液に室温で30秒浸漬して銅表面を化学粗化し、その後水洗を行なった。
本発明の第1の形態を実施した。
500mm×500mm×深さ400mmの透明樹脂製めっき槽に次の組成のめっき液を調製して投入した。
(めっき液)
硫酸第1鉄(FeSO4 ・7H2 O)200g/L(Feとして40g/L)
酒石酸 5 g/L
pH 2.5 (NaOHで調整)
温度 50 ℃
前記のPET/Cuシートをエポキシ樹脂製の固定用基板(270mm×320mm)に貼り付け、銅箔面に金属クリップで導線を接続し、水平な底面からの角度20°となるよう、固定用基板の一方の辺に支柱を設け、銅箔面を上面として設置した。
さらにPET/Cuシートから30mm隔てて平行に、銅箔面と同じ大きさの鉄アノード板(厚さ2mm)を設置し、樹脂製治具を用いて槽壁から固定した。導線をアノードに接続し、接続部は絶縁した。
両電極からの導線を整流器に接続し、電流密度5A/dm2 で10秒間電解した。電解の間、カソードの銅箔面からは細かい気泡が発生して、浮上していた。電解後、直ちにカソードを液中から引き上げ、水洗、乾燥した。PET/Cuシートの銅箔面は均一な黒色を呈しており、ムラは全く生じていなかった。
次に、同じめっき液中に硫酸第2銅(CuSO4 ・5H2 O)4g/L(Cuとして1g/L)を添加して完全に溶解させた後、同様のめっき試験を行った。この場合も、PET/Cuシートの銅箔面は均一な黒色を呈しており、ムラは全く生じていなかった。色調は、前述の銅イオン添加なしの場合よりも、やや黒色度が強かった。
(実施例2)
本発明の第2の形態を実施した。
実施例1と同様の実験器具を用い、めっき液とアノードを変更した。めっき液の組成は次の通りである。
(めっき液)
硫酸ニッケル(NiSO4 ・5H2 O)100g/L(Niとして24g/L)硫酸第2銅(CuSO4 ・5H2 O)4g/L(Cuとして1g/L)
pH 4.5 (NaOHで調整)
温度 30 ℃
アノードは、不溶性アノードである白金めっきチタンメッシュを用いた。これら以外は、実施例1と同様に試験を行った。
電流密度2A/dm2 で20秒間電解した。電解の間、カソードの銅箔面からは細かい気泡が発生して、浮上していた。電解後、直ちにカソードを液中から引き上げ、水洗、乾燥した。PET/Cuシートの銅箔面は均一な黒色を呈しており、ムラは全く生じていなかった。
(実施例3)
本発明の第3の形態を実施した。
実施例1と同様の実験器具を用い、さらに、隔室を設置した。また、めっき液とアノードを変更した。
隔室は、樹脂製のワク(内寸300mm×350mm×厚さ100mm)の片側にアニオン交換膜セレミオンAMT(旭硝子エンジニアリング)を接着してめっき液と隔離した。
室内には、5%硫酸水溶液を入れた。
めっき液は次の組成とした。
(めっき液)
硫酸コバルト(CoSO4 ・7H2 O)20g/L(Coとして1g/L)
pH 5.0 (NaOHで調整)
温度 25 ℃
アノードは実施例2と同じ白金めっきチタンメッシュ電極を用いた。
実施例1、2と同様に、カソードであるPET/Cuシートをエポキシ樹脂製の固定用基板(270mm×320mm)に貼り付け、銅箔面に金属クリップで導線を接続し、水平な底面からの角度20°となるよう、固定用基板の一方の辺に支柱を設け、銅箔面を上面として設置した。
この上部に不溶性アノードを含む隔室を配置し、不溶性アノードの面はカソードに対して50mm隔てて平行となるように配置された。
電流密度2A/dm2 で20秒間電解した。電解の間、カソードの銅箔面からは細かい気泡が発生して、浮上していた。電解後、直ちにカソードを液中から引き上げ、水洗、乾燥した。PET/Cuシートの銅箔面は均一な黒色を呈しており、ムラは全く生じていなかった。
また、さらに、めっき液に対して硫酸第2銅(CuSO4 ・5H2 O)0.12g/L(Cuとして0.03g/L)を添加し同様の試験を行った。この場合においても、PET/Cuシートの銅箔面は均一な黒色を呈しており、ムラは全く生じていなかった。
(実施例4)
カソードの傾斜度による黒化めっき面のムラの程度への影響を調べた。
実施例1と同様の実験器具、めっき液を使用した。硫酸第2銅(CuSO4 ・5H2 O)4g/L(Cuとして1g/L)も添加した。
表1に、カソードの傾斜度(θ)と外観ムラの結果を示す。
θ=0〜60°の範囲内では、ほとんど、黒色めっき面のムラは発生しなかった。ただ、60°では、液中で上部にあたる部分で、薄くムラが見られたが顕著なものではなかった。
しかし、70°ではスジ状のムラが顕著となり、90°では明確なスジ状のムラが発生した。このようなムラは、めっき液中における基板の下部−上部の向きに流れるように現れるものであり、めっき中に発生する水素の泡がめっき面に沿って浮上することによるものである。
これらの結果から、本発明の製造方法により、被めっき面からの水素発生によるムラのない均一な黒色めっきを作製することができることを確認した。
Figure 2009074146
本発明の黒色めっき物の製造方法により、主としてCo、NiおよびFeを電気化学的に水素発生を伴いながら析出させて、装飾品、光反射防止、熱吸収などの外観性能や機能が求められる各種技術分野において利用される黒色めっき物を製造する場合に、可溶性あるいは不溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置しカソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することで、カソード面で発生する水素の離脱を効果的にし、黒色度を高くしても水素の気泡によってめっき面にムラが生じることを防止できムラなく、かつ黒色度の高い黒化めっき物を製造できるという、顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
本発明の黒色めっき物の製造方法に関わる第1の形態を説明する図である。 本発明の黒色めっき物の製造方法に関わる第2の形態を説明する図である。 本発明の黒色めっき物の製造方法に関わる第3の形態を説明する図である。 本発明の第3の形態を用いて、リール・トゥー・リール方式により連続的に被めっき材を処理する場合の状況を説明する図である。
符号の説明
1・・・めっき槽
2・・・めっき液
3・・・平板状カソード
4・・・可溶性アノード
5・・・整流器
6・・・固定用基板
7・・・不溶性アノード
8・・・多孔性隔膜またはアニオン交換膜
9・・・隔室
10・・・酸溶液
11・・・フレキシブルシート
12・・・金属パターン
13・・・ロール
14・・・接点

Claims (6)

  1. 鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
    カソードである被めっき基板面を下方、金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトのいずれか1種、または、これらの合金である可溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とする黒色めっき物の製造方法。
  2. 鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とする請求項1記載の黒色めっき物の製造方法。
  3. 鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
    カソードである被めっき基板面を下方、不溶性アノードを上方として、両方の電極をめっき液中に対向して設置し、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置して電解することを特徴とする黒色めっき物の製造方法。
  4. 鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とする請求項3記載の黒色めっき物の製造方法。
  5. 鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液中で平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属に、それら金属の酸化物または水酸化物が共析してなる黒色めっき物を得るめっき工程において、
    アニオン交換膜、または、多孔性隔膜によってめっき液と隔離され、鉄(II)またはニッケル(II)またはコバルト(II)塩の対イオンとしてめっき液に主として含まれる陰イオンの酸を含有する隔室内に不溶性アノードを設置し、カソードである被めっき基板面を下方、不溶性アノード面を上方として対向させ、カソードを水平に対して0〜60°の角度で設置し、両電極間に通電することを特徴とする黒色めっき物の製造方法。
  6. 鉄(II)、ニッケル(II)、コバルト(II)から選ばれる少なくとも1種の陽イオンを含むめっき液に銅(II)イオンを添加し、平板状カソードの片面上で水素発生を伴いながら電気化学的に析出して、カソード面に、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と金属銅の共析物に、それら金属の酸化物または水酸化物を共析させることを特徴とする請求項5記載の黒色めっき物の製造方法。
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